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   6/17   「――では、本日の練習を開始する。各自、走り込みから始めろ!」  放課後の部活の時間、監督の一言で各自散らばってグラウンドから学園の外周へと駆け出していく。  いつものようにジャージとキャップで身を包んだラフな格好だが、監督の言葉は従わずにはいられない迫力がある。空気を震わすような重低音にせかされて、チームメイトたちは緊張した面持ちで脚を動かす。休み明けの部活はしんどくかったるいが、練習の手を抜くような奴はこの部にいない。  おれも遅れないようにと走り出すその前に、猪狩先輩と伏見先輩から声を掛けられた。   「なあ虎縞。走り込みの前にちょっといいか?」 「はい、何ですか先輩?」 「実はきみに相談したい事があってさ。監督と一緒に4人で話したいんだ」 「え、監督もですか?おれなんかに相談って、いったい何が……」 「あー大丈夫だ、大したことじゃねえから。お前も来年はチームを引っ張るんだ。今のうちにいろいろ話しておきたくてな」 「そういう事なら、喜んで!おれなんかが引っ張れるかは分からないっすけど!」    おれがチームを引っ張る立場になれるとは思えない。そういう事は勇大の方が向いている。  でも尊敬している先輩や監督がおれを選んでくれたのだと思うと素直に嬉しかった。おれは頭が良いわけでもみんなを引っ張るカリスマがあるわけでもない。だが、おれの何かを評価して貰えたんだ。そう考えると尻尾がゆらゆら揺れる。  ただ、先輩たちを見ていると心がざわつく。先輩たちの笑顔はいつもと違う気がした。笑顔というものを具体的にどう違うのか述べるのは難しいが、いつもの男らしさや優しさが溢れんばかりの笑みとは違う。おれを見ながらにやついている。先輩に対して失礼な考えかもしれないが、意地の悪い笑みに見えるというか。でも気のせいだよな。先週までの先輩たちはあんなに優しかったし、数日で何かが変わるわけがない。   「ほら行くぞ。監督はもう待ってるからな」 「はい! ……って、部室じゃないんですか?逆方向ですけど」 「他の人にはあんまり聞かれたくない話だからね。体育教官室まで行こう」 「そんなに大事な話なんですか?了解っす」  さっきは大した話じゃないから、と言っていたのに。  少しだけ疑問に思いながら体育教官室へと向かう。通常使われる教室や、職員室のような教職員が通常使う部屋とも離れているせいでこの部屋の辺りは全く人気が無い。監督は部活の無い時間に利用しているらしいが、おれは全く近づいた事が無い。以前猪狩先輩に『監督はあの部屋で何をしてるんですか?』と聞いた事があるが、真剣な顔で絶対に近寄るなと釘を刺されてしまった。なんでも、練習メニューやチームの編成などで集中しているから下手に近づくと阿修羅のような顔で怒られるのだそうだ。その噂はいつの間にか部全体に拡がったので、誰もこの部屋には近づかない。   「監督ー虎縞を連れてきましたぜぇ」 「ああ、ご苦労。鍵は忘れずにかけておけよ」 「分かってますって。邪魔が入ったら興冷めですもんねー」  伏見先輩が笑いながら鍵をかける。何か変だ。部活動の話をするのに、邪魔が入るとか興冷めだとかそんな言葉を使うものだろうか。監督の表情もいつもと違う。威厳があって、物静かなあの顔とは違う。先輩たちと同じようにおれを見ながらにやついて。尊敬している監督の視線なのに、見られていると背筋にぞわぞわしたものが走る。頭の中で警笛が鳴る。おかしい、いつもの監督じゃない。   「呼び立ててすまんな、軍司。どうしても話さなければならん事があってな」 「い、いいえ!監督のお話なら、おれは何でも喜んで聞きます!」  でも、おれは逃げもせずに背筋を正す。監督の言葉は絶対であり、逆らえないように身体に刻み込まれている。  おかしい、という想いは監督への信頼と敬愛で飲み込まれてしまう。おれの考えすぎに決まってる。  おれが自分に言い聞かせていると、監督はデスクから大きな茶封筒を取り出した。何も書かれておらず、封もされていないそいつをおれに手渡してくる。一体何なんですか、と聞き返す前に監督は顎をしゃくって命じた。開けろ、という事なのだろう。   「ん……何ですかこれ?写真?」 「ああ、おれらから話すよりそいつを見て貰った方が早いからよ。数枚あるがどれも似たようなモンだ」  封筒に手を突っ込むと、何か紙のような物に触れた。つるつるしている感触から写真であると推測すると、先輩がそれを肯定する。おれに見せたい写真とは一体何なのだろう。しかも、似たような内容の物を何枚も?先輩たちの粘っこい笑顔も不気味だ。何も分からない。変だ。封筒の中にある物を見てはいけないとおれの頭の中で何かが囁く。    だが、手は止められない。  やかましい心臓。やけに喉が渇く。  おれは安心したかったんだ。この写真が何でもない物ならばそれで終わる。監督や先輩たちは、いつも通り優しいままで、すべておれの勘違いになる。そうあって、欲しいと願い全身が強張る。   「あれ?これっておれの写真ですか?」 「ああそうだ。なかなか良く撮れてるだろう?」  だが、写真に写った物を見て身体から緊張が抜けた。  適当に手に取った写真に写っていたのはおれだ。ラグビー部のロッカールームだろう。グショグショのラグビー部を鬱陶しそうに抓み、部室に充満する汗の臭いに顔をしかめている。  なんてことは無い。いつものおれだ。部のみんなに見つかったら困るから、誰もいない間にこっそりと着替える時の姿。なんだってこんな物を。   「他の写真も見て貰えるかな?そうすれば分かるから」  言われるがまま紙袋に入った写真を次々と取り出す。見る写真は全てロッカールームにいるおれだ。スポーツドリンクを飲んだり、タオルで顔をぬぐったり。なんて事ない日常を切り取った物。   「何なんですか?こんな写真見せ、て……」    ある写真を見ておれの手が止まった。それも一見なんて事ない写真だ。ぐしょぐしょのラグシャツを脱いで上半身を剥き出しにしているおれ。そう、他愛無い風景の1コマ。他の写真と変わらない。    しかし、こんな写真はあるはずが無いんだ。だって、おれが人前で着替えるなんてありえない。おれの異常な身体を誰にも知られないと隠しているおれが、こんな姿を勇大以外に晒すはずがない。  ――そうだ、そもそもこれは誰が撮った。おれの身体を間近で撮るこの写真は。着替えるときは誰もいない事をしっかり確認したはずで、おかしい。こんな、こんな。   「この写真はさぁ、チームメイトから送られてきた物なんだ。凄い物が撮れましたって僕たちにチクってきてね」 「確かに凄ェよなぁ?驚いちまったぜ。虎縞、お前って真面目だし努力家だし、嘘なんて吐かねぇと思ってたんだがなァ?」  尊敬する先輩たちの声が鬱陶しく聞こえる。  いつの間にかおれの傍らに寄り添い、そっと耳元で囁きかけてくる。  ああ、嫌だ。これ以上先を見てはいけない。聞いちゃいけない。  嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。嫌だって言ってるのに止まってくれない。手も、先輩たちの言葉も。  震える指で手に取ったのはハーフパンツを脱ぎ捨てたおれの写真。そうだ、いつものおれだ。みんなにばれないように神経を遣っているから一人で着替える時だけは気が緩んでいて。  そして、最後に残った写真には。そこには――   「お前、マンコが付いてんだなぁ。そんなモン付けてラグビーやってたわけだ」  ――そこには、おれの身体に生えた醜くおぞましい花弁が写っていた。男に付いているはずがない、女のマンコを付けたおれが写っていたんだ。   「あ、あぁ」  ばさばさと音を立てて写真が床へと落ちる。指先に力が入らない。口から出る意味を為さない呻き声を止められない。  視界が歪んでいた。脳みそをかき混ぜられているようだ。何もかもが現実感が無くて、足元が揺れているみたいで気持ちが悪い。  何で。  何で。  何で。  頭の中でその単語がリフレインする。何でこんな事になってるんだ。ありえるはずがないのに。勇大以外にはばれないようにずっと。   「ふむ。理解が追い付かない様子だが、おれたちもその写真を見た時は驚いたぞ」 「そうっスねぇ。まさかあの虎縞にマンコが付いてるなんてなぁ」 「そうそう、マジかよって大笑いしちゃったね。でも、悲しいなあ。こんな面白い身体をしてるって分かったのに、すぐにお別れなんて」 「お別れ……?」  おれはのろのろと伏見先輩の顔を見上げる。相も変わらず不快なにやけ面で、その表情には明確な悪意と嗜虐性が感じられた。状況に付いていけずフリーズした脳みそであっても反応できたのは、言葉にもたっぷりと残虐さが滲んでいたからだろう。  お別れという言葉の意味が理解できないおれに、監督が芝居ががかった様子で言葉を続ける。その顔は伏見先輩と同様に醜悪だった。   「当然だろう?ここは男子ラグビー部だぞ?お前は男ではないのだから在籍する資格が無い。今日中に退部して貰わんとな?」 「なっ……!」  あまりにも冷淡な監督の言葉。  驚愕で固まるおれを、監督は片頬を歪めたまま見下ろしている。そんなの許されるわけがない。おれは今日までずっと頑張ってきたんだ。こんな身体だから、人より何倍も努力してきたんだ。それを、普通の身体じゃないからってだけで辞めさせるなんて。  おれは監督に掴みかかろうとしたが、その前に先輩たちに両腕を拘束される。結果、おれは無様にもがきながら吠える事しかできなかった。   「そんなっ、そんなの嫌です! おれ、頑張ってきたじゃないですか! やっとレギュラーになれたんです。おれ、普通の身体じゃないけど、でも」 「そう言われてもなァ?マンコが付いてんだからお前は雌だろ?女子ラグビーに行けよ。きっと活躍できるぜぇ?」 「どうしても嫌なら部員のみんなで決めようか?マンコが付いてる虎縞くんを部に残していいですかー?ってさ」 「い、嫌です! みんなには言わないでください!」 「まったく。あれは嫌。それも嫌。身勝手で子どものようだなお前は」  なんて理不尽な言い草だろう。そもそも勝手な理由でおれを辞めさせようとしているのは監督たちなのに。  だが反論しようとしてもロクに言葉が出ない。監督の言葉は横暴だが、おれは心のどこかで監督が正しいと思っているからだ。監督たちの言う通り、おれは本物の男じゃない。それが分かっているからずっと隠してきたんだ。おれがチームメイトだったらマンコが付いてる男なんか気持ち悪くて一緒にプレイしたくない。おれが部を辞めさせられるのは当然なんだ。  監督たちは正しい。分かってる。でも、でも――――!   「いやです、ラグビーを辞めるなんて。おれ、そんなの生きていけない」  とうとうおれは泣き出してしまった。体格だけは男らしくなったのに、ぼろぼろと子どもみたいに涙をこぼす。  やっぱりおれはまともな男じゃないんだ。だからこんな簡単に泣くし、ラグビーを続ける事もできない。雄としての欠陥品。おれを受け入れてくれるのは勇大だけなんだ。ここにいればきっと助けてくれたのに。   「そうか、そこまでラグビーを続けたいのか」  泣きじゃくるおれの顔がそっと撫でられる。監督はごつい指で目に溜まった涙をぬぐってくれた。右に、左に。すぐに溜まる涙を、何度も。  その表情はさきほどまでの悪意を発露させた笑顔ではなく、いつもの監督の顔だった。実直で、物静かで、おれたちを見守ってくれている。監督の顔を見つめていると、おとがいに指を添えて持ち上げられる。   「どうしてもラグビーを続けたいのか?なら考えてやってもいい」 「ほっ、本当ですか!ありがとございます!おれ、おれっ!」 「だが簡単にはいかんぞ?お前は男じゃないんだからな?通常とは違った扱いになる」 「な、何でも良いです!ラグビーを続けられるならおれはなんだって――」 ――――――あれ?  何が起きてるんだ?声が出ない。口が何かで塞がれている。  なんだか柔らかい物。ぶ厚くってぬるぬるして、おれの口内を好きに這いまわっている。粘液でぬらついた芋虫みたいな不快感。吐き出そうとしたけど口が動かない。何で、ああそうか。監督に噛みつかれているからか。熊の牙でおれの口を塞いで。舌をおれの口に差し込んでる。鼻息が顔にかかって不快だ。監督の瞳が嘲るようにおれを見ている。ぐちゅぐちゅ口から音が鳴る。おれたちの唾液が混ざって、口の端から垂れて、何で。何で、おれは監督にキスされて。 「ッ!ん゛むっうぅ!ん゛ーーーーッ!」 「おっと暴れんじゃねえよ。尊敬する監督のベロチューだぞ?」 「どうしても嫌なら止めてもいいけどさぁ。ラグビー続けたいんだよね?」  何をされているのかようやく理解した身体が全力で抵抗するが、くつくつと嗤う狐の言葉に身が竦む。まさかこいつらはおれをレイプするつもりなのか。  嫌悪感で全身が総毛立つ。脅迫しておれを犯そうとするこいつらの醜悪な思考に、そして勇大以外の男とキスをして、唾液を流し込まれるおぞましさに吐き気までこみ上げてくる。ふざけるな、こいつらに犯されるなんて死んだって嫌だ。口をめちゃくちゃにかき回す舌を必死に舌で押し返すと、監督がにやつきながら顔を離す。   「ジュルッ。ん?反抗的な面だな。嫌か?こういう事をされるのは」 「あっ、当たり前だ!ふざけるな!おれは、おれは男なんだ。そんなの」 「ふむ。では今日でお前とはお別れか。残念だ、優秀な部員を失う事になるとはな」 「う、ううぅ……!」  目の前に突き出されるおれの写真。マンコが鮮明に写し出されたそいつを見せられるとそれ以上の言葉が吐き出せない。拒絶しようとしても舌がまともに動いてくれない。こんなの間違ってる。駄目だと叫んでも膝が震える。  おれは勇大の恋人なのに。こんな奴らに従っちゃいけないのに。分かっているのに反抗できない。こいつらに従ったらラグビーを続けられない。それだけは、耐えられない。   「何でもするというから機会をやったのにな?やる気が無いならさっさと帰れ」 「そんな、そんなの卑怯だ!」 「おいおい、卑怯なのは男でも無いくせに隠してたラグビーしてたテメェだろ?棚に上げてんじゃねえよ」 「身体を使わせるだけでラグビーが続けられるのに。きみ、本当にラグビー続けたいの?」  耳元で囁かれる言葉がおれの脳を狂わせる。金属を腐食させる酸。堤防から漏れ出る水。じわりじわりとおれの理性を溶かし、正常な思考を奪っていく。  勇大への罪悪感。申し訳ないと感じてしまう。でも、おれはラグビーを止めるわけにはいかないんだ。じゃないとおれは本当の男になれない。だからこいつらに従うしかないんだ……!   「ひぐうぅ。ち、畜生……!」 「お、言う事聞く気になったかな?えらいえらい」 「無駄な手間かけさせんなよボケ。てめぇは黙っておれたちに使われてりゃいいんだ」 「続けて欲しいんだな?なら口を開けろ。キスの仕方も覚えて貰わんとな?」 「あぅ、ああぁ――んっ!んんっ」  再び監督の顔が近寄って来たかと思うと、おれの口が塞がれる。  今度は不意に舌をぶちこまれたのではなく、おれ自身の意思で口を開き監督を受け入れる。勇大じゃない違う男とキスをしている。不純で薄汚い行為。    熊獣人という種の口は強靭で獰猛。その気になればおれの喉笛を易々と食いちぎれる口がおれの口と重なる。おれも同じく肉食種としての凶悪な口を持つ。だからだろうか、監督とのキスは勇大と行うよりもしっくり来てしまう。嫌だと感じているのに監督はおれの口をたやすく貪る。勇大との甘やかで、愛を確認する為のキスじゃなく、ただおれを食らう為だけのケダモノの口づけだ。 「ジュプ、んっ」 「んんうぅぅ、ちゅ、ううぅん」  雄熊のマズルでおれの唇を摘み、ぶ厚い舌で執拗に舐め、赤ん坊がミルクを吸うように吸い上げられる。愛を誓った恋人ではない他の男に自分の口を好きにされ、悔しさに涙が浮かぶ。おれの口は捕食者に食われるだけの肉と化して、卑劣な男の唾液でドロドロに汚されていく。    監督の目は弧を描き獲物を手に入れた征服感で濁り切っていた。おれを自分の雌としか見ていない雄の瞳。こんな下劣な男の本性を見抜けない自分に吐き気がする。こんな下衆に口を犯されているんだ。がっぷりと隙間なく口を咥えこまれ、隣の先輩たちに視られながら。更に―― 「ん゛ッ!? ん゛ぢゅぶうぅうぅぅ!」  おれの唇を割り開き、口内におぞましい舌が侵入を果たす。  勇大とのキスではこんな事されない。愛おしい恋人にするのではなく、ただおれを自分の所有物にする為のキス。愛おしい恋人にさえ触れられていない部分を監督の舌は凌辱し、冒涜する。おれの舌とは違って太く熱い舌は唾液でぬらつきながら小さな蛇のようにおれの口内を這い回り、薄っぺらい舌に絡みついて来る。  凌辱者から逃げようとしてもすぐに監督の舌は纏わりついて、粘っこい唾液を擦り付けてくる。火傷しそうなほどに滾る舌が、おれの舌先をくすぐり、舌の裏側までも粘膜をこそげ落としそうなほどの勢いで舐めあげてくる。静謐な部屋の中に淫猥な唾液の音が響き、蕩けてしまいそうなほどに熱い舌肉が絡み合う。    どれだけの間唇を重ねていただろうか。忘れるほど長く唇を啄まれ、下品で激しいキスに脳みその芯までも溶かされた頃になりようやく口を解放される。   「ふ、はぁ。美味いな。いいぞ、雌の味がする」 「う゛ええぇ。げぇっ!も、もうやめで」 「オイ、監督にキスして頂いたのになんだその態度は。躾てやらねぇとダメだな」 「そうだね。ちんぽハメてあげる前に身体を暖めてあげようか。監督、いいですよね?」 「マンコ以外なら好きにして構わんぞ。おれはもう少しキスの練習をしてやるからな」  お前の意思など関係無いとばかりに嘲笑を交わし、三度監督の口がむしゃぶりついてくる。今までと違うのは唇でも舌でもなく、おれの口内全てを凌辱してくる事。牙の裏側から口蓋のざらついた部分まで舌で堪能したかと思うと、今度は唾液を流し込んで来る。  汚物と変わらないドロドロしたそれは、顔をがっちりと拘束されて拒む事ができない。おれの物とも勇大の物とも違う濃厚な粘液は、瞬く間におれの口内を溢れんばかりに満たしていく。吐き出したいがおれと監督の口はぴったり密着していて不可能だ。せめて飲み込む事だけはするまいと口の中に滞留させるが、先輩達はそれすらも許してくれなかった。   「ふぶおおぉ!? ん゛ぶゥーーーッ!」 「テメェは良いケツしてるな。このケツ見るたびにちんぽブチこんでやりたかったんだ」 「腹筋もぼこぼこしてるし、頑張ってトレーニングしてるんだね。エロい身体だなぁ」 「ぶぐうぅ! んぼおぉお!」  身体を駆け巡る快感。そのせいで唾液を飲んでしまったがそれよりも休みなく注がれる甘い感覚に思考を乱される。  左右でおれを拘束する先輩達が、全身に両手を這いまわらせる。いつも心地良いスキンシップしてくれていた先輩達が、今は性欲に目をぎらつかせておれのあらゆる箇所を撫でまわしている。猪狩先輩はグッグッと手形が残りそうなほどの力でおれのけつを揉んでくる。  でかくて丸々として、コンプレックスだったでかいけつはグローブのような逞しい手で無様に形を変形させる。太い指で握られると痛み以上にぞわぞわとした感覚が湧き上がってしまう。勇大に愛撫されている時と同じ、あのもどかしい快感。 「ん?猪狩にお尻を揉んで貰って気持ち良いのかな?乳首大きくなってる。それとももともと大きいのかな?ねえ、どっち?」 「ん゛ぶうぅうぅぅ」  伏見先輩の手がラグシャツに潜ったかと思うと、いきなり乳首をつねってきた。乳輪がでかくて恥ずかしい形をした乳首は、勇大にいつも捏ねられているから普通の男のそれよりでかくて黒ずんでいる。シャツに擦れるだけで淡い快感を生んでしまう雌の突起。  そんな部位をつねられて快楽が暴れ回る。抵抗しようと硬くなっていた筋肉が緩み、勇大に抱かれている時のような淫らな顔が浮き上がってしまう。  股のあたりがぬるついているのはマンコが反応しているからだ。厭わしいマンコはこんな屑どもの愛撫で反応し、雄のちんぽを迎え入れようと自身をぬらつかせていく。   「ん゛んっ! やめ゛ぇ、ん゛ぶっ!」 「オイオイ、ケツ振ってねえで監督に奉仕しろや。テメェだけ楽しんでんなよ」 「ほら、監督にキスのお返ししないと。監督が満足しないと終わらないよー?」 「ふんぐぉお゛おぉお~~~❤」  反論の言葉は唇で塞がれているが、自由に喋れたとしてもまともな言葉にはならなかっただろう。  気持ちいい。けつ肉を乱暴に揉みしだかれ、谷間を割り開くように伸ばされると肛門が勝手にひくつく。乳首を指の間でコリコリと転がされると身をよじらせてしまう。乳首は言い訳できないほどにデカく硬く変容し、もっといじってくれてとおねだりしているみたいだ。  太い指で愛撫されるとおれの身体が雌みたいにくねりだす。勇大の手ではないのに、嫌悪すべき奴らなのに身体は正直に反応する。いけないと思っても何もできない。肛門を指でくすぐられると鼻息が荒くなり、でかい肉の芽を強く抓まれると足腰が震え出す。いつしかおれの呻き声には媚びが滲み始めていた。   「んむ゛ううぅぅ❤❤んっ❤ふぶぅうぅ❤」  唾液で満たされた口内に甘さが染み込む。鍛えた肉体を捏ねられ、雌の肉を転がされるのがたまらなく気持ちいい。声を抑えたいのに身体が言う事を聞いてくれない。少しでも気を紛らわせたいからか、注がれる唾液を自分から飲み下してしまう。  必死に隠そうとしていたが、マンコだけではなくちんぽまでも快感に反応していた。内股になったところで隠せるわけもない勃起ちんぽがラグパンを膨らませている。   「おーっと、いっちょ前に勃起してんじゃねえか。マンコ野郎の分際で調子に乗ってんじゃねえぞボケ!」 「この程度でおちんぽ勃たせちゃって可愛いねー。監督のベロチューがよっぽど気に入ったみたいですよ。乳首もビンビン」 「ふぶううぅ❤❤ん゛ーーーっ❤❤❤」 「ん?キスだけじゃなくて僕たちにもいっぱい虐めて欲しい?仕方ないなぁ」 「恋人に申し訳ねぇと思わねぇのかクソ淫乱。監督、ちっとばかしこいつ動けなくしてください」 「んぐっ!? んぶうぉお゛おおぉぉおぉーーーーっ❤❤❤」  先輩達による拘束が解け両腕が自由になるが、抵抗する隙も無く監督に強く抱きしめられた。現役を引退して久しいとは思えぬ太い腕で締め付けられると、ジャージを押し上げる巨根がおれのちんぽへと触れる。  胸筋同士も密着して行われるのは今までで一番激しいキス。舌を引っこ抜きそうな勢いで蹂躙し、唾液や酸素までも飲み干しそうなほどの勢いで吸い上げてくる。   「おぼぉお゛おぉおぉおぉ❤❤❤ふんお゛おぉおぉ~~❤❤」  ジュルジュル、ビチャビチャと下品極まりない音がおれの口から響くがそんな事気にしてられない。これまでとは全く違うキスはおれから何もかも奪い去ってしまう。罪悪感、理性、プライド、勇大への愛。おれが必死になって守ろうとしている全てが、下品なキスで消え失せていく。  舌を吸われると根本がじぃんと熱くなり、脳みそから全身へと熱が伝播する。ちんぽがラグパンの中で暴れ回り、濡れていたマンコは貝の口を緩めて卑猥な粘液を盛んに分泌する。まるで、ちんぽの為の道を整備しているかのように。    やばい、このままじゃおれがおかしくなる。そう思っても顔をそらす事もできず、酸素を取り込もうと鼻をすはすはと無様に鳴らす。監督の舌は醜態を晒すおれを嘲笑いながら暴虐の限りを尽くす。吸い上げられた舌を篭絡するようになぶり、ぐるぐると巻き付かせて舌同士でも抱きしめ合う。  キスだけでもちんぽへ流れ込む血は増え、下っ腹のあたりが熱くなる。このまま続ければおれはキスだけで絶頂するだろう。そんな事できない。勇大以外とのキスで快感を覚え、イカされるなんて絶対に嫌だと身体をよじらせてもがく。  ――だが、おれの抵抗なんて無意味なのだ。ケダモノと化した先輩達が許してはくれない。   「おおおっ!なんだよ下着までヌルヌルじゃねえか。マンコ疼いちまったかぁ?」 「乳首もエグい色してるよー。いっぱいしゃぶってもらってるんだね」 「ん゛ううううぅっ❤❤❤」  先輩達は背後に回ったかと思うと、ラグシャツとラグパンの両方を一気に引っ張ってきた。おれの胸筋にシャツは引っかかり、反対にラグパンは内股になった太ももの途中までずり下ろされる。おれの身体が、恥ずかしく膨れた乳首と隠し通して来たでかいけつが見られてしまう。  オレンジと白の体躯は汗と愛液でいたるところが濡れそぼっている。蛍光灯の下、ラグビーのユニフォームを半端に着てけつも胸もちんぽまでも曝け出して。変態にしか見えないで自分を想像して肛門とマンコが収縮する。   「見ろよこれ、マン汁で太ももグショグショだ。ちんぽハメて欲しくて我慢できねえんだな」 「じゃああんまり焦らしちゃ可哀そうだねぇ。さっさとイカせてあげようか」 「そうだな。オイ虎縞、我慢もできねぇ淫乱をイかせてやるからよ。せいぜいみっとみなくザーメンぶっ放してくれや」 「むぐぉお゛おおおおぉおぉん❤❤❤」

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