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「それじゃあ次はどこに行こうか」


 ウォータースライダーから出た二人は、次に行くアトラクションを話し合う。


「うーん、それじゃあ流れるプールはどうかな?」

「いいね。流れるプールにしよ」


 二人が次に行くのは流れるプールだ。

 どこにでもあるポピュラーなアトラクションだが、誰かと行くと趣が変わってくるものだ。

 女の子と二人きりで流れるプールだなんて、これは完全にデートではないか。

 涼士郎はそう確信しているものの、智香は案外そこら辺鈍いらしい。

 涼士郎のことは性的対象としては見ているものの、恋愛対象とは見なしていないフシがある。

 男として嘆くべきなのか、それとも距離が近いと見るべきなのか。

 兎にも角にも、彼女と仲がいいのは事実なのでそれで良しとしよう。


 そんなこんなで流れるプールだ。

 智香は浮き輪を片手にプールに入る。涼士郎も彼女の続いて入水。

 入ると同時に身体に流水が当たり抵抗感が生まれる。流されるほどの勢いではないが、流れに向かって泳ぐのは大変そうだ。


「こういう流れるプールって逆走したくならない?」

「気持ちはわかるけど、下手に逆走すると普通に泳いできた他のお客さんとぶつかっちゃうよ」

「それもそうだな」


 周囲を見ると、皆が皆流れに身を任せて泳いでいる。

 流れる方へ歩いていけば誰ともぶつからないが、流れに逆らうと誰かにぶつかりやすくなる。

 それを社会の縮図に似ていると捉えるのは穿ちすぎだろうか。


「流れるプールって単純なのに、歩いてるだけでなんだか楽しいよね」

「そうだね。子供の頃から触れやすいからかな」


 そんな涼士郎の無粋な思考はともかく、智香は純粋に流れるプールを楽しんでいる。

 普段の彼女からは考えられない純朴さである。周りの人たちも、彼女が変態の淫乱娘だとは思わないだろう。

 涼士郎自身も、智香がここまで大人しいとは思わなかった。

 常にエロ全開な彼女だが、流石に周りに人が多すぎるから自重しているのだろうか。


 やけに静かな智香に当てられて、涼士郎も純粋にプールを楽しもうとしていた。

 せっかくの智香とのデートなのだ。色々勘ぐって楽しめないのはもったいないというものだ。

 涼士郎がそう改めて考え直して前を向くと、隣でちょっとしたハプニングが起こっていた。


「とっ、遠野くんっ……ちょっと待ってっ……!」

「どうしたんだ、丙さんっ……?」


 涼士郎が智香へ視線を向けると、彼女は気まずそうに水着を抑えていた。


「あの、その……水着が脱げちゃって。今直すから、私の前に立って隠してくれるかな?」

「あぁ、分かった」


 壁際に立って水着を直す智香の前に涼士郎は気まずそうに立つ。

 一歩間違えば彼女の裸が衆人に晒されるのだ。ここは男として盾になるほかない。

 しかしなぜだろう。彼女の裸を見られる。内心に湧き上がる不安はそのことが理由ではない。

 これは今までの経験則だ。嫌な予感がする。こういうカンは最近良く当たる気がする。


「遠野くん」

「丙さん……?」


 後ろから智香の声がした。

 反射的に涼士郎は振り返ろうとして、しかしできなかった。


 智香が後ろから抱きついてきたからだ。


「丙さん、どうしたの……?」

「遠野くん、おちんぽ勃ってる……?」

「えっ……」


 どんな状況でも股間は性に正直であった。

 智香に抱きつかれ、愚息は雄々しくそそり勃っていた。

 マズイ。水着なので勃起しているのが分かりやすい。

 プールでペニスをおっ勃てているのが周囲の人にバレれば社会的に死にかねない。

 突然の緊急事態に、涼士郎は股間を手で隠して立ち尽くすことしかできなかった。


「大丈夫だよ、遠野くん」


 ピンチの涼士郎の耳元で、諸悪の根源である智香が甘い声で囁く。


「水の中だし注意して見ないと勃起してるなんて分からないよ。みんな流れに身を任せてるから立ち止まらないし、じっとしてれば誰もキニシナイ」

「そんなこと言われても……」


 智香は余裕の表情で言ってるが、万が一バレたら一大事なので気が気でない。

 身も心もギリギリの状態の涼士郎に、智香は追い打ちをかけるが如き行動に出る。


「遠野くん、動かないでね」

「丙さんっ……!?」


 智香は涼士郎の水着の中に手を突っ込むと、勃起ペニスを握りシコシコと扱き始めたのだ。


「うぅっ、丙さんっ。手コキなんかするとバレるよ……!」

「静かにやればバレないよ。それより、あまり大きな声出さないでね」


 聞く耳を持たない智香は手コキを続ける。その気になった智香は誰にも止められないのだ。

 愚息は喜んでいるものの、涼士郎としてはぶっちゃけ勘弁願いたい。

 いくら性欲旺盛な思春期の少年といえど、社会的に死にかねないリスクを背負ってまで淫行に耽りたいとは思わない。

 だが彼の切実な思いは儚く消え去り、性欲魔人に搾取されるしか道はないのだ。


「ふふっ、遠野くんのおちんちん硬く大きくなってくよ。やっぱりエッチしたいんだね」

「そりゃあ丙さんに扱かれたらそうなるよ。そんなことよりこのままだと……」

「分かってるって。水の中に射精したらプールが汚れちゃうよね」


 涼士郎が言いたいのはそういうことではないのだが、智香は勝手に解釈して涼士郎の前に出る。


「出すなら膣内だよね。ほら、挿れていいよ」


 彼女はこっそり股間の水着をずらす仕草を見せ、涼士郎を誘惑してくる。

 普通の神経なら、こんな状況で智香の誘いにノリはしないだろう。

 涼士郎だってできれば御免被りたい。

 しかし彼は知っている。ここで拒否すれば、この後更に逃げようがない状況で迫ってくるだろう。

 彼女がヤりたいと思ったなら、それは絶対なのだ。

 だから涼士郎にできることは、できるだけ怪我をしないようにうまく立ち回ることなのだ。


「……わかった。挿れるよ」

「うん、きて……」


 覚悟を決めた涼士郎は、肉壷に男根を挿入する。

 いつもと違う水中でのセックスは、今までにないひんやりと冷たい感触だった。


「くっ……」

「んんっ、入ってきたっ……!」


 周囲に人がいるので、あまり大きな声は出せない。

 それは智香も分かっているので、背後にいる涼士郎にしか聞こえない小声で話す。

 正直そこまで情事に没頭していないが、気持ちいいことは気持ちいい。

 どんな状態でも智香の性器の締め付けは最高だった。


「立ち止まってると怪しまれるから、動きながらしよう」

「おっ、おう……」


 浮き輪に入って歩く智香の後ろを涼士郎がついていく。

 これならば不自然ではないだろう。浮き輪が丁度いい緩衝材になってくれているので、潜って水中から見なければ二人が交尾していることは分からない。


 だが何事にも絶対はない。依然としていつバレてもおかしくない状態だし、歩きながらのセックスは非常に難しい。

 如何に挿入したまま自然に歩けるか。涼士郎は細心の注意をはらいながら智香の後ろをついていく。

 ここまで神経をすり減らしながらエッチをする意味があるのか。気持ちいいのは事実だが、これっぽっちも楽しいとは思えなかった。


「うおっ、締まるっ……!」

「離れちゃダメだよ。おちんぽが露出しちゃうからね」


 智香はなぜか余裕の表情で涼士郎を誘ってくる。

 このままでは彼女に置いてかれてしまう。

 勃起ペニスを露出した男が流れるプールに出没、なんてことになったらちょっとした事件である。

 そんなことで地元の新聞には載りたくない。


 これはある意味、智香との一騎打ちである。

 涼士郎が智香についていかなければ負けなのだ。

 だから彼は必死に彼女の膣奥を突いていく。

 行為を済まさなければ、膣内に中出し射精をしなければ智香は満足してくれないだろう。

 だから一刻も早くピンチを切り抜けるために、涼士郎はできるだけ素早く腰を振った。


「んっ、んんっ……良いよ、遠野くん気持ちいいよっ」


 涼士郎の懸命なピストンを智香も悦んでくれているようだ。

 水中でのプレイなだけあって、抵抗感があって腰を振りにくい。

 かといって、あまり派手に突いては周りに気づかれてしまう。

 周囲にバレないように、かつスピーディーに腰を振るのがコツだ。

 涼士郎は極限の状況の中で手探りながらも次第に上達していった。


「うっ、うくっ、んあぁっ……ひうっ、んくっ、んはぁっ……!」


 彼女も流石に大声を出すのはマズイと理解しているようだ。

 一応の分別を見せる智香は、声を抑えて小声で喘ぐ。

 ピンチになればなるほど彼女は性欲に燃える。であるならば、今のこの状況は智香にとって最高のシチュエーションだろう。涼士郎にしてみれば良い迷惑だ。


 智香が必死になって声を抑えている一方で、涼士郎も必死に腰を振っていた。

 水中でのセックスに悪戦苦闘するものの、快感は順調に愚息へ蓄積している。

 なんやかんや交尾は気持ちいいものだ。今までのプレイで何度も体験してきたことだ。

 やはり自分もどうしようもない変態なのだろうか。智香のせいで感覚が麻痺しているせいもあるが、常識的に考えて公共の場で堂々とエッチするのはやっぱり頭がおかしい。


 そう分かっていてもプレイを続けてしまうのは、智香が持つ魔性の魅力のせいだろうか。

 涼士郎は正気と狂気の狭間で葛藤しながらも、どうにかこうにか水中プレイを続けていた。


「あっ、くっ、んんっ、その調子っ……もうすぐイキそうだから頑張ってっ……!」

「おっ、俺もイキそうだっ……!」


 水中歩行を続けながら、二人のプレイはクライマックスを迎えていた。

 あとは溜まりに溜まった衝動をすべて吐き出すだけである。

 涼士郎は力強く膣奥を抉り、フィニッシュへと突き進む。


「丙さんっ、膣内に射精すよっ……!」

「あぁっ、んんっ、あぁんっ……! きてぇっ、遠野くんの濃厚ザーメン、膣内にいっぱい射精してぇっ……!」


 蓄積した快感が頂点にまで達し、精液となって流出する。

 涼士郎は最後に子宮口を勢いよく突き上げ、膣内に大量の白濁液を放出した。


「うぅっ、射精るっ……!!」

「んあぁっ、ふあぁっ、射精てるっ……イクっ、イッてるぅっ……中出しされておまんこイクぅっ……!!」


 中出し射精と同時に智香も絶頂。締め付けの良い膣肉が更に締まり、刺激的な快感となって男根を襲っていた。


「くぅっ、搾り取られるっ……!」

「うあっ、んあぁっ、射精てるよぉっ……おまんこにドピュドピュ精子流れてるのが分かるっ……!!」


 周囲にたくさんの人がいる状況で、自分たちはなんて非常識なことをやっているのか。

 そんな常識的な正論は、しかし射精の快楽に飲み込まれて彼方へ消え去っていた。

 やはりセックスは人間をダメにするらしい。理性を蒸発させ野生に回帰する麻薬の効果で、二人の脳はドロドロに溶け切っていた。


「遠野くん、そろそろプールを出ないと」

「あぁっ、そうだったな」


 なんで自分たちは流れるプールでエッチなんかしているのだろう。

 射精後の賢者タイムで冷静さを取り戻した涼士郎は、智香に連れられ慌ててプールから這い出した。

 智香は中出しした精液が漏れ出さないように、こっそりと股間に手を当てている。


「それじゃあ私、お手洗いで後始末してくるから」

「あっ、わかった……」


 トイレに行く智香を見守りながら、涼士郎はふと思う。

 智香に乗せられるままに情事に応じてしまった涼士郎だが、本当に自分は仕方なくエッチしただけだったのだろうか。


 ×××


 その後は何事もなく普通にプールを楽しみ、そして午後。疲労に満ちた足を引きずるように二人は帰路についた。


「今日は楽しかったね」

「あぁ……」


 言葉を発することすら億劫だ。心身ともに疲労困憊の涼士郎は、肩で息をしながら智香の隣を半歩遅れて歩いていた。


「あんなに刺激的な体験になるとは思わなかったよ」


 対する智香は、まだ体力が残っているのか今にもスキップしそうな勢いだった。

 彼女は運動神経こそ普通だが、エッチに対する情熱と体力だけは目を見張るものがある。

 だからこそ、それについていく男の器量が問われるのだが。


「今日はとっても楽しかったから、また今度どこかへ遊びに行きたいな」

「あぁ、そうだな」


 また大変な目に合うんだろうなと苦笑しながらも、涼士郎は智香の願いを断らなかった。

 なぜならば、こんなに気持ちのいい笑顔を浮かべる少女の頼みを断ることなんてできないのだから。

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