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「どうしたのですか?シエラ、そんなに嬉しそうな顔をして。」

「ふふーん、聞いてよフレイヤ。温泉ツアー券当たっちゃった!」

「そうですか。良かったですね。」

言葉に反してフレイヤの声のトーンは気乗りしない雰囲気だった。

フレイヤはシエラの親友のドラゴンである。母親のような存在と言ってもいい。

「フレイヤ、温泉あんまり好きじゃないんだっけ?」

「そうですね。どうにもあの硫黄の匂いが鼻に残ります」

「まあ確かに独特な感じはあるけど……、でもそれが温泉の醍醐味だと思うんだけどなぁ。」

「一人で行ってきなさい。私は用事がありますので。」

「まあちょっと寂しいけど、たまにはフレイヤのいないところで羽根を伸ばすのもいいわね。」

「あなたに羽根はありませんよ。」

皮肉を言ったつもりが、ストレートに返されてしまった。

フレイヤが同行せずに旅に出るのはいつぶりだろう。

旅と言っても二泊三日の短いもので、指定された港から飛空艇に乗って行く。

"バス"と呼ばれる少人数の乗り合い飛空艇には、同じ温泉ツアーと思われる客が何人も乗っていた。

皆、男ばかりだ。

軽く挨拶を交わすだけのつもりが、やたらと積極的に話しかけてくるので、とりあえず道中退屈はしなかった。

「やっぱり…そういうことなのね……。」

鄙びた温泉宿には混浴の露天風呂しかなく、シエラを除けば全員が男だった。

皆一同、ギラギラとした視線をこちらに向けている。それとは別に、ルーンカメラで撮影している者もいる。


バスに乗っている時点で、既に薄々感づいてはいた。これがただのツアーではないことには。

彼らの視線は常にシエラの身体に向けられていて、それが痛いほどに刺さっていた。

温泉に来て、それが確信に変わる。

ただ不思議なことに、彼らが乱暴に襲いかかってくることはなかった。視線こそこちらに向けているものの、指一本触れようとしない。それどころか、怖気づいてシエラから一歩距離を取るようにしている感じもある。

どうやらこれは童貞の男性たちを筆おろしする撮影企画らしい。

どうりで自信なさげなわけだ。

無理矢理乱暴してくるようなら返り討ちにするつもりだった。フレイヤがいなくても、この人数ならなんとかなるかもしれない。

だが彼らのその様子を見て、少し興味がわいてきた。

皆、シエラとやりたい一心でここにいるのだ。ぎちぎちに勃てて今か今かと待っている。そんな彼らを見て、なんだか可愛いと思ってしまった。


「ん……そこ…そんな感じ

あっ…待って…」

結局、好奇心のほうが勝ってしまい、一人ずつレクチャーすることになった。

「は…激しくすればいいってもんじゃ……ないんだから……っ!」

巨根を持つ男は、初めての挿入に焦っているのか、力任せにガシガシとピストンしようとする。でもそんなことをされても痛いだけだ。

「焦らないで……そう。ゆっくり馴染ませるような感じで…」

女の一人旅をしていると、自然とこういうスキルは身についていく。

フレイヤはドラゴンだからか、色恋沙汰にはどうにも疎い。爬虫類と言ったら逆鱗に触れてしまうが、人間の生殖行為には何も口出ししてこない。

尤も、シエラ自身も誰かを本気で好きになったことはなく、えっちするのはもっぱら遊びか路銀稼ぎのためであったが。

そうして身についたスキルが、思わぬところで役立ってしまう。

男のピストンが再び激しくなって、最初のときよりもさらに余裕がない様子になった。

「あん……あっ……あっ…!」

しまった、避妊具をつけさせていない。

いつもはこのあたりはしっかり気をつけるのだが、すっかり忘れていた。

そのそもこの風呂場にあるのかもわからないが……

「待って、ナカは…膣内はぁ……っ!」

叫びも虚しく、男はガクガクと腰を震わせたかと思うと、熱い白濁がどくどくと流れ込んできた。その熱さに軽くイってしまう。

男の表情を見ると、ついにやり遂げた!という感じで自信と喜びの気持ちが溢れていた。技術としては及第点だったが、持っているモノは悪くないので、いずれいい男になるかもしれない。

余韻に浸るまもなく、二人目の男がいきなり挿入してこようとする。彼も焦っているのか、挙動が硬く、顔も緊張のあまり引きつっている。

その後ろにも、まだ何人も並んでいる。

これは覚悟を決めるしかないようだ。

「まずは力を抜いて、深呼吸してね。」

緊張で震える二人目の男のを握ってやると、硬くそそり立っていた。

それをシエラ自ら優しく誘導する。

「さあ、いらっしゃい……」

温泉ツアーはまだ始まったばかりだ。

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