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目を覚ますとそこは見知らぬ場所だった。ぼんやりした頭で何が起こったか思い出しながら身体を動かそうとすると、レッドボアは自身の身体の違和感に気付く。

「これは……! うぐ! 拘束されているのか……!」

異能力を使って出力を上げても拘束はビクともしない。否、自分の思うように力が出せなくなっているのだ。力を封じられてしまったことに気付くと、目を覚ます前の最後の記憶が蘇ってきた。

(そうだ……確かワシは市民を人質にとられ、組織の戦闘員共に囲まれて拘束され……そして)

組織の幹部であるパワータイプのヴィランの渾身の一撃を防ぐこともできずモロに食らい、気絶してしまったのだ。あれ程の一撃を受け絶命はおろか、負傷が残っていないのは流石の一言であったが、それが不運だったのだと今のレッドボアは知らない。

(クソッ! ワシともあろう者が……敵の目的は何だ?)

ガッチリと固定された首を微かに捩り、目を動かすと周りの様子が少しだけわかる。どうやら捕らえられているのはレッドボアだけではないようで、同様に拘束されている獣人達が横一列になるよう配置されていた。恰好からしてヒーローではなく一般市民のようだ。

しかし様子がおかしい。彼等はみな目の前に吊り下げられたモニターを虚ろな表情で見続けているのだ。

「あれは一体……なっ!?」

すると、レッドボアの元にも同様のモニターが天井から降りてくる。目の前まで降りてきた瞬間、それは大きな音と光を放った。

「ぐ、う……!?」

素早くレッドボアは目を瞑った。歴戦のヒーローとしての勘が、モニターの映像を見てはいけないと感じたのだ。しかし。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

(こ、これは……!)

脳に直接響くような声がモニターから流れてくる。目を瞑れどその声からは逃れられない。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

頭が割れるように痛い。そして何故だか、目の前のモニターの映像を見なければならないのだという謎の強迫観念に襲われる。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

「ぐあ……ッ! あッ!?」

頭を襲う激しい痛みと強迫観念に負け、つい目を開きモニターの映像を視界に入れてしまう。するとたちまちその映像から目が離せなくなってしまう。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

「こ、こんなもの……ッ!」

映像から目を離すことができない。むしろもっとこの映像を眺めていたいと思ってしまう。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

「フーッ! フーッ!」

歯を食いしばり耐えようとするが、抵抗も虚しくレッドボアは徐々にモニターが発する映像と声の虜になっていく。

頭を襲う痛みが無くなっていくのに比例し、身体全体が快楽に包まれていく。もっとこの光と音を浴びていたいとレッドボアの心を甘く解きほぐしていく。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

「ふざけるな……ッ! 誰が貴様らなんぞに……!」

言葉で否定しようとしても、組織に従うというワードに甘い響きを感じるようになっていることに気付いてしまう。

そして、拘束から脱さない限り映像と声はレッドボアを蝕み続けていく。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

「う、ぐ……。そ、しきに……えいえんの……」

股間の逸物に硬さが宿り、ヒーロースーツを押し上げていく。

虚ろになったレッドボアの瞳に映像が焼き付いていく。始めはおぼろげだったそれははっきりと認識できるようになり、組織の下級戦闘員の記録であることに気付く。下級戦闘員となった自分が組織に忠誠を誓い、組織に従い、組織に貢献する。ただそれだけの映像が身体を覆う快楽と共に繰り返されている。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

「組織に、したが……♥ 違う、ワシはヒーロー……♥」

しかし既にそれが不快だと思考することがレッドボアにはできない。光と音が心地いい。光と音に導かれるままに行動すれば気持ちいいのだとレッドボアの脳に刷り込まれていく。

ペニスがムクムクと勃ち上がり、股間のテントが窮屈そうに張る。玉袋の中の精子が動き回りペニスがドクドクと脈打つ。そして、ヒーローとしての尊厳を捨てこの光と音に導かれるまま射精したいとレッドボアの心を黒く塗り潰し溶かしていく。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

「そしきに、従う……♥ 忠誠を、誓う……♥」

先走りでヒーロースーツに染みができる。歴戦のヒーローとしてはただの恥でしかなかったが、それを気にするほど余裕が既にレッドボアには残っていなかった。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

脳に直接映像と音が刷り込まれる。悪の組織の総統がレッドボアに命令を下す。レッドボアにとって倒す敵であるはずなのに、映像の中のレッドボアは下級戦闘員の黒いマスク、グローブ、ブーツ、全身タイツに身を包み敬礼する。そして総統の命令通りに働き組織に貢献するのだ。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

「イ゛、ぃ……♥ お゛……ぉ……♥」

それが素晴らしいことなのだという新たな価値観が植え付けられていく。映像の中で命令に従っていると勃起がより強まる。その快楽で射精したくなってしまう。

総統に命令を下される。下級戦闘員である自分が敬礼し命令通りに働く。その褒美として快楽を貰う。

『組織に従え。組織に永遠の忠誠を』

「イ゛……ッ♥ ぎ、イ゛ィ……♥」

総統閣下が命令を下す。興奮でペニスが脈打つ。下級戦闘員である自分が奇声と共に敬礼し命令通りに働き貢献する。精液が鈴口に向かって迫り上がっていく。その褒美として、映像の中の自分が、下級戦闘員が絶頂に達する。

そして。

「イ゛ッ!!♥♥ イ゛ィ〜ッ!!♥♥♥ イ゛ッ!♥ イ゛ッ!♥」

身体を震わせると、映像に合わせレッドボアはペニスに触れることなく射精した。鈴口から放たれた精液がスーツの許容量を超えて溢れ出し、綺麗な曲線を描いて床にボタボタと飛び散っていく。

「イ゛……ッ♥ イ゛……ッ♥」

ビクッ♥ ビクッ♥ とペニスが脈打つごとに情けない奇声を上げながら鈴口から勢いよく白濁液が飛び出す。玉袋をキュウキュウと締め付けるヒーロースーツはまるで精液を一滴残らず絞り出そうとするかのようにレッドボアの射精の手助けをしていた。

「お゛ほ……♥ お゛……♥」

ヒーロー歴30年を超えているであろう中年の猪獣人とは思えない量の精液を放出すると、レッドボアは抵抗することもなくぐったりと項垂れてしまった。

『素体の射精を確認。強制睡眠開始。下級戦闘員への改造と共に洗脳最終段階への以降を開始』

冷たい声と共に、射精の余韻に浸り力の抜けたレッドボアの目がゆっくりと閉じていく。そして気を失ったレッドボアの元へ何本ものアームとチューブが伸びていくのだった。

*****

数時間後、そこには以前軽くあしらっていた下級戦闘員と同じ全身タイツ姿に変えられてしまったレッドボアの姿があった。

『下級戦闘員105号の意識の覚醒を確認』

「……」

拘束は緩み、目を覚ましたのにも関わらずレッドボアの動きはない。

『快楽信号発信』

「イ゛ッ!?♥ イ゛ィーッ!♥ イ゛ィーッ!!♥」

バリバリッ!という電流の流れるような音と共に気持ちよさそうに奇声を上げながら身悶えるレッドボア。テントが窮屈そうに張り、勃起しているのがわかるがやはり拘束からは脱しようとしない。しばらくすると電流の音が止み、レッドボアの奇声が収まると同時に股間の勃起が収まっていく。

『洗脳完了を確認。射精管理システム正常。組織への貢献に期待している』

拘束がゆっくりと解かれていく。ヒーローであるならば直ちに脱出し、組織の頭を叩こうとするだろう。

しかし、レッドボアは口の端を吊り上げヒーローらしかぬいやらしい笑みを浮かべると高らかに宣誓した。

「イ゛ィーッ! このワシ、フレイムヒーローレッドボアは本日をもって組織の忠実なる下僕、下級戦闘員105号へと転向し、組織の為、総統閣下の為尽力致します! 組織に永遠の忠誠を! イ゛ィーッ!!」

そう宣誓する姿はヒーローではなく、紛れもない下級戦闘員のものであった。

こうして歴戦の猪ヒーローは姿を消し、新たな悪の手先がここに誕生したのであった。

続く

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