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「ここ……」


 校舎裏で協力関係を結んだ涼士郎は、智香に連れられある場所へとやってきた。

 涼士郎たちが辿り着いたのは、部室棟の一番奥にある部屋だった。

 『文芸部』という表札が掲げられた部室が目的の場所なのだろう。

 部室の前で立ち止まった智香に涼士郎は問いかける。


「丙さんは文芸部だったのか?」

「そう。けど三年生が卒業して新入部員も入ってこなかったから、今部員は私ひとりだけ。だからこの部室は私の貸切状態ってわけ」

「なるほど……」


 それは羨ましい限りだ。校内に自分だけの空間を持っているというのは夢のような話だろう。

 彼女だけが利用する神聖な空間に呼ばれたということは、他人の邪魔が入らずに智香と二人きりになれるということを意味する。

 その事実を理解し、涼士郎はゴクリと息を呑む。これから起こるであろう出来事に期待と興奮が止まらなかった。


「面白味のない部屋だけど、入って」

「あぁ、お邪魔します……」


 智香に促され、涼士郎は恐る恐る部室に入る。


「ここが……」


 文芸部の部室は、取り立てて述べることもない簡素な部屋だった。

 申し訳程度の本棚と、折りたたみ式の長机と椅子が数脚のみ。もちろん本棚に収められている本も真面目な文芸書ばかりで、涼士郎の気を引くようなものはなかった。


「とある部活の生徒が部室に私物を持ち込みまくって問題になったから、定期的に教師や風紀委員が見回りにやってくるの。だからこの部室には変な物は置いてないよ」

「まぁ、そりゃそうだよな」


 彼女一人の部室と聞いてどんなアダルト部屋かと思ったが、よくよく考えれば当たり前のことである。教師や他の生徒にバレた時のリスクを思えば、彼女がそんな危険なことをする理由がない。

 涼士郎がそう納得していると、智香は気恥ずかしそうに話を続ける。


「でも、そういうのが全く無いってわけじゃないよ」

「なんだ……? 『肉欲の愉悦』? これ完全に官能小説じゃないか」


 智香が指差した本棚の一角に異物が挟まっていた。高校の敷地内にあってはならない成人向けの本は、彼女が持ち込んだものだろう。


「木を隠すなら森の中っていうでしょ? お堅い純文学作品の中に一冊だけエッチな本が混ざっていても、誰も気づかないの」

「よくもまぁ、そんな意味もなく危険なことを……」


 無駄に挑発的な智香に呆れる涼士郎だが、思えば彼女は誰に見られるかも分からない図書室でオナニーをしてしまう女の子だった。この程度の悪戯心など、彼女にしてみれば刺激的な遊びの一部なのかもしれない。


「それで、遠野くん。この部屋に呼んだのは、貴方にお願いがあるからなんだけど……」

「お願い……?」


 智香による部室紹介が済んだ後、彼女はいよいよ本題に入る。

 彼女の羞恥に染まりながらも切実な表情に、涼士郎も自然と状況にのめり込んでいた。

 涼士郎が固唾を飲んで見守る中、智香が意を決して言う。


「あの……遠野くんに、私の処女を貰ってはいただけないでしょうか……!」


 少女のか細くも凛とした声が、二人っきりの部室に響く。

 予想していたこととはいえ、彼女の迫力に涼士郎は気圧された。

 こんな必死に性交の要求をする女の子が他にいるだろうか。

 涼士郎としては女子に迫られるのは悪くないものの、あまりに唐突な出来事なので彼女のことを疑ってしまうのが当然の真理である。


「丙さん、それ本気で言ってる?」

「ほっ、本気です! 遠野くん以外に、こんなことを頼める人いなくて……」


 彼女にも事情があるのだろう。それは智香の表情から容易に察することはできる。

 しかしここで二つ返事をして、後で本意じゃなかったと裏切られるのだけは勘弁願いたい。

 なので、彼女の理由だけはちゃんと聞いておきたい。涼士郎は話を続けるよう智香に促した。


「私は見ての通り地味で冴えないから、今まで彼氏の一人もできなかったの。たぶん、これからもできないと思う」


 涼士郎は頷く。自分も彼女と同じだからだ。


「彼氏については半分諦めているんだけど、いつまでも経験がないというのは嫌で……。それにエッチなことに興味はあるから……その、初体験に憧れているの」


 彼女の想いを、涼士郎は笑うことができない。

 彼も少なからず智香と同じ想いを胸に抱いているからだ。

 非モテ同士の共感だろうか。知らず知らずの内に、涼士郎は智香に自分を重ねていた。


「だからその、遠野くんが良ければ、私とエッチして欲しいというか……。私なんかとエッチしたくないなら、仕方ないけど……」

「初体験の相手が、本当に俺で良いのか?」

「私に協力してくれるって言った、遠野くんだからお願いしたいの」

「そっか……」


 女の子にそこまで言われて断るのは、逆に漢として情けないだろう。

 据え膳食わねばの精神で、涼士郎は改めて智香のことを直視する。 

 クラスでは物静かで目立たないものの、間違いなく可愛い美少女の彼女をこれから抱くのだ。

 そう思うと、自然と胸の内に熱い衝動がこみ上げてくるのだ。


「……分かった。俺で良ければ、丙さんの相手になるよ」

「はい、よろしくお願いします……」

「こちらこそ」


 自分でも初々しいと思うやり取りに恥ずかしくなりつつ、涼士郎はそっと智香の肩に触れるのだった。


 ×××


 本当ならベッドのあるちゃんとした場所で初めてを迎えたかったが、智香は部室で行為に及ぶことを望んでいた。

 涼士郎としては、女の子とエッチできるならどこでも良いというのが本音だった。それだけ童貞卒業の願望は凄まじいのである。


「それじゃあ、脱がすね」

「うん、お願い……」


 硬い長机の上に座る智香は、羞恥心で頬を赤く染めながら涼士郎に下着を脱がせてもらう。

 まさか女性の下着に触れる機会があろうとは。人生何が起こるか分からないものである。


「丙さん、股を開いてくれるかな」

「うん……」


 無事下着を脱がせた後、智香に開脚の指示を出す。

 彼女は顔を背けつつも従順に股を開いてくれた。邪魔なスカートを捲りあげ、少女の聖域を顕にする。


「おぉ……」


 涼士郎の眼前に現れたのは、言葉を失うほどの綺麗な割れ目である。何人も侵したことのない処女の陰裂は薄っすらと汗ばんでおり、窓から差す陽光を反射してキラキラと輝いて見えた。


「触っていい?」

「ど、どうぞ」


 少女の性器を前にして我慢ができなくなった涼士郎は、智香の了承を得てピッタリと閉じた女陰に優しく触れた。


「んんっ、あぁっ……!」


 肉欲を唆る魔性の溝を、傷つけないよう指先で繊細になぞる。男根を挿入するための下準備として、堅い肉をほぐすのだ。


「丙さん、痛くない?」

「んっ、いや、これくらいなら自分でも触るから大丈夫……」


 確かに結構オナニーをやってるような彼女なら、もっと積極的な方が喜ぶだろうか。

 涼士郎は続いて両手で陰唇を開き、女性器の全貌を眼下に置く。

 パクパクと開閉しているのが膣口で、その上に尿道口、そしてクリトリスがある。

 彼女は既に欲情しているのか、膣口から愛液が滲み出ていた。


「性器の、上の方……クリトリスイジると、気持ちいいの」

「分かった、クリトリスだな……」


 智香に言われた通り陰核に触れる。小さな突起はちょっと刺激しただけですぐに反応し、次第に硬く勃起していく。彼女の感度の高さが窺い知れる。


「あっ、あぁっ、んあぁっ……! そこっ、感じちゃうっ……!」


 少女の可憐な喘ぎ声とともに、女性器が段々と濡れてくる。肉壷から愛液が溢れ、膣口はたちまち洪水状態だ。


「私、濡れやすいみたいで……。いつもこんな感じになっちゃうの」

「そうなんだ。でもまぁ、これで準備はいいかな……」


 愛液で膣口の滑りが良くなったので、挿入には問題ないだろうか。

 女性器に触れて涼士郎の情欲も天井まで高まっている。愚息はズボンを突き破らんばかりに硬く勃起しており、股間にテントを張っていた。


「そろそろ挿れていいか?」

「うん、きて良いよ……」


 互いにこれ以上性欲を我慢できそうにない。

 涼士郎は股間の封印を解き、陰茎を露出させる。

 完全にエッチモードに入ってるのか、智香は涼士郎の勃起ペニスにうっとりとした熱い視線を送っていた。


「おまんこの穴、ここだな……」

「そう、そこ……ゆっくり、お願い……」

「あぁ、分かってる」


 膣口にペニスを押し当て、グリグリと動かし先端に愛液を塗りたくる。

 全部AV等の知識で本番は初めてだが、見様見真似でなんとかなるだろうか。

 一抹の不安を抱きつつも、衝動の赴くまま腰に力を入れる。

 夢にまで見た念願の童貞卒業の瞬間だ。涼士郎の逸物が、ズブズブと膣内に侵入していく。


「んぐっ、んんっ、んあぁっ……」

「すごっ、きついっ……!」


 処女の膣内は、侵入者を拒むように陰茎を圧迫した。なんというプレッシャーだ。童貞では処女の相手をするのは力不足だとでも言いたいのか。

 しかし涼士郎にも意地はある。膣内の圧に敗けじと股間に力を集中し、男根を奥へ捩じ込んだ。


「奥までいったかっ……!?」

「まだ、もうちょっと先っ……!」


 亀頭の先端に、何かがぶち当たる感触があった。

 おそらく処女膜だろう。これを破れば智香は晴れて処女喪失となる。

 涼士郎は俄然やる気を増して腰を突き出す。彼女の処女を頂くべく、漢のプライドを懸けて処女膜にぶつかった。


「あぐっ、んあぁっ、ひああぁっ……!?」


 ブチブチと何かを突き破る感触とともに、ペニスが膣内に埋没する。

 智香の処女が散ったのだろう。その証拠に、結合部から一筋の鮮血が流れていた。それが彼女の処女喪失を何よりも雄弁に物語っていた。


「丙さん、大丈夫か……?」

「う、うん。少し痛いけど、平気……」


 傍から見ても、彼女が無理をしているのは明白だ。初体験なのだから痛いのは当然だ。

 涼士郎は今すぐに腰を動かしたい衝動を抑え、智香を気遣って静止する。

 彼の優しさに触れた智香は、痛みを堪えながらも表情に微笑を作った。


「あくっ、んあぁっ……痛みはだいぶ引いたから、そろそろ動いていいよ」

「本当か? 最初はゆっくり動くから、無理はするんじゃないぞ」


 彼女の身体に気を使いつつ、涼士郎は欲求に背中を押されてピストン運動を開始する。


「あうっ、んんっ、ひゃあっ、んくぅっ……!」

「うあっ……丙さんの膣内、きつくて気持ちいいっ……!」


 童貞を捨てたばかりで腰振りも満足にできない未熟な身であるが、それでも精一杯腰を動かしなんとか快感を得ることはできた。

 智香の膣内は初めてなだけあって凄まじい締まりであり、痛いくらいに陰茎をぎゅうぎゅうに締め付けてくるのだ。気を抜くとすぐに射精してしまいそうになるものの、そこは男のプライドでどうにか耐えていた。


「んあっ、ふあぁっ……遠野くんに気持ちよくなってもらえて、嬉しい」

「あぁ、丙さんのおまんこ、気持ちよすぎて腰が止まらない……!」


 涼士郎はセックスの快感に全身を支配されながら、無我夢中で腰を振っていた。ペニスに絡みついてくる肉襞の感触なんて、筆舌に尽くしがたい快感だった。


「丙さんは痛くないか?」

「あぐっ、んんっ……痛いのはもう大丈夫で、今はアソコがジンジンして変な感じっ……!」


 ピストンの摩擦で痛みが麻痺しているのかもしれない。

 開始時より智香の表情が和らいできたので、安心した涼士郎は幾分かペースを早めて腰を振る。

 欲望の高まりは徐々に上昇していき、全て吐き出すまで止まりそうになかった。


「うあぁっ、ダメだ丙さんっ! 俺もうイキそうだっ……!」

「ふぅっ、んあっ、良いよっ……遠野くんの精液っ、私のおまんこに射精してぇっ……!!」


 涼士郎の射精を察知して、膣内の締め付けが更にきつくなる。これは智香の初体験マンコに中出ししろと言ってるようなものではないか。

 脱童貞初中出しを決めるべく、涼士郎は持てる全力を出し尽くして膣内を突きまくった。


「丙さんっ、イクよっ……!」

「んんっ、あぁっ、きてぇっ……!」


 最後に涼士郎は腰をグッと突き入れ、智香の膣奥で性欲を爆発させた。

 処女消失したばかりの初々しい膣内に、脱童貞した少年の精液が勢いよく流れ込む。


「うぅっ、射精るっ……!」

「んあっ、ああぁ、遠野くんの精液入ってくるぅっ……!」


 ビクビクと下半身を震わせながら、涼士郎は射精の快楽に酔いしれる。

 一方の智香は、中出しの感覚で感じたのか表情を蕩けさせていた。


「はぁっ、んはぁ、はふぅ……」

「んあぁっ、あくっ、ふはあぁ……」


 熱い吐息を漏らしながら、二人は事後の余韻に浸っていた。

 ろくに会話もしたことのない、恋心どころか好意すらも寄せているか怪しい二人であるが、その行為は彼らにとって一生忘れられない出来事なのは確かだった。


 ×××


「ごめん、俺だけ気持ちよくなっちゃって……」

「別に良いよ。私も最後は感じてたから」


 情事の後始末を終え、冷静になった涼士郎は智香に頭を下げる。

 元々は智香のためのセックスだったものの、なんやかんや自分のほうが楽しんでしまったかもしれない。

 謝る涼士郎に、しかし智香は優しく微笑みかける。


「エッチしようって頼んだのは私の方だから。それに、遠野くんが気持ちよくなってくれて、私も嬉しいの」


 男女の営みに憧れを抱いていたのだろう。彼女の顔には満足感が浮かんでいた。

 過程はどうあれ彼女のためになったのならば、涼士郎としても嬉しい限りだ。


「……それで、遠野くん。今後も私に協力してくれるかな?」

「俺で良いのか?」


 問いかける涼士郎に、智香は今日一番の笑顔で答えた。


「遠野くんが良い。遠野くんとなら、もっといろんなことが出来そうだから」


 こうしてできた、涼士郎と智香の下心に満ちた歪んだ協力関係。

 二人の未来がどうなるかは分からないが、彼らの学校生活が劇的に変わるのは間違いないだろう。

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