【AI漫画を描こう!】最初に習得すべきCLIP STUDIOの基本 (Pixiv Fanbox)
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こんにちは、「AIでエロを変えたい!」スタジオ真榊です。NovelAIで生成した画像をCLIP STUDIOで漫画化し、FANZAで販売するのを目標に2022年12月から活動しております。
2023年最初の投稿は、実際にやってみて分かった「誰でもAI漫画が作れるようになる具体的手順」を紹介していきたいと思います。「絵が描けない自分でもAIで漫画を作ってみたい!」「人物しか描けなかったから諦めていたけど、AIを使えば漫画が描けるかも!」といった人が、最初に何をすればいいのか?について、ここまで50ページほどAI漫画を製作してみた体験をもとに書いていきます。
作品を完成させるために必要な手順やコツだけでなく、中編・後編ではより実践的なエロ漫画制作方法や、FANZAで販売するときに必要なもの、注意すること、実際の売上や収益などについても触れていくつもりです。宜しくお願いします!
もくじ
・最低限用意するもの
・キャンバスの設定
・AI生成画像の拡大
・コマ割りのやり方
・画像の拡大縮小回転
・吹き出しの設置
・縁取り
・手書き擬音のやり方
・グラデーションの使い方
・擬音スタンプの導入
・正しい保存法
最低限用意するもの
実際に漫画制作に移る前に、まず作業環境を整えることが必要です。賢木はクリスタの解説本や漫画のコマ割りの入門書、作品制作の参考にするための人気FANZA同人作品などをいろいろと購入しましたが、最低限必要だと感じたのは以下の3つでした。
・漫画制作アプリ「CLIPSTUDIO」(※以下クリスタ)PROプラン
・ペンタブ
・NovelAIのOpusプラン(※月額25ドル)
クリスタには他の画像編集ソフトにはない超絶便利な漫画制作素材が多数収録されていること、ペンタブがあれば絵が描けなくても細かな加筆修正ができるようになること、Opusプランなら事実上無限にAI画像が生成できることーが主な理由です。
・クリスタについて
最高級の「EX」、通常版の「PRO」、デビュー向けの「DEBUT」の三種があり、それぞれできることと料金が異なります。いずれも初回申込み時のみ最大3ヶ月無料なので、初めての方は脳死でEXを申し込んでもらい、期限までに使用感を理解した上で内容を吟味してもらえればと思います。(個人的にはPROを5000円で買い切りで満足しています)
DEBUTはpixivプレミアムに登録するだけで入手できるなど敷居が格段に低いのですが、せっかく販売レベルの漫画作品を作ろうと考えている方なら、初めからPROかEXを体験したほうがベターです。
《価格》
「EX」:23,000円で一括購入or650円/月~で月額利用
「PRO」:5,000円で一括購入or240円/月~で月額利用
・ペンタブについて
これは中古でもいいので絶対に買うことをおすすめします。賢木が使用しているのはWacom 「Intuos」(新品の市場価格9000円前後)。加筆修正程度にしか使わないので、画面付きの液タブや1万円を大きく超えるような高性能なものを使わなくてもいいと思います。IntuosはCLIP STUDIO PAINT PROの2年ライセンスつきの製品もあるので、クリスタと同時購入するつもりの方は事前によく調べておくとオトクになるはずです。
タブレットにはたいてい物理ボタンがついていまして、クリスタと連動させるときに「取り消し(Ctrl+Z)」と「やりなおし(Ctrl+Y)」を登録しておくと便利です。線を引いては「取り消し」を繰り返せば、賢木のようなド下手くそでも思ったような線が引けるからです。
・NovelAIについて
「NovelAIをやったことがない」「使い方が全くわからない」という方はここを読んでいないと思うので割愛しますが(もしいたらブログの初心者向け解説記事を読んで下さい)、TabletまたはScrollプランで運用している方はちょっと張り込んでOpusプランにすることを強くおすすめします。賢木はTabletでしばらく運用していて、10000Anlasをたびたび追加料金でお代わりする無駄な使い方をしていたのですが、Opusプランで小さい画像を無料生成し、Real-ESRGANを使って高解像度化する手法を始めてからは一切追加しないで済むようになりました。月額25ドルは決して安くありませんが、試してみる価値はあると思います。
ちなみに賢木が現時点で使った具体的費用の内訳は
・クリスタPRO一括購入 5000円
・Wacom INTUOS Amazonで約9000円
・novel AI OPUSプラン 月3200円×製作期間分
・BOOKOFFやメルカリで集めた書籍代(漫画、イラスト入門書) 1万円前後
という感じ。「あーこれは無駄な投資だったな」と感じたのは、OPUSにするのを渋ってた時期の10000anlasお代わり代金くらいです。
・AI漫画製作に参考になる初心者教本
漫画を作るのに参考になった書籍については、こちらのツイートをご覧ください。特にかとうひろし先生の「マンガのマンガ コマ割りの基礎編」があれば格段にうまくなるので一番先に読みましょう。その後自分の好きな漫画を読み直して「なぜこのコマ割りにしたのか?」と考えると効率よく上達していきます。
こちらは「マンガのマンガ」を読む前に作ったページと、読んだ後に恥ずかしくなってリテイクしたページ。これくらい「漫画度」に差が出るのでさっさと読んだ方がいいです。
キャンバスの設定
さて、「最低限用意するもの」が揃った前提で話を進めていきます。まずはキャンバスの設定について。実際に印刷して販売する漫画を制作する場合は本の綴じる側や印刷範囲を気にしないといけない(公式を参照)のですが、FANZAでエロ同人漫画やCG集を電子専売する場合はさほど気にする必要はありません。サムネイルやパッケージ画像のサイズには指定がありますが、商品の本体ファイルはzip、rar、lzhで投稿することが指定されているだけで、画像サイズに細かな指定はありません。
FANZA同人で販売されているお気に入り作品の傾向を探ったところ、縦型の作品では1740✕2400pixel前後が多かったので、これを採用。解像度は600dpi(dot per inch=1インチあたりのドット数のこと)で製作しています。解像度が低いキャンバスで制作すると細部の書き込みが難しくなってしまうので、マシンスペックの許す限りは高め
に設定した方が良いと思います。
ちなみに上の画像の「テンプレート」をチェックすると、初めから登録されたコマ割りを呼び出すこともできます。自分でコマ割りを指定するのが面倒な場合はそちらも活用しましょう。もちろん、その場合も後からコマの形を変更することが可能です。
AI生成画像の拡大
さきほど紹介したNovelAIの生成画像を別のサービスで拡大(正確には高解像度に)する方法ですが、賢木は「Real-ESRGAN-GUI」というサービスを使っています。
AIが元画像を基に擬似的に高解像度版を作ってくれる「ESRGAN」という技術をGUI化(まあ素人が簡単に操作できるようにした)もので、ローカル環境にインストールして自由に使えるので大変便利です。
【インストール方法と使い方】
リンク先に飛び、「Releases」のところにある最新版をクリック(本記事執筆時は1.20が最新版)。「Real-ESRGAN-GUI-1.2.0-macos.zip」がMAC用、「Real-ESRGAN-GUI-1.2.0-windows.zip」がWINDOWS用ですので、環境に合わせてインストールしてください。
使用方法はいたって簡単で、画像ファイルを1枚ずつ拡大する方法(ファイル選択)と、フォルダ内の画像を一括拡大する方法(フォルダ選択)の2つがあります。モデルによって速度が異なりますが、最速の「realesr-animevideov3」で十分な出来。2~4倍やpng/jpg/webp形式が指定できますが、「4倍/png」で間違いないと思います。
NovelAIの「Opus」プランではsmallとnormalサイズの画像生成が1枚まで無料になる(※stepやscaleを上げると有料)ので、「Normalサイズで大量に画像を生成し、Real-ESRGANでフォルダごと一括拡大する」というやり方が非常に経済的です。
【★注意】ちなみに、フォルダごと拡大すると「フォルダ名+upscale-4x」という名前の新規フォルダが作成されて拡大された画像ファイルが格納されるのですが、拡大前の画像は削除せずに必ず取っておきましょう。なぜなら、あとになってNovelAIで類似画像を作りたいと思っても、拡大済みの画像ファイルにはプロンプトやSeed値などの情報が残っていないからです。拡大フォルダができたら、その中に拡大前のフォルダをぽいっと放り込む癖を付けておくとベターです。
コマ割りのやり方
クリスタでのコマ割りのやり方は素晴らしい解説記事が無数にあるのでそちらを読んでいただく方が早いです(リンク先の記事は分かりやすく必見)。ここでは、全くのまんがど素人の賢木がこの1ヶ月間で学んで有意義だったことを中心に振り返っていくことにします。
・基本中の基本
コマを一つ一つ作るのではなく、まず画面いっぱいの大ゴマを作ってから「コマフォルダー分割」でぶったぎっていきます。クリスタでは、コマごとにレイヤーフォルダが作られ、その中に画像や吹き出し、擬音を放り込むことで一つ一つのコマが生成されていくつくりになっています。(こうすると該当コマの外にはみ出さない)
ではどうやってコマを割るか。大前提として、次の3つの考え方が重要です。
①右下から左下へ、自然と視線が流れる作りにする(読者の視線誘導を意識する)
②大ゴマ(見せゴマ)と小ゴマ(間を繋ぐ説明ゴマ)を分けて、メリハリがある画面にする
③無駄ゴマを省く
こちらは読む順番がひとめで分からない「悪いコマ割り」の例です。一番上のコマが見せゴマ(大ゴマ)で、他が次の大ゴマまでをつなぐ説明ゴマ(小ゴマ)なのですが、大きさにメリハリがなく、2コマ目がどれなのか、そのあと縦に読むのか横に読むのかも迷ってしまいます。そこで、以下のような工夫をすることが基本になります。
人間の視線は隣り合ったものに自然に流れるので、縦の枠線は細く、横の枠線を太くすることによって、1~5の順番に視線が流れやすくします。さらに、2と3、4と5を隔てている枠線の位置を少しずらすことで、「1→2→4」と間違って縦に読んでしまうことを防ぐ工夫をしています。さきほどの「悪い例」と見比べると読みやすさが全然違うと思います。
これは画面全体の視線誘導ですが、コマ内部でも視線誘導を意識します。吹き出しを読む順になぞっていった時、その途中に絵や擬音が入ると自然に読めるコマになります。視線とコマ内の時系列が逆になるようなセリフ配置はやめましょう。右上から自然に読んだ時「ガシャーン!」「きゃー!」「何事だっ!」の順に目に入るから「窓が割れて悲鳴が上がった」と分かるのであって、「何事だっ!」「きゃー!」「ガシャーン!」の順だと意味不明になります。
これは記事冒頭で紹介したリテイク原稿。文字部分を順番に目で追うと、その過程でヒロインの顔立ち、お尻、胸、優しそうな表情が順番に視界に入るつくりを意識しています。「ヒロインの可愛さ、エロさを1ページ使って表現しよう!」という意図をコマ割りに反映させています。これはただイラストを効果的に並べただけで、各コマの中では時間が経過していない「止め絵」ですが、それでもリテイク前▽より読みやすくなっています。
コマ割りはとても面白く奥深いので、いずれ個別記事で解説したいと思います。
・無駄ゴマについて
無駄ゴマをいかに省略するかについては、一朝一夕で身につくものではなく、漫画初心者の私ごときが解説するのは不適格だと思います。この一ヶ月一番苦労したのがこの部分ですが、無駄ゴマというものを考える上で最も参考になったのは先ほど紹介した「マンガのマンガ」著者であるかとうひろし先生のこのツイートでした。
無駄ゴマというものはもちろん、演出として利用することも多々あるわけです。少々回りくどくても、道中のコマが手厚くあったほうが読者に伝わることもあるわけで、野球漫画で数秒の出来事を何ページにわたって描くケースがあるのはその好例でしょう。ただ、かとう先生の書いてくださったように上手に工夫すれば、同じ内容をよりテンポよく伝えることができますし、もっと極論を言えば「こんなことがあったのだ」とナレーション一つ入れて作画を省略してしまうこともできるわけです。
ここでちょっと話がそれますが、エロ漫画においてこの「無駄ゴマ」というのはなんでしょうか。多くのエロ月刊漫画誌は読み切り作品が多いでしょうが、遅くとも3ページ目にはエロシーンが始まりますよね?催眠作品なら「おじさんが送ってきた催眠導入機…!ホンモノだ…!」で説明は終了。次のコマではすぐに獲物を呼び止めるシーンに移るわけです。
「僕の生い立ち」「おじさんとの関係」「おじさんが洗脳技術に詳しい博士であること」「おじさんがあるとき送ってきた小包を開けると中には謎の機械が!」「試しにそのへんの女の子に使ってみたら本物だった!」「よし、いつ僕をいじめてくるクラスのあの娘に使ってみよう!」→次回へ続く…といったグダグダした説明漫画を書いても読者には支持されないわけで、多少無茶な展開であってもエロ作品は一コマ目から「おじさんが送ってきた催眠導入機…!ホンモノだ…!」のナレーション一発で状況説明はオシマイにしたほうが親切なんですね。そんなことにコマ数を割くなら、むしろ、ヒロインがいかに催眠を掛けたくなるキャラかとか、催眠にかかったヒロインの変化(を描くなら変化前の生意気さも描かないとならない)とかにコマ数をかけるべきだということが分かってきませんか?
そう、これがコマ割りの基本です!(と、最近わかりました)
「この作品で描きたいものは何か=どこを強調するべきか」
「逆に最低限必要な状況説明は何か=何を省くべきか」
この2つを作品制作を始める前によく考えて、ネームの時点で「このくだり退屈だな」「まだエロシーン始まんないのかよ」と思う部分は多少めちゃくちゃでも台詞やナレーション一発で無理やり省略してしまった方が、ずっとエロくて実用的な作品になるはずです。「絵が下手なのに面白い漫画」や「絵が下手なのに抜ける漫画」があるのは、何を強調すべきで何を省くべきかの判断が的確だから。カイジの生い立ちや高校時代を誰も知らないのに、いや、知らないからこそカイジはテンポがよく面白いのです。
1巻が終わってもまだエスポワールに乗ってないカイジなんて読みたくないし、「ギャンブルを迫るヤクザなんているはずがない」とか「もっとカイジが船に乗る意義付けをしなくちゃ…」といった物語の整合性を優先したら、どんなひどいことになるか想像できますよね笑 ストーリー漫画はテンポと読みやすさ、エロ漫画はとにかくエロさとギャップを最優先にして、物語の整合性は最低限気にならない程度にとどめたほうがよいというのが現時点での結論です。
画像の拡大縮小回転
さて、ここまで長らくかかりましたが、実際の漫画制作の方法に入っていきます。
製作作業は基本的に、「ネーム(コマ割りの下書き)を作る」「ESRGAN-GUIで拡大したAI画像をコマの中に配置する」「吹き出しや擬音を入れる」「必要なら加筆修正・画面効果をかける」の繰り返しで進行していきます。
クリスタ上部メニューの「ファイル」→「読み込み」→「画像」から拡大したAI画像を選んだのが以下の状態です。
水色の線と点を操作して、この枠線に合わせていくわけですね。
このように、「コマ2」(一番上の大ゴマに対応)のフォルダーの中に入っていないとそのコマに表示されないので注意してください。なお、この方法ではイラストが「画像素材レイヤー」という種類のレイヤーで呼び出されており、直接描き込んだり加工したりすることができないプロテクト状態になっています。上の画像で赤丸で囲ったアイコンがその印。もし加工する場合は、このレイヤー部分を右クリック→「ラスタライズ」すれば、通常のレイヤー(ラスターレイヤー)に変更することができます。
画像の拡大縮小回転は、画面上部のこのアイコンからいつでも操作することができます。オブジェクトツールを選択して右クリックするよりてっとり早いので、覚えておきましょう。
コマの枠線操作について
画像の比率に対してコマサイズが合わない場合は、コマの大きさをいじることになります。
こちらのオブジェクトツールを使ってコマの枠線をクリック。そうしますと、このように、ずずいっと枠線ごとずらすことができます。(ちなみに、吹き出しも同じ方法で形を操作できます)
黄色い▽をクリックすると、枠線がその方向にスナップ拡大します(外枠や別のコマにぴったりくっつく)
なお、画面左に「別のコマ枠を連動」という操作ウィンドウがあり、ここを「一部連動」にしておくと、下の2つのコマ枠線も一緒にズレてくれるので便利です。逆に「連動しない」にしておくと、他のコマに影響せずに枠線を動かすことができます。
いわゆる断ち切り(枠線なしのコマ)を使うときは「連動しない」で画面いっぱいにコマを広げ、「枠線を描画する」のチェックを外せばOKです。
クリップスタジオ素材の導入
ブログ記事【NovelAI】エロ度マシマシ!文字入れ&レタッチの基本でも紹介していますが、クリスタの真骨頂がこの豊富なエロ素材の数々です。「べちょ筆」「4種の毛ブラシ」「手書きフキダシ」「吐息・喘ぎ声セット」などなど、無料で使える超絶便利な素材が多数ありますので、このブログ記事を参考に片っ端から導入しておきましょう。あるとないとでは作業時間が段違いですので、必ず最初に漁りまくりましょう。
吹き出しの設置
吹き出しを設置してから文字を入れる方法と、文字を入れてから吹き出しにする方法の2つがあります。前者は「吹き出しが巨大に呼び出されて大きさ調整が面倒」、後者は「吹き出しがないと絵の中に直接文字が浮かんで書きにくい」という短所がありますが、どちらかというと後者の方がおすすめ。文字の大きさを踏まえた吹き出しのサイズに自動調整してもらえるからです。
適当なテキストファイルに台詞を打ち込んでからテキストツールでコマ内に設置、吹き出し素材をそこにドラッグアンドドロップ、という方法が良いでしょう。この方法なら、消してしまった長いセリフをあとから発掘しやすくなります。
こちらの画像のように吹き出し線のギザギザが目立つ場合は、枠線のときと同様にオブジェクトツールでその吹き出しを選択して、「アンチエイリアス」を強めに掛ければOKです。
この方法で、枠線の色や太さ、下地の色を変えることもできます。普段はいじる必要はありませんが、ここぞというときにはこの方法でネガポジ反転するのもオススメです(↓)
・発言者をわかりやすく区別する
独白シーンならいいのですが、複数のキャラクターのやりとりの場合は、できるだけ「ふきだししっぽ」を使って誰の発言かわかるようにします。女性の声と男の声でフォントを別にしたり、カラー原稿であれば文字色ごと分ける(ピンクが女声、青が男声など)方法もあります。叫び声や喘ぎ声は、テキストツールよりも手書きのほうがずっと迫力が出ます。
・吹き出しの形でどんな音なのかを書き分ける
震え声なら震えた吹き出し、動揺しているなら吹き出しに汗をかかせる、場内アナウンスや電話越しの声なら角張った吹き出し、ナレーションは四角い吹き出しと、吹き出しの形もできるだけ使い分けましょう。
縁取り
クリスタにはレイヤーの境界効果というものがあり、そのレイヤーに描かれたものの境界線にそって「縁取り」をつけたり、レイヤー全体のカラーリングを変更したりすることができます。
「レイヤープロパティ」ウィンドウの「〇」マークのアイコンをクリックし、下に出てきた「フチ」アイコンをクリックすると、指定された色でそのレイヤーに描かれたものが縁取りされます。漫画制作において非常によく使うテクニックなので、いちはやく慣れましょう。いちどフチをつけたレイヤーを「ラスタライズ」すれば、さらに別の色で縁取ることも可能です。
「フチの太さ」で縁の幅を、「フチの色」で縁のカラーを変更できます。これによって手書きした擬音に自動で縁取りをつけることが可能になります。
「レイヤーカラー」機能を使うことで、こんなふうに色を一括加工することもできます。
手書き擬音のやり方
賢木は基本的に「べちょ筆」で太めに書いています。右上の「ギシッ」がもっともよくやる方法で、黒のべちょ筆に白い「フチ」を境界効果で付けたもの。逆に白いべちょ筆に黒い「フチ」をつけてもいいですし、画面が単調にならないようにいろいろな色・太さで擬音を書き入れていくと良いと思います。
手書きの文字に吹き出しをつけたい場合は、テキストツールの場合と異なり、文字の上にフキダシ素材をドラッグアンドドロップしてもうまくいきません(単純に吹き出しで文字が隠れてしまう)。先にフキダシを配置してから、その上に新しいレイヤーを配置し、そこに擬音を書き込みましょう。
グラデーションの使い方
グラデーションツールは使い方がちょっと難しいのですが、格段に「商品っぽい画像」が作れるので早めにマスターしましょう。
グラデーションツールを選択し、サブツールパレットで使用したい設定を選択します。「描画色から背景色」を選択すると、画面左下で選択している2つのカラーの間でグラデーションさせることができます。水色からピンクにグラデさせると、AVでよく見るエログラデーションが簡単にできます。「描画色から透明色」にすると、水色がピンクに変化するのではなく、水色がすっと消えていく感じのグラデーションになります。
このタイトル文字は、まずフリーの「にくもじフォント」でタイトル文字を打ち込み、Ctrlキーを押しながらそのフォントレイヤーをクリックで縁取りを選択、その状態でピンク~水色グラデーションを斜めに掛けてから、白いスプレーをランダムに掛け、境界効果でいったん黒く縁取り、レイヤーをラスタライズして今度は白く縁取って完成、という工程で作っています。
「描画色から背景色」「描画色から透明色」だけでなく、できれば複雑なグラデーションを自分で作れるようになるともっと便利です。
こうしてイラスト全体に色のグラデーション効果を掛けたり、文字に金ピカ加工を施したり(5000兆円ほしい!でおなじみの)することもできるので、関心のある方はクリスタ公式の解説を読んで勉強してみてください。(合成やフィルタによるイラスト加工の方法は中編で紹介します)
擬音スタンプの導入
擬音は全部自分で手書きしても良いのですが、賢木のように筆跡が独特だと読みにくかったり、同じ筆跡ばかりで単調になったりしてしまうので、擬音スタンプ素材を活用しましょう。おすすめはクリスタで「horitora」さんが配布されている「エッチな描き文字~集」シリーズ。上の画像で使用したスタンプ素材だけでなく、ドラッグアンドドロップで使用するタイプの画像もあり、どれも死ぬほど実用的なのでぜひチェックしてください。
こちらのシリーズもそうなのですが、有用な素材の多くはクリスタ内で使える通貨「CLIPPY」や「GOLD」が必要です。200GOLD支払うとなれる「GOLD会員」は毎月1,500 CLIPPY+αがもらえるので、1ヶ月だけGOLD会員になってすぐに解約する方法でできるだけ早くゲットすることをおすすめします。ただ、GOLD会員になるための支払いはGOLDでしかできず、GOLDは500 GOLD/円単位での購入が必須。1ヶ月のみ会員になる場合は300GOLDが余るので、高価かつ有用な素材に使うとヨシ!です。(※GOLDの期限は1年)
正しい画像保存法
最後にもっとも重要な、製作した画像の正しい保存方法について解説して終わりにします。
なぜ最も重要かというと、せっかく何時間も掛けて製作したデータがうまく保存できていなかったり、「画像出力したから道中のデータはとっとかなくていいや」と適当にポイしたりするとあとから復元できず、全く同じ作業を繰り返さなければならない悲劇が訪れてしまうからです。漫画制作は「完成した!もういじらないぞ!」と思っても、何度も何度も修正をしたくなるもの。レイヤー別に分けられた作業工程のデータは絶対に残しておくべきです。また、作業が進んでも上書き保存せず、せめて更新した日ごとに分けて保存しておくことをおすすめします。
賢木がこの1ヶ月で辿り着いたフォルダ分けルールは以下の通りです。
・デスクトップに「画像」「CLIP」「作品」フォルダの3つを生成。
・NovelAIで生成した画像(をESRGANで引き伸ばしたもの)は「画像」フォルダに、レイヤー分けされたままのCLIP STUDIOの作業工程が記録された「.clip」データは「CLIP」フォルダに、完成した画像のpngデータは「作品」フォルダにそれぞれ格納する。※AI画像は、できれば「風景」「キャラ」「1話用」などテーマごとのフォルダに小分けしておくこと。
・「作品」フォルダの中に「ボツ」フォルダを作り、ボツにしたページはその中に投棄する。書き直したものを絶対に「上書き保存」しない。完成ページのファイル名は01.png、02.png、としておき、リテイクしたページは01n.png、01nn.pngで保存する。
・過去のページを作り直す場合はCLIPフォルダから過去のデータを呼び出すが、作り直した原稿データは「上書き保存」せず、また新たな.clipファイルとして「別名で保存」する。
特にお伝えしたいのは、作業を終えてクリスタを閉じるときが鬼門ということ。達成感とともに「はー終わったさっさと寝るか感」に体が支配されているので、ついつい「閉じる」を連打してしまいがちですが、
この警告ウィンドウを絶対に見逃さないように。「変更内容を確認」を必ず押して、開かれているキャンバス一つ一つをチェックしましょう。どんなキャンバスでも、数分以上作業したキャンバスであればあとから復元できるあなたの財産です。絶対に捨てずに保存しておくことをおすすめします。
終わりに
大変長い記事になってしまいましたが、この1ヶ月間に学べたことのうち最初に理解すべきだったことをできる限り並べたつもりです。賢木と同様「絵を描くのは得意ではないけれど、AIのちからを借りたら自分にだって漫画が描けるはず!」という志を持った方にはきっと有用な記事になっていることを祈って、今夜はここでおしまいにしたいと思います。
そんなわけで、「【AI漫画を描こう!】最初に習得すべきCLIP STUDIOの基本」でした。中編では下記のようなメニューで、より実用的なエロ漫画の制作法を紹介していきたいと思います。
★AI漫画を描く人が次に習得すべきクリスタ漫画術
キュレフル合成法
エロ移動ぼかし
効果線の書き方
AI切り抜き
コマ割り応用編
「AI瞳」を加筆修正する
「AI指」を加筆修正する
吹き出しと擬音の読みやすい配置
画面効果のやり方
【番外編】絵が描けなくてもできる!ひょっとこフェラ加工
【番外編】LINE画面を作る方法
さらに、後編では、スタジオ真榊の第一作目「寝取られ妻のビフォーアフター」が無事発売できた後に、FANZAで同人作品を発売するまでにどんな作業が必要で、売上はどのように推移したか、うまくいったポイント、または失敗してしまったポイントは何だったかについて振り返る記事にするつもりです。
それではご支援くださっている皆様、2023年もスタジオ真榊をよろしくお願いいたします!
再見~