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挨拶

いつもご覧いただき、ありがとうございます!


今回はリクエストいただいた、Toloveるダークネスの催眠NTR(?)シリーズの1作目プロローグです!

導入部のためエロは少なめ。


内容はガッチガチの鉄板ネタ!

猿山が竿役となって、リトに好意を寄せる女の子達を催眠で奪っていく...というやつです。

2作目からガッツリエロくしていきますね!


今回はおまけ短編なしです。

リク主様とスタンダードプラン以上加入者様向けに考えたのですが、導入なので下手なことができず...


『原作』To loveる ダークネス

『人物』多数

『あらすじ』ある日、結城家にてホームパーティーが開催された。会の途中、ララが「相手の気持ちが分かる発明品」をリトに装着しようとするが、トラブルの気配を感じ取ったモモによって、その実験を猿山で行う事に。案の定、その発明品は不具合を発生させ...

『文字数』本編約10,200字


※本作品は登場キャラクター同士で事前に合意した上で演技している内容です。

 また登場キャラの実年齢は成人以上ですが、作中ではフレーバーとして未成年と表記されている場合がございます。

 合意を得ない性行為(S眠、S脳、レ○プetc…)は存在しません。

本編

「それじゃあ、皆さん乾杯です!」

「「「かんぱーい!」」」


 今宵、結城家では豪華なパーティーが催されていた。

ハーレム計画の一環としてモモが企てたこの催しには、個人差こそあれリトに好意を抱いている美女が大量に招待されている。

元々住んでいる美柑、ララ、モモ、ナナは当然として、春菜、唯、ルン、恭子、ヤミ、メア、ティアーユ、ネメシス、凛、里紗、お静、御門と、個性的で魅力的な絶世の美女しか存在していない。


 普通の一軒家である結城家のリビングはあっという間に鮨詰め状態になり、美女の芳醇なフェロモンで充満する。

一般男性であればそれだけで一生のオナネタになるほど濃厚な瘴気。

このパーティーの中心である結城リトの隣りで、その香りを恥ずかしげもなく肺一杯に吸い込む下品な男がいた。


「すぅーーーはぁーーー...なぁリト、俺、今日ほどお前と親友で良かったと思った日はねーよ」

「そ、そうか?まあ、ほどほどにしておけよ猿山」

「それは無理な相談だぜ!こんな酒池肉林パーティーに誘ってくれてサンキューな!」

「酒池肉林って...でも、俺もさすがに男1人だと居場所がないから助かったよ」


 もはや呪いレベルでラッキースケベを量産する結城リトの、数少ない男友達にして親友『猿山ケンイチ』。

品性が感じられず名前通り猿のような顔立ちの彼は、奥手なリトとは真逆に持ち前のスケベさを隠そうとしないある意味男らしい性格であるが、ラッキースケベにはとことん恵まれない残念な男だ。

とはいえ、常に美女に囲まれているリトに嫉妬しつつも、親友として良好な関係を築くあたり、決して悪い男ではない。

リトも『スケベだけど良いヤツ』という評価を持っていた。


 そんな猿山が、この日を境にリトのハーレムをごっそり乗っ取ることになろうとは、この時誰1人として想像していなかった。本人すらも。


——————————————————


「じゃーん!リト〜見て見て!」

「ララ、これは?」

「ララちゃん!...ヘルメット?」


 パーティーも中盤になり場の空気も温まってきた頃、ララがウキウキの表情で自分の部屋から発明品を持ってきた。

白いヘルメットのようなヘッドギア、その頂点には小さいパラボラアンテナが刺さっている怪しさ満点の道具である。


「これは『マルマル伝わるクン』!これを頭につけて誰かに質問すると、相手の考えている事がズバッと分かっちゃうんだー!昔作ったまますっかり忘れてたけど、思い出したから持ってきたの!」

「また怪しい発明品を...」


 埃を被ったそのヘルメットは、ララの言う通り相当昔の発明品であることを窺わせる。

アンテナも少し曲がっており、まともに機能するかすら怪しい一品だ。

いつも発明品でトラブルを起こすララが作った、壊れかけの怪しい道具。

リトは警戒してそれを装着しないよう断っているが、パーティーで浮かれているララはグイグイとリトに迫っていく。


(お姉様!まずい...ここでいつもみたいなトラブルが起きたら、苦労して仕組んだパーティーが最悪中止になってしまいます!)


 そんな状況を発見したモモは、人の波をかき分けて急いでララを止めに入る。

無意識に豊満な胸を押し付けるララに、リトは相変わらず顔を真っ赤にしていた。

そんな慣れ親しんだ光景を、猿山は指を加えて眺めているしかない。


「お姉様、ストップです!」

「モモ!た、助かった〜」

「モモ、どうして止めるのー?」

「それは、えっと...」


 勢いで2人の間に割って入ったモモは、咄嗟の言い訳を考える。

その時、鼻の下を伸ばしている下品な猿山がチラリと視界に入った。


(猿山さん、ごめんなさい!これもリトさんのためなんです!)


 モモは心の中で猿山に謝罪をしてから、ララの説得を試みる。


「そ、そうです!たまには猿山さんに試してもらってはどうでしょうか?先ほどからそのヘルメットを付けてみたそうな顔でジーッと見ていましたよ」

「お、俺!?」

「猿山、そうなの?」


 キラーパスを受けた猿山は、驚いた顔でモモを見つめる。

モモはそんな猿山に対して、満面の笑みでウインクをした。目の奥は全く笑っていないが...

その様子を見たリトは、モモの腕を引っ張りコソコソと話をする。


(きゃん♡リトさん強引ですね♡)

(違っ…じゃなくて、モモ!猿山を犠牲にするのはさすがに可哀想じゃ)

(リトさん、お姉様の発明品ですよ?十中八九厄介な不具合があるに決まってますよ。リトさんの身に何かあったら、ハーレム計画に支障が出てしまいます。ここは心を鬼にして...)


 と2人が仲良く協議している間に、ララに押し切られた猿山が『マルマル伝わるクン』を装着してしまった。


「うおっ、結構重たいなこれ」

「試作品だからね。じゃあ猿山、早速使ってみて!」

「お、おう...でもその前に、とりあえず”落ち着こうぜ”!俺なら大丈夫だ、リト!」


 リトが心配してくれている事を汲み取った猿山は、親友を安心させるために落ち着くよう言葉を発した。

その瞬間、『マルマル伝わるクン』のアンテナが猿山の言葉を部屋全体へ拡散させる。


「猿山...すまん、あり…が......と」

「え?リト?」


シーーーーーーン.........


 途端、リトの声だけでなく、そこかしこで聞こえていた女性陣の話し声すら消失し、部屋は静寂に包まれる。

10人を超える大所帯のリビングから聞こえるのは、時計の秒針の音だけ。

訳が分からない猿山は、リトの肩を揺さぶるが反応は返ってこない。

ララの顔の前で手を振るが、こちらも反応がない。

目は開いており、確かに息もしているのだが、最低限の生命活動しかしていないように感じられる。


「おーい、リト?みんな??…ははは、ドッキリだよな?……ま、マジなのか?絶対これのせいだよな」


 猿山は頭の装置を触りながら、震える声でそうつぶやいた。

そんな独り言も虚しくリビングに消えていく。


 実を言うとララの発明した『マルマル伝わるクン』の効果は、珍しく彼女が説明した通りの装置であった。

だがしかし、壊れかけの曲がったアンテナによって、それは不具合を引き起こしてしまう。

本来の『相手の気持ちを聞き出す』機能は『相手に命令を聞かせる』機能へと変質した。

受信から送信へ、簡単に言えば催眠装置へと変化したのだ。


 さらに厄介なことに、この装置は使用者の心を暴走させる効果も付属されている。

それにより猿山本人も気づかないうちに、日頃リトへ抱いていた嫉妬・羨望の感情が、彼の良心や自制心を徐々に侵食していた。


「ごくっ…み、みんな”俺にパンツを見せろ!”…なんちゃって」


 一縷の期待を込めたか細い声が、アンテナに乗って部屋の中で反響する。

それから数秒後、半ば諦めかけていた猿山に対して無反応を貫いていた女性陣は、1人また1人と返事をした。

そしてある者はスカートをめくり上げ、またある者はズボンを脱ぎ始める。


「分かりました、猿山さん」

「仕方ないわね」

「うぅっ...恥ずかしいけど...」

「ハ、ハレンチだわ!...見せてはあげるけど」


 大人しく了承する者もいれば、拒絶の言葉を口にする者もいる。

だが全員にもれなく共通しているのは、猿山に向かって1人残らずパンツを曝け出しているという事実。

水玉模様、縞パン、紐パン、Tバック、飾り気のないシンプルな白パンツ、高級そうな黒いシルクのパンツ、大人びた紫色の刺繍入りパンツetc...十人十色の個性が遺憾無く発揮された魅力的な光景が実現した。

男にとって夢のような薔薇色の景色だ。

ついでにリトもボクサーパンツ姿になっているが、猿山は見て見ぬふりをした。


「へ...へへ...へへへ!すっげー!本物じゃねーか!」


 猿山のズボンは、一瞬にして巨大なテントを建設した。

過去に類を見ない痛い程の膨張は、猿山の男根が男性の中でも上位に位置する長さと太さであろうことを容易に想像させる。


「いや、でも、まだ演技って可能性もあるよな…」


 猿山は口角を吊り上げたいやらしい猿顔で、次の命令を考える。

心中では本物であると確信しつつも、誰かに言い訳をするように疑うフリをしていた。

そして…


「つ、次は”全員おっぱいを見せろ!”」


 性欲に素直な思春期男子の、至極真っ当な命令。

アンテナは彼の欲望を再び女性達に拡散し、そして強制的に承服させる。

いつもいつも結城リト1人が独占している誰もが憧れる超絶美女達は、返事をしながら一斉に上を脱ぎ始めた。

猿山のために、猿山に言われるがままに。


「えっちぃのは…嫌いです…」

「け、ケダモノ…!」

「私、まだ小学生なんだけど…」


しゅる…しゅる…しゅる


「むっほぉーっ!マジかよマジかよ!」


 四方八方から衣擦れの音が聞こえ、ほぼ全員が顔を恥ずかしそうに赤面させながら、猿山の前に胸をさらけ出す。

完全に上半身を脱衣する者、シャツをはだけさせてブラジャーをズラす者、ブラジャーだけを外して服を上にあげる者...それぞれの性格を表した露出方法。

一言で表すならこの空間は、桃源郷である。。

股間部を早くも湿らせ始めた猿山は、その光景に圧倒されながらも、一人一人に近づき至近距離でじっくりと観察していく。

乳房を視姦し、乳首の色を観察し、果てには匂いまで嗅ぎ始める。


「うっは!モモちゃんの美乳、めっちゃ甘いフルーツみたいな匂いする…ナナちゃんは子供おっぱいだけど乳首がキレイなピンク色…み、御門先生とティアーユ先生は服越しより更に迫力があるな...ふへへへへ〜」


 感度の良さそうなペタンコの小ぶりなおっぱいに、手にちょうど収まりそうなバランス重視の平均的なおっぱい、包容感と母性を感じる抱き心地の良さそうなムッチリおっぱい。

リトのラッキースケベのおこぼれでもなかなか見られない、サイズ豊富な生乳たち。

乳輪の色も乳首の色も千差万別、濃淡様々。

緊張でガチガチに勃起している乳首もあれば、通常時と変わらない硬さを維持している乳首もある。


 部屋に漂う香りは、いつの間にか女の子特有の優しい香りから、性的なムラつく香りへと変化していた。

オスとして本能を揺さぶるその匂いに当てられた猿山は、全員のおっぱいをこれでもかと脳裏に焼き付け、ついに手を伸ばそうとする。


「へへへ、リトには悪いけど、興奮しすぎてもう我慢できねーぜ!ヤミちゃん、”おっぱい触らせてもらうね”!」

「い…や……す」


ビッ!…つーーー…


「…へ?」


 猿山の手がワサワサといやらしく動き、ヤミの程よいサイズの胸に触れようとした瞬間、彼女の髪の毛がソード状に変化し、一瞬にして猿山の頬に小さな切り傷を作る。

催眠によってヤミにはほとんど意識がなかったが、本能的嫌悪感から自動反撃を行ったのだ。

昔の彼女であれば恐らく猿山はここで死んでいたはずだが、リトが彼女の心を溶かしてくれていたおかげで軽傷で済んでいた。


「ひぃー!...ご、ご、ご、ごめんなさい!!」

「………いえ」

「あ、あれ?もしかして今の、無意識だったのか…こ、こえー!」


 ジワジワと広がる痛みで金玉がヒュッとなった猿山は、先程までの興奮状態をいくらか緩和し、多少冷静な状態に戻った。

依然胸を曝け出している彼女らをボンヤリと眺めながら、猿山は考えを巡らせる。


(命令の仕方が悪かったのか?それとも直接身体に触っても許されるほど強力な効果じゃない?…うーん…分からないけど失敗したら殺されかねないな)


 猿山は、あまり賢くない頭をフル回転させる。

体を触る方法、そして最終的にはセックスをしてこの美女全員を自分のモノにするため、限界を超えた速度で思考回路を回す。

そしてとある作戦を思いついた。


「そ、そうだ!これなら時間はかかるけど、多分安全だ!そうと決まれば...」


 猿山はスマホを取り出してメモ帳を開く...その前にカメラアプリを起動した。

どこまでも欲望に素直で、期待を裏切らない男である。


「へへへ、先に記念撮影しておこうかな。こんな絶景、2度と見られないかもしれないし...”全員そのままストップだ”!」


ぱしゃ!ぱしゃ!ぱしゃ!


 部屋全体が映るように写真を撮り終えると、今度は一人一人をレンズに納める作業に入る。

自発的に胸を露出しパンツを見せびらかしているような姿の美女を、前から後ろから上から下から横から、なぶるように撮影していく。

終いには女の子たちが動けないのを良いことに、肌に触れない距離でツーショットまで。


「やめ...猿山くん...」

「最っ...低」

「撮っちゃ......ダ...メよ」


 鼻息を荒くする猿山と対照的に、生気のない声で拒絶を口にする女性陣。

だがやはり、肉体的接触ではないため戦闘力の高い女性陣でも、彼を物理で止めることはできなかった。


「うへへへへ!これだけでも一生オナネタには困んないな〜!最高だぜ!」


 おもちゃを買ってもらった子供のように、猿山はスマホを持ってはしゃぎまわる。

写真フォルダにあっという間に保存された、数百枚に上るポルノ写真。

現役のJS・JK・女教師・アイドル...の秘部が惜しげもなく写し撮られた写真は、たった1枚でも数万〜数十万円はくだらない値が付くことだろう。

それが数百枚も揃っているスマホの資産価値は、一体いくらになってしまうのか。


「よし、それじゃあ作戦を開始するか」


 猿山が考えた作戦。

催眠状態の女の子たちから悩みや今困っている事を聞き出し、それを利用してセックスに繋げよう、という分かりやすい内容だった。


「ララちゃん、最近悩みとか困ってる事とかあるかな?俺に全部洗いざらい話してくれよ。へへへっ」

「.........悩み?...私の悩みは...」


 さすがにこの人数分を全て正確に覚えることはできないため、メモ帳アプリに1人ずつの困り事を詳細に記入していく。

すぐに解決できそうな話もあれば、普通なら他人に言わないような重そうな話もある。

そして全員から多かれ少なかれ出てくる悩みに、リトへの想いが入っていた。

それを聞くたびに、催眠装置で増幅された猿山の中の邪念が強く深く暗く育っていく。


「くっそ!どいつもこいつもリトリトリトって!確かにリトは良い奴だけど、こんなの不公平だろ!...絶対俺が全員奪ってやる!」


 作戦の第一段階を完了させた猿山は、自分の中の悪感情に従う事を固く決意する。

リトへの罪悪感が興奮へと変化し、男のロマンを追い求めると共に、今まで美女を独占してきた親友への理不尽な復讐をすることを今後の命題として掲げた。

と、その時『マルマル伝わるクン』がプスプスと音を鳴らしながら煙を上げ始める。


「や、やばい!装置が壊れかけてるっぽい...まずいぞっ!」


 壊れてしまった場合、記憶や催眠内容が持続するか分からない。

もし記憶が残っていたら、猿山は良くて半殺し、運が悪ければ全殺しだろう。

命の危機を回避するために、そして今後の計画のために猿山は一か八か思いつく限りの命令を全員に対して吹き込んだ。


「”みんなは催眠中の記憶を思い出せない!””今後は猿山が言う事にたとえ違和感があっても納得する!”...えっと、それから...そうだ!”全員服を着ろ!”」

「...はい」

「分かったわ...」

「おっけー...」


 叫びにも似た猿山の命令を聞いた彼女らは、返事をしながら服を着始める。

ちょうど全員が服装を元に戻した頃、頭上の催眠装置がバチバチと危ない音を発してついに沈黙した。

それと同時に、リビングにいた全員の顔が普通の表情へと戻る。


(ど、どうだ...催眠のことはバレてないか?!もし催眠が完全に解けていたら...)


 緊張感で生唾を飲み込む猿山は、キョロキョロとみんなの顔を見回す。

一瞬時間が止まっていたような違和感を抱くメンツもいるが、ほとんどの女性は何事も無かったかのように歓談を再開していた。


(ど、どっちだ?成功か?失敗か?!)

「さ、猿山?大丈夫か?」

「ひゃいっ!!!な、な、な、なんの事だリト?!」


 怪しい挙動の猿山を訝しむ表情で、リトが声をかける。

それに驚いた猿山は、裏声で返事をした。


「いや、だからその頭に被ってるララの発明品だよ。なんか黒い煙が出てるし、いつもなら何か大変な事になると思うんだけど...」

「お姉様のことですから、きっと意図しない挙動をしている可能性があります。リトさんの身代わ...いえ、ご友人として私も心配しています」

「もうリトもモモも心配しすぎだってば〜。今回は大丈夫だよ!ね?猿山!」

「へ?」


(みんな催眠中の記憶覚えていないっぽい?...そ、それってつまり!)


 猿山の心に、小さな希望の火が灯る。

最後に発した苦し紛れの命令の一つが機能しているということは、他の命令も...

希望的観測を立てていると、ララが無防備な谷間を見せつけるように猿山の顔を下から覗き込む。


「猿山?」

「むっほ!谷間が...あ、ああ、ララちゃん!残念だけどこれ、使う前に壊れちゃったみたいだぜ」

「えー、残念だなー。みんなの本音が聞けて楽しそうだと思ったのに」

「ほっ...トラブルが起きる前に壊れてしまって、ある意味安心しました」

「そ、そうだな...ははは」


 表面上はつつがなく日常会話が進んでいるが、猿山の心臓は破裂寸前なほどに心音を刻んでいる。

そしてこの場で命を落とす事を回避したことに安堵しつつ、猿山は実験がてら一歩踏み込んだ発言をすることにした。

これが通れば、おそらく催眠は継続していると見て間違いない。

それを確認するために必要な工程だ。


「ら、ララちゃん。ちょっと提案なんだけどさ」

「どうしたの?」

(猿山のやつ、ララに変なこと言おうとしてないか?)


 猿山はララに耳打ちするように、小さな声で話しかけた。

一応の警戒として、リトにもモモにも聞かれないように。


「今回の発明品の応用でさ、『相手に自分が言った事をさせられる装置』とか作ってみたらどうかな?そうしたらリトがもっとララちゃんに積極的になると思うんだよ」

「うーん...でもそれって、リトを無理矢理操ってるみたいじゃ」

「いやいや!使い方次第だって!」

「......」

「俺が今回みたいに試運転を手伝うからさ!もっと壊れにくくて小型のやつ作ってみようぜ!な?な?」

(ど、どうだ...?)


 催眠の効果が弱いため、猿山の怪しい提案をすんなりとは受け入れないララ。

猿山は粘り強く苦しい言い訳を並べ、ついにララを納得させることに成功した。


「うん...分かった!猿山に言われた通りに作ってみるね」 

「さすがララちゃんだぜ!あ、このことは2人だけの秘密な。リトとかモモちゃんにバレたら面白くないからさ」

(うおっしゃーーー!!!)


 ララを動かす事に成功した猿山は、心の中で勝利の雄叫びを挙げ、ガッツポーズを繰り出した。

催眠が浸透している事を確信し今すぐ部屋中のメスと性交渉をしたい気分になるが、今後のパラダイスを考えてギリギリのところで踏みとどまる。


「猿山、さっきララと何の話をしてたんだ?」」

「え?えーっと...はは!さっきの発明品についての話だよ」

「そうか?それなら良いんだけど」

「............」


 コソコソ話の内容を聞きたいリトとモモが猿山に話しかけるが、適当な回答ではぐらかされる。

リトはそれでも納得した様子だが、モモは猿山の一挙手一投足を怪しむ視線で黙り込んでいた。


「モ、モモちゃん?そんなに俺を見つめてどうしたんだ?...もしかして、俺のこと気になってる感じ!?」

「ははは、まさか。リトさんと仲良くお話ししていたので、微笑ましく眺めていただけですよ」

「そ、そうですよね...ははは」


 寒気を感じ取った猿山が誤魔化すように冗談を言うが、モモは冷たい笑顔でそれを一蹴する。

明らかに空返事であるが、それ以上追求するなと言われているようだった。


 それから1時間ほど、パーティーはつつがなく進行していく。

リトがラッキースケベ体質を遺憾無く発揮し、女の子たちの胸にダイブしたり揉んだり、スカートをずり下げたり顔をうずめたり、猿山の妬みを増幅させるようにドタバタなエロ日常を独占していた。


——————————————————

〜リト視点〜


「じゃあ皆さん、お気をつけて」

「はぁ〜、今日も大変な1日だった」

「大変...ねぇ」

「み、美柑、何だよその意味深な顔は」

「ふふ、お疲れ様でした、リトさん♡」


 みんなを玄関で見送った後、俺はため息混じりの感想をつぶやく。

妹の美柑は何か言いたげなジト目で俺を見つめ、モモは相変わらず裏のありそうな表情で微笑みかける。

きっと次のハーレム計画の企てをしているんだろう、今日みたいに。


「さ、ぱぱっと後片付けしちゃおっか!」

「はーい!」

「俺も手伝うよ」


 俺たちは、玄関の鍵を閉めてリビングの片付けを始めた。

みんな気を使ってキレイに使ってくれていたが、それでも食べカスが落ちたり、洗い物が出たりはする。

幸い5人も住んでいるから、協力すれば片付けにそれほど時間はかからないな。


 ちょっと前までは俺と美柑の2人暮らしだったけど、ララが居候を始めて、いつのまにかモモとナナまで。

毎日家の中でもトラブルが絶えないけど、おかげで我が家は明るく楽しく暮らせている。

それが当たり前みたいになってるけど、改めてララ達には感謝しなきゃな。

そんな事を考えながら、掃除機をかけていた。


「ん?ソファの下に何か落ちてる」


 掃除機の先端に当たった固い感触で、俺は偶然落とし物を発見した。


「アンテナ?...さっきのララの発明品が折れて滑り込んだのか?」


 手を止めてそれを眺めていると、机の上を掃除している美柑とモモが話しかけてきた。


「ちょっとリトー、なにサボってるの?」

「誰かの忘れ物でも見つけましたか?」

「いや、そうじゃなくて、ほら。パーティー中に猿山が付けさせられた、ヘルメットのアンテナが落ちててさ」

「あ!そこにあったんだー。さっき『マルマル伝わるクン』を落としちゃって、それ探してたんだー!リト、ありがと〜!」

「うわっ!ら、ララ、抱きつくなって!む、胸がっ///」

「こらケダモノ!鼻の下を伸ばすなぁ!」


 ララは俺の腕に抱きつき、ふくよかな胸を押し当てて、天真爛漫な可愛い笑顔でこっちを見つめる。

最近は多少女性慣れしてきたけど、それでもやっぱりこればっかりはいつまで経っても慣れない。

俺は顔を赤らめ、ララを振り解いてアンテナを渡した。


「ありがとねー!これがないと猿や...あっ、何でもない!私これ部屋に置いてくるね」

「おい、ララ!...はぁ〜、また変な発明品を作る気だな」


 きっとララは次も怪しい発明品を開発して、何かトラブルを起こす事だろう。

まあ、それもすっかり慣れちまったけど。


「そうだリト!明日の朝、空いてる部屋の掃除しないといけないから手伝ってよね」

「え?どうしてだ?明日誰か泊まりに来るのか?」

「先程のお話しもう忘れちゃったんですか?」


 美柑もモモもポカンとした顔で俺を見つめる。

さっきの話?...何だったか思い出せない。何か重要な話だった気はするけど...

ダメだ。目を瞑って記憶を探っても、2人が言っている内容に見当がつかない。


「ごめん、何の話だったっけ?ど忘れしちゃってさ」

「あらあら。本当に覚えていないみたいですね」

「もう、リトったら...ぼーっとしてたの?」


 美柑がわざとらしくため息をついて、俺に呆れた視線を送る。

その内容を伝える前に息を吸い込んでから、美柑が口を開く。

まだ聞いていないのに、とてつもなく嫌な予感が全身をかけめぐった。


——————「明日から、猿山さんがウチに居候する事になったでしょ?」


 .........え?猿山がウチに?いやいやいや、どうしてそうなったんだっけ?

あいつはちゃんと帰る家があるのに、わざわざウチに居候する理由なんてないはずじゃ...

それに悪い奴じゃないけど、猿山みたいなスケベな奴と同居するなんて、みんな反対しそうなものだけど...


「リト?どうしたんだ?」

「ナナ...モモも美柑も!あいつが急にココに住むなんて、本当に良いのか?」

「いつもいやらしい目をしている男の人だから不安だけど、猿山さんが望んだことだしね」

「リト以上のケダモノと同棲なんてぶっちゃけ嫌だけど、仕方ないな。何かあったらすぐに追い出してやる!」

「そうですね。猿山さんが住みたがっているのを、私たちが拒否する道理はありません。それに私たちも居候の身ですし。リトさんと美柑さんがOKであれば受け入れるだけです」


 みんな本音では歓迎してはいない反応だが、誰も居候を止めるようなことは言っていない。

俺がおかしいのか?...でもそう言われると確かに、猿山が居候をするのに何の問題もない...よな?...あれ?どうして俺はさっきまで変だと思っていたんだ?少し違和感は残ってるけど、具体的に何がダメなのか分からなくなってきた。


……….そうだ、思い出した!

たしかに帰り際、「猿山が明日から住む!」って言ってたよな。

理由は...考えちゃダメなんだったっけ。


「あ...ああ!そ、そうだったな!思い出したよ」

「ふふ、それは何よりです♡」

「やっぱり疲れてるんじゃない?あとは私たちがやっておくから、リトは先にお風呂入って寝たら?」

「そうだな...それじゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」


 風呂で1日の疲れを洗い流しベッドに寝そべった頃には、猿山が居候する一大イベントに対しての不安も違和感も、不思議と綺麗さっぱりなくなっていた。



                 続


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