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学期が始まってから一週間が経った。 だんだん新年度の生活にも慣れてきて、あまり変わらない日々に力も抜けていく。 このまま去年と大差ない日常が待っている……なんて思っていたけれど、意外とそうでもないらしい。 「……あれ?」 「ん、どした?」 自覚したのは休み時間、いつものようにタクミと雑談しているとき。 彼をみていてふと気が付いた。 「間違ってたらゴメンだけど、ちょっと……やせた?」 「あー、そういや体重減ってたな」 頭をかきながら答えるタクミ。 見慣れた彼の身体だけど、いつもより全体的にひとまわり細くなっている気がする。 シンプルに痩せたというより、体格からしてもうちょっとガタイがよかったはずなんだけど……? 「お前は太ったんじゃね? 制服きつそうだし」 「うっ……」 タクミに言われて言葉に詰まる。自分も少し違和感はあった。 この頃やけに、シャツと胸が擦れるのだ。 服のサイズが変わったわけじゃないから、自分の身体のサイズが上がったのだろう。 なんとなくきつくなった気はしていたけれど、周囲から見ていて分かってしまう位に体型が変わっているのはショックだ。 「乳首だって見えてるぞ」 ツンッ 「ひっ!?」 おもむろに両手の人差し指で胸を突かれる。 乳首あてゲームの要領で伸ばされたその指先は、見事に僕の両乳首にクリーンヒットした。 胸に走る電流のような衝撃に、ビクリと上半身が震えて思わず叫んでしまう。 見下ろすと、シャツにうっすら乳首の突起が浮き上がっていた。 気付かないうちに、かなり胸まわりに肉がついていたらしい。 「成長期も終盤だし、気を抜くとすぐ太るぞ~」 明るく笑いながら自分の席へ戻っていくタクミ。 運動部の子とかが辞めた後に太る……なんて話はよく聞くし、忠告してくれたのだろう。 「……」 僕も席について、自分の胸を触りながら確かめる。 そんなに駄肉がついている感じじゃないけれど、ふにふにと柔らかい感触はある。 まだ制服も着ていられるけれど、これ以上はまずいかもしれない。 いままでそんなに気にしてなかったから、どのくらい変化したのかよく分からない。 (そんなに食べ過ぎたりはしてないんだけど……) ただ、他に気になる点もあった。 妙に敏感な乳首とその周囲、1センチくらい指が沈むその奥の方にしこりがある。 まぁ気にはなるけど、二次性徴のときによくある症状らしいし何もおかしくないか。 しばらくは絆創膏でも貼って通学しようかな……。 自分の身体についてはあまり嬉しい変化ではないけれど、クラスの方にもちょっとした変化というか……運がいいこともあった。 共学だから男女ごっちゃになっているクラスは、学年が変わって座席も変わっている。 そして僕の隣の席に座っているのは、クラス一番の美少女になった。 一之瀬ユリアさん。 艶めいた長髪の黒髪に、鼻筋の通った顔立ち。 品のある所作と、柔らかな雰囲気。 清楚という言葉がぴったり当てはまるような美人なのだ。 女子にしては背が高くて僕と同じくらいある。 スレンダーな体型というのもあって読者モデルなんかもしているらしい。 クラスの誰にでも優しいし、性格もいい。容姿も内面も、絵にかいたような美人。 (本当に綺麗な人だよな……) じろじろ見るわけにはいかないけれど、思わず見とれてしまう。 彼女は教室の窓側にいるので、風が吹いたときにフワリといい匂いがするのだけど……口が裂けても言わないでおこう。 (そして本当に運がよかった……!) この席順になったことを喜びつつ、それとなく彼女を眺める。 もちろん付き合えたら……なんて夢想をしたことはある。 ただ、本気で行動に移せるような胆力は僕にはないし、告白して断られた……なんて噂も耳にする。 それに、学校では絶対に上手くいかないだろう別の原因もあった。 「そこ、服装が乱れてる! ちゃんとボタン閉じなさい!」 学校生活が回りだした気の緩みを引き締めるように制服のチェックをしているのは、風紀委員の佐倉ミヤコだ。 うちのクラスの女子で、風紀委員長を務めている。 成績はクラストップの優等生で、かつ厳格。 僕は注意されることはあまりないけど、校則違反や風紀の乱れは誰にだって容赦しない。 そんな感じだから周囲からあまり好かれている雰囲気はないけど、本人は一切気にしてないし、真面目すぎて一目置かれている感じだ。 万が一、僕と一之瀬さんと付き合えたとして……不純異性交遊は普通にアウトだろう。 学校で「カップルらしい事」ができないとなると、難易度は一気に跳ね上がる。 というか、学校の外で云々……な関係になるまでのルートが想像もつかない。 (まぁ、夢物語だしね) ぼんやりとクラスを眺めつつ、誰に見られるでもなく苦笑する。 いまの距離くらいが、いちばん丁度いいのだろう。 (このクラスもあと1年かぁ……) 最終学年になって、この学校生活も終わりが近づいているのを意識する。 部活動や委員会に関しては、下級生への引継ぎとかもあるしもっと短い。具体的にはあと数か月かな……。 まぁ、時間の許す限り、このまま普通に過ごすことになるんだろう。 僕 身長172 cm/体重64→65kg バスト85→90 /ウエスト74→74 /ヒップ91→93 特記事項 ・第三次性徴開始 柊木タクミ 身長161 cm/体重60→58 kg バスト 81→78/ウエスト71→68 /ヒップ88→86 特記事項 ・第三次性徴開始 一之瀬ユリア 171 cm 58 kg バスト81/ウエスト63/ヒップ87 特記事項なし 佐倉ミコト 身長159cm/体重52cm バスト78/ウエスト59/ヒップ83 特記事項なし

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