カードのイラストを描く時のロジック (Pixiv Fanbox)

Published:

2017-06-18 08:00:00

Imported:

2020-08

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── 前回の記事で、イラストレーターとして初めての仕事はメイキング本のイラスト制作とお聞きしましたが、初めて受けたトレーディングカードゲームはどのタイトルですか？

私がTCG案件として初めて受けたのは「Force of Will」ですね。こちらのイラストです。

── どういった流れでお話をもらえたのですか？

TCGでイラストを描いているイラストレーターさんとSkypeで話している時に、私も描きたいことを伝えたら担当の人を紹介してもらえて描かせていただけることになりました。

── カードのイラストの描き方はどのように勉強していったのでしょうか？

タカヤマトシアキさん、風間雷太さん、獅子猿さんのような最上位レアをたくさん描かれている作家さんのイラストを見て、TCG的な見せ方を学んでいきました。

この時に自分なりに組み立てたロジックを中心に今でもカードのイラストを描いています。

── どういったロジックでしょう？

カードのイラストにおいては、キャラクターを目立たせて描くことが一番重要で、背景に関しては割とどうでもいいというような考え方ですね。

── より詳しく聞かせていただけますか？

はい。当時の私は、１枚絵を描く時に状況や舞台設定から考えて、キャラクター小さめの世界観を打ち出すようなイラストをよく描いてpixivなどにアップロードしていました。

しかし、カードゲームの世界ではそういったイラストはキャラクターのカードではなく魔法カード等でよく使われるんですね。

そうなるとパッケージのメインとなるような最上位レアのカードにはなれません。

やはりカードゲームのメインとなるようなイラストを描きたかったので、まずはこの世界観重視の考え方を捨てることにしました。

絵の中に世界観を演出する描き方のほうがイラストの上手さは際立つと思いますが、その描き方は趣味絵で採用してカードの仕事の時はキャラを前面に押し出したような描き方を意識しました。

── なるほど。

もう少し具体的に話すと、カードのイラストを描く以前の私は１枚絵を描く時に、「お菓子の国を描こう→メインのお菓子の城があって周りにはお菓子をモチーフとした建物をこんな風にならべよう→最後にキャラクターも添えよう」みたいに考えていました。

しかし、カードのイラストを描く際には、「まずはキャラクターを目立たせて描こう→それっぽい背景をふわっと加えてあげよう」という風に考えています。

今まで背景を考えるためにつかっていたコストの多くをキャラクターのデザインやポージング等に回してあげる感じですね。

── キャラクターを目立たせるにはどういったポーズにすると良いのでしょうか？

一番かっこよく見えるのは見得を切るようなポーズですね。しかし、最上位レアカードのポーズに関しても、よく見ると１つ１つが凝ったものになっているのではなく、いくつかのポーズのバリエーションから成り立っていることがわかります。

例えば、手前に向かって見得を切るといったポーズや武器を勢い良く突き出すといったポーズですね。

それらのバリエーションから、他の作家さんの組み立て方といかにかぶらないようにかっこよく見せるかを意識して描くようにすると良いと思います。

── 日々研究ですね。

最後に、Force of Willは少し面白い歴史があるのでこちらもちょっと話しておきましょうか。

── 面白い歴史？

実はForce of Willは一度なくなってから復活してるカードゲームなんです。

トレーディングカードにおいて、ゲームバランスを調整するために、発売後にテキストが変更されたカードは「エラッタ」と呼ばれます。

Force of Willはこのエラッタがたくさん出たため、大量のイラスト在庫を残したまま１年を持たずに終了してしまったんです。

── なんと。

しかし、最近になってForce of Willはヨーロッパで行われたホビー系の発表会での注目をきっかけに、復活しました。

復活してからは順調に売れ行きを伸ばしていて、ヨーロッパではマジックザギャザリンクぐらい売れているみたいです。

── そんなエピソードがあったんですね。

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