エッチな地味子と淫行生活 第10話 夏だ!プールだ!セックスだ!!① (Pixiv Fanbox)
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梅雨が開け、期末試験が終わり、本格的な夏が始まった7月下旬。
日本中の学校がそうであるように、涼士郎たちが通う高校でも夏休みが始まった。
涼士郎にとって、夏休みとは退屈なだけの長い休暇でしかなかった。
涼士郎は部活にも恋愛にも勉学にも励んでおらず、これといった趣味を持たない退屈な人間だった。
そんな人間が過ごす夏休みなのだ。活気があるはずがないではないか。
しかしそれも昔のこと。現在の彼は退屈とは対極の位置に存在していた。
今の涼士郎には、智香というセックスフレンドがいる。
良くも悪くも、彼女の存在が涼士郎の暇を許さないだろう。
彼に待ち受けている夏休みは、今まで経験したことがないほど忙しいものとなるのだった。
×××
夏休みに入る前のある日のこと。放課後の部室で智香が話しかけてきた。
「遠野くん、夏休みの予定ある?」
智香の質問に、涼士郎は思考することなく反射的に即答した。
「ないよ」
涼士郎は虚勢を張ることなく正直に答える。
言ってて悲しくなるが、事実なので仕方がない。
一ヶ月以上もある夏休みのスケジュールはすべて空白だった。
「そっか。遠野くんも予定ないんだ」
涼士郎の予定を聞いた智香は嬉しそうに微笑んだ。
別に彼女は涼士郎のことを笑っているわけではない。
涼士郎がフリーなのを純粋に喜んでいるようだった。
「そっか。実は私も暇なんだ。それで相談なんだけど……せっかくの夏休みなんだし、私と遊びに行かない?」
同年代の女の子から遊びに誘われる。
これまでの寂しい夏休みから一転して、なんてきらびやかな夏なんだ。
智香に出会ったばかりの涼士郎なら、彼女の誘いを純粋に嬉しがっただろう。
しかし今は違う。涼士郎は彼女の性格を知りすぎてしまっている。
智香と遊びに行くということは、つまりは危険と快楽が隣り合わせな刺激的な火遊びということだ。
「遊びに行くって、どこに……?」
今までが今までだったので恐る恐る尋ねる涼士郎に、智香は一点の曇りもない朗らかな笑顔で言うのだった。
「私とプールに行こう!」
×××
そして始まった夏休み。
涼士郎はいまだかつて感じたことのない期待と不安を胸に抱いていた。
「とうとうこの日が来てしまった……」
涼士郎がいるのは、隣の市にあるアミューズメントプールだった。
人気なのは前から知っていたものの、ひとりで行く場所ではないので今まで縁がなかった娯楽施設である。
一生行かないだろうなと思っていたリア充のたまり場に来てしまった。
周囲を見渡すと友人同士らしい和気藹々としたヒトの群れ、微笑ましい家族連れ、浮かれてイチャついてるカップルといった、楽しそうな笑顔で溢れていた。
日陰の人生を送っていたつまらない人間にとっては、眩しいくらいの光景だ。
今から自分は、その輪の中へ入っていかなければならない。
そう考えると場違いな気がして萎縮してしまうものの、今日は以前とは違うのだ。
そうだ、今の涼士郎には一緒にプールに行ってくれる友人がいるのだから。
「遠野くん、おまたせ」
「あっ、丙さん」
涼士郎が手持ち無沙汰に立っていると、コトの発起人である智香がやってきた。
今日の彼女は半袖のブラウスにスカートというシンプルな服装だった。
主役の登場により、緩んでいた気持ちが一気に引き締まる。
「時間通りに来たけど、遠野くん待った?」
「いや、そんなに待ってないから構わないよ」
お決まりの挨拶を交わし、涼士郎は精神を落ち着かせる。
智香とのデートは前にもした。特別緊張することなんて何もないはずだ。
それなのに、なぜだろう。
この胸のざわめき……ドキドキ感は。
この胸の高鳴りの理由は、智香の水着姿を拝むことができるからだろうか。
スク水姿の智香は以前見た。だが私物の水着は見たことがない。
彼女はどんな水着を着るのだろうか。それを妄想するだけで一晩経過するほどだった。
「外で喋ってるのもなんだし、早速中へ入ろうよ」
「そっ、そうだな」
そんなこんなで、涼士郎と智香は施設内へと向かうことにした。
これから涼士郎に一体ナニが待ち受けているのか。
それについてはあまり想像したくない涼士郎なのだった。
×××
「……ふぅ、今日は暑いな」
水着に着替えた涼士郎は、額の汗を拭いながらパーク内の入り口に立っていった。
前を向くとカラフルなアトラクションが並び、大勢の人の波が漂っている。
人混みは好きではないが、人々の活気に当てられてこちらも自然と高揚してくる。
これからここで智香と遊ぶのだ。そう思うとワクワクが止まらなかった。
「遠野くん~」
「あっ、丙さん。こっちこっち」
周辺を眺めながら待っていると、智香が着替えを済ませやってきた。
突然視界に入ってきた智香の水着に、涼士郎は心を奪われた。
彼女にしては大胆なビキニであった。ビキニとなると彼女の巨乳が遺憾なく発揮されて眼福だ。
ただこれだけ魅力的な水着だと、周囲の視線に晒されそうで厄介だ。
他の男にナンパされるかもしれない。
その時は自分が盾になるしかないだろう。そう覚悟を決める涼士郎なのだった。
「……? どうしたの、遠野くん。私の水着へんかな?」
「いっ、いやっ、変じゃないよ。とても似合ってて可愛いと思うよ」
「そっ、そう。それなら良かった」
思わず見惚れていたなんて、恥ずかしくて言えない。
肉体関係を結んでだいぶ経つが、未だに素直になれない涼士郎だった。
「それじゃあ遠野くん、ここでぼーっとしてるのもなんだし遊ぼうか。どこから行く? ウォータースライダーにする? それとも流れるプールがいいかな?」
「丙さん、けっこうノリノリだね。プールとかよく行くの?」
「ううん。あまり来たことなかったんだけど、久しぶりに来たからなんだか楽しくって」
「そうか……」
もしかしたら、自分はとんでもない勘違いをしていたのかもしれない。
彼女のことだから、エッチのことしか頭にないと思っていた。
だが実際は、純粋に涼士郎とプールで遊びたかっただけなのだろう。
最初から不埒な行為目的だと断定して、彼女に申し訳ないことをした。
内心で智香に謝りながら、涼士郎は気を取り直して提案する。
「そうだな……ほら、あそこ。一番大きなスライダーがあるでしょ。アレに乗ろうよ」
「アレってここの目玉だよね。もしかして遠野くんって、ご飯は好きなものから食べるタイプ?」
「そういうわけじゃないけど……体力があるうちに一番楽しいアトラクションはやっておきたいじゃないか」
「……それもそうだね」
智香が納得したところで、二人はウォータースライダーへと向かうことに。
涼士郎の隣には水着姿の女の子が歩いている。ちょっと前までは想像できなかった光景だ。
クラスでは目立たない地味な彼女であるが、水着となると隠れていた巨乳がこれでもかと主張してくるので目のやり場に困る。
そしてこれだけ立派なお胸が強調されていると、当然周囲の視線が気になってくる。
智香は涼士郎の彼氏というわけではない。あくまで彼女はセックスフレンドでしかない。
だが水着の智香を他人に見られるのは内心面白くなかった。
まさか自分に独占欲があるなんて。夏の暑さにやられたせいか、それとも彼女の水着がインパクトありすぎたせいか。
「……ここがウォータースライダーの入り口か。思ったより高いね」
「うん。迫力があってちょっと怖いね」
程なくして、ウォータースライダーのゲートに到着。
下から見上げると分からなかったが、思った以上に高低差があり面白そうだ。
智香は少し怖気づいたのか、涼士郎の後ろでこころなしか縮こまっていた。
「大丈夫だよ、丙さん。このウォータースライダーは浮き輪に二人乗りできるから、怖かったら俺の後ろに乗ってよ」
「……そう、だね。それじゃあ、お言葉に甘えてそうする」
ウォータースライダーを怖がる智香も可愛いものだ。
普段の彼女は性欲に全振りしている感じなので、こうして普通に楽しく遊んでいる様子を見るのは新鮮だった。
エッチな智香はもちろん魅力的だが、純粋な可愛げを見せる彼女も美しい。
いつもは彼女に翻弄されっぱなしなので、ここは前に立って男を見せなければと意気込む涼士郎なのだった。
「ほら、丙さん。俺の後ろに乗って」
「う、うん」
いよいよ自分たちの順番になったところで、涼士郎は智香の手を引いて浮き輪に乗る。
まずは涼士郎が浮き輪の前に乗り、後ろに恐る恐る智香が乗る。
本当に怖いのだろう。彼女は後ろから涼士郎の腹部に手を回して抱きついてきた。
智香の豊満な胸部が背中に当たり、中々悪くない気分だ。
「それじゃあ行くよ」
「わかった……」
最後に智香に確認を取り、いよいよウォータースライダーに突入した。
智香の前では強がっていた涼士郎だが、彼も決して不安があったわけではない。
しかしそんな小さな不安など、ウォータースライダーの前では一瞬で吹き飛んでしまった。
「うおっ……!」
「やぁっ……!?」
ただの子供だましのアトラクションだとたかをくくっていた。
だがこの速さはどうだろうか。水上を高速で滑り風が肌を撫でる感覚は、二人の鳥肌を立たせるのに十分すぎるものだった。
「思ったより速いねっ……!」
「うっ、うんっ……!」
あまりの速さに思考がついていけず会話している余裕もない。
涼士郎も智香も、目の前のスライダーでいっぱいいっぱいだった。
とてもロマンチックな雰囲気に浸れる精神状態ではなかったのだ。
それでも、背中に伝わる確かな感触はあった。
それは智香の胸だ。恐怖からか涼士郎に抱きついているので、大きなお胸が背中に当たっているのだ。
水着越しとはいえ、それは涼士郎の心臓を跳ねさせるには十分すぎた。
「丙さんっ、背中にそのっ……丙さんのおっぱいがっ……!」
「遠野くんっ、速くて怖いよぉっ……!?」
智香はパニックになっているのか、涼士郎の言葉など耳に入らないようだった。
涼士郎は背中を智香のパイに制圧されながらスライダーを駆け抜ける。
こうなっては仕方ない。彼にできることは、ただ背中の感触を楽しみながら流れに身を任せることだけだった。
「丙さんっ、そろそろゴールだよ!」
前門のコースター、後門の巨乳に翻弄されて数十秒。
ようやくアトラクションのゴールが見えてきた。
二人は勢いのまま、スライダー出口のプールに突っ込んだ。
「うぶっ……!!」
「ひゃあっ……!?」
周囲に響く二人の悲鳴と、派手に飛び散る水しぶき。
勢いよく飛び込んだので、二人は浮き輪から身を乗り出し水中へとダイブする。
「うぐっ……!?」
「わぷぅっ……!」
智香の巨乳に気を取られていたのかもしれない。
突然の着水で反応できずに涼士郎は溺れそうになるものの、足はつくのですぐに立ち上がる。
慌てて智香の方を見ると、彼女は涼士郎以上に手足をばたつかせて溺れかけていた。
「あぷっ、おっ、溺れるっ……!?」
「丙さんっ、落ち着いてっ……! ここ足つくからっ……!」
「えぇっ……あっ、本当だ……」
二人とも同じようにプールで溺れかけるとは、仲がいいのかどうなのか。
智香が無事立ち上がって一安心した涼士郎だが、これでまだひとつめのアトラクションである。
「……ふぅ。ここで立ち止まってたら他のお客さんの迷惑になるから出ようか」
「そっ、そうだね」
なんやかんやウォータースライダーを楽しんだ二人は、談笑しながらプールを出る。
「丙さん、ウォータースライダーはどうだった?」
「うん、ちょっと怖かったけど遠野くんが一緒だったから大丈夫だったよ」
「そう。それなら良かった」
最初はプールに行ってナニをやらかすのかと心配したが、今のところは普通に楽しんでいるようだ。
このまま何事もなくプールを満喫できれば良いのだが……。
涼士郎の心配は、このあと儚く散ることになる。