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「ガハハ! いいぞいいぞ、盛り合え!」

 夜。街中の大通り。普段ならば遊び帰りの学生や仕事帰りのサラリーマンに溢れ返るその場所は、いつもとは違う異様な雰囲気に包まれていた。

 目に映るのは全員が雄の獣人、それも筋肉質だったり肥満体型だったりと、皆ガタイの良い雄達だ。それだけではない、靴下や革靴などの履物を残し、全員が肩から股にかけて伸びる布面積の少ない蛍光色の下着──所謂マンキニを履いていた。

 公の場でそんな変態的な格好をしたガタイの良い雄獣人達がちんぽを露出し、各々に絡み合い犯し合っている。その異様な光景を生み出した諸悪の根源は、中心で高笑いを上げる豚獣人──洗脳の異能力を悪用するヴィランであった。

「ぐふふ、異能力ってのはたまらねえな。普通ならできねえ理想も簡単に現実にできちまう。後はこのまま……」

「そこのヴィラン、直ちに異能力の行使を止めて降伏しろ」

 貫禄を感じさせる低く渋い声が豚ヴィランの頭上から降り注ぐ。上を見上げると、大きなシルエットが月明かりを背負い接近してくるのが見えた。

「ようやくヒーローさんのおでましか……」

 豚ヴィランはまるで想定通りかのように笑みを浮かべると、マントを羽織る巨体が地に着地するのを見届ける。

 大きなシルエット──黒とグレー、そして黄色を基調にしたヒーロースウツに身を包んだ彼は、口に大きな牙を生やした壮年の猪獣人──ヒーローグラビティボアだった。

 丸太のような両腕と両足、膨れ上がった大胸筋と曲線を描く大きな腹。縦にも横にデカいその肉体は肥満体型と形容してしまっても間違いではないだろう。

 しかし、彼の放つ威圧感と貫禄から、その肉がただの脂肪の塊ではないこと、そして数々の死闘を潜り抜けた熟練のヒーローである事を肌で感じ取ることができた。

「二度は言わん、その人質も早く解放するんだな」

 黄色のヒーローバイザーから覗く鋭い三白眼が豚ヴィランを射抜く。豚ヴィランの横には小学生程の小さな犬獣人が目隠しをされた状態で拘束され立たされていた。ヒーローが通報を受け駆けつけるのを見越して、豚ヴィランは予め人質をとっておいたのだ。

「大人しく従うわけねえだろうが。……この人質がいる限りアンタは自由に動けねえんだからな」

 豚ヴィランはニヤニヤと口元に笑みを浮かべる。しかし、あまりに余裕なグラビティボアの態度に内心では一抹の不安を覚えていた。

 グラビティボアは重力を操る異能力を持っている。シンプルに強力なその異能力は、重力を強める事で広範囲のヴィランの制圧が行なえ、重力を弱める事でヴィランの無力化や人命救助も行うことができる。グラビティボア本人もその強力な異能力に胡座をかくことはせず、身体の鍛錬も欠かさない為、本人の素の膂力も他のヒーローの追随を許さない。それに強力な異能力が加わる為、グラビティボアの実力はヒーローの中でも──ベテランヒーローの中でも規格外の物となっていた。

(だが、密着している人質がいれば下手に手は出せねえはずだ)

 豚ヴィランはグラビティボアが来た時に備え対策を練っていた。というよりも、この場にグラビティボアが来る事を期待していた。何故ならこの豚ヴィランはグラビティボアのような肉厚な身体を持つ逞しい雄が大好物だからだ。

「アンタが動きを見せたらコイツの命はねえ。だからその場から動かず俺の異能力を受けろよ……そしたらアンタもマンキニ衣装で乱交するのが大好きな変態に変えてやるからよ」

 豚ヴィランがグラビティボアに手をかざす。グラビティボアは豚ヴィランの指示通り仁王立ちのまま動かない。そして──。

「……ッ!」

 豚ヴィランの手のひらから放たれた光線がグラビティボアに直撃した。そしてグラビティボアは激しい光に包まれた後、ボンッという間抜けな音と共にその姿を変化させた。

「……ぐふッ♡」

 豚ヴィランが下品な笑い声を口から漏らす。

 グラビティボアの黒とグレー、そして黄色を基調にしたヒーロースウツ、そしてマントは完全に消え去っていた。代わりにその肉厚な身体を覆っていたのは面積の乏しい黒のマンキニ一丁。股間を覆うマンキニはもっこりとした大きな膨らみになっており、グラビティボアの雄の象徴、そして玉袋のデカさをアピールしていた。

「やったぞ! とうとうあのヒーローグラビティボアを……!」

 豚ヴィランは人質を雑に床に寝かせると、マンキニ姿で仁王立ちするグラビティボアの元に駆け寄った。

「おいグラビティボア、さっそく俺と」

「少し浮ついた気分にはなったかもしれんが……やはり貴様のような下品な思考は理解できんな」

 豚ヴィランを見下ろすグラビティボアの瞳は、周りで乱交する雄達のように情欲に飲まれ濁った物ではない。先程までと同様、倒すべき悪を見据える正義の光が宿っていた。

「な……ッ! ぐええ……ッ!!」

 グラビティボアが手をかざし異能力を行使すると、たちまち豚ヴィランはコンクリートの床に叩きつけられた。強まった重力に抗うことはできず、豚ヴィランはそのまま身動きが取れなくなってしまう。

 グラビティボアはそのまま目隠しをされ拘束された少年に近づく。何が起きているかわからず怯えているが、どうやら命に別状はないようだ。少年の無事を確認するとグラビティボアはほっと一息ついた。

「坊主、遅れてすまなかったな。ワシはヒーローだ。悪いヴィランはワシがやっつけた……だから安心するといい」

 先程までとは一転、柔らかい表情と声色でグラビティボアは犬獣人の少年に語りかける。

「ヒーローさん……? ありがとう……」

 礼を言う少年の肩をグラビティボアは叩いてやると、一度立ち上がって腕を組んだ。

(しかし、これはどうしたものか……)

 周りの雄獣人達は洗脳の影響が残り乱交を続けている。グラビティボア本人も、布面積の少ないマンキニから陰毛がはみ出ていたりとあられもない格好だ。

(とにかく、ワシ一人ではこの状況は片付けられんし、このままでは坊主の目隠しも外せんな)

 グラビティボアは一つため息を吐くと、奇跡的に残っていた左手首のヒーロー端末を使い、救援を要請するのだった。

*****

 他のヒーローや関係者の助けもあり、どうにか自体に収集が付いた。その後のパトロールも終わり、グラビティボアは一度ヒーロー本部に帰還した。そしてワイシャツとネクタイ、スラックス姿に着替えるとそのまま帰路に就くのだった。

 そして、ゴツゴツと革靴を鳴らして歩きながら、グラビティボアはパトロールの後の出来事を思い出す。

 パトロール後、グレートピレニーズの博士──白大“はくだい”博士にメディカルチェックを受けていた時の事だ。

『あのヴィランの洗脳に耐えられたのは奇跡だ。しかしグラビティボアさん、何故貴方は大人しく異能力による攻撃を真正面から受けたのですか?』

 白大博士に問われたグラビティボアは、真剣な表情のままその問いに答えた。

『己に確固たる信念があれば、それは誰にも歪めることはできん。そしてあのような軟弱な洗脳にワシが負けるわけが無い』

 グラビティボアは至極真面目だったのだが、その直後白大博士にこっぴどく叱られてしまった。

 少し古い考え方ではあったが、結果的にはグラビティボアの言う通り屈強な精神力によって洗脳は防げていた。更には性行為のような不埒な行為を元々嫌っていたのが事が追い風になっていたようだった。

 異能力を無抵抗に受けることでヴィランの油断を誘い、人質を無傷で救出することに成功しているのも事実。だが『異能力という力は未知数。いつもこう上手く事が運ぶとは限らない』とグラビティボアは白大博士に諭されてしまうのだった。

(ならば、心身共に更なる鍛錬を積み重ねるのみだ)

 しかししっかりと意味が伝わっていなかったのか、グラビティボアは心の中でそんな事を決意するのだった。

(……む?)

 白大博士との会話を思い出しながら帰路に就く中、グラビティボアの視界にある建物が映った。

 『健漢の湯』という看板が掲げられたそこは、所謂健康ランドのようだった。歩道側からだと横幅が狭く小さな建物には見えるのだが、よく見れば奥の方に広くそれなりに大きな建物に見える。

 そして、グラビティボアは立ち止まるのと同時に身体が疲れている事を感じ取った。

(健康ランドか……。ふむ、寄ってみるのも悪くないかもしれんな)

 グラビティボアは身体の向きを変えると、健漢の湯の入り口の扉に手をかけた。そして、暖簾を潜りながらその中へと足を踏み入れる。その瞬間。

(……?)

 ピリッ、と頭の片隅が痺れるような感覚に襲われた。少しの違和感。しかしそれは一瞬の間を置いて、違和感を覚えた事自体が記憶から消えてしまった。

「「「いらっしゃいませ! お客様!」」」」

 そして、グラビティボアを大勢のむさ苦しい野太い声が迎え入れる。

 建物の中で待っていたのは、横に並ぶように整列した複数人のガタイの良い雄。それも、先程の豚ヴィランの洗脳を受けた者達がしていた様な際どい格好をした雄達であった。

「な……」

 流石のグラビティボアもその異様な光景に呆気にとられてしまう。

 まずは左からセントバーナード獣人。身長はグラビティボア程高くはないが、その横幅はグラビティボア並にでかい肥満体だ。特筆すべきはやはりその格好で、女性が着る物に思える青のハイレグを着用し、その肉厚な身体に食い込ませている。サイズも少し小さいようで、股のV字から大きな玉袋がはみ出し、ちんぽの陰影をくっきりと映し出していた。そして頭には目とマズルのみを露出させる黒の全頭マスクを被っており、首には数字の1が刻まれた白い円型のタグが紐で掛けられぶら下がっていた。

 その次に並んでいるのは巨体の象獣人。身長はグラビティボア並で、セントバーナード獣人同様肥満体型であった。貫禄のある雄に似つかわしくない赤のレオタードを着込んでおり、当然のように頭には黒の全頭マスクを被り、首には数字の2が刻まれたタグをぶら下げている。

 その次に並んでいるのは熊獣人。少し筋肉質ではあるが他に負けず劣らず太く、身長はグラビティボアより少し低い程度だ。サイズの小さい黄色のマンキニを身体に食い込ませており、ちんぽの根元と陰毛がグラビティボアから見て丸見えになってしまっている。そして彼も黒マスク、3の数字が刻まれたタグを首からぶら下げていた。

 他にもマイクロビキニ姿の狸獣人、ゼンタイ姿のサイ獣人、ケツ割れ姿の狐獣人など色んな変態的な衣装の雄獣人達が並んでいる。勿論皆同様デブ体型であり、頭には全頭マスク、そして首にはそれぞれ数字が刻まれたタグをぶら下げている。

(なんだこやつらの格好は……)

 グラビティボアは眉間に皺を寄せながら目を細め、微かに不快感を顕にする。

「お客さん、初めての顔ですな」

 すると、ガタイの良い変態衣装の雄達の隣──受付に立っている虎獣人から声が掛かった。

 虎獣人は唯一まともな甚兵衛姿で、受付のテーブルの上から上半身を出しながら気さくな男らしい笑顔を浮かべている。おそらく、歳はグラビティボアと同じか少し下ぐらいだろう。

「ここは疲れた方を心身共に癒やす健漢の湯。お客さん、見たところ相当お疲れでしょう。宜しければここで休んでいきませんか?」

「いやすまん、ワシは……」

 常識的な対応をされグラビティボアは少し困惑した。そのまま断ろうとして、はて、と不思議な感覚に陥る。

(ワシは利用したいからここに寄ったというのに、何故そのまま帰ろうとしたのだ?)

 確かに少し不思議な格好をしているが、この雄獣人達は洗脳をされた訳でも、公の場でふしだらに盛り合い、交わりあっている訳でもない。

 

「どうでしょう? 心身共に安らぐ自慢の銭湯に、男衆による熱心で丹念なマッサージは、同性の身体ですからツボもしっかり把握して揉みほぐします。それに、ご希望ならば料理も振る舞います。どれもご利用頂いた方達の評判はかなり良いんですよ」

「むう……」

 グラビティボアは腕を組んで考える。

(何か違和感があるんだが……その正体が掴めん)

 ふと、男衆と呼ばれた変態衣装の雄獣人達に目を向ける。すると、皆が選ばれることを期待している眼差しでグラビティボアを見つめていた。そこには奉仕をし、お客様の疲れを癒してあげたいという純粋な善意が感じ取れた。

(……仕方あるまい、疲れているのは本当だしな。それに、言われてみれば腹も減った)

 たまにはこういう健康ランドを利用するのも悪くないだろうと、グラビティボアは腕組みを解き口を開いた。

「うむ、それでは利用させてもらおう」

「よしきた! ありがとうございます! きっと満足して頂けると思いますよ」

 ニカッ! と虎獣人は気さくな笑みを浮かべると、手を横に伸ばし男衆達を指し示した。

「料金は後払いですんで、まずはこちらの男衆の中から一人をお選びください」

「一人を選ぶ?」

「男衆の一人が最初から最後まで付き添って癒すのがここ健漢の湯の特徴です。もちろん途中で交代もできますが……長い時間を一緒に過ごす程お客さんへの身体の……勿論心の理解も深まります。そうすれば、より効率良く疲れを癒して差し上げることもできるでしょう」

「ふむ」

 グラビティボアは髭を蓄えた顎に手を当てながら悩む。

(しかし、選べと言われてもな……)

 その場にいるのは全員がガタイの良いむさ苦しい雄だ。グラビティボアにはそういった趣味は無いし、元々不埒な行為を軟弱だと嫌悪するグラビティボアと変態衣装の雄達の相性は最悪であった。

 しかし、この健漢の湯に入ってからその苦手意識が薄れている事に気付く。そしてそれを大して気にも留めないまま、グラビティボアの視線はマンキニ姿の中年の熊獣人に吸い寄せられた。

 先程の豚ヴィランの影響か、妙にマンキニが目に留まるのだ。

「それではこの熊獣人に頼んでもいいだろうか」

「勿論です! 3番、いいな?」

「了解いたしました! ご主人様!」

 中年の熊獣人の顔がマスク越しにも明るくなるのがわかる。そして想像していたよりも低く雄臭い声を上げると、蹲踞の姿勢から立ち上がった。

「仕事帰りでお疲れでしょうから、まずは銭湯から入りますか?」

「そうだな……うむ、そうさせてもらおう」

「それではご案内します。こちらへどうぞ」

 そうしてグラビティボアは熊獣人──3番の後をついていくのだった。

*****

 革靴を脱ぎ、案内された場所は脱衣所だった。

「お手伝いしましょうか」

 グラビティボアがネクタイを解こうとすると、そう言って3番が近寄ってきた。

「いや、かまわん。自分で出来る」

「かしこまりました、それではここで待機していますね」

 グラビティボアが手を前にかざして断ると、3番は大人しく引き下がり、エロ蹲踞の姿勢で待機を始めた。

(どうにもやり辛いな)

 グラビティボアにとって、こうしてガタイの良い雄に近くで着替えを見られるのは気持ちの良い物ではなかった。

 だが着替えを見られるのが恥ずかしい、という訳では無い。あまりこちらをジロジロ見ないようにと伝えるのも男らしくないと思い、グラビティボアは何も言わずに着替えを続けるのだった。

 ベルトを外し、スラックスを片脚ずつ脱ぐ。ワイシャツに、濃いグレーのボクサーパンツ、そして黒靴下を脱ぐとグラビティボアは生まれたままの姿になった。

「着替えがお済みになられましたらこちらへ」

 そして、熊獣人の大きな尻に食い込むマンキニを視界の端に映しながら、その後ろをついていくのだった。

「それではお身体を洗わせていただきます。そこに座ってくつろいでいてくださいね」

 グラビティボアは言われるがまま流し場の椅子──真ん中に凹みがある所謂スケベ椅子なのだが、グラビティボアは特に気にしなかった──に座ると、ふう、と一息ついた。座ると身体の疲れをより一層実感する。

 熊獣人はシャンプーを両手に付けるとグラビティボアの頭を手慣れた手つきで洗う。そのままついでに行われる頭皮マッサージが想像以上に心地良く、ここに来たのは間違いではなかったかもしれないとグラビティボアは早くも上機嫌になった。

 熊獣人は頭の泡をシャワーで流すと、次はボディーソープを手につける。そして、グラビティボアの首に触れると凝りを解すように優しく揉みながら、ゆっくりと泡を背中全体に広げていった。

「ん゛……」

 手慣れた熊獣人の手つきに、喉の奥から小さな声が漏れてしまう。

「立派な身体付きをされていますね。ですが相当凝っているようです。ご職業は肉体労働関係ですか?」

「うむ、そんな所だな」

 グラビティボアは己の職業をぼかして伝えた。

 ヒーローの正体は基本的に秘匿されている。そうしなければプライベートを襲撃されたり、身内へ危害を加えられる確率が格段に上がってしまうからだ。

 ヒーロー活動が終わった後、一度ヒーロー本部に戻り私服姿に着替えるのにはそういった理由が含まれていた。ヒーロー本部から出る際も、誰にも見つからないよう隠し通路を使って出るようになっている。

「凄いですね。同僚も皆大きくガタイの良い雄達ですが、グラビティボアさん程の身体の持ち主はいませんよ。もしかすると、ご主人様と良い勝負かもしれません」

 熊獣人の言葉にグラビティボアの耳がピクリと反応する。

「ご主人様、というのは受付の虎獣人の事か? 随分変わった呼び方をしているな」

「はい、この健漢の湯の所有者であり、私達男衆の管理者ですから。私達男衆は皆ご主人様に恩があり、自ら望んでここで働かせて頂いています。彼はとても素晴らしい方ですので、男衆全員がご主人様と呼んで慕っているんですよ」

「ふむ……」

「勿論ここで働く理由はそれだけではありません。心身共に疲れたお客様の身体を癒やして差し上げたい、というのは本当の気持ちなんですよ」

「ふ、それは殊勝な事だな。……ん゛ん」

 グラビティボアは柔らかい笑みを浮かべると、目を閉じて唸った。熊獣人がグラビティボアの背中の丁度凝っている部分を強めに押したのだ。

(これは……確かに気持ち良い)

 虎番頭の言い方からして、今とは別にしっかりとしたマッサージも行われるのだろう。しかし、現時点でもかなり手際が良く、グラビティボアの中のマッサージへの期待が大きくなっていく。

「それでは前を失礼します」

「うむ。……?」

 了承してから、グラビティボアは違和感を覚えた。基本的に、こういう場合は背中側だけ流してもらい、前側は自分で洗うのが普通ではないのだろうか。

 しかし、熊獣人は遠慮なくグラビティボアの前面に両腕を伸ばすと、その鍛えられた両胸をガッチリと鷲掴みにした。

「……ッ」

「うお……凄いですね。想像していたのよりずっと硬い、凄い筋肉です。あ……ですが、やっぱり肉付いてて少し柔らかいですね」

 泡を付けながら、どこか厭らしい手付きで胸を撫で回してくる。少し不快さを感じたグラビティボアは、熊獣人の手を止めようと口を開いた。

「うむ。鍛えてはいるんだが……やはり歳と種族柄か、どうしても肉が付いてしまってな」

 しかし、口から出たのはグラビティボアの心情にはそぐわない言葉だった。

(ワシは何を……ぐう゛ぅッ)

 ビクッ! とグラビティボアは上半身を震わせる。熊獣人が泡を纏った指の腹でグラビティボアの乳首を擦り始めたのだ。

「少し感じておられますね。お客様は乳首を弄ったことはおありでしょうか?」

 明らかに一線を越えた行為。それも、グラビティボアの嫌う不埒な行為だ。しかし。

「いや、ワシはそう言った浮ついた行為は好かんからな。それに、男の乳首なんぞ弄るものではないだろう」

 グラビティボアは多少の不快感を顕にしながらも熊獣人の手を退ける事はせず、あくまで受け入れたまま雑談を続けている。

 以前の自分ではありえないはずだというのに、グラビティボアは少しの違和感を覚えるだけでそれに気付くことができない。

「いえ、そんな事はないですよ。男の乳首は放っておくと相当凝ってしまいますから、こうして解さないといけないんですよ」

「む、う……。待て、何か、んぐ、ン゛ん……ッ」

「どうです? 気持ち良くなってきたでしょう?」

「……ッ、ふ……ッ♡」

 ピリ、と頭の端が痺れる感覚に襲われる。それと同時にグラビティボアの頭の中に残る違和感が小さくなっていく。それに反比例し、熊獣人の指に弄ばれる桃色の乳首が少しづつ大きく勃ち始めてしまう。

「ほら、こうやって摘んであげると、身体全体の力も抜けて凝りもほぐれていくでしょう」

「お゛、オ゛……ッ♡」

 眉間の皺が消え、逞しい牙を生やした口から吐息混じりの声が漏れる。

「どうですか? 男の乳首弄りも悪くないでしょう?」

「た、しかに……悪くはない……♡」

「そうでしょう。ですが今はお身体を洗うのがメインですから、次に移らせていただきますね」

 熊獣人の手が腹の方へと移っていく、乳首を弄られる感覚が消える事に名残惜しさを覚えていることにグラビティボアは気付いてしまう。

「……ッ」

 グラビティボアの大きな腹に手をつける為に、腕を伸ばして熊獣人が寄り掛かる形になる。背中に感じるムッチリとした柔らかい感触。

 グラビティボアは、密着する熊獣人の丸い腹、その熱、そして首元にかかる吐息を変に意識してしまう。

「くう……ッ」

 ゴツゴツとした男らしい手が、グラビティボアの腹を円を描くように撫でる。それが不思議と心地良い。熊獣人の手は腹全体に泡を馴染ませると、今度は優しく揉んできたり、腹と土手肉の隙間に指を差し込んだりしてきた。

 明らかにスキンシップ過多ではあったが、グラビティボアは何故か抵抗する気になれない。

「それでは前を失礼しますね」

「ッ、おい、そこは自分で、う゛ッ♡」

 下からスケベ椅子の隙間を通して手を通され、玉袋を掴まれる。

 流石のグラビティボアも手を引き剥がそうととするが、脳の隅がピリッと痺れる感覚と共にその意思は薄らとぼやけて消えてしまう。

「お客様、大きい玉袋をしていますね。ちんちんもご立派だ」

「ぐ、お……♡♡」

「これだけ大きかったら直ぐに溜まってしまうでしょう。週にどれぐらい致しているんですか?」

「先程も言ったが、ワシはそう言った行為は好かん♡ ッ♡ したとしても、週に一度処理する程度だ♡」

「そうなんですか? それはいけませんね。こんな立派な竿とタマを持っていたら、定期的に抜かなければ身体に悪いですよ」

 熊獣人の手が慣れた動きで玉袋越しにタマを弄びながら、もう片方の手で竿を洗っていく。

 包皮の先端を掴んで伸ばしたりとやりたい放題だったが、グラビティボアは眉間に皺を寄せて耐えるだけでなすがままだ。

 雄の急所を自由に弄ばれる感覚、そして快感ににビクッ♡ ビクッ♡ とその巨体を震わせる。熊獣人が手を動かしやすいよう、自然と両足を開いていってしまう。

「そうですね……一日に一回……いえ、二回はしないと」

「ぬう゛、う゛お……ッ!?♡♡」

 何とか勃起だけはしないよう耐えていると、今度は指先で玉裏をなぞられる。くすぐったさに身悶えしている内に、指はどんどん後ろと下がっていき、グラビティボアの尻の谷間に入り込んでしまう。

「ハ……ッ♡ ……ッ♡」

 尻たぶを掴まれてグイイッ♡ と左右に押し広げられる。顕になった尻穴は熊獣人からは見えないが、外気に晒されヒクヒクと震えていた。

「う゛……ッ♡」

 つつ……♡ と熊獣人の指が尻の谷間を這う。その感触にグラビティボアは身悶えしながらも、目を閉じながら声を漏らさぬよう耐えた。

 しかし、遠慮のない熊獣人の手付きは止まらない。

 がっしりと尻たぶを掴まれ、円を描くように尻穴の周りをなぞって泡立てていく。そして──。

「それではシャワーでお流ししますね」

 長い時間をかけて隅々まで洗われた後、グラビティボアの身体はようやく熊獣人の手から開放された。

 少しの名残惜しさを感じ、それを気のせいだと頭の中で否定すると、グラビティボアの身体に付いた泡がシャワーで洗い流されていく。

「流し終わりました。それではお客様、ごゆるりとお寛ぎください」

「う、む。ありがとう……♡」

 そう礼を言いながら、グラビティボアはほっと一息ついた。

 しかし、まだ胸や股、尻には熊獣人のゴツい手が這い回る感触が残っている。そしてその感触と刺激のせいか、股座にぶら下がるグラビティボアのちんぽは半勃ちになってしまっていた。

(……これは生理現象だ。あれだけ触られてしまえばこうなってしまうのも仕方あるまい)

 頭の中で言い訳をしながらグラビティボアは立ち上がると、半勃ちなのを隠すかのように足早に流し場を出た。

 そして、湯船の前へ来ると、足先をその表面に浸けた。

「オ゛ぉ……」

 股座から腹、肩まで浸かると一気に疲れが溶けだしていくのがわかる。ふと隣を見ると、いつでもグラビティボアの要求に答えられるようにする為か、すぐ側で熊獣人がエロ蹲踞の姿勢で待機していた。

 既に着替えの時のようなやり辛さはなく、今度はマンキニが持ち上げるその大きな前袋が妙に気になってしまう。

 熊獣人はグラビティボアの玉袋を大きくて立派だと言っていたが、熊獣人のサイズもグラビティボアに負けず劣らず大きいように見えた。

*****

 銭湯を堪能したグラビティボアは、少し身体を流した後再び脱衣所へと戻ってきた。

「こちらが館内着になります」

「……これは」

 身体を拭き終わったグラビティボアに熊獣人が見せたのはいくつかの館内着だった。どうやらこの健康ランドには館内着のデザインが複数あるようだったが……そのデザインには少し問題があるように見えた。

「もっと普通の服はないのか?」

 グラビティボアがその太い指先で持ち上げたのは小さなサイズのビキニパンツ。その巨体と比較するとあまりに頼りないその布面積では、履いても局部全てを覆い隠す事は出来ないだろう。それこそ、受付で見かけた玉袋がはみ出た狸獣人の様になってしまうはずだ。

 それ以外の服も似たような物ばかりで、ハイレグだったり前垂れTバックだったりと、色物の下着しか置いていなかった。

「一応ありますが、なるべくお客様にリラックスして頂けるよう、基本的に館内着は窮屈さや制限を感じさせない布面積が少ない物を勧めています。私としてはやはりこのマンキニがおすすめですよ」

 熊獣人はニコニコと男らしい笑みを浮かべながらピンク色のマンキニを差し出した。それを受け取ったグラビティボアは目を細めて訝しげにその布地を眺める。

 グラビティボアの太指に摘まれぶら下がるマンキニは、その巨体を覆うには布面積が小さすぎるように見えた。

「ううむ……ワシはこういう浮ついた下着は好かんのだが」

「最初は確かに抵抗があるかもしれませんが、履いてみるとかなり心地良いですよ。それに、大事な部分はちゃんと隠せますから」

 質の良いサービスを提供してくれている熊獣人の言葉に背中を押され、グラビティボアの心が揺らぐ。しかし。

「いや……やはり止めておこう。普通の館内着をくれないか?」

 結局、グラビティボアは露出の少ない一般的な館内着を着ることにした。

 下着は着ていないものの、ゆったりと身体を覆う半袖半ズボンのベージュ色をした館内着は、グラビティボアに安心感を与えた。

 おすすめを断った事を謝罪すると、熊獣人は「お客様が一番リラックスできる格好をする事が大切ですから」と笑顔で答えるのだった。

 *****

 次に案内された場所は食堂だった。健漢の湯の利用者は意外と多いのか、グラビティボア以外の利用客や、その付き添いであろう男衆の姿も何人か見える。

「どれも絶品でおすすめですよ」

 熊獣人にメニューを手渡され気になったセット料理を注文すると、ほとんど間を置かずに目の前のテーブルに料理が並べられた。

 料理の提供される早さ、そしてその量に感心していると、グラビティボアの腹が鳴るのがわかる。

 そして、隣に座る熊獣人に見守られながら、グラビティボアはあっという間にそれを平らげてしまった。

「美味しいですか?」

「……うむ、美味い。これは驚いた。これ程美味い料理は食べた事がない」

「それは良かったです。ここの料理は他のお客様からの評判もかなり良いんですよ」

 熊獣人の言葉に受付にいた虎番頭の言葉を思い出す。

(ふむ……確かに今までの良質なサービスの内容から、この『健漢の湯』の評判が良いのにも頷ける)

 グラビティボアがこの健康ランドに感じていた違和感や抵抗感は、いつの間にかほとんど無くなってしまっていた。

「……む」

 すると、グラビティボアはまだ腹が減っていることに気付いた。いつもの一食分は食べたはずなのだがと悩んでいると、その様子に気付いた熊獣人が声を掛ける。

「美味しくて沢山食べてしまいますよね。おかわりは自由ですので、どうぞお好きなだけ食べてください」

 グラビティボアは顎に手を当て少し迷った。

 この健康ランドのサービスの質は良いが、どうしてもマンキニ等の不埒な衣装が気になってしまう。グラビティボアの性格からして二度目の来店はないだろう。そうなるとこの料理を食べる機会は二度と無くなるという訳だ。

 結局、グラビティボアは迷った末に再度料理を注文した。そしてその料理のあまりの美味しさに、更に大人二人分程の量を平らげてしまうのだった。

*****

 次に熊獣人に案内されたのは小さな個室だった。中央にダブルサイズのベッドが設置されており、蝋燭の淡い明かりだけが室内を照らしている。

 グラビティボアが中に入ると、熊獣人が出入り口の扉を閉めた。

「ここがマッサージ用の個室です。……それにしてもお客様、沢山お食べになられましたね」

「ああ、少し食いすぎてしまったかもしれん」

「ふふ、すっかり真ん丸に膨らんでしまっていますね」

 そう言いながら、熊獣人がグラビティボアの腹を館内着越しに撫でた。ゆったりとした館内着だが、元々大きな腹が更に膨れてしまっているため、そのシルエットをはっきりと浮かび上がらせてしまっている。

「か、揶揄うな」

 グラビティボアはくすぐったそうに──少し恥ずかしそうにしながらその手を払うが、それを満更でもないと感じてしまう自分に気づいていた。

「それではマッサージを始めますので、ベッドに横になってください」

 熊獣人に案内されグラビティボアはベッドに手を付ける。そして片足を乗せるベッドに寝転がると、ギシッという嫌な音がした。

「どんなお客様でもリラックスできるよう、頑丈に設計してあるので安心してください」

「そ、そうか」

 食べ過ぎを反省しながらグラビティボアはうつ伏せになった。食べた後に──それも満腹の状態で横になるのはどうかと思ったが、不思議と腹の苦しさは感じない。

「それでは失礼します」

 熊獣人もベッドの上に上がり、再びギシッと嫌な音が鳴る。大丈夫かと流石に心配になるが、首元に添えられる熊獣人の指の感触にそんな心配は消し飛んでしまう。

「ぐ、う゛ぅ……♡」

 指の腹を使って太い首を力強く揉まれ、グラビティボアの巨体がビクッ♡ と震えた。熊獣人の指はそのまま下へと下がっていき、ゴツゴツした背中のツボを押し始める。

「気持ち良いですか?」

「ああ……♡ 気持ち、良い……ッ♡」

 熊獣人のマッサージの腕前は相当な物で、グラビティボアの凝り固まった筋肉が一気に解されていくのを感じた。

 マッサージの場所は背中から腰へと移動していき、茶色の被毛に覆われた太指は豊満な二つの尻臀を捉えた。

「ぐお゛ッ!?♡」

 ビクンッ♡ とグラビティボアの巨体が激しく震える。グラビティボアの指は力強く寝台のシーツを掴んでおり、尻を揉まれる快楽を耐えようとしていることがわかった。

「気持ち良いでしょう? お尻も意外と凝ってしまうモノなんですよ♡」

 熊獣人はそう言いながら力強く尻を揉みしだいていく。その顔には確かに好色の色が浮かんでおり、舌舐りをしながらグラビティボアを見下ろしていた。

「……ッ♡ ふッ♡」

 尻周りのマッサージはやたらしつこく、少しづつ下にずれながら、今度は玉袋のほとんど真横に位置する太腿を揉み始めた。

 そこを揉まれるのもまた心地良く、場所が場所なだけにどうしても局部を意識してしまう。

 グラビティボアのちんぽは腹の下敷きになりながらも徐々に大きくなってしまっていた。

「背中側は終わりです。前側をマッサージするので、今度は仰向けになってください」

 熊獣人の手がグラビティボアの身体から離れる。しかしグラビティボアのちんぽは完全に勃起してしまっており、このまま仰向けになればそれが丸わかりになってしまう。

「……ッ♡」

 しかし、恥ずかしがってうつ伏せのまま動かないのも男らしくないかと考えたグラビティボアはそのまま仰向けになった。

 股のちんぽは館内着を押し上げながらテントを張ってしまっており、言い訳のしようがなく勃起していることを熊獣人にアピールしている。

「すまん……♡」

「いえいえお構いなく♡ マッサージを施術されたお客様は皆そうなってしまいますから、ご安心ください♡」

 目を閉じながら謝罪するグラビティボアに対し、熊獣人は笑顔を浮かべながらそう答えた。

 皆そうなると言われればグラビティボアの罪悪感も薄くなっていく。手足の力を抜いてリラックスすると、館内着越しに太竿がピクッ♡ と跳ねた。

「それでは失礼します」

 熊獣人がグラビティボアの横側へ移動すると、自身の手前側にあるグラビティボアの左腕を揉む。そして、上腕から手の平までしっかりと揉みほぐしていく。

 それが終わると次は右腕だ。熊獣人はベッドの反対に回り込んだりはせず、上半身を前に倒しながらグラビティボアの右腕を揉み始めた。

 グラビティボアが目を開くと、熊獣人の豊満な身体が目の前にあった。グラビティボアの腕を力を込めて揉む度に、マンキニ越しにその大きな腹がゆっさゆっさと揺れる。

 そして、マンキニ越しにではあるが左腕には熊獣人のちんぽが触れてしまっており、その柔らかな感触を嫌でも意識してしまう。

「それでは、先程はしっかり解せなかった胸の凝りも解していきましょうね♡」

 熊獣人の手によって館内着のボタンが外され、グラビティボアの豊満な胸と腹が顕になる。大きく膨らんだ腹は、少し乱れた呼吸に合わせて上下に動いていた。

 熊獣人が右手をグラビティボアの胸に這わせると、その巨体がビクッ♡ と震えた。左手は腹の上に置かれ、円を描くようにゆっくりと撫で回していく。

「ぐ、う゛……♡♡」

 ただのマッサージとは思えない熊獣人の下心を感じさせる手付きに、グラビティボアの心臓がドクン♡ ドクン♡ と高鳴る。

 ゴツゴツとした熊獣人の手は、焦らすように両胸の中央を避け、焦げ茶色の被毛を撫でその下の肉を揉みしだいていく。

 すると、触れてもいないグラビティボアの乳首が、次第にピン……ッ♡ と硬くなっていった。

「……ッ♡ 本当にこれがマッサージになっているのか……ッ♡」

「そうですよ。どんどん力が抜けていくでしょう♡ 疲れがとれている証拠です。さあ、もっとリラックスして下さい、そうしたら……」

「むお゛ォッ!?♡♡」

「もっと気持ち良くなれますから♡」

 熊獣人の指先が、器用にグラビティボアの勃った両乳首を摘み上げていた。

「ハッ♡ あ゛……ッ♡♡」

 キュウ……♡ と強めに抓ると、グラビティボアの巨体がわかりやすい程にビクビクと震える。

 

「ほら、こんなに硬くなってしまって。しかし、こうして抓ってあげると凝りが解れていくでしょう」

「ほ、解れ……ッ♡ お゛……ッ♡♡」

 普通であれば、これが一般的なマッサージでないことに気付くはずだ。しかし、不埒な行為を嫌うはずのグラビティボアからは文句の一つも出る気配はない。

 熊獣人は左手を乳首から腹に移して優しく撫でる。そして、更にその手を下へと持っていき──股座で張っているテントの上に乗せた。

「ちんぽがとても窮屈そうですね。ズボンも脱いでしまいましょうか」

「……ッ♡」

 ズボンを下ろすと、一度ゴムの部分に抑えつけられていたちんぽが解放された反動でブルンッ♡ と跳ねた。体毛よりも少し濃い茂みの中で屹立する逸物は真っ直ぐ上を向き、ビクッ♡ ビクッ♡ と震えながら先走りに濡れている。

「おお、凄い……♡ お客様、随分とご立派なモノをお持ちなんですね♡」

 乳首を弄っていた熊獣人の手も下腹部へと移動する。

「力強くて、とても雄らしいちんぽですね♡ 俺もちんぽの大きさには自信があるんですが、お客様には負けてしまいますね。いやあ、羨ましい♡」

「そ、そうなのか……ッ♡」

 分厚い太腿を掴まれ、親指で内側を丹念に揉まれる。そのすぐ横には大きな玉袋と太竿があり、嫌でも熊獣人の指の動きを意識してしまう。

「は、あ゛……ッ♡」

 親指でツボを押し込まれると、その快感に連動してちんぽがビイイインッ♡ と直立する。そのままぐに♡ ぐに♡ と太腿の内側を揉まれる度に、グラビティボアの剛直ががビクビクと上下に振れた。

「太腿もかなり凝っているようで……」

「ぐ、お゛……♡」

 そう言いながらも、熊獣人の手はグラビティボアのパンパンに張りつめた玉袋に触れた。

「お客様は先程浮ついた下着は好かないと言っていましたが、もしかすると、こういった行為全般が苦手なのではないですか?」

「そ、そうだ……♡」

「やっぱり。とても真面目そうな方に見えましたから。勿論、悪い意味ではありません。とても素敵な事だと思います。しかしそうだとすると、ここを発散する機会も少ないのではないでしょうか?♡」

「おお゛ッ!?♡」

 突然、グラビティボアのちんぽを熊獣人に掴んだ。焦らされた末に与えられる直接的な刺激に、グラビティボアは情けない声を上げてしまった。

「玉袋もこんなにパンパンになってしまって……。どうでしょう、お客様の健康の為に俺が抜いて差し上げましょうか?」

 玉袋を揉みながら、シコシコ♡ と厭らしい手付きで太竿を軽く擦り上げる。

 亀頭がぷっくりと膨れ上がっていき、グラビティボアの射精欲求がどんどん高まっていく。

「し、しかし♡ お゛ぉ……♡ そこまで手を煩わせる訳には……ッ♡」

「かまいませんよ♡ 先程も言いましたが、マッサージをするとこうして勃起してしまうお客様は多いんです。ですから、そこからアフターサービスで抜いて差し上げる事も珍しくはないんですよ♡」

 グラビティボアの包皮を使ってシコシコと雁首を責めながら、熊獣人は舌舐りをした。荒くなった熊獣人の鼻息がグラビティボアのちんぽに当たり、勃起し現在進行形で弄ばれているちんぽへの意識が高くなっていく。

「どういたしますか? お客様♡」

 顔を上げ熊獣人の方を見ると、扇情的な目でこちらを見つめている熊獣人と目があった。どこまでいっても熊獣人は雌ではなくガタイの良い雄だ。しかし、ビンビンになったグラビティボアのちんぽを擦る厭らしい手付き、そしてそこから伝わる快感に、グラビティボアの雄の本能は屈してしまった。

「わかった……♡ 頼む……♡」

 この気持ち良さを感じたまま射精したい。それがグラビティボアの出した決断であった。

「かしこまりました、お客様♡」

 熊獣人は男臭いスケベな笑みを浮かべると、シコシコシコシコ♡ と手慣れた手付きでグラビティボアのちんぽを扱き始めた。

「ほお゛♡ オ゛……ッ♡♡」

 あまり経験しない他者による手コキ……それもプロの技に、グラビティボアは目を細めて情けない喘ぎ声を上げる。

 膨らんだ大きな腹は呼吸で激しく上下し、雄の本能によるものかガニ股になった腰がヘコヘコと上下に動いてしまっていた。

「気持ちいいですか? お客様♡」

「お゛ォ……♡ 気持ち良い゛……ッ♡♡」

 グラビティボアの腰の動きが早くなっていき、それに合わせて熊獣人のちんぽを扱く速度も上がっていく。

 以前の射精は丁度一週間ほど前だっただろうか。流し場からずっと焦らされていたグラビティボアのちんぽが限界に達するのはあっという間であった。

「すまん……ッ♡ イ゛クッ♡♡ ~~~~ッ♡♡」

 キュウウ♡ と足指に力が入り縮こまる。パンパンに張り詰めたデカ玉が持ち上がり、鈴口に向かって精液を押し上げていく。そしてそのまま、ぱっくりと開いた鈴口から精液が噴き出る──そのはずだった。

「……ッ♡ ぐ、お……?♡」

 しかし、激しくちんぽを震わせながら絶頂感を味わうだけで、グラビティボアが射精する事はなかった。

「な、何故だ、確かにワシは……♡」

 困惑するグラビティボアに対し、熊獣人は神妙な顔付きになって答える。

「絶頂に達したはずなのに射精できなかったのですね? お客様のような方は他にもお見かけしたことがあります。その殆どが、お客様の様な真面目で実直な方々でした」

「それはどういう……」

「おそらく、普段から快楽を抑え込んでいるせいで、自分の中で抵抗が生まれてしまっているんじゃないでしょうか」

 熊獣人は続ける。

「ここは一度、欲望を閉じ込めている殻を破ってみてはいかがでしょうか……。もう一度おすすめしてしまう形になりますが、マンキニを着てみるとか」

「な、何だと?」

 

 予想外の熊獣人の言葉にグラビティボアはたじろいだ。上半身を起こし、熊獣人の言葉を否定しようとして──息を飲んだ。

 熊獣人の肉体を締め付ける黄色のマンキニ。その頼りない布面積では熊獣人の玉袋だけしか覆うことができていない。マンキニに覆われた玉袋の上、ビンビンに勃起した赤黒いちんぽとマンキニの黄色が織り成す変態的なコントラストが、グラビティボアには酷く扇情的に映ったのだ。

「どうですか? お客様♡ ここは個室で誰もお客様の痴態を見ていません♡ 唯一お客様の姿を見る俺がもうマンキニを履いているんですから、何も気にする事はありませんよ♡」

 熊獣人の吐息混じりの誘いの言葉に、グラビティボアのちんぽが跳ねる。そして、どこからか取り出したピンク色のマンキニを差し出され、それを手に取ってしまう。

「わ、ワシは……♡」

 立ち上がりマンキニを左右に広げると、ちんぽがより強く脈打った。あれほど奇怪で理解ができないと思っていた衣装であるマンキニに確かに興奮してしまっている事実に気付く。

 明らかにおかしい状況であると頭のどこかで思っているはずなのに、思考に靄がかかっており上手く考えがまとまらない。

 グラビティボアはゴクリ、と唾を飲み込むとゆっくり片足を持ち上げた。

 もう片方の足も持ち上げ、マンキニの穴に両足を通す。そして、肩に掛ける部分に指をくくらせると──一瞬の躊躇いの後一気に上へと引っぱり上げた。

「オ゛ほォ……ッ♡♡♡」

 マンキニが股に、尻の谷間に食い込む感覚にゾクゾクゾクッ♡♡ と背筋を震わせながら顔を上に向け海老反りになる。

 やはりサイズが小さいのか、玉袋が押し上げられ、勃起したちんぽは熊獣人と同様マンキニからはみ出し天を向いてしまっていた。

「お゛ッ♡」

 バチンッ♡ という音と共にグラビティボアの情けない濁声が個室に響き渡った。快感で指の力が抜け、掴んでいたマンキニのゴム縮み肩にぶつかったのだ。

 ガニ股のままマンキニを食い込ませちんぽを勃起させる姿は、グラビティボアが変態だと心の中で罵ったあの豚ヴィランと一切変わらなかった。

「良くお似合いですよ、お客様♡」

「あ、ああ……♡ ワシは、こんな……♡♡」

 マンキニを着てしまった事実を確かめるかのように、マンキニのV字に沿ってその大きな腹を撫でる。

 突き出た胸や腹の形に張ったピンク色のマンキニは、キュウキュウとグラビティボアの肉体を締め付ける。しかし、その締めつけは不快というよりむしろ──。

(気持ち良い……♡♡)

 グラビティボアは微かな──倒錯的な笑みを浮かべながら、ゾクゾクゾク♡ と身体を震わせながら熱の篭った息を吐いた。

「さて、お楽しみの所申し訳ないのですが、ここからが本番です♡ このマンキニを着用した時だけ行える、特別気持ち良くなる方法があるんですよ♡」

 熊獣人が個室の壁一面を覆う鏡に向かって立つ。すると、どっしりと腰を下ろしてガニ股になると、マンキニのV字に添うよう股に手をかざした。そして。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

 掛け声と共に、腕をV字に引くのを三度繰り返した。それは所謂コマネチのポーズであったが、ガタイの良い雄がマンキニ姿でそれを行うのは余りに間抜けで変態的な光景であった。

「な、何だそのおかしな動きは……♡」

「これをマンキニポーズと言います♡ 最初は間抜けな格好に抵抗があるかもしれないですが、普段の真面目な自分から解放されるような感覚が気持ち良くて癖になってしまうんですよ♡」

 この健漢の湯に訪れる前のグラビティボアであれば、決してこんな間抜けなポーズはとらないだろう。しかし、射精直前の限界まで勃起し、気持ち良さそうにマンキニポーズを行う熊男衆の熱気に当てられたグラビティボアはゴクリと唾を飲み込んでしまう。

(普段の自分から解放……♡)

 熊獣人の隣に並んで立ち、そのポーズを見ながら見よう見真似でガニ股になる。その際キュウウ♡ と尻にマンキニが食い込み濁声が逞しい牙を生やした口から漏れる。

(こんな間抜けな格好、誰にも見せられん……ッ♡♡ 市民達にも、儂を慕う後輩達にも……ッ♡♡)

 己を師と慕う後輩の牛獣人のヒーロー、そして同期であり──己にヒーローの役割を託し前線を引いた竜人の司令の顔が浮かび上がる。

 その時グラビティボアを襲ったのは激しい羞恥心と背徳感であった。しかし、その背徳感がむしろグラビティボアの興奮を増長させてしまう。

(これでは、先程倒した豚のヴィランよりもワシの方が変態のようではないか♡)

 ドクドクと鼓動が高鳴る。熊獣人と同じようにマンキニのV字に沿って股に両手を添える。どっしりと腰を下ろし、その巨体をガニ股で支える為に両太腿とふくらはぎの筋肉が膨れ上がる。

 グラビティボアのちんぽは、玉袋をマンキニで抑えつけられながら未知の期待に震えていた。

(だ、駄目だ……♡ ワシは……ッ♡)

 マンキニポーズを止めようとした瞬間、隣に立っていた熊獣人が腕を引き上げた。熊獣人のポーズを手本にポーズをとっていたグラビティボアは、釣られて同じように両腕を引き上げてしまう。そして。

「マンキニッ♡ ぬお゛ォお゛ッ!?♡♡♡」

 ビシッ♡ とぎこちないマンキニポーズをとると、ビンビンに勃起したグラビティボアの仮性包茎ちんぽから先走りが勢い良く噴き出した。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ と、止められんッ♡ マンキニッ♡」

 隣で掛け声を上げながらマンキニポーズを続ける熊男衆に釣られ、先走りを溢れさせながらもマンキニポーズをとり続けてしまう。

 目の前に映るのは歳のせいで肉付いているものの、数々の死線をくぐり抜け鍛え上げられた自慢の肉体──それがマンキニを履きガニ股で無様なポーズを行う姿。

 間抜けで恥ずかしく屈辱的なはずなのに、己が変態行為をしているという事実に、身体に食い込むマンキニの感触により一層ちんぽを硬くしてしまう。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ い、いかんッ♡ イグッ♡ 鏡の前で、こんな間抜けなポーズをとりながらイってしまうう゛ッ♡♡ マンキニィッ♡♡」

 再び玉袋が持ち上がり射精の準備を始める。精液が押し出され、鈴口に向かってせり上っていく。先程は射精に至らなかった仮初の絶頂を味わった。しかし。

「お゛ほッ♡ イグッ♡ イグイグイグッ♡♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ ……マンキニイイインッ♡♡♡」

 びゅううううううッ♡♡ びゅるるるるッ♡♡ びゅッ♡♡ びゅうううううッ♡♡

 全身、そしてちんぽを襲うかつてない快感と共に、グラビティボアは吐精した。どっしりと腰を下ろし、最大限まで足を開いた無様なガニ股のまま、マンキニを持ち上げる仮性包茎勃起ちんぽからびゅるびゅると濃厚なザーメンを吐き出していく。

「お゛、ほ……ッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

 射精中でもマンキニポーズを止めることはできない。熊男衆に習いながらビシ♡ ビシ♡ ビシ♡ とポーズを繰り返し、その度に精液の出る勢いを増していく。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

 いつの間にか熊男衆も射精していたようで、グラビティボアと同様に目の前の鏡に映る自分の姿を白く汚していく。しかし、射精をしながらもその掛け声とマンキニポーズは一向に終わらない。

「マンキニッ♡ マンキニィッ♡ もう止めてッ♡ 止めてくれぇッ♡♡」

 人生で味わった中でも最大級の快楽、そして大量の射精にグラビティボアは息絶え絶えになってしまうが、欲望に忠実になった身体はマンキニポーズをとり続ける。そして長い射精が終わるが、それでもポーズと掛け声が止まることはなかった。

「マンキニッ♡ マンキニ……ッ♡ はひっ♡」

 ビグッ♡ ビグッ♡ とちんぽが激しく震え貯蓄の無くなったザーメンの空打ちを行う。余りの快感に鍛え上げられた足腰も耐えられなくなったのか腰砕けになり、グラビティボアはそのまま仰向けに倒れてしまった。

「……マンキニぃ……♡」

 そして倒れたまま、一度だけマンキニポーズを行うとそのまま意識を飛ばしてしまうのだった。

*****

「う……」

 目を覚ますと、グラビティボアは再びマッサージ用のベッドの上で横になっていた。

(ワシは、寝てしまっていたのか)

 ぼやけた視界に自身を覗き込むように立っている人影が映る。一瞬男衆の熊獣人だと思ったが、視界が明瞭になると虎獣人の番頭である事に気づく。

「随分疲れがたまっていたようですなあ。どうでしょう? 当館のサービスは」

 ニコニコと男臭い──しかし人懐っこい笑みを浮かべながら虎番頭が問いかける。

 直前のマンキニを履きながらの行為を思い出し顔が熱くなるが、それに至るまでのサービスはかなり良く、マンキニポーズ自体も今までに感じたことのない快感である事は事実だった。

 少し返答に迷った後、微睡む意識の中グラビティボアは「……ああ、とても良かった」と小さな声で答えた。

「わはは! お客さんに満足いただけて何よりです!」

 虎番頭は大口を開けて笑うと、再びグラビティボアを見下ろした。

「……そこでお客さんに提案なんですが、健漢の湯には会員制度がありましてな。頻繁に通う場合は会員になった方がお得に利用できるんです。サービスの質は既に証明済み。お客さんの身体はみるみる軽く、健康になっていくことでしょう。どうでしょう、健漢の湯の会員になってみませんかな?」

 ぼやけた意識の中虎番頭と目が合う。すると不思議な浮遊感を覚え、その目に吸い込まれていくような感覚に陥った。

「わかった。是非会員にならせてくれ」

 すんなりと口から出た了承の言葉に、グラビティボアは自分で驚いた。

 確かに健漢の湯のサービスは良かったが、傾向としては自身の嫌う不埒な行為が多かったからだ。

「ありがとうございます! ご心配なさらず、決して後悔はさせませんとも。それでは、会員の証を刻ませていただきましょう」

 虎番頭はニカッ! と笑うとその手をグラビティボアの下腹部にかざした。瞬間、その手に異能の力が集うのをグラビティボアは感じ取った。

(何!?)

 反射的にすぐさま上体を起こし、虎番頭の手を退けようとする。

 その危機察知能力と行動の早さは、ベテランヒーローとしての経験の積み重ねと実力を感じさせた。しかし。

「……ッ!」

 グラビティボアの下腹部がピンク色にぼんやりと光る。すると、直前まで感じていた虎番頭への警戒心、異能が行使されたことへの疑問、不信感が薄れていってしまう。

「どうかなさいましたかな?」

「……いや、すまない。何でもない」

「どうやらまだお疲れのようですな。休息は大切ですから、ゆっくりとお休みください」

 虎番頭に言われるがまま、敷かれた枕に再び後頭部を埋める。瞼を閉じると、グラビティボアはあっという間に眠りについてしまった。

「……俺も運が良い♡ こんな上玉が手に入るとはな♡」

 虎番頭が口の端を歪め、グラビティボアの腹を撫でる。その笑みは先程の人懐っこいモノとは程遠い、邪悪さを感じさせるモノであった。

 そして蝋燭の灯りだけが照らす暗がりの中、グラビティボアの下腹部に刻まれたハートマークを模した紋様が強く怪しく輝くのだった。

*****

「ううむ……♡」

 ヒーロー活動が終わり、帰路に就いていたグラビティボアは唸り声を上げた。

(どうしてしまったんだ、ワシの身体は……♡)

 健漢の湯に訪れてから早二週間。グラビティボアの性欲は肥大し、週に一度義務的に行っていた性処理が日に二度行っても満足できないようになってしまっていた。

 今日に限っては朝に処理をしたというのに、昼頃にはもうムラついてしまいヒーロー活動に集中する事ができていなかった。今も気を抜けばすぐにちんぽが勃ち上がり、紺色のスラックスにテントを張ってしまいそうだ。

(このままではいかん……♡ 早く、この浮ついた気分を発散させなければ♡)

 目を閉じ、眉間に皺を寄せながらワイシャツ越しに下腹部を撫でる。

(この紋様のせいか? いや、これはただの会員の証なのだから、そんな効力があるはずがないだろう♡)

 下腹部では虎番頭に刻まれた紋様が怪しく輝く。それがグラビティボアに多大な影響を与えている事は間違いないだろう。しかし、紋様の効力なのかグラビティボアは“会員の証”の異常性に気付けずにいた。

『是非また来てください、その時はたっぷりサービスいたしますよ♡』

 会員の証と同時に、グラビティボアは健漢の湯で熊男衆に言われた言葉を思い出した。

 その場の流れで会員にはなってしまったものの、グラビティボアは市民の平和の象徴であり、未来の平和を担う後輩の手本となるべきヒーローだ。だからこそ。

(あのような如何わしい施設にはもう行かないと決めた。だというのに……♡)

 気が付けば、健漢の湯の建物の前まで足を運んでしまっていた。

 ネクタイを緩め、熱の篭った吐息を漏らす。健漢の湯の看板を見ると、下腹部がじんわりと熱くなり淡い快感が広がる。熊獣人の厭らしい手付き、マンキニの締め付けを思い出すとスラックスに抑えつけられたちんぽが徐々に硬さを取り戻していく。

「おや、お客様! また来てくださったんですか?」

 すると、入口の扉を開け虎番頭が現れた。ニコニコと男臭い笑みを浮かべながらグラビティボアに近づいてくる。

「い、いや、すまない。ワシはたまたま近くを寄っただけで……」

 虎番頭の言葉を否定しようとして、グラビティボアは己のスラックスに小さく張ったテントの存在に気が付いた。虎番頭もそれに気づいているようで、グラビティボアの顔が羞恥で赤く染まる。

「しかしお客様、疲れも含めて色々“溜”まっているように見えますが……。どうです? せっかく会員になったのですから、ご利用されていかれませんかな?」

 虎番頭と目が合うと、下腹部がぼんやりと熱くなり逸物が鎌首をもたげ始める。

 どちらにせよ、このままの状態で外を出歩くことはできないだろう。

(ぐ……ッ♡ そうだ、これっきり……これっきりだ♡ 会員も辞めて、これ以上不埒な行為にうつつを抜かさないようにすればいいのだ♡)

 熱の篭った息を吐いてグラビティボアは一歩前進する。

 欲望に負け雄の表情になったグラビティボアを見て、虎番頭は上機嫌そうに口を開くのだった。

「いらっしゃいませ、お客様。それではごゆるりとお寛ぎください♡」

*****

 結局、グラビティボアは再び健漢の湯を利用する事になった。

 虎番頭に男衆を選ぶように言われ、前回と同様3番の熊獣人を選ぶ。そして、再度選ばれ上機嫌な熊獣人に案内され、軽いマッサージも併せて銭湯で寛ぐのだった。

「それではこちらが館内着になります」

 グラビティボアが銭湯から出た後、熊獣人が取り出したのはピンクのマンキニであった。やはりサイズは小さく、目の前にぶら下げると肩から腹下程までの長さしかない。

 前回はこんな変態的な衣装は着れないと断っていたのだが……。

「ワシはこういった下着は……ッ♡」

 そこまで言うと、グラビティボアの脳裏にマンキニの食いこみ、そしてマンキニポーズを行いながらの射精の快感がフラッシュバックした。

 生唾を飲み込み、その変態的な衣装に視線が吸い寄せられてしまう。

「前回着た時は心地良かったでしょう? これも全てお客様の健康の為ですから♡ ほら、足を上げて♡」

 グラビティボアは悩んだが、熊男衆に急かされ目先の快楽に屈してしまう。

 熊男衆がマンキニを持って広げるので、丸太のように太い足を持ち上げて中に通す。熊獣人はグラビティボアが両足を通したのを確認すると、グイッ♡ と肩までマンキニを引き上げた。

「お゛ウッ♡」

 熊男衆の手によってマンキニを食い込ませられ、グラビティボアはゾクゾクと身体を震わせる。下腹部刻まれた紋様が強く輝き、それに合わせてちんぽはムクムクと大きくなりマンキニを持ち上げていった。

 限界までマンキニを引き上げた熊獣人が手を離すと、ゴムが縮みバチンッ♡ という破裂音と共にマンキニが肩に密着する。

(ま、またこんな不埒な格好を……♡ それも他人の手でさせられてしまった……♡)

 グラビティボアがマンキニの食い込み、変態衣装を着る背徳感に酔いしれていると、後ろに立った熊男衆がおもむろにグラビティボアの下腹部を撫でた。

「くお゛ぉッ♡」

「今のお客様、とってもエロいですよ♡ 堅物で真面目そうなのに……ただの変態にしか見えません♡」

「わ、ワシが……変態……♡」

 熊男衆に言われた言葉は今まで愚直に生きてきたグラビティボアとは一切無縁の言葉。そしてつい最近、豚のヴィランの事をそう形容し、嫌悪感を抱いていたはずの言葉だった。

「そうですよ♡ こんなに立派な雄なのに、マンキニ履いてちんぽも陰毛も丸見え♡ 皆から恥ずかしい所を見られているのに勃起してるなんて、変態以外の何だって言うんですか?♡」

「は、あ゛……ッ♡ 違う、ワシは……ッ♡」

 しかし、変態と罵られて興奮してしまっている事にグラビティボアは気付いてしまう。

 周りにマンキニ姿の自分を見られている。それを意識するだけで、ちんぽはどんどん怒張していきマンキニを押し上げてしまう。

「ここは脱衣所ですから、続きは個室でたっぷり楽しみましょうね♡」

*****

 マッサージ用の個室へと案内されたグラビティボアはベッドの上で仰向けになっていた。

「お客様、今日はとても元気ですね♡」

「言わないでくれ……ッ♡」

 しかし前と違うのはマッサージを始める前から勃起しマンキニに染みを作っている事。熊男衆に指摘されたグラビティボアは眉間に恥ずかしそうに目を瞑り、片腕で顔を覆った。

「それではマッサージを始めますね」

 前回と同じ、マッサージと疑わしい焦らすような手付きで、熊男衆の手がグラビティボアの胸を這う。

「くお゛ッ♡ ……ッ♡♡」

 熊男衆の指の腹が乳首を掠める度に、グラビティボアの肉厚な身体が跳ねる。それに合わせてちんぽもビクビクと跳ね、押し上げたマンキニに先走りを作り出していた。

「ふふ、気持ち良いですか? そのまま力を抜いてくださいね♡」

「はあ゛……ッ♡ あ゛ッ♡」

 コリコリと乳首を捏ね回しながら、マンキニを押し上げる仮性包茎チンポを掴む。皮を使ってシコシコと上下に扱きあげていると、グラビティボアの両足が徐々に開脚していった。

「お客様、どうしましたか?」

「な、何だ……♡」

 浅く呼吸を繰り返すグラビティボアは自分の行動に気づいていない様子だった。熊男衆はニヤリと笑みを浮かべると、今度は力強く乳首を抓り上げ、ちんぽを扱く速度を速めた。

「うお゛ォ……ッ♡ 待てッ♡ は……ッ♡♡」

 たまらずグラビティボアは顔を仰け反らせ情けない声を上げる。激しくベッドのシーツが擦れる音が室内に響いた。見れば、グラビティボアの丸太のような両足は大きく左右に開かれたガニ股に──まるでマンキニポーズを行うときのような体勢になっていた。

「お客様、自分がどんなポーズをしているのか気付いていないのですか?」

「なッ♡ これは……♡♡」

 ようやく気が付いたのか、グラビティボア自分のとった行動に酷く動揺した。しかし熊男衆はマスクの下の笑みを絶やさないままその猪耳に顔を近づけて囁く。

「マンキニポーズ、気持ち良かったのでしょう? どうですか♡ また一緒にマンキニポーズをとりませんか♡」

「……ッ♡」

 熊男衆の囁きに呼応し、グラビティボアの胸の内に邪な感情が浮かび上がってくる。

(またあのポーズを鏡の前で……♡♡)

 肉付いた大きな腹と胸に食い込むマンキニ。両足を開き、股座を、竿の根本も陰毛も全ておおっ広げに晒す間抜けなポーズ。

 しかし、それを想像したグラビティボアのちんぽは期待でビンビンに勃起してしまっていた。

「さあ、お客様♡ 本日も一緒に無様になりましょう♡♡」

 立ち上がり鏡の前に移動することを促す熊男衆に逆らえず、そのまま隣に並んでしまう。

 両足を大きく開き、正面の鏡に股座を見せつける。誰もが憧れ敬うベテランヒーローに相応しくない間抜けなマンキニ姿にポーズ。しかし、そんな醜態を晒す自身の姿を見てグラビティボアの鼓動は高まってしまう。

「フッ♡ フッ♡」

 呼吸が荒くなり、ちんぽが今にも射精してしまいそうに脈打つ。股のラインに添って両腕を下ろす。限界まで怒張するちんぽを押さえつけるマンキニが気持ち良い。そしてそのまま──。

「マンキニッッ♡♡♡ お゛ほぉお゛ォッ!?♡♡♡」

 びゅるるッ♡ びゅッ♡ びゅるるるるるッ♡ びゅッ♡♡

 マンキニの掛け声と共に勢い良く両腕を引き上げたその瞬間。一度マンキニポーズをとっただけだというのに、グラビティボアはその場でたちまち射精してしまった。

「マンキニッ♡ マンキニ効くゥッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニイイインッッ♡♡」

 前回と同様、一度マンキニポーズを取り始めてしまえばもう止まらない。射精を続けながらも、ビシビシと無様に、間抜けにマンキニポーズをとり続けていく。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

 義務的に行う自慰行為よりも何十倍も快感。それが健漢の湯で疲れを解されリラックスした頭に、身体に深く刷り込まれていく。堅物なグラビティボアでも決して抗えない──抗ってはならない物として魂に刻まれていく。

 結局、この日はそのままマンキニポーズをとり続け、年甲斐もなく複数回にも及ぶ射精を繰り返したのであった。

*****

 一度きりのマンキニポーズで即射精して以来──その射精が自宅で何度も行う自慰よりも何十倍も気持ちが良いと分からされて以来、グラビティボアは習慣的にこの健漢の湯に通うようになってしまっていた。

 そして、いつしかすっかり変態無様プレイにもハマり、今まで嫌っていた不埒な行為や同時に同性の逞しい雄との行為にも抵抗がなくなってしまっていた。

「お゛ほ……ッ♡ やはりこの格好の解放感はたまらんな♡」

 いつも通りに健漢の湯を訪れ、入浴と食事を終えたグラビティボアと熊男衆の二人は個室へと移動していた。

 すっかり慣れてしまった全裸でのマンキニ着用。グラビティボアは胸と腹に食い込んで張ったピンクのマンキニを指で弾きながら恍惚な笑みを浮かべた。

「そうでしょう♡ いやあ、お客様にお勧めした甲斐がありました♡」

 熊男衆が満足そうに口を開くと、グラビティボアに向かい合ってガニ股になった。グラビティボアもニヤリとスケベな男臭い笑みを浮かべると、熊男衆に習ってガニ股になる。

 マンキニに抑えつけられた互いのちんぽがピクリ♡ と跳ねた。ガニ股のまま間抜けににじり寄っていき、マンキニ越しにちんぽとちんぽが密着するまで近寄った。

「お゛ほッ♡」

「お゛ッ♡」

 どちらも大きい腹をしている為、自然と腹同士もムチッ♡ と密着してしまう形になる。厭らしい腰付きで円を描くように腹を、ちんぽ同士を擦り合わせ互いの肉感を堪能した後、二人はV字になるよう股に腕を添えた。そして──。

「「マンキニッ♡♡」」

 同時にマンキニポーズをとり、互いのちんぽをマンキニ越しに強く押し付け合った。

「ぐお゛ぉッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

「ッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

 興奮して火照った二体の雄の肉体が熱を発し、部屋の中を熱気で満たしていく。

 グラビティボアのマンキニポーズは熊男衆ほど洗練されてはいないものの、シュッ♡ シュッ♡ シュッ♡ と素早くポーズを取り続けており、その姿はかなり様になるようになってしまっていた。

「ヌオ゛オ……ッ♡ 雄同士でのマンキニ雄相撲たまらんッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

 肉付いた腹同士が、ちんぽ同士がぶつかり合い汗が飛び散る。

 見れば、グラビティボアの体型にも微かに変化が現れていた。

 原因は健漢の湯の食堂の飯。最初は一度限りだからとたらふく食べていたが、結局来る度に全く同じ大人の大盛り三人前程の量を食べ続けていた。そのせいか、筋肉はほとんど見えなくなり、手足や胸、腹がより一層ムッチリと肉付き、どっしりとした重量感と貫禄を感じさせていた。

「ふほッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

(こんな姿♡ アイツには……ドラグニル司令には絶対に見せられんッ♡)

 グラビティボアの脳裏に後輩の牛獣人ヒーローグランドオックス、そして龍獣人のドラグニル司令の姿が過ぎる。

(しかし……ッ♡ こんな無様で間抜けな……ッ♡ 不埒な事を行っているのだと自覚すると、ちんぽが気持ち良くてたまらんッ♡♡)

 己を慕う弟子と友の姿と共に浮かび上ってくる背徳感。しかし、それはもはやグラビティボアの興奮の為のスパイスでしかなかった。「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」と渋く男らしい声で間抜けな掛け声を発しながら、マンキニ越しのちんぽをガチガチに勃起させていく。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ むオ゛ぉッ♡♡ イ゛クッ♡♡ イクぞッ♡♡ 間抜けなマンキニ姿でッ♡ 変態マンキニ雄相撲しながらイ゛グゥッ♡♡」

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ 私もイきますッ♡ お客様のエロい変態マンキニ姿見ながらマンキニポーズでイ゛グッ♡♡」

 勃起でマンキニを持ち上げたせいで横側から丸見えになった陰毛、そして玉袋からむわむわと熱気と雄の匂いが立ち登っていく。

 パンパンになった玉袋がキュウウ……ッ♡ と持ち上がり射精の準備を始める。性欲が強まり大量に生産、貯蓄されていた濃厚ザーメンが押し出され、太々しい肉竿をせり上がり亀頭の先端へと向かっていく。そして──。

「「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニイイイイインッッ♡♡♡」」

 グラビティボアと熊男衆が達するのは同時であった。

 ビュウウウウウウッッッ♡♡♡ びゅッ♡ びゅるるッ♡♡ びゅるるるるッッ♡♡ と、大量に噴き出した精液がマンキニを貫通し、互いの股座を、大きな腹を白く汚していく。

「ほひッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

 射精を続けながらもマンキニポーズを止めることは無い。ビシッ♡ ビシッ♡ ビシッ♡ とポーズをとる度に断続的に噴き出る精液の勢いが増し、いつしか床に精液だまりを作っていた。

「ふは……ッ♡ お゛ォ……♡」

「お客様、たくさんお出しになられましたね♡」

 ガニ股の姿勢を維持し、グラビティボアはしばらく余韻に浸る。すると、熊男衆がその場にしゃがみ込みグラビティボアの竿に手を掛けた。そしてそのまま亀頭を覆っていたマンキニを横にずらすと、、精液に濡れた亀頭に舌を這わせ始めた。

「うお゛……ッ♡」

 熊男衆の分厚い舌が急所を這い回る感触にグラビティボアは身体を震わせる。

 そして、口で浅く呼吸を繰り返しながら至福そうに精液を舐め取る熊男衆の姿を見て、グラビティボアの中に一つの疑問が浮かび上がった。

「精液など口に含んだ事はないが……不味くないのか?」

「猪重さんのものと思うと美味しく感じますよ♡」

 マスク越しにもわかる妖艶な笑みを浮かべた熊男衆の言葉に、グラビティボアは鼓動が高鳴るのを感じた。

 浅く呼吸を繰り返しながら、己の太竿に舌を這わせる熊男衆に対して言葉を投げる。

「……ワシも礼に、同じ事を君にしてもいいか?♡」

「! い、いえ、お客様にさせるような事では……」

 グラビティボアの言葉に熊男衆は一度驚いたような反応を示した。

 しかし、好色な笑みを浮かべるグラビティボアに気付くと、途中で言葉を止めた。

「わかりました♡ それでは横になってください♡」

 熊男衆がマットレスを敷いたので、グラビティボアは言われた通り横になる。

 一度マンキニ射精を行ったはずのグラビティボアのちんぽは、未だに期待と興奮で臨戦態勢のままだ。

 熊男衆は四つん這いになり、顔と足の向きがグラビティボアとは逆さになるように覆い被さった。所謂69の体勢だ。

 グラビティボアの眼前に迫るマンキニを履いた熊男衆の股間。その光景と熱気、雄の匂いにゴクリと喉を鳴らした。

「……それではいくぞ♡」

 まずはマンキニに抑えつけられながらも零れてしまいそうな程に大きい玉袋に舌を伸ばす。

 竿の先から玉袋まで滴った熊男衆の精液。一瞬の躊躇の後、グラビティボアは舌でそれを舐めとった。

「はっ♡ フッ……♡」

 

 初めて味わう男の精液と汗、そして玉袋の味。普通であれば拷問に近いであろうその行為も、今のグラビティボアにとっては興奮の材料でしかなかった。

(これが男の……♡ この熊男衆の味♡)

 大きな口で玉袋を頬張り、目を細めながら鼻から息を吸う。猪鼻から脳にかけて突き抜ける濃密な雄臭に、マンキニを押し上げたちんぽはバキバキに硬くなってしまっていた。

「ぐおッ!?♡」

 濃厚な雄の臭いと味を享受していると、おもむろにグラビティボアの膨張したちんぽが咥えられた。直接的な刺激にグラビティボアは声を上げてしまうが、負けじと熊男衆のちんぽを咥え返す。

「ふッ♡ じゅぷッ♡ んぐッ♡」

「ン゛ン……ッ♡ ぐッ♡♡」

 熊男衆の雄の臭い、味に嗅覚と味覚が支配されていく。

「ぐお゛ぉ……ッ♡ イグッ♡ イクぞッ♡♡」

 グラビティボアに限界が訪れ、その巨体がブルルッ♡ と震えた。

 熊男衆の太ももをがっちりと掴むと、喉の奥を突く勢いで腰を打ち付ける。雄にちんぽをしゃぶられる興奮、雄のちんぽをしゃぶる興奮の中、グラビティボアは熊男衆の口内に精液を注ぎ込んだ。

「ごッ♡ ……ッ♡ 俺もッ♡ 俺もイきますッ♡♡」

「んぐぉッ♡」

 熊男衆のちんぽからも精液が放出され、濃厚な精液の香りにグラビティボアの射精の勢いが強まる。

「ゴクッ♡ んぶッ♡ ……ッ♡」

「じゅるッ♡ じゅッ♡ ご……ッ♡♡」

 グラビティボアの精液を注ぎ込めば注ぎ込むほど、熊男衆もまた興奮するのか精液の出が強まる。粘ついた白濁液を一生懸命嚥下しながら、グラビティボアは人生で初めて行う飲精の快楽に身を委ねていた。

(なんという濃厚な味、そして臭いだ……♡ ワシは……♡♡)

 ドクッ♡ ドクッ♡ ドクッ♡ と熊男衆の口内に注ぎ込む精液、熊男衆に注ぎ込まれる精液の勢いは留まることを知らない。

 二人はマンキニを履いた肉厚な身体をスリスリと擦り合わせながら淫らに絡み合わせる。

「ごくッ♡ んぐッ♡ ん゛ん……ッ♡」

「ふッ♡ じゅぷッ♡ ご……ッ♡♡」

 そして、互いの精液を交換するかのように射精と飲精を繰り返し続けるのだった。

*****

「お客さんも随分この健漢の湯のシステムに慣れてきた頃合でしょう」

 長いシックスナインでの射精が終わり、受付で会計を済ませた後の事だった。

 虎番頭はいつものように男臭い笑みを浮かべながら、満足気な表情を浮かべるグラビティボアに声を掛けた。

「モノは提案なんですが……奉仕する事に抵抗がないのでしたら、男衆として働いてみませんかな?」

「……は、働く? ワシが?」

 虎番頭の予想外の言葉にグラビティボアは驚いて聞き返した。聞き間違いだと思ったのだが、虎番頭は表情を変えず笑顔のまま「そうです」と言ってみせるのだった。

「……ううむ」

 流石に少しおかしな状況になってきたとグラビティボアは唸る。

 そして、何故虎番頭はグラビティボアが奉仕をする事に抵抗がなくなったと知っているのだろうか。

 当初この健漢の湯を訪れた時に感じた違和感。それがまた浮上するが、それと同時に下腹部の紋様が光り抑制されてしまう。

「どうでしょう。聞くだけならタダですので、男衆の候補として規則を聞いていきませんかな?」

「……うむ、わかった」

 虎番頭にそう言わると、不思議とすんなり受け入れてしまう。

 そして、グラビティボアはそのまま虎番頭に男衆としての規約や立ち振る舞いを大人しく聞き続けた。

 お客様は神様であり、男衆はその肉体全てを使って誠心誠意癒さなければならない。お客様の喜びは男衆の喜び。そして、お客様の喜びの為にはどんなにスケベでエロい奉仕でも喜んで行うというモノだ。

 勿論、契約するなら虎番頭との関係も変わる。虎番頭に雇われ管理される立場である男衆になるということは、決して逆らってはいけない絶対の主人として虎番頭を敬い、その所有物として仕えなければならないのだという事。主人となった虎番頭の位は、神様であるお客様より上に位置するのだという事。

「とまあ、こんな感じです。お客さんも男衆の衣装は見た事あるでしょう。衣装は私が何種類かある内から選ぶんですが、マスクは全てこの覆面マスクで統一されてます。試しに被ってみませんかな?」

「いや、しかしワシは……」

 正装の覆面マスクを受け取りグラビティボアは口ごもった。

(男衆の規約におかしな点はなかったが、ワシにはヒーローとして市民の平和を守る使命がある。後続のヒーロー達も育てていかねばならんし、ここで働いている時間はないんだがな)

 説明の途中、グラビティボアの下腹部の紋様は常に光り続けていた。

 淫紋の効果のせいか、契約後は虎番頭に絶対服従という仰仰しい規約にも違和感を持てないようにされており、最早グラビティボアが嫌っていた不埒な行為への抵抗はすっかり消え去ってしまっている。

「ささ、物は試しに♡」

 虎番頭に促されるとどうにも逆らえない。グラビティボアはマスクを顔の上に持ち上げ、頭部に被せ始めた。

 瞬間、長年の戦いを経て培ったベテランヒーローとしての勘が警笛を鳴らした。妙な胸騒ぎがする、とマスクを被ろうとする手の動きを止める。しかし。

「どれ、では私が手伝って差し上げましょう♡」

 虎番頭の無骨な両腕が伸びた。グラビティボアの両手に両手を重ね、そのまま下に引きずり落とす。

 マスクの形がグラビティボアの肉厚な猪頭の形に伸び、マスクの空いた穴からグラビティボアの大きな鼻と牙が突き出る。その瞬間。

「む、ぐお゛ォッ!?♡♡」

 グラビティボアの脳内に大量の『イメージ』が流れ込んできた。

 雄同士で行う変態行為の気持ち良さ、素晴らしさ。逞しい雄の身体はとても魅力的であり、グラビティボア自身の肉体が数多の雄の目を引くドスケベボディであること。

 それに合わせ、肉体の何処を触れば気持ち良いのか、何をすれば気持ち良くなれるのかといった雄の本能剥き出しなスケベな思考が頭の中を満たしていく。

 マスクが行っているのは強引な価値観の書き換え。通常のグラビティボアであれば、豚ヴィランの時のように強靭な精神で跳ね返す事だろう。

 しかし、少しづつ時間をかけて堕落させられたグラビティボアの精神が、マスクから流れ込んでくるイメージの強烈さに屈し飲み込まれていってしまう。

「お゛ッ♡ オ゛ォ……ッ♡♡」

 男衆の正装として支給される衣装は、着用者の身体が、虎番頭の望むエロい体型に少しずつ変わっていく特殊な衣装だという情報が流れ込む。

 グラビティボアは支給された男衆の正装──黒のマンキニを履き込んだ己の姿を想像する。

 突き出た腹と胸を締め上げ、そのデカ尻に食い込むヒーロースウツと同色のマンキニ。

 履き続けることで日に日に変わっていく己の肉体。

 マンキニを留める程に肥大化した乳首。胸が肉付き大きくなった乳輪。性欲が増加すると同時に肥大化したデカ玉に、それに伴ってガニ股が標準になってしまった下半身。マンキニを押し上げる仮性包茎のまま巨根になったちんぽ。お客様である雄、同僚、主人である虎番頭を満足させる為の名器となった締め付けバッチリの欲しがりクパクパアナル。

「お゛ぉ♡ ほ……ッ♡」

 そして、虎番頭が如何に主人として敬い仕えるのに相応しい人物なのだという事。

 その太い指で身体を弄られれば、淫らに喘ぎ声を上げながらその指の動きにしか意識がいかなくなってしまう事。その立派な雄竿で尻を撫でられれば、たちまち尻穴が挿入の準備を終え一突きされるだけでメスイキしてしまうのだと。

「……ぐふッ♡」

 

 お客様に、虎番頭に仕える男衆となり、ドスケベな正装に身を包む己を想像する。そして正装の効力で今の自分よりも更に雄臭い、ドスケベフェロモンを振りまくようになった己の肉体を妄想したグラビティボアは、堅物真面目な本来の彼らしからぬ下品な笑い声を上げた。

 スラックスにテントが張り、ビクッ♡ ビクッ♡ と脈打つ。舌がだらしなく垂れ、いやらしい手付きでドスケベだと気付かされた己の胸を、腹を自分の手で撫で回す。

「さて、お客さん。意見は決まりましたかな?」

 虎番頭は不敵に笑うと、再度グラビティボアに問い直した。

 自然とガニ股になったグラビティボアは、スラックスを履いた腰をズイ♡ と突き出すと口の端を吊り上げて下品な笑みを浮かべた。

「うむ♡ 了解した♡ 是非ここで男衆として働かせてくれ♡」

 最早ヒーロー活動に支障を来たす事を気に掛けるヒーローグラビティボアはいない。それは誰もが尊敬するベテランヒーローが堕落する瞬間であった。

*****

 それからグラビティボアは健漢の湯の男衆として働く事になった。

「これがワシの正装……♡ やはりマンキニはたまらんな♡」

 場所は更衣室。目の前の姿見には、肉厚な身体に黒のマンキニを食い込ませ、仁王立ちする壮年の猪獣人の姿が映っていた。首からぶら下げているタグには男衆の一員の証である8の数字が刻まれている。

「さて、次はこれか♡」

 手に持ったのはマズルと目元のみが露出するように作られた黒の全頭マスク。それを頭の上へと持っていくと、そのまま一気に引き下ろした。

「ふ、う゛ぅ……♡」

 顔が黒い布地に覆われる感触に熱の籠もった吐息を漏らす。目の前の姿見には肉厚な身体に黒のマンキニを食い込ませ、仁王立ちする覆面姿の壮年の猪獣人が映っていた。

 その姿は初めてこの健漢の湯を訪れた時に見た、受付で並ぶガタイの良い男衆達と何ら変わりない。自身も雄に奉仕する男衆になったのだと自覚すると、興奮したグラビティボアは勃起したちんぽで黒のマンキニを押し上げた。そしてたまらずその場でガニ股になると、股のV字ラインに手を添え──。

「マンキニッ♡♡ マンキニッ♡♡ マンキニッ♡♡ お゛ほォッ♡♡」

 その場でマンキニポーズを行ったグラビティボアは、マスク越しにもわかる変態的な笑みを浮かべた。マンキニポーズをとる反動でちんぽがブルンブルンと震え、黒のマンキニに染みを作る。

「正装マンキニ食い込むゥッ♡ これでワシも今日から健漢の湯の男衆というわけか♡」

 鏡に映る己の姿を眺めながら、グラビティボアは舌舐めずりをした。

 健漢の湯の男衆と言っても、グラビティボアはまだ見習い。すぐ客の前に出ることはないのだが、先輩から教わるであろう男衆としての技術や規則、そしていずれ訪れるお客様と主人への奉仕への期待にグラビティボアはちんぽを硬くさせた。

「さて、皆が待っている。早く向かわねばな♡」

 そして、マンキニに抑えつけられたデカ玉をユサユサと揺らしながら、更衣室の出口の扉を開けるのだった。

*****

 グラビティボアを出迎えたのはセントバーナードの男衆と象の男衆、そして慣れ親しんだ熊男衆であった。それぞれ順番に1、2、3の数字が刻まれたタグを首にぶら下げており、セントバーナード男衆は青のハイレグ、象男衆は赤のレオタードに兎耳を身に付けている。

「ここで働く事になった8番だ。これからよろしく頼む」

「話には聞いていたんですが本当に男衆になったんですね! お客様……いえ、8番さんと一緒に働けるなんて、オレは感激ですよ♡」

 グラビティボアが挨拶をすると、ピンクマンキニ黒マスク姿の熊男衆が駆け寄る。そしてその無骨な両手で嬉しそうにしながらグラビティボアの手を握った。

「ワシも君と働ける事を光栄に思うよ」

「そんな、恥ずかしいですよ……。でも、お客様として接することはできなくなりましたけど、これからはプライベートでエロい事し放題ですね♡」

 熊男衆がマスク越しに好色な笑みを浮かべる。対するグラビティボアも、普段の口を真一文字に結んだ仏頂面とは打って変わり、スケベさを隠さない厭らしい笑みを浮かべるのだった。

「うむ、そうだな♡ これも全てご主人様のお陰だ♡ 契約してワシを男衆にしてくれたご主人様には感謝しなければな♡♡」

 そう言いながら、マンキニを押し上げるちんぽをピクッ♡ ピクッ♡ と動かして変態的に喜びをアピールする。すっかり変態ホモに染まってしまった姿を満足気に見た熊男衆は、両手をグラビティボアの手から離しその両乳首に持っていった。

「お゛ぉうッ♡」

「早速ですが、同じ男衆として覚えなければならない事を8番に教えましょう♡ 準備はできていますね?」

「う、うむ♡ 準備万端だ♡」

 すっかり勃ち上がった乳首を指の腹でコリコリと弄られながら、吐息混じりにグラビティボアは答える。

「男衆にとってお客様は奉仕する相手であり神様です。お客様にご満足いただけないようでは男衆失格。8番さんも俺を真似て俺の乳首を弄ってみてください♡」

「わかった……ッ♡ こうか……ッ♡♡」

 フン♡ フン♡ と鼻息を荒げながら熊男衆の両乳首に手を伸ばす。長年悪を討ち、鍛え続けてきた角張った太い指が熊男衆の突起に触れる。そして、壊れ物を扱うかのように摘むと、優しく擦り始めた。

「フッ♡ フッ♡ いいですよ……♡ このままちんぽ同士も擦り合わせちゃいましょうか♡」

「ウオ゛ォ……ッ♡♡」

 乳首を弄られながらちんぽを押し付けられ、グラビティボアは腰砕けになってしまいそうになる。しかしそんな事ではまともな奉仕はできず男衆失格。己を律し足腰に力を入れると、負けじと力強く腰を振りちんぽを押し付け返す。

「ハッ♡ ふッ♡ いいですよっ♡ とても男らしくて変態的です♡ そのままキスもいってしまいましょうか♡」

「き、キス……ッ♡」

「そうです♡ お客様の中にはそういったスキンシップをお求めになる方もいらっしゃいますから♡ どんなサービスにも対応できるようになって初めて男衆として認められるんです♡」

 そう言いながら、熊男衆の顔がグラビティボアに近づいていく。浅く行う呼吸が互いの顔にかかる。

 人生で初めての男同士のキス。以前まで、グラビティボアにそんなものを行う趣味はなかった。しかし、今はドクン♡ ドクン♡ と胸が高鳴りこの男らしい熊男衆とのキスを切望してしまっている。

 二人のむさ苦しい雄の顔同士がゆっくりと近づいていく。猪鼻と熊の鼻がピトッ♡ と触れた。そして。

「ちゅ……ッ♡」

「ん……ッ♡」

 唇同士の触れ合う軽いキス。マスク越しに目が合うと、熊男衆は口を開き舌を出してきた。

「……ッ♡」

 グラビティボアの逞しい牙の間から分厚い舌が伸び、互いの舌が触れる。

「ちゅッ♡ はッ♡ れろッ♡」

「じゅッ♡ フッ♡ ……ッ♡♡」

 分厚い舌同士が絡み合い、再び唇が交差する。

(とうとう男と……♡ 3番とキスをしてしまった♡♡ 熱い……ッ♡ 気持ち良い……♡♡)

 ビクッ♡ ビクッ♡ と互いの肉厚な身体が痙攣する。マンキニ腰にちんぽを擦り付け合う快感が、乳首を弄り合う快感が二人の興奮を高めていく。

「ッ♡ ちゅッ♡ ハッ♡」

「れろッ♡ フッ♡ はあ゛……ッ♡」

 舌同士が触れ合うキスは、いつしか互いを貪り求め合う雄の本能むき出しのベロチューへと変わっていた。グラビティボアの雄々しい牙と熊男衆の牙が触れカチカチと音が鳴る。

 互いの唾液を交換し合い、嚥下する。腰の振り方もどっしりと重量感のある男らしい物へと変わり、互いに目の前の相手を孕ませようとしているかのような熱量を感じさせた。

「ぢゅッ♡ ハァッ♡ ちゅっ♡」

「んン゛……ッ♡♡ れろ♡ はッ♡♡」

 鼻と口で荒々しく呼吸を行い、互いの吐息を交換し合う。

 相手を征服せしめんと唾液を流し込み、少しづつ腰を振る速度が早くなっていく。ギュウウ♡ と乳首を摘む指の力が強くなり、鼻息も荒くなっていく。そして。

「んぐ……ッ♡ はッ♡ ひぐッ♡ イグッ♡♡ お゛……ッ♡♡」

 先にグラビティボアに限界が訪れた。

 ビクンッ♡ と大きく身体を震わせると、舌を伸ばしたまま動きが固まる。そして眉間に皺を寄せながら、マンキニに抑えつけられたちんぽを激しく脈打たせた。

「ぐおッ♡ ~~~ッ♡♡」

 しかしその鈴口から精液が放たれる事はない。何故なら男衆として契約した者は、奉仕相手──この場合は健漢の湯の客と虎番頭を指す──が満足して射精しない限り、射精する事を禁じられている為だ。

「おや、イってしまいましたか? ご主人様に射精管理されているといえど、先にイッてしまっては男衆失格ですよ♡」

 グラビティボアの腹部で淫紋が怪しく輝く。既にグラビティボアの鍛え上げられたヒーローとしての肉体は、その殆どが虎番頭の支配下にあった。

「す、すまん……♡ 君とのキスが気持ち良くて、堪えきれなかった……♡」

 グラビティボアの言葉に、熊男衆が満足気に笑みを浮かべる。すると、その様子を見ていたセントバーナード獣人と象獣人の二人も間に入ってきた。

「どれ、儂も手伝ってやろう♡」

「お客様の前に出ても恥ずかしくない、立派な男衆にしてやらんとな♡」

 息を荒らげるグラビティボアは二人の力で仰向けに寝かされ、その丸太のような両足を左右に広げさせられた。

 熊男衆とのべろちゅー、そして空イキの余韻に浸っていたグラビティボアの眼前に、ズイ♡ と野太いズル剥けちんぽが差し出される。

「さて、コイツをしゃぶってもらおうか♡」

 視界の殆どを埋めるちんぽの向こう側。己を厭らしい目付きて見下ろす象獣人の姿がグラビティボアの目に入った。グラビティボアは大きな牙を生やした口の端をと吊り上げスケベな笑みを浮かべると、その太竿に舌を這わせ始めた。

「それでは、俺は8番さんの処女を頂いちゃいますね♡」

 熊男衆がグラビティボアの尻臀をがっしりと掴んで左右に広げる。老いよって、そして淫紋によってより肉付いたそのデカ尻はふてぶてしく存在感をアピールしている。尻臀を広げられ露出した尻穴は、外気に晒され物欲しそうにヒクついていた。

 熊男衆はもう待ち切れないといった風に素早くマンキニを横にずらすと、ビンビンに勃起したちんぽをグラビティボアの尻穴にあてがった。

「ぐお゛……ッ♡♡」

 冷たい外気とは違う熱にグラビティボアは身を捩り、そのせいで口での奉仕が止まってしまう。

「奉仕を途中でやめちゃあ駄目じゃねえか♡」

 しかし、象男衆は僅かな休憩すら許さず、グラビティボアの口内にその巨根を突っ込んだ。

「ごお゛ッッ♡♡」

 雄のちんぽを突っ込まれる興奮か、熊男衆のちんぽに尻穴を擦られる興奮か。グラビティボアのちんぽはマンキニをこれ以上なく押し上げドクッ♡ ドクッ♡ と激しく脈打っていた。

「ん゛ん゛ん゛ぐッッ!?♡♡」

 ビクビクと震えるグラビティボアのちんぽに激しい快感が走る。見れば、壮年のセントバーナードがその白い獣毛に覆われた手でグラビティボアのちんぽを掴んでいた。

「堪え性のないちんぽも躾けてやらんとな♡ どれ、俺が扱いてやろう♡」

 左手でマンキニ越しに亀頭を擦られながら、右手で雁首の付近を重点的に扱き上げられる。たまらなくなったグラビティボアは口を象男衆の太竿で塞がれながらもくぐもった低い呻き声を上げた。

「8番さん、俺も挿入れますよ♡♡」

 グラビティボアの両足が掴まれ、熊男衆の尻に力が入る。淫紋と男衆の正装の力によって既に名器へと変貌を始めていた尻穴は、簡単に熊男衆の大きな亀頭を飲み込んだ。そして。

「ぐごッ♡♡ お゛お゛お゛お゛ッッ!?♡♡♡」

 熊男衆がその太竿でズンッ♡♡ と勢い良くグラビティボアの奥を突くと、その肉厚な身体が大きく揺れた。熊男衆の両手に掴まれた野太い足はビクッ♡ ビクッ♡ と快楽で激しく痙攣しており、しっかりと掴んでいないと手から逃れ出てしまいそうだ。

 下腹部の淫紋は強く輝き、普通であれば行われていたであろうグラビティボアの大量射精を抑制し、元堅物ヒーローの仮性包茎ちんぽを空イキの快感で空しく脈打たせていた。

「おごッ♡ ほ……ッ♡♡」

「お゛~~~~ッ♡ 締まる……ッ♡♡ スゲェ…♡♡ 8番さんのケツマンコたまんねえ♡♡」

 根本までグラビティボアの尻穴にちんぽを埋め、その先端で前立腺をゴリゴリと抉りながら熊男衆は余韻に浸る。そして、しばらくするとそのトロンとした瞳は獲物を征服する雄の物へと変わり、勢い良く腰をグラビティボアに打ち付け始めた。

「ぐごッ♡ ごッ♡ お゛ッ♡♡」

「ああ……♡ 気持ち良いですよ8番さん♡ キュウキュウ締め付けてくんのにトロトロで……♡♡ これが堅物で処女のおっさんのケツマンコだなんて信じられないです♡♡」

 パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡ と肉同士がぶつかり合う淫靡な破裂音が待機所に響き渡る。その度に熊男衆の太竿はグラビティボアの前立腺を抉り、仮初の絶頂へ導いていく。

 その間も象男衆とセントバーナード男衆の責めは止まらない。象男衆は喉の奥までその巨根を出し入れしながら、グラビティボアの頭部を鷲掴みにしその快楽を貪る。

 セントバーナード男衆は空イキを続けているであろうグラビティボアの仮性包茎ちんぽを扱きながら、マンキニ越しに染み出す先走りを美味しそうに舐め取っていた。

「ひぐッ♡ はがひぐッ♡♡ ご────ッ♡♡♡」

 ビクンッ♡♡ と大きくグラビティボアの巨体が跳ねる。口を、竿を、尻穴を同時で責め立てられるなど、浮ついた事を嫌っていたグラビティボアには一切無縁の経験だ。

 その激しい快楽は屈強な精神と肉体を持っていると言えど、とうにグラビティボアの許容量を越えていた。それにより何度も意識を飛ばしそうになっていたが、その度に同じ激しい快楽によって意識を呼び戻されてしまう。

「ひぐッ♡♡ ひぐゥう゛ゥッッ♡♡♡」

 淫紋が強く輝き、何度も何度もグラビティボアの射精を封じる。

 余裕もなくくぐもった喘ぎ声を上げ、無様に両手両足を開きながら悶える姿に、市民達、後輩達に慕われ敬われるベテランヒーローとしての貫禄は残っていない。

 淫紋の力、正装マンキニの力、そして男衆三人の『指導』により──グラビティボアの肉体は、精神はより男衆として相応しいものへと変えられていくのだった。

*****

 

(今日戦ったヴィランは骨が折れた──。俺もまだまだだ。師匠に追いつく為にもっと頑張らねえとな)

 中年の牛獣人──ヒーローグランドオックスは、いつも通りのワイシャツ姿で帰路に就いていた。

 グランドオックスはグラビティボアの弟子であった。と言っても、ヒーローとしての実力は上から数えて五つ指に入るほどのベテランヒーローだ。

 しかし、規格外の能力を持つグラビティボア程には実力が及んでいないのは事実。ベテランヒーローとして慕われながらも、グランドオックスは日々精進を続けていた。

 膨れ上がった両腕の筋肉はワイシャツの布地をパンパンに張り詰めさせており、同じく筋肉のついた太もももスラックスを押し上げている。種族柄か、流石にもう歳なのか腹は少々出てしまっているが、グラビティボア程の太鼓腹ではない。その肉体には、悪を怯ませるには十分な威圧感があった。

(……む)

 ふと、グランドオックスの視界の端にある看板が目に留まる。そこには大きな字で健漢の湯と書かれており、その建物の雰囲気から所謂健康ランドだと見て取れた。

(健康ランド……そういえば師匠も最近通っていると言っていたか。もしかしてここなのか?)

 興味が湧いたグランドオックスは入口の扉を開き、暖簾を潜って中に入った。

(む?)

 その瞬間、ピリッ、と頭の片隅が痺れるような感覚に襲われた。少しの違和感。しかしそれは一瞬の間を置いて、違和感を覚えた事自体が記憶から消えてしまった。

「「「いらっしゃいませ! お客様!」」」」

 そして、グランドオックスを大勢のむさ苦しい野太い声が迎え入れる。

 建物の中で待っていたのは、横に並ぶように蹲踞の姿勢で整列した複数人のガタイの良い雄。その圧を感じさせる光景にグランドオックスはたじろいでしまう。

「な、なんだこりゃ……?」

「お客さん、初めての顔ですな」

 すると、ガタイの良い変態衣装の雄達の隣──受付に立っている虎獣人から声が掛かった。

「ここは疲れた方を心身共に癒やす健漢の湯。お客さん、見たところ相当お疲れでしょう。宜しければここで休んでいきませんか?」

「確かに疲れてはいるが……」

 グランドオックスは異様な格好を雄獣人──男衆達を見回す。全員が目元とマズルが露出した黒マスクを被り、数字の刻まれたタグをぶら下げている。

 そして、ふと。一番右端で蹲踞の姿勢をとっている巨漢の猪獣人に目が留まる。黒いマスクに覆われてはっきりとわからないが、露出したマズルから除く逞しい両牙と男らしい口髭。そして濃い焦げ茶色の体毛と肉厚な身体がグランドオックスの知る師匠──グラビティボアに重なった。

 しかし、グランドオックスはすぐに頭の中でそれを否定した。確かにグラビティボアのような大きな身体をした猪獣人ではあったが、これほどまでに胸や腹が肉付いていることはなかった。何より、グランドオックスは彼の性格──浮ついた事が嫌いな事やヒーローとしての誠実さを知っているつもりだ。そんなグラビティボアが、こんな布面積の少ない黒のマンキニを着用し、ちんぽや玉袋や陰毛を、その端から下品にはみ出させているはずがないのだ。

「おや、気になる男衆がいるようですな」

「い、いえ、そういうわけでは」

「ご遠慮なさらず。男衆による熱心で丹念なマッサージは、同性の身体ですからツボもしっかり把握して揉みほぐします。他には心身共に安らぐ自慢の銭湯に、一流の料理人が腕を振るった料理──どれもご利用頂いた方達の評判はかなり良いんです。決して後悔はさせませんよ」

「……ううむ」

 自分から入った手前、こうも押されてしまっては断り辛い。グランドオックスは腕を組み少し思案すると、仕方がないと虎番頭の提案を受け入れた。

「……いや、少し驚いてしまい悪かった。是非利用させてくれ」

「よしきた! ありがとうございます! きっと満足していただけると思いますよ」

 ニカッ! と虎獣人は気さくな笑みを浮かべると、続けて口を開いた。

「料金は後払いです。お客様にはこちらの男衆の中から一人をお選びいただくことになるのですが……どうです? この8番は最近入ったばかりの男衆です。ですが奉仕の技術もバッチリ。男衆としての心構えも他の男衆に引けをとりません」

 虎番頭が8番──黒マンキニを履いた猪獣人の男衆の肩を叩いた。猪番頭は口を真一文字に閉じたまま、どっしりとした足腰で蹲踞の姿勢を保ち続けている。

「お客様がよろしければ、是非ご指名を」

 グランドオックスに男色の趣味は無い。言ってしまえばどれも奇抜な格好をしたむさ苦しい雄であった為、誰を選んでも変わりはなかった。

 向こう側が推薦するというのなら断る理由はないと、グランドオックスはその提案を受け入れた。

「……わかった。ではこの猪獣人に頼むとしよう」

「勿論です! 8番、いいな?」

「了解いたしました! ご主人様!」

 声を掛けられた猪男衆は地の底から響くような威勢の良い声を上げた。そして立ち上がって一歩前に踏み出すと、グランドオックスに声を掛けるのだった。

「仕事帰りでお疲れでしょうから、まずは銭湯から入りましょうか?」

 立ち上がった猪獣人の身長は、同じく巨漢とも言えるグランドオックスよりも更に上。自然と見上げる形になったグランドオックスは、猪男衆の圧に押されながら──そしてその姿をやはりどこか師であるグラビティボアの姿と重ねながら答えるのだった。

「あ、ああ……よろしく頼む」

「それではご案内します。こちらへどうぞ」

 そうしてグランドオックスは猪男衆の後を付いていくのだった。

*****

 そこからは驚きの連続だった。猪獣人の男衆は、グランドオックスの肉体をその巨躯からは想像できない細かく鮮やかな手付きで隅々まで洗った。その手付きにはどこか下心が混じっているようにも思えたが、ついでに行われるマッサージも心地良く、銭湯での体験はグランドオックスをかなり満足させた。

 その後に食べた食事はこの為にこの健漢の湯の常連になってもいいかもしれないと思う程の美味しさであり、大人三人分程の量を簡単に平らげてしまった。

 そして──。

「ぐお゛、お゛……ッ♡♡」

「気持ち良いですか? お客様♡」

 薄明かりに照らされた小さなマッサージ用の個室。ダブルサイズのベッドの上で仰向けになったグランドオックスは猪男衆からマッサージを受けていた。

 確かに虎番頭の言う通り、男衆のマッサージの質は想像以上であった。しかし、どうしてもこの健漢の湯に入ってから感じる違和感が拭えない。

 何故自分はこんなにも普通では触れない場所に触れる──淫らさを感じさせるマッサージを受け入れているのか。そして。

「日々の仕事でさぞ疲れているでしょう♡ ですが任せてください。ワシが全て癒やして差し上げますから♡」

「はあ゛ッ♡ ~~~ッ♡♡」

 初めて合うはずの猪男衆が、何故こんなにもグランドオックスの身体を知り尽くしているのか。

 猪男衆の野太い指は、グランドオックスの身体のツボを的確に押し解し続けていた。まるでいつも顔を合わせ、その肉体を見続けているかのように。

「むお゛ォ……ッ!?♡♡」

 マッサージで行われるのはツボ押しだけではない。ぷっくりと勃ち上がった乳首を不意に抓り上げられ、グランドオックスが情けない喘ぎ声を上げる。無骨な角張った指からは想像のできない手付きで、グランドオックスの身体を這い、その全身を揉み解していく。

「だ、駄目だ……ッ♡♡」

「どうしたんですかな? お客様♡」

「出て……♡ 出てしまう……ッ♡♡」

 息を荒くしながら、たまらずグランドオックスが声を上げる。館内着を脱がされ露出したズル剥けのちんぽは、既にビンビンに反り勃ち限界を迎えようとしていた。

 猪男衆は分厚い舌を出し口の周りを舐めると、空いた左手でグランドオックスの太竿に触れた。

「良いんですよお客様♡ 男衆のマッサージを受けてこうなってしまう方は少なくありません♡ どうぞワシにその身を委ねてください♡♡」

 シコシコシコ♡ と優しい手付きでグランドオックスのちんぽを扱き始める。息を荒げる猪男衆のちんぽは、グランドオックス同様ビンビンに勃起しており、黒のマンキニをグイイ……♡ と引き伸ばしていた。

「ぐおお゛……ッ♡ イ゛くッ♡♡ イグゥッ♡♡♡」

 ビクンッ♡♡ とグランドオックスの身体が跳ねる。パンパンに張り詰めたデカ玉が持ち上がり、鈴口に向かって精液を押し上げていく。そしてそのまま射精を行う──はずだった。

「……ッ♡ ハッ♡ な、何故だ……♡♡」

 しかし、グランドオックスのちんぽが射精する事はなかった。その鈴口から先走りを垂らしながら、ビクビクと虚しく脈打っている。

「ふむ……射精できなかったのですな? ワシにはその理由に心当たりがあります。お客様のような真面目で実直な方は、普段から快楽を抑え込んでいるせいで心のどこかでこういった行為に抵抗を覚えてしまっているものなのです♡♡」

「て、抵抗……♡ ぐお゛ォッ♡♡」

 グランドオックスの言葉は、勃起を続けるちんぽを掴まれてしまったせいで喘ぎ声となって途切れてしまう。

 猪男衆は悶えるグランドオックスの姿を愛おしそうに見つめると、逞しい牙の間から伸びる分厚い舌で、空イキしたちんぽから滴り落ちる先走りを厭らしく舐め取った。

「れろッ♡ じゅぽッ♡ ええ、そうです。このワシにも全く同じ経験がありますから♡ その抵抗感がある限り、こうして空しく先走りを溢れさせる事しかできないのですよ……♡ んぐっ♡ ちゅッ♡ ずろろろッ♡」

「お゛おぅッ♡♡」

 ちんぽを喉まで咥えこまれ、尿道の中の先走りを吸い出される。グランドオックスは雄の弱点を同じ雄に好き放題にされながらも、その快感に太ももをビクつかせるだけで為すがままだ。

「どうですか? お客様♡ 一度このマンキニを履いて、欲望を閉じ込めている殻を破ってはみませんか?♡」

「ま、マンキニ……♡」

 猪男衆の渋い声が、師であるグラビティボアを思わせる雄々しい声がグランドオックスを快楽に誘う。

「唯一お客様の痴態を見ることになるこのワシも、こうして既にマンキニを着用しております♡♡ だから恥ずかしがる事はありません♡ 共にマンキニを着用する快感を味わってみませんかな?♡♡」

 グランドオックスから離れ、腰に両手を付けた猪男衆がズイ♡ と腰を突き出す。そして、マンキニを押し上げた勃起ちんぽをピクッ♡ ピクッ♡ と震わせて変態的にマンキニとちんぽをアピールし始めた。

 同性の──それも尊敬する師と同じ猪獣人の雄。普通の雄であれば嫌悪感を示すであろうその行為に、グランドオックスは何故か惹かれてしまう。

「俺は……♡」

 腹の上には既に赤のマンキニが置かれていた。グランドオックスはおずおずと手を伸ばすと、赤のマンキニを掴み立ち上がる。

 瞳には焦点が合っておらず、その股座でビクビクと脈打つちんぽを見ればグランドオックスが目先の快楽に囚われていることは明らかだ。

「……ッ♡♡」

 ゆっくりと。野太い足を上げ、マンキニに右足を通していく。その次は左足だ。確実にマンキニを履いていくその様子を、猪男衆はは満足気な様子で眺めていた。

 持ち上げられたマンキニの布地にグランドオックスの玉袋が覆われる。一瞬の躊躇いの後、マンキニの紐部分に指をくくらせると、そのまま一気に上へと引っ張り上げた。

「お゛ほ……ッ!?♡♡」

 マンキニが尻に食い込む快感に力が抜けたグランドオックスは、そのまま紐から指を外してしまった。瞬間、自由になった紐部分は収縮しバチンッ♡ と音を立てて肩にぶつかった。そして、マンキニの締め付けによって腰砕けになったグランドオックスは自然と間抜けなガニ股になってしまう

「良おくお似合いですよ、お客様♡♡ お客様の逞しい身体にはマンキニが似合うと、一目見た時から思っていたのです♡♡ さあ、この鏡の前にお立ちください♡♡」

 

 猪男衆がが耳元でねっとりと囁きながらグランドオックスの尻を撫でる。そのまま誘われるように鏡の前に連れてこられると、目の前にはマスクとタグ以外は猪男衆と何ら変わらない──変態的な格好をした牛獣人の姿が映っていた。

「さあ、ここからが本番です♡ マンキニを着用した時だけ行える、特別気持ち良くなる方法を教えて差し上げましょう♡♡ 今からワシの行うポーズを真似してください♡ いいですな♡」

「ぐひッ♡♡」

 耳元で一度そう囁かれてから尻をぐにい♡ と強く揉まれ、グランドオックスの口から情けない喘ぎ声が漏れてしまう。

 微かに残った理性が違うと否定しているはずだというのに。猪男衆の声を、何度も何度も教えを乞うてきた尊敬する師匠──グラビティボアの声に重ねてしまう。そして、弟子として身体に染み付いてしまった習性から、その声に逆らうことができなくなってしまう。

「まずはどっしりと腰を落としてください♡♡ 両足を左右に開き、男らしく股座を正面に見せつけるのです♡♡」

 鏡に映り込んでいる、隣で威勢良く声を上げる猪男衆に習いガニ股になる。

「次は股のラインに両手を添えます♡ そして、共に大きな声でこう叫びましょう♡♡ ……マンキニッ♡♡」

 ビシッ♡ と音が聞こえてきそうな動作で、猪男衆は素早く両手を引きそう叫んだ。その際にブルンッ♡♡ とマンキニに抑えられていたちんぽが間抜けに揺れ、先走りが飛び散る。

 その姿はやはり、尊敬する師──グラビティボアであれば行うはずもない間抜けで無様な物。だからこそ、至って真面目に、そして至福そうにこれをやってのけるこの老年の猪獣人がグラビティボアであるはずがないのだ。

「これを繰り返すのです♡ それでは、次はワシの動きにしたがって共に行いましょう♡♡ では……マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ ぐお゛ォッ♡♡♡」

 だというのに、師とは無関係なはずの猪男衆の言葉に逆らえない。

 グランドオックスが操られるかのようにマンキニポーズを行った瞬間、その全身を稲妻のように快感が走った。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ 何だこれはッ♡ マンキニィンッ♡♡」

 びゅッ♡ びゅぴゅッ♡♡ とグランドオックスの鈴口から先走りが噴き出す。一度止めようとしても、猪男衆の威勢の良い掛け声に釣られ止めることができない。まるで師に教わる弟子のように、真横に整列し鏡の前でマンキニポーズを繰り返していく。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

 何度この間抜けなポーズをとったのだろう。猪男衆の所作は一切の無駄がなく洗練された物で、グランドオックスのように腰砕けになることなく力強くマンキニポーズを取り続けている。二人の雄から放たれる熱気が部屋に籠もり、鏡が微かに曇り始める。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」

(駄目だ♡ イッてしまう♡♡ こんな訳のわからねぇポーズとりながら♡♡ ちんぽ気持ちよくなって……ッ♡♡)

 キュウウ♡ とグランドオックスの玉袋が持ち上がる。激しく行われるマンキニポーズによって間抜けに揺れるちんぽの中を、精液がせり上がっていく。そして。

「イグッ♡ イっちまうッ♡♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニイイインッ♡♡♡」

 びゅるッ♡♡ びゅるるるるッ♡♡ びゅるるッ♡ びゅ~~~~~~ッッ♡♡♡

 ビシッ♡ と両腕を引き上げ腰を突き出した瞬間、グランドオックスを無様に吐精した。噴き出した精液は赤のマンキニを貫通し、鏡に映る己の姿を白く汚していく。

「お゛ッ♡ お゛~~~ッ♡ ほ……ッ♡♡」

 そしてあまりの快楽に、ガニ股のまま仰向けに倒れ込むとそのまま気絶してしまった。天を突くちんぽからはびゅるッ♡ びゅるるッ♡ びゅッ♡ と未だ断続的に精液を吐き出し続けている。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ ワシもようやく……ッ♡♡」

 マンキニポーズをとり続ける猪男衆が背筋を震わせる。そして。

「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡ ……マンキニッッ♡♡♡」

 びゅるッ♡♡ びゅるるるッ♡♡ びゅるるるるるッッ♡♡♡

 猪男衆は最大限まで足を開いた無様なガニ股のまま、どっしりと腰を下ろし、マンキニを持ち上げる仮性包茎勃起ちんぽ勢い良く射精を行った。

 しかしグランドオックスのように、以前のグラビティボアのように腰砕けになることはない。その丸太のように太い両足、重量感のあるデカ尻は一切微動だにしない。勃起した仮性包茎ちんぽは目の前の猪男衆の姿にしっかりと照準を合わせ、精液を放ち続けている。

「お゛ほ……ッ♡ お゛ぉ……ッ♡」

 グラビティボアの濃厚な、長い射精が終わった。最後に「マンキニッ♡ マンキニッ♡ マンキニッ♡」と三度マンキニポーズをとると、びゅるッ♡ びゅッ♡ びゅうううッッ♡♡ 残った精液を吐き出すかのように鈴口から吐精を行った。

「……ッ♡♡」

 しん、と辺りに静寂が訪れる。すると、個室の出入り口である扉が開いた。

「よくやったなグラビティボア──いや、8番。合格だ」

 扉から現れたのは虎番頭であった。その姿を見た猪男衆──グラビティボアは虎番頭の元へと素早く駆け寄ると、手を後ろに組んで姿勢を正した。そして息を大きく吸うと、声を張り上げて挨拶を行った。

「ありがとうございます! ご主人様!」

 そう──堅物で浮ついた行為を嫌うヒーローグラビティボアは、男衆としての規則に完全に染まってしまっていた。全頭マスクにタグ、マンキニという変態的な正装に身を包み、抵抗なく愛弟子すらも手にかける程に堕ちてしまったのだ。

「利口でよろしい♡」

 姿勢を正し敬意を示すグラビティボアに対し、虎番頭はタメ口で自然体だ。既に番頭ともてなす客という二人の立場は入れ替わり、完全な主人と管理下に置かれる男衆としての主従関係が結ばれてしまっていた。

「ぐお゛ォッ♡♡」

 虎番頭は姿勢を正すグラビティボアのデカ尻をがっしりと掴む。当初健漢の湯に訪れた際に同じ事をすれば、浮ついた行為を嫌うグラビティボアはたちまち激昂したことだろう。しかし、今では主人である虎番頭の為すがままだ。

「こんなスケベな身体付きになりやがって……すっかり立派な男衆になったな♡」

 そう言って虎番頭は、まるで自身の所有物かのように我が物顔でグラビティボアの尻を揉み、乳首を摘んだ。だがそれはもう事実だ。実際に男衆となったグラビティボアは虎番頭の所有物であり、その証である淫紋がグラビティボアの下腹部で強く怪しく輝いている。

「はひッ♡ あっ♡ ありがとうございます……ッ♡♡」

 虎番頭の手から与えられる快楽は他の男衆からの物とは比較にならない。それは好意を寄せる熊男衆だとしてもだ。

 グラビティボアのすっかり肉付いたデカ尻に虎番頭の逸物が押し当てられる。その瞬間、ズボン越しの感触だというのにグラビティボアの尻穴がキュンキュンと疼き、今すぐ虎番頭のちんぽを受け入れなければと準備を始めヒクつき始めた。

 絶対的な雄として、逆らってはいけない存在としてグラビティボアの中に虎番頭が君臨する。

「お゛ほォッ♡♡」

 バシンッ♡ とグラビティボアのデカ尻が虎番頭に叩かれる。虎番頭はニヤリと男臭い笑みを浮かべてグラビティボアの正面に立った。

「お前の弟子も時間をかけて堕としてやれ♡」

「ハッ! グランドオックスの事はワシにお任せください!」

 最早隠さなければならない正体や内部情報も筒抜けだ。しかし、グラビティボアはそんな事を意にも介さず、お預けをくらい少し気を落としながらも、再び姿勢を正し声を張り上げるのだった。

「グラビティボア──いや、8番。これからもそのベテランヒーローとしての身体に、奉仕に期待しているぞ?」

「かしこまりました、ご主人様ッ♡♡ この身体を使ってお客様に全力でご奉仕しますッ♡♡」

*****

 一人の老年の龍人が街を歩いていた。ワイシャツネクタイスラックス姿のその龍人の名はドラグニル。ヒーロー本部の総司令官だ。

 疲れが溜まっているのか、少し気怠げにしながら野太い尻尾を揺らしのっしのっしと歩を進めている。眉間に皺を寄せるその顔は、強面なのも相まってかなりの威圧感を放っており近づき難い雰囲気を醸し出していた。

 そんなドラグニル司令の目に、とある健康ランドの看板が留まった。

 ──ドラグニル司令の疲労の原因、それは最近のベテランヒーロー達の不調によるものだった。ヒーローもベテランとはいえ獣人だ。コンディションの良い悪いは存在するだろう。しかし、まだ後輩ヒーローへの世代交代が終わっていない中、グラビティボア、そしてグランドオックスのような強力なヒーローと連絡がとれない事、不調による休暇が増えてきたのはかなりの問題だ。

 何度か注意したのだが、当の本人達はどこか上の空。ヒーローの人材不足による皺寄せがドラグニル司令に重く伸し掛かり、ここ最近はまともに疲れが取れていないのが現状であった。

「「「いらっしゃいませ! お客様!」」」

 ピリッ、と頭の端が痺れるような違和感と共に健康ランドの中に入ると、ドラグニル司令を大勢のむさ苦しい野太い声が迎え入れた。

 蹲踞の姿勢で整列した複数人のガタイの良い雄。種族はセントバーナード、象、熊……そして猪、牛と勢揃いだ。

「お客さん、初めての顔ですな」

 驚くドラグニル司令を相手に、虎番頭がいつものように説明に入る。

 そして、疲れた様子のドラグニル司令は眉間を指で抑えながらも、虎番頭の押しに負けて健康ランド──健漢の湯のサービスを受けることを決めるのだった。

「それでは……8番と9番、いいな?」

 話が終わり、虎番頭は二人の男衆に声を掛ける。声を掛けられた猪獣人の8番と牛獣人の9番──グラビティボアとグランドオックスは、蹲踞の姿勢のまま威勢良く声を張り上げるのだった。

「「了解いたしました! ご主人様!」」

 二人は素早く立ち上がると、ドラグニル司令の元へ近づいていく。

 そして、ヒーロー本部の司令官を自分達と同じ変態ホモへと堕とせる喜び。健漢の湯の男衆として共に働くようになったドラグニル司令の姿を妄想し、黒いマスクの下で厭らしい笑みを浮かべるのだった。

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