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 見渡す限りの青い海。熱々に熱せられた白い砂浜。燦々に輝く太陽。肌をジリジリと焼く日差し。

 誰もが思い描く真夏の光景が眼前に広がっていた。


「わー、海ですー!」

「アリスちゃん、いきなり走っちゃ危ないよ!」

「アリスは元気いっぱいだなぁ」

「うふふ、アリスはこの日をずっと楽しみにしていたからね」


 その日、伏木野(ふしぎの)家の4人は海に来ていた。

 それは両親が再婚してから初めての遠出だった。

 2人はいつも仕事で忙しいので、中々旅行の機会が得られないでいた。

 しかしせっかくの夏休み。一夏の思い出を作るのは、伏木野家にとって夏休みの宿題も同然である。

 そこで父伸彦(のぶひこ)はどうにか都合をつけ、前々からアリスが行きたいと言っていた海に家族で行くことを計画した。

 そして今日、念願叶ってアリスは大喜びしているというわけだった。


「お兄様ー、早く海で泳ぎましょうよー!」

「アリスちゃん、泳ぐ前にちゃんと準備体操しなくちゃ駄目だよ!」

「邦彦、アリスから目を離すんじゃないぞ」

「うふふ、お兄さんは大変ね」


 両親はアリスのことを邦彦に任せるようだ。

 一見無責任に思えるが、それだけ彼のことを信頼している証だろう。

 彼女と生活するようになって半年も経っていないのに、すっかりアリスの保護者が板についてきた邦彦なのだった。


「お兄様っ、早く泳ぎたいです!」

「ほら、アリスちゃん。準備体操をしようね」

「うぅ~、でも~」


 普段聞き分けが良いアリスにしては珍しく、邦彦に駄々をこねていた。

 それだけ海が楽しみだったのだろう。

 海水浴で気分が高揚しているのか、彼女はいつも以上に元気いっぱいだ。

 果たして邦彦はエネルギーの塊であるアリスを制御できるのだろうか。

 そんな期待と不安が入り交じる真夏の祭典が幕を上げるのだった。



 ×××



 興奮を抑えられないアリスをどうにか準備体操させて、いよいよ海本番。

 フリルの付いたワンピースの水着を着た彼女は、今にも海に飛び込みそうなほどウズウズしていた。


「そういえば、アリスちゃんって泳げたっけ?」

「はい、泳げます! でも今日は浮き輪を持ってきたので、それを使いたいです!」

「いいね、それでいこう」


 可愛いピンクの浮き輪を装備したアリスは、正に海水浴場に舞い降りた可憐な天使だ。

 こんなに可愛らしい少女が浜辺を歩いてたら、良からぬ輩にさらわれてもおかしくない。

 邦彦はアリスの兄として、彼女の安全を第一に考えなければならない。

 今日はアリスと一緒に遊ぶだけでなく、彼女のボディーガードとして頑張らなければ。

 兄としての使命感に駆られた邦彦は、色んな意味でやる気を漲らせた。


「さぁ、準備はできたし海に入ろうか」

「はいっ、お兄様っ!!」


 邦彦はアリスが飛び込まないよう彼女の手を引いて海に入る。

 ザラザラとした砂浜の感触から、ひんやりとした海水に触れる瞬間がたまらなく気持ちいい。

 日常から非日常へと切り替わるように、ようやく海へ来たのだと実感する。


「ひゃっ……海の水、冷たいです!」

「気温が暑いから丁度いいね。学校のプールとは違った感じでしょ」

「はい、海は広くて楽しいです!」


 いつも元気なアリスだが、今日は特に気分がふわふわしているようだった。

 やはり夏の海は人の感情を昂ぶらせるのか。不思議な魅力を持ってるのは確かだった。


 アリスだけじゃない。邦彦も内心ワクワクしていた。

 シングルファーザーになってから父親は多忙だったので、親子で旅行した経験はほとんどない。

 だからこうして新たな家族で海に来たことは、彼にとっても貴重な経験だった。


「アリスちゃん、足元に気をつけてね。石とか貝を踏んで怪我するかもしれないから」

「はい、気をつけます!」


 水の抵抗を払い除けながら、2人は着々と海中を進んでいく。

 アリスが一緒なので、あまり沖まで行くつもりはない。

 邦彦はアリスの足が地面につくギリギリのところで立ち止まる。

 アリスは既に浮き輪で浮かんでおり、水中を楽しそうに漂っていた。


「わーい! お兄様、プカプカくらげさんです!」

「アリスちゃん、あまり僕から離れないようにね」


 周囲には彼らしかいないのでアリスを見失うことはなさそうだが、遠くまで行かれると万が一のことがあった時助けられなくなる。

 アリスから目を離さないように気をつけよう。邦彦は彼女と向き合い話を続ける。


「そういえば、アリスちゃんは海に来たことあるの?」

「それが……前のお父様がいた頃に一度来たことがあるらしいんですけど、小さかったのであまり覚えてなくて……」

「そうか。それじゃあ僕と一緒だ」


 邦彦もアリスも、気軽に触れられない過去がある。

 邦彦は彼女の過去を深く詮索しない。そこにどのような地雷が埋まっているか分からないからだ。

 いくらアリスが邦彦に懐いているとはいえ、互いの心の距離感は大切だ。

 不用意な発言で彼女を傷つけてしまわないように注意が必要なのだ。

 邦彦はそれ以上話を広げずに、彼女の手を引き本来の目的に戻る。

 海に来たのだから泳がなければもったいない。


「ほらアリスちゃん、バタ足バタ足。僕がついてるから、ちょっと遠くまで行ってみようよ」

「はいっ、お兄様!」


 邦彦に手を引かれ、アリスは無邪気に泳ぎだす。

 陽光に照らされた金髪が潮風になびく様は、映画のワンシーンのように綺麗であった。

 彼女の隣という特等席に座る自分は、実はとんでもない幸福者なのではないだろうか。

 非日常めいた浮遊感は、水中の抵抗からくるものなのか。

 どうにも気持ちがふわふわして仕方ない。やはり邦彦も久しぶりの海で浮かれているようだ。

 海水浴を楽しむのは良いが、ここでは同時にアリスのお守りでもある。

 邦彦は浮かれる心を引き締め、アリスのエスコートに専念する。

 少女の夏休みを最高の思い出にするべく、義理の兄は今日も奮闘していた。



 ×××



「ん~~、焼きそば! 美味しいです!!」

「アリスちゃん、そんなに急いで食べると喉に詰まるよ」


 海で一頻り泳いだ後、邦彦たちは海の家で昼食を取っていた。

 あれだけたくさん泳いだのに、アリスは隣で元気に焼きそばを食べていた。

 やはり若いだけあって体力が有り余っているのだろうか。そう、年がそこまで変わらない邦彦はアリスの活力に感心するのであった。


「ははは、アリスは本当に美味しそうに食べるな。これだけモリモリ食べてくれるなら、お店の人も大喜びだろう」

「ふふ、アリスは食べるの大好きだもんね」

「はい、いっぱい食べてたくさん寝て、早く大きくなりたいので!」


 美味しそうにご飯を食べている女の子は、周囲を笑顔にするものだ。

 海の家での和やかな昼食が緩やかに進んでいた、その時。


「もぐもぐ、むぐっ……!」

「アリスちゃん、どうかした?」

「ご飯が喉に詰まったのか……?」


 勢いよく焼きそばをかきこんでいたアリスが、突然立ち上がる。

 アリスの急な動作に緊張が走る一同。しかし次の瞬間、彼女は口内のものを慌てて飲み込み一言叫ぶ。


「おっ、おトイレに行きたいですっ……!」

「なんだぁ、トイレか……」


 食べ物が喉に詰まったわけじゃなくて一安心するが、喜んでもいられない。

 それとは別に緊急事態なのは確かだ。


「トイレか……店の裏手にあったな」

「邦彦くん、アリスを連れてってくれるかしら?」

「はっ、はいっ……!」


 邦彦は慌てて立ち上がり、言われるがままにアリスの手を引き海の家を出る。

 漏れる寸前なのかとヒヤヒヤしたものの、彼女の表情を見ると意外と余裕があるようだった。


「さぁ、着いたよ。アリスちゃん行っておいで」

「はいっ!」


 程なくして2人は公衆トイレに到着。

 アリスが駆け足でトイレに入り、邦彦は外で待つことに。

 彼女が一緒だと色々と忙しなくて退屈しない。日常に刺激が欲しい人にはもってこいだろう。

 事実、邦彦はアリスと過ごす日々を楽しんでいる。これまでの人生は何だったのかと思うほどに。


「ふぅ~間に合いましたぁ~」

「アリスちゃん、良かったね」


 数分後、アリスはスッキリした表情でトイレから出てきた。

 突然のハプニングだったが、何事もなくて何よりだ。

 邦彦がほっと胸を撫で下ろしていると、アリスが思いがけない行動に出た。


「お兄様を退屈させてしまってごめんなさいっ。お詫びの印に、お兄様にイイことしてあげますねっ♡」

「えっ、えっ、ちょっ、アリスちゃんっ……!?」


 アリスに強引に手を引かれ、邦彦は女子トイレへと吸い込まれる。

 一体全体何事か。予想外の展開に、邦彦は抵抗する余裕がなかった。

 気づけば邦彦は女子トイレの中。男が絶対に入れない聖域へと足を踏み入れてしまった。

 この状況は非常にマズい。邦彦が女子トイレに侵入しているのが誰かに見つかれば、あらぬ誤解を招いてしまいかねない。


「アリスちゃん、何をっ……!?」

「さぁさ、お兄様には専用の個室へとご招待しますね~♡」

「えっ、ええっ、わわっ……!?」


 何かをやる気になったアリスは、少女とは思えない力を発揮する。

 アリスの気迫に押された邦彦は、ただただ彼女の人形になるしかない。

 訳も分からず女子トイレの個室に押し込まれ、為す術なく便座に座らされた。


「アリスちゃんっ、一体どうしたのっ……!?」

「私、エッチな漫画で読みました! お外のトイレはエッチをするところなんですよね!」

「えっ、ええっ……?」


 毎度彼女の偏見には驚かされるばかりか。一体誰がアリスに変な知識を吹き込んだのか。

 大体自分のせいなので、強くは否定できない邦彦なのだった。


「アリスちゃん、流石に誰か来たらマズいんじゃっ……!?」

「そう言っても、お兄様のアソコは元気になってますよ♡」

「うぅっ……」


 アリスに股間を触られて、愚息がたちまち大きくなる。

 愚息は快楽に正直だ。アリスとのセックスを覚えてしまった以上、彼女に触れられ欲情してしまうのは自明の理である。

 こうなってしまっては、射精するまで収まりがつかないだろう。

 水着の状態では勃起したペニスを隠すことはできない。このままでは両親の元へは戻れない。


「大きくなったおちんぽを、これから癒やしてあげますねっ♡♡」


 アリスはそう言うと、水着から男根を露出させる。

 外気に触れた逸物は、夏の暑さに負けじと滾っていた。

 もはや愚息は臨戦態勢。いつでもヤれるとイキっている。

 邦彦の欲情を敏感に察知したアリスは、肉棒を手に取り上下に扱く。


「まずは、わたしのお口で気持ちよくなってくださいっ……れろっ♡♡」

「あっ、アリスちゃんっ!」


 まずは手始めとして、アリスは男根に舌を這わせてフェラチオを始めた。

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