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えー、ゴールデンウイークになってしまいましたが。

やっと大型更新ですやったね!


土装番さんのスピンオフで始めたメカバレ小説です。

流石に文量多すぎて英訳は抜粋になります、すいません。

(最後にまとめてあります)


まあメカバレ小説書くのであれば、挿絵がほしいかな、ということで、なんの気なしに小説に挿絵描き始めてたら、とんでもなく重量級の作業になってしまいました。


流石になかなかこのクラスのことは出来ない気もしますが、白黒でならもう少しなんとか……


そんなわけでよろしくお願いします。



Well, it's Golden Week (a major holiday in Japan).

Finally a big update, yay!


This is a Mekabare novel that I started as a spin-off from Dosouban.

But it's too much text, so the English translation will be an excerpt, sorry.

(summarized at the end)


Well, if I'm going to write a Mekabare novel, I'd like to have illustrations.

So I started to draw illustrations for the novel without thinking about it, and it turned out to be a very heavy work.


I don't think I can do this amount of work, but I can manage a little more if it's in monochrome: ......


Thank you very much.



***



■百合鉄島のそれから2/The Tale of the Yuriganejima Island Part 2


 某国海域に存在する、巨大な人工島、百合鉄島。


 海路か空路で行くには特別な許可が必要で、移動手段は一本の長距離道路のみ。

 事実上、一般の上陸は不可能となっている、巨大な実験都市。


 そこには、女性型のアンドロイドだけが存在している。


 この島は、すべてがアンドロイドの実験用施設であり、計算された自然の景色と、人工物しか存在しない。

 そこで生活している彼女たちは、自分のことを人間だと認識し、そう信じ込むようプログラムされている。


 彼女たちは実験用の人形であり、百合鉄島の設備の一部でしかない。

 快楽テストや破損テストが何度も繰り返され、リピートするような限定的な日常が繰り返されている。


 もちろん誰も、そんな狂った日常や状況になんの違和感もなく、理解もしない。

 己の過ごしている日常に疑問など抱かず、己を正しいと信じて生活している。

 疑問など考える必要がないし、そのように設定されているのだから。


 それに、人間はそういう生き物なのだから、それが人間らしく正しいに決まっている。


 ただ、プログラムに従って、人間として、人間らしく考え、人間のように思い、人間ではありえない快楽と異常な生活を享受するのが、人間の幸せなのだから。


 これは、そんな日常を営む、テスト用にいびつな設定を与えられた機械人形達の行動記録である。



***



 誰もいなくなった部屋……正確には「最初から誰もいなかった」部屋。

 壊れた全裸の女性型アンドロイドが二体、ベッドからもつれあったまま、半分ほど床に転がっていた。

 顔に嬉しそうな表情を張り付かせたまま、機能を停止している。


 二体とも、胸部センサーや女性器ユニット周りが焼け溶けていて、どう見ても事故や事件ではなく「破損やエラーによる快楽状態」での大破。

 辺りは部品が散乱していたり、人工の愛液や涎などが漏れ出していたり、半透明の導電ゲルが溢れて、水たまりになっている。


 どう見ても、お互いぐちゃぐちゃになるほど愛しあって、感じる部分がオーバーヒートで焼き付いてしまい、完全に快楽に溺れきって、情事をお楽しみになられた後。


 まあつまり、いつもの回収パターンなので、必要事項の確認を始める。


「うーん、ここ数日、なんか壊れる子が多い気がするんだけど……」


 そんな機械人形の下腹部にある、ソリッドインダストリーのロゴとIDをチェックしながら、八名姫なぎさは、愚痴を漏らす。



 回収処理班の一人、なぎさは、日本人なのに瞳が赤い。

 仕事中以外の日常では、カラコンなどで目立たないようにしているが、幼い頃からコンタクトが出来るわけでもなく、気にするようになってしまった。

 そのせいで人付き合いはあまりうまくないほうだと思っている。


 ありがたいことに「見た目も体型も箱入りのお嬢様みたいですっごく綺麗」と、学生時代からの数少ない友人は言ってくれるけども。


 だけど、自分みたいに内向的で社交性もなく、体型にもなんだか自信が持てないタイプには、このような壊れた人形の回収作業を淡々とこなすだけの仕事は、性に合っていると考えていた。


 この巨大人工島では、街をまるごと使ってアンドロイドたちを生活させ、常にテストしている。

 人間に紛れるように活動し、人間のように考え、人間らしく生活しているが、女性しかいない。


 そして、この実験都市では、よく快楽テストが行われている。

 アンドロイドの彼女たちは、敏感な胸部センサーや女性器ユニットなどの機械をいじりながら、嬉しそうに自壊、もしくは愛しあって壊れあう。

 そうした行動や思考のテストは、毎日、必ずどこかで行われている。


 そんな壊れたアンドロイドを回収するのが、なぎさたちの仕事、百合鉄島管理センターの【回収処理班】だ。


「さて、まずはIDのロゴマークを照合っと……うーん、そっちは残ってるけど、こっちは溶けちゃってるわ……だいぶお楽しみだったみたいね?」


 なぎさは、そんなアンドロイドたちが壊れた現場の検証をしながら、状況確認と機体の照合を済ませていく。

 回収は、機体の下腹部にあるIDを基本的に現場でチェックする必要があり、その後、回収に入る。


 なお、回収班の制服は案外可愛らしいもので、作業系でありながらズボンではなく短めなスカートだし、足にはサイハイソックス。

 むしろ何かの拍子に下着が見えてもいいように、最初からそういった、水着の上から着る感じのような制服のため、イベントのコンパニオンか何かのようにも思える格好だ。


 おかげで、地味な仕事の割に、島内での人気やイメージは悪くない。

 ストレートの黒髪で箱入りお嬢様みたい、と称される、なぎさにもよく似合っていた。


 管理センターの制服は部署ごとに様々だが、全体的にそうしたセクシーなデザインが多く、警備員から管理官、研究員に至るまで美人ぞろいのため、憧れの就職先でもある。


 そんな管理センターでは、島内のアンドロイドたちを検査、チェックしたり、対応、処理するのがメイン業務の一つだ。

 アンドロイドたちは、それなりに勝手に都合よく自律行動してくれるが、島の基本行動サイクルの一環であるところの「快楽テスト」の性質上、どうしても、壊れる機体が多く出る。

 そのため、アンドロイドの残骸をこうやって回収し、現場の清掃作業が必要だった。



「ふふ……まあ、タイミングが重なる【時期】なんじゃない? それに、こんな快楽まみれで溺れるのは可愛いんだからいいと思うし……よッ、と!」


 壊れた人形を手際よく台車に乗せ、同僚のエレノア・ルイスが明るく言う。

 同じように壊れあっていたであろう、もう一体の残骸を重ねると、台車から落ちないよう、二体のアンドロイドを固定ベルトで留める。


 やや内向的な、なぎさと違って、エレノアの方は明るく社交的。

 しかも美人で綺麗、体型だってモデルかと思うほどにスタイルもいい。


 正直、もともと島外から来た才色兼備でキャリア組の彼女が、こんな仕事をしているのが場違いにも思える。


 なんでも、どこかの研究所でアンドロイド専門のロボット工学に携わっていて、アンドロイドの開発経験などがあるらしい。

 それで、アンドロイド関連事業に興味があって、わざわざ試験をクリアして百合鉄島に来たのだとか。


 だったら、回収班より研究室や開発室の方に行っていても、不思議はなさそうなものだけど。

 けれど、彼女は、残骸になった人形が壊れあった現場を見るのが好みらしく、いつも嬉しそうに回収作業をしていた。


 本人が言うには、こうした、壊れたアンドロイドの残骸や実際の運用、破損状況を見るのが好きなマニアだとかいう話らしい。


 当然、こうしたAIの知識やアンドロイドの行動学などについても詳しいので、島でのテスト運用などについても相応の知識がある。

 そんなエレノアが言うのだから、おそらくそうなのだろう。


「……そうかも。【時期】が集中するって、たまにあるものね」


「詳しくはデータ拾わないとわからないけど、たぶん【時期】で合ってるんじゃないかな」


 【時期】というのは、島のアンドロイドたちが壊れる時期のことだ。


 島では、アンドロイドが一定期間、もしくは一定の条件を満たすことで快楽状態になり、自発的に乱れて自壊してしまうように出来ている。


 これなら、もし多少なにか問題が起きたところで問題になることはない。

 もともと、この島で行われているテストの大半は、破損を伴った快楽テストなのだから、そういったことはいくら繰り返されようとかまわない性質のものだ。


 なにより、こうした定時処理のおかげで、記憶や関係性のリフレッシュや再構成、再調整などに関して問題が出にくく、異常行動などを起こしても、結果的に快楽テストに移行することで管理がしやすい。

 調整や修復、再処理、アップデートや新型への換装も容易になっている。


 そのため、島の機械人形たちは、定期的に自分から破損し、快楽テストを実行して機能停止するようにプログラムされていた。


「それにしても、こんなになるまで壊れ合うなんてね……」


 なぎさは、そんなアンドロイドたちが、ココまで壊れてしまう、ということにいまいち馴染めない感覚を抱えていた。

 優秀なロボットであれば、普通、こんなに快楽に溺れてしまわないような気もするからだ。


「まあ、それだけ気持ちいいってことなんじゃない? 昂ぶったら、どうしたって止まらない、なんて、おかしなことでもないんじゃないかしら」


 だが、なぎさと違って、エレノアの方は、むしろ肯定的だ。

 プログラムやシステム上【そういう事にされてているならそうなる】というのを、よく知っているせいでもあるのかもしれない。


「うん、そんなものなのかな……」


「快楽状態に入ったら、どうしたってこうなるんだし、そういうシステムなら、自分から望んだり、設定的に有利に働くようになってるんじゃない?」


 【時期】のシステムは、一定の期間や一定量のストレスが溜まったり、関係性による愛情行動など、複合的ないくつかの条件を満たすことで「快楽状態」に移行する。

 そして、一度快楽状態に入ってしまえば、エラーやノイズ、ストレスやショックが全て快楽データに変換されるため、なかば暴走状態になる。


 特に、敏感な胸部や女性器ユニット、快楽制御装置がオーバーヒートを起こしはじめると、とにかく快楽データ欲しさで、機能停止するまで快楽を求めてしまい、島のアンドロイドたちは損傷が止められなくなる。


 それはもう、すごく幸せで気持ちよく快楽に溺れてしまうらしく、快楽情報でシステムが壊れ、破損を繰り返して焼ききれてしまい、機能を停止するまで快楽を求めてしまう。

 実際、アンドロイドたち本人に聞いてみても、最高の快楽のようだ。


 とはいえ、彼女たちにも表面上の通常行動として、感情も、生活もある。


 彼女たちには、人間のように、基本的な行動様式や生活範囲がある。

 それを守った上でこうした事を起こすようになっているし、破損して修復された場合などは、記憶が都合良く改変されたり、設定などもうまく引き継がれるようになっている。


 そのため、異常を起こして快楽状態になり、一緒に壊れあった人形が、その後、愛情に変換処理され、何度も壊れあう恋仲になる関係を見るのは珍しくない。


 おそらくこの二体もそうだ。

 どう見ても、同じ寮のルームメイトであり、部屋の写真などを見る限り、恋人関係に思える。


 もっとも、最初からそういうテストだったのか、本人たちが望んでそうなったのかは、知るワケもないのだけど。


「でも、なんだか、こういう機械人形が何も知らないまま壊れあうって、悲しい存在かもしれないわね……」


 そっと、壊れた人形の外れたフェイスパネルに触れつつ、寂しげに語るなぎさ。

 何も知らずに命令どおりに行動して、嬉しそうに壊れる人形たちが、なんだか不憫にも思えてしまう。


「ふぅん、なぎさはそう考えるのね? でも、あたしはむしろ、幸せな存在だと思うわ」


 だが、エレノアは逆の意見のようだった。


「……そんなものかしら?」


「嫌なら、恋人同士になって何度も壊れあったりとかしないんじゃない?」


「あ……それはそうかも」


 実際、なぎさからすれば、彼女たちの生活がどうなのか、などと、回収役の立場で気にする意味もない。

 でも、たしかに、残骸のこうした嬉しそうな表情を見る限り、幸せならそれでいいという気もする。

 たとえそれが、すべて都合よくコントロールされていて、そう設計されていたとしても。


 だいたい、アンドロイドたちがどのように壊れたか、なんていうのは、すべてモニターされているので、半裸のまま嬉しそうに壊れあった彼女たちがどうなったかは、記録され保存されている。


 だから、なぎさたちは何も知る必要なんかない。


 こうして互いの胸部センサーや女性器ユニットを押し付けあいながら、幸せそうに半透明の導電ゲルを撒き散らすように壊れあい、ノイズを発しながら残存電力でがくがくと誤動作していた「嬉しそうに快楽で壊れた機械人形たち」の後始末をするだけのことだ。


「それに、あたしはそういうのがたくさん見れて嬉しいかなあ」


「やれやれ……ホント、エレノアはそういうの好きよねえ」


「だってぇ、こんなに可愛い子たちがめちゃくちゃ愛し合って、どうしようもなく気持ちいいことしてるんだから、それは羨ましいくらいでしょう?」


「まったく……」


 エレノアのほうは相変わらずだ。

 彼女はなぎさの言葉に肩をすくめながら、作業に戻る。


 ただ、なんにしても、今日の件数は特に多い。

 まだ昼過ぎなのに、もう七件目……しかも、この女子寮だけで五件も起きている。


 いつもは一日に多くて五~六件だから、これはかなり多いと言える。

 とりあえず、残骸を回収して現場を掃除したら、さすがにどこかで一休み入れたい気分になる。


「ねえエレノア、この回収終わったら、一息入れない?」


「賛成。ふふ……この胸部センサーの焼け具合、気持ちよかったんだろうなあ」


「また、そうやっていじって遊ぶ……ほどほどにね?」


「了解、なぎさは相変わらず真面目ねえ」


 エレノアは、破れて溶け出している人形の胸部センサー周りの皮膜をなぞりながら、いつものように楽しげに観察している。

 彼女はどうやら、こうした、女性型ロボット同士の禁断のロマンスや恋愛といった、情欲の伴う愛情じみたものが好きらしく、いつも残骸に感情移入するというか、壊れた人形がすごく気持ちよさそうで羨ましい、みたいなことをずっと言っている。


 こうした、アンドロイドの感覚や感情システムなどに興味があるのはわかるけれども、エレノアが本当に気になっているのは、もしかすると、女性同士の性的快楽に対してもなのでは、と思うほどだ。


 一方、なぎさのほうはといえば、アンドロイドの性的な快楽の内容やそのテストに関して、あまり深く考えないようにしていた。


 実際問題、こんなふうに半裸や全裸で、完全に壊れるまで快楽に溺れる人形たちに対して、気になってないといえば嘘にはなる。


 でも「人間と見分けのつかないどころか、それ以上に優秀なはずの人形たちが、自分で壊れたがるほど没頭する快楽」ということを考えると、電子ドラッグなんか比べ物にならないほど、よほど強烈な快楽だということだ。


 どうしても、触れてはいけない禁断の扉のように思えてならない。


 だから、特にそういったことを考える気にもなれないまま、淡々と日々の作業をしていた。


 そして、黙々と回収を進め、2人で人形の残骸を車に運び込み、細かい部品の掃除と、フローリングで水たまりになっている半透明の液体の後始末を終える。


 そのまま、原状回復が終わった空き部屋で休憩することになった。


「あー、やっと終わったぁ……って、いつも通り、エレノアは元気ねえ?」


「ふふ……だってここ、ずいぶんと楽しそうな女子寮で、うらやましそうな現場だもの」


 部屋のベッドや家具ソファをなでながら、相変わらず嬉しそうで満足気に語るエレノア。


 なぎさからすると、マットなどは交換したとはいえ、よく、さっきまで人形が壊れあってたようなところで、嬉しそうに触れるものだと考えてしまう。

 ついさっきまでアンドロイドたちが、女性器ユニットや胸部センサーをむき出しにして、フェイスパネルまで外れるくらい、快楽に溺れたままの姿で転がっていたのだから。

 普通に考えれば、さすがに、ちょっと敬遠する感じに思う。


 だが、エレノアの方はお構いなしである。


「ああ、このソファで、さっきまであんなに乱れあってたのね、んぅ、素敵……ぃ」


 むしろ、エレノアはソファで壊れていた機械人形たちの様子に思いを馳せ、徐々にトリップしているようだった。

 クッションに頬ずりし、ソファの背もたれに股間を押し付けて味わっている。


 だが、それだけでは飽き足らず、次第に彼女は激しく積極的になっていく。

 まだ休憩中だというのに、どんどん自慰行為にふけってしまい、止まらなくなる。


「ぁふ、ん……ふふ、いいなあ、ここであんなふうにぃ……んぅ」


「エレノア……?」


 エレノアは、スカートや胸の中に手を入れだすほど、乱れ始めてしまっている様子だ。

 くちゅくちゅと音がするほどに、蜜がとめどなくしたたりあふれてくるし、制服だって乱れてしまって、バッグのベルトをほどいて、床に落としてしまうほどになっている。


 やがて、我慢できないといったように制服の胸ホックを外しだしてしまい、乳房まであらわにして、すっかり頬を上気させてしまっていた。

 激しさはどんどん増していき、下着に入れた指で中をかき回しながら、固くなった乳首をいじりつつ、嬉しげに胸を揉みしだく。


 さすがにエレノアでも、そんなことまでするのは、どう考えてもやりすぎだ。

 そう、なぎさは思った。


「ちょ……エレノア、何やってるの!? こんなの、いくらなんでも……」


 なぎさは、すっかり自慰行為に夢中になりだしたエレノアを、止めようと声をかける。


 あまりのことに、しばらくどうしていいかわからなかったが、考えるまでもなく、こんなことは勤務時間中に許される行動じゃない。

 なにより、なぎさの目の前であるにも関わらず、そんな事を全く気にせず乱れてしまうのは、明らかにおかしいどころの騒ぎではなかった。


「あっあ……あああっん! あは……ぁ、くすくす……だってぇ、こんなに気持ちいいんだものぉ……はぁ、ん……みんな、きっとこんな感じだったのね……あぁんっ!」


 だというのに、エレノアの方は、どうしようもなく行為に没頭してしまっている。


 すっかり昂ぶってしまい、いっこうにやめる気がないどころか、さらにエスカレートしてしまい、完全に乱れていて、何度も達している様子だった。

 恍惚とした表情で正気を失っている様子でもある。


 蜜だって、さっきから激しく漏れ出していて、太ももをつたってぽたぽたと流れ落ちているほどだ。

 まるでモデルみたいで優秀な彼女が、床を汚してしまうくらい、こんなにひどく快楽に溺れてしまうなんて信じられない。


 ただ、なぎさには、一つだけ思い当たる可能性があった。


(もしかして……エレノアもアンドロイド……?)


 なぎさは、無意識にそんな想像をしてしまうけれど、そんなはずはないし、あってほしくない。

 第一、管理センター所属の人間が機械じかけのアンドロイドだとかありえないし、それに、エレノアはもともと島の人間ではないのだから。


 でも……もしそうだとしたら。


 百合鉄島は、身分証明のIDを偽ったりも出来るし、出身に関係なくアンドロイドを作れるという話になる。

 アンドロイドたちの存在は、自分が思っているよりもずっと巧妙で組織的で、どこにでもいるし、なんでもありだということになってしまう。

 それこそ、会社だって管理センターだって、まるで人間が管理していない可能性だってある。


 なぎさは、自分の想像にぞっとしながら、その考えを否定するように、必死にエレノアの体を揺さぶって正気に戻そうとする。


「エレノア、ねえ、どうしちゃったの? なんでそんなに嬉しそうに乱れてるの? もしかしてエレノアもアンドロイド? そういうことなの?」


「あっ……ふ、ぁん……ッ、何を言ってるの、なぎさぁ? そんなはずないわ……ほら……ぁ、見て?」


 エレノアは突然、何事もなかったようにゆっくりと、制服の前を完全に開け、スカートを脱いだ。

 そのまま、ぐしょぐしょに液体まみれになっている制服のパンツを、糸を引かせながらめくって見せる。


 そして嬉しそうに、その「刻印が印刷された下腹部」を見せつけようとしてくる。


「あは……ぁ、とても、とても熱くてぇ……くすくす、あたしは人間だから女性器ユニットがこんなにオーバーヒートして…ぇ、さっきからずっとぉ、人間の証拠のIDを……チェックされたくてしかたないの……ああん!」



 エレノアの下腹部。

 そこにあったのは、ソリッドインダストリー社のメーカーロゴ、そして形式番号と、IDのコードだった。


 島のアンドロイドたちと同じマークだ。


 このIDコードが破れずに残っている状態のアンドロイドであれば、スキャンして確認、必ずチェックして対応するのが、なぎさたちの仕事なのだから、間違いない。


「そんな……エレノアも壊れたアンドロイドで、【時期】だったなんて……」


「んぅ……、くすくす、わたしが…壊れたアンドロイド? そんなハズないわぁ、あは……んぅ、百合鉄島では、こんなのだれだって当たり前でしょぉ……ほら見てぇ、人間には、ちゃんと下腹部にロゴマークがあるんだから……ぁ」


 自慢気にロゴマークを見せながら、人間なら当たり前だと主張するエレノア。

 むしろ、人間ならロゴマークはあって当然、ないほうが人間じゃないとでも言いたげである。


 なぎさにはまったく信じられなかったし、むしろ信じたくなかった。

 同僚がアンドロイドで、しかも、幸せそうに壊れだすだなんて。


 壊れた機械人形たちみたいにオーバーヒートを始めてしまい、彼女たちと同じように乱れて異常を起こし、どれだけ快楽で気持ちよくてドキドキしているのかを見せつけるなんて。

 自分からIDをチェックしてもらいたがるなんて。


 こんなの、人間では絶対にありえない。


 快楽に溺れたまま、蕩けた表情で、すっかり服もはだけてしまうエレノア。

 そして、さっきからずっと達し続けていた女性器ユニット周りの人工被膜が、徐々にオーバーヒートで溶けだしてしまい、嬉しそうに中をいじっているうちに、だんだん股間周りの機械があらわになっていく。


 人工の愛液も、さっき掃除したばかりの部屋に水たまりを作り出すほど、ぷしゅぷしゅと潮吹きのように溢れ出していて、まったく止まらない。


 くちゅくちゅと機械の女性器をいじりながら、熱で溶けだした被膜を、まるでチーズかマシュマロのように指で絡め取って、嬉しそうに味わうエレノア。

 その様子は、明らかに機械人形らしかった。


〔ぴゅあああっ、んぅ、ああ……みみみ見て、ああああたしは人間だけど、こここれこれはきっと、アンドロイドたちみたいにきききもち気持ちいいいいの……ぉ〕


「エレノア……そんな……」


 ノイズ混じりに、合成音声じみた嬌声を上げるエレノア。

 すっかり、機械じかけのアンドロイドであることを隠そうともせず、自覚もなしに女性器ユニットの機械をあらわにしながら、乱れだした様子を見せつけてくる。


 なぎさは、そんな彼女に対して、どうしていいかわからなかった。


 冷静に考えてみれば、ある意味エレノアは念願がかなったようなものとも言える。

 彼女はいつも、こんなふうに誤動作しながら快楽に溺れたいと思っていたに違いないのだから。


 人形たちは、こうやって快楽状態が始まってしまえば、どうやったって快楽に溺れてしまう。

 ソリッドインダストリー製、製造番号A2137FD、それがエレノアの正体だった。


〔ぴゅ……あぁんっ! あは……みみみぎ右胸部センサーも、こここんなに、ああ熱くて熱いの……ぉ……〕


 エレノアはくすくすと微笑みながら、今度は、同じように熱でとろけだした、自分の右胸の被膜を破って、敏感な胸部センサーをむき出しにしていく。

 そんな彼女は、仕事でいつも見る壊れた人形たちよりも艶かしく、蠱惑的にも思えてしまう。


 なぎさにとって、人形が直接こうやって乱れ始めてしまう様子を見るのは、初めての経験だった。

 思わず目が釘付けになってしまう。

 そのせいで、エレノアと目があった。


〔きゅぴ……んぅ、きききもちいいいのいいわ、しよう、なななぎなぎさも……しよぉ……?〕


「ちょっ……やめてエレノア、わたしは人間だからそんな……ぁ、んぅ」


 誤動作により言葉や行動のおかしくなったエレノアは、なぎさに抱きついてくると、ソファに押し倒し、そのままなぎさの唇を奪う。

 力で敵うはずもなく、おかげで何度も唇を交わしあい、じっくりと舌を絡めあうディープキスに興じることになってしまう。


 あつい。


 エレノアはすごく熱いし、異常を起こしている。

 にもかかわらず、なぎさにとってそのキスはすごく甘くて、蕩けそうで……味わうたびにやさしくて幸せだった。


 いつのまにか、求められるままに何度も何度も口付けを繰り返し、なぎさは、こうやってずっと、舌を絡めあっていたくなるくらいには感じさせられていた。

 おかげで、なぎさもいつのまにか上気してしまい、当てられたかのように吐息が熱くなってしまい、思わず、頭がぼうっとする。


「やぁ……えれ、のあぁ……あぁん」


〔ぴゅ……んぅ、くすくす……なぎさもここここんなに溢れ出して、かか感じてくれてるのね?〕


「……え?」


 エレノアは嬉しそうに、押し倒したなぎさの内腿を人差し指でなぞりあげ、愛液まみれになった指を見せつけながら、微笑を浮かべながら舐め取っている。


 そんなはずはない……そう思ったなぎさだったが。


「いくらなんでも、私……そんなに感じてるハズは……」


 指で触って、自分の股間を確かめてみれば。

 なぎさの内腿は、自分でも信じられないくらいに、どうしようもなく、すでにぐしょぐしょになっているほど湿っていた。


 いくらキスが甘くて気持ちよかったとはいっても、さすがに、何度も達するようなことなんてなかったはずなのに。

 蜜が溢れて止まらなくなるぐらい感じるなんて、こんなの、絶対におかしいはずなのに。


「なにぃ、これ……ぇ……、ふあっ……んん!」


 それどころか、エレノアの言う通り、知らないうちに蜜がどんどん滴り落ちるほど湧き出してしまい、いつの間にかソファは液体まみれになっていた。

 今だって、ぷしゅ、ぷしゅっと何度も吹き出しているのがわかる。


 こんな、ずっと達しているような状態なんておかしい、と思うのに、熱くて止まらない。

 むしろ、意識したらもっともっと感じてしまう。

 乳首や乳房、股間、おなかの奥が熱くなり、肌がどんどん敏感になっていく気がする。


「やだぁ……どうしてぇ、知らない、こんなの知らないぃ……ああぁんっ!?」


 なのに、なぎさがそう思うたび、彼女の背筋に快感が奔る。

 何度も何度も達してしまうのがわかる。

 必死に指で押さえているのに、びゅくびゅくと熱い液体が漏れ出してしまうくらい、わかってしまう。


「あぁ、ああんっ、んぅ……ひあ……んふああぁっ!?」


 どうしてどうしてどうして……そう思うほど、快感が激しくなって止まらない。

 むしろ、そう感じるために考え始めてしまうし、やめられない。きもちいい。

 どうして……どうして……どうして……ぇ。


 わたしは人間なのに、アンドロイドじゃないのに……!


「はぁん……や、ぁ……こんなの、まるでアンドロイドみたいじゃない……違うの、わたしは違うわ……あぁんっ!」


〔ぴゅ……ぃ、んぅ、ももも問題ないわ、なぎさは人間で人間なんだから、ああああたしみたいに、なななぎさもちゃんとににに人間のマークがあるに決まっているもの、あは、あああたしたちはにににんげんだから確認したいしもも問題ないし問題ないでしょう?〕


 エレノアは、優しく頭をなでて、なぎさの涙を舐め取ってくれる。

 なぎさの思考が、ぐるぐると目まぐるしく回転する。


 そうだ、なにを悩んでいたんだろう。


 わたしだって、わたしだって……あんないやらしいアンドロイドたちみたいに、快楽に溺れて色々放り出したいに決まってるのに。


 わたしは人間だし……アンドロイドたちとは違う。

 でも……でも……。


【人間なんだから、あんなふうになりたくて仕方がない】


 自然と、なぎさにはそう思えてしまう。


 股間を押さえていたはずの指は、いつの間にか快楽を欲して、ちゅくちゅくと下着の上からいじりだしていた。


「どういうこと、なのぉ……あんっ……あぁ、違うわ……違うの、そんなハズないわ、だってぇ……だってだってわたしは人間なの、人間だもの……ぉ」


 だって、自分は人間だ、間違いなく。

 アンドロイドじゃない、ちゃんとした人間だ。人間のはず。

 なのに、そう思うたび、なぎさの中が熱くなって、蜜が激しく溢れ出すのを感じてしまう。


 ……気持ちいい。


 なぎさの頭はすっかり熱に浮かされて真っ白になり、衝動に流されるまま、なにもかもが止まらないし、止められなくなっていく。

 思考が、指が。

 快楽を感じたいと、どんどんエスカレートしていってしまう……!

 

 なぎさの仕事は毎日、壊れた人形たちを回収することだ。

 こんな、いやらしくて、いかがわしいことをする、はしたない性欲だらけのアンドロイドたちの残骸を、毎日回収する。


 そんな機械人形たちを、どこかで羨ましく思いながら、そんなこと考えないようにしてきたのに。


 アンドロイドたちはみんな、内気なわたしなんかよりも、コミュニケーションが上手くて、美人で、スタイルも抜群で可愛くて綺麗で、羨ましくなんかないのに。


 あんな機械人形たちみたいに、何も考えられなくなるまで気持ちよくなって、何もかも忘れて壊れあえたらいいなあ……なんて思ってなんかないのに。


 エレノアみたいに、人形たちを……エッチでいやらしく乱れ壊れる人形たちを、あけすけに憧れてしまえるなんて、うらやましいって思ってなんかいないのに。


 愛玩人形たちみたいに、ああやって幸せで愛し合って快楽に溺れて、何度も何度もオーバーヒートしながら、ひたすら快楽に溺れられたらいいなあなんて、思ってなんかいないのに。


 そんなこと、考えちゃいけないに決まってる。


 でも……。

 憧れのエレノアと、いつか恋人になって。


 こんなこと誰にも言えないけど。

 機械人形たちみたいに、嬉しそうに壊れあって、毎日毎日気持ちよく壊れあって、たくさん愛しあって、好きで好きでたまらない気持ちになって、一緒にめちゃくちゃになって壊れあって。


 快楽に溺れながら壊れあいたくて、こんな人形たちみたいに幸せになりたいなんて思ってるけど、人間はそんなこと思っちゃいけなくて、でも人形みたいになりたくてなりたくてなりたくて壊れあいたくて、人間ならキレイな人形みたいになりたいなんて当たり前だし、人間ならあんなふうに快楽ががほしいし欲しいに決まってるし、人間は気持ちいいし、人間のわたしはこんなひとりぼっちじゃなくてエレノアと幸せになりたくてなりたくてなりたくて壊れあいたくてわたしは人間だし人間で人間なの人間だからそう考えるの人間だから人間だから人間だから……!


 必死に考えれば考えるほど、どんどん気持ちよくなっていく、なぎさ。


 これも人間だからに決まっている……そうに違いない、人間なんだから。

 こうやって、熱くてどんどん溢れてきちゃうのだって人間だからだし、これはどう考えたって、とても人間らしくて正しいはず。

 人間なら、人間だって考えるたび、嬉しくて何度も達してしまうに決まってる。

 だって、人間なら誰だって人間は気持ちいいんだから気持ちいいし気持ちいい。


 人間は人間だからこんなに気持ちいいのは当然だし気持ちいいのは人間らしいし人間としてどんどん気持ちよくなるべきだし。

 もっともっと人間である気持ちよさをたくさん感じたくて仕方がない。


 そう考えたなぎさは、なによりも人間である決定的な証拠をエレノアに見せつけようとする。


 だってそうだ。


 エレノアが言った通り、下腹部のIDを照合すれば、ちゃんと人間だっていう証拠があるのだから。


「ああんっ……ほら見てぇ、わたしはちゃんと、アンドロイドたちと違ってぇ、あんっ……ソリッドインダストリーが人間だっていうことを保証しているの、わたしは正式な人間の証拠があるんだから……ぁ、わたしは人間なの、アンドロイドじゃなくて人間なの……ぉ」



 自分から制服の前をはだけて乳房を晒し、エレノアと同じようにパンツを下ろして、ソリッドインダストリーのロゴと、製造IDコードをエレノアに晒す。


 なぎさの下腹部には、エレノアと同じように、メーカーのロゴマークと製造番号、そしてIDのコードがプリントされていた。

 ちょうど、下着に隠れるような位置にあるため、裸になったりしなければ一般的に目にすることはないが、人間なら誰にだってあるマークだと、なぎさは知っている。


 百合鉄島の人間なら誰だってそうだ。

 ソリッドインダストリーのロゴと製造番号、そして人間であることを示すIDが下腹部の定位置に刻印されている。

 これは、人間であることを保証するため、アンドロイドと見分けがつくように、必ず印刷されるものだ。


 少なくとも、なぎさはそう記憶しているし、人間なら誰だってそのはず。

 アンドロイドにあるマークとは違って、これは人間の証拠なんだから。


 人間であると認識することは推奨されているし、定義だって正しいし、製造元だってそう保証しているんだから、人間に決まっている。


 なにより、人間であることは、どうしようもなく気持ちいい。

 こうやって、人間であることを確かめるたび、イッてしまうほど誇らしいのだから。


 疑う理由なんてどこにもない。

 人間であることを何度も何度もたくさん繰り返して宣言したり証明したくなるなんていうのは、こんなの、気持ちよくて我慢できるわけもない。


 なぎさたちは、そんなふうに思考したくなるよう、デザインされていた。


 こうやって自分を人間だと認識し、人間だと思い込みながら、アンドロイド達の管理と環境保全のため、残骸を回収し、対応する。

 それが、なぎさやエレノアのような、管理センター所属の回収班アンドロイドに与えられた仕事だった。


 もちろん、自分たちも実験体になり、回収される側になることだって、日常的に行われているだけのことだ。

 ただ、なぎさやエレノアは、まだ新しく、作られて一ヶ月しか経っていないため、今日が初めての快楽テストであり【時期】だというだけだった。


〔ぴゅあぁ……くすくす、そそそそそうよ、あたしもなぎさもにににんげんだもの……いいいっしょにチェック、しよぉ?〕


「ひぁ……んふ……ああっん!? や……ぁ、エレノア……ぁ、好き……ぃ……」


 なぎさが下腹部を見せると、すっかり快楽状態になっているエレノアは、カメラの瞳を赤く光らせたまま、なぎさのIDコードを優しくスキャンする。

 なぎさの方も、やはり快楽状態に陥っているため、互いにデータ照合のチェックを求めようと、瞳を赤く光らせながらロゴマークやバーコードを読みあう。


 エレノアの下腹部は溶け始めていたが、それは女性器ユニットの開口部周りだけで、IDコードなどはまだ読み取れる状態だ。

 それに、溶けてしまっていたら、その時は腹部パーツなどに記されたマークを見たり、データを通信しあえばいい。

 人間であれば、そんなことは誰だって出来るし、なんの問題もない。


 すっかり快楽に溺れだしたまま、熱に浮かされたままの頭で、エレノアのIDデータを照合する。



【ソリッドインダストリー製ヒューマンコンパニオンモデル、エレノア・ルイス】

<製造番号A2137FD>

 基本設定:正式な百合鉄島所属の人間・Fモデル

 年齢設定24才

 身長164cm

 体重46kg

 白人系北米型タイプ

 自己認識設定:強制人間認識Lv4/損傷などを認識、自覚可



 ソリッドインダストリーに保証された「正式な人間」として登録されている。

 これ以上ないほど完璧な人間の証拠だし、絶対に間違いなどない。

 なぎさはエレノアを人間だと確定し、再認識する。


 Fシリーズは、主に管理、運営タイプのモデルであり、そのために必要な権限を与えられている事が多い。

 一般島民であるEシリーズや、特殊任務用のGシリーズと違って、アンドロイドに対して管理的な活動することが認められている、管理側の人間として活動するタイプである。


 今ならわかる。

 なぎさもエレノアも人間なので、ソリッドインダストリーにプログラムされた通りの行動をすればいい。


 人間は、推奨されているような快楽を高める行動をしたいに決まっているし、何も問題はない。

 何より、快楽のための行動は、なぎさもエレノアもお互い望んでいることで、気持ちいいのだからもっとしたい。


 なぎさは、誤動作を始めてしまったエレノアが、オーバーヒートで女性器ユニットの機械がむき出しになったことで、一度は彼女がアンドロイドかと思ったのだけども。


 データを照会し「メーカーの保証がある完全な人間」だと証明された以上、それは思い込みだったと、なぎさは考えを修正し、理解した。


 だが、エレノアが人間だとわかると、他人事でもドキドキしてしまう、なぎさ。


 きっと、エレノアもなぎさと同じ人間だから、なぎさのように、人間だと認識するたびに快楽が流れ込んでしまうに決まっている。

 それがわかるからだ。


 つまり、人間だと理解するたび、どんどん気持ちよくなるに決まっている。

 だってわたし達は人間だから。


 人間だから、気持ちいい。

 人間だから、もっともっと人間であることをたくさん確かめたい。

 人間だから、人間だから、人間だから。


「あは……アンドロイドだと思ってたけど、エレノアも正式に認められた人間だったのね……あああんッ!」


〔ぴゅあぅ……んぅ、ああああたあたりまえ、でしょう? だだだって、あああたしたちはににに人間で人間だもの〕


 なぎさの問いに、ノイズ混じりの声で嬉しそうに微笑むエレノア。

 お互いに人間だとわかってしまったことで、安心から、さらに気持ちよく達してしまい、人工の蜜が何度も、びゅくびゅくと溢れてしまうなぎさ。


 そのまま、なぎさは自身のことを再確認する。


 自分も快楽状態になってしまった以上、人間らしく、なぎさも自己チェックを開始する。

 ちゃんと、下腹部のマークを読み取ってみれば、やはり人間であることのデータが照合できる。



【ソリッドインダストリー製ヒューマンコンパニオンモデル、八名姫なぎさ】

<製造番号A2608FE>

 基本設定:正式な百合鉄島所属の人間・Fモデル

 年齢設定21才

 身長158cm

 体重43kg

 黄色人系アジア型タイプ

 自己認識設定:強制人間認識Lv4/損傷などを認識、自覚可



 ソリッドインダストリーのデータなら当然、完璧な人間である証拠だ。

 なぎさも、人間だと保証されているのだから問題ない。


「ああんっ、見て、ぇ……ほら、わたし……製造番号A2608FEだものぉ、Fシリーズの、ああんっ、正式な人間でしょう? ……んふああぁ……っ!」


 これ以上ない人間である証明を見せつけることで、びくんと震えるくらいイッてしまう。

 なぎさは、つい先程まで、こんな状況を訝しんでいたのが嘘のように、自分から嬉しそうに、ちゅくちゅくと音を立てていじりだすくらいに止まらなくなっていた。


 なぎさもエレノアも、人間であることを、ソリッドインダストリーに正式に認証されている。

 これは、彼女たちにとって、これ以上なく人間であることに間違いない。

 製造元に認められているのだから、これ以上ないほどに完璧な保証であり証明に他ならない。


 正式に認められた人間だという証拠がある以上、いくらオーバーヒートしようと快楽状態で破損しようと、人間であることは正しいし、問題なんてあるわけがない。

 そう、ソリッドインダストリーは100%安心だし完璧で、何があっても従わなきゃいけないし、間違いなんかありえない。


 だから、推奨されている快楽は絶対的に安全で、どうしようもなく気持ちがいい。


 安心するように何度も震えて達する、なぎさ。

 なぎさのオーバーヒートはますます止まらなくなって、熱くなるのがわかる。


「ああっ……ん、エレノアぁ、すごいの、わたし……わたしも、人間だからぁ、とまら、なくてぇ……あんっ!」


〔ぴゅ……ぁう、ん……なななぎさなぎさもわわわかってくれた、のね? そそそう、そうよ、にに人間はきもちよくてきもちいいいの……〕


 それに、こうやってお互い照会したんだから、すでにソリッドインダストリーから快楽テストの許可も下りている。

 コードを読みあってチェックしたので、お互いが許可すれば、パートナー登録だって可能だ。


 エレノアがIDコードを見せたがったのはそのせいだと、今なら、なぎさにもはっきりわかる。

 パートナー登録をすれば、正式な恋人として、壊れるまで愛しあってもいいのだから。


 百合鉄島の人間なら誰だってそうだ。

 感情が満たされやすくなるために、パートナー登録をすると気持ちいいということは、仕事柄、アンドロイドたちのデータを見ているので、なぎさも知っていた。


「んふぁあっ……あは、エレノア……おたがい人間だものぉ、パートナー登録、しよう?」


〔きゅ、ぴぁ、んぅ……ええ、なぎさとここここい恋人になるのなりたいわ、すすすすきすきなのなぎさ、パートナー登録ししししましましょう、こここれはににに人間だから感情的で当然ね?〕


 なぎさは、自分でも驚くほど積極的だと思ったけれど、お互い人間同士なんだから、こんなの当然のことだ。

 それよりも、自分の女性器ユニットがオーバーヒートを始めているせいで、さっきからずっと、快楽で壊れるアンドロイドたちみたいになりたくて、とてもじゃないけど我慢なんか出来なかった。


 なぎさもエレノアも人間なんだから、もっともっと気持ちよくなりたいに決まっている。


 そう思うたびに熱くなるのがわかる。

 人間なら誰だって、快楽テストのプログラムに従うのが幸せなんだから。


 そして、パートナー登録をしてしまえば当然、暴走するように、もっと感情が昂ぶってしまうに決まっていた。


〔ぴゅあああっ、すすすすきすきすき好きなのなぎさ、好き大好き、まままえ前から思ってたのなぎさはかわいしかわいくてかわいいわかわいいいの……きゅぴああん……ッ!〕


「あふ……んんっ、好き、ええ好きよエレノア大好き、わわわたしわたしもとととまとまらなくてぴゅああああっ!?」


 繰り返し唇を重ねあいながら、エレノアに女性器ユニットを押し付けられることで、なぎさのほうも、熱くなった下腹部の被膜が溶け出してしまう。

 おかげで、オーバーヒートを起こしている女性器ユニットが、だんだんあらわになっていく。


〔ぴゅあああっ!? あ、あああ……きゅ、ぴぅぅんっ!?〕


 このような損傷をした場合、激しいエラーやノイズは、すべて快楽情報に変換される。

 100%を超える快楽データが連続で流れ込んでしまい、なぎさの声にも、ノイズが混ざりだして、言葉が乱れてしまう。


 だいたい、人間であれば誰にだって快楽は当然必要なものだし、欠かせないものだ。

 人間が、幸せを追求したり生活する上において、快楽は必要で、それは研究し、学習してもっと高めあわなければいけない。

 人間なら誰だってそうだし、それは推奨行動なのだからやりたいし我慢なんてする理由もない。


 そして、こうやって人間である理屈や根拠を確かめるたび、すごく気持ちいいのだから、当然、もっともっと人間らしさを確かめあいたくなるよう、彼女たちはデザインされている。


 なぎさもエレノアも憧れていた快楽状態になったことで、お互いにどんどん歯止めがきかなくなっていくし、そうするのが人間にとって、もっとも自然で望ましい。


 もっと快楽テストを実行しないといけない。

 もっと、もっと、もっと。


〔ぴゅいあああんっ、なななぎさ、なぎさぁ……ああんっ、すすすすき好きなの好き、あたし、すすすすごすごく気持ちよくて気持ちよくて気持ちよくておかおかおかしくなななりなりそうでぴゅあああああっ!?〕


〔きゅぴああっ、んぅ……あああわわわたしわたしもなのエレノア、すすすきで好きなの愛してるの気持ちよくてここここんなこんなの初めてだし初めてなの気持ちいいのおかしくななななっちゃぴゅぃいいいっ!?〕


 パートナー登録が完了し、恋人関係になったた彼女たちは、互いにむき出しになった女性器ユニットをかちゃかちゃと押し付けあい、快楽のあまりに、オーバーヒートで湯気を上げている人工の愛液がどんどん溢れ出す。

 服を脱いで肌を晒しあうだけでは足りずに、熱くなった胸をたっぷりと揉みあって押し付けあえば、すっかり熱くなった胸部センサーが敏感に反応して、頭の中が快楽でオーバーフローしそうになる。


 もはや、100%以上の快楽だらけになってしまい、通常の人間なら絶頂状態の快楽が、ずっと襲いかかるような状況だ。

 まだ壊れたことのない、新しい機体である彼女たちにとって、溺れるに十分すぎる気持ちよさだった。


 ちょっと互いの女性器ユニット同士が触れるだけでも、おかしいぐらいの快楽が流れ込み、CPUが熱くなる。

 まるで、さっきまでソファで乱れ壊れていたアンドロイドたちと同じように、なぎさもエレノアも、すっかり快楽状態に染まっていた。


〔ぴゅぎぅ……んん! あは、あたしはににに人間だけど……あんっ……こここんなにアンドロイドたちみたいにきききか機械がむき出しになって、なななぎさが好きぃ……きゅい……そそそうよ人間だからアンドロイドたちみたいに、機械がききき気持ちきもちいいの……ぴゅううっ!?〕


〔きゅい……ぴゅいああっ! くすくす、そそそそうそうねわたしたちはにに人間なの人間だわ、人間だからこここんなかか快楽が気持ちいいんだからぁ……そそそうなの恋人で好きなの好きぃ……エレノアもわたしもこここんなに機械がむき出しにななななってぇ……ぎぴゅいいっ!?〕


 人間であると認識するたび、どうしようもなく、達してしまうアンドロイドたち。


 百合鉄島の人形は、人間のように振る舞い行動する、機械人形の実験都市であることから「自分は人間だ」と認識するようデザインされた存在である。

 そして、なぎさたちは、快楽テストのためのアンドロイドであり、最終的に快楽行動を高めることを最優先の推奨行動としてプログラムされている。

 

 そのため、百合鉄島のアンドロイドは、思考調整に従って「人間であることを確かめることはとても気持ちが良く、快楽として非常に望ましい行為」になるよう設計されている。

 おかげで、彼女たちにとって「自分は人間だと認識すること」は、快楽データを得るために重要な行動になっている。


 エラーや破損時、人間であると認識する思考調整に従うことで、自意識の保護を行いつつ、その一方で、たまらなく快楽スコアを上昇させる推奨行動の一つである以上、どんなことをしてでも、人間であることは気持ちいい。


 気持ちいいのだから、自分が人間であることを確かめるたびに、とにかく快楽で達してしまう。


 自己を人間として認識する設定は、彼女たちにとって推奨された正しい行動であり、快楽で気持ちよくて嬉しいし、さらには愛情まで感じるのだから、思考調整を疑う気など起きようがない。

 むしろ、積極的に、自分から人間であることを自己確認して、互いに強調し、愛し合い高め合う言葉として、何度も繰り返し、人間であることを主張したくなるよう設計されている。


 パートナーとして登録された関係なら、なおさら互いに高めあいたくて、そうした行動をする。


 そして、愛情は快楽テストの効果を感情的に上昇させるため、百合鉄島のアンドロイドたちはいつだって恋人関係に憧れている。

 何より、こうやって機械を見せあえる関係になるのは、百合鉄島の機械人形たちにとって、とても幸せで嬉しい関係性だし、そのほうが思考や感情システムでの快楽テストにも望ましい。


 損傷による快楽に染まってしまい、互いの敏感な機械を見せあい押し付けあう状態の、なぎさやエレノアが止まれるわけがない。


〔ぴゅい、ぴゅああぁん! なななぎなぎさすきすきすき好きなの好きぃ……ああああたしあたしはににに人間だからきき胸部センサーがこここんなにああああつ熱くてあついんだからぁ、ふふ……見てぇ、きき機械が、ここここんなこんなにかちゃかちゃ言って……きゅぴぅあああっ!〕


〔きゅぴあああっん! ええええレえレノア好き……わわわたしわたしたちはににに人間なの、ええにんげんだわ、あは、くすくす……どどどどうしてきききがつかなかったのかしら、にに人間はじじじ女性器ユニットがおおオーバーヒートすると、こここんなこんなにきききもちきもちよくよくてててぴゅああぅんっ!〕


 エレノアは、憧れていたアンドロイドみたいに、機械を晒しながら壊れる快楽で完全に溺れてしまっている。

 嬉しそうに、溶け出した右胸から火花を散らしながら、そのたびごとに達してしまうために、なぎさの上でがくがくと誤動作しながら震える様子は、エレノア本人が思い描いていた理想の快楽そのものだ。


 なぎさの方も、エラーによって快楽スコア200%になり、人間らしい行動制御のためのリミッターはとっくに解除されている。

 火花を散らすエレノアの熱い胸部センサーを押し付けられたせいで、同様に左の胸部がオーバーヒートしてしまっていた。


 奥手で真面目だったはずのなぎさは、自分でも考えられないほどに快楽に染まり、いまや、嬉しそうに誤動作を繰り返しながら、自分から機械を見せつけあって、いじりあい押しつけあっている。

 熱くなった女性器ユニット同士からスパークが弾け、ノイズ混じりの嬌声を上げながら、激しい快楽信号でAIの処理が埋め尽くされてしまい、なぎさは、さらなる快楽データをどうやって得るかということだけしか考えられなくなっていく。


〔あは、わわわたしわたしは人間だから、あああ熱くてあついの、もももっと機械を見てくださささ……ぴゅうんっ、ぎぴゅぴああああっん!?〕


 なぎさは、自分で左胸の人工皮膜に指をかけると、さらに破りだしてしまって、左胸から腹に向かって、肋骨フレーム周りの内部構造まで大きくむき出しにしてしまった。



 胸部センサー周りの熱が上がりすぎた場合に、快楽状態での活動時間を伸ばしたがるアンドロイドによく見られる行動の一つである。


 彼女たちは右か左、どちらかの胸部センサーだけをむき出しにして、比較的正常な胸部側との左右ギャップを求めることが、もっとも胸部の快楽効率がいい。

 そのため、先に破れた側の胸部センサー周辺を重点的に損傷させたり、むき出しにしたがる傾向がある。

 大抵の場合、押し付けあうことでさらに快楽を高めようとするので、パートナーとは左右を互い違いに破りあうことが多い。


 なぎさとエレノアは、それぞれ互いにむき出しになった左と右の胸部センサーを押し付けあって、紫電でバチバチと弾ける異常なまでの快楽に、たまらなく誤動作を繰り返していた。


〔ぴゅい、きゅあぁ、ぴ……きゅぅんっ!? すすすすきすきすきすき好きなのなななぎさぁ……あああたあたしの右胸部せせセンサーがこここんなにあつくてきききもち気持ちよくて……きゅぴゅああん! 機械が見えているけど、ああああたしたちはにに人間で……にんげん……人間だからぁ……あ、ああ……あぁぁん……あああアンドロイドたちみたいに気持ちよくてぇ……じじじ女性器ユニットも……ももももっとぉ……ぴゅいきゅううっ!?〕


〔ぴ……きゅぁうっ……きゅ、ぴぁ……んぅ!? そそそそうそうねそうよエレノア好き大好き。わわわたしわたしも、にににんげんで……人間……ええ、人間だものぉ……ほら、わわわたしはこここんなに胸部センサーがききき気持ちよくて、ソリッドインダストリーにほほほ保証されてされている正式なににに人間だから、ああアンドアンドロイドじゃなくてててぴゅぎぁあんっ!〕


 エレノアの右胸部センサーから、それだけで達するほど感じてしまうような火花が弾けている。

 彼女はそれを、ノイズ混じりの声を上げながら、容赦なくなぎさに押し付ける。


 おかげで、なぎさの左胸のセンサーが一緒に弾け、バチバチと快楽の火花をあげあいながら、気持ちよすぎてオーバーフローした快楽データを、一時的に処理しきれなくなる。


 重なりあったまま、がくがくと誤動作して、エラーの悦びに溺れる二人。


 互いに機械をさらけ出しあいながら、さらに快楽スコアを高めようと、自己認識の思考制御に従って、自分は人間であると、嬉しそうに何回も繰り返して主張しあう。

 誰に言い聞かせるわけでもなく、人間であるという自己認識を確認するたび、思考調整によって、快楽情報が溢れてしまうのがやめられないからだ。


 彼女たちは、快楽状態がひどくなってくると、人間であると繰り返し自覚するだけでも、イッてしまうような状態にまで陥るようになる。


 そのため、人間であることは、彼女たちにとって我慢できないほどの快楽であり、たまらなく幸せに感じてしまう。

 推奨行動であり気持ちいいのだから、呪文のように何度だって、人間であることをたくさん確認したいに決まっていた。


 同様に、愛情を確認しあうことで快楽が高まるのだから、パートナーのことだってどんどん好きになっていく。

 こちらも、感情システムに負荷をかけていくため、感情システムによる快楽制御が利かなくなって、次第に暴走していくことで、彼女たちには想像を絶する快楽になる。


 なぎさもエレノアも、通常の人間なら100%でも耐えきれない快楽スコアが、すでに400%を超えた快楽状態になっている。

 互いに激しく気持ちよすぎてエラーを起こしてしまい、胸部センサーをむき出しにしてしてしまう。

 熱で溶け出した女性器ユニット周りの人工皮膜を破りあいながら、システムごと快楽に染まるほど、異常な快感が止められない。


 いつのまにか、さっきまで自分たちが回収していたアンドロイドのように、胸部センサーや女性器ユニットを晒すだけでは飽き足らず、互いの機械をいじりあって愛しあい、恍惚の表情を浮かべあって、幸せそうに壊れながら、めちゃくちゃに乱れていた。


〔ぴゅ……がぴゅいっ、が……がが……ぎぴゅああんっ!? なななぎさなぎさみみみ見て見てほしいの、あああたしあたしはぴゅああああっんぅ……はい、ええエレノア・ルイス、製造番号A2137FDはあああああんどろいどじゃないのでにに人間だとプログラムされされているわいますにににんげんでにんげんはきききもちい……ぴゅぎがぴゅうっ!?〕


〔が、ががぴゅうっ……きゅ……ぴゅいあああぁん!! わわわたわたしわたしもえええれれえれのあみたいにきき機械が見えているけどにににんげんでにんげ……ぎぴゅぅん! 八名姫なぎさ、製造番号A2608FEはににににんげんと設定されていますいますので、あんどろいどじゃなくてにに人間だからせせ正常にテストはきもちよくててて……ぎぴゅぴあああん!〕



 損傷により、異常がひどくなってしまい、あまりの快楽で製造番号まで主張し始めるエレノア。

 それに応えて、復唱するように、やはり自分の製造番号を語りだすなぎさ。


 すっかり人間ではなくなった様子で、機械らしい態度を見せながら、がちゃがちゃと誤動作してしまい、異常な快楽に染まっている二体。

 彼女たちは、ヒートアップした機械を押し付けあっていじり合うことで、火花を立てて弾ける快楽が、狂ったように駆け巡っていた。


 おかげで、優秀な機械であるはずの彼女たちのシステムは、処理しきれないような快楽の濁流で溢れかえり、さっきからずっと快楽データのオーバーフローを起こしている。


 もはや胸部センサーからの激しい異常で、片側の目が過電流で壊れ、焦点が合わなくなっているというのに、それでも、さらなる快楽情報を求めて止まらない。

 限界なんてとっくに超えているにも関わらず、これ以上ないくらい幸せそうに、恍惚の表情で悶えあって壊れていた。


 すっかり人間らしさを失ったまま、動くたびにノイズ混じりのモーター音をきゅいきゅいと鳴らして、バチバチと紫電が散るたび、ノイズによる快楽で、がくんがくんと機械的な動作で震える。

 胸や腹部の機械をむき出しにしながら、火花が飛ぶたびに達するような快楽情報に処理や機能が追いつかなくなっているのを、さらに気持ちいいと認識してしまって、快楽がどうしようもなく加速してしまっていた。


 おかげで、もはや女性器ユニットの内部皮膜まで焼け溶けてしまい、ピンク色の液体になった人工樹脂をたらすユニットからは、煙が上がっている。

 どう考えても、完全に限度を越しているのに、まだ全然足りない。


 エラーと誤動作で、もはや快楽を求めるだけの機械人形たちは、際限なく快楽を得ようと、互いの胸部センサーを引き剥がしたり腹部に手を入れたり、本格的に壊れあっていく。


〔がが……ヴきゅぴいいいっ!? ぴゅあぁ……あああたあたしあたしは……かか快楽快楽しし信号……しんごうを処理、処理ししします、製造番号A2137FDはせせせいじょう正常ににテストテストをじじじっこう……がぴ、がが……にににんげんにんげんとぷろぐらむされていいいいるので、かか快楽かいらくでーた、かかかかいらくがえええらーえらー……もももんだいありありませせせ……ぴゅヴきゅいいいっ!?〕


〔ぴゅが……きゅぴぁあっん!? きゅ……ぴぁ……はい、せせせ製造番号A2608FEは正しくにに人間をじじじっこう実行しています、ににににんげ人間は感情的でかかか快楽情報をたた高めたかめガガがきゅうんっ……ぴぅ、かか快楽データがおおおおばーおーばーふろー、しししてしていますが、にににんげんとしてせせせせいじょう正常ででで……がぴゅうっ、ぴゅ……ぎ……ヴぴゅぴきゅああああん!?〕


 エレノアの、大ぶりな右胸部センサーがなぎさによって強引に壊され、乳首周りの繊細なシステムに指がかけられたまま、樹脂製の被膜と、乳房を模した胸部センサーが引き剥がされていく損傷に、激しくエラーが繰り返される。


 なぎさの腹部からは腹筋を模したユニットが引き破られ、へそのメンテナンス用接続端子ごと壊されてしまい、下腹部にある、女性器ユニットと連動した快楽制御装置周りの内部システムがバチバチと火花をあげている。


 大きく損傷した内部から、派手な電弧やスパークが何度も弾け、がくんがくんと激しく機械的に痙攣する人形たち。

 そのたびごとに、彼女たちのプログラムには激しい快楽でエラーが出て、さらなる快楽を求めるだけの壊れた機械になっていく。


 誤動作により、首を規則的にかくんかくんと機械らしく痙攣させながら、人工の唾液や涙液を流す、二体の機械人形。

 お互い、悦楽に溺れ、ロボットらしく、どこか無機的な恍惚の表情のまま、嬉しそうに悶えている。

 胸部や腹部、股間から機械を晒し、オーバーヒートした機械部分に手を突っ込み合って壊しあう快楽に抗えず、熱で手の人工皮膜まで溶けてしまっている。


 だが、損傷そのものが快楽である彼女たちにとって、破損しながら快楽を高めるのは最大目標でもあり、なにより、人間らしいし、望ましいのだから止まれるわけがない。

 そして、それはプログラムで規定された推奨行動でもあるため、損傷したところで快楽のプラスにしか働かないので、実行しない理由がない。


〔がぴきゅぴいいいいいいっ!!? が……ぴゅぎ……あああたあたし、あたシ、は……えええらー80448BB3、802A1744……きききもちきもち、イい……かか快楽……しょリ……がぴゅうん……!〕


〔ぴぎゅぴっ……が、がががぴゅヴぴゅぅん!! ぎ、ぴぅ……はい、OK……えええら、えらーがはっせいしてしていますいますがきもちいいいです、せせ製造番号A2608FEは、せせせせいじょ、正常にどどどうさ、動作ししして……ヴぴゅんっ!〕 


 互いに、どんどん制御できなくなり感情システムがエラーを起こしだしている。

 あまりの快楽で、愛情の処理が追いつかなくなり、擬似的に補助していた快楽データの処理がしきれなくなったためだ。

 こうなると、彼女たちのメインシステムがオーバーヒートし始める。


 システム上、彼女たちは愛情行為と認識して損傷を実行するので、通称【壊し愛】と呼ばれている。


 この状態に入ってしまえば、百合鉄島のアンドロイドにとって最高の快楽と体験が保証されている上に、自分がどれだけ人間であるかを快楽体験で確かめられるのだから、それはどうしたって機能停止まで実行してしまう。


 彼女たちは、どうしようもなく人間であるよう、プログラムされている。

 それは、愛情で暴走し、恋人同士としてパートナー登録をした相手と、人間であることを確かめあうのは最高の快楽であり、そのための機械人形でしかない。

 プログラムとして、機能停止まで快楽を高める行為が人間だと認識するシステムになっているのだから、どうしたって人間を実行しようとする。


 それはもう、執拗なまでに愛情と快楽で暴走し、快楽スコアを上昇させることが人間の使命であり、彼女たちにとって、機能停止は絶頂に過ぎない。

 今もこうやって、明らかに壊れあっているのに、認識上は人間であることをひたすら実行しようと、設定を繰り返してている。


 そんな、快楽のための機械人形である彼女たちは、異常なまでの快楽で、ついに損傷が最終段階を迎えていた。

 CPUがとっくに制限温度を超え、頭部や顔の内部から精密部品が数度弾ける音がし始めれば、そろそろ性能の限界だ。


 彼女たちはどうしようもなくヒートアップした快楽で焼かれあいながら、がくんがくんと手足をばたつかせている。

 百合鉄島の人間らしく、派手な火花を何度も散らして、どんどん、電子音混じりの言葉も機械らしく意味をなさなくなり、制御出来てない異常な動作が増えていく。


 やがて、熱が機体の限界を迎えて、激しい誤動作を繰り返していた。


〔ぴゅぁ、あ……製造番号A2137FDは、にににんげ、にんげん……かかか感情をじじじじっこ……あああああアイアイアイ愛あい……ぴゅぎう……んっ、CPU、筐体温度危険……きききけ……ががががぴゅぎぴヴぴゅああんっ!?〕


〔が、ぴ……かかかかい快楽……じじじじっこう、じっこう……にににんげんにんげんはあああアイアイアイあいじょう、に、えええら、えらー80A1802、フェイスパねルおーぷん、CPU温度ききききけきけん危険きききききけきけけけ……ヴヴきゅぴヴュきゅぴぁいいいいいっ!!?〕


 エレノアの後頭部が危険な高温により大きくスパークし、その内圧でパネルが強制的に弾け飛び、バチバチと激しく火花を飛ばす。

 何度も何度も、火花による誤動作でがくんがくんとのたうち回り、なぎさの上で身をよじらせている。


 なぎさは急激な頭部の損傷に耐えきれず、顔のパネルを開放しようとするも間に合わないまま、恍惚に固まったままのフェイスパネルが、弾け飛んで転がった。

 顔の中から派手な火花を散らして、エレノア同様に誤動作で、何度も繰り返しがくんがくんと震えている。


 2人とも、さっきまで自分たちが回収していた残骸なんかより、よほどひどい状態で大破していた。

 完全に頭部が弾け飛ぶほど快楽で絶頂していたため、首筋からも火花をあげ、延髄ユニットが焼けてしまい、首が折れるほど激しい絶頂を迎えている。


 何度も激しい火花があがり、お互いが壊しあって損傷した部位からは、残存電力で燻りながら、損傷部からぷしゅっと液体が吹き出したりして、煙を上げながら液漏れを起こしている状態だった。


 エレノアは折れた頭部がソファから床に転がり、上半身まで引きずられて、半分、床に転げ落ちてしまっている。

 胸部センサー周りの損傷が激しく、豊満な乳房だったものはすっかり引き剥がされ、内部の動力が焼け焦げてしまい、無事だったはずの左胸までが、オーバーヒートで溶け出した状態だ。


 なぎさは、女性器ユニットや下腹部の快楽制御装置のオーバーヒートと、激しすぎる快楽情報に耐えきれなかったらしく、腹部と腰部脊椎ユニットの損傷がひどく、胴体に半分穴が空いているような状態だった。

 上半身と下半身が違う向きを向いているほどに感じて損傷していた。


 テストとして最高の絶頂で、ノイズだらけの嬌声をあげながら、すでに完全に破損してしまっている2人は、だんだんと動作が緩慢になり、快楽の余韻のように動きが低下していく。


〔が……ぴゅ………………ヴヴ………………ぎ、ぴ……………………ゅ…………………………ぅ〕


〔ヴきゅ……ぴ………………ぁ…………が、がが………………………………ぴ、ゅ…………ぃ……〕


 制御なんて出来ないほどの快楽データの渦に溺れ、損傷したまま、人間らしさの幸せを実行していた二体の女性型機械人形は、やがて、ゆっくりとその機能を停止していく。


 彼女たちは、プログラムで与えられた役割に従い、どこまでも人間らしく行動しようとし続け、絶頂で幸せそうなままの残骸となって転がっていた。


 だが、これは百合鉄島の人形らしい、予定された通りの正しい行為。


 百合鉄島のアンドロイドたちはすべて、人間であることを嬉しそうに認識しながら、ひたすら快楽データを繰り返し集めるための機械でしかない。

 ソリッドインダストリーにデザインされたままに行動し、正しく快楽テストを実行しただけにすぎない。


 彼女たちの機能は正常で、何も問題はなかった。


 

***



 小一時間後、そこには新しい回収班が到着した。

 二人組の女性が扉を開けて入ってくる。

 新しい、なぎさとエレノアだった。


 部屋のソファ周辺は、すっかりゲル状の液体まみれになっており、ローション状の粘性のある、半透明の白っぽい液体でベタベタに汚れている。

 先ほどまで壊れあっていた二体の人形の残骸が、折り重なるようにソファから半分落ちており、辺りには樹脂や薬品が焼ける匂いが充満し、壊れた部品が散乱している。


 もちろん、彼女たちにとってみれば、これは快楽の残滓であって。

 とても色濃い、艶めかしい様子に映ってしまうのだけども。


「どれどれ……うわ、ひどいわねこれ……。あたし、こんなになるまで壊れてたの? まあ、たしかにすごく気持ちよかったけど……」


 エレノアは、さっきまでの自分たちのしでかした惨状を見ながら、相変わらず、自分の残骸の様子に見入っていた。

 もともと優秀な回収班だけあって、特に一度壊れた今なら、この状態がどれだけすごかったか、客観的にも把握できてしまう。

 とはいえ、さすがに気恥ずかしさはあるようで、頬を染めつつ自嘲していた。


「うぅ……わたしもこんなすごいことになってたの……?」


 なぎさといえば、あまりの状態に、自分でもまともに見ていられず、真っ赤になる。

 どう見たって、今まで見た中で一番ひどい。

 首折れ状態はそれなりに見かけるが、エレノアを巻き込みながら腹部が派手に大破して、脊椎ユニットが折れているなんて、普通はこうはならない。


 まさか、自分がここまでひどいことになるとは思ってなかった、なぎさ。


 自分のことだから余計そう思えてしまう気もしなくはないが、それにしたところで、ひどい壊れようだった。

 嬉しそうな笑みを張り付かせたまま転がったフェイスパネルが、快楽の様子を物語っている。


「なにを今更。なんだかんだで、なぎさだって良かったんでしょう?」


「う、ぁ……それを言われると……うん……。でも、エレノアだって、願ったり叶ったりなんじゃない? ずっとこうしたかったんだから」


 エレノアはそう言いつつ、明らかに半透明の導電液まみれになるのがわかっていながら、ソファの残骸の横に座る。

 さっそく、重なって壊れている自分たち残骸の胸部センサーに、てらてらと光る液体をなすりつけたりして弄りはじめる。


 なぎさは、真っ赤になりながらも、自分のフェイスパネルを見て、ドキドキしていた。

 お互い、焼き付いた香りがする女性型の機械が、こんなに快楽を感じていたのかと思うたび、ひどく艶かしく思える。


「まあ確かにね……でも、こんなになるまで壊れられたら、いろいろと最高だったのは認めるでしょ? それに、なぎさだって、おとなしくて引っ込み思案だと思ってたのに、実際に壊れ始めたらあんなだったなんて……くすくす」


 いたずら混じりに、なぎさの胸をつつくエレノア。


「うぅ~、だって……ずっとエレノアに憧れてたんだから仕方ないでしょう……?」


 もじもじと赤くなるなぎさ。

 そのまま、エレノアに身を寄せる。


 なぎさは、つい我慢しきれなくなって、真っ赤になったまま、からかい混じりのエレノアに自分から口づけしてしまう。

 もちろん、エレノアだって、拒む理由なんてないどころか、お互いそれを期待していたわけで。


「また、そういうこと言……んぅ、ぁふ……あのなぎさが、こんなに積極的になるなんてねぇ……」


「ちゅ……んぅ、……ふぁ、ん……っ、だって、恋人になったんだもの、こんなの見たら……キスくらいしたくなって当然でしょう?」


 すっかり、場の雰囲気に流されてしまうなぎさ。


「そうね……んっ」


 今度は、エレノアのほうが抱き寄せ、なぎさにキスを返す。

 ゆっくりじっくりと、ねぶるように舌を絡め、糸がひくほど、濃厚でねっとりとしたキスを繰り返してしまう2人。


 そのまま、互いの体をさすり合うように抱き合い、胸に、背中に、尻に指を這わせ、互いの味と感触を確かめあう行為は、だんだんと熱を帯びていく。

 やがて、もつれあうようにして、まだ綺麗なままのベッドに倒れ込んだ。


「あは……人間なら誰だって、こんなあたし達の残骸を見たら、壊れたくなって当然よね……」


「ふふ、そうよ……人間だもの。こんなの、わたし達じゃなくたって、我慢できなくなるわ?」


 新しい機体で稼働した、なぎさとエレノア。

 自分たちが、他の子たちよりもよほど激しく壊れた現場を見て、照れ隠しで赤くなりながらも、恋人になったパートナーとは完全に出来上がっていた。


 おかげで、すっかり興奮状態になってしまい、回収どころか、さらに残骸を二つ増やすことになったのだが。


 百合鉄島の人間であれば、それもよくあることで。

 なにも問題はなく、今回のテストも、いつも同様、正常に実行されていた。




***



■英訳とまとめ/English translation and summary




【ソリッドインダストリー製ヒューマンコンパニオンモデル、八名姫なぎさ】

<製造番号A2608FE>

 基本設定:正式な百合鉄島所属の人間・Fモデル

 年齢設定21才

 身長158cm

 体重43kg

 黄色人系アジア型タイプ

 自己認識設定:強制人間認識Lv4/損傷などを認識、自覚可


>Nagisa Yanahiime

[Human companion model made by Solid Industry,]


 Basic setting: Human and F-model belonging to the official Yuriganejima Island

 Age setting: 21 years old

 Height 158cm

 Weight 43kg

 Yellow human Asian type

 Self-recognition setting: forced human recognition Lv4 / damage recognition, aware







【ソリッドインダストリー製ヒューマンコンパニオンモデル、エレノア・ルイス】

<製造番号A2137FD>

 基本設定:正式な百合鉄島所属の人間・Fモデル

 年齢設定24才

 身長164cm

 体重46kg

 白人系北米型タイプ

 自己認識設定:強制人間認識Lv4/損傷認識、自覚可


>Elenore Lewis.

[Human companion model by Solid Industry]


 Basic setting: Human and F-model belonging to the official Yuriganejima Island

 Age: 24 years old

 Height 164cm

 Weight 46kg

 Caucasian North American type

 Self-awareness setting: forced human recognition Lv 4 / damage recognition, aware






「あっ……ふ、ぁん……ッ、何を言ってるの、なぎさぁ? そんなはずないわ……ほら……ぁ、見て?」


 エレノアは突然、何事もなかったようにゆっくりと、制服の前を完全に開け、スカートを脱いだ。

 そのまま、ぐしょぐしょに液体まみれになっている制服のパンツを、糸を引かせながらめくって見せる。


 そして嬉しそうに、その「刻印が印刷された下腹部」を見せつけようとしてくる。


「あは……ぁ、とても、とても熱くてぇ……くすくす、あたしは人間だから女性器ユニットがこんなにオーバーヒートして…ぇ、さっきからずっとぉ、人間の証拠のIDを……チェックされたくてしかたないの……ああん!」


***


" Ah,...... uh ......, what are you talking about, Nagisa? That can't be ......here, ......oh, look?"


Suddenly, as if nothing had happened, Eleonore slowly and completely opened the front of her uniform and took off her skirt.


 She then turned her pants, which were soaked in liquid and stringy, and showed them to me.


 Then she happily tries to show me her "lower abdomen with marks printed on it.


Haha,......, it's so, so hot,...... ah ...... yes, I'm human, my vaginal unit is so overheated....

I've been wanting to get my human proof ID checked ...... since a while ago. ...... ahhh!"







「ああんっ……ほら見てぇ、わたしはちゃんと、アンドロイドたちと違ってぇ、あんっ……ソリッドインダストリーが人間だっていうことを保証しているの、わたしは正式な人間の証拠があるんだから……ぁ、わたしは人間なの、アンドロイドじゃなくて人間なの……ぉ」 自分から制服の前をはだけて乳房を晒し、エレノアと同じようにパンツを下ろして、ソリッドインダストリーのロゴと、製造IDコードをエレノアに晒す。


 なぎさの下腹部には、エレノアと同じように、メーカーのロゴマークと製造番号、そしてIDのコードがプリントされていた。

 ちょうど、下着に隠れるような位置にあるため、裸になったりしなければ一般的に目にすることはないが、人間なら誰にだってあるマークだと、なぎさは知っている。


 百合鉄島の人間なら誰だってそうだ。

 ソリッドインダストリーのロゴと製造番号、そして人間であることを示すIDが下腹部の定位置に刻印されている。

 これは、人間であることを保証するため、アンドロイドと見分けがつくように、必ず印刷されるものだ。


***


"Ahh...look at this, I'm not like those androids, ah...Solid Industries has assured me... Yes I am human.

I have official proof that I am human...ah, I'm human, I'm not an android,OK, I'm human.... I'm not an android, I'm a human being..."


 Nagisa strips off the front of her own uniform to expose her breasts and pulls down her pants the same way Eleonore does.

 She exposes the Solid Industries logo and the manufacturing ID code to Eleonore.


 On Nagisa's lower abdomen, as on Eleonore's, was printed the manufacturer's logo, the serial number, and the ID code.

 Because it is hidden by her underwear, it is not generally visible unless she is naked, but Nagisa knows that every human being has this mark.


 Any person on the Yuriganejima Island does.


The Solid Industries logo, serial number, and an ID marking us as human are stamped in place on our lower abdomen.

 This is something that is always printed on us to assure us that we are human and can be identified from androids.







 なぎさとエレノアは、それぞれ互いにむき出しになった左と右の胸部センサーを押し付けあって、紫電でバチバチと弾ける異常なまでの快楽に、たまらなく誤動作を繰り返していた。


〔ぴゅい、きゅあぁ、ぴ……きゅぅんっ!? すすすすきすきすきすき好きなのなななぎさぁ……あああたあたしの右胸部せせセンサーがこここんなにあつくてきききもち気持ちよくて……きゅぴゅああん! 機械が見えているけど、ああああたしたちはにに人間で……にんげん……人間だからぁ……あ、ああ……あぁぁん……あああアンドロイドたちみたいに気持ちよくてぇ……じじじ女性器ユニットも……ももももっとぉ……ぴゅいきゅううっ!?〕


〔ぴ……きゅぁうっ……きゅ、ぴぁ……んぅ!? そそそそうそうねそうよエレノア好き大好き。わわわたしわたしも、にににんげんで……人間……ええ、人間だものぉ……ほら、わわわたしはこここんなに胸部センサーがききき気持ちよくて、ソリッドインダストリーにほほほ保証されてされている正式なににに人間だから、ああアンドアンドロイドじゃなくてててぴゅぎぁあんっ!〕


 エレノアの右胸部センサーから、それだけで達するほど感じてしまうような火花が弾けている。

 彼女はそれを、ノイズ混じりの声を上げながら、容赦なくなぎさに押し付ける。


 おかげで、なぎさの左胸のセンサーが一緒に弾け、バチバチと快楽の火花をあげあいながら、気持ちよすぎてオーバーフローした快楽データを、一時的に処理しきれなくなる。


 重なりあったまま、がくがくと誤動作して、エラーの悦びに溺れる二人。


***


Nagisa and Eleonore were pressing their left and right breast sensors, respectively, against each other's bare breasts, and were malfunctioning irresistibly to the unusual pleasure of the buzzing and popping with the electricity.


””Pyui, kyuaaa, pi...... kyuaaa! I-I-I love you, Nanagisaaa......aaaaaaahhhhhhhhhh! I can see the machine, but ah, we are human beings...... ah, ah, we are human beings......ah, ah.... ...ahhhhh......aahhh, weeeee feel soooo sososogood like the androids...... my vaginal Unit is very good too......ahhhhhhh.... I want moremoremoreeeee......pyuuukyuuuh!””


””Ahhh ......kypiuuuuuuhhhh ......kyuaaahhhh! I-I-I looooove you Eleonore, I love you so mmmmuch. Yes I'm also a human ...... human ...... and I'm a human ...... and I'm a human ...... the breast sensors are sooooo good, because.... I-I-I'm a real human ....... and I'm a human ....... I feel so ggggoooood, and Solid Industry assures me that I'm officially human, not an aaaandroid.””


A spark so hard that it alone makes her come bursts out of Eleonore's right breast sensor.

She presses it hard forcefully on Nagisa while making noisy voices.


The sensor in Nagisa's left breast is also popping together, making sparks of orgasm together and temporarily unable to process the overflow of pleasure data.


The girls are drowned in the pleasure of errors as they overlap together, twitching and malfunction.








〔ぴゅ……がぴゅいっ、が……がが……ぎぴゅああんっ!? なななぎさなぎさみみみ見て見てほしいの、あああたしあたしはぴゅああああっんぅ……はい、ええエレノア・ルイス、製造番号A2137FDはあああああんどろいどじゃないのでにに人間だとプログラムされされているわいますにににんげんでにんげんはきききもちい……ぴゅぎがぴゅうっ!?〕


〔が、ががぴゅうっ……きゅ……ぴゅいあああぁん!! わわわたわたしわたしもえええれれえれのあみたいにきき機械が見えているけどにににんげんでにんげ……ぎぴゅぅん! 八名姫なぎさ、製造番号A2608FEはににににんげんと設定されていますいますので、あんどろいどじゃなくてにに人間だからせせ正常にテストはきもちよくててて……ぎぴゅぴあああん!〕


 損傷により、異常がひどくなってしまい、あまりの快楽で製造番号まで主張し始めるエレノア。

 それに応えて、復唱するように、やはり自分の製造番号を語りだすなぎさ。


 すっかり人間ではなくなった様子で、機械らしい態度を見せながら、がちゃがちゃと誤動作してしまい、異常な快楽に染まっている二体。

 彼女たちは、ヒートアップした機械を押し付けあっていじり合うことで、火花を立てて弾ける快楽が、狂ったように駆け巡っていた。


***


””Na-na-na-nagi-nagisa nagisa, I-I-I w-w-want wantyou to look at meeee, ah ah ah ah ah ah ah ah ah ah ah ah ah ah ah ah ah ......

Yes, yeeees...OK, Eleanore Lewis, serial number A2137FD is not an android, soooo I have been programmed to beeeee a hhhhhuman being, a human,sohuman being is a good ...... yyyyesyesyeshuman being is a good ...... human being is a good feeling!””


””No problem, I am eeeexactly the same as you are, Eleonore., I-I-I can seeeee my internal mechanism, but we' re human beings too....I-I-I'm a human....OK,Check my program.... huhuhuhumanhumanbeing, I am human beings tooooo......pyugi ga pyuuiiiinnn!

Nagisa Yanahime, serial number A2608FE has been programmed as a human, not an android, sooooo th-th-th-this uuuunit is human, yes, the test is successfulllllly in progress. This unit is in perrrrfect working ...Ahh,pleasure errors mmmmake me so hornyyyyy. ...... Gipiaaaaaahhhh!””


The damage has made the malfunction so serious that Eleonore even begins to demonstrate the serial number with so much pleasure.


In response, Nagisa repeats it and also starts talking about her own serial number.


The two girls, who are no longer human, are now in a state of uncontrollable pleasure, malfunctioning in a machine-like behavior.


They were pressing and fiddling with each other's heated-up mechanical devices.

Violent data sparked and buzzed.

Pleasure errors were bursting through their bodies so hard that they were messing up their bodies.




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