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「お答えし辛いでしょうが、これも暗躍を続ける組織を壊滅させる為。正義の為です。レッドボアさん、協力していただけますね?」

「……うむ、問題ない」

ヒーロー本部の内部に位置する取調室。真ん中に置かれた机を挟んで豚獣人と猪獣人が座り、豚獣人の後方、唯一の出入口である扉の隣には筋骨隆々の狼獣人が立っていた。

扉の横に立っているのは、灰色の毛並みを持ち、グレーを基調としたヒーロースーツに身を包んだ狼獣人のヒーロー、グレイウルフ。若手と言えるような時期も疾うに過ぎたベテランのヒーローではあるが、老いに負けず今も逆三角形の体型を維持し続けている。彼のヒーローにおける全盛期は今だと言っても過言ではないだろう。

問いを投げかけるのは薄桃色の短い毛並みを持ち眼鏡をかけた白衣姿の豚獣人。全く運動という物をしていないのだろう。グレイウルフとは真反対の体型である肥満体の彼はこのヒーロー本部における研究員の一人だ。

対する色褪せた茶色の被毛に覆われ、赤を基調としたヒーロースーツに身を包む猪獣人はヒーローレッドボア。初老に入る手前であろう彼はグレイウルフよりも一回り大きい体格をしており、寄る年波には勝てないのか二の腕や胸、腹や太腿などに余分な脂肪が付いてしまっている。同じヒーローではあるがお世辞にもグレイウルフのような逆三角形の身体付きとは言えず、豚獣人の研究員に近い肥満体と呼称するにふさわしい身体付きをしている。しかし、長年ヒーローとして活躍し続けてきた彼はベテラン中のベテラン。脂肪の上からでは予想のできない筋肉が秘められており、とてつもないパワー、そしてその巨体からは想像できない目を見張るスピードで何百体ものヴィランを鎮圧してきた。最強のヒーローと呼ばれる四人の内の一人であると知っている者も少なくないだろう。

否、四人の内一人であった、というのが正しい表現だろうか。

「……」

老年の猪は両端から立派な牙が伸びた大きなマズルを閉じ、苦虫を噛み潰したような顔をする。その体格と従来の強面が合わさり、臆病な者ならレッドボアから発される圧で腰を抜かしてしまうだろう。

しかし豚の研究員は全く臆することなく問いを続ける。

「まず、どのように貴方が組織の傘下、下級戦闘員へと変えられてしまったのか、教えて頂けますか」

ピク、とレッドボアの眉が反応し、眉間に皺が寄る。最強のヒーローという言葉が過去形である理由。それはフレイムヒーローレッドボアが約一年間失踪し、表社会から姿を消していた事にあった。そして失踪している間、暗躍を続ける悪の組織の戦闘員として洗脳され悪事を働き続けていた事がつい先日判明したのだ。

己の失態を思い返しながらその時のことを語るのは辛いのだろう。勿論混乱を避けるため、戦闘員として洗脳されていたことは公にはなっていない。しかし公にならずとも、その事実はレッドボアの身に重くのし掛かる。

しばらくすると心の整理がついたのか、レッドボアが重々しく口を開け言葉を紡ぎ始めた。

「ワシがしくじりヴィランに敗れた後の事だ。目が覚めると、ワシは金属製の椅子に拘束されていた。周りを見ると、同様に椅子に拘束された一般市民達がいた」

「その時貴方と市民達は正気だったのですか?」

「そうだ。ワシは異能力による脱出を試みたが、結果は失敗に終わった。組織は異能力を完全に封じる手段を持っていたのだ。兵器として用いないのを鑑みるに取り回しの良いものではないのだろうが、その時のワシは既に異能力が使えない状態になっていた」

「なる程。続けてください」

ジジ、と音を立て天井の四隅に取り付けられた監視カメラが動いた。この取調べの内容は映像と音声共に全て監視、記録されており、万が一の為グレイウルフだけではなく外にも数名のヒーローが配置されている。

「……目の前にモニターが伸びてきて、怪しげな音と光を発し映像を映し始めた。本能的に見てはならないと感じたのだが、それは不可能だった。どうしてもその音に耳を傾け、光に目を向けてしまうのだ」

「それが下級戦闘員を量産する為の洗脳装置ですね」

「ああ。恐らく周りに拘束された者達も同じタイミングで洗脳を受けたのだろうが、既にワシの意識はそのモニターに発する音と光に向いていて、周りの状況を把握することはできなかった」

「音と光……そして映像と言っていましたが、どのような物が流れたのですか?」

「……」

レッドボアが眉間に皺を寄せ、目を閉じて腕を組む。頬に汗が垂れ、身体が強ばっているのが見ているだけでもわかる。

「レッドボアさん」

「……ああ、すまない。流れたのは、組織に忠誠を誓う下級戦闘員視点の映像だった。それはまるで、ワシが下級戦闘員になったかのような錯覚を覚えさせた」

「それだけですか?」

「いや。……不快な、脳を揺さぶる音と光と共に、はっきりと理解できる言葉でワシに語りかける声があった。それは低い男の声で、組織に従え。組織に永遠の忠誠を誓え。と繰り返した」

「低い男の声?」

「……おそらく総統の物で間違いないだろう。その、何度も聞いてきたからわかる。もしかすると、奴の異能力を利用した物なのかもしれん。……すまない、話が逸れたな。始めは不快だった声は、段々と不快ではなくなっていった。音と光も、聞いて、見て、心地良い物に変わっていった」

両膝の上に置かれたレッドボアの握り拳に力が入る。

「誰がこんな事をするか、と思っていた下級戦闘員視点の映像にも、段々と魅入り始めた。ワシが下級戦闘員として総統に忠誠を誓い、命令を下され、それに従う事が心地良く、気持ち良くなっていった」

気が付くと、レッドボアの鼻息が荒くなっていた。それは自身に対する後悔苛立ちによる興奮によるものか、それとも。

「気持ち、良かったのだ。ワシは……ワシは、気が付くと、年甲斐もなく、股間を硬くさせていた。音が、光が、組織に従えと、忠誠を誓えという総統の声がワシを快楽に誘った」

グレイウルフが顔を顰める。同性の男の、それも己が目指す最強のヒーロー像であったレッドボアの醜態など、可能ならば聞きたくないだろう。それに気付かず、レッドボアは己の記憶を辿り言葉を紡ぐ。

「映像はいつしか現実に近い物となり、ワシは映像の中で下級戦闘員のタイツに身を包み、総統閣下に忠誠を誓っていた。とてつもない快楽だった。今まで行ってきた性欲の発散とは比べ物にならない快楽。ワシは音と光に導かれるまま、総統閣下に、……忠誠を誓い……イ゛……」

ハッ、とレッドボアが目を見開いた。下げていた目線に入ったのは、ヒーロースーツを持ち上げるすっかり硬さを取り戻した己自身。

ギュ……と握り拳を作る力を強め。目を閉じた。

「レッドボアさん、大丈夫ですか?」

「……ああ」

「言い辛いのなら大丈夫です、おおよそ予測はつきます。貴方の性器は勃起したまま、音と光にもたらされる快楽によって射精したのですね?」

「あ、ああ……その通りだ……」

「貴方程の精神力を持っていても抗えない。誰もがもってる三大欲求の内一つ、性欲を利用して行われる洗脳ですか。厄介ですね」

「……」

「申し訳ありません。その後はどうなりましたか?」

「再び意識が失い……目が覚めると、ワシの身体はよく見かける下級戦闘員の姿と同じ物に変わっていた。黒いマスクを被り、白い数字と豚の鼻のようなマークがあしらわれた黒い全身タイツにグローブとブーツ。しかし、既にワシはその姿に違和感を無くしていた。それが当たり前だと、むしろこの姿でいることが素晴らしく、誇らしい物だと感じるようになっていた」

「一度の洗脳で一般市民どころかヒーローを戦闘員へと変えてしまう力があると」

「……ヒーローとしての記憶もあったが、全てどうでも良くなっていた。意識を失っている間も洗脳を施されていたのだろう。価値観が全てひっくり返ってしまったかのような心地だった。その時のワシにとって、下級戦闘員として組織に忠誠を誓い、総統に従うことが生きる理由の全てになっていたんだ。む、い、いや……。勿論今はそんなことはない。組織の一員は倒さねばならぬ悪であり、総統もこの手で捕らえなければならないヴィランだと認識している」

「その後は?」

「その後?」

「目が覚めた後です。貴方は下級戦闘員へと変えられ、どうしましたか?」

「……他の下級戦闘員と共に、脳にインプットされた基地のマップを頼りに広間に集まった。そこには総統がおり、ワシは姿勢を正してその言葉に耳を傾けた」

「総統はどんな姿でしたか?」

「黒いマントとローブを羽織った大柄で太った豚獣人だった。常にローブを纏っていたから、正確な体型までは把握できていないが」

「なる程。では、総統は何と言っていました?」

一瞬の間ができる。レッドボアが失踪してから一年。既に遠い記憶になっているのだろう。

「いや……特別な言葉はかけず、奴は下級戦闘員達に対して番号別に命令を下していった」

「やはり命令されると快楽が発生するのですか?」

「……ああ。しかし、戦闘員としての活動に支障がないよう、改造されたワシの身体は自由に勃起し、射精する権利を剥奪されていた。しかし、それにすら幸福を覚えさせられたワシは、総統の命令に嬉々として従った」

「命令の内容は?」

「一般市民を攫ってこい。という物だった。ワシは敬礼すると、頭にインプットされた情報通りに同じ命令を下された戦闘員達と一箇所に固まった。すると、気が付いたらワシは夜の街の中にいた」

「座標転移機能ですか……貴方の着ていた戦闘員のタイツにそのような機能が見つからなかったのは、既にボロボロに破損してしまっていたからでしょうね。夜の街に……組織の基地の外に出られた貴方は、ヒーローとしてこの事を本部に報告しようとは思わなかったのですか?」

豚獣人による遠慮のない問いの連続にレッドボアの額から汗が垂れる。歯を食いしばった後、申し訳なさそうに口を開く。

「恥ずかしい話だが、全くそうしようとは思えなかった。ワシは完全に総統の支配下にあり、命令を忠実に実行することしか考えられなかったのだ」

「そうですか……。想定していましたが、洗脳はかなり強固のようですね。再び貴方がヒーローとしての心を取り戻し、私達の元へ戻ってきてくださったこと、喜ばしく思います」

「すまない……」

「いえ、謝る必要はありません。組織の洗脳から脱することができたのは貴方だけなのですから。これはとても素晴らしいことです」

「……」

「話を戻しましょう。市民達はやはり、座標転移を使って攫ったのですか?」

「ああ。……一般市民を、捕らえて拘束したワシ達は一箇所に集まり、組織の本部に連絡することで一般市民と共に再び基地へと転送してもらった」

「座標転移は下級戦闘員の意思では実行できないと。それでは基地の正確な場所はわからないのですね?」

「すまない。情けないことに下級戦闘員となったワシは命令以外の情報は与えられず、快楽に導かれるまま、何も考えずにそれを実行し続ける都合の良い道具に等しかったのだ」

「……」

ふむ、と豚獣人が蓄えた顎髭を撫でると取調室に沈黙が訪れる。最強のヒーローの帰還は喜ばしいことだった。しかし、組織の足取りは一切掴めていない。加えて恐ろしい洗脳装置の存在。ヒーロー達が思っている以上に、組織の存在は強大なのかもしれなかった。

「答え辛いことまで答えていただきありがとうございました。今日は一旦ここで終わりにしましょう。また何かあれば今日のような機会を設けます。レッドボアさんは本部の私室に戻って休んでください」

「……わかった」

私室と言えば聞こえはいいが、レッドボアの部屋は特別製だった。部屋の四隅に監視カメラが設置されており、その行動は全て監視されている。当然自宅に戻ることも許されない。それは洗脳から脱しようと、レッドボアはまだ警戒対象にあるということを意味していた。

豚獣人が取調室を出ると、グレイウルフが閉ざしていた口を開けた。

「レッドボアさん、あんたのやったことは許されないかもしれない。でも、俺はあんたの帰還を歓迎しますよ」

「グレイウルフ……」

「必ず奴らのアジトを見つけ出して、偉そうにしてる総統とやらをとっ捕まえてやりましょう」

「……! 勿論だ。必ずワシ達の手で奴に制裁を下してやろう」

レッドボアの言葉を聞いて、グレイウルフは嬉しそうに微笑んだ。

*****

「……ふう」

ヒーロー本部に設置されたレッドボアの私室。扉を開けて中に入ったレッドボアはベッドに腰掛け、自身の股座に視線を向けた。

先程、組織の事を思い出すことで硬くなってしまっていた逸物はすっかり平常時に戻っている。洗脳の後遺症……もしくは洗脳が完全に解けているわけではないのだろうか。認め難いが、以前の下級戦闘員としての自分を思い出すと興奮してしまうのは事実であった。

ふと天井を見上げると、監視カメラがレッドボアの目に入る。それは未だ元組織の戦闘員として警戒されている証。

(……それも当然のことだろう、ならばワシがすることはただ一つ。罪を償い、正義のヒーローとして皆を守り、悪を討ち続けることだ。そうすれば、この後遺症もいつしか)

すると、突然私室の出入口の扉からノックの音が鳴った。レッドボアは少し驚いたが、ベッドから重い腰を上げると扉に向かって声をかけた。

「鍵は閉まっていない。入っていいぞ」

ガチャリ。と音を開けて入ってきたのは、先程までレッドボアに質問をしていた研究員の豚獣人だった。

「む、君か。まだ何か聞きたいことがあったのか?」

「そうですね。先程のような場だと少々恥ずかしいと思い、詳しく聞けていないことがありました」

研究員──顎髭を蓄えた中年の豚獣人は眼鏡を光らせそう口に出した。

「……わかった。ではまた取調室に」

「その必要はありません。監視カメラはここにも付いていますから」

「? そうか……」

どちらにせよ監視している者には聞かれてしまうのだが、恥ずかしい話をグレイウルフのような知り合いが一人でも少ない時にできる、というのはレッドボアにとってそれなりに救いではあった。レッドボアもやはり一人の男であり獣人だ。既に失態を犯してしまったが、少しでも後輩のヒーローに良い顔をしていたい気持ちもあるのだ。

「一年間、貴方が下級戦闘員としてどのように管理されていたか……お聞きしてもよろしいでしょうか」

豚獣人の研究員は迷う素振りも遠慮も見せず、丁度レッドボアの正面のソファにどっかりと座り込むとそう問いかけた。

「……問題ない」

特にレッドボアも気にする様子はなく、豚獣人が腰掛けたので自分もベッドに腰掛けた。レッドボアの自重によってマットレスが沈み、ギシ、と音を立てる。

「睡眠はどのようにとっていましたか?」

「基地の中で獣人一人が入れる休眠用のカプセルがあった。そこに入れば短時間の睡眠で体力が回復する。そうしてワシ達戦闘員はすぐに睡眠を済ませると起床し、素早くに任務に就くのだ」

答えながらに不思議な質問だ。とレッドボアは思った。それを聞いて何かヒントになるのだろうかと。結果的に特殊なカプセルがあり、ヒーロー本部にも同じ技術を転用できれば便利ではあるが、質問の段階では豚獣人の研究員はカプセルの存在を知らないはずだった。

「そうですか。命令はどのように与えられるのですか?」

「起床すれば必ず広間に集まり、その度に総統に命令を与えられる。命令を実行し、帰還し、カプセルの中で休息をとる。毎日がその繰り返しだった」

「そうですか。では性欲を利用された洗脳ですが、洗脳後勃起や射精することもなかったのですね?」

「っ、それは……」

ピク、と眉を動かし困ったように言いあぐねるレッドボア。鋭い質問だ、と思った。

(しかし、こんな老年の男の恥などで情報を隠しても仕方あるまい)

レッドボアはゴホン、と咳払いをすると、ゆっくりと語り出した。

「……基本的に封じられてはいたが、勃起や射精の許可が下ることはあった」

「例えば?」

「……カプセルから起床した後のことだ。広間の集合時間より早く起床したワシ達戦闘員は、一分間だけ、その、朝勃ちが許されていた」

「勃起するだけですか?」

「いや。普段は触れることすら許されていないが、その時だけは……陰茎に手を触れ、自慰行為に勤しむことが許されたのだ」

「それはどのように?」

遠慮のない質問攻めにレッドボアは言葉を詰まらせる。しかし、こんなおっさんが生娘のように恥じらっていても仕方がないだろう、と再び自分を律し口を開けた。

「自慰行為にはルールがあった。背筋を伸ばし、両足を揃え右手でかならず敬礼をする。そうして組織に、総統に忠誠と感謝を誓いながら左手で自慰に耽るのだ」

レッドボアの頭の中にかつての自分の姿が思い浮かぶ。能動的に快楽を味わえる事を許されたたったの一分間。

下級戦闘員となったレッドボアは常に興奮し、ちんぽを弄りたいと、射精したいという欲求に襲われていた。起床してから一分間。少しの時間も無駄にはできないと、レッドボアはその体格に見合わない機敏さで素早く立ち上がると足を揃えて敬礼した。

『イ゛ィーッ! 下級戦闘員105号、本日も組織の為、総統閣下の為尽力致します! 勃起を許すご慈悲を与えて下さりありがとうございます! 直ちに敬礼忠誠オナニーで組織と総統閣下に感謝と忠誠を捧げます! 総統閣下、万歳! イ゛ィーッ!』

“助けに来たぞ”と。何万人もの人々を、ヒーロー達を安心させてきた低く落ち着きのある勇ましい声。それと全く同じ声でスラスラと悪の組織への忠誠を宣誓すると、悪を討ち続けて来た左手で自身の逸物を掴んだ。

『お゛ほッ♡ イ゛ィーッ♡ イ゛ッ♡』

シコシコシコシコシコ♡ と敬礼しながら必死にちんぽを擦り上げる様は変態以外の何者でもない。しかし当の本人であるレッドボアにとってはその時間が至福のひとときであり、唯一能動的に快楽を貪れる時間だった。

射精許可は下りていないため真に絶頂に達することはない。しかし敬礼をしながらオナニーに勤しめる事が至上の幸福になるよう洗脳されたレッドボアは、年甲斐もなく左手を上下に動かし快感を貪っていく。

『イ゛ッ♡ イ゛ぃい゛……♡♡』

快感で足がガクガクと震え、徐々にO脚に開き始める。ほぼガニ股になった瞬間、レッドボアの全身に電流が走った。

『ギッ!! イ゛ィーッ!! もぉしわけございませんん゛♡♡ 下級戦闘員105号、しっかりと姿勢を正し、敬礼忠誠オナニーを続けさせていただきます! イ゛ィーッ♡♡』

ビシィッ♡ と背筋を伸ばしガニ股を直すと再び左手を上下に動かし始める。この一分間、下級戦闘員が自慰に耽るかどうかは自由だが敬礼を崩すのは許されていないのだ。最も、自由と言っても洗脳され性欲を持て余す下級戦闘員達は例外なくシコシコと浅ましくオナニーをしてしまうのだが。

それは老若を問わず、会社の重役や元権力者、最強に名を連ねるヒーロー、レッドボアも例外ではない。どれだけ歳を重ね偉業を成そうと所詮は成熟した雄。その性欲を利用され洗脳されれば、射精の事しか考えられない奴隷ができあがってしまうのだ。

『はへっ♡ 気持ぢ、イ゛ぃ……♡』

(終わる……♡ 終わってしまうぅ♡ 今日の勃起許可時間が♡♡)

シコシコシコシコシコ♡♡ と高速で一生懸命全身タイツに包まれたちんぽを扱きあげるその姿に以前の威厳はない。しかし当の本人であるレッドボアはそんなことを気にしている余裕はない。浅ましく情けない姿を晒そうとも、限られた時間で最大限の快楽を味わおうと必死なのだ。

(ワシは下級戦闘員105号♡ 組織の駒♡ 総統閣下の忠実な下僕♡ 総統閣下万歳♡ 総統閣下万歳ぃ♡♡)

己を下級戦闘員だと認識し、頭の中で忠誠を誓いながらちんぽを扱くと気持ちいい。そうなるよう洗脳されたのだ。そうすることで、この一分間の勃起許可時間により下級戦闘員の忠誠がより強固な物へと変わっていく。

(イ゛ィい……イグッ♡♡ イ゛ッでしまう♡♡ あと少しで、イ゛きそうなのに゛ぃ……♡♡)

口の端に蓄えた立派な牙を涎が伝う。キュウ♡ とタイツに覆われた玉袋が持ち上がる。しかし。

『イ゛ひ……ッ♡ ……イ゛ィーッ!!!』

シコシコとちんぽを扱き上げていた手を素早く離すと腰の横に付ける。横に並んでいた全ての下級戦闘員達も同じ動きで自慰行為を止め、パンッ、という乾いた音が鳴り響いた。

『勃起許可を下さりありがとうございました! 下級戦闘員105号、直ちに任務に戻ります! イ゛ィーッ!!』

足を一瞬横に開き、再度ぴったりと付けて敬礼を行う。先程まで高速で扱かれていたちんぽはビクン♡ ビクン♡ と震えながらその先端から透明な先走りを垂らしていた。

そうして自慰を終えた戦闘員達は広間へと移動しながら、ゆっくりと勃起を封じられていくのだ。

(……イ゛ィ〜……っ♡ 組織に永遠の忠誠を……♡ 総統閣下、万歳……♡)

そうしてより組織への忠誠が強まっていく。そして広間で下される総統閣下のご命令に対し、下級戦闘員達は美しい敬礼をもって、声を張り上げて……。

「……レッドボアさん?」

ハッ、とレッドボアの意識が現実に戻り、すぐに自身の手のひらを見つめた。逞しいその大きな掌を覆っているのは、下級戦闘員の身に付ける黒いレザーグローブではなく、確かにレッドボアのヒーロースーツの一部分である赤いグローブ。

(完全に過去の自分の視点に没頭してしまっていた……。どこまで話した?)

「す、すまない、ワシは……う……っ」

レッドボアの股座には、はち切れんばかりに勃起したちんぽがヒーロースーツを持ち上げテントを作っていた。ビク♡ ビク♡ と先走りを垂らしながら震えているのがヒーロースーツ越しにもわかってしまう。

「ち、違う……これは……!」

すぐに弁解しようとするが、それを遮るように豚獣人の研究員は口を挟んだ。

「勃起の許可はわかりました。それでは射精はどのように行われたのですか?」

「な、何……?」

「下級戦闘員であった貴方がどのように射精したのか、私に教えてください」

「それは……。……う、うむ。わかった……」

少し驚いた様子を見せたが、レッドボアは呼吸を落ち着かせ再び研究員に向き直った。

(そうだ。隠す必要などない。どちらにせよ監視され、音声も聞かれているのだ。ワシ自身にもどれだけ洗脳の影響が残っているのかわからん。ならば、ありのままのワシの姿を記録してもらい、少しでも多く解析に役立たねば)

膝に手を着いたまま、股を広げ研究員を見据える。勃起は未だ収まらず、堂々と股間のテントを晒してしまうが、正義の為と真剣な表情で問に答えた。

「射精許可が下るのは非常に稀だ。総統の気まぐれだろう。当時の下級戦闘員として活動していたワシですら、性欲によって下級戦闘員をコントロールする為には射精させない方がスムーズだと理解していたからな」

「気まぐれ。例えばどんな時ですか?」

「……下級戦闘員に下される任務には様々な種類がある。人攫い、襲撃の為の工作活動、基地の拡張、幹部や総統の身の回りの世話等だ。特に、ヒーローの拉致に成功した時や、総統の身の回りの世話を命じられた時に射精許可が下されることが多い」

「身の回りの世話とはどんなことをしたのですか?」

「そ、うだな……。基本的には、椅子に腰掛ける総統の隣に立ち、同じ方向を向いて休めの姿勢をとる。命令が下されていない時は、基本的にそうして待機していた」

「やはり、それだけで快楽が発生するのですか?」

「……ッ、そ、そうだ。ヒーローとしての記憶はある。目の前で討つべき悪である総統が無防備に腰掛けているというのに、下級戦闘員のルールに反せず休めの姿勢で待機し続ける事しかできない背徳感。総統の支配下に置かれている被支配感。そしていつ命令を下されるのかという期待から、興奮していない時間はなかった」

レッドボアの頬から汗が滴り落ちる。随分と暑そうにしながら、目を細め、ガチガチに勃起した自分のちんぽを見つめている。

「どんな命令を下されるのですか?」

「身の回りの事なら些細な事まで全て、だ。掃除をしろと言われれば、埃一つ無くなるまで綺麗に総統の部屋を掃除した。物が欲しいと言われれば、その場になくとも外に出向き総統に差し出した。マッサージをしろと言われれば、肩から腰、足の裏まで床に蹲って揉みほぐした。オットマンや足置きになれと言われれば、四つん這いになり、仰向けになり、総統の足を身体に置かれ、踏まれた」

股間のテントを作るレッドボアの仮性包茎ちんぽがビクン♡ ビクン♡ と震える。包皮と亀頭の境目までくっきりと浮かび上がらせたヒーロースーツが、汗と先走りで薄黒く滲んでいく。

「それだけですか?」

「む゛、う……。はあ゛ぁ……♡ 気まぐれで、何度も目の前で忠誠を誓わされた。ワシは組織の最下層の存在、下級戦闘員だと。総統閣下にこの身を捧げ、永遠に尽くすことを誓うと。余興で勃起許可を頂いた事もあった。その度にワシは様々な方法で射精を懇願させられた。情けなくちんぽを振って勃起をアピールした。射精できないちんぽを床に擦り付け惨めたらしく射精乞いをした。靴を舐めさせていただき、総統閣下に媚びを売った」

「では、そこまでプライドを捨ててようやく射精できたのですか?」

「あ゛、あ゛あぁ……♡ そうまでしても許可を頂けないこともあった。しかし、しかしワシは下級戦闘員。文句を言う権利などなく、どうなっても敬礼し、総統閣下に感謝を示した」

「……随分と楽しそうですね」

「な、何だと……?♡」

「下級戦闘員としての自分を語る貴方が幸せそうに見えたので。随分と溜まっているようですね?」

「あ、当たり前だ♡ 下級戦闘員として活動していた頃は、ずっと興奮しっぱなし♡ 最後に射精できたのも随分前だ♡ 射精許可など滅多に頂けんのだから♡」

「ですが監視期間も含めればこちらに戻ってから既にまる三日経っていますよ。自慰を行うタイミングはあったのではないですか?」

「……ッ♡ 馬鹿を言うな! あんな失態を犯した後、監視されている状況で、ワシが、ヒーローレッドボアが自慰行為などするわけないだろう!」

フーッ! フーッ! と息を荒くしながら、研究員を睨めつける。普段のレッドボアを知っている者が見ればそのあまりの余裕のなさに驚くことだろう。

「監視されているから? 自分がヒーローだから? 本当にそれが理由ですか?」

「な、にを言って……!? 君、それは……!?」

研究員がスーツケースから取り出したのは白い105の数字と豚の鼻のマークが描かれた黒の全身タイツ。目を見開いて驚くレッドボアを他所に、マスク、グローブ、ブーツと次々にスーツケースから下級戦闘員の正装を取り出し、目の前のテーブルの上に置いていく。

「本当の理由、それは貴方が下級戦闘員だから……ですよね? 総統閣下の許可がなければ射精もできない愚かな下僕。違いますかな?」

「何故、それを……貴様ッ!」

レッドボアの背から炎が噴き出す。掌を研究員に向け、いつでも攻撃することが可能だと言外に警告する。

「監視カメラの前でそんなものを……! もしや細工しているな!?」

「おや、察しが良いですね。その通り、カメラ越しに見たこの部屋の中には休息している貴方一人の姿しか映っていません。私や臨戦体勢に入った貴方の姿、燃え盛る炎の音などは当然、微塵も入っていませんよ」

「貴様、組織の戦闘員か!」

「戦闘員……はあ、口調を保っていたがいい加減我慢の限界だ。貴様と一緒にして貰っては困るな。私は組織の科学班を纏める幹部。サイエンピッグだ。」

レッドボアはその名前に聞き覚えがあった。レッドボアが下級戦闘員として総統の隣で待機していた時。確かに通信している相手の名前のことを総統はサイエンピッグと言っていた。しかし、通信では姿は見えず声も違うため気付くことができなかったのだ。

「自分で言うのもなんだが、総統閣下の異能力には信頼を置いているし、私の技術力には絶対の自信があってな。貴様が洗脳から脱したと聞いた時は驚いたが……調べさせてもらってわかったよ。貴様は下級戦闘員として我々に尽くすことに、未だ他には代え難い魅力を感じている事にな」

「だ、黙れ……! 貴様達のせいで、ワシは、市民達はあんな奴隷のように……!」

「レッドボア──いや、違うな。下級戦闘員105号。今ならば無礼を許してやろう。異能力と変身を解除し、下級戦闘員のスウツを着用しろ」

「ふ、巫山戯るなッ♡ ワシはもう、二度と貴様らの手下にはならんぞ!」

眉間に筋を浮かべながら左手で右手首を掴み、掌の照準をしっかりとサイエンピッグに定める。後は並のヒーローには引けを取らない、最強たる所以である高火力の火炎を叩き込めば、一瞬で勝利を収めることができる。

しかし、サイエンピッグは一切動じず、ソファから立ち上がるとゆっくりとレッドボアに向かって歩き始めた。

一歩、また一歩。太い豚足を踏みしめレッドボアに近づいていく。

「ぐ、う……♡」

とうとう、レッドボアの掌がサイエンピッグの額に密着する程にまで近づいてしまった。しかし、レッドボアの火炎はサイエンピッグを傷つけないよう、掌からの噴出を止めている。

「この状況でこんなに勃起してしまっているとは。やはり貴様は下級戦闘員だ。私からどんな褒美が貰えるのか期待しているのだろう?」

「ウオ゛ぉッ♡♡」

「仮性包茎だがふてぶてしいペニスだ。玉袋もでかい。一度刺激されたら中々性欲も収まらないだろう。発散する為必死に下級戦闘員として貢献してきたんだろう? ん?」

ヒーロースーツを持ち上げるレッドボアの竿を下からゆっくりと撫で、愛撫する。

「ぎ、さま……♡」

反撃をすることはない。しかしそれでも、レッドボアは歯を食いしばり快楽に耐えている。

「ビンビンじゃないか。先の質問で下級戦闘員として隷属していた時の事を思い出して興奮してしまったか? 総統閣下の異能力と私の技術力は完璧だ。組織の為その身を尽くすのはとてつもない快楽だっただろう?」

「ふう゛ッ♡ う゛……♡♡」

「二ヶ月前の新人ヒーローと一般市民捕獲作戦を覚えているか? あれは私が作戦を考案し貴様に命令を下したのだ。いい活躍ぶりだったぞ。貴様も組織に、私に尽くせて幸せだっただろう?」

「お゛ぉう゛♡ そんなはず、あ゛るか……ッ♡ ワシがどれだけ屈辱的な思いをオ゛ォ♡♡」

サイエンピッグが優しく竿を撫で、語りかけるだけ。それだけでレッドボアのペニスはガチガチに勃起し、ビグッ♡ ビグッ♡ と大きく脈打つ。鈴口に指を置いて撫で回せば、溢れんばかりの先走りが潤滑剤となり亀頭の上を滑る。

「ぐお゛ぉお……♡♡」

気付けばレッドボアの手はサイエンピッグの額から外れ、その両肩に置かれていた。サイエンピッグの指の動きに呼応するようにヘコ♡ ヘコ♡ と腰を微弱に動かして快楽を貪っている。

「イきたいか? ずっと射精許可を貰っていないのだからな。ここならイき放題だぞ。監視カメラも機能していない。痴態などいくら晒しても私以外見るものはいない」

「イ゛、ぃ……♡ 違う♡♡ ワシは、ワシは……♡♡」

「しかし本当にただイくだけでいいのか? 貴様はもっと素晴らしい快楽を知っている。この一年間それを味わってきたはずだ。その身体を組織の所有物の証であるスウツで覆い、我々に尽くし続けた褒美として、忠誠を誓いながら吐精するのだ」

「は、あ゛ぁ……♡♡」

「こんな指先に腰を押し付けているだけじゃ味わえない快感が、今そこにあるぞ?」

指を亀頭の上からレッドボアの鼻先に持っていく。それを追いかけるレッドボアの瞳は、いつものキリリとした勇ましい物ではなく、目尻が垂れ焦点の合わない濁った瞳へと変わっていた。

鼻先から指を動かした先は、テーブルの上に置かれた下級戦闘員の正装。悪に身を染め、その手先として闇に紛れながら活動するのに適した黒の全身タイツ。サイエンピッグは再びソファの元へと戻るとゆっくりと腰を下ろし、足を組んで尊大に腰掛けた。幹部としての、組織の下っ端である下級戦闘員を束ねるものとしての貫禄。それを見たレッドボアは、下級戦闘員として歪められた主に仕えたいという隷属精神を刺激されてしまう。

「はあ゛……♡ はあ゛……♡♡」

悪の組織の幹部が目の前でふてぶてしい態度で座り込み、己を奴隷たらしめた衣装を足で示している。そんな状況なのにも関わらず、レッドボアの逸物は萎えることなく激しく脈打った。

数々の悪を打ち倒してきた手が伸びる。しかしそれはサイエンピッグではなく、漆黒に染まったタイツに。タイツに触れるとレッドボアはブルッと肩を震わせた。一年間、肌に触れ続けてきたその感触にレッドボアは何を思ったのだろうか。

「変身、解除」

ヒーロースーツが光に包まれ、弾けて消滅する。現れたのはワイシャツにネクタイ、スラックス姿のレッドボア。濁った瞳のままネクタイに手をかける。ベルトを外し、スラックスを下ろす。ワイシャツのボタンを外す手間すら惜しいのか、その腕力でブチブチと音を立てボタンを飛ばしながらワイシャツを脱ぎ捨てる。

「フーッ♡ フーッ♡」

汗で湿り、先走りで先端が薄く滲んだトランクスを勢い良くずり下ろすと、勃起した皮被りちんぽがブルンッ♡ と上下に振れて顔を出す。足を上げ、荒々しく黒ビジネスソックスを片方ずつ脱がしていくと放り投げていく。

ニヤ、とサイレンピッグが微笑んだ。残ったのは産まれたままの姿で、股座から天に向けてちんぽを反り勃たせた老年の猪獣人。ヴィランの前でそんな醜態を晒す彼をヒーローだとは口が裂けても言えないだろう。

「さあ、早く正装に着替えろ」

レッドボアの大きな手が全身タイツを掴む。唯一穴の空いた襟の部分を広げ、右足を通す。タイツの右足部分が膨らみ、レッドボアのシルエットにフィットしていく。

「うお゛……♡ お゛……♡♡ 違う、ワシは、ワシはヒーローなのに……♡♡」

うわ言のように呟きながら左足も通す。タイツの左足部分が膨らみ、でっぷりとした黒のタイツに覆われた両足が床に着きレッドボアの体重を支えた。

「悪を討ち、善良な市民を守るのがワシの使命……♡」

そんな事を言いながらも、動かす手は身体を悪の手先である証で覆うことに勤しみ、依然として限界まで勃起したちんぽは萎えることはない。

腰まで持ってきたタイツを少し横に広げて引き上げる。その大きな尻には引っかかったが、真上を向いたちんぽには引っ掛かることなくスムーズに腹の下まで覆っていく。タイツの機能で尻尾穴が開き、ちんぽを輪郭がハッキリとわかるまでピッチリと覆っていく。

「く、ほお゛ぉ……♡♡」

これで再びレッドボアは勃起と射精の権限を組織に握られることとなった。しかし、レッドボアの顔は上を向き、口を半開きにして涎を垂らしながら幸福に酔っていた。そのまま自然な手つきで両腕も入れ、全身タイツの中に通していく。

「こんな、こんな趣味の悪い全身タイツに身を包むような……♡」

黒のグローブを嵌め、黒のブーツを履く。洗脳により最早ヒーロースーツより身体に馴染んでしまった正装は、レッドボアに安心感をもたらす。

「下級戦闘員などでは……悪の手先などでは決してないのだ……♡」

最後は残ったのは黒いマスク。そこまで来て、レッドボアは手を伸ばすことなくようやく動きを止めた。

「悪の、手先などでは……♡♡」

残った微かなヒーローとしての使命と矜持がレッドボアを奮い立たせたのか。しかし。

「貴様の肉体が何の為に存在しているか教えてやろう」

サイエンピッグがレッドボアに語りかける。その声色は甘美の響きとなり、レッドボアの心に染み込んでいく。

「貴様のその足があるのは、我々幹部や総統閣下の代わりに夜の街を駆け、組織の命令を素早く遂行する為だ」

「イ゛、ぃ……違う……♡♡」

巨体を支える両足が震える。長年鍛え上げ、どんなヴィランも逃さなかった逞しい足は黒のレザーグローブを履いている。

「その腕は我々の代わりに雑用をこなし、基地を拡張し、市民とヒーロー共を攫う便利な道具として使われる為に」

「わ、ワシの、この手は……♡♡」

何万人もの人々を救い出し、数々のヴィランを討ち倒してきた自慢の両腕は黒いグローブを嵌められている。

「その無駄にでかい身体は組織のシンボルを大きく映し出し、組織の強大さを示すため」

「この、身体は、あ゛ぁ……♡♡」

ヒーロースーツの赤色と、貫禄のあるシルエットで市民達を安心させてきたその身体は漆黒のタイツに隙間なくぴっちりと覆われている。

「その猪頭の中に入った貴様の老いた脳味噌は、我々組織の命令を素早く効率的に遂行する事だけを考える為に」

「イ゛、イ゛ィい……♡♡」

与えられていく。歴戦の猪ヒーローの肉体に歪んだ新たな役割が。

嫌らしい白のニヤケ目が描かれた黒いマスク。夜に見かければ恐怖に陥る、組織の悪辣さ、強大さを示す為のマスク。ヒーローが決して被ってはならないそのマスクに、レッドボアは手を伸ばした。

「組織の、命令を、遂行……♡」

マスクを掴み、頭の上に持っていった腕をゆっくりと下げる。そして、強面の猪獣人の顔を下級戦闘員の顔が覆った。

「ぐ、ひイ゛ぃい゛……♡♡ 効ぐう゛ぅう……ッ♡♡」

ビグッ♡ ビグッ♡ ビグッ♡ と黒いタイツに包まれたちんぽが痙攣する。恐らく射精管理されていなければ射精してしまっていただろう。それだけヒクつくちんぽも、最早下級戦闘員のタイツに覆われてしまえば許可無しに絶頂に至ることはない。

「フーッ♡ フーッ♡」という荒い鼻息だけが部屋に響く。タイツにあしらわれた豚鼻のマークと戦闘員を区別する為の数字が、呼吸で膨らむ腹肉によって押し伸ばされる。

「イ゛、ィ……♡♡」

完全に下級戦闘員となった身体を撫で回し余韻に浸るレッドボア。それを暫く眺めていたサイエンピッグは頃合かと口を開き、ピシャリとレッドボアに命じた。

「下級戦闘員105号、敬礼!!」

「イ゛ィーッ!!♡♡」

両足をピッチリと揃えたレッドボアは、サイレンピッグの号令に導かれるまま奇声を発し素早く敬礼した。

最早マスクの空いた穴から覗くマズルとその体格以外にレッドボアとしての面影はない。今の彼はヒーローではなく悪の手先、下級戦闘員なのだ。

「己の本分をようやく思い出したようだな。自慰を許可する。惨めたらしく敬礼したままちんぽを扱け」

「イ゛ィーッ!!♡♡」

レッドボアは奇声を上げると腰に当てていた手でちんぽを掴み、待っていたと言わんばかりにシコシコシコシコ♡♡ と高速で上下に動かし始める。

「ブフーッ♡ ブフーッ♡♡」

鼻の穴が大きく広げ、鼻息を荒くしながら一心不乱に包皮を使ってちんぽを扱き上げていく。

「そうだ、貴様は最強のヒーローレッドボアなどではない。下級戦闘員105号、それが貴様に相応しい姿だ」

「あ゛ぁ……♡ ワシ、は、レッドボアではない……♡♡ 下級戦闘員105号……♡♡」

「そうだ、どれだけちんぽを扱こうが許可がなけらば達することも出来ない。我々の所有物だ」

「イ゛、けない……♡♡ 組織の所有物……♡♡」

「ちんぽを必死に扱いて理解できただろう。さあ、イきたいか? ……いや違うな。イきたいだけではない。貴様は主である我々の許可を得た上で射精がしたいのだ。射精許可が欲しいか?」

「はあ゛ッ♡ イ゛、イ゛ィーッ!♡♡」

「そうか、ならばちんぽから手を離し再び敬礼の姿勢をとれ」

「イ゛ィーッ!!」

命令に即座に従ったレッドボアはちんぽを弄っていた左手を腰に付けると、再び高らかに奇声を発し敬礼をし直す。

黒いタイツの中で張り詰めたちんぽは今にも射精してしまいそうで、許可が下りれば直ちに吐精するだろう。

「先程までの勇ましさが嘘のようだな。思い直してくれたようで何よりだ。組織に、我々に、総統閣下に仕えることができる事に感謝しながら達するといい」

一瞬の間が空く。まだ間に合うはずだった。敬礼をとりやめ、サイエンピッグを取り押さえる。そして扉を開き今の状況を報告する。それだけでヒーロー本部に優位が傾き、悪の組織に大打撃を与えることができるだろう。

『必ず奴らのアジトを見つけ出して、憎き総統とやらをとっ捕まえてやりましょう』

『……! 勿論だ。必ずワシ達の手で奴に制裁を下してやろう』

つい先程のグレイウルフとの会話が頭に過ぎる。レッドボアの心に積もるのは罪悪感と背徳感。

(駄目だ、イく、イッてしまう♡ このままでは、幹部に射精許可を頂き、下級戦闘員として、ワシは♡)

「イけ、下級戦闘員105号」

そのサイエンピッグのその言葉がトドメとなった。口を真一文字に閉じビシィ! と敬礼の姿勢を正すと、レッドボアその大きなマズルを開き宣誓した。

「……ッ♡ イ゛ィーッ!! このワシレッドボアはヒーローでありながら組織に完全敗北致しましたッ! これより再び、下級戦闘員105号として組織に、総総統閣下に永遠の忠誠を誓いますッ! 総統閣下万歳! イ゛ィーッ!!♡♡♡」

ドプッ♡ びゅ〜〜〜ッ♡♡ びゅるっ♡ びゅぐぐッ♡♡

雄々しい宣誓を部屋に響き渡らせ、美しい敬礼を保ちながら、ちんぽに触れることなくレッドボアは大量に吐精した。

「イ゛ッ♡ イ゛ィイ゛ッ♡ イ゛ッ♡♡」

ドクン♡ ドクン♡ とちんぽが脈打ち白濁液を放つ度に、歯を噛み締めた口の端から奇声が漏れ出る。中年の親父が何十日も溜め込んだ精液の濃度と勢いは凄まじく、アーチを描いてテーブルの端まで届き、ボトッ♡ ボトトッ♡ とその表面を叩く音が響かせる。

濃度だけではなくその量も凄まじい。溜めに溜めた精液を全部出したいと玉袋が持ち上がり、精液を尿道へと押し出し、タイツを貫通して噴水の如く鈴口から放出する。

「イ゛ッ♡ イ゛ィッ♡ イ゛ィーッ♡」

何十日ぶりかの射精、組織の戦闘員として忠誠を誓いながらの射精、生物の雄としての本能が満たされる快楽が、価値観の凝り固まった脳味噌を解していく。善良なる市民を守り悪を討つ。そこに正義はあっても快楽はない。己にとって何が一番幸せなのか、組織によって定められた喜びが解された脳髄に染み渡り、再び新たな価値観として固まっていく。

「ぐひッ♡ イ゛ッ♡」

大きな腹が凹み、最後の一噴きがびゅるるッ♡ と鈴口から噴き出る。

部屋に熱気と雄の汗、精液の匂いが充満し静寂が訪れた。激しい射精を終えたレッドボアが肩で息をしていると、サイエンピッグが足を組み直し口を開く。

「下級戦闘員105号の射精と勃起を封じる」

その言葉に呼応するように、股間の錠前マークが閉じ、ずっと勃起を続けていたレッドボアのちんぽが萎えていく。ゆっくり、ゆっくりと縮まっていき、レッドボアの股座には重量感のある萎えた竿と玉袋の膨らみだけが残った。

これで再び、射精は愚か勃起すらできない奴隷へと逆戻りしてしまった。しかしレッドボアは息を整えると声を張り上げ宣誓した。

「イ゛ィーッ! サイエンピッグ様! 先程は下級戦闘員の分際で反抗してしまい、誠に申し訳ございません! どうかこの罪深い私に罰をお与えください!」

口を真一文字に締め、先程の情けない奇声とは打って変わって威勢良く声を上げるレッドボア。マスクを外せば、ヒーロー時代の勇ましい強面顔を見ることができるだろう。しかし出てくる台詞は悪の手先、下級戦闘員としてのもの。嘘偽りなく真剣そのものの声色でヴィランに謝罪する姿は、下級戦闘員として完全に洗脳されてしまったことを表していた。

「……一度洗脳から脱したその精神力は賞賛に値する。それでもそんな貴様が再び洗脳されることで、総統閣下の異能力と私の技術力が確固たる物となったのだ。今回は特別に許してやろう」

「イ゛ィーッ! サイエンピッグ様のご慈悲に感謝致します!」

背筋を伸ばし、心の底から感謝するレッドボアにヒーローとしての面影はない。その姿は総統に、幹部に仕える大多数の下級戦闘員と何ら変わらない物になってしまっていた。

「さて、ヒーローとして一度帰還した貴様の立場には特別な利用価値がありそうなんでな。下級戦闘員だけでなく“フレイムヒーローレッドボア”としてやって貰いたいこともできた。表ではヒーローとして研究員の私に仕え、裏では組織の戦闘員として我々の為に働いてもらおう。いいな?」

サイエンピッグの言葉にレッドボアは想像する。再び下級戦闘員の正装に身を包み暗躍する姿。二人以外誰もいない場所でサイレンピッグから命令を受け、フレイムヒーローレッドボアの姿で下級戦闘員敬礼のポーズをとり「イ゛ィーッ!」と声を張り上げて奇声を発する自分の姿を。

鍛え上げたこの身と心だけでなく、築き上げてきた地位までも悪事に利用されてしまう。そんなことは正義のヒーローとして許すまじき行為だ。しかし。

「イ゛ィーッ!! 了解致しました! サイエンピッグ様!」

「くく、くくくく……」

それでも声を張り上げて威勢よく答えるレッドボアに、サイエンピッグはつい笑い声を盛らした。

悪の手先として尽くすことを受け入れたレッドボアの心身は幸福と快楽に包まれ今にも勃起しそうな心地なのだろう。しかし、タイツの股間部分にあしらわれた施錠マークが機能し、その勃起すら妨げてしまう。

「それでは最初の仕事だ。随分と汚れてしまったからな。ヒーロー本部の奴らに疑われないよう、自分の手で掃除しろ」

「イ゛ィーッ!!」

サイレンピッグに命令を受けたレッドボアは再びと背筋を伸ばして敬礼しながら、高らかに奇声を発したのだった。

こうして歴戦猪ヒーロー、レッドボアは再び組織の手に堕ち、完全な下級戦闘員として生まれ変わってしまったのだった。

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