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「あら、貴方、生きていたんですか。」

邪悪な笑みを浮かべるのは、よく知っている顔だった。


エクセリアがとある島で暴虐の限りを尽くしているという噂を聞きつけて、慌てて飛んできたのだが、自分の知っているエクセリアとはずいぶん違う。

自分のことを覚えているということは、間違いなくエクセリアである。

しかしエクセリア本人は別にいるため、こちらは平行世界の存在なのだろうか。そういった現象が数例あるという話は聞いていた。


「君はこんなことをするような人じゃない。優しい、慈愛に満ちた人だった。」

「貴方に何がわかるんですか!人間なんて、竜たちを無惨に扱った人間なんて、みんな滅んでしまえばいいんです!」

絶望と憎悪の視線が突き刺さる。あちらの世界では相当酷い目に遭ったらしい。

反論する代わりに、優しく肩を抱きしめた。

彼女には、愛が必要だと感じる。

愛を受けるだけじゃない、愛を注ぐ存在が必要だ。


「こんなこと……っ!」

エクセリアを優しくベッドに横たわらせ、一つになって繋がっていた。

それは愛を確かめあう行為。

それと同時に、もう一つの重要な役割がある。

王女とするときは、その立場と役割を考えて、きちんと避妊することにしている。結婚しているわけではないので、安易に跡継ぎを孕ませるわけにはいかない。

だがこのエクセリアは別だ。今は愛情を注ぐ対象が必要だ。二人の愛の結晶を、その身に孕むことで、母親としての愛情に目覚めてもらう。

再び優しいエクセリアに戻ってもらうには、それしかないと思った。


「中に…、出すよ…!」

握っている手のひらが、ぎゅっと強く握り返してくる。そこに拒絶の意志は無かった。

ありったけの精を注ぎ込み、確実に孕んでもらう。確かな手応えを感じる。

だがもしうまくいかなくても、何度でもやり直せばいい。

エクセリアは身じろぎしながら一番奥でその愛を受け止めていた。

きっと大丈夫。彼女ならまた素敵な、とても優しい人に戻ることができる。


後は、もう一人のエクセリアになんと説明すべきか。

それだけが懸念として頭によぎっていた。

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Comments

カイビャク

かなり命がけの愛情表現ですね~……!! こちらの当人にはややこしい事態になりそうで。 此方の世界線ではたま~に国王から縁談やらが出てくるわけですけれど、あちらではとても……💦

Anonymous

此の度も有難う御座いました! 姫様を愛しているからこその命懸けの行為…このまま結婚して子宝に恵まれて幸せになって欲しい…!! …どうか周年でもディランも含めて2人共報われますように。🥹

nekotoraya

あの後どうなるか、気になりますよね〜 ハッピーエンドは訪れるのか……