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こんにちは、スタジオ真榊です。AnimagineXL3の登場後、SDXL用ControlnetとV3インペイントを組み合わせることによってかなり自由度の高い絵作りができるようになってきたので、今回は久しぶりにワークフロー紹介の記事を書いてみようと思います。


先週、Animagine3.1の性能テストを兼ねて久しぶりに異世界転生アウラちゃんを連投していましたら、アニメ最終回の時期だったからかフォロワーさんが急に増えまして、以来「この絵はどうやって作っているのか」「どうやって学習させているのか」という問い合わせを複数いただくようになりました。


「中央にちびキャラの載った金色の天秤があり、こっちに傾いていて、背景でフリーレンとアウラがこんなポーズ・表情で眺めている」というようなプロンプト指示だけで簡単に生成できるなら話は早いのですが、幸か不幸か画像生成はまだそんなレベルにはありませんので、これまで研究してきたトンチキi2iやCN、拡張インペイントといったテクニックをこまごまと組み合わせて作っています(LoRAも未使用)


最初は個別にDMで対応していたのですが、対応しきれなくなってきたので、今回はこちらの作例についてワークフローを記事にまとめたいと思います。

どういう絵をどれくらいの手間で作りたいかによって適切なフローは変化すると思いますが、これは人気投票の結果発表に間に合わせるため、だいたい2時間くらいで急ごしらえしたもの。作りながらツイートしていた投稿を時系列順に追いながら、できるだけ分かりやすく振り返ってみるつもりです。


目次

1.モチーフを決める

2.製作開始―天秤を描く

3.天秤を机に載せ、高さを調節

4.でかアウラを作る

5.ちびアウラ&フリーレンを「同時ガチャ」で作る

 ー「複数プロンプト同時ガチャ」

 ー「近似値ガチャ」

6.ちびキャラ配置&文字入れ

7.加筆修正、全てのモチーフをなじませる

8.反省点の振り返り



1.モチーフを決める

さて、天秤モチーフのイラストを作ることになったのは、仕事から帰る電車内で「フリーレン第2回キャラクター人気投票」の結果発表が始まっていることに気付いたのがきっかけでした。なんとなくアウラちゃんは上位に食い込んでくるのだろうなという気はしていたのですが、3月25日午後8時ごろ、主人公であるフリーレンが5位であることが判明。少なくともこの時点でアウラがフリーレンを上回ったことは確実になっていたので、せっかくだし何かお祝いイラストを作ろうかと思い立ちました。



この人気投票、実は1人1票ではないというのと、主人公が悪役に投票で負けるという面白シチュエーションだったこともあり、例のチョコワのミームがすぐに連想されました。いまフリーレンを見ている世代にはもう通じないかもしれませんが、「人気投票&まさかの主人公敗北」と聞くと、おじさん世代にはもうこれしかないだろ!という感じですね(笑)



最初はあれをそのままパロディして、「いますぐ投票、フリーレンを助けて!」みたいなイラストにしようかと考えたのですが、手描きならともかくAIイラストでそれをやると単なるi2iパクリのような印象を与えてしまい、楽しいイラストにならない可能性が高いように思いました。結果論ですが、同じことを思いついた方は多かったようですので、やめといて良かった…。


            ▲まさにこれをやろうとしてました


ただ、天秤をモチーフにして人気投票のありさまを描くアイデアは良いように思えたので、上位入賞のお祝いイラストという趣旨を重視して、アウラが投票結果を優しい表情で見守っている平和なイラストにすることにしました。


この時点で「テーブルの上に載ったアウラの天秤にちびアウラとちびフリーレンが載っており、ちびアウラが勝つ様子をアウラ本人が眺めている」「アウラはテーブルの上にリラックスした様子でひじをつき、本編とは違う結末を果たした分身に満足そうな微笑を浮かべている」というおおまかなモチーフが頭の中で決定。数日前に異世界転生アウラちゃんがバズったばかりだったので、今回ではギャグ調ではない、本来の「アウラ様」のダーク感やセクシーさを表現したいなと考えました。(ちなみに、天使の輪っかをアウラの頭上に浮かべるアイデアも思い付きましたが、せっかくのお祝いイラストに死を連想させるのはどうかなと思い、やめておきました)


2.製作開始―天秤を描く

・・・といったことを仕事帰りの電車に揺られながらふにゃふにゃ考えていましたが、そうこう言っている間に上位キャラクターの発表はどんどん進んでいくので、帰宅してすぐ製作に取りかかりました。この時点で作るものははっきりしていますし、アウラの生成はこれまでも繰り返しやってきたので、キャラ生成については特に難しいことはありません。難しいのは「天秤」の再現のほうでした。


せっかくなので、アウラが本編で使っているアゼリューゼ用の天秤を思わせるデザインにしたいのですが、あちらは手に持って使うものなので、机に載せて眺めるのには向きません。また、でかアウラが手で天秤を持っていると、投票結果を外から眺めているというよりは自ら操作しているような印象の絵になってしまうので、「接地型」の天秤にすることは譲れないポイントです。


        ▲本来はこうやって手に持って使うタイプ


天秤をtext2imageで生成するのはごく簡単ですが、問題はちびアウラが乗る左のお皿がフリーレンの乗る皿より下に傾いていないといけないということと、のちのちキャラクターと「タッチ」を合わせないといけない点です。


DALL-E3などに頼めば、このようにきれいなものを出してくれますが、テキスト指示で天秤の形状や傾きをいちいち説明して直していくのは面倒ですし、DALLEの塗りはAnimagineと特徴が違いすぎます(Controlnetでデザインだけ抽出したり、傾きを画像加工で再現することもできますが、面倒くさかった)。机置きにするにせよ、アゼリューゼ用の天秤と似たデザインにしたかったので、Netflixでアニメ本編を見返しつつ、次のようなトンチキ絵をクリスタで描きました。




思った通りの形状と傾きの天秤画像に行きつくには、これまでの検証で言うところの「トンチキi2i」の手法が最も早いだろうと判断したわけです。

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i2iさせるのが目的のトンチキ絵ですので、縁取りすら必要ありません。適当な筆ブラシでざざっと描き、レイヤーの空白部分を保護して影をつけただけです。このへんのやり方は既に書いた通りですのでこちらを参照のこと。


AIイラストのためのCLIP STUDIO超入門

 ▶【第1回】プランとペンタブ選び、初期設定、おすすめ素材まで

 ▶【第2回】絵心一切関係なし!破綻した手を描き直す

 ▶【第3回】最重要ポイント『AI瞳』をレタッチしよう


大まかな形状とカラーとディティール(この場合は影)さえ入っていればOKです。ファンタジー世界である雰囲気を壊さないように、テーブルは木製ということにしました。



ひどいトンチキぶりですが、これをAnimagineXL3.1でimage2imageします。プロンプトは「balance scale,on wooden table,golden,chain, no humans, simple background, white background, masterpiece, best quality, very aesthetic, absurdres, sketch,unfinished,graphite \(medium\)」。あまり美麗になりすぎると悪目立ちしてしまい、キャラクターよりも視線を集めてしまうので、あくまで舞台装置になるようなスケッチ系のプロンプトにしています。i2i強度は0.7前後で調整しつつ、何度か試しました。



これはどちらも失敗作。i2i強度が強すぎて、もはや形状が全く違うものになってしまったり(左)、逆に低すぎてトンチキ絵の低劣さが継承されてしまったり(右)しています。これでは、わざわざトンチキ絵を描いた意味がありません。



何度か試して一番マシだったのがこれ。あとでこのような記事にすることを想定していなかったため、生のpngデータがなくツイッターに貼ったスクショしか残っていませんが、さきほどのトンチキ絵を0.8前後の強度でi2iしたものと記憶しています。



さきほどのDALL-E3に描かせたものと比べると非常に低劣ですが、おおまかな形状さえ合っていればあとでインペイントできるので、細部はあまり気にしないでとにかく急いで進めました。お皿のチェーンの長さが左右で違ったり、そもそも左のお皿が地面に着いてしまっていたりと問題だらけなのですが…そのへんは画像加工とインペイントであとからなんとかしようという発想です。


ただ、正直あまりにクォリティがいまいちだったのを後悔していて、続編のイラスト(フェルン&シュタルクver)を作ったときはもう少しだけマシにしています。


ちなみにこちらはどうやってマシにしたかというと、形状がおおむね確定した段階でそれをControlnetの「canny」で読み込み、Control Weightを0.7と低めにして形状をほぼ確定させつつ、強めにi2i(強度0.9)して品質だけを上げるという一手間を掛けています。

Control Weightをデフォルトの1のままで生成すると、モデル画像の輪郭の低劣さに引きずられてしまうので、トンチキ絵でヒントを出す系の生成では、weightを弱めに掛けるのがコツです。


3.天秤を机に載せ、高さを調節

メインモチーフである天秤の素材ができたので、まずはおおまかな構図を作ります。さきほども触れましたが、私のトンチキ絵がトンチキすぎたために、ちびアウラが載るべき左のお皿がテーブルに接地してしまう問題が発生していました。ぶっちゃけ天秤の柱が長ければそれでよいので、このように切って伸ばしておしまいです。


拡大すると分かるかと思いますが、主軸の途中までを選択して離れた位置にカットアンドペーストし、途切れてしまった主軸の切り口をびよーんと縦に拡大してつじつまを合わせただけです。細部はあとでi2iかインペイントで馴染ませればよいので、とにかく「どこに何があるか」を確定するのが先なわけですね。


次に、この天秤が載ったテーブルを用意します。ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のような、テーブルを前にした人物を正面から描く構図なので、テーブルは丸テーブルではなく横にどこまでも続くような食堂の机にしたいところですね。(この時点で、左右にほかの主要キャラクターをどんどん追加していって、最後の晩餐風の集合イラストにしていけたらいいなという思惑もありました)


テーブルのあるべき場所を木の色でトンチキに塗りつぶしてi2iしてしまってもよかったのですが、せっかく決めた天秤の形がまた変化するのは嫌だったので、ここはNovelAIのV3インペイントを使うことにします。NovelAIのキャンバスサイズに合わせて、1024x1536ピクセルのキャンバスを用意し、おさまるべき場所に天秤素材画像を拡縮して配置。それをこのように読み込ませ、マスクします。


※V3インペイントについてはたくさん記事にしていますので、細かな使い方についてはそちらを参照のこと。

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プロンプトは「balance scale,on wooden table,golden,chain, no humans, simple background, white background, [[ai-generated]],{{{amazing quality, very aesthetic}}}, sketch,unfinished,graphite \(medium\)」。NovelAIの規定キャンバスサイズに合わせた1024x1536ピクセルで用意しているので、生成サイズも同じにします。ここの縦横比がおかしいと、生成画像も狂ってしまうので注意が必要。


結果、このようにテーブルの上に載せることができました。



4.でかアウラを作る

メインモチーフの次は大きいものから作って構図を確定させたいので、でかアウラを作っていきます。これはいつも作っている転生アウラちゃんと同じ要領で、服装を原作の魔族コスチュームにすればOKです。イメージ的には、コミカルな転生アウラちゃんではなく、こちらの公式イラスト風のダークでセクシーな感じなアウラにしたいと考えていました。



こちらの記事の手法で、さきほど用意したテーブル画像の背景にでかアウラをインペイント生成することもできるのですが、インペイント生成はどうしても品質が下がる(画像生成は大きく描くほどクォリティが高くなり、狭い範囲に描かれるものは低劣になる)ので、単純にアウラだけをanimagineXL3.1でt2i生成して合成することにしました。複雑な背景にキャラクターを溶け込ませるときには有効なのですが、今回は単純にテーブルのうしろに座らせるだけでOKなので、t2i合成で十分です。


設定は以下の通り。スケールは手書き風のタッチを活かすため、4.5と低めにしています。パキッとした線画+アニメ塗りにしたいときは高めにすると良い感じです。


プロンプト:1girl,aura (sousou no frieren) ,sousou no frieren,looking down,half-closed eyes, evil smile, black_gloves, blue_eyes, clothing_cutout, demon_girl, demon_horns,elbow_gloves, gloves, gold_necklace, hand_on_own_chin, hand_up, head_rest, horns, jewelry, long_hair, looking_down, navel, navel_cutout, necklace, pink hair, (quad_braids, multiple braids,short low braids:1.2),simple_background, solo, upper_body,sketch,unfinished, graphite \(medium\),masterpiece, best quality, very aesthetic, absurdres,invisible ears,invisible eyebrows


ネガティブ:chibi,2girls,ears,thick eyebrows,sheep horns,bokeh,depth of field,demon wing, nsfw, lowres, (bad), text, error, fewer, extra, missing, worst quality, jpeg artifacts, low quality, watermark, unfinished, displeasing, oldest, early, chromatic aberration, signature, extra digits, artistic error, username, scan, [abstract]


何度か4枚生成し、こちらの右上の一枚を採用しました。


【ちょっと脱線】おさげの本数が違う?

AnimagineXL3.1で作ると自分のイメージ通りの顔立ちになるのですが、そこまでアウラの容姿を完璧に学習しているわけではないので、たいていの場合おさげが二つになってしまいます。 (quad_braids, multiple braids,short low braids:1.2)という感じで強調しても、あの特殊な髪型(6本おさげ)はなかなか出ず、出たとしても正しい位置やサイズにならないので、加筆でなんとかしていました。CivitaiなどにあるキャラクターLoRAを使えばこんな感じで再現できるのですが、顔立ちなどが公式絵に寄りすぎると前述の理由で楽しめないイラストになりますし、LoRAの出来に生成結果が大きく左右されるのが好みではないので、私はよほど使い慣れたLoRA以外は使用する場面は少ないです。


      LoRA使用アウラちゃん。躊躇なく店長殺しそう



脱線終わり。


そんなわけで、大急ぎで仕上げねばならなかった今回のイラストでは加筆する時間がなかったため、おさげが正しい本数ありません。これまで投稿したアウラちゃん絵は、おさげがちゃんと6本ある場合、うち4本は加筆かコピペです。よく見ると下手くそなので、どれが私が描いたかバレると思います。



5.ちびアウラ&フリーレンを「同時ガチャ」で作る

でかアウラと天秤、テーブルを合成してみると、このような感じ。

おおむね良いサイズ感で、左上にあるでかアウラの視線で天秤に視線誘導もできるので、この路線で進めることにしました。右上に大きな余白ができますが、ここに投票結果のテキストを入れる予定でしたので、計算通りです。


最近読んだ視線誘導の解説本には、視線誘導の基本は「Z」(左上から右下へ)もしくは「N」(右上から左下へ)だというくだりがありまして、人は四角いコンテンツを目にすると、左上、右上、左下、右下の順に自然と目が行くので、それに沿ったデザインをすると見やすいコンテンツになるという趣旨だったかと理解しています。新聞なんかは「N」デザインで記事を配置していて、各記事の中も「N」の順に文字が配置されている入れ子構造ですよね。


もしこの絵の右側に文字が入ると、「7」のような視線誘導になってしまう(アウラの視線で天秤に視線誘導できない上、右下が空いてしまう)ことは気に掛かっていましたが、これは後で工夫することにします。


この時点で午後9時15分。ちょうど3位がフェルンと発表されたタイミングで、相当焦っていました。



この時点で残っていたのはアウラとヒンメル。私自身「マジでアウラちゃんが1位!?」と思っていましたし、Xではすぐに「アウラ1位」がトレンド入りするほど盛り上がっていました。(このイラストはアウラ2位が判明した後に作ったもの)


話がそれましたが、さっそくちびアウラとフリーレンを作っていきます。


ちびアウラPP:1girl,aura (sousou no frieren) ,sousou no frieren,chibi,deformed,sitting, looking up,black_gloves, blue_eyes, clothing_cutout, demon_girl, demon_horns,expressionless,ringed eye,elbow_gloves, gloves, gold_necklace, hand_on_own_chin, hand_up, head_rest, horns, jewelry, long_hair, looking_down, low-braided_hair, low-tied_hair, navel, navel_cutout, necklace, pink hair, (quad_braids, multiple braids,short low braids:1.2)simple_background, solo, sketch,unfinished, graphite \(medium\),masterpiece, best quality, very aesthetic, absurdres,invisible ear



ちびフリーレンPP:1girl,frieren,sousou no frieren, chibi,deformed,looking to the side,expressionless,black_pantyhose, sitting,sketch,unfinished, graphite \(medium\),black_shirt, boots, brown_footwear, capelet,elf,gold_trim, green_eyes, holding, long_hair, long_sleeves, pantyhose, parted_bangs, pointy_ears, shirt, simple_background, skirt, sleeve_cuffs, solo, striped_clothes, striped_shirt, twintails, white_background, white_capelet, white_hair, white_shirt, white_skirt,masterpiece, best quality, very aesthetic, absurdres,invisible ears, white background,simple background


おおむねプロンプトはよさそうですね。さすがAnimagine3.1、LoRAなしでもフリーレンはほぼ完ぺきなデザイン再現度です。公式絵そのものを持ってきたような気持ち悪さもありません。フリーレンに比べてアウラの衣装は微妙な出来ですが、加筆でなんとかなりそうに思えます。


実際に作っていたときは本当に時間がなかったので、数回の生成で次の段階に移ってしまいましたが、本来はここでt2iをある程度繰り返してイメージ通りのポーズになるよう探った方が品質よくできると思います。ちょうどよいので、複数プロンプトを使った「同時ガチャ」と、惜しいイラストができたときに使える「近似値ガチャ」についてここで触れておきます。


▽複数プロンプト同時ガチャ

「ガチャ」と言えば通じると思いますが、t2iではある程度ランダムSeed値(-1)で生成を繰り返し、多数のAI絵の中から特によくできたものをチェリーピックすることが一般的です。ただ、複数のプロンプトでガチャをしたい場合、1つ目を終えてから2つ目に取り掛かろうとすると手間がかかって困ります。こういう複数キャラ(もしくは同キャラの複数ポーズ)をガチャしたい場合は、wildcardを使いましょう。


ちびフリーレンとちびアウラのポジティブプロンプトをそれぞれ書いたら、テキストファイルを開き、このように2行に分けてプロンプトを記載します。(ガチャしたいプロンプトが3つ以上ある場合は3行以上でも可)

「frierenaura」とか適当な名前をつけてwildcardフォルダに放り込み、PPは「__frierenaura__」のみで生成します。こうすることで、2種類のプロンプトのガチャを同時に行うことができて時短になるわけですね。

こちらのスクリーンショットでは、ランダムでアウラかフリーレンのどちらかが採用されて生成されているのが分かると思います。ちなみに、事前にちゃんと生成実験をして、このプロンプトでイメージ通りの生成ができるか確かめておかないと、失敗作が大量生産されてしまうので注意しましょう。


▽近似値ガチャ

イメージ通りのものをチェリーピックできればOKなのですが、「惜しい」画像しか得られなかった場合、ここから「近似値ガチャ」を行います。こちらの記事(ずいぶん古くてごめんなさい)で解説していますが、これはあるseed値で生成できたイラストを基準にして、そこから少しだけ変える設定でt2iガチャを繰り返す手法です。

「惜しい画像」捨てないで!Variation機能の活用法

こんばんは、スタジオ真榊です。日々色んなLoRAを試しては生成、試しては生成で、ぜんぜん本来業務(同人製作)が進んでおりません! 行けるところまで行ききらないと同人の続きが作れる気がしなくなってきたので、もう開き直ってきました。 そんなわけで、今日は「惜しい画像」についての記事です。 皆さん、お目当て...


偶然性に頼るガチャはあまり好かないのですが、自分のイメージ通りに生成結果を寄せるためのガチャであれば大いに活用したいと考えていますので、この「近隣seedガチャ」で品質を上げるのはよく使う手法です。おおむねポーズや構図を継承しつつ、たくさん改善案を出してもらえます。あるseed値のイラストをimage2imageでガチャをするようなものですが、より手軽で狙った結果を導きやすいテクニックと言えます。


たとえばこちらのイラストが気に入ったとしたら、t2i画面左側の♻ボタンでSeed値を呼び出します。


「1667947359」がこの画像(基準画像)のシード値。このように、♻ボタンの真横にある「その他」にチェックを入れ、バリエーション強度を0.1前後にします。この値が大きいと基準画像から大きく変化しますし、小さいとほとんど変わりません。


バリエーション強度「0.1」だとこれくらいの変化。指や衣装の細部がちょっとだけミスっていて「惜しい!」となったときは、加筆で直す前に「近似値ガチャ」を挟んでみると省エネできるかもしれません。



6.ちびキャラ配置&文字入れ

ちびキャラを左右のお皿の上に配置します。お皿の形状からして下半身が隠れるので、生成するのは上半身だけでよいかなと思っていましたが、フリーレンの腰掛けポーズが可愛かったので、これはこれで生かすことにしました。


お皿に載せるのは簡単で、クリスタでちびキャラのレイヤー透明度を50%にして、お皿の上のちょうどよい位置に拡縮して合わせたら、不必要な部分を消しゴムするだけです。お絵描きではなくコラージュの技法ですね。


お皿を支える天秤の鎖(ひも?)がキャラクターの手前を通るべき部分があるので、ここにも消しゴムを掛けておきました。透明度を戻せばきれいに座っているように見えます。(※ちびキャラのツノのさきっちょが見切れていて足りなかったので、同じ色で適当に描き足しています)

この鎖(ひも)の位置には立体的にうそがあるので、時間があるなら消して自分で描き直したほうがよいと思います。



この作業の時点でちょうど午後9時半。ヒンメル1位&アウラ2位が発表されました。急がなくてはなりません。



こちらはフリーレンを載せたところ。座り方が不自然ですし、杖のデザインも適当ですが、時間がないので背に腹は代えられません。


ただ、「アウラに負けちゃった…感」は出しておきたかったので、少しだけ加筆して表情だけは変えました。



次は文字入れです。本で学んだ「メインの情報はできるだけ大きく・太く・端的に」「はみ出したり見切れても実はOK」「組み合わせるフォントの相性に気を付ける」ということを念頭に、このように配置しました。

文字にグラデーションを掛ける方法は簡単で、「文字ツールで入れた文字をラスタライズ」▶「余白部分を保護してグラデーションツールを掛ける」で一発です。好きなグラデーションパターンをたくさん登録しておくと、「仕上げグラデーション」などにも使えてとても良いと思います。


とにかく「勝利」を大きくして最初に見てもらうことと、右下の文章が最後に目に入るようにする(勝利、に目をやったあとにちゃんとキャラクターを見てもらえるようにする)ことを心がけました。


▽仕上げグラデーション

グラデーションとひとくちに言っても、エロいグラデーション、エモいグラデーション、虹色グラデーション、夕日や青空、夜空を思わせるグラデーションなどがありますね。クリスタのアセット集(CLIP STUDIO ASSETS)では、多くの「グラデーションセット」が有償・無償で公開されていて、合成モードとグラデーションマップを操作することで、さまざまな効果を簡単に掛けることができます。例えば、「オーバーレイ」モードで4種のグラデーションを掛けると、こんな感じになります。

単にエモくするだけでなく、画面全体のカラートーンを強制的に統一する力もあるので、今回のようにAI絵を組み合わせて一枚の絵に仕上げるときには非常に重宝するテクニックです。CLIP STUDIO ASSETSには仕上げグラデーションをボタン一発で掛けられるオートアクションもあり、大変役に立ちます。




7.加筆修正、全てのモチーフをなじませる

ところで、現在画面上にあるそれぞれのモチーフは拡縮したことによって細かなタッチの違いが生じています。基本的にAnimagineXL3.1由来ではあるため、さほど大きな違いではないものの、特にアウトラインの太さは統一しないと強い違和感が生じてしまうと思われます。


異世界転生アウラちゃんシリーズはあえてスケッチ風にアウトラインを乱すことによって、細かな描写ミスやAI由来の違和感を緩和させる試みをしていますが、このようにイラスト内で齟齬をきたさないためには、アウトラインの統一を図ることが重要です。


スケッチ風+フラットなアニメ塗りであれば、違和感のある部分を塗りつぶすのも非常に簡単なので、1ページマンガにするのに最適なのですよね。



時間がないので最低限にはなりますが、粗めのブラシで天秤の周囲に縁取りを描き、でかアウラの目やツノの色などを加筆修正して、できるだけ違和感を消しました。さらに、色調調整とさきほど紹介した「仕上げグラデーション」を掛けて、別々に生成した画像の色合いの統一も図っています。


天秤の影が左右非対称で不自然、おさげの本数が足りない、などなどの心残りはありつつ、ここでタイムアップでした。


8.反省点の振り返り

そんなわけで駆け足で見てきましたが、一晩たって見ると反省点もいろいろとありましたので、書き出してみることにしました。(リプライに続く)


このように反省点を公開するのは、完成間際で修正をめんどくさがらなくなるためのある種のライフハックでして…。「あいつ前に反省点とか言っていたのにまた同じ手抜きしてるじゃんw」とフォロワーさんに思われたくなくて、ちゃんとやるようになるんですよね(自分の性格をよく分かっている)



こちらは、さきほどの反省点を踏まえて直してみたイラスト。

おさげや衣装などのミスを直すだけでは面白くないので、でかフリーレンを加えて少し意図の違うイラストに変化させてみました。


でかアウラと文字が左右に配置されていたさきほどのイラストに比べ、左右に大きなキャラクターと小さなキャラクターが相対する「ダブル阿吽」の構図になったことで、見やすく安定したかなと思います。フリーレンの指さしを入れることで、でかフリーレン→指を通じてちびフリーレンに目が行き、そのまままっすぐでかアウラに視線がいき、視線の先にちびアウラ、という「N」型の視線誘導(うまくいけば循環する∞の視線誘導)を意識したのですが、うまくいっているかどうかは自分ではよくわかりません…。どうでしたでしょうか。


こちらが続編のシュタルク&フェルンイラスト。これも今回解説したのと全く同じ要領で作っていますが、トンチキi2iで天秤を作る際に前述の方法でCannyを挟むことで、よりイメージに近づけています。指抜きグローブの合掌は加筆修正が大変なので、もうやりたくない…。




今回のイラストは手間が掛かる構図な割に大急ぎで作ったため、細かな画像データやレイヤーをローカル保存せずにどんどん作業を進めてしまっていて、残っていないデータが多かったです。分かりにくい部分がありましたらできるだけ記憶をたどって追記しますので、気軽にコメントいただければと思います。



先日Xに投稿したこちらの転生アウラちゃんは色んな人に見てもらえたのですが、いただいた感想を読んでいると、絵そのものがよかったというより設定や経緯のストーリー性が喜ばれたようでした。個人的に、イラストの美麗さを追求するよりこうした意図を掘り下げる方が好みなようなので、引き続き練習を続けてみたいと思っています。ではでは。






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