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コミッションで書きました。pixivに投稿した「筋肉ふたなりアマゾネスの帰還」の女騎士隊、隊員視点になります。 全体で13500字です。導入部分の4100字を全体公開にします。 ~~~~~~~~~~~~~~ 完敗だった。 女騎士隊の隊員である私は、自分の実力にある種の自信を持っていた。 騎士としての鍛錬は積んできたし、女だからといって男に劣るとは思っていない。 うちの隊長は男が大半を占める剣術大会でも優勝しているし、フィジカルだけが勝敗を決めるものではないと信じて今までやってきた。 ただ……そのプライドは、いとも簡単に崩れ去った。 行方不明者の多発による、アマゾネスの撃退任務。 森に入ってしばらくしたところでアマゾネスたちの襲撃を受けた。 まず驚愕したのは、その姿だ。 顔や全体的な体型は女性らしさがあり、胸には豊満な乳房もついた褐色の身体。ここまではイメージ通りだ。 しかし首から下は、見たことがないほど肥大した筋肉に包まれていた。 くわえて股間からは巨大な男性器が生えており……ふたなりアマゾネスという、現実離れした筋肉ダルマどもを相手取ることになったのだ。 私たちは異様な姿に気圧されつつも、敵襲に対して対応するべく剣を構えたのだが―― 「ヌゥン!」 ガキィィンッ!!! 「なっ……!?」 圧倒的なパワーとスピードの前に、こん棒の一振りで剣を弾き飛ばされてしまった。 もちろん、剣だけが騎士のとりえではない。体術だって一通り覚えている。 男にだって使えるレベルで習熟しており、街中で無法者の一人や二人組み伏せることは容易いくらいだ。 ……しかし、力の差は歴然だった。 どんな打撃も全身を包む筋肉に阻まれ、足払いや関節技をかけようにも、その筋力で強引に弾かれてしまう。 どさっ 「うぐっ……」 あっという間に力ずくで組み伏せられ、完膚なきまでに力の差、そして敗北を理解させられる。 完全にマウントを取られた状態となり、トドメの一撃を覚悟したのだが―― がばっ 「っ!?」 アマゾネスは私の身体を抱え上げ、肩に担ぐようにして歩きだした。 予想外の行動に驚きつつも、すぐに察する。 他の行方不明者たちと同様に、私を攫おうとしている……!? 「このっ、離せっ!」 振りほどこうと足掻いても、その圧倒的な力の前に抵抗もままならない。 周囲の隊員たちも似たようなもので、続々とアマゾネスたちに担がれ、同じ方向へと運ばれていく。 私たちが捕まったさなかも隊長と副隊長はまだ戦っていたが……騎士隊は壊滅といっていい状況だった。 「くそっ……」 己の無力さに歯噛みしながら、私たちはアマゾネスによる囚われの身となった。 ふたなりアマゾネスたちはかなり奥地に住んでいるようで、担がれたまま一歩ごとに振動を感じながら木々が後ろ向きに流れていく。 「…………」 どうにか抜け出そうと試みていているものの、がっしりと拘束されて少しも抜け出せそうな気配がない。 ずっともがいても体力を奪われるだけなので、隙をうかがいつつ周囲を観察する。 目の前にあるアマゾネスの身体……相対した瞬間から衝撃しかなかったが、直に触れているとその凄まじさと異様さがより如実に伝わってくる。 担がれている肩はボコリと張り出し、がっしりと固い感触は岩のようで人間の身体とは思えない。 腕はボコボコと筋肉の塊がついていて、筋肉で樽のように中ほどが太く盛り上がっている。 顔よりもデカい二の腕というものがあるのだと、生まれて初めて目の当たりにした。 前腕も太く、私の身体を抑えている手のひらや指までゴツく私の倍近くの厚みや太さがある。 ぎちっ、みしっ 背中も筋肉で分厚い。 騎士隊の更衣室などで隊長の鍛え上げられた精悍な背中を見たことはあるが、背筋を極限まで肥大化させると甲羅のようになるとは初めて知った。 腕の動きや歩調に合わせて、うねるように筋肉の隆起がうごめいている。 その下で見え隠れする太腿も片方だけで私の胴体をはるかに上回る太さで、幾重にも入り組んだ筋肉が大木の幹のように固く強靭に張り詰めている。 そのサイズゆえに両脚を閉じることすら難しいようで、立ち姿も歩行もガニ股気味だ。 今も木々の根が入り組んだ複雑な地形を難なく進んでいるが、この安定感は下半身の筋肉量があってこそといえる。 どこを見ても、筋肉しか目に入ってこない。 この肉体ゆえに、パワーだけでなく巨体にも関わらず我々を凌駕するほどのスピードを生み出している。 すべてが規格外の筋肉量だからこそ、現実離れしつつもバランスが取れているのだろう。 「っ……」 そして強烈なものがもう一つ、匂いだ。 これだけの筋肉を維持するということは、代謝もかなり高いのだろう。 ただ歩いているだけなのに褐色肌からは汗が滲んでおり、木々の間から差す太陽の光でヌラリとした光沢を放っている。 熱気と匂いは私の嗅覚すらも蹂躙するようで、触れている部分からは火照っているような熱と湿った汗の感触が伝わってくる。 (こんな怪物、一体どうすればいいんだ……?) あまりにも圧倒的すぎて、弱点や隙を見出すことができない。 うまく抜け出せないかと脚をばたつかせても、腕の拘束は微動だにしなかった。 全力で抗ってもなお、それが全くの無駄であると分かってしまう。 あまりの力に手の打ちようがない。 さらにアマゾネスたちには、森の中という地の利もある。もし隊長が街に戻って、援軍として軍隊を送れたとしても、勝てるかどうか怪しいだろう。 どうすることもできないまま、密林の奥へと連れていかれた。 我々は、そのままアマゾネスの集落へと連れ込まれた。 森を切り拓いて建てられただろう家々は、巨大な木を用いているようで一つ一つが荒々しくも堅牢だ。 普通なら大がかりな機械もなく切り出すだけでも一苦労だが、この巨体なら数人でも運搬できるのだろう。 文明としては発展途上のようだが、その規模感や威容にはどこか勢いを感じさせる。 日常生活を送っているのだろう他のアマゾネスたちもいた。 みなこいつらと同じように褐色肌かつ異常な体型の筋肉ダルマばかりで、運ばれつつも顔をしかめる。 どうやら戦闘役だけがこの体型をしているわけではないらしい。股間にある男性器を揺らしながら過ごしている様子は、ただただ異様としか表現できない。 彼女たちはこちらを見ては、仲間の帰還を喜んでいた。 「ちっ……」 我々からすれば敗北を喜ばれ、捕虜としての姿を見せつけられているわけで、決して快いものではなかった。 チラリと向けられる視線も、辱めに思えてくる。 しかし、ここは敵地のど真ん中で自分は捕虜だ。中途半端に刺激して無駄に事態を悪化させるわけにはいかない。 耐えるよう自分に言い聞かせながら、集落の中を抜けていった。 「うっ!」 「ぐぁっ!?」 騎士隊を抱えたアマゾネスたちは集落の外れにあるひときわ巨大な建物の中へと入り、そこに我々を投げ出した。 そして仕事は済んだとばかりにぞろぞろと去ってゆき、ガチャリと何かで扉を固定される音がする。 「ここは……」 内部は倉庫のような空間だった。 かなり広いが、家財道具の類は一切置かれていない。 最低限の通気口や、やり取りをするための小窓しかない大部屋のみがあり、アマゾネスたちが居住するために造られたとは到底思えない。 しかし、似たようなものは我々の街でも見たことがあった。 騎士として、嫌でも関わることのあった場所……。 「牢屋だ」 「……え?」 私の呟きに、同僚の一人が反応した。 線が細い身体で気弱なのが表情からも伝わってくる彼女だが、その精神は騎士隊の模範といえるほどに純粋かつ高潔なのはよく知っている。 副隊長のような聖魔法の使い手を目指していて、今も隊員たちにケガがないか診つつ打った箇所に治療を施していた。 「これまでも、行方不明者たちを何人も捕まえてきたんだ。そういう人間を置いていく建物があっても不思議じゃない」 そもそも、捕まえる人間がいなかったらこんな建物を造る必要がないはずだ。 牢にしてはかなりの大規模だが、これまでに襲われた人数を考えれば目的に即しているともいえる。 いままでの行方不明者たちも、ここに入れられたと考えていいだろう。 「じゃあ、これまで捕まえてきた人たちは……」 彼女がそこで口ごもる。 この場所は、我々が入ってくるまで無人だった。 つまり少なくとも、この牢屋に入れる必要がなくなったということで……。 嫌な予感が頭をよぎるが、考えても仕方ないと振り払う。 「ここは一時的な勾留所で、他の所にいるかもしれない。とにかく脱出の可能性を探ろう」 できる限りいい方向の推測を示しつつ、今この状況へと目を向ける。 捕虜としてどんな扱いを受けるのか、どういう目的で我々を捕えたのか……。 考えるれば考えるほど、楽観はできそうもなかった。 半日ほどが経過しただろうか。 水と食事は出されたが、みなできる限り手はつけないようにしている。 手や足を縛られるといった拘束はされていない。ある程度は自由にさせても、自分たちの力でいくらでも対処できると思っているらしい。 悔しいが、その通りだった。 あまりにも力の差がありすぎる。 武器も鎧も失ったいま、我々は少し体術ができる程度の女性でしかない。 ……ただ、一つだけ希望はあった。 いくら経っても、隊長と副隊長たちはここに送られてきていない。 つまり、まだ捕まっていないということだ。 私たちが攫われるときも戦闘を続けていたし、一瞬だけ副隊長の聖魔法の閃光が見えていたからあの場は凌いだのだろう。 もしそうなら、我々を助けるために動いているはずだ。 諦めてはいけないと自分に言い聞かせつつ、思考を巡らせる。 (とはいえ、これは予想外だったな) もちろん脱出を試みたいところだが、そもそも破壊できるような建物ではなかった。 大木から切り出したであろう素材の強靭さと、巨大であるがゆえの質量が脱出する取っ掛かりを与えてくれない。 そして外にはアマゾネスたちが見張りを立てているようで、窓からチラチラと褐色の肉体が見えている。 ドアを破壊して出ていく正攻法しかないとすれば、この見張りと対峙する必要があるのだが……倒せる見込みもない。 外にいるだろう隊長たちへ何か情報を送れないかとも考えたが、この堅牢な建物の内部では信号の一つも出しようがなかった。 (今は動きようがない……か) 現状の厳しさを改めて認識する結果となり、顔を歪める。 全員が無事であることだけが唯一の救いだろうか。 何が起きても対応できるよう警戒しつつ過ごしたが、どこか無力感も漂っていた。

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