ふたなり拓海と狼少女(1) (Pixiv Fanbox)
Published:
2020-07-05 03:13:08
Edited:
2020-07-27 12:35:56
Imported:
2023-05
Content
Twitterのフォロワーさん向けに書いた、デレマスの向井拓海(巨体寄り・ふたなり巨根)とプリコネのマコトのssです。公開しても伝わりにくいクロスオーバー作品となったのでこちらに投下。
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「どこだよここ……」
向井拓海は珍しく途方に暮れていた。
晶葉が新しい機械を作ってきて、試しに使ったところまでは覚えている。「拓海の巨体を仕事場に一瞬でテレポートさせる機械だ!」というから協力したのに、気づいたら見たこともない野原に立っていた。辺り一面に広がる草や澄み切った青い空をみた感じだと、日本ですらないような気もしてくる。
予想外の事態。しかも、あるのは自分の身体一つだけ。拓海が戸惑うのも仕方がなかった。
「……ま、しょうがねえか」
ただ流石は拓海、立ち直るのも早かった。ウジウジしてても事態は好転しない、そう割り切って直感のままに野原をのしのしと歩き始めたのだった。
「迷っちまった……」
どうも飛ばされた場所は午後だったらしく、歩いているうちに日が暮れてしまった。暗くなる前に街を見つけて入れたのはよかったが、時間が悪いのか人気がない。見たこともない建物が並ぶ市街地をうろうろと歩くうちに、自分の現在地すら分からなくなってしまっていた。
「おい、そこのおまえ!」
「ん?」
後ろから声を掛けられて振り向くと、こちらに近づいてくる人影がみえた。声やシルエットからして少女のものだろう。「人がいた」という嬉しさと「おまえ」呼ばわりされた不快感で微妙な気持ちになる。
「夜にフラフラ歩いて、不審者だぞ……って、デカっ!?」
駆け寄ってきた少女は拓海を見上げ、固まった。少女の背丈は一般のそれより少し高めの160センチ半ばといったところだが、拓海の胸元にも届いていない。
一方、拓海は拓海で目の前の少女に驚きを隠せない。
発育のよい胸のみを覆う水着のような装備、おへそ丸出しの腹、太ももを根元までさらけ出したローライズ……服装も大胆極まりないものだったが、注目すべきはそこではない。彼女の頭の頂点、外ハネの多い紺青色の髪から2つ、ピコンと三角形の耳が生えていた。
(犬……いや狼か?)
ケモミミが生えている。髪と同じ毛をまとった耳は先端が白く、根元にカチューシャのような継ぎ目は一切ない。よくみると腰の下からは尻尾まで生えていて、ユラユラと揺れている。
拓海と狼少女はしばらく互いを見つめ合ったのち、話しかけた少女の方が先にゆっくりと口を開いた。
「おまえ……人間なのか?」
「アンタに言われたくねぇよ」
それが拓海と狼少女、マコトの出会いだった。
「ふーん、どこか遠い場所から飛ばされてきた……ねぇ。夢みたいな話だが、その図体みると信じるしかねぇな」
事情を話したところマコトは案外すんなりと理解してくれた。体格に関しては拓海が規格外なだけなのだが、それはさておき。
「どっか寝泊りできる場所、知ってるか?」
「ホテルはあるけどさ……あんた、見た感じ金とか持ってないだろ?」
「あぁ……そういや何も持ってきてねぇや」
拓海は思わず頭に手をやった。もちろん財布を持っていたところで使えないのだが、何も持ってないのはやはり痛い。
「よし、あたしのヤサに来なよ。寝る場所くらいはなんとかなるさ」
「いいのか?」
「遠慮すんな、困ってる奴は見過ごせねぇんだよ。いろいろ話も聞いてみたいしな」
拓海も今回ばかりは、その提案に甘えることにした。
「あたしはマコト。あんたは……」
「向井拓海だ、よろしくな」
二人の奇妙な共同生活が始まった。