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「いやっ! 待ってください天女様! これには訳が!」

 細い喉から絞り出されたのは鈴が鳴るような声だ。言い訳の間もなく彼は水の中に引き倒される。尻餅を突いて、そのままずぶ濡れになった。

 水に濡れた髪の毛が光沢をもつように、羽衣も水の薄皮が張ることでより輝きを増す。そのせいか脱ごうと襟に掛ける指はいつまでもつるつると滑り続けた。

「は、羽衣はお返ししますから! どうかお許しください!」

 天女は彼を押し倒す。唇と唇が触れ合い、細雨のような天女の髪が彼の頬を撫でた。

 柔らかな舌が彼の口内に侵入した。編むように舌同士を絡ませたり、歯茎を隅から隅まで舐り回す。顎の違和感から、どこまでも彼は形を変えられてしまったのだと思い知ることになった。

 止めどなく流し込まれる唾液はひどく甘ったるい味がして、喉を下るうちに熱を帯びて内側から体を焼く。ぽっこりとした下腹部に淀む融けた鉛を掻き出そうと手を伸ばした。

「ああ……穢れに塗れて……なんと憐れなこと……」

 天女はその手首を掴む。膂力を失った新しい体では抵抗ができなかった。天女の膝が彼の内股を優しくまさぐる。押される度に、人には聞かれたくない笛の音が喉から漏れ出る。

 決して追い立てないもどかしい動きで、足りない分を補いたくてびくびくと手が震える。股を閉じそうになっては、動きを邪魔しないように開くのを繰り返した。

 天女は彼に微笑みかける。清廉とはほど遠い、蠱惑的な笑みだった。そして彼に覆い被さる。

 胸が触れ合うと弓なりに彼の背が反った。皮を一枚隔てているはずなのに、素肌より帰って鋭敏にその動きを感じた。

 水を潤滑代わりにして淫らな音が響く。彼がすっかり惚けきっている一方で、天女は澄ました顔を全く崩さなかった。

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