Home Artists Posts Import Register

Content

飛行島の売春宿では多くの冒険家が働いているが、その働き方にはフルタイム、パートタイム、テンポラリという3つの雇用形態がある。


テンポラリは好きなときに好きなタイミングで働くというかたちで、特にシフトの縛りはない。登録している冒険家の7割はこの形態である。ただしクリスマスなどの繁忙期は招集がかかる時がある。

パートタイムは週の数日の夜だけなど、特定のシフト日だけ出勤するスタイルで、学業や主婦業、あるいは他の仕事と掛け持ちしながら登録している冒険家が多い。

そしてフルタイムは生理休暇を除けばほぼ毎日働き、寝ても起きても一日中セックス三昧の日々を送っている。フルタイムで働いているのは全体の1割未満で、貴重な存在だ。

宿屋の主の役割は、そんな彼女たちのメンタルケアと体調管理をすることである。

リリーは貴重なフルタイム勤務の人材の一人で、店に多大な貢献をしてくれている。

ちょうどリリーの待機列が空いたので、少し面談をすることにした。

個室に入ると裸で出迎えてくれる。シャンプーの香りがふわりと鼻を撫でる。

「あー!店長さんこんにちはー!」

うちの店は、従業員は裸で客を迎えるのが基本である。そのためリリーのようなフルタイム勤務の場合、服を着ている時間の方が短いくらいだった。それは洗い物が少なくていいというだけでなく、時短の意味でもメリットがある。


普通、本番行為を提供するお店は120分コースが基本だったりするが、うちは60分が基本で、浴室でのソープサービス付きの場合は90分。

ともかく回転率を高めるのが狙いで、場合によってはすぐに挿入に入る。インスタントな愛を愉しむことできる。


「店長さんもやっていきますか~?」

「やらないよ。とりあえずは検査をさせてくれ」

「わっかりましたー!」


〈いのちのルーン〉を起動して、リリーの身体にかざす。これは生命反応を探知するルーンだが、もしお腹の中に反応があれば、新しい命が出来ているということになる。そういう応用ができる便利なルーンだった。


「とりあえずは……反応ないようだな。」

「それはずばり、まだ子供ができていないということですね!」

「そういうこと。でもちゃんと避妊はしているかい?客が喜ぶからって、それを怠っちゃだめだぞ。」

「えーと、努力はしています!」

「ダメダメ、ちゃんとしないと。たとえ1%の確率であっても、100回繰り返せば当たる確率は63%になるんだ。わかるかい?」

「???」

「ともかく、きちんと避妊はすること。」

「がってん承知しました!」

わかったのかわかってないのかよくわからない反応だが、ともかくこれだけは伝えておかなくてはいけないことだった。もし妊娠してしまえば、その育児費用は店が負担する契約である。きっちり避妊をしていても100%安全ということはない。

実際に子供を授かって育児期間に入った冒険家も何人もいる。そうすると1年間は働けなくなるし、それが増えるほど店の負担は大きくなるのだ。


「で、なにか困ったこととか、辛いこととかはないか?」

「うーん、困ったことですかー」

リリーは店に入ってまだ三ヶ月近くだが、生理休暇以外はほぼ毎日働いており、多い時は1日で8人を相手することもある。一ヶ月で100人以上と性交渉をしており、累計では300人を越えていた。だが見た感じ特に病んでいる様子はなく、持ち前の明るさを維持していた。

「そうですね~。たまに説教おじさんに怒られるくらいでしょうか。」

リリーはてへっと笑った。

「あー」

そうなのだ。客層にはそういうおじさんが一定割合でいる。嬢ときっちり愉しんでおきながら、終わった後に「こんなことしてちゃだめだ」などと説教を始めてしまう。また彼らには悪気がないからタチが悪い。そういうおじさんは、嬢たちからの評判はすこぶる悪い。

実はと言うと、そういう客が来た場合、リリーのところへ積極的に回していたのだ。彼女はそういうおじさんからの評判がなぜかとても良く、リピート指名率が高い。なにか心をくすぐられるところがあるのだろう。

だからリリーがそういう客に遭うのは偶然ではなかった。

「すまん、そういうのは少し減らそう。」

「いえー、いいんですよー!色んなことを教えてくれるので、退屈しないです!」

そういうおじさんをテンポラリの嬢に当てると辞めると言い出しかねないので、申し訳ないがリリーには今後にも世話になりそうだった。

「そうか……じゃあ、今度ソフトクリームを奢ろうか。」

「わ~!いいんですかー!」

たまには外に連れ出してやってもいいかもしれない。ずっと室内でセックス漬けの日々を送っているので、外の空気を吸うのも気分転換になるだろう。リリーと休日デートしてみるのも悪くはない気がした。


「で、一発やっていくんですよね?」

リリーはずっと裸のままで話していたので、正直目のやりどころに困っているところだった。実のところ、完全に起立してしまっている。

そんなところをリリーに上目遣いで見られると、欲望を耐えるのが難しそうになってくるのであった。


Files

Comments

No comments found for this post.