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5月のふたけっとで頒布される「シーメール合同3」に寄稿する短編ssの進捗です。 全体では5000字くらいになりそう。本での頒布や、いずれfanboxでの公開も可能になると思うので、楽しみにして頂ければ幸いです。 ※縦書きなので、段落などの形式が少し普段と変わっています ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「ルールは至ってシンプルです」    目の前のバニーガールがにこやかに説明する。 「手元のチップを倍以上にできればあなたの勝ち……簡単でしょう?」  短めの髪に、中性的な美貌の顔。  その下に鎮座する胸はかなりの巨乳で、抱え上げるのも一苦労しそうなボリュームをしている。  黒く艶やかなバニースーツに包まれた身体はかなり露出が激しく、胸のカップはサイズが合わないのか乳肉が窮屈そうにたわんでいて、少し動いたら乳首まで見えてしまいそうだ。 「とはいえ、普通にプレイするだけでは面白くありません」  痴女同然の格好なのだが、バニーは平然とした様子でテーブルを挟んで私の前に立ち、淡々と説明を続けている。  普通なら然るべき指導でも受けてしまいそうな恰好だが……こんな 場所で普通を求めてはいけないのだろう。 「あなたの人生がかかっているわけですし……ね?」  ここは、富豪や権力者をターゲットにした違法カジノ。  その存在自体がもみ消されているのだが、関連して行方不明者が多発しているという情報も報告されていた。  しかし証拠がなく、まっとうな方法では手出しできない。 俺は尻尾を掴むためにここへ潜入調査に来たわけだが……捕まってこのざまだ。 「というわけで、この勝負では金銭ではなく『オスらしさ』を賭けて頂きます」 「オスらしさ……?」  聞き慣れない単語に眉をひそめるが、説明は止まらない。 「勝てば、晴れて自由の身となります。ですが――」  ここで一拍置いて、俺を見つめながらこやかに続けた。  「手持ちのチップをすべて失った場合、逆に『メスらしさ』が与えられます」  意味が分からない。「オスらしさ」に「メスらしさ」?  それぞれ相反する言葉なのは分かるが……。 「ここのお客様にとって、お金が動くだけじゃつまらないんですよ。ショーとして楽しめるものじゃないと」  補足するように付け加えるバニー。どこか愉しんでいるようなその表情に、得体の知れなさを感じる。 「……まあ、やってみた方が早いでしょう」  トランプのカードを取り出して準備をはじめるバニー。  不明な点も多いが、大まかな内容は理解した。  これは邪魔者への見せしめであり、客たちへのショーだ。  もし勝てたとして無事に帰れる保証などないが、やるしかないのだろう。  俺は覚悟を決めて、バニーと相対した。  勝負はブラックジャック。  カウンティングのような細かなテクニックはあるが、序盤では使いようがない。 運と、賭けの額で勝負を決めるしかない。  何回かプレイしたが、チップがじわじわと削られていく。 「私の勝ちです」 「くっ……ん?」  チップの山が半分ほどに減ったところで、ふと気づいた。  握りしめている拳が、妙に白い。自分の腕に触れてみると、あきらかに細くなってきている。  ここでようやく、「オスらしさ」を失うという意味がわかってきた。 「お気づきになりましたか。この勝負は、あなたの身体を賭けているわけです♪」  ……普通の勝負ではないとは思っていたが、まさかこんな事をしてくるとは。  その後も勝負を続けたものの、肉体が変質していく緊張がミスプレイを生み、手持ちをすべて失ってしまった。 「普通に男性だと分かるくらいの顔立ちでしたけど、もう女の子みたいに可愛くなりましたね」 「くそっ……!」  やけに甲高くなった声で悪態をつくが、それすらも見世物として楽しまれてしまうくらい、気迫の欠片もない。 「チップは借りることも可能です。その分、メス化も進みますけど♪」  ……俺の前に、借りたチップの山が積まれた。

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