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「アル、そっちに行ったぞ!」


 仲間の騎士がかけた警告に、身体が勝手に反応してくれた。身体のバネに任せて飛びあがると、寸前までいた場所に棘をいくつも生やした触手が振り下ろされた。

 肝を冷やしながらも盾と剣を構えて半身になる。顔にも鎖鎧にも泥がへばりついて不快だったが、拭う暇は無い。目の前の触手をいくつも生やした樹の怪物は少しでも隙を見せれば触手をまた叩きつけてくるだろうからだ。さきほど触手くらって無事だったのは、棘が盾にちょうど当たった幸運と仲間の支援のおかげだった。左手に構えた盾は薄ぼんやりと光を放っていた。アルの背後、少し離れている場所にいる竜人が与えてくれた加護のおかげだった。安い鉄製の盾は羽のように軽くなり、高質化した棘の一撃を受けても傷一つつかないまでに硬度を高めてくれる。

 

「アル、攻撃術を使う余裕は無さそうだ。儂は支援を続けるぞ」


 そう告げられて、アルと呼ばれた獅子は返事をせずに樹の怪物との距離を詰めた。すり足で、ほんのわずかの距離を。無作為に樹木をつぎはぎしたような怪物は醜悪で狂暴。間合いに入れば考え無しに触手を振り回してくる。複数ある触手を一気に叩き込まれれば防げる確証は無い。だからアルも、反対側で怪物を挟み込んでいる狼も不用意に踏み込まない。

 

「アル、このテの植物型は大体しぶとい。私が触手を片付けるから、本体を叩き切れ。いいな」

「了解、ヴァル」


 幸運なのは言語を介する知能も無いことだった。背後で控える竜人にも届く声で作戦を決めると、二人の剣が輝き始めた。狼――ヴァルギットの持つ両手剣は陽光の如き輝きに。アルの片手剣は鮮烈な緋色の輝きに。

 これも竜人が与えてくれた魔法の加護だ。返事の代わりに鞭のような尻尾を揺らして、アルは剣を構える。隙が生まれるその瞬間を逃がさぬように。

 

 とは言え、樹の怪物は触手を振り回しなかなかつけ入る隙を見せなかった。このまま時が立てば焦れた怪物から突っ込んでくるだろう。

 

「――あなたに鈍色の枷を授けましょう。それが唯一つの祝福……」


 その時、竪琴の音と一緒に短い詩が空気を震わせた。どこか物悲しげな旋律は竜の隣に控えた鳥人が奏でるものだ。鮮やかな空色の羽毛と洒落た外套に身を包んだその鳥人が竪琴を鳴らし朗々と歌うと怪物に変化が現れた。鞭のようにしなる触手が速度を落とし、明らかに戸惑った様子で身体を震わせる。

 知性などない怪物に影響を及ぼすのは鳥人の力。呪歌と呼ばれるそれは聞いた味方に力を与え、敵から力を奪うものだ。

 

「グルオォオオオッ!」

 

 無論、怪物にそれを理解する知性は無い。自分に起きた異常にただ怒り、目の前の敵を排除しようと触手を叩きつけようとする――はずだった。

 

「二人とも、合わせろ!」


 その時、隠れ潜んでいた5人目が動いた。

 木の影から飛び出したハイエナが長弓から矢を放つと、赤の軌跡を描いて怪物の頭部へと突き刺さる。

 

 それと同時に獅子と狼。二人の肉食獣が獲物めがけて、跳んだ。

 

「ギャアオオオッ!」


 怪物は触手を二人に向かって振り回した。この飛んできたものは大して痛くない。痛いことをするのはこの硬くてでかいものを持った二匹だ。こいつらから殺そう。知性というよりは幼稚で原始的なものだが正しい判断だろう。触手をまともに喰らえば二人ともただではすまないのだから。

 

 だが、怪物は致命的な間違いを犯していた。ハイエナがこれまで身を隠していたのは矢を確実に頭部へと当てるため。特別性の矢を突き立てられた時点で、怪物の負けは決まっていたのだ。

 

 矢が突き刺さってから、刹那。

 

 頭部に刺さった矢が赤い光を強く瞬かせたかと思うと、轟音と高熱を放って爆発した。怪物の頭を一部破壊するほの威力で。


「こちらだ、怪物!」

「――――ッ!」


 怪物は自分に何が起きたのかも分からないまま触手を伸ばした。爆発で視界が機能を停止した以上、できるのは声の聞こえた方向をでたらめに攻撃するだけ。とにかく、敵を排除しなくては。それしか怪物の頭には無い。

 

 そして、その安易な攻撃を狼の騎士は見逃さなかった。

 

「醜悪なる怪物よ!お前のいるべき世界へ還るが良い!」


 両手剣を大上段に構え、ヴァルギットは触手の振り回される空間へとびこんだ。太く強靭な木の鞭は当たれば必死。棘をかすめれば血が噴きだす凶器。しかし狼の騎士は蒼眼に欠片ほどの恐怖も宿してしない。足へ振り回される触手を跳ねて回避して、そのまま大剣を振り下ろすと触手があっけなく断ち切られる。

 

 そのまま身体を回転させ、もう一撃。

 また、跳ねる。

 触手が千切れ飛ぶ。

 大剣に板金鎧を装備しているとは思えぬ軽やかさと力強さでヴァルは大剣を振り下ろし怪物の生命を終わらせるための舞を踊る。

 

「うおおおおっ!」


 最後に勢いよく大剣を振り下ろすと、最後の触手が断ち切られた。樹の怪物はすぐさま触手へと栄養を回し回復しようとするが、一向に触手は再生しない。驚異的な回復能力を誇る怪物だが、ヴァルギットが断ち切った触手は全て切断面が焼け焦げていた。ヴァルギットの剣に宿った光は熱したナイフで肉を切る時のように鋭さを上昇させる上に、不浄な怪物の肉を焼く力までも与えていた。


「ギ、ギヒュッ!」


 ならば、と怪物は脚を動かしてこの場から逃げようと判断する。誇りなどない、ただ生存本能に突き動かされた怪物は命を繋ぐために敵を蹴散らし逃げ出そうとした。

 

 しかし、獅子の戦士はそれよりも早く怪物の頭上へと跳んでいた。

 

「こいつで、終わりだっ!」


 片手剣に陽光を煌かせて、獅子は一気に手を振り下ろした。

 獅子も見事な体躯をしているが、怪物の体格差は圧倒的。だが獅子が片手剣を頭部へと叩きつけると熱したバターのように怪物の身体は両断される。

 

「ギュオオオオッ!」


 怪物を遥かに超えるほど高く飛び、獅子の剣は重力に助けられていた。加えて竜の与えた魔法の加護。獅子の鍛錬による筋肉のバネ。全てが合わさって。樹が固まってできた外皮もたやすく切断し、本体も繊維を千切る音を立てながら分かたれていく。ヴァルの剣と同じく、切った部分を焼き焦がし、怪物の身体を再生できぬよう破壊していった。

 

 そして獅子の剣が地面へと突き刺さった時、怪物の命は終わりを迎えた。獅子や狼の数倍はあろうかという巨体は両断され、悲鳴を上げる権利すら奪われて地面へと倒れ込む。

 

「ふーーっ……やばかったぁ」


 倒れた怪物がぴくりとも動かないのを見て、獅子は気が抜けた息を吐いた。自分の装備を見てみると、盾は無事だが鎖鎧を装飾する空色の布地がところどころ破けてしまっていた。怪物の触手を避けきれなかった証拠だ。

 

 それを咎めるように狼の騎士――ヴァルが鎧を睨んでくるので、アルはばつが悪くなって目をそらした。この騎士は堅物で自分にも他人にも厳しい。この程度、無傷で倒せと言いたいのだろう。

 

 実際、怪物の攻撃を受けたのは油断によるものだ。攻撃を避けきれると過信した結果、隠していた触手を喰らうなんて恥じるべきことだ。

 

「初見の敵に不用意に突っ込むなと何回言わせる気だ?お前の腹が破ければ治すのは私やシャントなんだぞ」

「おれが突っ込まないと話が始まらないだろ!」

「突っ込む前に他の仲間と相談しろ。お前が勝手に突っ込むと私たちはフォローに余計な手間がかかるんだ」


 アルは反論もせずちぇ、ちぇと唇を尖らせた。ヴァルギットの言うことは毎回正論だ。食い下がると説教が長くなる。こんな時はいつものように仲間にフォローして貰うのが一番だ。

 

「ヴァル、もう許してやれ。こいつが突っ込まなかったらぬしやドリッズが触手を喰らっていたかもしれん」

「またそうやって甘やかす。こいつの頭を育てないと、そのうちロットから死ぬぞ」


 ロットと呼ばれた白い竜はモノクルを付けた顔で眉根を寄せる。無茶をする獅子を叱りつけるのがヴァルの役目なら、褒めて甘やかすのがこの白竜の役目だった。どちらだけでも冒険者として潰れてしまいそうだが、二人がいるおかげで奇跡的に冒険者として成長できている、とアルはよく評される。アルにも自覚はあるが、二人にこうして鞭と飴を与えられるのは父親二人に構われているようで悪い気分はしなかった。

 

「アルも儂らの支援を信じているから前に出るのだ。戦士なのに及び腰になれるよりずっとマシだろうて」

「そうそう!みんなならおれが何かやらかしてもばっちりフォローしてくれるもんな!なっ!」


 獅子の言葉にロットの後ろで倒した魔物を見聞していた鳥人も困り顔で笑う。ヴァルギットはやってられないと頭を振ると背負い袋を担ぎ旅の準備をはじめる。これ以上無駄な時間を使いたくないのだろう。最後の街から一週間。人類圏からは遠く離れ、このあたりは狂暴な魔物が多い。早く安全な野営の場所を準備しなければ、夜中中魔物の相手をすることになる。

 

「……話、終わったか?遠くに遺跡の跡みつけた。あそこ、野営に使える」


 それを待っていたのか、仲間の5人目であるハイエナが姿を現した。鳥人が着ている鮮やかな羽毛や外套と違って、まだらの毛皮も軽装鎧も地味なもの。物陰に隠れ潜むには最適な恰好をした彼は、さっさと先頭を歩きはじめる。

 

「わ、わ!待ってくださいっ!」


 それを見た鳥人は魔物の死体を調べるのをやめて慌てて後を追う。道らしい道も無い森の中では草木に邪魔されすぐに姿を見失ってしまう。置いていかれないように駆けだすが、ハイエナは樹木の間をするすると進んですぐに離されてしまう。

 

「おいおい、ドリッズ!先行きすぎだぞ!ちゃんと先で待っておけよなー!」


 アルが声をかけたのが聞こえているのかいないのか。ドリッズの姿はすぐに見えなくなってしまう。だが、ナイフで草木を切り開いているからか痕跡は容易にたどることができそうだった。

 アルは白竜と鳥人の二人が歩きやすいように更に大きく草木を切って、道を開拓していく。ヴァルも同様に邪魔な障害物を排除して、周囲の警戒をしていた。

 

 普段のハイエナならば仲間を置いて先行はせず、一定の距離を保っていてくれるのだが今日は気が急いているような様子で一人で先を進んでいた。

 

「あいつ、やっぱ焦ってるっていうかイライラしてるよなー。いつもはおれらの様子に気を使ってくれるもん」

「仕方ないだろう。最後に街を出てからずっと男に抱かれていないんだ」

「おれたちもドリッズほどじゃないけど、苛ついているだろう?欲望が晴らせないし……もうすぐ、この呪いを解けるかもしれないんだ。焦るのも当然さ」


 ロットはもどかしそうに下腹部を撫でまわした。淡雪のような白の顔はわずかに紅潮していた。自分の中で廻る熱に、それを抑えられない恥ずかしさに赤らんだ頬を見て、他の3人も同じく顔に朱を差す。冒険者として相応しいどっしりとした尻肉を揺らすと、汗や体臭ではない香りが森の匂いに混ざり合う。それは発情した雌の芳香で、誤魔化しきれない愛液の香りだ。

 

 堅物そのものの顔をした銀狼も、純朴そうな鳥人も尻肉をもじつかせて押し黙る。白狼の言葉で自覚してしまった欲望を隠したくて、隠しきれないと分かっていて。

 

「ん、おれもムラついてきちゃったし、早く呪いを解かないとなっ!みんなで元の身体に戻ろうぜ!」


 そんな羞恥心を消し飛ばす大声で獅子は吠えた。にかっと白い牙を見せての笑顔は太陽そのもので、それを見た3人の仲間も安堵したように笑う。

 彼らの旅路は果てが無く、目標に辿り着けるか信じられなくなる。そんな時にこの獅子の笑顔を見てると、信じられるのだ。きっと、自分たちはこの旅を笑顔で終われると。この忌まわしい呪いを解くことができると。

 

 この身体を苛む呪い。『レベルが上がるとマンコの感度が上がる』呪いを解いて、普通の冒険者に戻れると。

 

 

 この世界に蔓延るのはレベルが上がればマンコの感度が上がる呪い。

 唯一つの例外も無く、レベルが上がり続ければいずれちんぽを求めるだけの淫売に成り下がる。

 

 これは、その呪いに抗おうとする若者たちのお話。

 

 ***


「あ、うぅうぅ❤くぅ、もうやめてください゛っ❤❤んんぅ❤」


 狭い店内にはか細い喘ぎ声が響いていた。

 薄暗い店内には古ぼけた地図や未開封の宝箱が並べられており、かび臭さが漂っている。しかし今、それを上書きするような濃い性の匂いが部屋に満ちていた。

 その匂いの元、派手な羽色をした鳥人がまた喘ぎ声を上げた。空色の羽によく合う白を基調とした外套は胸元までめくり上げられて、発達した大胸筋をいやらしい手つきで揉みほぐされていた。

 

 逃れようと身体をよじらせるが、その腰には太い腕がしっかりと回されている。ズボンへと潜り込んだ指先はぐちゅぐちゅと何かをかき回す音を立てており、総排泄孔を持つ鳥人が何をされているかは容易に想像がつくだろう。

 

「マンコ野郎の分際でうるせえな。萎えるから黙ってろや」

「お、おれはマンコ野郎なんかじゃ❤おおおぅっ❤❤❤」

「てめえら冒険者はみんなマンコ野郎だろ。ワシがちんぽ出せば金払ってでもハメられたがるくせによぉ」


 そう言って牛の男は鳥人の総排泄孔をかき混ぜた。既に指を3本も咥えこんでいるそこは女性器と遜色ない淫乱な器官と化しており、太い指が動くとどろりとした粘液を吐き出していた。

 鳥人はどうにか腕から逃れようとしているようだが、指が内壁を掻きむしると足腰から力が抜けて、牛の身体を体重を預けてしまう。胸を揉みしだかれれば澄み渡るような嬌声で鳴いて、愛液の量が勝手に増える。

 

 こんなはずではなかった。鳥人はただ、遺跡の場所を求めて情報屋へと来ただけだ。求めるだけの金も払った。それなのに――

 

「テメエのまんこ使ってやっから、追加料金払えっつってるだけだろ?互いに損が無いじゃねえか」

「そ、そんなのお゛ぉお゛おおっ❤❤❤」

「同意ってことでいいな?んじゃワシ好みに躾けてやるよ」


 抵抗しようとする言葉は内壁を掻きむしられると喘ぎ声に変換される。ズボンの中で自由に動かせないはずの手だが、指先が泳ぐだけで鳥人は身体を痙攣させた。ごつい指の関節がマンコを擦るだけでも首筋がのけぞってしまう。

 あまりにも弱すぎるマンコだが無理もない。鳥人はようやく中堅の冒険者になった程度だが、それでもマンコの感度は並外れて上がっている。童貞の指先だけでもたやすく潮を噴いてしまうほどの弱いのだ。明らかに雄を抱くのに慣れた牛の技巧に敵うはずがない。まとめて指を出し入れされたりしたら、股を開いてマンコ肉をひくつかせるしかない。

 

「ほへッ❤❤ほお゛ぉっ❤」

「気分出てきたじゃねえか。そろそろちんぽ欲しくてたまんねだろ?」

「ぅうぅあ❤❤」


 マンコの襞を伸ばされ悶える尻に、熱くて硬いものが押し当てられた。むっちりと脂が乗って膨らんだ尻とは対照的な肉の槍。牛人のちんぽがデカ尻の谷間に潜り込んで、竿の長さを見せつけるようにして身を擦り付けてきた。

 そんなことをされたら、呪われた身体は完全に堕ちてしまう。雄の熱で自分を溶かして欲しいとマンコが更に汁を大量に分泌する。この雄に孕まされたくて、総排泄孔が指を食いちぎるように締め付けを強くする。

 

「へっ、欲しがりマンコが。指よりも太ってえのでイカされてえんだろ?離しやがれ」

「ん゛お゛ぅううっ❤❤」


 乱暴に指を引き抜かれ、鳥人のマンコが収縮と拡張を繰り返した。隙間を埋められていた孔が突然擦りながら指を引き抜かれて、皺を伸ばされきった総排泄孔からプシュプシュと潮のような愛液が飛び散った。高価な詩人ようの衣服が汚らしいマンコ汁で汚れ、じんわりとシミが拡がっていくがそんなこと気にする余裕は無い。それよりも、尻で挟んでいる逞しい雄が欲しくてたまらない。

 

 自分よりも頭一つ背の低い雄に潤んだ目を向けると、鳥人は媚びた腰つきで尻を揺する。あなたの雌だと示すその仕草に牛は満足そうに舌なめずりし、力まかせにテーブルへと突き倒す。

 

「あ゛うっ❤ら、乱暴はしないでください❤❤」

「ピーチクうっせえな。まんこ使われてねえならまんこ拡げてハメやすいようにしろや」


 自分を性処理用の道具としか扱っていない言葉だ。ズボンを膨らませているのは腹の突き出た牛の雄。きちんと風呂に入っているか怪しい汗臭さとパイプの匂い。毛並みもぼさぼさでちんぽ以外はおよそ雄として優れたところがない。

 しかし、鳥人にはその醜悪さも侮蔑の言葉も極上の愛撫だ。雌孔をひくつかせ、むちむちの下半身をくねらせるのを止められなかった。今の鳥人を支配しているのは雄に孕まされたいという根源的な欲求で、ちんぽさえ逞しいのならばそれ以外の全ても興奮材料になる。

 

 ベルトを抜かれたズボンをゆっくりと脱ぎ下ろすと、顔の空色の毛皮と同じ羽毛に包まれた尻肉が露わになる。ぴょこんと生えた尾羽が可愛らしいが、尻の豊満さと肉付きの良さは可愛らしいという印象をかき消していた。肥えた尻肉はわずかに垂れていて、少し身じろぎすると柔らかさを見せつけて揺れる。そして両脚の間では粘液をまとわりつかせた鳥人のマンコが見えるのだ。そのさまは妖艶としか形容できない。

 

「……ぐひっ。いいよなテメエら冒険者は。極上のケツをタダで使えんだからな」


 牛の雄は劣情を隠さず鳥人の尻を鷲掴みにする。どこまでも指が沈み込みそうな柔らかさに溺れながら、猛るちんぽを総排泄孔へと添える。ある程度冒険者として経験を積んだものはマンコの感度だけでなく具合も上がる。ちんぽをより咥えこみやすい雌孔へと進化するのだ。

 この鳥人が中堅ともいえるほどの腕を持っていると知っているから、牛の興奮は燃え上がる。どれだけ良い声で鳴いているくれるか。ちんぽに媚びてくれるか。期待に鼻息を荒くし腰を突き出そうとして――

 

「おっと、そこまでだ。おれらの仲間に汚ぇ手で触るんじゃねえよ」


 その時、牛の手を捻り上げる者がいた。

 

「なッ!なんだ、てめえっ!」

「こいつの仲間だよ。ちょっと手を出すぐらいなら大目に見てやるけどよ、ちんぽで言う事聞かせるってのぁ調子に乗りすぎだぜ、エロ親父」


 鳥人が顔を上げると、そこにいたのは獅子の男だった。鳥人と同じ年ごろで、豊かなたてがみを伸ばし放題にしている大柄な戦士だった。鳥人も長身だが、それを上回る体躯に加えて横にも膨らんでいる。筋肉と適度な脂肪を詰め込んだみっちりとした身体は、物語に出てくる英雄そのもののように逞しかった。


「アル、さん……?」

「だいじょぶか、シャント。危ないとこだったな!」


 しかしアルは英雄然とした身体に似合わぬ気安く、子供っぽい笑い方で牙を見せる。顔も男前と言えるのだが、表情筋の使い方が大げさで落ち着きがない。身体は立派な雄なのに、顔つきのおかげで威圧感がまるでなかった。

 手足は血管を浮きだたせ、腰は大樹さながらに太くどっしりとしている。身体のどこにも細い部分が無い。見てくれだけではなくその力は本物のようで、手を振り払おうとする牛を全く意に介していなかった。

 

「まずは、服着たらどうだ。こんな男にいつまでも身体を晒しているものじゃない」


 降ってきた優しく、落ち着いた声色がして身体にマントをかけられた。牛の男に引きはがされたそれで慌てて身体を隠すと、昂っていた身体が急激に熱を失っていくのが分かる。

 マントを渡してくれたのは銀毛の狼――ヴァルギットだ。獅子をさらに一回りでかくした巨漢で、並外れた怪力でなければ着ただけで潰される板金鎧を身に着けていた。獅子は筋肉と脂肪の比率によって丸みを帯びた印象を受けるが、この狼は筋肉が山脈さながらに盛り上がり、どこもかしこも硬く、ゴツゴツとしているように思える。あくまで見た目だけで、どこまでも優しい人であると鳥人は知っているが。

 

「冒険者相手に下半身を使って脅すとは、恥も商売人としての道徳心も無いようだな」

「ああっ!?この鳥野郎がケツを振って誘ってきたのが悪いんだろうが!テメエだってちんぽもらえりゃ誰にでも股開くんだろうがよ!色狂いの雌犬がっ!」

「……本当にそう思うか?私がお前のような下種に本気で抱かれたがると、本気で?」


 ぐるる、と低い唸り声を上げるとそれまで威勢が良かった男がひっと息を呑んで押し黙る。銀狼は大剣に手をかけてすらいないが、その瞳と唸り声に込められた殺気は軟弱な中年男を黙らせるに充分なものだった。

 怯えて目を伏せた牛を見ると、アルはようやく手を解放してやった。恐怖で萎えたちんぽにちらりと視線をやるが、すぐに視線を戻して寛大な微笑みを口元に宿した。

 

「遊ぶのはいいけどな、ほどほどにしないと痛い目見るぜ?おっさん、冒険者に手を出しては金せびってんだろ?」

「う、うぐ……」

「次におれの仲間に手ェ出したら腕ヘシ折るからな。真面目に商売しとけよ?いいな?」


 脅しではないぞ、とアルは牛の角を引っ掴むと腕の筋肉を膨張させた。ミシミシと悲鳴を上げる白く立派な角に牛は『分かった!分かったから!』と情けなく泣き叫んだ。その惨めさたるや、マンコを濡らしていた自分が情けなくなるほど。シャントはズボンを吐き直しながら顔を紅潮させた。

 

「んじゃ、行くかー。目当ての地図は手に入ったんだろ?」

「は、はいっ!大雑把ですけど目的の未踏破地域の地図が買えました!状態もいいやつですっ!」

「なら、こんな薄汚い場所にいる必要は無いな。宿に戻るとしよう」


 ヴァルギットは汚物など視界に入れるのも不快であると、シャントに肩を貸すと店から立ち去った。アルも頭蓋骨の軋む痛みに泣き叫ぶ牛――その萎えたお粗末なちんぽを最後に瞳に映してから薄暗い店内から出て行った。部屋に残ったのは、悲鳴と恨み言を繰り返す牛の声だけだった。

 

 ***

 

「す、すいませんでしたっ!」


 日の当たる大通りへと出ると、シャントは震える声で詫びる言葉を吐き出した。自分で自分を説教してやりたかった。情報屋で買い物をしてくるだけ。子どもでもできるおつかいと変わらない。それが、ちんぽ欲しさに尻を突き出して、パーティから預けられた金まで渡そうとしてしまった。娼婦は金欲しさに身体を売るが、自分は金を渡して身体を求めたのだ。人として最低だ。

 

「しゃーねーだろ!おれらは冒険者なんだしな!こんな時もあるって!」

「あの男の評判を聞いていたのに、きみを一人で行かせたおれたちも悪いんだ。気に病まなくていいぞ」


 しかし、二人の雄の声は怒りが無くどこまでも優しい。それがシャントの申し訳なさを更に膨らませる。この二人はいつもこうだ。戦いになればシャントたち魔法使いを自分の身を呈して守り、敵に率先して切り込んでいく。勇ましい戦士であり、どこまでも仲間想いだ。戦いだけではなくシャントをいつも安心させてくれるのがこの二人だ。

 

「アルが念のため様子を見に行こうと言い出したおかげだな。やはりお前は勘が良い」

「だろっ!ヴァルに褒められるはレアものすぎてめちゃ嬉しいな!」

「褒めたいのに、何かしらやらかすからだろう。私もしかめ面ばかりしたくないんだぞ」


 冒険者が行きかう大通りの中でも、やはり二人は目を引くとシャントは後を追いながら熱っぽい息を吐いた。二人の体格はそこらの戦士が頼りなく思えるほどに圧倒的な力強さで、すれ違う人々は信じがたいものを見たと言いたげな顔で二人の踵から耳の先まで舐め回すように見ている。筋肉でぱんぱんに膨らんだ身体が歩行に合わせて弾むさまはあの牛店主のような雄好きにはたまらないだろう。幸か不幸か、総排泄孔持ちであるシャントには誰かを犯したいという欲望がさっぱり理解できないが。

 

 アルは赤のサーコート付きの鎖鎧を、ヴァルギットは深い青紫色の板金鎧をを装備している。どちらも魔法の品であり、ある程度経験を積んだ冒険者でなければ手に入れられない代物だ。これを手に入れるまでシャントはアルたちとさまざまな冒険をしてきて、もはや駆け出しとは呼べないぐらいの実力を備えている。

 

 シャント自身も冒険者としての実力はある方だと思っているし、外見も吟遊詩人として不足が無い華やかなものだと自負している。しかし、この二人の雄そのものの屈強な筋肉を見ていると、自分がどうしたって情けなく思える。

 

「シャント~~、どしたんだよ。落ち込むなって言ってんだろー?」


 またため息を吐いていると、アルががっしりとした腕で肩を抱きしめてくる。汗の匂いとお日様の匂いを近づいた首筋から感じて、シャントはきゅんきゅんと総排泄孔をうずかせた。あの牛店主のだらしない身体とは違った、鍛え上げられた鋼の肉体。相手は仲間だというのに、抱かれたくってたまらなくなる。

 

 それが分かっているからか、アルもすぐに身体を離す。出来立ての氷山すら心を許しそうな温かい笑い顔で、ぱっと光を含んだ柔らかい空気のようなものをシャントに与えてくれる。

 

「いつもシャントは街で情報収集してくれるしな、たまーに悪いヤツに当たったりすんだろ!」

「でも、ぼくは冒険者なのに。アルさんたちに助けられてばっかりで」

「おれの方が助けて貰ってるって!だからこれからも助け合いっこで行こーぜ!なっ!」


 アルの騒々しくて、けれど耳障りではない励まし。そして自分たちを見守ってくれるヴァルギットの瞳に気づくとシャントの心は雲間から光が差し込んだように明るくなる。シャントは吟遊詩人として交渉や説得に長けているが、この二人の言葉の方がずっと素晴らしく、人の心を救ってくれると思えた。


「お、ようやく来たか。儂らの方も資料が集まったぞ」

「シャント、無事だった、か?」


 そして、この二人にもあらゆることで助けて貰っている。ゆったりとした緋色のローブに身を包んだ竜と、地味な色合いの目立たぬ服装をしたハイエナが宿のテラス席でシャントたちを待っていた。

 シャントは街中での情報収集には長けているが、野外での探索は巧みではない。それに魔法の知識や歴史に詳しいわけでもない。アルやヴァルギットも敵を真正面から打倒すことは得意だがどうしたって不得手なことはある。

 

 ハイエナのドリッズは深い森の中の探索もゴブリンの砦も自分の家同然に潜み、必要とあれば親玉の喉笛を切り裂く腕前を持つ狩人であり盗賊だ。無駄な脂肪を削ぎ落している身体だが、ヴァルギットのように筋肉に鎧を実らせるのではなく、しなやかな印象を受ける身体だった。それでもシャントよりずっと太く、背も高い。

 

 竜のロットは剣の腕以外の力もあるとアルに教え込んだ男だ。熟練の魔法使いで森羅万象あらゆる知識に精通している。

 この二人がいなければ、シャントたちの冒険はすぐに立ち行かなくなってしまうだろう。

 魔術師らしいモノクルと真っ赤なローブを身に着けているが、その肉体は戦士同然に筋肉を実らせている。どこもかしこも筋肉でムチムチしており、ローブの上からでも筋肉の陰影がくっきりとしていた。

 

「さ、地図を見せてくれるかね?シャント。儂も未踏破地域の伝承を調べてきた」

「おれも、未踏破地域に行ったっていう狩人からいろいろ、聞いた」


 二人にせかされて、シャントは慌てて買ってきた地図をテーブルの上へと拡げる。ドリッズとロットも自分たちが手に入れた情報を取り出すと、興奮が抑えきれない様子で話を切り出した。

 

「では、情報を纏めよう。『マンコの感度が上がる呪い』それを解くための秘宝について」


 ドリッズは下腹部を撫でまわすと、自身が持ってきた一枚の羊皮紙を取り出す。そこには震える手で描かれたような風景が記されていた。岸壁を削り出して作られた形状の巨大な男性の石像。その足元でぽっかりと口を開いている洞穴。

 

「じいさんの狩人言ってた、ここに入って、呪いを解きたければ迷宮を攻略しろと言われた、って」


 シャントも胸を高鳴らせて地図を広げる。そこは未踏破地域と呼ばれる人の手が入っていない、もしくは人がその版図を拡げようとして失敗した場所。かつて冒険者たちが立ち入り、逃げ帰るか全滅した極めて危険な領域だ。

 そこにはいくつかの特徴的な地域や遺跡について記されており、岸壁には石像の絵と一緒に遺跡の迷宮の名前とおぼしきものが記されていた。

 

「エロトラップダンジョン――ここに呪いを解く秘宝があるに違いありません!」


***


 エロトラップダンジョン。

 そこは通常の魔物やトラップではなく冒険者を辱め、性的に苦しめ凌辱するまともな冒険者ならば足を踏み入れたいとは思わない最悪な迷宮――というのが前時代の常識だ。

 

 レベルとマンコの感度が比例する呪いが拡がっておよそ100年。この世界では冒険者はみなマンコで気持ち良くなりたいと願う。ゆえにエロトラップダンジョンとは快楽のついでに財宝が手に入る冒険者にとっての楽園なのだ。なにせ辱める代わりに、エロトラップダンジョンでは命の危険が無い。凌辱された後にはダンジョンの後に排出されるのが共通している。

 

 加えて、エロトラップダンジョンにはほとんどの場合マンコに快楽をもたらす類の財宝がある。それはマンコの感度を上げる秘薬、常にマンコをほじくってくれる玩具、いつでも竿奴隷になってくれる魔人を呼び出すものだったりする。呪いが蔓延る以前はごみ同然だが、今の時代の冒険者には喉から手が出るほど欲しい財宝だ。

 その美味さ故に、エロトラップダンジョンとは冒険者を救うための神の贈り物だと信じられている。

 

 そして、エロトラップダンジョンが攻略されるうち一つの信仰が広まる。

 

 マンコにかかった呪いを解く秘宝があるのではないか?

 

 冒険者を救うためのダンジョンならば、この忌まわしい呪いを解くための秘宝があるはずだ。まともな冒険者、まともな人生を送るための神の祝福が。

 

 なんとも都合が良い思考だが、まだマンコに脳みそを支配されていない冒険者たちはそう考え始めた。この呪いを解くためのエロトラップダンジョンを探し、自分たちを、そしてこの世界の冒険者を救うのだと。

 

 シャントたちも、その都合の良い願いを持った冒険者パーティの一つである。

 

「ここが、エロトラップダンジョンでいいのか?」


 ヴァルギットが眼前に広がる洞窟と、巨大な石像を見て呟いた。洞窟の入口は真っ白な門があり、石像にも白い石材で装飾されていた。

 シャントが手に入れた地図やその他の情報を照らし合わせてもここがエロトラップダンジョンである可能性が高い。それでも情報が誤りであればという不安は付きまとう。ここにたどり着くまで長い旅、そして魔物との戦いを続けてきた。多くの経験を積んだ結果マンコの感度はまた上がり、禁欲生活と合わせて乳首がシャツに擦れるだけでも軽いメスイキをしそうだった。これが無駄足であれば自分たちはただ人としての終わりに近づいただけになる。

 

「安心しろ。これがエロトラップダンジョンであることは確かだ。秘宝がおれらの呪いを解くものかはともかくとしてな」


 片眼にかけたモノクルを持ち上げてロットが安心させるように呟いた。石像の造形や洞窟近くに刻まれた文字、そして材質を注意深く観察しては満足そうに頷いている。

 

「この石像は岸壁に掘りこまれておるように見えるが、違う。作り出した石像を岸壁へと融合させたものだ」

「作り出したって魔法でかー?」

「いや、魔法でもたやすくできることではない。これはエロトラップダンジョンに頻繁に見られる現象だな。加えて、この石像はそう古いものではない。できてから数十年も経過していまい」


 ロットの言葉に全員が息を呑んで石像を見上げた。この石像は街にある塔や王城に並ぶ大きさがある。それこそ数百人の人夫が長い年月をかけて作らねばならないものだ。しかし、この地域にはまともな村すらないのだ。人がいる街までは、数週間の旅路と狂暴な魔物を攻略しなければいけない。

 

「狩人のじいさん、ここ来たの30年ぐらい前」

「それより以前には存在していたことになるが……正確な年月は分からん。確かなのは、『呪い』が蔓延って以降にできた迷宮ということだな」

「つまり、神様がぼくたちを助けるために作った迷宮!かもってことですね……」


 シャントはその石像に畏怖を感じて足を竦ませるが、同時に高揚感を覚えていた。攻略されていないエロトラップダンジョンは非常に貴重だ。マンコ狂いのベテラン冒険者が即座に攻略してしまうので、中堅以下の冒険者が攻略できる機会はほとんど無い。もしもベテランに攻略できない高難易度のものなら中堅冒険者に攻略できるわけがない。

 

 だから未攻略の冒険者を見つけられるのは非常に幸運だ。これが運命であり、自分たちがこの呪いを解く英雄になると定められていたのではないか。そんな妄想に酔いしれる。

 

「でも、攻略できなきゃ意味無い。おれ、先に調べるから後ろからみんな来る」


 妄想から覚めると、ドリッズが既に洞窟の入口まで這って罠を調べているところだった。自分と違い役割を理解して仕事をしているドリッズに敬意を抱き、同時に自分が恥ずかしくなる。

 指の先だけ空いた手袋を付けて、ハイエナの手が用心深く洞窟の入口をまさぐっていた。いつも騒々しいアルもこの時ばかりは静かに待っている。ドリッズが罠を見逃せば、そのままパーティの全滅に繋がるからだ。

 

「……ん。大丈夫、罠無い。ただ、壁に呪文ある。おれわかんないもの」


 ドリッズが指さした先を見ると、壁から天井を伝い真正面の壁と床へグルリと円を描くように呪文が記されていた。シャントもそれなりに言語には精通しているが、全く知らない文字だった。

 となれば自分の出番であるとロットが壁の文字を調べ始める。こんな時シャントは役立たずだ。調査中、周囲の警戒はアルとヴァルギットがしてくれている。どんくさい自分が全く気付かない間に、二人が敵の気配を察して動くのである。

 今、ロットがしているようにパーティの知識を担当することもできないし、ドリッズのように先行して罠を探すこともできない。街中での社交的なやりとり以外では、自分がどうしても無能に感じた。その間にに、ロットは調査を終えたようで顔を上げる。

 

「分かったぞ。これは攻撃系の呪文ではないな。通ったものを精査する類のものだ」

「精査、とは?強さや能力を推し量るということか?」

「具体的にどこを調べるか、までは確かではない。ただ強さよりも精神や思考を調べるものだ」

「危険、無い?」

「直接的にはな。過去の心的外傷を調べるようなものなら、後からそれを利用し精神攻撃を仕掛けてくるかもしれんが」

「なら、気にしてもしゃーねえし行こうぜ。エロトラップダンジョンなら死ぬような罠は仕掛けてこねえだろ」


 その言葉に全員が頷くと、ドリッズを先頭にして再び洞窟を進み始める。冒険者とは危険を冒す者だ。たとえここに秘宝が無くとも不確かな危険に怯えて帰るなど考えられない。シャントも不安を抱えつつも逃げ出そうとは思わない。

 

 ドリッズが先行し、アルとヴァルギットが鎧を纏わない二人を前後に挟む形で進む。未知の洞窟では、例え分かれ道がなくとも背後から奇襲を受ける可能性がある。壁を壊し、壁をすり抜け、構造物に擬態するなど魔物の戦略は枚挙に暇がない。こうして鎧の厚い戦士を前後に配置するのが冒険者のセオリーだ。

 

「壁や地面、様子が変になってきた。だいぶ、奥きてる」


 周囲の様子を見てドリッズが呟くが、シャントには良く分からなかった。たぶん、隣で歩いているロットも同じだろう。魔法とランタンで光源は確保しているがそれでも周囲は薄暗く色まで明瞭に見えるわけではない。ドリッズは夜目が聞いて、暗闇だろうとはっきり周囲を視認できる。これも偵察役を任される理由の一つだ。

 

 二人の戦士はハイエナほどじゃなくとも『視える』ようで周囲の様子を詳しく教えてくれた。天然の洞窟めいていた入口が白く滑らかなものに変わり、質素な装飾がほどこされるようになっているらしい。その多くは神々の像や信仰を表す聖句のようだが、ロットにもシャントにも分からない。こんな時は神学をもっと学ぶべきだったと後悔するな、とヴァルギットが少し申し訳なさそうに言った。

 

 騎士の中には教会で神学や宗教について学ぶものがいるが、ヴァルギットはあくまで神に誓いを捧げて冒険を捧げているだけだ。自分の知識が及ばないことが悔しいのだろう。

 

「仕方ないですよ、ヴァルさんは本職の僧兵でもないんですし。ぼ、ぼくだって全然分かりませんし」

「神学についてはおれの領分だからな。きみには交渉や情報収集で役立って貰っている」

「そ、それを言うならヴァルさんも戦いで活躍してますし、できないことがあるのは、仕方ないじゃないです」

「そうか?じゃあ、できないことを気に病むのはやめるとしよう……お互いにな」


 怜悧な顔に温かい微笑が花咲くのを見て、シャントは自分が気遣われていることに気が付いた。自分が野外での冒険で足を引っ張っていると落ち込んでいたのを見抜かれていたのだ。

 自分の内心すら隠せていない未熟さを恥じると同時に、胸にへばりついていた重苦しさがすっとほどけていくのを感じた。自分たちはパーティであり、できないことは他の者に頼ればいい。冒険を続けている間に何回も言われたことだ。

 

「その真面目さがぬしの美点だが、もう少し不真面目になって良いぞ。儂やアルを見習ってな」


 ぽん、と背中を叩いて竜も同じように温かい笑みを浮かべていた。魔術師でありながら自分よりも遥かに逞しい大理石を掘りこんだような筋肉の塊。ごつごつした大きな手で背中を撫でて貰っていると父親に慰められている気分になる。その落ち着きぶりから父親以上の年齢が離れていそうだが、この竜はパーティみんなの父親のように優しかった。

 

「――おおきな門、見つけた。みんな気をつける。様子おかしい」


 その穏やかな雰囲気を冷却する声がした。全員がドリッズの声に警戒態勢へと移行する。ドリッズが曲がり角の先を覗き込みながら手招きをしていた。角の向こうからは強い光が差し込んでいて、壁や地面の白い材質もはっきり見えていた。石膏や大理石とも違う、白い材質。

 ドリッズが招くのであれば危険が無いと判断して、ゆっくりと曲がり角へと向かう。角の向こうを覗き込んでみると、そこは大人が20人ほどは入るであろう大きな空間になっていた。奥には椅子が5個。加えて、床には5個の箱が置かれている。

 

「財宝が入ってる……わけねえよな。一本道だし、罠すらないし」

「箱は5個。儂らも5人。となると嫌な予感しかせんのう」


 明らかに通常のダンジョンとは違う展開にみんな困惑している様子だった。シャントも敵に遭遇せず、宝箱が見つかるダンジョンなど経験したことがない。罠だとしてもあからさまだ。

 

「おれ、見てくる。なにかあったら、頼む」


 想像するよりも自分で確かめるべきだ。そう言いたげにドリッズが慎重に箱へと近づいていく。床に這って罠を警戒し、壁や天井にも注意を払っているが罠は感知しないようだ。

 

 並んだ白い箱へと近づこうとして、ドリッズの無表情な顔に明確な動揺が走った。尻尾を立たせたまま、助けを求めるように仲間たちを呼ぶ。普段のドリッズと違う様子に不安を感じながら箱へと近づくと、シャントたちはドリッズが動揺した原因をを理解をする。


「なんで、ぼくの名前が……!」


 無機質な白い正方形の箱。その箱の上部には小さく名前が書かれていた。シャントたちが良く知っている名前――仲間たち全員の名前が一つの箱に一つずつ記されていた。これはお前の為に用意してやったものだ。そう告げるように。


「これは……まさしく神の御業でもなければ成し得んぞ。入口の呪文で儂らの情報を精査するにしても、その後で箱を準備したのか?しかし……なんのために」


 ロットもこんな状況に対しての知識は無いようで明らかに狼狽えた。この迷宮へ自分たちが来ることを予期していたとでも言うのか。それとも、この迷宮に来た者のための箱を創り出したのか。どちらにせよ、ロットの知る魔法では成し得ないことだ。

 

「わかんねえけど、まずは箱を開けるなり、椅子を調べるなりした方がいいだろ?ドリッズ、頼めるか」

「あ、そうだ、な。ちょっと待て」


 アルの言葉にドリッズも動揺が静まったようだ。まずは椅子を調査して、座ると手足が拘束される仕組みであることが分かった。また、ロットが魔法を確認したところ転移の呪文がかけられている。術式からして座った者を遠くへ跳ばすもののようだ、とロットが説明してくれた。エロトラップダンジョンにはパーティを分断する罠がある。その一部だろうと予想がついた。

 

 次いで箱に罠や魔法が仕掛けられているかを確認し、ゆっくりとドリッズの名前が書かれた箱を開ける。何が起こっても対応できるよう全員が武器を構えていたが、ドリッズが箱の中から取り出したのは派手な柄をした布切れ――娼婦が付けているような下着だった。

 

「なんだ、これ……?ん、箱の底になんか、書いてる」


『こちらはドリッズさまのためにご用意した防具です。頼りなく見えますが魔法の品のため戦闘、防寒、耐熱の点では問題なくご利用いただけます。こちらをお持ちになり帰っていただいて問題ございませんが、扉の奥に進まれる場合は装備していただく必要がございます。その際、装飾品を除いた衣服や武器はこちらの箱に保管をお願いいたします。パーティの方全員が適切な装備をされていない場合は先へ進めません。準備ができましたら全員で椅子に座ってお待ちください。

 

 また、こちらの装備にはドリッズ様に相応しい《受信体質》《意識喪失時自動危険回避》《聴覚強化:特殊》の魔法が付与されております。ご納得いただける場合のみ装備をお願いいたします。』


 箱の底には、共通語でそう記されていた。自分の名前がまたも記されていることに嫌悪感を覚えている様子だが、それよりも文章の内容に関心を惹かれているようだった。魔法の品、という魅惑的な説明とこの全員が『適切な装備』をしなければ先へ進めないという言葉。そして、文章の最後に記された付与されているという魔法。

 

「《意識喪失時自動危険回避》は悪いものではなさそうだが……《受信体質》とはなんだ」

「力になれずすまんが、儂にも分からん。とりあえず儂らも箱を開けるべきだの。説明文のとおりなら儂らにも装備が入っているはずだ」


 ロットの言葉に全員で箱を漁ってみると、やはり下着のような装備が入っており説明文が記載されていた。違うのは最後の装備に付与されている魔法の部分だ。

 

 『こちらの装備にはアルフレッド様に相応しい《双子の女神》《欠損部位即時回復》《痛覚変換:特殊》《豊穣神の祝福》の魔法が付与されております。ご納得いただける場合のみ装備をお願いいたします』

 

 『こちらの装備にはヴァルギット・ハインツ様に相応しい《聖母の胸鎧》《聖母の恵み》《双子の聖母》の魔法が付与されております。ご納得いただける場合のみ装備をお願いいたします』

 

 『こちらの装備にはロットンミスト・メテオライト・フォルセット様に相応しい《魔力高速回復》《魔力物質化》《余剰マナリーク》《マジックハッピー》の魔法が付与されております。ご納得いただける場合のみ装備をお願いいたします』

 

 『こちらの装備にはシャント様に相応しい《創造神の豪槍》の魔法が付与されております。ご納得いただける場合のみ装備をお願いいたします』

 

 なんだこれは。箱を漁った全員の反応がそれだった。誰にも明かしていないフルネームを記されていることに恐怖して、入っていた下着の布面積の低さと派手な柄に顔を赤らめる。何よりも理解しがたいのは付与されている魔法の名称だ。


「おれの良く分かんない」

「うぅ、この《創造神の豪槍》しかないのは何故なんでしょう。みなさんはいっぱいあるのに」

「何やら優秀そうな魔法も含まれているな。《魔力高速回復》はそのまま受け取るならば魔法使い垂涎ものの魔法ではないか?」

「私のものも悪い魔法には思えん。防御や回復の性能が上がるのだろうか」

「おれのもわかんねーけど、《欠損部位即時回復》は絶対強いだろ!他もなんか強そうだしな!」


 手に取っているのは下品な下着なのだが、書いてある魔法名を確認するとシャントたちは嬉しそうに尻尾を揺らした。冒険者とは強力そうな装備が手に入ればとりあえず喜んでしまう単純な生き物だからだ。

 ロットが魔法を調べてみたが、分かるのは記載されている魔法や呪いは無いというところまで。魔法の詳細までは判別できなかった。

 

 一通り装備を調べた後、下着をはいて椅子に座ってみることが決まった。他に進めるルートも無いし、エロトラップダンジョンである以上命の危険までは無いからだ。

 

 何よりも、ちんぽをようやく隠せる程度の下着を見ていると欲求不満のマンコがびくびくと蠢いて仕方が無かった。これをはいた自分が雄に組み伏せられて、犯される姿がどうしたって脳裏に浮かぶ。誰も口には出さないが、ちんぽを長らく咥えこんでいないマンコは魔法の力無しでも暴走しかけていた。

 

「……これでちゃんとはいたことになんのか?微妙に小さくねえか、これ」


 アルはいつもの快活さに羞恥心を含ませて下着を引っ張った。アルの下着はいわゆるビキニパンツで、茶褐色の毛皮とは対照的な真っ白なものだった。動きやすく軽いため、下半身の装備をビキニだけにした戦士ならば珍しくもない。しかしアルのビキニパンツは明らかにサイズが小さかった。尻尾の下まで通したビキニは布地をわずかに見せるだけで、ほとんどの部分が膨らんだ大殿筋の谷間に隠れてしまっている。後ろから眺めれば下着をはいているとはぱっと見思えない。尻尾の下の三角と腰に巻き付く布地が辛うじて下着をはいていることを証明していた。無論、正面の有様も酷いものだ。巨根といえる獅子ちんぽに貼り付いた布袋は亀頭の形や金玉の膨らみまでもくっきりとさせていて、アルの肉体をいやらしく誇張していた。

 

「お前のも大概だな。これを用意したやつは品性というものがない」

「確かな魔力を感じるが……この布地の少なさにどうやって魔力を織り込んでおるんだ、これは」

「これ、なんの意味ある?網の下着、意味不明」


 他の面々の下着も酷いものだった。

 ヴァルギットはアルと同じデザインの白いビキニだが、胸を包むためのトップスが付属されていた。当然ながらサイズは上下とも合っておらず、ヴァルギットはでかい尻と大胸筋の大部分をはみ出させるはめになる。普段のヴァルギットならば大胸筋を露出させることなど恥ずかしいとは思わない。しかし下着をつけていると何故かはみ出している部分が気になって腕で両胸を隠してしまう。

 

 ロットの下着――とも呼べないものは一言で言うなら極薄の前掛けだった。腰に糸を通し、スリットの前に布を垂らすだけのもの。しかも薄紫に星の光を散らしたような派手な布は恐ろしく透明度が高い。スリットの縦筋が布越しに分かってしまうような透明度だった。尻にも同じように薄布を垂らしているが、太ももの付け根にぎりぎり届かない程度の長さで何を隠すためにあるのか分からなかった。そよ風がふくだけでもロットの恥部は丸わかりになってしまうだろう。

 

 ドリッズの下着はちんぽを隠す程度の前袋と網を組みあわせたものだ。赤や紫や緑、ハイエナの地味な毛色とは違う彩り鮮やかな紐に両脚を通す下着。タイツのちんぽを覆う部分以外を全て紐にしたものを想像すれば分かりやすいだろう。紐の数は少なく、組み方も大雑把なためにドリッズの下半身はほとんどが露出している。例にもれずサイズが小さいのか、紐がロットの豊満な尻肉やふくらはぎへと食い込んでいた。

 

「お前らのも酷いなー。シャントのはまともじゃね、それ?」

「そうですね……ビキニだけどサイズは普通ですし」


 シャントのものだけはまともな下着だった。きついサイズではないビキニで、尻肉はしっかりと隠れ股間を強調することもない。もっともシャントは総排泄孔で膨らみを作るようなちんぽは無いが。

 自分だけまともな下着を与えられていることは喜ばしいが、少しだけ不安だった。何か、恐ろしい罠が仕組まれているのではないか。

 

「気にしてもしゃーねえだろ。どうせこいつを装備するしかねえし、この罠付きの椅子に座るしかねえんだ」


 不愉快そうに指さした先には5つの椅子があった。埃一つない革張りの椅子には、罠と魔法が仕込まれていることが分かっている。それを理解していても自分たちの身体を預けなければいけないのだ。

 

「おれらなら大丈夫だ、だろ?」

 

 不安、屈辱、恐怖。それらを抱えながらもシャントたちは頷き合う。一人だけ座っても何も起こらないことは確認済。誰も助けてくれなくなることが分かっても、全員で座るしかない。おそらくは、拘束された後に転送の魔法が起動する。全員が離れ離れになってしまうのだ。

 

「ここで帰るわけにはいかない。そうだろう?」


 ヴァルギットの言葉にも誰も答えない。口に出さなくたってみんな分かっている。シャントだって同じだ。危険を恐れず、仲間を信じるのが冒険者。

 

「また、後で会いましょうねっ!」


 少しだけ震えた約束の言葉。全員は頷き合って革張りの椅子へと身体を預ける。少しだけひんやりとしているが座り心地は良く、冒険者の身分には縁がない高級品に思えた。

 

 しかし、これから起こることは全員が分かっている。全員が椅子のひじ掛けに両手を預けると、それは起こった――無機質な金属の輪が飛び出して両腕を拘束したのだ。

 

「わ、わわっ!やっぱりっ!」

「落ち着け、この後は転送の呪文が発動するだろうから、暴れると危な、い……?」


 その異変に気付いたのはロットだけだった。確かに魔術が発動する気配は感じる。空間が歪曲し、遠方と此処を繋げる魔術。だが、自分たちを飛ばす気配は無い。逆に何かがこちらへ向かって転移してくるような魔力の動きを感じていた。ロットが調べた術式とは明らかに違う効果が発動している。


「いかん!これは儂らを転移させるためのものではない!」

「ああっ!?おれらをダンジョンの奥に飛ばす仕掛けじゃねえのかよ!だって他に入口もなんも」

「仕込まれていた術式が偽装されていたのだ!いかんぞ、このダンジョンは儂らが考えていたよりも悪辣――」


 その警告はあまりにも遅すぎた。

 空間がひび割れて『それ』が現れたのだ。おぞましき怪物ならば命の危険を覚えただろうが、パーティが感じたのは未知の存在に対する恐怖だった。

 

「なんだこれ、ワーム?」


 ひび割れた空間から現れたのは例えるなら巨大な白いヒルだった。継ぎ目が無い長く太い胴体に、先端にはぽっかりと黒い口が空いている。おぞましいのは、その口から何本もの白い触手が飛び出していることだ。

 マンコが淫乱と化した冒険者たちは本能でこのおぞましい魔物が何をするかを理解して、マンコを疼かせた。どれだけ高潔に、理性的であろうとしても彼らは雄膣の疼きには抗えない。

 

「お、落ち着け!ここはエロトラップダンジョンだ!殺されることはないはずだ!快感に負けるな、しっかり意識を保て!」


 故に、仲間たちに警告を発して怪物を毅然と睨みつけたヴァルギットの精神は称賛に値するものだ。マンコは既に愛液で潤み、ビキニに押し込まれたちんぽは硬さを増しつつあるが、見上げた忍耐力だ。アルなどは、怪物の匂いを嗅いだ時からちんぽをぎんぎんにしているのだから。

 

「あ゛、あっ!やべえ、これ……っ!みんな、こいつの臭いを嗅ぐな、身体が、ちんぽがっ❤」


 ヒルのような怪物が口から発するのは例えるなら花の蜜を煮詰めたような蠱惑的なもの。冒険者にはお馴染の相手を魅了する香り。しかし、こんな如実に効果を発揮するものはアルは知らない。大抵の魔物相手ならばこんな簡単に発情することはない。まるで、自分を堕落させるためにあるような香りは簡単に脳にしみ込んでいく。身体が熱くなり、ちんぽが破裂しそうなほど勃起している。ビキニが食い込んでいる尻の谷間が愛液でぬるついている。

 

「……」


 ヒルは息を荒げている獅子の戦士へと物言わずにじり寄り、巨大な口を近づける。それはアルの娼婦じみた恰好を除けば怪物に食われて終わる戦士の物語の結末に見える。

 

「くっ!おのれっ、アルに手を出すでない!このような手枷など、くううっ」


 無論、仲間たちはアルが食われるその時をただ傍観しているわけではない。魔術をどうにか発動させようとあがき、関節を外し手枷から逃れようとする。しかし、それも長くは続かなかった。

 

「おのれこの手枷、魔術を妨害しよる――う゛っ❤」

「まずい、この魔物一体じゃな、い゛ぃつ❤❤」

「い、いかんっ❤こいつら何体もいるのか、ああっ❤」


 ずるり、と音を立てて空間のひび割れから追加のヒルが現れたのだ。3体の怪物はそれぞれ口から異なる香りを吐き出すとロット、ドリッズ、ヴァルギットへと噴射する。それは獅子の身体を発情させたものと同じく身体の隅々へと即座に浸透して、マンコを呪われた身体に巣食った雌性を目覚めさせる。どれだけ精神で抑え込もうとしても関係ない。神経を巡り、脳の一部を狂わせる香りは肉体に自分がちんぽ狂いの売女なのだと教え込む。

 

「み、みなさんっ!しっかりしてくださいっ!」


 唯一発情していないシャントは必死に仲間たちを呼ぶ。目の前で仲間たちに怪物が群がる中、自分だけが手を出されないのが恐ろしかった。自分だけが食われる方がはるかにマシだ。大事な仲間たちが、怪物たちに凌辱されようとしているのを見るしかできない。何か、自分にできることはないのか。必死に頭を巡らせるが、それを無意味だと嘲笑うように大量の液体を吐き出す音がした。

 

「ん゛ぉおおおぉぉ~~~~っ❤❤❤」


 水音の後にアルの間の抜けた嬌声が響いた。シャントが目をやるとそこには立派なたてがみや盛り上がった筋肉にまで粘液まみれにされた獅子の姿があった。怪物の口から放たれた大量の粘液は無色透明で、アルの毛皮を濡らし筋肉へとへばりつかせていた。加えて白いビキニを透けさせて、ぱんぱんに膨らんだ亀頭の赤黒さまでも暴き立てている。

 

「お゛っ❤なんだ、ごれっ❤❤おうっ❤おおおぅっ❤❤」


 粘液をかけられたアルの姿は明らかに異常だった。発情、という段階を超えて半ば白目をむいた状態で口を「お」の字にしている。腰をへこへこと動かして、尻を犯して欲しいとねだる雌犬の姿を晒していた。

 あまりにも無様な姿。マンコの呪いがある以上アルは男に抱かれることも魔物に犯されることもあるが、あんな痴態をシャントは見たことがなかった。まるで、知性というものを喪失してしまったかのような間抜けな面。

 

「あひっ❤これやばっ❤いく、勝手にマンコいくっ❤❤お゛うっ❤ヌルヌルしゅっげ❤逃げ、お前ら逃げでっ❤❤」

「アルさんっ!アルさん駄目です!しっかりしてぇ!」


 シャントの悲痛な叫びは聞こえていないだろう。アルの目が捉えているのは黒い口から伸びてくる無数の触手。本体と同じく真っ白なそれは全てがおぞましく醜悪な形状だった。先端が膨らみイボがついたもの。ブラシ状の毛が生えたもの。鉤爪上のもの。鋭い針は生えたもの。ちんぽの形をしたもの。それがどのような働きをするのか、想像するだけで身の毛がよだつ。

 

 しかし、それ以上に恐ろしいのはあの勇ましい獅子が恍惚とした顔で触手を見つめていることだった。敵愾心も勇気も無く、ただ愛おしい恋人へ注ぐ視線を向けていた。

 

「アル、さ……」

「へ、へへ❤ふへぇ……❤❤」


 呆けた顔で涎を垂らす獅子へと、ヒルはまたも大量の粘液をぶちまけた。夕日の色をしたたてがみが濡れて勇ましさを失い、雌が見惚れる豪傑の筋肉が汚らしい汁で汚される。そして、外見以上にアルの中身が汚染されたようだった。顔からは完全に知性が失われ、腰が断続的に跳ねている。シャントにも分かってしまう。いつも男らしい仲間の戦士は、粘液をぶちまけられて絶頂しているのだ。

 

 そして、この工程はただの下準備でしかなかったのだとすぐにシャントは理解する。無数の触手は獅子の全身へと伸びて、ありとあらゆる場所へと絡みついた。ぬるついた粘液を纏わせた肉質の蔓が、雄くさい筋肉を征服せんと這いまわる。

 

「んぉお゛ぉおおおおおっ❤❤❤すっげ、ああぁっ❤これすっげええぇえぇ❤❤」


 触手は情け容赦なかった。悲鳴を上げさせるための口以外――全ての孔へと潜り込んでアルの肉体と精神を凌辱していった。耳の孔でクチュクチュと音を立てて。乳首を花のように開いた触手で咥えこんで吸い上げる。へそも例外ではなく腹筋を粘液まみれにするついでに穿られる。

 当然、冒険者の最大の弱点を見逃されるはずもない。発達した太ももに巻き付いていた触手は股を割くようにして両脚を広げた。次いで醜悪なイボを無数に付けた触手が白いビキニへと潜り込んだ。触手が何をしようとしているか、シャントもアルも考えずともわかる。

 

「お゛ひっ❤これ太ぉ❤❤あおぅうおぉ❤ぶっといぃ❤マンコにはめられたらのーみそとんじゃう❤❤やめっ❤やめろぉ❤❤」


 尻に谷間で感じる太く凶悪な肉にアルは媚びるような声で懇願した。自分の身体はマンコだけでなく全身を狂わされており、こんな身体をデカくて逞しい触手で貫かれたらどうなるか分からなかった。魔物に犯された経験は何度もあるが、こんなにマンコが熱を持っていたことはない。どれほど心地よくなれるのかと、口角が吊り上がるのを止められない。

 

 そして、触手は感慨無い動きで尻穴を貫いた。獅子の興奮も逡巡も、なんの価値も無いと一息に。

 

 

「お゛ほおぉおお゛お゛おぉおおぉおぉ❤❤❤❤オマンコきたああぁああぁ❤❤❤」


 性器として仕上がっているマンコは慣らされずともなんの抵抗もなく触手を吞み込んでいく。マンコが触手に貫かれていくと勝手にアルの筋肉が痙攣する。イボが腸壁を抉るたびにちんぽがビキニの中で暴れまわる。

 

「う゛ぅうぉおおぉおおっ❤❤❤」


 直腸の奥、雄の子宮たる結腸を叩かれた後にすぐさまイボで腸壁を掻きむしりながら引き抜かれていく。その動作だけで獅子の皮かむりちんぽからはザーメンを噴きだすが、触手は構うことなくまたマンコを掘り進める。

 一突きごとにたてがみの生えた頭は殴りつけられたように跳ねた。

 肛門がブボォと汚らしい音を立てるたびにアルは鼻水を垂れ流して歓喜した。

 

「お゛ぉお゛う゛おっ❤❤❤マンコっ❤は、はひぃい゛ぃ❤❤マンコぎもぢぃいいぃ❤❤❤今までの、どのちんぽよりもお゛ぉおおっ❤❤」


 このイボつき触手でマンコをこそがれるのに比べればゴブリンやオークのちんぽなんてくそだ。男娼を高い金を払って買っていたことを後悔した。肛門をみちみちに拡げるぶっとい触手を突き入れられ、結腸をごんごん叩かれて、イボで前立腺を擦られるこの快楽に敵うものはない。触手は耳も乳首もちんぽもいじっているはずなのだが、暴力的なマンコからの快楽で脳がアクメ以外の機能を喪失していた。肛門をイボでめくり上げられるとちんぽから精液が飛んでビキニの中をぬるつかせた。この時間がずっと続いて欲しい。心からそう思っていた。

 

「アルさんっ!ぼくの声を聞いてくださいっ!あぁ、嫌だ、こんなの……」


 目の前で仲間が触手に包まれ汚い声で喘ぐ姿にシャントはガチョウが絞め殺されるような声で鳴いた。ついさっきまで仲間たちを導いていたリーダーが触手によって絶頂するだけの肉袋にされているのだ。

 

 ただ泣き叫ぶだけの自分では駄目だ。誰か、誰か助けてくれとシャントはいつの間にか静かになっていた他の仲間たちを見やる。もしかしたら、この椅子から解放されているのかもしれないと。しかし――

 

「あ、あああぁ……」


 目の前の光景を見て激しい吐き気が喉もとにこみ上げた。

 仲間たち、高潔な騎士も老練の魔術師も寡黙な狩人もそこにはいなかった。

 

「……っ❤❤――――❤❤❤ッ❤❤~~❤」


 シャントが目にしたのは、ヒルの怪物に身体をすっぽりと飲み込まれた仲間たち。あの忌まわしい粘液を吐き、触手を生やした口に胸まで捕食され、身体をガクガクと震わせていた。時おり聞こえるのは、ヒルが何かを啜り、しゃぶりつくような水音。

 

「~~~~~~~~っ❤❤❤」

 

 声は何も聞こえない。どんな顔をしているかも分からない。けれど、何が起こっているかシャントには理解できてしまうのだ。だって、ヒルの怪物が胴体を収斂させると仲間たちのちんぽからはびゅるびゅると精液が噴きだすのだ。銀老の立派な雄槍からも、老竜のスリットからも、ハイエナの小ぶりなちんぽからも。ヒルが粘液のねばりつく音をぐちゅぐちゅたてるだけで仲間たちは精液を漏らしていた。

 

「そんな、こんなの、嘘だ……」


 この現実を受け入れたくなくて、シャントは何度も否定の言葉を吐いた。彼は言葉には力があると信じている詩人だが、今は幾千の言葉を口にしたところで無意味だろう。シャント自身、この状況を変えることはできないと理解しているからだ。

 

 そんな彼の前にも一匹のヒルが現れる。仲間たちにしたような身体を狂わせる香りは放たず、粘液塗れの触手もぶら下げていない。ただ、黒く暗い口を開いてシャントへ喰らいつこうとしていた。

 

「アルさんっ!ヴァルさん……」


 隣で精液を噴き上げ、喘いでいる仲間たちの名を呼んでシャントは目から涙を流す。自分が情けない顔をすればすぐに笑いかけてくれた仲間は、もう自分の顔すら見えていない。

 

「ロットさん、ドリッズさん、助け、助けて……」


 その声は誰にも届くことはなく。

 ヒルはその涙と一緒にシャントを暗闇を宿す口への飲み込んでいった。

 

***


アルフレッド

獅子獣人

戦士


HP:212

MP:0


筋力☆☆☆☆☆

耐久力☆☆☆☆☆

敏捷力☆☆☆☆

判断力☆☆

知力☆

魅力☆☆


《盾使い》《片手武器の達人》《機動戦闘》《筋力強化》《振り下ろす一撃》

《双子の女神》《欠損部位即時回復》《痛覚変換:特殊》《豊穣神の祝福》new!


今日の絶頂回数:8

経験人数(人間以外も含む):34人

性欲:☆☆☆

性的弱点:マンコ(アナル)

バッドステータス:《レベル=マンコの感度の呪い》《性欲増幅》


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ヴァルギッド

狼獣人

騎士


HP:162

MP:32


筋力☆☆☆☆☆

耐久力☆☆☆☆

敏捷力☆☆

判断力☆☆☆

知力☆☆

魅力☆☆☆☆


《魅了耐性》《大剣の達人》《機動戦闘》《神聖属性付与》《対邪悪》《信仰の奇跡》《回復術強化》

《聖母の胸鎧》《聖母の恵み》《双子の聖母》new!


今日の絶頂回数:4

経験人数(人間以外も含む):3人

性欲:☆

性的弱点:マンコ(アナル)

バッドステータス:《レベル=マンコの感度の呪い》《性欲増幅》

-----------------------------------------------------------


ドリッズ

ハイエナ獣人

狩人、盗賊


HP:132

MP:24


筋力☆☆

耐久力☆☆

敏捷力☆☆☆☆☆

判断力☆☆☆☆

知力☆☆☆

魅力☆☆


《潜入術》《弓術の達人》《長距離狙撃》《短剣の達人》《鍵開け》《罠感知》《暗殺術》《高速機動》《特殊矢弾》

《受信体質》《意識喪失時自動危険回避》《聴覚強化:特殊》new!


今日の絶頂回数:5

経験人数(人間以外も含む):9人

性欲:☆

性的弱点:マンコ(アナル)

バッドステータス:《レベル=マンコの感度の呪い》《性欲増幅》

-----------------------------------------------------------


ロット

竜人

魔術師


HP:101

MP:216


筋力☆☆

耐久力☆☆☆

敏捷力☆

判断力☆☆☆

知力☆☆☆☆☆

魅力☆


《魔術》《杖術の達人》《知識外部領域保存》《魔術準備枠拡張》《味方強化術同時付与》《魔術属性変更》《魔術影響範囲制御》

《魔力高速回復》《魔力物質化》《余剰マナリーク》《マジックハッピー》new!


今日の絶頂回数:6

経験人数(人間以外も含む):65人

性欲:☆☆

性的弱点:マンコ(アナル)マンコ(スリット)

バッドステータス:《レベル=マンコの感度の呪い》《性欲増幅》

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シャント

鳥人

吟遊詩人


HP:112

MP:98


筋力☆

耐久力☆☆

敏捷力☆☆☆☆

判断力☆

知力☆☆

魅力☆☆☆☆☆


《呪歌》《楽器の達人》《詩の魔術》《回復術強化》《交渉術》《魅惑の言葉》《癒しの歌声》

《創造神の豪槍》new!


今日の絶頂回数:0

経験人数(人間以外も含む):88人

性欲:☆

性的弱点:マンコ(総排泄孔)

バッドステータス:《レベル=マンコの感度の呪い》

***


――喪失と創造の回廊――


「何してんだ、おれは……」


 生暖かい白い床。そのうえでアルは目を覚ました。手で触ってみると石材のような硬さなのに、寝そべっていた身体は特に痛みを感じないのが不思議だった。腹具合からして気を失ってから数時間は経過していたはずだが、倦怠感や筋肉の痛みも感じない。幻覚でも見せられていたのか、と一瞬考えたが尻肉の疼きとビキニのぬるつきがそれを否定した。

 

 おぞましい触手で尻穴をめちゃくちゃに抉られて、情けなく絶頂した自分。何度も吐き出した精液はいまだ乾かずに下着の中をぬるぬるにしていた。あの快感を思い出すと尻肉がわななく。結腸を叩かれる悦びで、これが幸福であると本気で思い込んでいた。

 

「くそ……!あいつらは無事なのか、すぐにここから抜け出さねえと」

 

 いつまでも落ち込んでいる場合ではない。魔物に犯されたのも初めてではない。このまま失敗に捉われていてはまた魔物に犯されるかもしれない。仲間たちが同じ目に合うかもしれない。大事なのはすぐに仲間に合流することだ。


「でも、ここはどこなんだ?ダンジョンの奥なのは間違いないんだけど」


 壁や床の材質からしてさきほどのダンジョンにいるのは間違いない。狭い部屋状の空間にいるアルの前には一本道が続いており、他にはドアや窓などもない。進め、と命じられているようだ。

 ならば自分のやることは一つだと、アルは大股で歩き出す。やるしかないなら、迷っていても時間の無駄だ。真っ先に突っ込んで仲間の代わりに傷つくのが自分の仕事だと、アルは理解していた。

 

「うっし!来るならきやがれ、次は負けねえからな!剣が無くたって素手で殴り飛ばしてやらあ!」


 吠えて、アルは拳を何度も打ち鳴らした。素手での戦闘は得手ではないが、ゴブリンやオーク程度なら殴り殺せる自信があった。それに、武器が無いからと怯えていては敵を調子づかせるだけだ。不利な時こそふてぶてしく笑って胸を張るのが若い獅子の信条だ。

 どうせ罠があっても気づく技術が無いからと、アルは迷いなくのっしのっしと歩を進める。自分を殺すつもりなら気を失っている間に殺せばいいのだから、命の心配は無いと確信していた。

 

「身体は、なんともねえよな……?」


 ヒルに粘液を浴びせられた大胸筋や尻を撫でまわしてみたが、異常は無い。尻穴は意識するとひくつくが、それは触手で抉られた快感の残滓によるものだろう。どこも痛みはないどころか、好調だ。少し下腹部が温かい気がするが、まだ発情の熱が残っているのかもしれない。

 

 

 身体は絶好調。気温も適度。不安はない。が、不快感はある。それはビキニの中でねちゃねちゃとへばりつく精液だ。自分で射精したとはいえ、歩くたびにちんぽや内腿がぬるついた汁に絡みつかれるのは良い気分ではない。いっそのことこの恥ずかしい下着を脱いでしまおうか、と尻肉に食い込む布地へ指をかけたその時だ。

 

『警告。このダンジョンで装備を外すことは推奨されません』

「うおっ!?」


 突然、目の前に半透明の文字板のようなものが浮かぶ。それはアルも存在だけは知っている、ガイドというものだろう。一部のダンジョンでは冒険者たちに向かってこうした形でメッセージを送ることがあるのだ。それは冒険者への手助け、もしくは悪意のためだ。

 

『装備を外した場合、魔法の恩恵を受けることができなくなります。防御効果、環境適応効果、付与された特別な魔法も効果を発揮しなくなります』

「んー……良くわかんねえけど、外すと危ねえってことか?」

『肯定。迷宮は生命を奪わないよう設計されていますが、装備を外した場合はその保証ができません』


 そうまで言われてはアルも外す勇気が無い。さきほどは醜悪な怪物に尻穴を犯されたが、その気になればあのまま殺すことだってできたはずだ。相手が外さなければ生命の保証をする、と言っている以上従うべきだろう。

 

『加えて、装備をしている場合は付与された魔法の効果の詳細を適宜お伝えします』

「おっ!本当か!」

『《欠損部位即時回復》は肉体が貫かれたり切断された場合に回復します。回復時間は損傷程度によります。薄皮一枚貫かれた程度であれば10秒ほどです。腕一本消失した場合は一か月ほどかかります』

「へー、そりゃ強いじゃねえか!」


 損傷した肉体を回復するとなれば高位の神官でなければ不可能だ。真っ先に傷つく自分に相応しいとアルは尻尾を揺らした。さきほどは不意をつかれて強姦されたが、この迷宮はしっかりと恩恵を与えてくれるようだ。これならば自分たちの呪いを解く財宝もあるかもしれない。

 

『他の魔法効果を知りたい場合は奥へお進みください。第一試練は逆三角の橋です』


 ガイドが消えると、さきほどまで通路だった空間に巨大な奈落ができていた。向こう側までは一軒家を二つ並べたほどの距離があり、跳びこるのはアルの足腰でも不可能に思えた。

 

「うげ……何が生命を奪わない、だよ。あんなところに落ちたら死ぬのと変わらないだろ」


 奈落を覗き込んでみると、そこにいたのはアルをさきほど犯したのと同じヒルの怪物がひしめきあっていた。数十匹はいるであろう怪物は、尻穴を犯したのと同じ触手をひらめかせて獲物を待ち構えていた。あの触手でマンコを抉られた時を思うとまた愛液が潤んでくるが、アルはぐっとこらえてヒルから視線を外した。


「んで、こいつを使って渡れってこったな」


 ガイドの言っていた逆三角の橋、の意味はすぐに分かった。奈落の瀬戸際にたてられたポールからは縄が通されていたのだ。逆三角形の配置で3本の縄が配置されており、二本が手すり、一本が足場用だろう。足場の縄には滑り止めとして、無数の結び目ができている。念のため縄の強度を確かめたが問題無さそうだった。

 自分ならいける。縄瘤だらけの足場に乗った。肉球が刺激されるが、痛みは無い。手すりの縄を両手で握って身体を支えた。なかなか安定している。

 

「よーし、ドリッズみてえにはうまくいかねえけど……楽勝だぜこんなの!」


 アルはすぐにコツを掴んだ。手すりはあくまで手すり。支えとしては役立たないが、足場の縄をしっかり踏みしめていれば落ちることはない。大事なのは縄の結び目をしっかりと足指で挟むことだ。

 

「よ、ほっ!へへ、こりゃ楽勝だな。この程度のトラップなら失敗しようがねえぜ」


 ドリッズなら手すりにつかまらずにひょいひょいと飛び越えるだろうに、と思いつつもアルは難なく縄の橋を進んでいた。膨れ上がった太ももとでかい尻はそのまま体幹の強さを表している。これだけ安定した足場ならばアルが失敗する要素は無かった。

 

「ふう、はぁ……」


 不安なのは、綱渡りという性質上下半身に力をこめねばならないことだ。尻肉がぎゅっと引き絞られるせいで谷間がビキニをきつく食い締めてしまっている。

 触手でごりごりとされ赤く充血したマンコがビキニの布地でやすりがけされている。足を踏み外すほどではないが、足裏や引屈(ひざの裏)に汗が溜まっていく。緊迫と粘汗、そして危機感に晒されながらアルは縄を進む。万が一にも、足を踏み外すことがないように意識を集中させて。

 

 普段のアルならば、縄だけに意識を向けることなどなかっただろう。ビキニの食い込みによって余裕が無くなり、縄から落ちないことだけを考えてしまった。

 

 足元にはあのおぞましいヒルの群れがいることを一瞬意識から排除した。

 自分にぶちまけられたあの粘液のことを忘れてしまった。

 

「え?」


 足元に吐き掛けられた粘液に気づいた時には、既に手遅れだった左足が宙を踏み、前のめりに滑落していた。踏ん張ろうとしていた右足までも後を追った。

 

 ――落ちる!

 

 足元で口を開くヒルどもを見て、アルはどうにか縄を太ももで挟み込もうとする。見事な反射神経だ。寸前で怪物で埋め尽くされた奈落へ落ちるのを回避して、両脚で縄をしっかりと捉えた。粘液塗れの縄を内ももが滑り、そのまま会陰で縄の上に座り込んだ――否、座りこまされた。

 

 そして、得たのは滑落せずにすんだという安堵ではなく、アルという雄の終わり。

 

「……あ゛っ?」


 縄目がめりこんでいた。

 ぬめらかな縄が、アルの体内へと。

 ビキニに覆われているそこへと、食い込んできた。何もあるはずがないそこへと、食い込んできた。深々と食い込んできた。自分の知らない肉へと食い込んできた。

 

「ぁ、あ゛――」


 尻肉がきゅっとすぼまる。腿から脛にかけて筋肉の輪郭が浮き上がっていた。膝小僧が身を捩り、つま先がけたたましくわなないた。

 

「あ、おぉお゛ぉおぉ」


 腰が揺れるというより崩れた。割れた腹筋がけたたましく笑った。ちんぽが振りたくられていた。肩が揺れ、頤が浮き、歯茎が痺れた。眉間から『そこ』へ向かって稲妻に似た熱さが走り抜ける。

 

「お゛っほォお゛ぉおぉおおぉおぉおぉぉぉ❤❤❤❤」


 快楽が爆発した。腹の中で醗酵し、震える胸を酔わせ、涎まみれの喉から噴き上げられた。上あごがあがり、上下の唇が引き裂かれそうになる。

 

 アルを鳴かせるのは未経験の快楽。肛門を抉られるのよりも鮮烈で未経験の快楽が会陰――そこに生まれた肉の門から生じていた。アルは男のままに、女性器をその身に生やしていたのだ。

 

「な゛に゛っ❤❤なにがぁ❤❤❤おれ、おれの股に゛ぃいぃ❤いぎっ❤擦れっ❤❤やびゃぃいい゛ぃぃ❤ひぎぃいぃ❤❤あがあぁあ❤」


 身体を悶えさせると縄目がまたも女性器へと食い込んだ。わずかに擦れるだけで生まれる激悦はアナルで感じるそれとはまるで種類が違うもの。ちんぽから休みなく汁が飛んでいる。つま先からたてがみまでビクビク揺らしながら、身体の引き攣りを抑え込む。既にビキニの中はアナルが漏れ出る汁とは別の愛液で濡れていた。小便のような量のそれが太ももへと川を幾本も作っている。

 

『魔法効果をお知らせします。《双子の女神》についての解説を行います』

「あぎぃ❤こんな、時に゛ぃいぃ❤❤❤」


 縄目がマンコに食い込んで逃げるも進むも地獄の中、またもガイドが現れる。アルからすればそんなもの気にしている余裕は無く、無視して奈落に落ちまいとあがいていた。だが、ガイドに表示された文字はアルを奈落よりも最悪の絶望へと堕とす。

 

『《双子の女神》は会陰部に女性器を付与する魔法です。一度マンコができれば装備を外しても魔法は永遠に解除されません。

感度は尻穴の感度に比例しますが、最低限の感度でも指を突っ込まれただけで潮を噴きます。

処女膜、クリトリス、潮噴き機能など本物の女性器と遜色ない性能をしていますが、子を孕む機能だけありません。代わりに、雄、魔物に対して種付けを誘う淫臭を常時放つようになります』

「な゛、あ゛ッ❤❤❤」


 自分に女性器が増えたという最悪の情報だが、それ以上に最低最悪な効果が記されていた。雄、魔物に対して種付けを誘うだと?この状況で。

 反射的に奈落を見下ろした。そこにいるのは触手を振り乱し、粘液を吐き掛けようと飛ばしてくるヒルの群れ。あんなものにこの敏感な女性器を犯されたら――


「逃げッ❤逃げねえど、お゛お゛ぉおおぉ❤❤❤」


 どうにか腰を持ち上げようとして、また縄にマンコを抉られてしまった。どうにか縄瘤からは解放されたが、縄がマンコを擦るだけでも悶絶する。手すりの縄は身体を持ち上げようとしてもたわむだけ。一度へたり込んでしまえば二度と立てないように仕組まれていたのだ。

 そこでアルも理解する。この縄の橋はトラップだったのだ。マンコを付けた雄を破滅させるための悪魔的なトラップ。この縄の結び目も、進むための手助けではなくマンコに食い込むための淫具。

 

「どうじ、どうした゛らぁ……❤❤」


 何があっても迷わず進むのが信条だった獅子の身体が縄の上で止まる。進むも逃げるもできず、ここで待っていてもあるのは破滅だけ。絶望と恐怖でガチガチと牙を打ち鳴らして涙を垂らす。視界が曇り、ぶれ始める。

 

 だが、トラップは無慈悲にも獅子を追い詰めんと動き出す。

 足場の縄が動き始めたのである。無数の結び目たちが、できたばかりの初々しいマンコめがけて、芋虫が茎を昇るのに似た速さで更新してくる。

 

「や、やだっっ❤❤やめ、来るな、あ゛っひぃいいぃぃぃ❤❤❤」


 縄瘤を待つまでもなかった。縄のざらつきはビキニの布越しに雌溝を擦り立て、愛液をぐじゅりと搾りださせた。雌の性器での絶頂の証が小さな稲妻となって、マンコから肛門、そして背中を通過していく。

 

「んお゛ぅうぅ❤❤あひぃいぃ❤」


 膝が伸び、踵が跳ね、股筋がこわばり、つま先が痙攣する。ビキニにしか守られていないマンコに縄瘤がかみつき、初々しいマンコ襞を引き込みつつわりしだいていく。

 縄が無慈悲に擦過音を奏でていく。琴糸をシャントが手入れしている時の音を思い出した。結び目でマンコから溢れる蜜を掻き取られる音が鳴るとアルのたてがみが振り乱された。奥歯がすり減っていくような切なさはケツマンコを犯される暴力的な快楽とは質が違う。

 

「ひい゛っ❤❤あぉおおぉ❤ごれ、マンコむりぃ❤❤イっぢまう゛っ❤ずっと、おでぇ❤やだ、もうマンコこないでええぇぇ❤❤❤」


 アルが泣き叫んだのと結び目にキスをされたのはほとんど同時だった。オークの分厚い舌が食らいついてくるかのように、結び目がビキニ越しに股肉を掻き分け、クリトリスを押し潰してきた。

 

「――ぃ、ぎぃい゛ぃいっ❤❤❤」


 亀頭の敏感さを数百倍にされたような、快感の極致。人肌が感じうる細やかさの限界をあっさり突破していた、ビキニのへこんでいくさまが、布越しに潰されていく圧迫感が、潰されたクリトリスに血の流れこんでいく手ごたえが下半身を満たしてくる。

 握り締めた手すりが嘲笑って軋んだ。涎塗れの舌が飛び出し、涙に沈んでいた瞳が勢い良く跳ね上がった。

 

「か、ひゅっ❤❤」


 クリトリスが押し潰され、無理やりに折り曲げられる。ますますうっ血していく根本、ますます硬くなる尖端。縄瘤を食い止めようとクリトリスが無駄な抵抗をするようにのけぞるって――すぐに推し負ける。

 瘤が肉芽の腹をこそぎながらマンコへとまたも潜り込んできた。襞の合わせ目をこそぎ、ぱっくり開いた穴へと収まる。まわりの花弁やマンコ肉の土手まで巻き込んで、ビキニごと雌肉を抉られた。

 

「あ゛あ゛ぁあああっ❤❤❤いぐっ❤いぐぅううぅっ❤❤❤」


 そして瘤が穴から抜けていく。栓が抜けたような空白感と一緒に、マンコを縄が引き伸ばしていく。アルは縄が一つ通過するだけでも数えきれないほど絶頂し、下半身に雌の汁を滴らせていた。太ももから垂れる汁が、ヒルどもの上へと雨となって降り注いだ。

 

「ふ、ぎいぃ❤❤だめだ、このままじゃ、うぉおぉ❤進ま、ね゛ぇどぉぉ❤」


 縄に食い込まれ、縄目に犯される。決して途切れることのない痛痒と絶頂。このまま続けば手すりを放して奈落へと落ちることは自明だった。

 だからアルはマンコを擦り付けながらこの地獄から抜け出そうとあがく。お漏らしのように愛液を垂らして、縄目が擦過するたびに身体をガクガクと痙攣させる無様な姿になりながらも。

 

「お゛ぉおおっ❤❤ほぉおぉ❤❤❤」


 股を縄に擦り付ける、手すりを手繰り、己から結び目に向かって腰をぶつける。深く肉溝に食い込むんで、激しくクリトリスと衝突する。自ら繰りだす腰の跳ね上げと結び目に抉られることで生じる尻に浮き沈み。滑稽でありながら生々しいオナニーショーが縄の橋を上下を揺らしている。

 垂れ下がった足が戦場での旗よろしく振られていた。足指から奈落のヒルどもに向かって粘液の銀糸が垂れ下がっていた。

 

「あ゛ーっ❤❤またオマンコいぐぅううぅぅっ❤」


 頭を振り回して悶えるせいで、首の付け根が軋んでいた。鎖骨が痛み、背骨が折れるのではないかと思うほどに身体がのけ反る。少しでも気を抜けば股を縄に擦り付けてオナニーに溺れてしまう。もはやマンコはイっていない時がないほどに汁を噴き上げ続けていた。

 

 それでも、アルはヒルを相手にしたオナニーショーをまだまだ続けなければならない。アルが縄で絶頂させられること数百回。しかし、縄の橋はまだ3分の1ほども進んでいないのだから――

 

***


アルフレッド

獅子獣人

戦士


HP:162

MP:0


筋力☆☆☆☆☆

耐久力☆☆☆☆☆

敏捷力☆☆☆☆

判断力☆☆

知力☆

魅力☆☆


《盾使い》《片手武器の達人》《機動戦闘》《筋力強化》《振り下ろす一撃》

《双子の女神》《欠損部位即時回復》《痛覚変換:特殊》《豊穣神の祝福》


今日の絶頂回数:8

経験人数(人間以外も含む):34人

性欲:☆☆☆

性的弱点:マンコ(アナル)ふたなりマンコ

バッドステータス:《レベル=マンコの感度の呪い》《性欲増幅》《ふたなりマンコ:永続》《オナニー中毒》《クリトリス充血》《潮噴き体質》《種付けフェロモン》new!


***


 気づいた時には対岸の床に倒れ込んでいた。

 

「ひっ❤はひゅっ❤❤」


 太ももと股間にねばついた汁が糸を引いていた。橋を渡るまでに何時間かかったのかアルにも分からない。ただ確かなのは。両脚の毛皮が濡れそぼるまでにふたなりマンコから汁をまき散らしたこと。足の指先が痺れるまで絶頂し続けたこと。そして、縄に自分からマンコを擦り付けてオナニーにふけった記憶。

 内ももを擦り合わせていると縄の感触が蘇る。布越しにクリトリスを縄に擦り付けていると、痛みと一緒に鋭い快感が走るのだ。潮を噴き上げるのはちんぽやケツマンコでイくのはまるで違う絶頂だった。

 

「い、いや。だめだ、こんなところで寝てる場合じゃねえ……!」


 アルは自分を叱咤すると、震える足で立ち上がる。まだ心は死んでいない。先があるのであれば進むしかない。このダンジョンは想像以上に狡猾だ。仲間たちがどうなるかわからない。自分が脱出して、助けに行かなければ。

 床に手をついて歩くが、太い足腰が情けなく笑っていた。内ももがこすれ合うと甘いメスイキをしてしまう。ちんぽもぎんぎんになっているが、ビキニが食い込むアナルとふたなりマンコの前ではちんぽなんて何の価値も無かった。

 

「はぁ、はぁーー……❤❤」


 下腹部が熱を持っていた。きゅんきゅんと疼いて、他人の熱と混ざり合いたいと欲している。目が覚めた時に感じた熱は子宮が発していたものだったのだ。

 またマンコが潤んでいる。あれだけイったのに静まっていないマンコが快楽の続きを欲している。駄目だ、いけないと願いながらもアルの手はビキニへ伸びていた。

 

「違う、駄目だ。ちくしょう……!」


 何度も手のひらが開いては閉じた後に、ついにごつい指先がビキニへと潜り込んだ。入ってしまえば後は一瞬だった。鉤爪が金玉の先へと潜り込んで、縄オナニーで充血した割れ目をなぞり始める。

 

「おぅ、ぅぅうぅ❤」


 雌の峡谷は既に湿潤としていたが、肉球で撫でているとまたもぬるつきを増してきた。アルは歩みを止めて荒い吐息を繰り返す。マンコが熱い。熱くて、痒くて、甘い。まだ男も知らないマンコが、爛れた淫売のそれとなって雄を求めさせる。

 指先が粘膜を撫でて、腰が跳ねた。顎が持ち上がる。つま先が地を引っ掻いて、舌先が踊った。新たな蜜がビキニを濡らす。

 

「ん゛っぅうぉおおぉおぉ❤❤❤」


 穿る。ふやけそうな襞を手入れなどしたことがない爪で抉る。

 

「い、いぐっ❤❤」


 波打つ雌の肉、擦る。脈打つ粘膜を掻きむしる。襞を抉る。

 右の手で肉の穴をひたすらに掘り進める。人刺し指で掻き出し、中指を差し入れる。薬指であちこちを抉る。

 

「オナニーたまんね゛え゛っ❤❤あぢぃいぃ❤マンコあっついぃいいぃ❤❤❤」


 左手が土手肉を撫でる。人差し指と親指、尖りきっている肉の芽を摘まんで、揉んだ。女など抱いたこともないが、マンコの弄り方なだけは何故か分かる。こうすれば気持ち良くなれると理解して、アルは両の手でマンコを穿る。

 仲間のところに急がなければならないのに、いい。気持ちいい。擦るのがたまらない。えぐるとトぶ。弄っても潰しても嬲っても気持ちいい。もうどうしようもなくマンコがいい。

 

「い゛、いっぐぅうぅ❤❤いっぢまうぅぅ❤❤❤いくっ❤いくいくいくいくぅうぅ~~~~っ❤❤」


 気持ち良かった。指で抉るのが良くて、間接の凸凹をマンコ襞で感じ取れる。毛皮と爪の違いが快感に繋がっていた。

 背が軋み折れそうになっている。首筋に腱が。腕や脚に血管が浮かび上がる。指が死に物狂いの芋虫と化していた。溶岩の噴出を思わせる勢いで顔が蕩けている。夢に輝いていた蒼の瞳が随喜の涙に溺れる。鼻水が垂れて、口が締まりを忘れていた。

 

「あ゛あ゛あぁあああっ❤❤❤」


 煮込まれた肉のようなマンコ肉を、貪欲な中指が抉る。膨れ上がった粘膜を人差し指がなぞる。細やかな血管を掻き、火傷しそうな蜜をかき回す。

 あれだけ貪欲な尻穴をいじるのも忘れていた。寝そべったまま大股を開き、盛りのついた獣なみに腰を舞わせた。汗と愛液が小便よろしく飛び散って、ここは自分のナワバリだと申請しているかのようだった。

 

 男にマンコを貫かれるのも淫売と扱われるのも慣れたものだ。呪われたマンコのせい。そう納得できていたのに。欲望と付き合えていたのに。

 できたばかりのマンコを穿って、仲間を放っておいて潮を飛ばしている自分を許容できない。我慢しようとしてもクリトリスを潰すと脳内が白雷で焼け焦げる。

 

「んひぃいぃ❤❤クリっ❤クリいじんのすっげ❤ちんぽよりぎもぢぃいぃ~~❤❤❤」


 ちんぽを弄ることなど久しくないが、雄だった時の記憶と今の快楽を比較する。肉莢を剥き円を描くように揉みこめばマンコから恥ずかしい汁が噴きあがる。

 大股開きになり、つま先で床を何度も引っ掻いて。こんなみっともない姿男娼を買う時もしたことがない。呪いに晒されながらも保っていた雄のヴェールが引き裂かれていく。

 

 指を二本纏めて穿り返す。奥を穿れば穿るほどに気持ちが良くて頭が痺れる。もっと深いところまで、まだ届かないところをがりがり引っ掻いて、激しく指を出し入れしたい。そうすればもっと、もっと気持ち良くなれるはずだ。

 

「だ、めだぁ❤これ、こんな゛の゛ぉぉ❤❤あいつらが、待ってるんだ……!」


 走る痛みが指を静止させた。牙が欠けるほどに強く噛みしめると血の味と一緒に脳を冷ます激痛がアルの正気を呼び戻す。すがりついてくる処女マンコを刺激しないように、ゆっくりと指を引き抜くと手の間におびただしい量の粘糸がかかった。それはアルの未練であり、マンコは快楽を諦めていないと丸わかりだった。

 

「ぐっ、ぐうぅ!立て、アルフレッド!こんなところで負けられねえだろ!」


 情けない自分を両手のひらで叱咤する。乾いた音と鋭い痛み。マンコの火照りを晴らすには至らなかったが、立ち上がる力をくれた。思い浮かべるのは仲間の顔。ヴァルギットの叱責に、ロットの慰めに、ドリッズの言葉少ない声援、そしてシャントの泣き出しそうな顔。敵の前に立つべき戦士が、こんなところで倒れていてはいけない。

 

「待ってろよ、すぐに行くからな。おれは、おれはまだ負けてなんかいねえ……!」


 そして戦士は立ち上がる。太ももを濡らす汁もビキニを押し上げ横から丸見えになっているちんぽも無様の一言だが、アルは屈辱を受けて黙っている男ではない――不幸なことに。

 ふらつきながらも白い通路を進む。これがダンジョンであるならば必ず終着点があるはずだ。きっと仲間たちもそこに向かっている。もしも辿り着いていないのならば助けに向かう。快楽の奴隷と成り果てた身体の代わりの心を燃やしアルは足を懸命に動かした。

 

 そのまま何十分、いや何時間歩いただろうか。白い通路は同じ光景ばかりでどれだけ進んだかも分からないが、一つのドアの前へとたどり着く。壁と同じ真っ白なドアにはこう書かれていた。

 

『肉林の間』


 少しばかり足りない頭でもこの先で何がされるかは大体想像がつく。ビキニの下で疼くふたなりマンコ。このダンジョンではそれを徹底的に辱めるつもりなのだ。オナニー狂いになるまで擦られた次は何をされるのか、誰でも分かることだ。

 それでも止まることは許されない。ドアに手をかけると、向こうからはぐちゅぐちゅと、軟体生物が乱交をしているような水音がした。鼻にへばりついてくるのは自分のたてがみからも漂うあの匂い。どろどろになるまで花を煮込んだのに似た、ヒルの怪物が吐き出す体液の匂い。

 

「う、くぅ❤」


 尻が勝手に揺すりたてられるのはきっと恐怖によるものだ。二つのマンコが疼いて、愛液を過剰に分泌するのは期待のせいなんかじゃない。

 口元にやった指を噛みしめながら、アルはゆっくりと扉を開いた。脳裏に仲間たちの顔が浮かんだのは、護りたいという想いからか、それとも助けを求めてか。それはアルにも分からない。

 

「あ、アアあぁぁ……」


 扉一枚隔てて広がるのは肉によって作り上げられた地獄。雄が終わりを迎える冥界。踏み出せば決して這い上がることのできない奈落。

 

 そこは、触手でできた道だった。動物の内臓を思わせる肉質の洞窟。その壁にも天井にもびっしりと触手が生えており、アルを歓迎しようとうねっていた。お前好みのものはどれだと、様々な形状の尖端を備え、粘液を滴らせていた。

 

「く、くそぅ。こんな、こんなの」


 今の自分にあるのは卑猥なビキニパンツだけ。剣も盾も仲間も無い自分に何ができるのか。触手の群れ相手に抵抗は不可能だ。

 

「――ッ!来るなら来やがれ!」

 

 それを理解して、アルは触手の群れに向かって足を踏み出した。べちゃり、と足の裏に粘液のぬるつきを感じたのが合図になった。ご丁寧にもアルが通路に入るまで待ち構えていた触手どもが、一斉に筋肉の鎧へと群がったのだ。

 

「うっ!うおっ!気持ち、悪ぃ!ちくしょう!くうぅ!」


 生臭い湯気を立てる触手たちは、吸盤を備えたものや尖端に口がついているもの、蕾状のものとさまざまだ。無論、アルのアナルを抉ったイボ付きのものも無数に生えている。

 襲い掛かってくる触手たち相手にアルは無抵抗でやられたりはしない。触手がその筋肉に触れる前に駆け抜けようと身を低くして走り、腕へまとわりついてきたものを剛腕で以て引きはがす。腕へ絡みつく触手を食いちぎってやろうと、おぞましい肉へ牙を突き立てようとする。が、その前に太ももへ巻き付いたそれが万力のような力で締め上げてくる。

 

「ぐぁああああっ!」


 骨が軋む痛みに呻き声を上げた一瞬の隙。それを見逃さず触手が筋肉で膨らんだ四肢へと巻き付いて、その自由を奪っていく。鍛えあげた腕はあっけなく拘束され、壁へと持ち上げられる。

 太ももを締め上げる触手が緩んだ、と感じたがそれに安心する暇も与えられなかった。粘液塗れの肉虫どもが太ももに、ふくらはぎに、腰に、胸に、粘液を擦り付けながら這いまわる。既に粘液がしみ込んでいた毛皮に、更に汚らわしい汁が上書きされる。

 

「あ゛っ❤んくぅううぅ❤❤やめろっ❤その汁は、ああぁ❤」


 身体に塗りこめられ、顔や身体に噴きかけられる粘液はすぐに効果を発揮した。体内に取り込まぬように抵抗したところで無意味だった。すぐに神経や脳みそに左様する成分が効果を発揮し、脳天から尻尾の先まで痺れが走る。纏わりつく触手どもへの嫌悪感が薄れ、太ましい腰がくねりだす。いまだ触手が触れていないビキニの中が切なくてもどかしくて、尻をもじつかせるのを止められない。

 身体の奥から広がる、熱くやるせない疼き。それは身体の局部へと集まって膨張させる。突き出した大胸筋の尖端と、逞しい両脚との間で、突き出しているものがある。乳首もクリトリスも勃起しており、触手に嬲られるのを今か今かと待ち構えていた。

 

「気色悪いんだよ、離せ!おれはもう、負けねえ――んひい゛っ❤❤」


 無駄口を叩いたことを咎めるように、触手が翻って足の中心を打ち据えた。大股を無理やりに開かされたところを、鞭状に身を細くした触手がピンポイントで狙い打った。勃起したクリトリスを鞭打ちされて甘い衝撃と痛みが脳天まで走る。

 

「お゛ほお゛ぉおおっ❤❤❤やめ゛っ❤お゛っ❤おひっ❤❤そこはっ❤」


 鞭触手は風を切って打ち続け、そのたびにアルの身体に電撃呪文を流された時のような鋭い痺れと恥悦が流し込まれる。クリトリス、それも男の身体に付けられたものを虐められているというのにアルは舌を垂らして快楽を受けていた。

 

 触手どもは容赦がんかった。数本の触手がよがり狂うアルの乳首と股間に接近した。その尖端にはサソリの尾のような針が生えており、ぽたぽたと液体を滴らせていた。

 

「いぎぃいぃ❤❤あ゛っ❤ぁひっ❤❤てめっ❤何しやが、あああっ❤」


 触手たちはアルが気づかぬ間に針を乳首と勃起クリトリスへと突き立てた。ビキニを貫通し、皮膚を穿って無慈悲な針がすっかり性感帯と化した雌肉へと潜り込んでいく。すると、微かな痛みとともにまがまがしい熱を帯びた液体を流し込まれる感覚が生じる。

 血管へと正体不明な液体が注がれるのは恐ろしいが、心臓を早鐘のように鳴らすのは恐怖のせいではなかった。全身の皮膚がどうしようもなく疼き、血管が破けそうな緊張感が血流を駆け巡る。視界がピンク色に染まり、ぐるぐると回転し始める。

 

「ふぐぅ❤こんなもん、なんてことねえっ❤❤今までだって、んぅ❤」


 虚勢を見せるが、焦燥感が胸を苛んでいた。媚薬や催淫毒は何度も受けたことがあるが、今の自分を狂わせている毒は質が違った。意識を失う気配は無いのに、快楽に抗えなくなる。過去の経験は力ではなく敵となって、アルから抵抗する気力を削いでいた。

 追い打ちをかけようと追加の触手が更に三本局部へと這い寄ってきた。乳首と股間へと伸びた肉の鞭は、尖端を口のように開いて無数の小さな歯をひけらかしてきた。針が抜け出た局部へと、無数の歯が甘く食み始める。歯を突き立て、引っ掻き、磨り潰す。

 

「がっ❤あがぁあ゛あ゛あああああっ❤❤❤」


 感度を上げられた敏感な肉を三か所同時に責め立てられて、鞭打ち以上に快楽が電撃となって走り回る。強烈な刺激にアルは身体をがくがくと痙攣させるが、触手たちは勃起を逃すことなく、執拗に蠢いては噛み続ける。

 そして、快感に白目を向いたアルの気づかぬ間に、新手の、剛毛を密生させた触手がビキニへと潜り込んだ。

 

「っ❤なっ❤❤なんだてめ゛っ❤えぇえ゛へええぇえぇえぇ❤❤❤こりぇ、きくぅうぅうぅぅん❤❤」


 拘束された巨体をのけ反らせ、アルは嬌声を搾りだした。馬をブラシするためのような剛毛が、鋭敏過ぎる肉に毛先を当てて磨き始めたのだ。

 ぞりぞり。ざりざり。充血しきったクリトリスを無数の剛毛がつつき、強く荒く引っ掻いていく。そのたびに狂おしい刺激が生じてはビキニの中で燃え上がり、獅子をよがらせる。

 

「ふぎぃいい゛ぃいいぃぃ❤❤❤ぐぞっ❤負け、ね゛えっ❤お゛おぉおぉ❤❤こんなもんでっ❤おれはっ❤❤い゛ぎぃいぃ❤」


 縄オナニーで開発されたクリトリスを苛烈に責め立てられて、アルは歯をがちがちと打ち鳴らしていた。乳首を噛みしめられ、引っ張られると乳肉に耐えがたい疼きが充満していく。磨かれるごとに敏感クリトリスの裏で発狂しそうな切なさが渦巻く。叶うことなら乳首とクリトリスを引き抜きたくなるほどの激悦だった。

 しかし、アルの二つのマンコは意志に反してこの快感を歓迎していた。愛液を過剰に分泌し、肉を蠢かせて犯して欲しいとねだっている。

 

「ちがうっ❤❤おれは、あ゛あ゛っ❤犯して、欲しぐなんでえぇぇ❤❤放せ、バケモンめ❤んひぃ❤もう、もうやめりょぉおおぉ~~❤❤❤」


 求めたくなかった。認めたくなかった。それでもマンコのぬるつきは否定できない。触手によってずるされたマンコに添えられるのはアルの手首ほどはあろうかというひときわ太い触手。濃い異臭を放つそれは、イボをいくつも生えたちんぽに似た形をしていた。アルのケツマンコをかき回し、失神するまで絶頂させたあの触手を更に膨らませたものだった。

 

「あ、あああっ❤❤❤や、やだ❤それはもうやだ――あ゛っ❤❤」


 触手がアルの足裏を天に向けるようにして割り開く。粘液を滴らせてぬるついたイボつき触手が、愛液で会陰周りの淫毛をぐしょぐしょにしたマンコへとくっつく。

 今から犯されるのだと実感し、アルの鼓動が早まった。これから注ぎ込まれる快楽を想像して、ごくりと喉を鳴らしてしまう。

 

 そして、触手はアルの興奮など興味が無い様子でゆっくりとマンコの中へと侵入していく。

 

「あひっ❤❤ひっひっひいぃいぃいぃぃ~~~~❤❤❤❤」


 アルはつま先までピンと足を伸ばして太ももを痙攣させ、肛門をひくつかせる。毒と愛撫でたっぷり弄ばれていた身体が極太触手ちんぽで掻き分けられて、否定しがたい歓喜が身体の奥から湧き上がってくる。歴戦の戦士の腰が打ち震えていた。

 

「ぐぎぃい゛い゛ぃいぃ~~っ❤❤❤負け、まげねえぞお゛ぉおぉぉお❤❤」


 快楽に負けまいとアルは白目をむきながらも抵抗の言葉を吐く。その言葉は触手がマンコへ飲み込まれていく間続き――

 

「ふごっお゛ほおお゛ぉおおぉおおぉぉおぉっ❤❤❤❤」


 処女膜が破れる音がすると同時に媚びる声へと変質した。

 太く熱く、グロテスクな触手ちんぽに破られた処女膜から、凄まじい激悦が身体の中へと伝播する。ケツマンコからの快楽は慣れたものだ。しかしふたなりマンコを、処女膜を貫かれる経験なんてあるわけがなく、未知の快感にアルは嬌声をわめきたててどうにか悦を外に吐き出そうとしていた。

 

 アルの手足に筋肉が隆起し、血管が幾本も浮かび上がる、逃げようとしているのではない。ただ、誰かにしがみつきたかった。すがりつきたかった。そうしないと頭がおかしくなりそうだった。

 

「ぁ、お゛❤おお゛ぉおおっ❤❤おほお゛っ❤ん゛ほぉ~~っ❤❤❤おほぉ~~~~っ❤❤」


 処女膜を貫かれ、そのまま子宮まで犯されるのだろう。そう予想していたが触手はマンコから抜け出ていく。粘液をマンコに擦りつけ、イボで掻きむしりながら引き抜けていく触手にマンコ肉は追いすがるかのように吸い付くが、愛液を攫って脱出する。

 安堵と寂しさを覚えるマンコを前にして、触手ちんぽは動きを止める、時間ににして30秒にも満たないだろう。もしや、ダンジョンの仕掛けはこれで終わりなのか。そう安堵と寂しさを感じた瞬間。

 

「ぅうお゛っほお゛ぉおおおおぉぉっ❤❤❤」


 一息で触手ちんぽが突っ込まれた。さきほどのようにゆっくりとした挿入ではない強烈な淫激にマンコを擦られ、アルは瞬間的に気を失いかける。耐えられたのはこの感覚は二度目だから。さきほどのように、処女膜をぶち破られる悦を感じることはない。だから耐えられる――そう思った時、またもマンコの中で何かが破ける音がした。

 

「んぎい゛ィい゛ぃいいぃいっ❤❤❤があぁああっ❤なんで、へ゛え゛でえぇええぇえ❤❤❤❤」


 それは紛れもない処女膜をぶち破られる感覚。またもマンコの中で拡がる悦に、アルは鼻水を垂れ流して卒倒した。辛うじて残っていた理性が処女膜と一緒に喪失し、ちんぽから無駄なザーメンがびゅるびゅると飛んだ。

 

 虫けらなみの知能になった頭に浮かんだのはビキニに付加された魔法の解説だ。

 

 《欠損部位即時回復》

 

『《欠損部位即時回復》は肉体が貫かれたり切断された場合に回復します。回復時間は損傷程度によります。薄皮一枚貫かれた程度であれば10秒ほどです。腕一本消失した場合は一か月ほどかかります』


 ガイドに説明されたあの魔法。薄皮一枚がすぐに回復するのであれば、処女膜は。破られただけで脳が揺れる快楽をもたらす膜が何度も再生するということではないか。この一見無害な魔法は、まさかこれだけのために。

 

「お゛っ❤お゛ぉおお❤❤お゛ぅうぅ❤んごお゛おっ❤❤❤あ、抜けないでへえぇ❤」


 触手は処女膜をぶち破ったまま潜り込んでいき、やがて一番奥にまで到達する。子宮口をもぞもぞとまさぐられることで感じるのは快感と安心。また抜け出ていかれ、処女膜を再生されるまで待つことになるのが恐ろしい。マンコは触手が抜け出ていかないように必死に締め付けていた。

 

 アルの必死な媚態に気を良くしたかのように、もう一本の触手が蠢いた。目指すのは既に触手を味わっている尻の穴。縦割れになり、性器として完成してアナルへと、回転しながら粘液触手が潜り込んでくる。

 

「あ゛~~っ❤❤いま、ケツだめ゛っぇえぇ❤❤❤んおぉおぉ❤おっ❤今はあ゛ぁあ❤マンコやべ、おほぉおおぉおぉ❤❤❤」


 くぱくぱと開閉する貪欲なケツ穴へ、触手が侵入する。ドリルのように直腸をこじあけて、奥へ奥へと目指して進む。肉の門をゴリゴリとされ、モロ感のケツマンコを無遠慮にかき回される慣れ親しんだ悦楽にアルの脳みそまでもかき回されていく。

 前と後ろに入りこんだ触手同士が肉越しにぐりぐりとぶつかりあう。二つのマンコが軟体生物に膨らまされ、イボ突起で抉られる。乳首やクリトリスの甘噛み攻撃も止めてくれない。前後全身の快楽による拷問に、アルは全身の筋肉を痙攣させた。

 

「おぐぅう゛ぅうぅ❤❤❤おごっ❤ぐぉおぉおぉ❤❤前と後ろごんごんずんごぃい゛ぅうぅ❤❤❤やぶげる❤マンコ破けぢまうよ゛ぉおぉ❤❤」


 アルの二つのマンコへは、触手が幾本も潜り込んでいた、それぞれが普通の雄のちんぽほどはあろうかという触手が、二本、三本と膣肉や肛門を押し広げてめりこんだくる。性器と化した内臓を強引に拡張されて、アルは快楽と苦痛の奔流に頭を洗い流される。

 前後のマンコを無理やりにいっぱいにされて、強烈な圧迫感が腹を支配する。呼吸が止まり、目の前が真っ白になる。アルの顔面にある全ての鼻から体液を垂れ流し、喘いでしまう。入り込んだ触手に身体を裏がえされそうになると錯覚する。

 何本もの触手は肛門を順番に擦り上げ、子宮口に連続してキスをして、膣肉を引っ掻いて抉る。

 

 むちゅむちゅと触手と子宮口がキスをしていると、触手たちがどうしても愛おしくなってしまう。自分を悦ばせてくれる太くて硬いちんぽに従いたいとマンコがねだっている。ケツマンコも同様だ。立派なちんぽじゃなければ届かない結腸まで触手は届いて、柔らかいところを尖端でくじってくる。マンコはもう、仲間よりも触手ちんぽの方が大事になっているが、アルは懸命にアクメするまいと堪えていた。ちんぽは一突きごとにザーメンを噴いているが、まだ脳みそまでは屈していない。

 

「いぐ、いぐぅううぅ~~っ❤❤❤お゛ほおぉおぉーっ❤オマンコいぐっ❤いぐいぐいぐぅうぅ❤❤んお゛っ❤で、でも負げね゛ぇ❤❤こんな、触手おちんぽなんがに゛ぃいぃ❤❤」


 アクメさえしなければきっと負けない。ここから抜け出せる誰にも保証されていないルールを信じ込んで、アルはアクメに耐えていた。愛液があふれ出し、結合部で泡立ってマンコを飾っているが、まだ負けたわけではないと鼻水を垂らす顔で獅子は無駄な抵抗をする。

 アルを支えているのは仲間との絆と、魔法によって作られたマンコの限界だ。あのガイドによればこのマンコは孕む機能が無い。それならば妊娠する恐怖に怯える必要は無い。アクメに耐えきっていれば、ここから逃げ出せるはずだ。

 

 楽観と妄想でできた愚かな思考だが、触手はそれすらも許す気はないようだ。

 

「ふごっ、お゛ぉお゛ぉおおぉっ❤❤❤」


 マンコ中の触手たちが絡み合い、螺旋状に巻き付いて一本の巨大なちんぽになる。同時に、ケツマンコの中の触手も合体する。そして二本の合体触手がずるずると音を立ててマンコから引き抜けていったかと思うと――

 

「ほぉおおぉお゛お゛ぉおおぉおおお゛お゛っ❤❤❤❤❤」


 一気に触手ちんぽを突っ込まれた。めきめきと骨盤に悲鳴を上げさせながら触手が打ち込まれる。螺旋状になった触手は進むだけでマンコの弱いところを押し潰していく。侵入する間アルの身体は何度も跳ねて、つま先がくねくねと踊る。でかい尻がきゅっとすぼまった。

 そして、終点である子宮と結腸を激しく殴打されて、全身の神経から火花が飛び出してきそうな衝撃が股間から脳天まで突き抜ける。舌を突き出した口の端から泡が噴きだした。

 

「――――っ❤❤❤ぉ――お゛ぉ――❤❤」


 身体がばらばらになりそうな衝撃に、アルの脳みそは言語能力を喪失する。そうしなければ脳が負荷で壊れてしまうという生存本能によるものだが、そんなものは無意味だと触手はごりごりごりごり行き止まりを穿りかえす。脳みそに触手をねじ込まれたような気持ち良さに獅子ちんぽから小便のようにザーメンが漏れる。

 はくはくと口を開けて精液を漏らすだけの肉袋へと、触手は容赦ない凌辱を続ける。杭で串刺しにするかのような打突を最奥へ繰り返し、螺旋状の身体でマンコ襞と肛門をがりがりと掻きむしる。

 

「う゛っぎぃいい゛ぃいいぃ❤❤❤やぶげるっ❤❤ごれ、やべぇ❤おれのマンコごわれて戻らなぐ、なる゛ぅううぅぅ❤❤❤」


 それはお前は雌でしかないと刻み込む責めだった。二本の巨根を突き入れラルだけでなく、体中に触手が群がって熾烈な愛撫を施していく。乳首やクリトリスを甘噛みされ、腹筋や大胸筋を粘液まみれにされて野太い雄の悲鳴が漏れる。

 アルの腰はへこへこと動き、触手が奥へと入り込めるように尻肉を振り立てていた。とらわれて磔にされた身体は痙攣しながら粘液にまみれていく。

「だっでぇええぇ❤❤❤ぎもぢぃいいがらあぁああぁ❤❤オマンコごんごんでおがじぐなっでるぅううぅ❤❤❤ごめんっ❤おでえぇ❤❤アクメ❤アクメがまんじないどいげないのにぃいぃいぃ❤❤❤」


 乳首を甘く噛まれて、引っ張られると甘ったるい悲鳴が上がる。噛むだけではなくブラシによる磨き立てや器用な触手で乳輪ごと揉まれるのもたまらなかった。

 肛門とマンコは一突きごとに結合部から粘液を噴き出していて、穴の締め付けを強くすると汁がマンコを擦ってもっと気持ち良くなった。ぬるぬるになった雄膣を触手や汁で擦られると背筋が震えた。

 

「じまらなぐなるぅうぅうぅぅ❤❤❤オマンコごわれっへえぇぇ❤❤ケツをこうじで閉じるど、お゛っほぉおぉおぉぉ❤❤❤オマンコすっげぇえぇえぇ❤❤あっひぃいああぁあぁ❤❤❤❤」


 肛門もマンコも触手の侵入を止めることはもはや敵わないだろう。愛液と触手粘液を注ぎ込まれ、ぬるぬるになった穴はただ雄を気持ち良くするために絡みつくしか脳が無い。ただ、触手が肛門をめくり上げるとブポブポ鳴いて媚びるだけの便器。

 

「お゛ぉおおぉ~~~~っ❤❤❤むり、むりむりむりぃいいぃ❤おちんぽにマンコ負けぢゃうぅううぅぅ❤あ゛へえぇ❤❤おっほぉおおぉ❤オマンコ溶けてぱーになっぢゃうぅうぅぅ❤❤❤」


 肛門を擦りながら抜け出ていく長い長い触手。腸壁を螺旋の身体とイボで抉りながら排出していく触手にアルの身体は死にかけの虫となって痙攣した。耐えよう、アクメだけはしないと意志を硬くしていた脳みそはケツ穴を触手でめくり上げられてついに屈服した。

 

「あがあ゛あ゛ああぁああっ❤❤ケツッ❤ケツがあぁあぁ❤❤❤おでのケツがごわれるっ❤くるくるくるぅうぅ❤❤ケツマンコでしゅんごいのきちゃううぅううぅぅ❤❤❤


 雄としての敗北の合図。それを聞いた触手たちは追い打ちをかけようと子宮を強烈に殴りつけた。肉襞を抉り、子宮を殴打して衝撃を頭蓋骨にまで届かせる。引き抜かれ、めくり上げられる快楽で敗北したアナルとは逆にふたなりマンコはひたすらに奥を突き入れて、子宮と激しいキスを交わしていた。ごりゅごりゅと回転触手で奥をほじられて、ついにアルの意志力が打ち砕かれる。

 

「ん゛っ❤あ゛ああぁああっ❤❤❤おぐっ❤あだるう゛ぅうぅうぅ❤❤ごれむりい゛ぃいぃいぃいぃ❤❤」


 拘束された全身をガクガクと暴れまわらせ、牙の間から悲鳴を漏らす。勇ましい戦士の最奥で堪えていた衝動が、ついにはじけ飛ぶ。

 

「ああああっ❤❤ごめ、ごめんみんな゛ぁああぁ❤おれ負けぢゃう゛ぅうぅ❤❤❤おれ、助けにいがないどいけないのに゛ぃいいぃ❤❤」


 全身から力と誇りが逃げていく、屈辱的な歓喜がアルの魂をを塗りつぶしていく。

 雄の、充血したクリトリスがぶるぶと戦慄く。その根本で尿道が開いて、絶頂の汁を迸らせた。

 

「ぉおお゛お゛ぉおおぉほおおぉおぉおぉーーーーっ❤❤❤❤❤❤」


 噴きあがる透明な潮はどうしようもない敗北の証明だ。膣と視覚からそれを思い知らされて、見開いて緩んだ目元から涙が溢れてこぼれる。開いて汁を流す鼻が、伸ばされた舌が、拘束された四肢がぷるぷると震える。

 

「あ゛~~っ❤いっぢゃ、いっぢまう゛ぅうぅぅ❤❤❤だべなのに゛っ❤❤負けだぐねえのに、おでえぇえぇ❤❤❤」


 そして、触手ちんぽたちもアルのマンコが締まったのに反応するように白濁の汚汁を噴射し始めた。顔面に、子宮に、結腸に、夥しい量の汚濁が流し込まれる。それは雄臭く不快な、本物の精液と遜色の無い匂い。身体にまとわりついていた触手たちも一斉に射精して、アルのすべてを精液で汚染していく。

 

「んむ゛ぁあああぁあっ❤❤臭ぇ❤ザーメンっ❤❤臭えよぉおおぉ❤❤❤あっあぁあぁ❤」


 夥しい量の精液のせいで、筋肉で均整の取れた腹がぼっこりと膨らんでいく。その射精は長々と続いていった。アルのたてがみも毛皮も、身体なの中もザーメンを染み込ませ取返しがつかなくなるまで。

 

「あ、あぁああぁぁ……❤❤❤」


 アルを汚染していた触手たちが、萎えたように自身を引き抜いて行った。ぽっかり開いた二つの肉孔から白濁が滝のように流れる。

 

「ん、ぐぅううぅ❤❤いっぢまったぁ❤でも、だけどぉ❤❤おれ、負けねえがらぁ❤何回イかされても、おれはみんなを……❤」


 深いアクメを迎え、脳みそが揺れている。けれど絶頂した身体はひとまず興奮が引いている。そのおかげで理性を取り戻したアルは歯を食いしばって触手を睨みつける。おぞましい怪物たちにアクメを迎えてしまった。けれど、自分はまだ理性を保てている。エロトラップダンジョンである以上、命を奪われることはない。耐え続ければ自分に勝機はある。幸いにもこのふたなりマンコでは妊娠はしない――

 

『魔法効果をお知らせします。《豊穣神の祝福》についての解説を行います』

「あ、えっ❤」


 その時、ガイドが現れた。魔法の効果を説明する?何故こんな時に。疑問をよそにガイドは説明文を表示させた。

 

『《豊穣神の祝福》は生殖能力の魔法です。付与された対象は妊娠能力を得ます。子宮が無い場合、性器が無い場合、生殖能力が無いマンコの場合でも確実に着床します。』

「……は❤❤」


 表示された絶望的な文字。それを理解しているはずなのに受け入れられずアルは硬直する。自分に起こるこれからの最悪の事態。それを考えたくなかった。

 

 アルにそれを理解させたのおは、腹の中で広がる違和感だった。

 

「あ、ああぁっ!?なんだ、これ、おれの腹がぁああぁっ❤❤❤」


 みるみるうちにアル腹部は膨れ上がっていき、あっという間に臨月の妊婦のような丸腹になった。それに驚愕している間も腹の中でみちり、みちりと何かが動いている感触がする。

 

「嘘❤うそだあぁああっ!おれが、孕んで、こんなのやだっ❤おれが妊娠なんてするわけねえっ❤❤」


 懇願を無視して、アルの中の異物は不気味な蠕動と一緒に体外へと降り始めていた。膣道と直腸が何かに擦られる。粘液まみれの膣口と肛門が大きく開く。そして、中から肉色の大きな塊がちらりと姿を覗かせた。アルに仕込まれた精液が、子宮の中で着床し産まれ出でようとしているのだ。

 

「あ゛っ❤やだ、こんなのぉ❤❤ガキなんてやだっ❤こんなのおれのガキじゃない゛ぃいぃ❤❤❤やだやだやだやだあぁあぁ❤ゆるじで、おれに産ませせないでえぇぇ❤❤」


 雄でありながら妊娠する屈辱。子宮をおぞましい怪物の繁殖に使われる嫌悪感。何よりも恐ろしいには子どもを出産するというのに快感を得ていることだ。膣と直腸を子どもが降りてくるだけで身悶えし、膣と肛門を拡げられてちんぽが精液を噴いて暴れまわっている。このままでは取返しのつかないことをしてしまう。アルは凌辱された時以上の惨めな顔になり、涙を流して許しを乞うた。

 

「ひ、ぎぃいぃい゛ぃいぃいぃぃ❤❤❤」


 懇願むなしく冒涜な分娩は止まらない。限界いっぱいまで拡張された前後の雄マンコから、不気味な肉の塊が這いずり出て行く。

 

「あぁあ゛あ゛あ゛ァあ゛あ゛ぁああああぁあぁぁッ❤❤❤❤❤」


 そして、ボトリと音を立てて子どもを産み落とした瞬間アルは白目を向いてアクメを迎えた。潮を噴き上げて、精液も同時に漏らす雄失格のアクメ。それは二度目のアクメだが一回目とはわけが違った。さきほどはマンコを犯されたからという言い訳ができた。呪われたマンコは快楽に抗いがたく、屈してしまうのも初めてではないのだ。

 

 だが、今は。

 

「おれ、おれいっぢゃっだぁあああぁぁ❤❤❤ガキ産んで、化け物産んでぇ❤あ゛ーっ❤ぁあぁあぁ❤❤」


 出産によってアクメを迎えたのだ。子を産むという神聖な行為によって悦を感じ、脳が躍るほど深い絶頂を迎えた。もはや雌ですらない。最低最悪な孕み袋になってしまった。その事実はアルをつなぎ止めていた最後の理性をがりがりと削り落としていた。

 

「あ゛、あ゛っ❤❤孕んでいっだ、おれ❤あぅ❤ガキ産んで、ああはあぁ❤❤❤ガキ産むのぎもぢいいんだあぁ❤」


 にへら、と口角を持ち上げて笑っている間、アルと触手の愛の結晶は包まれた半透明の膜を破って床の上で蠢き始めた。それは触手の肉質と同じ皮膚をしていながら、姿形は肉食獣の子どものようだった。しっかりとした四肢で床の上に立ち上がると、周囲の触手たちが抱きかかえて尖端から甘い蜜のようなものを与え始める。

 

「は、ははぁあぁ❤おれ、おれの子ども❤❤おれに似てる、へへ❤ふへへへぇ❤」


 獅子の赤子のような怪物を見て、アルの中の何かがぷつりと切れてしまった。触手がまたもアルの身体に這いまわるが、抵抗はせず愛おしそうにキスまでもしていた。

 膣と肛門に近づく触手を感じてアルは涎を垂らして悦んだ。また子宮と結腸をごりごりして貰える。肛門がめくれるまで擦って貰える。そして、可愛くて、気持ち良くしてくれる赤ん坊をいっぱい孕ませてもらえる。

 

 尻を揺すって、アルは触手たちへと叫ぶ。精いっぱいに媚びて、甘えた声で。

 

「なぁ❤次のおちんぽくれよ❤❤おれのマンコで、いーーっぱいガキ産んでやるからさ❤」


***


アルフレッド

獅子獣人

戦士


HP:0

MP:0


筋力☆☆☆☆☆

耐久力☆☆☆☆☆

敏捷力☆☆☆☆

判断力☆☆

知力☆

魅力☆☆


《盾使い》《片手武器の達人》《機動戦闘》《筋力強化》《振り下ろす一撃》

《双子の女神》《欠損部位即時回復》《痛覚変換:特殊》《豊穣神の祝福》


今日の絶頂回数:312new!

出産回数:52new!

経験人数(人間以外も含む):182人new!

性欲:☆☆☆☆☆☆new!

性的弱点:マンコ(アナル)ふたなりマンコ、子宮、肛門、乳首、クリトリス、全身、処女膜、出産。new!


バッドステータス:《レベル=マンコの感度の呪い》《性欲増幅》《ふたなりマンコ:永続》《オナニー中毒》《クリトリス充血》《潮噴き体質》《種付けフェロモン》《クリトリス敏感》《クリトリス虐め特攻》《肛門脆弱》《肛門めくり上げ特攻》《膣道敏感》《クリトリス肥大》《乳首肥大》《イキ癖》《出産中毒》《出産時絶頂》《確定妊娠》《処女膜喪失弱点》new!

Comments

Anonymous

とんでもない神作の予感がします…! 本編待ってます!

おもち

ありがとうございます……!今月にどうにか間に合わせるべく頑張ってますのでお待ちください!