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<ショートストーリー上の表記>

  -...-   :皆月ひかるによるナレーション

  ひかる「...」:皆月ひかるのセリフ

  みかげ「...」:みかげのセリフ

  (...)   :擬音その他


------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


-2月14日火曜日、今日はバレンタインです-


-以前は女の子が好きな男の子にチョコを贈る日でしたが、最近は多様化が進んでいます-


-本命チョコはもちろんの事、友達同士で送り合う友チョコも一般的になってきました-


-私とみかげは何チョコになるのかな?-


-友チョコ?ファミチョコ?それとも......-


(♪キーン、コーン、カーン、コーン)


みかげ「じゃあひかる、またあとで!」

ひかる「うん」


(タッタッタッタッタ……)


ひかる「相変わらず早いなぁ~」


-放課後になると、みかげは誰よりも早く教室を後にしました-


-みかげの希望もあって、チョコは私の下校途中に渡したいそうです-


-事前に帰宅までのルートを決められているので、そのどこかで渡してくれるようです-


-「さて、今年はどこで渡してくれるのかな?」-


ひかる「じゃあ私もそろそろ……」

   「みんな、またね!」

友人達「あっ!ひかる、またね~」

ひかる「うん、またね」


ひかる「……よし!」


-私はみかげにお願いされたルートを通って、帰宅の途につきます-


ひかる「あっ、この公園懐かしいなぁ」

   「昔はよくここで……」

???「ひかる~!」

ひかる「(おっ!今年は早いね)」


みかげ「はぁ、はぁ!待った?」

ひかる「ううん、待ってないよ?だって普通に帰ってるだけだもん」

   「それよりも今年は早かったね?」

みかげ「うん、早くひかるに渡したくって……!」


みかげ「はい、これ!」

   「ハッピーバレンタイン♪」



ひかる「うわっ!大きい……」

みかげ「えへへ♪みかげの気持ちの大きさだよ」


ひかる「すごい大きいね、すごいなぁ……」


みかげ「いつもありがとね」

   「今年もよろしくお願いしまっす!!」



ひかる「う、うん!」

   「ありがとう……」

みかげ「ん???」


(スッ……)



ひかる「(ど、どうしよう……)」

   「(まさかみかげのチョコがこんなに大きいなんて!)」

   「(こんなんじゃ私のチョコは渡せないよぉ……)


ひかる「みかげ、ごめん!」

   「私うっかりしてチョコ、家に忘れてきちゃった」

   「ホントごめんね、家で必ず渡すから……!」

みかげ「ん?うん……」


ひかる「ごめんね、ホントごめんね……」

みかげ「ううん、だいじょぶだよ」


みかげ「……………」


みかげ「それよりも……さ」

   「ちょっとそこの公園寄って行かない?」

ひかる「え、うん……いいよ」


みかげ「じゃあいこ!」

   「ほらほら、早くぅ~」

ひかる「う、うん……すぐ行くよ~」


みかげ「……雪、キレイだね~」

ひかる「うん、きれい……」


みかげ「あそこ、座ろ?」

ひかる「うん」


-私とみかげはベンチに腰を掛けました-


ひかる「……………」

みかげ「……………」


ひかる「……………」

みかげ「……………」


-しばらく無言の時が流れると.....-


みかげ「あのさ、言いたくなければいいんだけど……」

   「今日、何かあった?」

ひかる「えっ?どうして?」


みかげ「だって、チョコ忘れたのって、ウソでしょ?」

ひかる「!!!」


みかげ「わかるよ、ひかるのことはいつも見てるもん」

ひかる「そう……そう、だよね………」


みかげ「言いづらいことかな?」

ひかる「ううん、ただ……」


みかげ「ただ?」


ひかる「みかげのチョコが大きくって……」

   「それに比べたら私のチョコは……」


(すっ……)


-私はカバンの中に押し込めたチョコをみかげに渡しました-


みかげ「やっぱりちゃんと持ってきてくれてたんだね」

ひかる「うん、でもみかげのより小さくて……」


みかげ「でもこういうのって、大きさじゃなくて気持ちの問題じゃないかな?」

ひかる「私もそう思ってた……思ってたんだけど………」

みかげ「うん……」


ひかる「いざ、みかげのと比べると、ちょっと渡すのにためらっちゃって……」

みかげ「そっかぁ……」


みかげ「みかげのチョコ、開けてみて?」

ひかる「う、うん……」


(しゅるしゅる……かぱっ!)


ひかる「これは………」

みかげ「うぅ~、ちょっと恥ずかしいかも………」


-「ひかる大大だぁ~い好きだよ♪これからもずっと一緒にいようね!」-


-と、ハート型のチョコにチョコペンで書かれていました-


みかげ「もしかしたらひかるも同じなんじゃないのかな?」

ひかる「うん……」


みかげ「開けていい?」

ひかる「うん」


(しゅるる……かぱっ!)


-「みかげ大好きだよ!」-


ひかる「うぅぅぅ、恥ずかしいよぉ………」

みかげ「やっぱりね♪」


みかげ「ホントはね、ひかると同じサイズにする予定だったの」

ひかる「そうなの?」


みかげ「うん……でもね」

   「いざひかるに贈る言葉を考えたら、そのサイズじゃ全然足りなくって……」

   「だから昨日の夜、急遽大きく作り直したの」

ひかる「そうだったんだ」


みかげ「だから言ったでしょ?大きさじゃないって」

ひかる「うん、そうだね……」


ひかる「あ、あのぉ!」

みかげ「ん?」


ひかる「そのぉ…一度開けちゃったけど、改めてちゃんと渡させてもらってもいいかな?」

みかげ「うん、いいよ!じゃあみかげも……!」


-私たちは今一度受け取ったチョコをそれぞれに返しました-


-そして丁寧にリボンを結び直したのち......-


みかげ「ハッピーバレンタイン、ひかる!」

ひかる「うん、ハッピーバレンタイン!みかげ!!」



みかげ「えへへ♪」

ひかる「ありがと!」


ひかる「……………」

みかげ「……………」


みかげ「だめぇ?」

ひかる「ここじゃダメですぅ」


みかげ「………ちぇっ…………」

ひかる「ここじゃ他の人の目があるからダメだよ」

   「家に帰ったら……ね?」

みかげ「わっはぁ~♪……うん!!」


みかげ「じゃあ早くかえっ……へっくしゅ!」

ひかる「もぉ~、どうしてマフラーしてないの?」


みかげ「へへっ、学校に忘れてきた」

ひかる「もう、しょうがないなぁ……ほら」


-私は長いマフラーを解き、みかげの首にも巻いてあげました-


みかげ「えへへっ、あったか~い♪」

ひかる「手も出して?どうせ冷たいんでしょ?」


みかげ「えへっ♪」

ひかる「冷たい……でも………」

   「(ひかるの心は温かいよ、ふふっ♪)」


みかげ「でも?」

ひかる「ううん、何でもない♪」


ひかる「ほら、帰るよ?」

みかげ「うん!!」


-世界中のみんなが幸せなバレンタインを迎えられますように!-


                                  -END-

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