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「というわけで、私としても丸々と太った君たちにはダイエットを頑張ってほしいと思ってね、その一歩として今年の夏は1週間の無人島生活をしてもらおうと計画してきたんだけど、準備はいいかい?」

某年7月、マスターの故郷である日本の四季に即せば夏真っ盛りの季節に、カルデアの管制室で“万能の天才”レオナルド・ダ・ヴィンチが意気込んで口を開く。

その会話の対象は、まさに肉団子のようにでっぷりと垂れ膨らんだ胸やタイヤが巻き付いたのかと錯覚するほど分厚い二段腹はもちろん、肩から二の腕、指先、爆弾のような尻から太ももにかけて全身がぶくぶくに贅肉で覆われた二人組。カルデアのマスター・藤丸立香とそのサーヴァントであるマシュ・キリエライトである。

「ぶふぅ…疲れたぁ…、部屋からここまで歩くだけで、ほふぅ、息が上がってもう動けない…!ふぅ、座ろっ…」

ズシンッッ!

「先輩っ…あまり勢いよく座り込んだら、また制服が破れてしまいますよ…ぜぇ、お顔の汗、拭きますね…んぐっ、ふぅ、んっ、げぷっ…!す、すみません…お昼にラーメンを食べ過ぎてしまって意図せずげっぷが…」


平和というのは素晴らしいことだが、その穏やかな空気感、ひいては温さの現れとして日々の鍛練から解放された二人。その代わりに反動で自堕落の限りを尽くした彼女たちは、今や二人揃って見事に体重300kg超えの超ド級肥満体となっていた。

先に太り始めた立香の方は、マスターという立場と太りすぎの身体になってだいぶ時間も経った為か、カルデア内で彼女の激太りを知らない者はおらず、数多くのサーヴァントが半ば呆れたり、半ば興味本位で親交を深めたりと、マスターとの適切な距離感を見つけている。

一方のマシュの方はというと、元がしっかり者だったのもあり、今の彼女の「胃袋が満ちるまで食べないと満足できない」性質と脂っこいものばかり食べているため常に肌が汗ばんでいる状況は、スタッフにとってもマシュ自身にとっても中々芳しいものではなかった。現に、下半身太りの激しいマシュの身体は館内の事務仕事に支障を来しており、普段の生活だけでも頻繁に備品を尻の下敷きにして壊す事の連続。

立香が「運動不足と自堕落さ故の肥満化」を遂げたとすれば、マシュは「過剰なまでの暴飲暴食が主となっての肥満化」を体現したと言える。おかげで最近ではキッチンスタッフの労働環境は劣悪そのもの。ブラック企業ならぬブラック厨房と化していた。

「げっぷくらい気にしなくていいよ…私だって、ふぅ…さっきまで、皆から貰った今年のバレンタインチョコ食べてたから、お腹パンパンだし…。ほら、ぶふっ」

ダヴィンチの話を他所に、床へ座り込んでは汗を拭いてくれているマシュのげっぷに反応して、己も同じようにカロリーの詰まった腹を強調する。確かにいつもの立香の腹に比べれば胃袋回りが張っているようだが、300kgを誇る巨体を第三者目線で見ればほとんど違いなどないに等しい。元が巨腹なのだから。その違いがわかるのはマスター本人とその身体に触れて滴る汗を優しく拭き取っているマシュだけだ。

「ほ、本当ですね先輩…お腹だけ少し硬くて…なんだか腹筋みたいです、ふぅ…ひゅぅ…」

ぶくぶくに肉付いたソーセージのような白い指が、しっとりとした体表の二段腹上段に触れると、沈み込むことなく弾力を伴ってはね返る。

その光景は、桃色髪の巨デブが赤髪の巨デブの腹に触れて静かに湿気を纏いながら興奮しあっている、という異質なものだが、これが今のカルデアの日常だ。


「あー、えっと立香ちゃんにマシュ、私の話は聞いてくれていたかな?」

そんなねっとりとした空間にダヴィンチがメスを入れ軌道修正する。肥満体型のマスターらを集めたのは他でもない、ダイエット合宿に行かせる為なのだ。

「んぅ…?大丈夫だよ、無人島でダイエット、だっけ?いいけど…ルルハワとかじゃダメだなの?無人島じゃ食べ物もリゾートもないんじゃ…」

ダヴィンチの確認に応える立香の表情は不安に曇り、まず第一に食べ物の心配がされる。

「先輩、ですが一流の食べ物や料理が豊富に用意されていたら、私たちはダイエットを放り出して一日中食べて寝ての繰り返しをしてしまうのではないでしょうか…?それも考慮しての無人島かと…。ギュルルルル…お、お腹が…!」

持ち前の明晰さを発揮し自らを客観視しながら解を導くマシュが立香に告げる。そう物事を俯瞰して捉えられるのになぜ痩せられないのかは人の不思議な部分だが、ひとまず解を導きつつ多少の食べ物の話題に胃袋を鳴らすマシュに天才はウインクをした。

「ご明察、マシュの言う通りだとも!君たち二人をルルハワやニューヨークに向かわせたら、それこそ今より100kg太って帰ってきてもおかしくないからね。そんなことになったら文字通りカルデアは崩壊するだろう」

「ほ、崩壊って私やマシュがもっと太ったところでそんな…ぶふっw」

「じゃあ立香ちゃんは一体何脚の椅子をこの一ヶ月で破壊したのかなぁ…?自分の食費も把握できてるー?」

崩壊なんていう物騒な言葉に反応して、たかが100kg太ったところでそんなはずない、とパンパンに膨れた丸顔の頬肉とたるんたるんの顎肉を揺らしながら笑うマスター。だがその豚のような笑みは目にハイライトの灯っていないダヴィンチの詰め寄りで凍りついた。

なにせ300kg級女子二人によるカルデアの損害はこの1ヶ月だけで椅子26脚、巻き添えを喰らったテーブル7卓、他にも破損した壁の修繕やベッドと衣服の新調、そして食費に至っては日本円換算で推定月40万円ほどにまで達していたのである。それが更に積み重なるとなると、末恐ろしい。


「こほんっ、さてそんな自力で痩せることが絶望視されている君たちを無人島でダイエットさせるのに、一騎の役立つサーヴァントを召集したんだ。おーい、入ってきていいよー」

溜め息を溢して気分をリセットしたダヴィンチが咳払いで話題に戻ると、ずっと廊下に待たせていたのだろう「ダイエットのサポートサーヴァント」を管制室に迎え入れた。

自動ドアがすぅっと開く。床に座り込んだマスターやファーストサーヴァントより一回りも二回りも細く、そして適度に筋肉質なブロンド髪と水着を身に付けた一騎のサーヴァント。彼女は眉間にシワを寄せながら呆れた様子で入室し始める。

「んたくっ…役立つって人を物扱いすんなよな…。仕方なく来てやったけど、コイツ本当にオレが召喚された頃のマスターと同一人物か…?間近で見るとまじでブヨブヨのデブデブじゃねぇか!」

真紅のビキニがシンプルに肌色との対比で映えるその人はモードレッド。円卓の騎士の一人であり、粗暴な言動が目立つ人間性をしているがアーサー王時代のブリテンを代表する騎士に間違いはなく、その生涯故に「反逆の騎士」と記録されている彼女はここカルデアにおける最古参の一騎である。

最近召喚されたサーヴァントならば、マスター=超肥満体の変わり者という認識になるだろう。だが長くカルデアに身を置くモードレッドには太る以前の「人理修復を成し遂げた誇れるマスター像」が強く印象に残っているためか、体重8倍近くまで肥大化しただらしのないマスターと、更にはその横の仮にも円卓の盾を所有するマシュには、他のサーヴァントたち以上の違和感と鬱憤を抱いていた。

「デ、デブってそんな…罵倒するにも超絶ぽっちゃり…くらいに留めてもらえると嬉しいんだけど…」

「その身体でぽっちゃりは無理だろ!贅肉しかねぇじゃねぇか!なんだよこの腹!」


ぶにゅん!!むぎゅっ!むぎゅっ!

デブ呼ばわりに苦笑いするマスターの突き出た段腹を細い指と手のひらで思い切り鷲掴みする。手加減などない。

力強く脂肪の塊を掴んだ手はそのまま容赦なく肉を揉み、上下左右に揺らす。

「んはっ♥️も、モーさんストップぅ、ストップぅぅ!そんなに強く揉まれたことないから、んふぅ、ぐぅ♥️全身揺れちゃうってぇ…♥️げぷっ、げぷぅぅ♥️」

大縄飛びの縄を上下させた時のように、腹肉を勢いよく揺らした振動は立香の身体を伝い、全身の肉までサーヴァントの人並外れた腕力によって波打つ。

その波動は身体の内部にまで響き渡り、腹の皮下脂肪をぶるんぶるんと揺らしただけなのに、終いにはチョコが詰まって満たされている胃袋を刺激する。震える声と同時に盛大なげっぷまで誘発され、藤丸立香は羞恥による赤面にまで追いやられていた。

「せ、先輩っ…!?モードレッドさん、そのあたりで…」

「オメェもだマシュ!何が『そのあたりで』だ、お前はもっと前の段階で太りすぎたって自覚しろっつぅの!この肉!」

ぶよんっ!!ぶるぶるぶるんっ!!

「あんっ♥️ま、待ってくださ…げぷっっ、そんなに、うはっ♥️」

前者同様、服に収まりきらずに晒されていた巨腹肉を掴まれたマシュは濃厚な豚骨スープの薫りがするげっぷを溢し、それが返って獅子の嗅覚を刺激してしまう。

右手にはマスターの内臓脂肪多めな張りのあるでっぷりとした腹肉、左手にはマシュの皮下脂肪多めな体温の低いひんやりだるんっとした腹肉。

華奢なヤンキー少女が、その数倍の体格のデブ二人を腕力だけで唸らせる様子に、その場で静観していたダヴィンチも僅かながらスカッとした心の晴れる感覚を覚えた。多少は激太りに対する罰も受けるべきだと考えていたのだろう。


「はいはい、モードレッド卿もそこまでにしてくれるかな?続きは無人島に行ってからのお楽しみということで、ね?」

「ちぇっ、わぁったよ…モヤシやそこらの奴らがコイツらの世話係にでもなったら、一日で尻の下に潰されて消滅するか、世話だけで魔力切れ起こして消滅だろうな。とにかく腹揉んだだけでオレの手まで湿るわ、汗臭いわ、マシュの方は豚臭いわで無理にでも痩せさせねぇと…マジで終わるぞ、カルデア」

手のひらと指の間に染み付いた脂汗を払いながら、いつにも増して神妙な面持ちで危機を悟り語る。事態は当人たち二人が思っている以上に深刻らしい。モードレッドの言うことに加えて、もし仮に今ここで人理を揺るがす大事件でも起ころうものなら、それこそマスターとマシュは動こうにも動けずに一貫の終わりだ。

「ふぅ…はぁ…で、でもモーさん一人でいいの…?場所は無人島でも私とマシュがダイエットするなら、最低でも二人以上は同行できる人がいた方が…はふぅ…」

半ば拷問のようだった「腹肉揉み攻め」から解放されたマスターが呼吸を整えながら滝のような汗を流しつつ疑問を投げる。だがそれにも理由はあった。

「あ…。ま、まぁ皆手が空いていなかったというか、ほらもうすぐ夏だからね!一斉休暇よりは分散的に個々人バラバラに夏休みを取得してもらっているのもあって、なかなか今回の合宿とスケジュールの都合が合わないサーヴァントも多かったんだよ!」

「それにマスターたちの世話は面倒だっつって避けるヤツばっかだし、もし志願してもやべぇヤツらしか願い出なかったらしいからな」

表向きな理由でオブラートに真実を包み隠したダヴィンチの気遣いなど知らず、モードレッドはサーヴァント目線でなぜここに人が集まらなかったのかを明かす。

確かに、ダイエットを指導できるような厳しさと体力のあるサーヴァントを挙げても…『触れるな雑種、その吐息すら我に吸わせることを許さん』『指導しても良いが、もし私に着いてこられないのなら…串刺しにしてもよいのだろう?』と、事前に拒絶されるか末恐ろしい結末が予期されるものばかり。もし減量指導を願い出る者がいても『ますたぁの贅肉を焼けば…お痩せになられますね♥️』『新薬を試す良い機会だ。共同製作のこの薬を…』ヤバい人しかいない。

「ではモードレッドさんだけが、その…まともな方で唯一私たちの減量指導に名乗りを挙げて下さったのですか…?」

額の汗を拭いながらマシュは問う。文句ばかり言っているがモードレッドもなんだかんだで自ら世話になったマスターとマシュに恩を返そうとしたのだろうか、とそう思われる。

「なっ…!ちげぇよ…オレはその…マルタに捕まって詰められてたところに更正活動だとかで呼ばれて……カイニスのヤツはどっかバックレやがったし…仕方なく、な」

先程までの攻めの姿勢はどこへやら、マシュの問いとマスターの無言の視線に目を反らして頬を紅潮させる。水着の霊衣へと着替えている影響か、心なしかやはり通常霊基の時よりも照れまでのハードルが低いよう。

なんだかんだ嫌々言いながらも、ちゃんと今回のマスター&マシュ減量企画に出向いているのが彼女の素直さや芯の部分の真面目さだ。

「さて、ここでいつまでも話していても物事は進まないからね、三人とも集まったことだし早速無人島にレイシフトしてもらおうか!

あっ、最後に一つ。無人島での食事の用意まで自分達で…となると大変だと思って、1週間分の適正カロリー分だけの食事はこちらで海の家に用意したから、ちゃんと分量を考えて食事には臨むんだよ?じゃあ、モードレッド卿よろしく~」

役者は揃ったとばかりに、無人島へ向かう用意を終わらせていたダヴィンチは藤丸立香・マシュ・モードレッドの三人に忠告交じりで暫しの別れを告げる。

超肥満女子二人に対してインストラクター一人というアンバランスさを問題に抱えながらも、成功はたとえしなかったとしても太って帰ってくることはないという安心が端にはあった。そう、”あった”のだ。

ダヴィンチちゃんの期待の視線が指導者としてのモードレッドにも向けられた。華奢でありながら筋肉美も兼ね備えたスタイリッシュな身体が、激太りに反逆できず大きく歪んで帰還することを知らずに。


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モードレッド

Height:154.2cm

Weight:42.7kg



§§§

「くぅ~!やっぱり南国は無人島でも暑いな、マスター!…って、おーい、マスター?」

照りつける太陽の暴力に肌は今にも焼けそうなほど熱くなる南国の無人島で、まだ森の中だというのに開口一番モードレッドのテンションの高さが伺える。夏の装いは海に近いところでこそ真価が発揮されるのだろう。

だが気分上々な彼女の声を聞くはずの者は、その背からだいぶ離れた後方で既に萎えぎみでへばっていた。

「う、うぅ…あづい…身体が溶けそう…ぶふぅ…はふぅ、マシュぅ…コーラ持ってない…?もう喉カラカラで動けないよぉ…」

「私もソーダを飲みたいのですが、生憎持ち合わせておらず…。あ、汗だけで1kgは痩せられそうですね…ぜぇぜぇ…」

ぶるんっ!どっぷ、どっぷ!ぶよんっ…

はふっ、んふぅ…ふぅ…


二人揃って、かつて着ていた水着衣装を新調した特大サイズの水着でなんとか胸と恥部を隠しながらも、普段以上に露出の激しい衣装で肉を晒しながら牛歩の速度でモードレッドの後を追う。

その身体は二人共やはり贅肉まみれであり、手強い皮下脂肪のセルライトで厚くなった脚の一歩により、振動が全身に伝わっていく。特にマシュは山なりの巨尻と皮下脂肪だらけの腹肉がぶるんぶるんと波打ち、立香の方は内臓脂肪で膨らんだ重たい腹がバウンドするとその勢いで両胸の巨肉までばるんと動いて、危うく水着から溢れそうになる。

そんな彼女たちの身体には球状の汗が浮かび始めたかと思えば、ものの数分で滝汗と化し、体脂肪率90%オーバーの身体は水ならぬ肉汁の如き汗浸しとなっていた。

「ほらマスターもマシュも見ろよ!海だぞ海!…ったく、仕方ねぇ…ダヴィンチの言ってた海の家も見えたことだし、昼飯食ってからみっちり泳ぐぞ!」

後方20mほどを遅れてのそのそと歩くマスターとマシュに向けて、モードレッドは声を張る。そうすれば二人がどんな反応をするか目に見えていたからだ。

「んっ…お昼ごはん!?い、行かなきゃ!んっふぅっ!ぶふぅ…!」

「どんな食事が用意されているのか楽しみですね、先輩!ぜぇ!ふぅ!ほふぅ…!」

先程までの弱体状態は何処へ。驚異の聴覚で昼飯という単語に乗せられ、どれだけ贅肉が暴れようともお構い無しに彼女たちは息を荒げて競歩する。

300kgの肉の塊がふぅふぅと吐息を漏らして足早に進む姿は若干恐ろしくもあるが、指導者の予想通り、要減量者二名は海辺へと辿り着いた。


人工的な施設は木造の小さな海の家だけであり、ごみの一つも落ちていない砂浜が視界に広がる。そこにいるのは立香とマシュ、そしてモードレッドの三人のみ。海の家を確かめても、木造建築に似つかわしくないほど大きな業務用冷蔵庫に説明されていただけの食料が保存されているだけで、店主や家主といった人物は見当たらない。

確かな無人島に彼女たちはやって来たのだ。

「うはぁ…!ま、マシュ見て!冷蔵庫の中、調味料もあるしお肉でいっぱい…!じゅるり…お腹空いてきちゃったぁ…」

お昼ごはんという目標めがけて猛進する立香が海の家に入ったかと思えば、真っ先に冷蔵庫の扉を開き中を確認する。中にぎっしりと詰められた豚肉や鶏肉の塊に食欲を刺激されつつ、冷蔵庫から流れ出る冷気が巨体を撫で回し暑さを和らげていく。

「こ、こちらにはパンとお米もあります…!すぅ…はぁ…パンから漂う小麦の香りがとても美味しそうで……んはぁ♥️我慢できません…!もぐっ!んふぅ♥️」

もともと食欲を我慢するための調節ネジが壊れていたマシュにとって、暑さの中森をさ迷った後にありつけた食料は天の恵みそのもの。歯ごたえとしっかりとした食感のフランスパンを収納から見つけ出したかと思えば、ほぼ躊躇なく齧り付き、頬を膨らませる。

「マシュだけズルい!私も…あっ、チーズとバター見っけ…♥️濃くて美味しそう♥️…いただきまぁふ…んふふぅ♥️」

恐らくダヴィンチの意図としては高たんぱくのものと、肉を調理するためのものとして用意されていた食材がみるみるうちに二人の胃袋へと吸い込まれていく。

バターやチーズの直食いも悩むことなく決行する。立香もまた、とにかくその巨腹を満たしたくて仕方なかったのだ。

と、そこへあろうことか肥満女子二人組を先に海の家へ入れてしまったモードレッドが一歩間に合わず彼女らの元へ至った。

「お前ら、オレが昼飯っつった途端足速くなりすぎだろ!つーか初日から手すり壊れてんだけど俺でもそんなことしねぇぞ……っておい!なに食べてんだよ!」

二人のうちどちらかが体重をかけて壊したであろう手すりに気を取られ、肝心の肥満体二つを見逃していた彼女は、ようやくキッチン回りの惨状を目にする。

片やパンくずを床にこぼしながらモシャモシャと残り少ない袋の中から炭水化物の塊を取り出して頬張るデブ。

片や冷蔵庫の扉を開けっ放しにし、生肉以外の食べられそうな食材を片っ端から齧りながら床に鎮座するデブ。

ブリテンの安いレストランに住み着いたネズミの方が、まだ彼女たちより綺麗に食事ができよう。

「あっ…モーさん♥️これ、食べるぅ?ぶふふっ、私が食べさせてあげるから口開けて…♥️」

「ちょっ、マスター!離せって!そんなの食べねぇし、第一これじゃ明日の食料も…んぐっ!?やめっ…!」

「先輩…私の時もそうでしたが、人に食べさせるの好きですよね♥️…でも、分かります♥️モードレッドさん…あーん♥️」

んぐっ!?やめっ、ろっ…!もぐっ、むぐっ、ごくんっ!

も、もう腹いっぱい、だって…んぐっ、もふっ、ごっくん…


陽の光が頭上から降り注いでいた頃に食事を始めたというのに、気づけば外は燃えるような夕日が海に沈みゆくほど時間が経過していた。

抵抗しても二種類の分厚い手に強く両腕を掴まれた彼女は、抵抗の無意味さを知り、もはやただ口に運ばれてくる炭水化物と脂質たんぱく質の雪崩を体内に落とし込むのみ。

腹筋のうっすらとした鎧で縦にストンと落ちていた腹部は、数時間の食育の末、胃から山なりにぽっこりと膨らんでおり、消化に勤しむ最中となっていた。

「はぁ…!ふぅ…!も、もう食べられねぇ…マスター、いい加減離せって…うっ、げぷっ…腹が、重い…」

腹囲が100cmを超えていてもおかしくないその腹は、普段彼女が身に付けている鎧とは異なり、身体の内側から苦しさと共に全身にのしかかる。

昼食後に予定していたトレーニングやサーフィンなど到底叶いそうにない。

「ぶふぅ…♥️私もお腹いっぱぁい♥️たくさん食べちゃったからまた太っちゃいそうだけど…まぁいいよね♥️」

「大丈夫ですよ先輩、太る時は私も一緒です…♥️んっ、ふぅ…げぷぅぅぅ♥️」

とろけそうな目で正気を保てているのかも定かではない、そんな肥育嗜好に取り憑かれた彼女たちもまた、その腹を大きく膨らませていた。

これでは300kgから350,400kgへの道のりは小学生の通学路よりも短いことは疑い無い。

だが、流石はダヴィンチである。ただで溢れるほどの食事が提供されるとなればそのような更なる激太りも可能性としてはあり得るが、ここレイシフト先の無人島では用意された食事はたったの一週間分。

一日目だけでそのほとんどを平らげてしまった三人は残りの期間を飢えを凌ぎながら耐え抜くしかないのである。

だが未来の食料の心配はどうでもいいとばかりに、食べ物を詰め込まれたモードレッドはともかくとして、立香もマシュもその場に横たわる。

「食べたら眠くなっちゃった…ふぅ…♥️満腹ってきもちぃ♥️…すぅ…」

「食べてすぐに寝たら牛になってしまうと、以前頼光さんが仰っていました…私たち、もう、牛さんみたいですね…♥️ぐぅ…」

背を床に着けた途端に睡魔に襲われたように眠りの世界へと誘われる。その間わずか数秒。眠りにつくというより気絶に近い。故に彼女たちは気づかなかった。カルデア側からの通信が幾度もの試行の結果ようやく微弱ながら繋がっていたことに。


『り、ちゃん…!…シュ!……たちの、る、無……に特異……応が……る!気をつ…』


§§§

「ねぇモーさん、ちょっと太った?」

「先輩…!そんなダイレクトに伝えたら失礼ですよ!わ、私たちが食べさせたのも原因でしょうし…」

「んっ!?ごっくん…お、オレが太った!?んなわけないだろ…早く食べないと、むぐっ、全部くっちまうぜ?」

二日目朝、昨日の出来事は夢だったのかと疑うほど整理整頓の行き届いた台所で目覚めた三人は、午前中のトレーニングを前に朝食を摂っていた。

といっても、主に手と口を動かすのはモードレッドのみ。目覚めるや否や、腹部の圧迫感を忘れてしまったのか簡素的な肉料理を素早く作ると、ただ無心でがっつく。

まるで自らを肥育しようとしているのか、マスターたちもそんなモードレッドの姿を今まで見たことがなく、唖然とするばかりだった。

「んぐっ…ごっくん。私はもうかなりお腹いっぱいなので…」

本来大食漢みたく満腹まで食べないと気が済まないマシュも、パン一つ食べるのに時間がかかる。

どういうわけか、ただ目の前の水着騎士がひたすら食べる様子に目を奪われているというだけではなく、不思議とそこまで食欲が湧かなくなっていた。

不思議なことは他にもある。確か昨日、食料の大半は消費したはずなのに…。

「実は私も…あとはモーさんにあげる…(やっぱり太った…?)」

ぶにゅ、ぶにゅん。

いつもの癖で食べ終えた後の己の腹を揉んだり撫でたりする立香だが、マシュ同様に食欲が湧かないためか、その日は胃袋の膨らみもなく、ただブヨブヨかつ迫り出した二段腹の脂肪が揉まれるだけ。

「うおっ…!いいのかマスター!マシュも!じゃあ遠慮なく…いただき…!あむっ、むふぅ…うめぇ…!やっぱ肉も食わねぇと身体がなまっちまうぜ…!むぐっ…はむっ、もぐっ…」

結局、夢中になって肉を焼いたモードレッドによって作られた二日目の朝食は調理者本人の手によってほぼ平らげられることとなった。

木造建築の海の家、マスターとマシュ用に作られた幅広で脚の太い頑丈な椅子は全く壊れる様子もない。だがもう一人が座る通常サイズの木椅子だけは、着々と悲鳴を上げる用意が整い始めていた。


§§§


「ふぅ…!食った食ったぁ…腹一杯だぜ…!マスター、マシュ、んじゃ泳ぐとすっかぁ!」

空になった大皿だけを残して、海の家を後にした彼女たちは炎天下、砂浜に足を着ける。

今日もまた雲一つない。まるで上位存在による作り物のような空は本当に地球が丸いのか疑いたくなるほど太陽の光を中心に真っ青に広がっている。

ズシッズシッ…!

「うっ…あっつ…やっぱり今日も体力回復ってことで休まない…?身体が重くて…」

「身体が重いのは私たちが太っているからですよ先輩…ぜぇ、ふぅ…ですが、流石に暑すぎますね…」

手すりに掴まり、高床式である海の家入口の数段の階段を下る巨体二つ。

腿を上げるたびに腹肉のエプロンとぶつかり、肉が揺れることで重心がずれる為か身体を左右に揺らしながらノソノソと二人は歩く。その様子に覇気はなく、ただ惰性が伺えるのみだった。食欲はないがとはいえ運動する気にもなれない。300kgから299kgになったところで誤差でしかないという認識がどこかでマスターとマシュの内にはあった。

一方、先ほどまでたらふく食事を楽しんだはずのモードレッドはというと、食欲は尋常じゃないレベルで高まっているがとはいえ運動しないという考えはないようである。

「だらけてんじゃねぇぞ…!ここに来た目的は一つ、マスターたちの減量だろ、ブクブク太ってないでほらまず海に入って泳ごうぜ!水中なら身体も軽いしな」

そう言って、彼女は今にも立ち止まりそうなマスターとマシュの手をとり力いっぱい300kgの重りを海まで引っ張り行こうとする。

しかし間近でその立ち姿を見た二人は、共に同時に同じ印象を当のモードレッドに対して抱くこととなった。

「…やっぱりモーさん、太ったよね?お腹もたぷたぷし始めてるし、水着苦しくない…?」

奥手であり指摘を躊躇したマシュとは対照的にマスターはずばり思ったことを口にする。むしろそう端的に言わしめるほど、今のモードレッドの身体は明らかに膨らみ始めているようで…。


「べ、別に太ってなんかねぇって!なんだよ、今日のマスターおかしいぜ…?ちょっとばかし食べ過ぎる事はあったけど、お、俺がそんな膨らむなんてありえねぇだろ!?マスターの気のせいだ…!」

焦ったようにそう言い張るモードレッドは、二人の極太の腕から手を離したと思えば、若干の羞恥に不馴れな様子で頭に片手を向け髪を触る。

と、そうして腕をあげているところを見ればより分かりやすいほど、彼女の身体には脂肪が溜まってきていた。

スッキリとしていたはずの背中には脂と肉が乗りビキニが食い込む。でっぷりと膨らみ始めた腹肉は下の水着を隠し始めており、すでにぽっちゃりの領域に片足を突っ込んでいる事は確かだ。

だが彼女は認めようとはしない、いや認められないのだ。昨日まではそんなこともなかった普通の身体が、一晩にして立派なぽっちゃり体型にまで太るということなど信じられない。ましてやサーヴァントであるその身が肥満に近づくことなど…。

そんな焦りや不信感、違和感や羞恥が渦を巻き彼女を蝕む。それはたとえ日中海で泳ごうともサーフィンをしようとも消えない。マシュの尻肉を鷲掴みにして下半身太りを指摘しようにも、マスターをデブ呼ばわりして鞭を打ちつつ己はそこまで太っていないと思い込もうにもそれは消えない。

ただその後の夕食でのみ、再び食材を存分に使い作った手荒な肉料理と炭水化物の山を、マスターたちの食欲不振と勿体なさを盾に胃袋に流し込む、そんな暴飲暴食でのみ、内なる得体の知れない不安の種は快楽へと転じ、眠りを誘うこととなった。

「ぶふぅ…食ったぁ…。腹が、苦しい…横になるか…ぜぇ、ふぅ…ふ、太ってない…俺は太って…な……すぅ、ぐぅ…」


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モードレッド

Height:154.2cm → 154.6cm

Weight:42.7kg → 79.6kg

B:99.2

W:102.7

H:98.9



§§§


むぐっ…やっぱうめぇな、肉は…!手が、止まらねぇ…!あむっ、むふっ、いくらでも食えそうだ…!

んっ、マスターその白飯食わねぇなら俺にくれよ!あむっ…んぐっ、マスターも、たらふく食ってしっかり運動しねぇと、いつまでも痩せられないぜ…?あむっ、むぐっ…ごっくん!

マシュ、おかわり!あぁ?食べ過ぎてなんかいねぇよ…!食わねぇと魔力切れだって起こすし、食うのはいいことだろ?オレは太らねぇから大丈夫だって…!げぷっ!


うっぷ…わりぃマスター…箸そっちに落としちまった…まだこれにも慣れねぇな…。ん…?ちょっとだけ最近足元が見えないというか、深くしゃがめないだけで何の問題もねぇよ!あとは多少水着が苦しいくらいで……い、いいから食うぞ!

食べないと気が収まらないんだ…むぐっ、あむっ、もっと…もぐっ、食いてぇ…ごっくん!ぶふぅ…まだまだ食い足りねぇ…もっと…げぷぅぅぅ♥️


§§§


無人島を訪れてからどれ程の時間が過ぎたのだろうか、曜日や日付でタスクが決まっているわけではない自然の中での生活は、マスターたちの日数経過の感覚を妙に狂わせる。

恐らく今日で無人島生活7日目、遅くとも今夜にはカルデアに帰還することが予想される。だが本当に今日が7日目なのか。もしかしたら、人知れず長いこと島で暮らし続けていたのではないか。そんな疑念が立香とマシュの内で沸き上がる。

思い返せば不可解なことだらけだ。

1日目に実はマシュが体重をかけたことで壊したはずの海の家の手すりが、翌日にはその痕跡もなく完全に修復されていたり、かと思えば、食料はどれだけ食べても翌日には再び完備された状態にまで戻っていたり。

また、なぜかマスターとマシュには食欲もない。なにもしなくても痩せてしまうほど食を拒んでいる訳ではないが、とはいえ太るほどの摂取カロリーもない。

精神汚染的な攻撃がされているのかとも考えたがやはり無人島には彼女たち三人しかいなかった。

「ふぅ…先輩、ダヴィンチちゃんとの通信は回復しましたか…?」

「全然…。だいぶ前に向こうから通信があったっていうログは残ってるけど、今はもう全く繋がらない…なんだかね…ふぅ…」

「困りましたね…」

ベンチ大の丈夫な椅子に尻肉も溢れさせながら座る300kgの肉山二つは、横並びに座りつつ頭を抱える。普段は食べ物の事ばかり考えるほどの超肥満脳となっている者が、こうも真面目に考え事をしていると些か滑稽にも映るがそれも当然である。

カルデアとの連絡及び帰還手段も繋がらず、まるで異空間の孤島に幽閉されている状況は異質そのものだ。

「ぶふぅ、マジで、何がどうなってんだ、むぐっ、あむっ、ごっくん…げぷっ、ここは…?

がぶっ、むふぅ…おかしなことばっかだしよ…はむっ、もぐっ…ごくんっ…にしてもうめぇ♥️まだまだ食えるぜぇ!」

この無人島で最も怪奇な存在が大皿の肉料理をモシャモシャと食らいながら口を開く。食べかすが口回りに付こうと構わない。ただバランスボールのように膨らんだ腹の内で、無性に飢えを訴える空腹の虫を食の暴力で黙らせるその身体は、マスターらには及ばずとも立派な肥満体。

「…ごっくん!ぶふぅ、ぶへぇ…まんぷくぅ…♥️ぐぶぅぅぅぅぅ♥️」

べちんっ、ぶるるんっっ!ブヨッ…

朝食から一人で四桁キロカロリー単位の肉料理な山を平らげた身体は、元から慎ましやかだった胸がよりちっぽけなものと化すほど腹が肥大化し、ほんの数日でりんご体型の化身となっていた。

おまけに無人島に来てから目覚めた異常な食欲と消化吸収の早さで、食べたそばから盛大なげっぷをしたかと思えば、腹を叩いて贅肉を波打たせるとみるみる内に栄養が脂肪へと転じ、より身体が肉団子へと近づいていく。

「モーさんもここに来て凄く太ったよね…私とマシュとは違った肉質で立派なデブの仲間入り…♥️」

「私たち三人揃って超絶ぽっちゃりさんですね…先輩。まだモードレッドさんは300kgもないと思いますが…」

複雑な気持ちを抱えながら、同じ穴の狢がまた一人増えたことに笑みを溢す立香の横で、マシュはマスターの様子に苦笑いする。

だが当のモードレッド本人は、鏡もない無人島で自分の姿を見ていないためかまだ己の肥満化を自覚していない様子。

「んふぅ…だ、だからオレはデブじゃねぇって…!ぶふっ、多少膨らんだけど、全部筋肉だ…!ほら!」

だるんっ!!ぶよんっぼよん!

腕を上げて力こぶを作るポージングを決めマスターたちに主張する彼女だが、その二の腕は確かに丸太のように太いものの全て贅肉の山。筋肉の固さがあるはずもなく、揺らせばぶるぶるぶよぶよと震えるし触り心地は湿ったひんやりクッション。

にもかかわらず本人は自身の激太りを認めなかった。


「全くぅ…そのうち私みたいにシャワーも自分で浴びれない身体になっちゃうよ…?ね、マシュ♥️」

「は、はい先輩…今日もお背中流しますね…♥️」

当の昔に自力で身体を洗いきれなくなった立香は、マシュの超絶ぽっちゃり化以降、二人揃ってシャワー室に行くことで互いの身体を洗い合っていた。

無論二人で入れば狭くて苦しいであろうシャワー室だが、入浴と共に相手の肉を触る快感/触られる快感を味わえる貴重な興奮の時間として二人の間では重宝されている。

それは些細な設備しかない海の家でも継続中だ。

『…ちゃん!マシュ!聞こえ…かい!?』

そこへ暫くぶりの女声が随所にノイズを混じらせながら響く。こちらからいくらコンタクトを取ろうにも届かなかった通信が扉をこじ開けるかのように開通する。

「か、管制室から通信です、先輩…!途切れ途切れですがこの声は間違いなく…!」

「ダヴィンチちゃんだ…!も、もっと声がよく聞こえるところに行こう…!ふんっ、ぜぇ…ぶふっ、ふぅ…!」

受信と共に温かった空気が一転し、二人は徐に巨体を椅子から起こすと、ぶふぅ…と脂の乗った息を漏らして海の家から飛び出す。

300kgの肉塊がどれだけ揺れて弾んで、衣服から腹肉や胸がこぼれそうになっても気にせず走る。

それほどまでに事態の不明瞭さを取り払いたかったのとダヴィンチの声が聞きたかったのだ。

「ぜぇ…ふぅ…!ダヴィンチちゃん!聞こえる?」

「こちら三名健在です…!音声は届いていますか…!ふひぅ…」

太陽の下、何も通信を遮るもののない自然の中で二人は声を震わせる。

『あぁ聞こえているよ!二人ともすまない!君たちが出発して数時間後、その無人島に小規模特異点の反応があったんだけど……どういうわけか通信の再接続が完了したのと同時に反応も消滅したっぽくて…。聞き取り調査もしたいからすぐに帰還してほしい!』

映像も鮮明に通った通信の先に、内心心配していたのであろうダヴィンチの顔が映る。それと時を同じくしてマスター側の映像もカルデアサイドに届いていた。

「よ、よがっだぁ…無事に帰れそうで…ふぅ…」

「私も安心しました…!それと、安心したら……」

「安心したらお腹が空いてきたね…!ぶふっw…帰ったら一緒にブーディカの作ったご飯食べようよマシュ♥️」

「賛成です…!長らく食べていなかったような…懐かしい気がしますね、まだ食べていませんが♥️」

『おっとぉ…?立香ちゃんもマシュも、あんまり痩せてないみたいだけど…?むしろ太ったのかな?』

気を抜くとすぐに食の話を始める二人は、安堵によって緊張から解放され食欲を取り戻していた。その様子を半ばからかうダヴィンチだが、通信越しで見ると彼女たちの巨体さと画面の狭さから肉しか見えないのだろう。

「ふ、太ってないよ…!初日以外ほとんど食べてないし…!」

「本当ですダヴィンチちゃん!私たちよりむしろ……」

必死に身の潔白、ならぬ身の非増量を説く二人だが、会話の節々に暗雲が見え隠れしていた。それを天才が見逃すはずもない。

『そういえば、モードレッド卿の姿が見えないけど、彼女も無事なのかな…?霊基の消滅は確認できていないし、大丈夫だとは思うけ、ど……って何この魔力反応!二人の後ろにとんでもない数値の反応があるんだけど!?』


ズシッズシッ…!

「んぶふぅ…ま、待てよマスタぁ…ぶふっ、ふひゅぅ…!置いてくなって…!身体がっ、重くてぇ…上手く走れねぇ…ぶふっ、はふぅ…ぜぇ…」

カロリー摂取直後の図体でブロンドヘアを靡かせながら低速歩行する肉団子が、マスターたちのもとへ遅れて参上。無論、その身体は遠くから息を荒げて歩み寄る場面も含めてばっちりとダヴィンチの目に捉えられていた。

『も、もしかしてきみ、モードレッドかい!?そ、その身体はどうなってるの!?一週間でそんなに太るなんて…そもそもサーヴァントがこんなに膨らむなんてこと…信じられない!』


「ぶふぅ…お、オレが太ってるって…?だからそんなはず…」

『じゃあ自分の身体を見てごらんよ!これ!』

そう言ってダヴィンチが映像を転写すると、マスターら無人島組の通信には鏡のように自分達の顔や様子が映し出される。そこに映るのは二人のピンク髪・橙髪の巨デブと、その後ろでヒィヒィ言いながら己が身の状況を把握できていない球体フォルムのデブが一人。

「お、おい、誰だよこれ…。まさか…オレ、なのか…!?

こんなにデブってるのかよ!?は、腹も腕も顔も肉しか…げぷっ…太りすぎじゃねぇか…」

ぶにゅん!!ぶにっぶにっ…!どっぷんっ!

鏡映りの図体を見て咄嗟に自身の腹に触れると、丸々太った鏡の像もまた腹を掴む。特大ボールに近い腹肉をぐっと持ち上げれば、向こうもまた重厚な腹肉エプロンを持ち上げ、肉に埋もれたへその深さが目に見えてわかる。

筋肉質だった太ももは今やデカ尻とそこから垂れ下がってきた贅肉の層で極太となり、セルライトでブヨブヨ。二の腕は顔より断然大きく、饅頭サイズの小さな胸よりもデカイ。そして何より腹肉の多さ、二段腹の分厚さは仮にマシュと立香と並べてみても引けをとらないレベルで蓄えられている。

腹を中心として肥満化したその身体は、肉食ばかり積み重ねた汗臭さを伴う、球体、リンゴ体型そのものだった。

『と、とにかく全員今すぐ帰還してくれたまえ!事情聴取を始めるから…!モードレッド卿の激太りの件も含めて、ね…?』

「…そ、そんな…オレがあんなに太ってるなんて…!マジかよ…」

現実を直視しショックが隠せない彼女はあからさまに肩を落とす。それはその通り、筋肉質に整えられた身体は面影もなく肉まみれとなり、この図体ではいずれ他のサーヴァントに指摘されたりましてやアルトリアに問い詰められたりすることは避けようがない。それどころか円卓の騎士という立場すらカルデアに来てまでも奪われかねないのである。

とはいえ、帰還しないという選択肢があるはずもなく。

赤ビキニの紐が肉段の間に挟まれながら落ち込む背中を、より肉の付いた二人がそっと慰める。

肥満体同士の励まし合いが夏の無人島の空の下、繰り広げられていた。


マスターたちの帰還後、二人の巨デブの減量を試みて送り出したはずが、デブが一人増えて肉だらけのパーティで戻ってきた彼女たちにスタッフ一同騒然とする。

聞き取りをしても「一日経ったら食べ物も何も元通りになっていた」「なぜか食欲がなかった」「モードレッドが日を追う毎に加速度的に太っていった」などの一部検討すべきか悩む事柄も含まれるが、奇怪な事情ばかり。


後から調査隊として数名のサーヴァントたちを派遣して判明したことだというが、マスターらが生活していたという無人島は海の家はおろか、人が生活できる環境ですらなく、嵐によって荒れ果てた何もないただの島…だったとのこと。

三人が経験した短い夏の暮らしはなんだったのか、何者かによってデザイン、用意された舞台…夏の魔力による悪戯だったのか…。結局この件はそれ以降、“たった一人を除いて”何の影響を及ぼすこともなく、犯人捜しもされぬまま有耶無耶となってしまったらしい。


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モードレッド

Height:154.2cm → 154.6cm → 154.9cm

Weight:42.7kg → 79.6kg → 249.2kg

B:99.2 → 161.3

W:102.7 → 232.1

H:98.9 → 229.9



§§§


「ぜぇ…ふひゅ…ふぅ、誰にも、見つかってないよな…?ふぅ、やっと帰ってこれたぜ……話長すぎだっての。…人のことをデブ扱いして太った理由とかウザッてぇこと聞きやがる……あっ、そっか、オレ…太ったん…だよな」

真っ昼間に帰ってから日が暮れ、時刻は夜中一時。長らくスキャンと内診による身体検査、そして聞き取りに付き合わされ疲労困憊の中、漸く彼女は自室に行き着いた。

だがむしろ夜中までかかったのは好都合だったのかもしれない。何せこの時刻にもなれば極少数の夜行性サーヴァント以外は出歩かない故、ブクブクに肥えた無惨な肥満体モードレッドが衆目に晒されることもないからだ。

おまけに、事態の全貌把握までは至っていないものの、彼女がどうして短期間に100kg単位の肥満化を遂げる羽目になったのかは明らかになった。

『カロリー吸収量の極大上昇』および『消化効率の上昇』。今までダヴィンチですら見たことのない現象だが、一種の“NP獲得量上昇”に近い魔術干渉だと考えられる。

原理としては、モードレッドの胃袋に虚数ポケットを発生させた何者かが、『摂られた食事全てをそのポケットに流れ込むように設計し、虚数空間にて食べ物を分解し液状化、それを胃以降の消化器官に虚数ポケットの出口を設ける事で流し込み、超ハイパフォーマンスな栄養吸収・消化システムを構築した』のだという。

いわば虚数トンネルが体内に発生したらしいが、そうなればいくら食べても結局胃袋に食べ物が貯まる事はないため、食べても食べても満足しない状況にもなり得るそうだ。


しかしそんな理屈や原理など「反逆の騎士」たる彼女にはどうでもよかった。他人の思惑に振り回されるのも、それに乗っかるのもうんざりなのだ。

ただ彼女は自室で一人夜を迎える。

ぐぎゅ…ぎゅるるるるぅっ…!!

…もう身体には何も異常はないというのに。

どうしてか、胃袋は飢えを叫ぶ。食べ足りない。

思えば最後の食事は今朝のこと。それから暫く飲まず食わずで、モードレッドの250kgの身体は深刻な栄養不足に陥っているのかもしれない。

食べなければ…。食べなければ。

不意に嗅覚へ意識を向けると部屋に漂う甘い匂い。

帰宅時には感じなかったそれは、匂いのもとを辿るとそれは部屋の隅に塊のように密集していた。

「ふぅ…!はぁ!はぁ…!こ、これ…チョコだよな…確か今年のバレンタインにマスターにやった……。ごくりっ…他の奴らのも……父上のもある…」

未だ立香によって消化されきっていなかったバレンタインチョコの山がなぜかそこに山となっている。

筋肉の基となるたんぱく質が含まれているわけでもない、当然野菜や果物でもない。ただ甘味とカロリーが固形となったチョコが積まれている。

食べれば太る。だが何か食べなくては…!


もぐっ、むふっ、食べねぇと…飢え死にする…!うめぇ…とまらねぇ…!むごっ、バリッ、ごくんっ…もっと…もっとぉ…♥️

いくらでも食えるぜぇ…♥️太ってももういいや、とにかくもっと食いてぇ♥️ぶふぅ…もぐっ、あむっ!ごっくん…すげぇでけぇのもあるな…♥️ふひゅぅ…全部平らげたら…オレ、もっと太っちまうのかな…マスターみたいに…♥️

ぶふぅ…まあいいや…げぶぅぅぅぅ!いただきまぁむ♥️」

自我の壊れた絡繰のように、その巨体は太い指で様々なチョコのパッケージを破っては中身を口に運ぶ。

一個、五個…十個…十五個…大小異なる甘味を悉く腹に入れ、空腹を少しずつ満たしていく。

その器が満タンになるのは何時のことやら。

次第にチョコは彼女の高まった体温で溶け、指先をコーティングし口元を汚していく。だが構わない。

ただ食べたいという欲一心で、腹を膨らませる。パンパンに張った腹の重さがやがて贅肉となって全身に纏わりつく。それも眼中になく、モードレッドにとってのアルトリアの存在も他のサーヴァントの目もマスターのことも考えずにひたすら栄養を貪った。


§§§


「よぉマスター!邪魔するぜ!おっ、相変わらずでけぇ図体してんなぁ…。っと、これからあいつ捜しに行くんだが心当たりねぇか?」

無人島生活から数日経った日の昼下がり。立香が一人自室で「絶対減量マニュアル」と記された冊子を読み込み、筋トレ(?)をしていると、ヤンキー英霊が乗り込んできた。

名をカイニス。水着霊衣も得て浮かれ気分なその人もまた普段はよく悪戯をしてマルタに追いかけられたり、ケイローン主催の戦術勉強会に参加したかと思えば私語を注意されてその度に廊下に立たされたりしている不良英霊の一騎である。

「んっ…ふぅ…やっほ…カイニス。ぜぇ…腹筋のトレーニングってなんでこんなに苦しいんだろうね…ふぅ…で、”あいつ”って?」

トレーニングウェア姿で上体起こしをしていた身体を、べたっと床に寝転がらせてマスターはいう。持ち前の内臓脂肪たっぷりの腹が山のようにこんもりと盛り上がり、行き場をなくした巨乳と首回りの肉がトレーニングウェアごと顔の方へと流れ込み気道を狭くしている。

腹筋のトレーニングが余計にキツいのはその身体のせいだ。とはいえ、下乳が丸見えの状態でも立香にとってカイニスは同じ女性判定のため身構える必要はない。

「うっわ…すっげぇ腹だな、改めてみても…。」

ベシンっ…ぶるるんっ!

「も、もう…!そんなに叩いて遊ばないでよ…人のお腹で…♥️」

話が脱線するようにカイニスがマスターの腹を叩くと、太鼓のような音を返しながら、脂肪が波紋のように広がる。立香自身も内心そこまで嫌がっておらずもはや触られる快楽をマシュ以外のサーヴァントにも存分に感じていた。

「いけね…そうだ、あいつだよ、モードレッド。今日一緒にルルハワで釣りする約束してたっつぅのに、昼まで待っても待ち合わせ場所に来やしねぇ…。んで、オレがこうしてマスターのところに聞きに来たってわけだ」

モードレッド、その名を聞いてそれまでまったりとしたペースで仕方なく筋トレをしていた立香の思考が加速する。先日の無人島生活の末、250kgまで短期間で激太りした彼女が数日のうちに痩せていることはまああり得ない。

立香自身も身をもって感じているが200kgを優に超えた身体は痩せようにも思うように動けないし食が身に染み付いている。現に筋トレに微量ながら励んでいるが、その分夕食からはマシュと共に行動することで食事量は増えるわ肥満体への自己肯定感が高まるわで1kgも痩せてはいないのだ。

しかしあのモードレッドがカルデアで最も意気投合しているように見えるカイニスにさえ音信不通とは…。もしかしたらジキルやフラン…はたまたマルタとは顔を合わせているかもしれないが…。

と、考えを巡らすうちに一つの可能性に行き着く。

「んぐっ…!ちょ、ちょっとカイニス、手貸して…!ぶふぅ!」

「お、おう!起こせばいいんだよな…!?って、すっげぇ手汗だな…後で拭こっ…」

ダンゴムシのように丸まった身体をカイニスの助力もあって起き上がらせ、ベッドの隅に手を付きながら立ち上がる。その動作だけで珠状の脂汗がわき始めるが、ここで彼女が休むことはなかった。

「ぶふぅ…よいしょっと…い、行こうカイニス」

「行くって…心当たりがあんのか!」

「ほふっ、ふぅ、うん。モーさんの部屋にね」


§§§


だぽんっ!どぷんっ!ズシッ…!ズシッ…!

「ぶふぅ、ふぅ…!日中に廊下を歩くなんて…ぜぇ…久しぶりだなぁ~…んふぅ…」

カルデア館内の廊下の幅を三分の二以上占めながら、トレーニングウェアのまま肉をバウンドさせて歩く巨体。

300kg超えの肉体は、ふくらはぎまでブヨブヨパンパンに膨れた脚で一歩踏み出すと、ズシッという廊下の微震動と共に、太ももから巨尻、特大の二段腹、何重もの背肉、張り裂けそうに熟れた巨乳を揺らす。そして最終的に一歩踏み出すだけで呼吸を乱しながら顎肉頬肉を震えさせ、全身からも汗の滝を起こさせる。

荒い吐息を盛大に漏らしながらペンギンのように左右に揺れて歩くその肉に、隣を歩くカイニスもたじたじだ。

「…げ、現代人とかマスターの故郷には、これくらい太った奴がゴロゴロいんのか…?」

「えっ…ぶふぅっ…そんなことないよ!私が太りすぎなだけ…ちょっとだらけすぎちゃった…的なね!ふぅ…ぜぇひゅ…」

「だよな…流石にマスターレベルのデブで世界が溢れかえってたら俺、神霊どころか英霊すら辞めるわ」

…と、そうこう話しているうちに目的地。

カイニスも一度は訪ねたが返事がなく、ドアを壊そうとも考えたが後が面倒だと悟ってなにもしなかったモードレッドの部屋だ。

「ふぅ、モーさん、いるんだよね?ごめん、入るよ…?」

立香の肥満化以来、彼女とマシュ、そしてダヴィンチを始めとした一部の上位陣のみが持たされているマスターキーで、その部屋の扉を開ける。

プシュー…

「うっ、すっげぇ臭いだな…なんだこれ!?」

「やっぱり、かな…たぶんジャンクフードと…ケーキの匂いだね…うぅ…食べたい気持ちを我慢…我慢…」

自動ドアが開いた先から流れ出す濃い匂いに、カイニスはたじろぎ、マスターは自身の経験を喚起する。自分と同じだと。

部屋に明かりは付いている。人の気配もあり。何か大きなものがモゾモゾと動いているような…。

「モードレッド…だよね?これまた随分おっきくなって…もしかして私以上とか…?」

「う、嘘だろ、お前モードレッドかよ!?なんたってそんなデb…太ってやがるんだ!?」


「んぶふぅ…マスターとカイニスか…。くっそ…オレ、だいぶ太ったよな…?んぐふぅ…ぜぇ…起きられねぇ…

まさかこんなにオレが太るなんて…げぷっ…食っても食っても腹が空いてこの有り様だ…。パンツも破れたし…。

ギュルルルルゥ…ぶふぅ…はぁ…!はぁ!マスター…!そこのケーキ取ってくれ…腹が減って…我慢できねぇ…」

室内に深く入っていくとベッドの隣に横たわるペールオレンジの巨肉。これ以上付きようがないほど肉の蓄積されたその巨躯は横になるだけで全ての脂肪が重力に負け、胸は垂れ、目測で100kgは容易く超えていそうな腹肉はだゆんだゆんに床へのしかかり、巨大なスライムのようにモードレッドの一挙一動でぶるぶる震える。

250kg時点で顔面より大きかった二の腕はより太さとたくましさを増し、塊肉のように膨らんで筋肉の存在を感じさせない。

というか、既に床から起き上がれない時点でほとんどの筋肉はサーヴァントとしても人としても衰えきって全身贅肉まみれだろう。

脚ももはや膝が肉に埋もれたことでどこまでが太ももでどこからがふくらはぎなのかは肉段で見分けるしかなくなっていた。


「えっ…ケーキ?って…もしかしてこれ?」

立香が回りを見渡すと確かにテーブルの上にはケーキが置かれており、よく最近厨房で「注文された」といって調理担当たちが作っているのと同じものがあった。

迷う。渡すべきか…だが、あまりのモードレッドの食欲を訴える目と気迫に押され、そのケーキを渡してしまった。

直径40センチの超パーティサイズのホールケーキを。

「ありがとなマスター…!いただきまぁむぅ…♥️むぐむぐっ…甘ぇ…染み渡るぜ…ぶふぅ、あむっ、ぐぷっ、かぶふっ!ぶふぅ…!たまんねぇ…♥️」

顔面から突っ込むようにケーキにかじりつき、頬をクリームで染めていく。その様子はエサを与えられた豚の如く。

「むふぅ…あむっ、むぐっ…ごくん!」

「こ、これでよかったのかなぁ…?」

「…いや。良いわけないだろぉ!?こ、こんなに肉まみれじゃコイツこれからずっとこのままだぞ!?」

モードレッドの巨肉の横には、無残にもぐしゃぐしゃに凹みかつバラバラになった鎧が散乱しており、無理をしてこの巨体で鎧を纏おうとしたが肉厚に負けて弾け飛んだことが伺える。その本来は変形もする鎧と剣に対して、同じセイバーというよしみかつ密かに興味をもっていたシャルルマーニュがこの光景を目にしたら卒倒してしまうだろう。

貪り食うモードレッドを脇目に、立香は内なる食欲を抑えながら事態の深刻さを測るが、結論を出す前に並び立っていたカイニスの方から口を開いた。

「…オレが痩せさせる。ぜってぇダイエットさせてやる…!じゃねぇと毎日退屈だしな…」

不良二人組のうち相方が300kgオーバーの肉の山となったことで、水着霊衣を以て体得した保安要員としての炎も大きく燃え上がり、今度はダイエット指導官カイニスとしてその人は立ち上がった。

目前の巨肉の二の舞にならなければいいのだが…。

そんな不安をマスターは覚えながらも、一連の肥満化事件は幕を下ろした。

当然、その後更なる激太りに反逆できず肉山となってしまったモードレッドの存在はマシュにもダヴィンチにも伝わることとなり、以降カルデアでは更なる厳重な肥満化防止の施策がとられるようになったとか。

斯くしてカルデアにおける肥満化事例が一つ加算されたわけだが、果たして立香やマシュ、彼女たちが痩せられる日は来るのだろうか…?


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モードレッド

Height:154.2cm → 154.6cm → 154.9cm → 155.3cm

Weight:42.7kg → 79.6kg → 249.2kg → 337.3kg(743lb)

B:99.2 → 161.3 → 201.8

W:102.7 → 232.1 → 289.4

H:98.9 → 229.9 → 253.9



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