悪滅のトカゲ――痴漢列車編――その三 (Pixiv Fanbox)
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淫魔が持ちかけたゲームは実にシンプルなものだった。
トカゲが再び痴漢電車へと乗り込んで、淫魔がその身体を辱める。トカゲは抵抗をする事も黙して痴漢をされるのも自由であり、いつゲームから逃げ出しても構わない。その代わり、仲間を呼ぶことは禁止され、淫魔の指定した衣装でゲームに挑まなくてはならない。
終了条件はシンプルで、トカゲが快楽に堕ちてしまえば負け。逆に淫魔が欲望に負けてトカゲを犯し、その精を吸い尽くされてしまえばトカゲの勝利。
言うまでもなくトカゲが不利なルールであり、下手をすればトカゲが淫魔の餌とされる可能性もある危険な勝負だ。しかし、トカゲは逃げるわけにはいかなかった。
(逃げ出すわけにはいかねぇ。あの淫魔、相当に厄介そうだ。ここで仕留めておかねえとどれだけ犠牲者が出るか)
あれだけの分身を生み出す力。トカゲの正体を見抜く知能。そして、あれだけのスペックを備えながらも痴漢という目立たぬ手段で精を集める狡猾さ。この機会を逃してしまえば、また別の場所で獲物を探すに違いなかった。今度はトカゲたちでも見つけられないような深く昏い場所で。
(だからおれを舐めている今が最大のチャンスなんだ。大丈夫、今までも調子に乗った淫魔を食い殺してやったじゃねえか)
トカゲを侮り犯そうとした淫魔は数多くいるが、トカゲはその全てを返り討ちにしてミイラになるまで精を吸い取ってきた。トカゲの身体は人間相手ならばただの肉付き豊かな肢体でしかないが、淫魔を相手にすれば激毒を秘めた花へと変わる。
その汗と体臭は淫魔を煽り立てて、ちんぽをハメてしまえばトカゲの意思一つで精気を吸い取られてしまう。逃げ出そうにも雄膣の締め付けと肉の蕩け具合に溺れ、死ぬまで精液を放ち続けるしかない。まさに淫魔にとっての食虫花である。
トカゲは許しを乞う淫魔に跨って、命とともに精液を搾り取る殺し方を良く好んだ。何百匹という数の怪物を自分の尻で屈服させてきた経験は、トカゲから逃げるという臆病な判断を選ばせなかった。
(さーて、そろそろ来る頃だと思うが)
車窓から覗く風景は駅を出たばかりの頃にビジネス街から都市公園の自然や住宅街のそれへと変わっている。車内に付けられたモニターでは来年開かれる国際的スポーツイベントについて語っており、アナウンサーが華やかに笑っていた。
通勤ラッシュを過ぎた時間帯ではサラリーマンやオフィスレディたちの姿こそないが、主婦や余生を過ごす老人たちで車内が埋まっており痴漢をするにはなかなかの環境だ。他者からの視線や意識から隠れることができる淫魔ならばどのような状況だろうと問題は無いのだが。
「良く来てくれましたね。そのライダースーツ、大変お似合いですよ」
突然、トカゲの耳元で囁き声がした。
驚きもせずに周囲を見渡すと、いつのまにやら目の前にスーツ姿の竜人が腰かけていた。トカゲにも負けない巨躯と安物のスーツがアンバランスなその男は、印象に残らない微笑みでトカゲと視線を斬り結ぶ。
「来やがったか。とっとと始めようぜ、お前の不愉快なツラからとっととおさらばしたいしな」
「そうですねぇ。私もあなたの身体が待ち遠しくて、もう抑えられそうにありません……始めるとしましょうか」
長い舌で口周りを舐め取った後、竜は芝居がかった仕草で指を鳴らした。
報告書にあった手の群れで責めてくるかと身構えたトカゲの予想を裏切って、電車が緩やかに停止すると同時に扉の開閉音がした。
不意を突かれたトカゲが振り向こうとする前に、学生服の集団によって奥へ奥へと押し込まれた。むさ苦しい体格の学生たちが波となり、トカゲをドアの付近で押しつぶしてしまう。
「な、これはっ……!」
「今日は名門スポーツ校の野球部が大会に出る日でしてね。野球部以外もこうして電車で応援へ向かうというわけです……聡明な囮捜査官殿はご存じありませんでしたか?」
「くっ!」
これがホームの差か。
淫魔はこのタイミングを見計らってトカゲの指定する車両・時間に指示を出したのだ。トカゲは見抜けなかった悔しさに歯噛みするが、すぐにそれどころでは無くなった。
狭い車両の中を埋め尽くす男子学生。それも、スポーツによって鍛え上げた縦にも横にも馬鹿でかい獣人たち。身体から匂いたつ健全な雄臭さと湧き立つ熱気によって車内は汗臭いサウナへと変わる。
青少年たちは下品な肉体を見せつけるライダースーツのトカゲを盗み見て、特に強調されている乳や尻に視線を注ぎ込む。自分の身体を曝け出すのに慣れたトカゲでもたまらず腰がくねる欲望の視線。
「で、ギャラリーを増やしてどうしたいんだ?おれを堕としてやりてぇんだろ?早くかかって来いよ」
「ギャラリーなどどとんでもないことをおっしゃいますね。彼らは参加者……あなたの身体を嬲るお手伝いをしていただくのですよ」
まさか一般人を操って痴漢行為を働かせるつもりか。ならばこんなゲームに付き合うわけにはいかないと、トカゲが筋繊維を漲らせた――まさにその瞬間だった。
(すげぇ、あのトカゲの人すごいでっけぇオッパイしてるなぁ)
突然頭の中に声が響いたのだ。
思念を介して話しかけるなど淫魔相手ならば珍しくもないが、それは耳障りな淫魔の思念ではなく、青々とした青年の欲望だった。今まさに、トカゲの大胸筋を盗み見ている学生の誰かの。
(おれの頭よりデッケェじゃんか、あの乳。ちんぽ余裕で挟めちまうよ)
決して口には出せない生々しく、金玉からそのまま滲み出てくるような雄の欲望がトカゲの脳みそに侵入してくる。学生たちはなんてことのない顔で「応援とかダルいよな」「終わったらカラオケ行こうぜ」などと当たり障りの無い会話を繰り広げている。
(ブルブル揺れてるぜおい。柔らかそう……)
(揉みしだきてぇ。握りつぶしってやって、おれの手のひらの痕を残して、指を食い込ませてやりてぇ)
だがトカゲが感じ取ってしまう思念は精液の臭いを帯びた、童貞高校生の妄想だ。それも一人ではなく、トカゲを視界に入れた全員の欲望。数も質もすさまじい。
(あのケツやっべぇなオイ。モデルかなんかなのか)
(引っ叩いて泣かせてあげたいなぁ。怖そうな顔してるけど、虐めたら悦んでケツを振っちゃうタイプだよアレ)
トカゲを見る学生たちの目はただエロい乳や尻を見る、というだけのものではない。今すぐにでもちんぽを扱き上げてトカゲを犯そうとしている性欲猿のもの。トカゲをオナホかラブドール同然に扱っているものだった。
「へっ、だからなんだってんだ。おれぁ囮捜査の時は中学生のガキどもに姦されたことだってあんだぜ?この程度ヘでもねぇや」
淫魔本体ではなく一般人の視線が割り込んできてトカゲは一瞬怯んだがすぐに平常心を取り戻した。淫魔相手に一番危険なのは自分のペースを見失う事だ。
自分を保て。動揺を相手に悟られるな。己が狩人であると思い出せ。トカゲはふてぶてしく笑って淫魔の親玉――『沼男』を挑発してみせると、若干の沈黙の後に含み笑いが返ってきた。
(ええ、ええ。そうでしょうとも。ですがご安心ください。彼らはあくまでガルニチュール。メインデシッシュは私ですからねぇ)
思考に絡みついた醜悪な思念を感じとり、トカゲは身構えた。来る。報告書にあるならばこの淫魔の得手は――
「んおぉっ❤」
下半身を撫で回す感触に甘い声が漏れた。
金属製の車両、その中空から現れたのは『沼男』が着ているものと同じスーツを着込んだ腕だった。筋肉で鍛え上げられた丸太のような腕とそれに相応しい五指がライダースーツの表面を這いまわる。
指先が触れた箇所から快感な波のように拡がってトカゲはたまらず腰を振り、乳と尻を恥知らずに暴れさせた。
(すっげぇ!デカ乳をいきなり揺らしたぜ!)
そして同時に送り込まれてくるギャラリーの思念。ゆっさゆっさと揺れる肉に学生たちが涎を垂らす。
(あんなにガタイがいいのに筋肉は柔らかいんだなぁ。揉んでみてぇ~)
(中に何も着てねえのかな。マトモな下着つけてたらあんなにケツ揺れねえよなぁ)
「くそっ!うるせえガキどもだな!こっちは今から戦うところだってのに――んあぁ❤❤おんっ❤」
太ももを這いまわる指先を跳ねのけようとしたが内ももを揉みほぐされて膝が笑う。学生たちがいちいち反応するせいで思い切って身体を動かすことができない。淫魔相手ならばなんの羞恥心も無いが、幼い男子どもに欲情されるのはどうしたって気にしてしまう。
(ほら、捕まえましたよ。彼らが満足するように踊ってみせてください)
「あくうぅう❤❤離せぇ❤」
トカゲが尻を振っている間にも手は増えて、腰を手に当てるモデルの立ち姿で固められる。そのまま背筋が真っすぐになるように正されると、まるで大胸筋を見せつけるような姿にされてしまう。
事実、学生の何人かが強調された雄っぱいに注目して鼻息を荒くする。本人たちは盗み見ているつもりなのだろうが、その視線はあからさまに震える乳肉に絡みついて離れそうにもなかった。トカゲが拘束と視線から逃れようとすれば尻が揺れ、そちらにも視線が集まってしまう。もはや、ストリップの踊り子同然に全ての所作が男を誘っている。
「あ゛うぅ❤❤やめろ❤見るんじゃねえ❤」
トカゲの声は届かずにただ顔を上気させて喘いでるようにしか見えないだろう。淫魔の手が増えれば増えるほどに快楽はあがり、撫でられている尻はもとより高速されている箇所からも心地良さが染み込んでくる。
指に内ももや背筋を走られるとくすぐったさと快感で膝が笑うが手で磔にされているせいで膝を折ることすら許されない。
加えて、青年たちの視線も愛撫のように肌を這いまわして快楽を助長する。トカゲが淫魔退治のプロでなければとっくにザーメンを漏らしてもおかしくなかった。
(まだ拘束しただけですよ……こうもたやすく屈服されると私としてもつまらないのですが?)
「うぅうぅ❤うるせぇ❤❤はん❤てめぇを誘うために煽ってやってんだよ❤❤ちんぽブチこみたくなったらいつでも言いやがれ❤」
半分は虚勢。半分は事実だった。
確かにたまらない快楽ではあるがトカゲにとっては耐えられないものではない。過去には服が擦れるだけでも射精する身体に改造された事もある。喘ぎ声こそあげてしまっているが、完全に屈服さえしなければいいだけだ。逆にこの状況を利用して淫魔を挑発してやるつもりだった。
(そうそう、その意気です。頑張って私と青年たちを虜にしてみせてくださいね?)
「ぐ、うぅうぅぉ❤ゴタクはいいがら、さっさと始めやがれぇ❤❤」
牙を唾液で光らせながら煽るが、這いまわる手はあくまでもスローテンポだった。ゆっくりと大胸筋をすくいあげて、ナメクジのような速度で指を食い込ませてくる。尻を撫でている手も優美な円形をじわじわと押しつぶしてくる。黒革のきしむ音は電車の駆動音に紛れて消えてしまう。
「ん、む゛ぅ……❤」
トカゲは可能な限り表情を取り繕った。淫魔相手には見抜かれてしまうだろうが、周囲を囲む学生たちには快楽で崩れた顔を見せるわけにいかない。もしも下品にイキ顔を見せてしまえばもっとおぞましい欲望と視線が注ぎこまれるに決まっているのだ。
逆に快楽に耐えさえすれば。自然と学生たちの興味も消えるかそのうち電車から降りるはず。淫魔相手といえど少しの間なら平静を保つことができる。
「お゛あぁあ❤ケッ❤ケツゥ❤❤おれのケツがぁ❤」
はずだが、トカゲは翠の鱗を火照らせて喘いでいた。
乳と尻のデカ肉はダイナミックに揉み込まれ、トカゲは唯一自由に動かせる腰を下品に躍らせてしまう。
学生たちからすれば胸や乳に手形がついて不可思議に肉が動くという非現実的な光景があるが、トカゲのエロさの前にはそんなことはどうでもいいようだった。
乳と尻だけではない。股間をくすぐっていた手がスリットの膨らみを探り当て、指の腹で押し込み始めた。もう一本が肛門の上から擦り始めて、会陰部のあたりまで何度も何度も往復運動をしてくる。
「おぉおぉ~~っ❤❤ずりぃ❤そこ、触るな゛あぁ❤❤」
(な、あの人興奮してるんじゃねえか?顔が緩んでるぜ)
(確かに。ローターでも仕込んでたりして)
自分がどんな顔をしているか思考で実況されるため、屈辱と羞恥心が加速する。あの淫魔どもとは比較にならない。快楽を助長する魔力もそうだが、手管の一つ一つが巧みでトカゲに快楽の火種を注ぎ続ける。手が触れるのはあくまでライダースーツの上からで、それでも尻穴やちんぽといった乳首には手を出してしない。あくまでトカゲを悶えさせるようなもどかしくじれったいもの。まるで、自分の身体を美味くいただくための下拵えをしているかのような――そんな予感が腹の底で蠢いていた。
「お゛ぉおぉ❤❤ん゛ぁ❤てっ❤てめえぇ❤❤❤なんで、そんな゛に胸ばっがぁ❤」
トカゲの予感は最悪の形で当たった。
全身の這いまわりを続けつつ、何本もの腕が大胸筋へ集まってきたのだ。ライダースーツの下に風船でも詰め込んでいるような雄胸に群がった手は、それぞれが好き勝手に胸を責めたて始めた。
大胸筋の根本を掴んでくびりだそうとする手。そのせいで余計に突き出した雄胸を小刻みに揺すり立ててくる手。先端三分の一ぐらいを真上から鷲掴みにしてくる手。どれも巧みにトカゲのデカ乳を愛撫してくる。
「胸ぇ❤❤ぐう゛ぅぅ❤やめろ❤❤胸なんて大してヨくならねえんだよ❤淫魔のくせに人のイイとこも分からねえのかよぉ❤」
(ああ、お芝居はいいですよ。あんな分かりやすく感じていらっしゃるのに分からないとは私の分身は不出来ですねぇ。お詫びに私が奉仕してさしあげますよ)
「お゛ぉおぉおぉ❤❤❤」
自分の芝居までも見抜かれていた事がトカゲから余裕を奪う。乳首も弱点だが、トカゲの発達した大胸筋は揉まれるだけでもイける完全な性器だ。それゆえに隠す術も学んだのに、腕たちは無駄な抵抗をせせら笑うように揉み荒らしてくる。
トカゲの鼻息が荒くなり童貞小僧たちでも分かってしまう発情顔になってしまっていた。
責めは徐々に淫らさを増し、付け根をつかむ手は乳肉の根本まで含んだ中身を搾り出そうとして、下から揺すり立てている手は下から揺すり。一番先の手は、搾り、送り込まれてきた肉をグニュッと潰し、ボリュームを付け根に押し戻す。トカゲの乳は人工的な流れを作り出され、快楽を乳の中で流動させられる。そんなもの、耐えられるわけがない。
「ん゛ごぉおおぉ❤❤おでの乳がああ゛あぁあ❤❤❤お゛ぉおぉ❤すっげ❤❤雄乳おがじぐなるぅうぅうぅ❤❤❤」
(そうそう、胸の中でも特にココが弱いんですよね。ほら)
「あっひゃああぁ❤❤❤」
トカゲの顎を跳ね上げさせたのは最も尖端を弄っている指先だ。乳の頂点を摘まみながらも乳輪へは侵入しなかった指が、ゆっくりと加圧をかけてくる。
指先はライダースーツに浮かんだ乳頭、その乳首には触れないように乳輪だけをなぞってくる。羽でくすぐられる程度の微弱な刺激でしかないはずだが、すっかり昂ってしまったトカゲには地獄の責め苦であり背筋をたわませてしまう。
(やっぱり胸が弱いんですねぇ。乳首だけでイき狂えてしまう淫売に囮捜査なんて務まるのですか?)
「ぢがう゛うぅ❤❤おれは、胸なんが弱点じゃあぁ❤」
(そうですか。ではもっと強く虐めても平気ですね?)
「~~~~っ❤❤❤」
学生たちにはトカゲの首筋に走る緊張が見て取れたことだろう。顔面の筋肉も快楽で腑抜けているくせにピクピクと痙攣を続けて、悦びと苦しみを混ぜ合わせたような表情を形作っていた。
そそり勃っていた雌芽を、親指、人差し指、中指が三方から押しつぶしてくる。それは猛禽類が獲物を捕らえた時のような容赦の無い力加減でトカゲをあっという間に追い詰める。
「ぐぎぃいぃい゛ぃいぃ❤❤❤ぢぐび潰れるぅうぅ❤❤」
牙の間に唾液の柱をかける筋肉トカゲ。あからさまな内股になって喘ぎ散らす姿を見て、学生たちは今にも鼻血を噴きそうになっていた。硬度を増した乳首とアヘ顔に股間を窮屈そうにして「アレ絶対イってるって!」「おれのこと誘ってんじゃねえか!ヤらせてくれるかも」「すげぇ!乳首めちゃくちゃでけぇよあの兄ちゃん!」と卑猥な思考を投げつけられる。
「見るな゛あぁ❤❤これ以上見ないでくれぇ❤❤❤お゛ぅうぅん❤」
(立派な乳首です。私も虐めがいがありますよ。くすくす)
三本指が情け容赦なく乳首を嬲り始める。親指と中指で挟み、指の腹で転がす。空いた人差し指は、頂点を軽くひっかき、あるいはスーツからでも分かるほどに顔を出した乳の切れ目に爪先をねじこんだ。
乳首だけを粘着質に虐めると、続いて乳暈ごと摘まみ上げて前方に向けて力いっぱい引き伸ばす。ライダースーツによる防護が無ければ拷問にも使える力加減だった。
和らいでいた双乳への揉み込みも激しさを再開した。黒革の下で乳肉は汗みどろになっているらしく、スーツの内側で濡れた音がする。谷間の間で汗が鳴っている。乳を這って流れ落ちた汗粒が腹筋を舐めて紐パンが張り付く股間へと合流していた。布地が既に濡れているのは汗のせいだ。絶対にスリットから発情汁を漏らしているわけではない。そう言い聞かせないと耐えられなかった。
(もっと胸を突き出してください。これじゃいやらしい乳首が良く見えませんよ)
「ひぎぃいい゛ぃぃ❤❤伸びる❤乳首伸びちまうよおぉおぉ❤❤❤おっ❤んぉおぉ❤❤」
乳首を引っ張られると抗えなかった。背筋をそり返らせて、胸を突き出して挑発するポージングを取ってしまう。乳派閥に属する学生たちの狂喜が脳みそに突き刺さってくる。
興奮のし過ぎでトカゲも文字に起こせないほどの情報量だったが、腕が首筋へ伸びた途端にある一つの思考に統一される。
(チャックだ!チャックが下ろされてる!生乳!生乳だっ!)
首元に這った腕が、喉まで上げていたファスナーをゆっくりと下ろしてきたのだ。汗と火照った身体でサウナになっていた身体に冷房が流れ込みどれだけ発情していたのか思いしらせてくる。張りと疼きのせいで耐えがたいまでに膨らんでいた窮屈さが薄れ、吐息をこぼしたくなるような解放感を味わわされると共に――
(汗でベトベトだ……生のオッパイ……濡れてる、エロすぎる)
学生たちのぎらついた視線に純白な胸肉が晒される。翡翠の鱗と映える白い肉に玉粒が浮かぶさまは官能的であり、チャックが勝手に動いた理屈さえどうでもよくなっているらしかった。
視線を肌で感じてトカゲの胸に怖気が走るが、腕は追い打ちをかけるように黒革の内部へと潜り込んでくる。両腕を交差させて腹筋のあたりにX字を描き、左右の爆乳をそれぞれ握りしめてきた。スーツ越しでは味わえない肌と肌との擦れ合いだけがもたらす心地良さがトカゲの口を大きく開け放たせ、目の錯覚でもなんでもなくスーツの表皮に浮かび上がった手の輪郭が学生たちの理性を狂わせる。
(揉め!)
学生たちの願いは統一されていた。
(揉め!そのデカ乳揉んでイかせちまえ!)
「う゛ああぁあぁ❤も、もう❤もう見るのやめろおぉぉ❤❤❤」
ちんぽを硬くした学生たちの思念がトカゲの脳細胞を焼き焦がす。トカゲが圧倒的な情報に酩酊する隙を狙って、淫魔の腕がリクエストにお応えした。トカゲの両乳首を、根本から曲げるように捏ねてきたのだ。
「あ゛っひゃああぁぁあぁ❤❤❤❤」
崩れ落ちようとしても、腕が抱き止めて逃がしてくれなかった。直接指で挟まれての愛撫はたまらなかった。人差し指と中指のあいだで挟み、指を反らせて引き伸ばしつつ、ブルブルと揺すり立てる。スーツが引き伸ばされるせいで乳肉の露出具合が上昇し、少年たちの股間が湯気が立ちそうなほどの熱量を発していた。雄の欲望を剥き出しの視線は、指の愛撫とは別ベクトルで快楽を叩き付けてくる。
トカゲの膝が笑っていて、腕が離れたら尻だけを掲げて倒れそうだった。今までのどんなセックスよりも上を行く喜悦が尻尾の根本から肛門を這いあがり、結腸にまで潜り込んでいる。
「う゛ぉおぉ❤❤お゛っ❤んぉおおぉ❤❤❤お゛ッ❤それやべえ゛ェええぇぇ❤❤❤❤」
引っ張られていた乳首が、一転して乳肉のなかに埋められた。親指で乳頭を陥没させられた状態で、力任せに大胸筋を揉みしだかれる。トカゲの乳首はパン生地に埋没させられたレーズンのように圧迫され、潰される。
雌突起も支える土台も互いの肉体をぶつけある悦びに気付かされ、自分自身の身体を淫具に変えられてしまう。トカゲは乳首伸ばしの時とはオクターブが違う喘ぎ声を上げ続けた。
(はい、次は逆方向に出発しますよ。しっかりついてきてくださいね)
「んほぉおお゛おぉおぉおぉ~~~❤❤❤❤」
魔指が再び乳首を伸ばし、親指と人差し指の腹でしごきあげてくる。自分のちんぽをしごくよりも激しい摩擦ぶりは、トカゲの理性をゴリゴリ削り取っていく。目の中でチカチカと極採色が明滅していた。
乳首の中で快楽が弾けると脳みその中で多面性じみた輝きが照らしてくるのだ。トカゲの瞳は今にもまぶたの中に隠れそうだった。
(もう雌の顔ですが……まだ負けていないと言い張りますか?ギブアップでしたらいつでも受け付けますよ?)
「ふじゃけんなあ゛あっ❤❤こ、この程度でおりぇが負けてたまるが、あ゛ぉおおぉぉおおぉおぉぉん❤❤❤❤」
反論しようとすると乳首を摘まみ上げられて、飴細工でも作っているみたいに転がされた。残りの指で大胸筋をゆっくりと搾り上げてくる。まるで女にするような愛撫で乳肉は蕩かされる一方で、乳首は万力に挟まれるような力で潰されている。そのどちらでも快楽しか感じずに、トカゲの股間は紐パンで受け止めきれない愛液で濡れそぼっていた。
(彼らの顔を見てくださいよ。今晩は貴方の痴態でオナニーに勤しむのが確実です。青少年の性癖を歪める気ですか?)
「い、言うな゛ああぁあぁ❤❤❤」
トカゲは必死に目を逸らしていたが、学生たちの思考からは逃れられなかった。乳首でイき狂う姿に食いついて、もはや盗み見ようとする小細工すらしていない。
(もう無理だ!ここでオナりたくって我慢できねえよ!)
(ヤらせてくれねえかなあ。絶対おれを誘ってるよ。すっげぇ雄くせぇ……)
乳首に根本を押されると牙が剥き出しになる。腋と乳肉の境目を抉られると舌が天を突く。下乳に浮き出している血管を揉み込まれると唾液が噴きこぼれる。
ライダースーツの中は汗みどろだった。肩が落ち着きなく上下し、足の付け根がガクガクと震えている。
(許可を出してあげましょうか?あなたを好きにしていいですよ、と。若い子のちんぽが好きなだけ貰えますよ)
淫魔は侮蔑しながらもぬかりなく乳肉を捏ね上げてきて、奥歯がカチカチと鳴ってしまう。自己弁護の権利すら与えられない。
揉まれる。延々と揉まれている。乳首が潰される。乳輪が抓まれる。乳はマンコ以上の性器であり、トカゲの全てが乳で支配されていた。視界が歪み、脳が揺れる。乳肉が圧迫されるたび全身の血流が反旗を翻して、体温を乱高下させられる。
「あ゛あおおぉおおぉ❤❤❤むりいぃいぃ❤もう無理だあぁ❤❤胸❤いぐいぐ❤❤おれ、おっぱいでいがざれるうぅうぅ❤❤❤」
乳首を潰す一撃一撃が胸のふくらみを串刺しにした。内臓を灼いて背筋まで抜けていく快楽の芯に、揉み込みの刺激がぶつかって乱反射を繰り返す。胸全体に満ちていく悦びの波が、身体の隅々まで満ちて溢れ出しそうになる。
(おっ、おおぉ!アイツ、イきそうになってやがる!)
雄としての本能か、童貞でもトカゲの絶頂を感じとれたらしい。無数の視線がぐらついた眼球や広がる鼻の穴や首筋の微痙攣を確認し、最高の瞬間を脳みそに焼き付けようと集中する。
「い゛やだあ゛あぁあ❤❤❤見るな❤いぐ❤いくがらぁあ❤❤おれ、胸でっ❤おっぱいなんがでええええぇぇぇ❤❤❤」
ぶ厚い背中が折れる限界まで仰け反った。天を見上げて、舌を千切れんばかりに伸ばしてトカゲは叫ぶ。
「い゛っぐぅううぅうぅうぅ❤❤❤❤❤」
快楽と敗北感が脳みその中を乱反射する。唾液が泡となって口角に溜まっていた。仰け反った最高に無様な体勢で、日常生活ではありえない痙攣を曝け出す。
「う゛ごぉおおぉおぉ❤❤❤お゛っ❤んっお゛ぉおぉ~~~~❤❤❤❤」
学生たちにトカゲの嬌声は聞こえなかったが、その痙攣と口から垂れ続ける涎が証明していた。
この筋肉の鎧を身に着け、いかにも優れた雄であると主張しているようなトカゲ野郎が胸を弄られて絶頂したのだと。
「も、もう゛やめ゛ろおぉおぉ❤❤❤それ以上はあ゛あぁぁ❤❤」
そして、理解する。
この淫らな踊りは終わらないのだと。
絶頂から降りる間もなく腕が這いまわり、トカゲの精神が打ち上げられる。
「いぐうぅうぅ❤いぐいぐっ❤❤いぐのぉおぉぉおぉ❤」
乳首が潰されるごとに脳が白く沸騰し、下半身が愛液でぬるついていく。
トカゲがどれだけ哀願しても腕が止まることはなく、次の駅に到着するまで絶頂ショーを披露し続けた。