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「シルバーベアさん、お疲れ様です」

ヒーロー本部。本日の任務とパトロールを終えた白熊獣人ヒーローのシルバーベアは、着替えの為に自室へと向かっている最中に声を掛けられた。

「おや、ストレンジラビットくん。お疲れ様です」

声を掛けたのは橙色のヒーロースーツを身に纏った兎獣人のヒーロー、ストレンジラビットだった。身体強化能力を持つ本部に入りたての新人ヒーローで、成人しておらずシルバーベアとは二周り以上も歳が離れている。身長もさほど高くなく、兎獣人特有の愛嬌のある顔付きに反して小生意気な性格からくるギャップが歳上に受け、先輩ヒーロー達からはよく可愛がられていた。

そんなストレンジラビットにシルバーベアは優しく微笑み挨拶を返す。

小柄で中肉中背のストレンジラビットに対し、白熊獣人のシルバーベアは恰幅の良い……かなり良い身体付きをしている。種族柄元々縦にも横にも大きな身体をしているのだが、こんなにも大きくなってしまったのは、鍛える為によく食べた若い頃に比べて代謝が落ちてしまった為だ。筋肉のついた両腕と両足は確かに逞しいのだが、その上にムッチリと中年太り特有の脂肪が肉付いてしまっており、パッと見ただけではその中に筋肉の塊があることは想像できない。

「いやあ、本当に疲れてしまいました。ヴィラン絡みの事件だけでも今日で二件。ヴィラン達には大人しくしていてほしいものです」

「そうですね……私達ヒーローが居るとはいえ、常に街の全ての状況を把握して監視し続けることはできません。仲間が沢山捕まっていくのを見てヴィラン達も懲りてくれればいいのですが……そう上手くはいきませんねえ」

穏やかな垂れた糸目のまま、ロマンスグレーの口髭を弄るシルバーベアの言葉には確かな重みがあった。それも当然だ。彼はヒーロー本部を設立したヒーローの内の一人であり、ヒーロー歴も全ヒーロー中ほとんど最長のベテランの中のベテラン、最強に名を連ねるヒーローの一人なのだから。

「ヒーローって大変ですね」

ストレンジラビットがはあ、と溜息をつく。それを見たシルバーベアは優しく微笑むと、指を立てて語り始めた。

「そうですね。しかし、弱音を吐いてはいけませんよ。ヒーローたるもの凛として常に芯を持ち、人々を安心させる正義の象徴でなければいけませんからね。私達が弱気になっているのを見たら、市民達が不安になってしまいますから」

戒めているようで、その声色は至って穏やかで優しいままだ。

一瞬だけ言葉を失いシルバーベアを見つめるストレンジラビットに対して、フフンと得意気に鼻を鳴らす。厳しい事を言いながらも、そうして柔らかい印象を与えているのはシルバーベアなりの気遣いなのだろう。ある程度の緊張感と真面目さは大事だが、気負いすぎても潰れてしまう。

こうした気遣いやそこから滲み出る温厚さは、本人も知らないシルバーベアが慕われている理由の一つだった。

「あはは、そうですね。ありがとうございます。でもシルバーベアさん、それでもやはりヒーローも一人の獣人ですから、疲れは溜まってしまうものでしょう?」

「ええ、それはまあ」

「僕、そんなシルバーベアさんに良い話があるんです。シルバーベアさん、マッサージ屋さんには行ったことありますか?」

「ほう、マッサージ屋さんですか」

その言葉にシルバーベアはロマンスグレーの眉を上げて興味あり気に反応を示す。先程はあんな事を言ったがシルバーベアももう中年の親父だ。まだまだ若い者達には負けないと自負はしているが、寝ても疲れは全快しないし常に肩も凝っている。そんなシルバーベアがマッサージに興味を示さない訳がなかった。

「昔少し揉んでいただいた事があるぐらいでしょうか……最近は自分で少し肩を揉むぐらいですかねえ」

「それは勿体ないですよ。日々のパトロールや人助け、ヴィラン討伐で疲れは溜まりさぞ身体も凝っていることでしょうからね。失礼します」

「!」

ストレンジラビットがシルバーベアの後ろに回り込み肩に手をかける。身長はシルバーベアの方が上の為、見上げながらつま先立ちになる形になり揉み辛そうではあったが、ギュ、と力を込めた途端シルバーベアの身体は確かに少し震えて反応を示した。しっかりと効いているようだ。

「どうですか?」

「おお……ストレンジラビットくん、わざわざありがとうございます。とても気持ち良いです」

「肩だけじゃなくて、背中のこの筋も……わっ、やっぱり凄く凝っていますね」

「っ!」

マントの横から腕を入れられ、背中のツボを押されるのが想像以上に気持ちよかったのか、声が漏らし身体が捩りそうになるのを耐えようとする。

穏やかなシルバーベアとしても大先輩として恥ずかしい所は見せられないのか、平静さを保ちながら腰に手を当て姿勢良く直立し続けた。

「こことか、こことか……」

そんなシルバーベアを嘲笑うかのように的確に背中のツボを刺激するストレンジラビット。上の方から順々に背中のツボを押され、真ん中に来た辺りで「んっ」と声を上げたのを最後に、シルバーベアは慌てて礼を言うと振り返りマッサージを中止させた。

コホンと恥ずかしそうに咳き込むシルバーベアを見上げながら、ニヤリと笑みを浮かべた後輩の兎ヒーローは口を開いた。

「……それで、そんなシルバーベアさんにおすすめのマッサージ屋さんを知り合いに教えて貰ったんですが、どうしますか?」

*****

「ここですね」

数日後、シルバーベアが着いたのは街外れにある五階建ての小さなテナントビルだった。看板を見ると、三階にあるのがストレンジラビットの言うマッサージ屋のようだ。

「……よし」

ネクタイを締め直し、シルバーベアは一歩踏み出す。ヒーロー達はその正体を隠す為に、普段は一般の会社員を装って生活している。ヒーロー活動をする際も、緊急時を除けば基本はビジネススーツで出退勤を行い、隠し通路を通じてヒーロー本部に向かい、そこでヒーロースーツに着替えてパトロールを行うのだ。

今のシルバーベアも、隠し通路を使ってヒーロー本部から出た後の世を忍ぶ仮の姿。白のワイシャツに紺のネクタイ、黒のスラックスにビジネスソックスと革靴を身に着けている姿は、事情を知らない者にはただの巨体の中年サラリーマンにしか見えないだろう。

シルバーベアが階段を登っていくとお目当ての三階に辿り着く。扉を開くと淡い橙色の灯りに照らされる店内で、同じく橙色の施術服を着た中年の狸獣人が出迎え、ニコリと微笑み声を掛けた。

「いらっしゃいませ。ご予約はされていますか?」

「こんにちは。予約をした白熊山と申します」

「白熊山さんですね。確認致しました、こちらへどうぞ」

シルバーベアが革靴を靴箱にしまってスリッパを履くと狸獣人の店員が店の奥へと案内する。案内したその先は更衣室になっていた。

「こちらでこの服に着替えてください。脱いだお洋服はこちらのハンガーと籠にどうぞ。下着は着けたままでも構いませんよ」

「ありがとうございます」

店員からパジャマのように柔らかい、茶色の布地の服を貰ったシルバーベアは更衣室に入っていく。淡い光に照らされた更衣室の中は少し狭く、シルバーベアの巨体では少し窮屈そうだった。

(しかし、ストレンジラビットくんも若いのによくこんなお店を知っていましたね。知り合いに聞いたと言っていましたが……お父さんに聞いたんでしょうか)

ベルトを外し、片足ずつ上げてスラックスを脱ぐと丁寧に折りたたんでハンガーに掛ける。ネクタイも外してワイシャツを脱ぐと、同じくそれもハンガーに掛けた。これでシルバーベアは白シャツにトランクス、黒ビジネスソックス姿になった。

(シャツは……着ている枚数が少ない方が気持ち良さそうですね)

白シャツを脱ぐと白い被毛に覆われた豊満な胸と腹が露わになる。手を壁に着けながら片足ずつ靴下を脱ぎ、とうとうシルバーベアはトランクス一丁になった。脱いだ二つを籠に入れると、そのまま手渡された茶色の服に着替えていく。

「ほほう、これは楽で良いですね」

マッサージ用に渡された服とズボンのサイズはかなり大きく、シルバーベアの巨体でもかなり余裕がありゆったりとしていた。

「それではこちらにどうぞ」

更衣室から出ると、狸獣人の店員が施術台へと案内する。

「こちらの台にうつ伏せになるように寝そべって下さい」

「わかりました」

スリッパを脱ぎ施術台に上がると、シルバーベアの体重が重いせいか台がギシ、と音を立てて軋む。その音に少し焦りを覚えたのかシルバーベアは一瞬だけ動きを止めたが、台が壊れる様子もなく狸獣人の店員が何も言わないのを見てそのまま台の上に上っていった。

「台に穴が空いているでしょう? そこにすっぽりと顔をはめてしまってください」

「はい」

施術台にはうつ伏せになっても呼吸が出来るよう穴が空けられており、シルバーベアの顔の前面がマズルごとすっぽりと収まった。

施術台の質感は柔らかく少し硬いクッションのようで、専用のシーツも被せられておりかなり寝心地は良さそうだ。

「……ふうぅ」

シルバーベア自身も気付かない程疲れていたのか、こうしてうつ伏せになっただけで小さな溜め息が漏れる。

そんなシルバーベアに狸獣人は施術前の準備をしながら問いかけた。

「白熊山さん、恰幅の良い身体をされていますね。凝っているのは肩と聞いていましたが、肩だけではなく足も凝っているでしょう?」

「ふふ、どうなんでしょうか。しかし、横に広くて恥ずかしい限りです」

「そんなことありませんよ。とても男らしいじゃありませんか」

狸獣人の焦げ茶色の被毛に覆われた手がシルバーベアの首に触れる。

「それでは上の方からマッサージをしていきます。痛かったり、それとは逆に少し強く揉んで欲しい場合は気軽にお申し付けくださいね」

「わかりました、お願いします」

「では」

狸獣人はそう言うと、シルバーベアの首に優しく指をかけ、そのサイドを指の腹で押す。シルバーベアの丸い耳がピク、と微かに動いた。

「おや、首もとても凝っていらっしゃいますね。座り仕事ですか?」

「ええ。座り仕事もたまに……」

「たまに、と言うことは普段は違う仕事を?」

「そうですね。……外回りをすることが、多いです」

「そうだったんですか。ふふ、それは後で足を揉むのが楽しみですね」

狸獣人の店員は静かに笑いながらそう言うと、芋虫のように太い指を器用に動かして緩急を付けながら肩のツボを揉んでいく。

「ん゛ん……」

「気持ち良いでしょう? 声を出してしまってもかまわないませんからね」

「しかし、大の大人が情けない声を出すのは……」

「大の大人だからこそ疲れが溜まってしまうものですから。自分で言うのもなんですが、お客様からの評判はかなり良くて。僕のマッサージで声を上げてしまうお客様もたくさんいらっしゃるんですよ」

「ん゛、そ、うですか……」

狸獣人の言葉を聞いたシルバーベアは少しだけ羞恥心が和らいだが、しかし恥ずかしいものは恥ずかしい。

「とても凝っていますね。腕もこんなに太い。何か運動でもなさっているんですか?」

「いえ。運動という運動はしていないのですが。……っ、そうですね、仕事でよく身体を動かしてます」

「ほう。どんなお仕事かお聞きしてもよろしいですか?」

「あっ、すみません。それは……ん゛んっ、少し言えなくて……」

「はは、良いですよ。お気になさらず」

「すみません、あ゛ふぅ……」

肩が終わり背中へとマッサージ先が移動する。背中のツボを押されると想像以上に凝っているのか、身体を震わせながら声を漏らす。

「大きな背中ですね。これは揉むのも大変そうだ」

「ん゛んっ、お恥ずかしい……」

「良いんですよ。白熊山さんはリラックスしてください」

狸獣人の優しい声色とマッサージに、シルバーベアの意識が徐々に微睡んでいく。

「この、匂いは……」

微睡みの中、シルバーベアは何か良い香りが部屋に充満していることに気が付いた。

「ああ、当店ではお客様により気持ち良くリラックスをしていただけるよう、特製のアロマを使用しているんです。好みでなければすぐに言ってくださいね」

「いえ……むしろとても好みです」

「それは良かった」

「ん゛お゛……っ!?」

背中のツボを押された際、一際大きな声を上げてしまいすぐさま口を紡ぐ。顔が赤く、熱くなっていくのがシルバーベア自身でもわかるが、狸獣人は先程の声に何一つ触れることはなかった。

狸獣人の言う通り、何度も客のこのような声を聞いてきたのだろう。

「とても逞しい腕をしていらっしゃいますね。内側の筋肉もすごい量だ」

人々を守り、平和を脅かす悪を討つ為に鍛えた身体を褒められるのは誰であっても悪い気はしないだろう。何か言いたそうに口を開くが、それは狸獣人の言葉の続きに遮られる。

「座り仕事もしていらっしゃるなら、ここも凝っていることでしょうね」

「ん゛ッ、ふう゛ぅ……そこ、は……」

ぐにぐにと大きな尻を掴まれ、声を漏らしてしまう。既に上半身はほとんど力が抜け、シルバーベア狸獣人のマッサージになすがままだった。

「僕もそうなんですが、大きな方は座っている時にお尻にかかる負荷が大きいんですよ。だからこうしてお尻も凝ってしまうんです」

「ん゛、ん……♡」

腰の方から太腿の付け根の方まで。尻穴や股間に近いところまで揉まれマッサージの気持ち良さが再び湧いてきた少しの羞恥心も容易に消し去ってしまう。

「こんなに凝ってしまって……とても大変なお仕事をなさっているんですね」

「お゛、お゛……ッ♡♡」

尻たぶの内側を揉まれ、ビクビクと身体を痙攣させながら情けない声を上げる。しかし既にそれを抑えられるほどの力や緊張感はシルバーベアには残っていなかった。それほどまでに狸獣人の行うマッサージは気持ち良く、ゆっくりと着実に、日々のヒーロー活動から来る疲れを癒しているのだ。

マッサージの場所が徐々に尻から下の太腿へと映っていく。シルバーベアの重たい自重を支え続ける太腿もやはり凝っているのか、ぐりぐりと付け根に指を押し込まれるとビクビクと身体を震わせて反応する。

「予想通り、とても凝っていますね。でも大丈夫です、僕が全部解して差し上げますから」

「う゛ッ♡ お、ぉ……」

肉を押し込みながら、狸獣人の指がふくらはぎの方へと移動していく。人々を即座に救い出し、ヴィランと戦う激しい動きに耐える為に膨らんだふくらはぎの筋肉はとても硬い。

力強く押し込まれる指の動きに連動してビクッ♡ ビクッ♡ とシルバーベアの身体が跳ね、足指を動かしわかりやすい程に反応する。ふくらはぎが終われば足裏だ。気持ち良さそうに動く足指を掴んで上下に動かしリラックスさせた後、足指の間、黒ぼったい茶色の肉球をしっかりと揉みほぐしていく。

「ッ♡ ……♡」

どれ程の時間が経っただろうか。首から足の先までのマッサージが終わる頃にはシルバーベアの全身を淡い快感が包み、ほとんど脱力した状態になっていた。

「白熊山さん、これで背中の方は終わりです」

「あ、りがとうございます……♡ とても気持ちよかったです」

「ふふ、それは良かった。それでは、次は前の方をマッサージしましょうか」

「前、ですか?」

「そうです。とっても疲れがとれて気持ち良いと、お客さんにも評判なんですよ」

狸獣人がうつ伏せになったシルバーベアの肩に手を重ね耳元で囁く。

「……是非、よろしくお願いします」

シルバーは心ここにあらずと言った様子で二つ返事で了承する。それを受けた狸獣人はニコリ、と微笑んで口を開いた。

「前面のマッサージはその都合上、服は脱いで頂き下着姿になっていただかないといけないのですが……かまいませんね?」

「……大丈夫です」

「それでは今度は仰向けになってください」

「は、い」

狸獣人の言われるがまま、その大きな両手を台座に付けてぐっと上半身を持ち上げる。ぼうっとして様子でゆっくりと上下の服を脱ぎ、狸獣人に手渡す。トランクス一丁の下着姿になったシルバーベアはそのままギシギシと施術台を軋ませながら、仰向けに台座に寝転がった。

「それではタオルを失礼します」

呆けた様子のシルバーベアの目に熱い濡れタオルが掛けられた。その温かさは少し冷えた目の疲れを癒し、再びシルバーベアを微睡みの中へ連れ戻す。

視界を塞がれたシルバーベアが暗闇の中で感じられるのは、己と狸獣人の息遣いと、部屋に漂うアロマの香りのみ。視覚が失われ感覚が鋭敏になったのか、狸獣人がシルバーベアの太腿に手を這わせるだけでビクッと身体を震わせた。

「それでは始めさせていただきます。とても太腿が凝っていましたからね。前面もしっかりと揉ませていただきますね」

「ん゛ッ♡ よろしくお願いします……」

肉厚な太腿に狸獣人の指が押し込まれる。その度にロマンスグレーの髭の下の口元から低い喘ぎ声が漏れる。

押し込む指が付け根から膝の方に、膝の方から付け根へと交互に移動していく。重点的に太股のマッサージが続けられていく内に、シルバーベアの様子に変化が訪れ始めた。

「う♡ お゛……ッ♡」

太腿、特にその付け根を重点的に揉まれているのだが、その近くにはシルバーベアの男の象徴が納まったトランクスの膨らみがあった。その膨らみが徐々に、徐々にだが大きくなってきているのだ。

「ぐ、うぅ……♡♡」

何とか反応しないよう耐えようとしているのか、両拳がギュウ、と握りしめられる。しかし強く揉まれると腰周りが揺れ、それに連動して竿と玉袋も揺れてしまう。肉に押し込まれる太指は、太腿の付け根の内側、玉袋のすぐ横の際どいところにも入っていき、それに反応してピク♡ とちんぽが動いてしまう。

一度反応してしまえばもはや抵抗する術は無いのだろう。トランクスの膨らみが大きくなっていき、とうとう天に向かってテントを張り始めてしまった。

「す、すみません……♡ こんな……♡」

「ふふ、いえいえ構いませんよ。前面のマッサージを受けるとほとんどの男性がこうなってしまうんです。僕としては気持ち良くなっていただけているのがわかって嬉しい限りですよ」

狸獣人がフォローを入れるが、股間周りのマッサージは続けられる。

指の動きに合わせてトランクスが揺れ、開いてきたスリットからシルバーベアの逸物が顔を見せる。少しずつ大きさを増していくちんぽはとうとうスリットを押し開き、雁首より少し上を覆う仮性包茎であることをアピールしながら、雄々しくその股座に反り勃った。

「お゛お……♡」

熱を持った男の象徴が外気に触れる感覚に身体を震わせてシルバーベアは声を漏らす。目の前で男性器が勃起しているのにも関わらず、狸獣人は驚きもせず優しく微笑んだ。

「ふふ、とてもご立派な物をお持ちじゃありませんか」

皮を被ったシルバーベアのちんぽは、気持ち良いと言外に伝えるかのように、上を向きながらピク♡ ピク♡ と弱々しく震える。続けて行われる太腿周りのマッサージによる振動が、ふてぶてしく重量を感じさせるちんぽを前後左右に間抜けに揺らす。

「窮屈そうですね。パンツも脱がしてしまいましょうか」

シルバーベアが答える間もなく、狸獣人はトランクスのゴム部分に指を掛けると、シルバーの太腿を持ち上げ一気にずり下げていく。ちんぽをスリットから抜き、足首にまで下げられたトランクスはそのまま脱がされ、台の横に設置されている籠の中に入れられてしまった。

「それでは続けますね」

全裸で勃起したまま台に横たわるという、ヒーローとしては情けない姿になってしまったシルバーベアだがマッサージは続く。少しずつ揉む箇所が上に上がっていき、腹の横、脇の下、両腕と順々に揉みほぐされていく。その間もシルバーベアの勃起は治まることなく、それどころか鈴口に先走りの水滴を作ってしまっていた。

「それでは頭のマッサージにいきますね」

「ッ♡」

両手の計十本の指がシルバーベアの頭を掴む。ググ、と力強く頭のツボを押し込む指に、シルバーベアの頭の凝りが解されていく。

「頭も結構凝るんですよ、意外でしょう?」

「は、イ……♡」

「おちんちんもとっても元気ですね。でも大丈夫です。気にせず全て僕に身を任せてください」

狸獣人がシルバーベアの耳元で囁く。

「もっと力を抜いてください。何も考えず、白熊山さんの身体を揉み解す僕の指、そして僕の言葉だけに意識を向けてください」

狸獣人の言葉通り脱力し始めたのか、軽く握られていたシルバーベアの拳が開かれていく。

「いいですね、とてもリラックスしていますよ。マッサージはお客様自身がリラックスすることがとても重要なんです。ほら、おちんちんも気持ち良くなって、身体が解れるのに比例してどんどん硬くなる」

今のような恥ずかしい言葉をかけられても、微睡みの中にいるせいかシルバーベアの返答は無い。

触れられてもいないシルバーベアの仮性包茎ちんぽは、すっかりと言い訳のしようのない程にガチガチに勃起してしまっていた。

「頭の凝りも大分取れてきましたね。それでは次は胸を揉みましょうか」

狸獣人がシルバーベアの肉付きの良い胸を遠慮なしに掴んでも、最早何の抵抗もない。

厭らしい手付きで狸獣人がシルバーベアの胸を何度か揉みしだくと、白い柔毛に埋もれた桃色の乳首が徐々に硬くなってくる。それを続けると、いつしか乳首がピンと勃ち、二つの小山の上で存在感を主張していた。

「凝りがほぐれて乳首も勃ち始めましたね。ここもしっかりマッサージしていきましょう」

硬く勃ち上がった桃色の乳首を摘むと、スリスリと回転させるように擦り始める。

「くふ、ぅ……♡♡」

「気持ち良いでしょう? 恥ずかしいかもしれないんですが、胸と一緒に乳首が凝ってしまう男性はとても多いんですよ」

優しく声を掛けながら、狸獣人の店員は硬く勃ち上がったシルバーベアの乳首を優しく撫で、向いている方向に沿うように上の方へと扱きあげる。

「く、お゛ぉお゛……♡」

「白熊山さんのような中年の男性は胸にお肉が付いて重くなってしまいますからね、特にこんな風に凝りやすいんですよ」

大きな手がシルバーベアの肉付いた胸をぐにぐにと揉みしだきながら、浮かび上がった乳首を器用に押し潰していく。胸を触られているというのに、離れた足先が連動しているかのようにビクン♡ ビクン♡ と跳ねた。

「しかし、やはり大きくて逞しい身体だ」

狸獣人は右手で乳首を弄りながら、左手ですっかり力が抜け動けなくなってしまったシルバーベアの身体を撫で回す。穏やかな人柄が予想できる垂れ糸目に蓄えられたロマンスグレーの口髭、顎と頬に肉が付いた熊獣人特有の愛嬌のある丸顔、張った胸と真ん丸と膨らんだ腹、肉厚な両腕と両足を、輪郭を確かめるようにゆっくりと撫でていく。

「とても素晴らしい、熟練の雄として優れた肉体……ヒーローとしてさぞ活躍してきたんでしょうね」

太腿の付け根に移動し、天高く反り勃った仮性包茎のちんぽ──その下のずっしりと重みのある玉袋を優しく揉み始める。

「これだけ重ければ、中で精子もたっぷりに作られていることでしょうね。これ程までに優れた雄が、幾度となく命を懸けた戦いを続けて生存本能を刺激しているのなら当然です。ますます……我が組織、ダークラビッツの雄兎戦闘員となるに相応しい身体だ」

狸獣人がニヤリ、と笑みを浮かべ舌なめずりを行う。

組織ダークラビッツ。それは半年程前から姿を表した悪の組織だ。その内部は未だ正体不明の総統と複数の幹部、そして末端の手先である雄兎戦闘員達によって構成されている。ヒーローとであることが既に知られ、その悪の組織の戦闘員となるに相応しいとまで言われてしまったシルバーベアは……起き上がらない。

「アロマも私のマッサージも効くだろう。身も心も解されて……私に全てを委ねたくなる。このアロマを嗅ぐのが、私の声を聞くのが、私に身体を触られるのが気持ち良くてたまらない、そうだな?」

シルバーベアは答えない。

「私が何を塗りながらマッサージを行っていたと思う? ただのオイルではない。組織ダークラビッツの忠実なる下僕、我ら雄兎戦闘員のスウツの元となる特製オイルだ。身体を弛緩させ、その自由を奪い、時間をかけて肌に定着していく」

シルバーベアは答えない。答えられないのだ。

乳首を擦られ扱き上げられる快感に、口を少しだけ開き身体全体を震わせる。

「見ろ、少しずつ定着してきたぞ? オイルが固まりコーティングされ、美しい黒色へと変わっていく……と言っても、今の貴様に見ることはできないか」

狸獣人の言う通り、オイルの光沢を保ったまま少しずつ黒色が現れていく。シルバーベアの純白の被毛が寝かしつけられ、雄兎戦闘員の黒が覆っていく。

両腕、胸、腹、腰、股座、両足が。数々の功績を残してきた歴戦のヒーローの肉体が黒く、組織ダークラビッツの所有物の証に染め上げられていく。

「ふふ、やはり獣人が戦闘員へと変わっていく瞬間は美しい。貴様の素晴らしい肉体も、平和を願い悪を討つという思考を行うその脳も、既に我らが組織の手の中だ」

狸獣人はシルバーベアの頭を撫でて濡れタオルを取り去る。タオルを外されてもロマンスグレーの太眉と垂れ糸目は顔を出さず、マズル周辺を残してすっかりと漆黒のマスクに覆われていた。

最早シルバーベアの面影があるのは口髭を蓄えた白の被毛に覆われたマズル。そして未だ触れられていない、ヒクヒクと震え先走りを垂らす仮性包茎の勃起ちんぽだけだった。

「さあ、私の声を聞け。私の声を聞くのは気持ちが良い、私に触れられるのは気持ちが良い、そうだな?」

形成された黒のタイツに覆われたシルバーベアの耳元で囁きながら狸獣人がシルバーベアの身体を撫でる。ゆっくり、ゆっくりと肉厚な手のひらが曲線を描く腹の上を撫でる度に、唯一露出した勃起ちんぽが跳ねる。

「私の言うことを聞くのは気持ちが良い。私の言う通りにすると気持ちが良い。貴様は私の言うことだけを聞けばいいのだ」

狸獣人の手がシルバーベアの乳首に伸びる。

「私に乳首を触れられると気持ちが良い」

「ぐお゛ぉッ♡♡ お゛ッ♡♡」

静かにしていたシルバーベアが、口髭を携えた口を大きく開き喘ぎ声を上げる。

「玉袋を触れられると、玉袋を私に掌握されると気持ちが良い」

「お゛ぉう゛……♡♡ う゛……ッ♡♡」

優しく、少し力強く玉袋を握られる。片側ずつ、左右両方、ゆっくりと手の平の中で転がされ弄ばれる心地良さを、シルバーベアの脳に刷り込んでいく。

「私に支配されると気持ちが良い。組織ダークラビッツに支配されるのが気持ち良い」

「は、あ゛ぁ……ッ♡」

「貴様は雄兎戦闘員だ。貴様は組織ダークラビッツの手駒。雄兎戦闘員になる事は……素晴らしく気持ちが良い」

「い゛、ぃ……♡♡」

シルバーベアの耳元で狸獣人は囁き続ける。狸獣人の言葉は次々にシルバーベアにとって否定しようがない真実となって降り注ぎ、その身体を覆う雄兎戦闘員タイツと共にその肉体に、精神に馴染んでいく。

「もっと力を抜けシルバーベア。全てを我々に、組織ダークラビッツに委ねると気持ちが良い……そうだ、その調子だ。全身を雄兎戦闘員のスウツに委ねるのだ。力を抜き支配を受け入れる度に……そう、ちんぽが気持ち良くなる。ちんぽに意識を集中させると、どんどん射精に近づいていく」

「い゛ィ……♡ オ゛、ぉ……♡♡」

足指がキュウウ♡ と縮こまり、腰が僅かに浮く。シルバーベアの肉体が、射精向かって準備を始めていく。

「快楽に従え。貴様の股座に反り勃つモノに、欲望に忠実になれ。気持ち良いことは素晴らしい。貪欲に快楽を貪れ」

「イ゛ッ♡ ぃ……♡」

「貴様は雄兎戦闘員。我らが組織ダークラビッツに忠誠を誓う奴隷。組織ダークラビッツに奉仕し、快楽に身を委ね、同志である雄兎戦闘員とまぐわい快楽を貪ることが幸福の肉塊」

「イ゙ぃイ゛……♡♡」

「身も心も、ヒーローとして使命も価値観も全て組織に捧げろ。失われた貴様のヒーローとしての価値観はタイツに吸収され、雄兎戦闘員の証たる兎耳へと変わる。マスクから生える黒色の兎耳は、雄兎戦闘員となる前の全てを組織ダークラビッツに捧げた証なのだ」

シルバーベアのマスクから二つの突起が出現する。そして、それら狸獣人の言葉通り兎耳のようになって伸びていく。シルバーベアの正義の心が、ヒーローとしての使命がその身体から失われていっているのだ。

兎耳が伸びていく度に、ぴゅっ♡ ぴゅっ♡ と先走りが仮性包茎ちんぽの鈴口から噴き出る。

かつてない量の先走りを放たせる程の快楽がシルバーベアを包み、悪の組織の手先として籠絡させていく。

「誓え。我らの、欲望の奴隷になると。組織ダークラビッツの所有する雄兎戦闘員になると。尊厳などなく、奴隷にただ一つ許される奇声でもって宣誓するのだ」

「イ゛、ィ……ッ♡♡」

狸獣人がシルバーベアの耳元から離れる。そして悠然と立ったまま後ろで手を組み、冷酷な瞳でシルバーベアを見下ろしただ一言冷たく言い放った。

「雄兎戦闘員に射精を許可する」

瞬間、シルバーベアの身体が跳ねた。足指がピンと伸び、射精の為に玉袋が縮こまって上がり、腰が僅かに浮かび上がる。穏やかなシルバーベアらしからぬ、歯を剥き出しにしたいの字に口を歪め、そして。

「イ゛ィーーッ♡♡♡ い゛ッ♡♡ イ゛ッ♡♡ 〜〜〜ッ♡♡」

かつて自分が何度も退けてきた雄兎戦闘員と同様の奇声を発し、仮性包茎ちんぽの鈴口から濃く重たい精液を吐き出した。

「イ゛ッ♡♡ イ゛ぃい゛ッ♡♡ イ゛ッ♡♡」

びゅ〜ッ♡♡ びゅるっ♡♡ びゅるるるッ♡♡ びゅっ♡♡ びゅ〜ッ♡♡ と。

断続的に、それでいて一度の吐精で大量の濃厚な精液が放たれる。その度に漆黒のタイツに覆われた雄々しい肉体が弱々しく跳ね、雄兎戦闘員の奇声が口髭を携えた穏やかな口元から漏れ出る。

奴隷に唯一許された奇声。組織の命令に対して肯定のみ示すその声だけを発しながら、シルバーベアは射精の快楽に沈んでいく。

「気持ち良いか? 好きなだけ出すと良い。貴様がヒーローであった頃の精子を使った最後の射精なのだからな」

奇声を上げ射精を続けるシルバーベアに狸獣人は続ける。

「貴様の肉体は組織の物となった。雄兎戦闘員スウツは内部に侵食し、貴様の思考と身体を雄兎戦闘員に相応しい物へと造り変えていくだろう。雄の性欲を利用し支配しやすいよう、貴様の自由な射精の権利も組織が所有する。組織の許可無しで貴様は射精できなくなるのだ」

シルバーベアの射精は止まらない。

「より雄の性欲を利用しやすいよう、睾丸と玉袋の肥大化も行われる。精巣機能の強化により性欲は増大し、射精の為に、より忠実に組織の為に尽くしてくれることだろう」

噴き出した精液がシルバーベアの股座付近に降り注いでいく。しかし、精液はたちまちに雄兎戦闘員タイツに吸収され、その漆黒に消えていく。雄兎戦闘員同士での性欲消化や幹部への奉仕を行う際、汚れを一瞬で取り去り与えられた次の任務を迅速に行う為だ。

「イ゛ィッ♡ イ゛ッ♡♡ ……♡♡」

びゅっ♡♡ びゅびゅっ♡♡♡ と一際多い精液を放って、シルバーベアは動きを止めた。白濁塗れの仮性包茎ちんぽを、漆黒のタイツが根元から精液を吸収しながら覆っていく。雄兎戦闘員の証である黒タイツ。それがシルバーベアの雄の象徴をすっかりと覆いきった。頭を覆うマスクの兎耳も完全に伸び切り、今までシルバーベアの見てきた雄兎戦闘員と何一つ変わらない姿になっていた。これでシルバーベアの肉体は組織ダークラビッツの完全な所有物となったのだ。

「立て、シルバーベア──いや、雄兎戦闘員二百十五号」

狸獣人の言葉にシルバーベアはピクッ♡ とちんぽをヒクつかせると、力の入らなかった両腕に確かに力を込め、ゆっくりと上体を起こした。

黒色に覆われた巨体が動き、その両足を床に付ける。それは確かにシルバーベアの意志の元行われている動きだ。しかし、シルバーベアの意志の元に動くその肉体は狸獣人の前に立つと、ぴっちりと両足を揃えて背筋を伸ばし、姿勢を正した。

「これからの組織ダークラビッツへの貢献に期待している。我々と共に総統閣下に尽くすのだ」

己を見上げる狸獣人の言葉に、シルバーベアは左腕を腰に付け、右手指を綺麗に揃え額の前に持ってくる綺麗な敬礼を行う。

「イ゛ィーッ♡♡」

雄兎戦闘員に唯一許される肯定の意味を持つ奇声が、口髭を携えた口元から低く渋い声色で発せられた。

それは最強に名を連ねる熟練のヒーローシルバーベアが、悪の組織ダークラビッツの手先へと生まれ変わった瞬間であった。

*****

『貴様の立場は組織ダークラビッツにとって代用し難い価値がある。マスクを脱ぎここへ来た時の姿に着替えろ。勿論タイツは着たままでだ。貴様は普段ヒーローとして活動しながら我々に情報を流し、招集されれば直ちに雄兎戦闘員の姿に戻り我々組織の為に活動するスパイとして働くのだ』

シルバーベアはいつも通りのワイシャツネクタイスラックス姿で隠し通路を通りながら、ヒーロー本部への道を向かっていた。その際、マッサージ屋の狸獣人の店員──新たな同志の一人である雄兎戦闘員四十二号の言葉を思い返していた。ゴツゴツと重量のある革靴の音を立てながら、スラックスの内側に収納された仮性包茎のちんぽを硬くさせ舌なめずりする。

(ああ……何て素晴らしい心地なんでしょうか♡♡ これが雄兎戦闘員になるということ♡ 組織ダークラビッツの手先に生まれ変わるということなのですね♡♡)

シルバーベアの身体を包んでいるのはかつてない多幸感であった。平和を愛し、悪を絶やす為に日々奮闘していた頃は、なくならない悩みや溜まっていく疲労に常に身も心も苛まれていた。しかし、雄兎戦闘員として生まれ変わった今、シルバーベアにあるのは偉大なる組織に支配される快楽と、理解の深い同性である雄とまぐわえる幸福だけ。そこに苦悩し考える頭など必要なく、欲望に身を任せているだけで良いのだ。快楽に包まれ勃起の絶えなくなったこの身体も、組織の命令を遂行し続ける為に造り変えられ、ヒーロー時代と比べて軽く疲れ知らずとなっていた。

(ああ、四十二号の言葉は確かに正しかった……♡ 私は今までなんという愚かな過ちを犯し続けていたんでしょうか♡ ヒーローなどくだらない。数々の経験を重ねてきた私のこの肉体も、思考も全て組織ダークダークラビッツと総統閣下様の為にあったのです♡)

洗脳によって歪められた価値観がシルバーベアを昂らせ、タイツの中で上向きに収納されたちんぽがビクビクと脈打つ。大量に溢れ出る先走りもタイツに吸収され、スラックスに滲み出ることはない。普段は目立つ勃起も、タイツにキツく押さえつけられていればそれほど目立つことはない。

(お゛ほ……ッ♡ 油断してしまうと腰を振ってしまいそうです♡ しかしそんなことをしてしまえば、私が組織の奴隷、変態ホモの雄兎戦闘員になったことが簡単にバレてしまう。それだけは耐えなければなりません)

スラックスの下でガチガチに勃起しながらも、表情は普段の柔和な物を装いゴツゴツと足音を立てて歩みを進めていく。

性欲を利用しやすい成人した雄のみで構成される雄兎戦闘員は、皆淫乱な同性愛者へとその性質を調整される。己を管理する同性の幹部に命令されることに、同志である雄兎戦闘員と共に働くことに喜びと性的快楽を与えやすくする為だ。変態ホモへと変えられ常に発情した雄兎戦闘員は、その有り余る性欲を組織ダークラビッツに、総統に利用され忠実な下僕として働き続ける事になるのだ。

「ふうう……♡♡」

そしてとうとうシルバーベアは目的地であるヒーロー本部──そこに割りあてられた自室へと足を踏み入れた。

ロッカーの前まで歩いてくるとネクタイを外し、ワイシャツを脱ぐ。ベルトを外し、スラックスと革靴を脱いでいく。その下に現れたのは白シャツとトランクスに黒ビジネスソックス……ではなく、漆黒のタイツ。太ましい両腕両足に張った胸。真ん丸と曲線を描いた大きな腹に重量のある大きな尻。上向きに収納されたちんぽの下で以前より肥大化した玉袋がずっしりと張り詰めており、その全てが組織ダークラビッツの下僕であり変態となった雄の証、雄兎戦闘員スウツに覆われていた。

「少し、少しだけ……」

うわ言のように呟きビジネスバッグの中に手を入れると、中から白のレザーグローブとブーツ、そして黒色の兎耳が着いたマスクを取り出した。ブーツを片足ずつ履きグローブを両手に嵌める。最後に兎耳の伸びたマスクを頭の上に持ってくると、その柔和な太眉と垂れ糸目、その全てを雄兎戦闘員の証であるマスクで覆い尽くした。

「お゛ほッ♡ ああ……なってしまいました、私、私……♡♡」

更衣室に設置された姿見を見る。そこにいたのはヒーローシルバーベアではなく、白熊獣人である事が微かに判別することができるだけの組織ダークラビッツの手先、雄兎戦闘員の姿だった。

「お゛お……♡♡ 素晴らしい♡♡ ああ、ごめんなさい♡♡ 少しだけ、少しだけ腰を振らせてくださいッ♡♡ 雄兎戦闘員として変わり立ててで、ムラムラして仕方ないんですッ♡♡」

その場にガニ股になると頭の後ろに手を持っていき、腰を突き出す。口を情けなくおの字に開きながら、シルバーベアはヘコヘコと腰を前後に振り始めた。

更衣室は基本的にヒーローに一部屋ずつ割り当てられている。それでも何かの間違いでこの醜態を見られてはシルバーベアのヒーローとしての人生が、スパイとしての使命が一瞬で終わってしまうのだ。しかし雄兎戦闘員スウツによって肥大化させられた性欲が、穏やかなシルバーベアの理性を上回りその巨体を変態腰振りに興じさせる。

「ああ……♡ 私はいい歳した大人のヒーローなのに♡♡ フンッ♡ 今まで倒してきた雄兎戦闘員へと変えられそのムラムラで腰を振ってしまっていますッ♡♡ 今すぐシコシコして射精したくてたまらないのに♡♡ 弄ることも許されず少しでも快楽を味わおうと変態腰振りしてしまっていますッ♡♡ フーッ♡♡ フーッ♡♡」

ゆさゆさと揺れるちんぽがタイツに擦れる僅かな快楽に意識を集中させながら、前後上下に腰を揺り動かしていく。大きな尻も揺らしながら必死に腰を振る様は無様と形容するしかなかったが、理性を性欲が上回ったシルバーベアにとっては真剣な行動だ。

すると突然、扉がノックされ幼い声が部屋に響いた。

「シルバーベアさん、いらっしゃいますか?」

「ッ、この声は……♡」

その声の主はシルバーベアにマッサージを勧めた新人ヒーローのストレンジラビットだった。普通であれば洗脳された事が発覚しないよう居留守をするかヒーロースーツ姿に変身してから扉を開けるだろう。しかし、シルバーベアのとった行動はそのどちらでもなかった。

「少々お待ち下さい、ただいまお開け致しますっ♡」

弾かれたように扉の方へ向かうとすぐさま扉を開ける──当然、シルバーベアの姿は黒色の全身タイツに身を包み兎耳を伸ばした雄兎戦闘員の姿のままだ。

悪の手先と同じ変態的な格好をした、親子程も歳が離れた大先輩の姿を見たストレンジラビットは、特に驚く様子もなく部屋の中に入る。

「マッサージはどうでしたか?」

腕を組んで壁に背を預けるストレンジラビットに対して、シルバーベアは扉を閉めるとその正面に立ち姿勢を正した。そして。

「イ゛ィーッ! 素晴らしい心地でありました! 私シルバーベアは雄兎戦闘員四十二号のマッサージ洗脳により総統閣下の素晴らしい思想をたっぷりと教え込んで頂き、組織ダークラビッツの手先、雄兎戦闘員二百十五号として生まれ変わりました! 組織ダークラビッツに、総統閣下に永遠の忠誠を誓いますッ! 何なりとご命令を、総統閣下様!」

綺麗な敬礼を行ったシルバーベアはストレンジラビットにそう宣誓した。そう、新人ヒーローストレンジラビットはヒーロー本部の内部に侵入する為の仮の姿。その正体は組織ダークラビッツを設立した総統だったのだ。

「ふーん、性欲とは無縁そうなシルバーベアもちんちんの気持ち良さには勝てなかったか」

「イ゛ィーッ♡ 本当に素晴らしい心地ですッ♡ しかし、恐れながら少し訂正が♡ 私は元々性欲が強く、週に三回程度には自慰行為に耽ってしまう年甲斐もなく性欲旺盛な中年でありましたッ♡ 簡単に快楽を利用されて洗脳されてしまったのも当然の範囲内かと♡♡」

「そうだったんだ。人は見かけに寄らないなぁ。それじゃ、他のベテランヒーローのおじさん達にも洗脳が通じるかはまだわからないか」

「イ゛ィーッ! 失礼ながら……ッ♡」

「もう〜駄目じゃん。いい歳なんだからちんちん弄りからは卒業しないと」

「ッ♡♡ イ゛ィーッ♡ 申し訳ありません♡♡ 総統閣下♡♡ こんなに大きな身体をしているのに、たちまちムラムラしてしまってすぐオナニーの事ばかり考えてしまうのですっ♡♡」

遥か年下のストレンジラビットに対し、低姿勢で自慰行為の頻度まで話し謝罪をするシルバーベア。昨日までの立場からはすっかりと逆転し、歳上としての、ベテランヒーローの大先輩としての貫禄は既に完全に無くなっていた。しかしそれも仕方の無いことだ。雄兎戦闘員となったシルバーベアにとって、ストレンジラビットは最も偉大な主人なのだから。

「……大人の獣人ってホント性欲バカなんだなぁ。僕の能力、全部効いちゃうんだもん」

ストレンジラビットの能力。ヒーロー本部に伝えられた身体強化能力は偽りで、その本質は獣人の肉体に干渉することができる能力だ。肉体ではなく精神にまで干渉することは難しいのだが、熟した成人男性の性欲を高めそれに関連付けられた精神性を歪めることで、雄兎戦闘員という自身に忠実な手下へと変えることを可能としている。能力が特性オイルとして雄兎戦闘員の手で運用されているのは、ストレンジラビットが洗脳した組織ダークラビッツの幹部の能力によるものだった。

「優しくて格好良くて、頼りになるなぁって思ったシルバーベアも一日でこんな変態奴隷になっちゃうし」

「はあ゛ぁッ♡♡ 申し訳ありません♡♡ まだ子供のストレンジラビット様の前でムラムラして腰を振りたくなってしまう駄目な大人でごめんなさいぃ♡♡」

「いいよ別に。どうせ今も腰振るだけじゃなくて射精したいんでしょ? 見ててあげるから好きなように射精しなよ」

「あ、ありがとうございますッ♡♡ シルバーベア改め変態ホモの雄兎戦闘員二百十五号、乳首を弄りながら変態腰振りで服従証明射精させていただきますっ♡♡」

ストレンジラビットの言葉にシルバーベアは待っていたと言わんばかりに素早く宣誓すると、ガニ股になって腰を振り始める。

「うお゛ぉッ♡♡ お゛ッ♡♡」

この歳になるまで乳首弄りなどしたことも無かった太指が、慣れない手付きで悩まし気に小山の突起の上を這う。

狸獣人に弄ばれた時程の快楽はなかったが、主であるストレンジラビットの目の前で自慰行為に耽ることを許された幸福が、変態ホモ奴隷へと変えられたシルバーベアの興奮を高めていく。

「悪の手先になっちゃって、後輩だったヒーローの前でそんな醜態晒して、正義のヒーローとして恥ずかしくないの?」

「はひッ♡ 勿論恥ずかしいですっ♡♡ 私は正義のヒーロー♡♡ 悪の親玉である貴方を倒さなければならないのにッ♡♡」

ストレンジラビットにとっては勝利を確信した生意気な台詞だったのだろう、しかしその質問に答えようとしたシルバーベアの動きが少し鈍る。

「そ、そうです♡♡ 私はヒーロー、こんな変態行為をしている場合ではあ゛ッ!?♡ お゛ッ♡♡ 乳首気持ぢ良い゛♡ 頭が馬鹿になるっ♡♡」

一瞬正気を取り戻したかのような反応を示したが、乳首を弄る指と腰の動きは止まらない。別の意志を持った生き物かのようにその太指は硬くなった乳首の上を這い、ちんぽをタイツに擦り付けて快楽を与える為に、腰がヘコヘコと前後に動き続ける。

「乳首シコシコ止まりません゛ん゛♡♡ 違う私はヒーロー、総統閣下を倒さなければヒーロー悪の手先正義の雄兎戦闘員……ッ♡♡」

ビクビクビク♡♡ とガニ股のまま激しく身体を震わせながらうわ言の様に言葉を漏らす。失われたと思われたシルバーベアの正義の心が再び湧き立ち抵抗しているのだろうか。

しかし、マスクの上の兎耳がピン♡ と伸びユラユラと揺れ動く。それはまるで再び湧いた正義の心を抜き取り、組織に忠誠の証として捧げているかのようで。

「私はヒーロー、お゛ほっ♡♡ ちんぽキクッ♡♡ タイツ擦れるッ♡♡ 腰振るの気持ち良イ゛ッ♡♡ 雄兎戦闘員になるの気持良イ゛ィッ♡♡」

鈍っていた動きが再び元に戻り始める、タイツの下でガチガチに勃起したちんぽを震わせながら、ヘコヘコと素早く腰を振り始める。覚束無い両手の動きが、いやらしく胸を揉みながら乳首を愛撫する変態的な動きへと変わっていく。

「イ゛ひっ♡♡ イ゛ィーッ♡♡ も、申し訳ありませんでしたぁっ♡♡ 恥ずべきことなどありませんっ♡ 私は総統閣下の忠実なる変態ホモの雄兎戦闘員ッ♡ 私に崇高な使命を与えてくださった総統閣下に痴態を見ていただけることは、雄兎戦闘員にとって何物にも代え難い幸福なのですっ♡♡」

「まあ、そういう風に洗脳してるんだからそうだよね」

「あ゛ぁあ……♡♡ 私を雄兎戦闘員に洗脳して下さりありがとうございます♡♡ 乳首もちんぽもビンビンで……っ♡♡ 気持ち良くてもうイッてしまいそうですッ♡ どうか、どうかこの私めに、情けなく震えるこのホモちんぽに射精許可をっ♡♡」

先程正気を取り戻しかけたことなど忘れてしまったかのように、歳下のストレンジラビットに対して腰を振りながら必死に射精乞いを行う。

再び無様な奴隷へと戻ってしまった大先輩を見たストレンジラビットは、愉快そうに笑みを浮かべると腕を組んだまま口を開いた。

「いいよ。じゃあシルバーベア……じゃなくて、雄兎戦闘員ニ百十五号に射精許可をあげる」

「イ゛ィーッ♡♡ ありがとうございますッ♡♡ シルバーベア改め雄兎戦闘員二百十五号、これより服従証明の射精を致しますッ♡♡ 組織ダークラビッツ万歳ッ♡♡ 雄兎戦闘員万歳っ♡♡ 総統閣下、万歳イ゛ィぃッ♡♡」

シルバーベアの落ち着いた低い声を発する喉から寄声と悪の組織を賞賛する言葉が放たれる。乳首をギュウウ♡ と掴み腰を限界まで前に突き出した瞬間、タイツに浮き出たちんぽがブルルッ♡ と震えた。

「イ゛ッ♡♡ イ゛ーッ♡♡ イ゛ッ♡ ~~~ッ♡♡」

シルバーベアの動きが止まった直後、亀頭がぷっくりと膨らみ鈴口から大量の精液が噴き出した。強化された精巣によって大量に製造された精液が、タイツの吸収機能の許容量を越え外に向かって放たれる。穏やかさと歳相応の貫禄を感じさせる口髭を携えた口元は情けなくおの字になるように開かれ、乳首弄りと変態腰振りによって行われる服従証明射精がたまらなく気持ち良いのだと言外に語っていた。

「お゛う゛ッ♡ お゛ほッ♡ お゛ッ♡」

びゅっ♡ びゅっ♡ と精液が噴き出す度に身体を震わせ、白痴のような喘ぎ声が口元から漏れる。黒マスクの上の兎耳はシルバーベアの身体の震えに合わせてユラユラと揺れながらもピンと天に向かって伸び、シルバーベアが組織ダークラビッツに全てを捧げ忠誠を誓っていることを総統──ストレンジラビットに示し続けていた。

長い射精が終わり、シルバーベアの荒い息遣いだけが部屋の中で聞き取れる。

しばらくしてシルバーベアが呼吸を落ち着かせると、漆黒のタイツ覆われたその巨体を動かし素早く敬礼を行った。

「イ゛ィーッ! 服従証明射精を見ていただきありがとうございました! 射精によりムラムラも解消されスッキリ致しましたが、この通り洗脳はしっかりと根付いております! これからもシルバーベア改め雄兎戦闘員二十五号は総統閣下様の、組織ダークラビッツの奴隷として精進致します!」

足を綺麗に揃えて敬礼し、宣誓するシルバーベア。口の端を結び真摯にストレンジラビットの反応を待つその姿を見れば、宣誓に偽りがないのは簡単に見て取れた。

「よろしく頼むよ。それじゃあ、ぼくは任務に戻るのでちゃんと掃除しててくださいね、シルバーベアさん」

わざとらしく名前を呼ぶと、ストレンジラビットはそのまま扉を出ていく。それに対してシルバーベアは。

「イ゛ィーッ!」

タイツの下でちんぽを張り詰めさせながら、威勢良く肯定を示す奇声を発するのだった。

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