[JPN] AIは同人作家の夢を描くか? vol.01 (Patreon)
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作業の合間の息抜き、コラムの時間です。そして思ったより長くなったので複数回に分けます。
まずこのコラム一連の結論として、わたくしはパトロンの皆様に対して最大限の感謝を送りたいという事。そしてそれは具体的にどのような形で示すべきなのか、模索中でもあるという事。
現在、わたくしはFANZAやDLsiteなどで販売できるような形式にするために画像の修正などをしているわけですが、つまりは海外に合わせた形式ではなく日本国内で頒布出来るよう、そして当時は気にならなかったけど今見ると目につく細かい部分の修正などをしています。
で、少し前、上記2つのDL同人プラットフォームで、わたくしの様にAIを使っている人間にとって大きな動きがありました。
それは「手書き」と「AI製」の販売ページを完全に分けたというものです。
以下の3つのくくりで話していこうと思います。
1:DL同人最大手の判断と利益 - そもそもAI製は売れるのか
2:PIXIV春のBAN祭り -二次創作のリスク(暫定タイトル)
3:本当に「人間」 VS 「AI」なのか(暫定タイトル)
今回は1の章を語ろうと思います。
因みに全章通してきな臭い話になると思います。読んでいく中で、わたくしの活動を応援出来なくなる気分になるかもしれませんし、こんなもん書いてないではよエロいもん出せと思うかもしれません。
しかし、この一連の話は今後のわたくしの活動に関わる話で、何処かで公表しようとしていた内容です。なので全体公開にしておきます。
1:DL同人最大手の判断と利益 - そもそもAI製は売れるのか
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FANZAとDLsite、その2つのプラットフォームは日本でDL同人活動するにあたって、そしてAI同人を販売するにあたっても最重要のサイトです。
どちらもAIが出始めの頃、大量に登録されるAI生成作品に対して特別何か対処はしなかったのですが、いつしか「AI生成」タグの義務化や「月に1サークルが販売できるのは1作品まで」という制限を設け、DLsiteは23年5月にAI生成作品の販売を一時停止し、ノベル・ゲームなどで限定的な利用においては「一部利用」として販売が認められていました。
なぜ、販売数を絞られた・停止したのか。よくSNSで言われるような "反AIイラスト" の様な動きではなく、「プラットフォーム側の労力と利益に全く釣り合いが取れないから」と言われています。
勿論EISYS(DLsite)のブログでも書かれているように「急激な発展に対し、対策やガイドライン・ポリシーが追いつかない」も本音だと思います。
プラットフォーム運営は慈善活動ではありません。会社として利益を出すべき場所であり、そして利益が出せるから我々の様な人間でも作品を販売できます。
「なら販売できた方が利益が出るからいいんじゃないのか?」「販売ページを分けるにしても作品制限かけなくてよくない?」と思えるのですが、これは日本特有の問題がボトルネックになり、「作品制限をかけざるを得ない」のです。
それは「モザイク」です。
以前のコラムでも書いたように「日本には猥褻物は存在しない」のです。モザイクがかかっていれば猥褻物ではありません。つまりかけるべき場所にかけていなければ猥褻物なので販売は出来ないし、それを見落として販売してしまうとその販売を認めたプラットフォーム側が刑法175条「わいせつ物頒布等の罪」で処罰されます。
そう、作品を作った側ではなく販売した側が罪に問われるのです。「釣り合いが取れない」がだんだんわかってくると思いますが、販売開始までにどうやってモザイクチェックをするのか。
一枚一枚人間が自分の目でチェックするんですね。
AI生成の利点の一つに「一定のクオリティのイラストを大量に生成できる」がありますが、その大量に生成したイラストを一枚一枚人の目でチェックします。これこそがボトルネックの部分です。
どうしても時間がかかりますし、多くの場合AI生成作品は1枚当たりの値段を抑えがち、もしくは長期間にわたって90%OFFなどの大幅割引で2重価格めいた販売をし、実売価格を下げています。なんだったら0円で配布感覚でFANZAを使っている人もいます。
しかもその多くは破綻チェックなどせず出力したそのままのイラストが多く、見ていて楽しいものではありません(※個人の感想です)。薄利多売ではなく粗製乱造状態です。
何を隠そうわたくしの一つ目のバックナンバーがそういう作品でした。なので販売数も10も届きません。その後も売るための努力を怠っているためこのままでは数字が増えることは無いと思われます。
つまり時間をかけて一枚一枚面白くもない画像を大量にチェックし、販売出来ても最低賃金を賄えるような利益にならない。
そのことを考えると販売を停止しないFANZAや再び開始したDLsiteは"まだ"わたくし達の味方だと感じます。"まだ"の説明は3章でします。
上で言ったことと矛盾するように聞こえるのですが、販売継続・再開したという事は利益が見込めると感じたと思います。
それは「イラストのみのCG集形式"以外"の作品」が売れているから。そして「どうやら国はAI製品を規制しないぞという見込み」からです。規制の話も3章でします。2章でも少しだけ触れています。
FANZAで「AI生成」タグを売上本数順に見て貰いたいのですが、売れている多くは「コミック・AI」のカテゴリーに入っている、つまりはイラスト以外に作家のクリエイトが入れられている作品と感じます。内容が良いかはわかりませんが、それはAI以外でも言えるので「手間を加えた作品が売れる」というのはAIでも変わらないのです。販売開始日を見て貰うと分かるように、それは初期の頃から変わっていないようです。
因みに現在(2024/03/14)売上本数順の3位の方のクリエイト性はわたくしが最も直近で手本にするべきものかもしれません。
つまり、何処かで早くストーリーなどで作家性の強い作品を作らなければならないということ。
売るためのインフラは暫定的とはいえ整備されているのだから横着するんじゃねぇって事ですね。
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2つのサイトのAI作品取り扱いのこれまでを短くまとめると、以下の様になります。
・FANZA同人
比較的初期から寛容ではあった。「AI生成」のタグ付け程度で(設定でAI作品非表示可能)、これは新しい物好きのDMMとしての政策に寄るものが大きいのではないか。
2024年に入って1月31日にサークル向けにお知らせが届き、AI生成専用のページが告知される。リリース時期は今春予定とのこと。
・DLsite
2023年2月、販売作品数に制限。同年5月、一部利用以外のAI生成作品販売を停止。
2024年2月、15日にAI生成フロアを設けることを告知、21日に公開する。ランキング無しなど通常の販売ページからはサービスの差はある。
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・参考文献
- AI作品の取り扱い一時停止について - EISYS(DLsite)
https://info.eisys.co.jp/dlsite/5d752c85cd1379a4
- AI生成作品の販売に関して - DLsite
https://cs-circle.dlsite.com/hc/ja/articles/14941627991321
- 売上本数順 - AI生成 - FANZA
https://www.dmm.co.jp/dc/doujin/-/list/=/article=keyword/id=160132/limit=120/sort=total_sales/