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天上の楽園を謳う飛行島の浴場は盛況を極め、そこでの働き手は常に不足がちだった。その性質上、その身に命を宿して引退していく者も多いので、常に新しい人材を見つけ出していかなくてはならない。


この事業は遊郭のメッカ・アオイの島の観光大使としての経験があるキャトラが先頭になって推し進めている。

キャトラは今日も新たな人材を引き抜いてきた。

ヘレフォード家の令嬢・マヤである。




「アラ、うかない顔してるわね。マヤ。」

「思ってたのとちょっと違うんだけど……キャトラ。お風呂場を綺麗にするお掃除のお仕事だよね……?」

「そうよ。お風呂場 "で" 綺麗にする介護のお仕事よ。あんたが綺麗にするのは男の人の身体ね。メインはこのローションを使ったマット上でのプレイになるんだけど……」

流暢にご奉仕の作法を語るキャトラを慌てて止める。

「ま、待たんかーい!!そんなのあたしにできるわけないじゃない」

「あら、最初は誰もが新人よ。それに試用期間があるからゆっくりと慣れていけばいいわ。」

「そういうことじゃなくて!」

マヤは顔を背けて赤くする。

「あたしはその……。キャトラ知ってるでしょ。あたしは心に決めた人がいるから、ほかの男の人とは…!」

「大丈夫、気にしなくていいわ。これはお仕事だからノーカンよ。あんただって商店の店員とお仕事の話したところで浮気にはならないでしょ。」

「それは…そうだけど。」

「それにみんながやってることよ。既婚者のファナだって、恋人のいるノアだって普通にやってるわね。それに、あんたたちはまだ付き合ってるわけじゃないんでしょ。」

「そ……そうだけど。」

「じゃあいいじゃない。それにあんたは男を知らなすぎよ。もっと沢山の男を知って、その中から好きなだけ選べばいいじゃない。あんた美人なんだから引く手あまただと思うわ」

「そういうのは興味ないから……。」

マヤは恥ずかしげに俯いた。


「とりあえず3ヶ月の試用期間だけやってみなさい。それであわなければ辞めるもよし。続けてみるのもよし。」

「そ…そのくらいなら…。」

「ちなみに試用期間は報酬が半額だけど、それが過ぎて正式に登録するようになったら満額あげるわよ。」

「半額…それってどのくらい……」

ヘレフォード家の財政は火の車で、いつも苦労が絶えない。そのためお金の話となるとつい食いついてしまう。

「客一人あたり4万G、それを店とアンタが折半するから2万ずつ。ただし試用期間はその半分なので1万ってところね。試用期間はだいたい1日あたり4人前後相手してもらうから、1日で4万、1ヶ月で100万、3ヶ月で300万ってところかしら。」

「さんびゃく……」

マヤの視線が宙を浮く。真っ当にギルドの雑用をこなしていたらその1/10くらいしか入らないだろう。

「それに試用期間が終わればその倍になるわ。ベテランなんて1日7人も8人相手することもあるし、いくらでも稼げるわよ。」

キャトラが3ヶ月の試用期間を設けたのは、実際のところ3ヶ月以内に辞めていく人が多いからである。

試用期間のうちにおよそ3割がその身に生命を宿すと言われ、1年続けられるのは半分にも満たない。

そのため常に新しい人材を入れ続ける必要があり、ボリューム層である新人枠の報酬を下げておくのは、キャトラなりの知恵の回りどころであった。


「待った。お金の話はわかったけど、具体的にどこまでするの。まさかえっちなことまでしたりしないでしょうね。」

「あら、男と女が裸ですることといったら一つじゃない。もしかしてあんた、まだ経験ないのかしら?」

マヤは顔を真っ赤にして無言の肯定をした。

「まあすぐに慣れるわ。試用期間が終わる頃にはどんな男も魅了できる魅力的な女になってるはずよ。なにしろ300人くらい相手するんだから。」

「さ、さんびゃく……」

マヤの開いた口が塞がらず宙を拝んでいた。



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