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シン・ウルトラマンを観た。ウルトラマンシリーズにはあまり思い入れはないのだが、大変面白かった。


以下ネタバレを含みます。













好きなシーンはウルトラマンとメフィラス星人の会話。


舞台は団地に併設された公園。

この場面では最初、マンとメフィラスの二人は、子供たちが遊んでいる方向を向いて、並んでブランコに座り話している。メフィラスのみがブランコを楽し気に漕いでいる。

話が進むにつれ、メフィラスのみが立ち上がり、その後子供たちに背を向けて、今度はブランコを立ち漕ぎし始める。

その後禍特対の面々と警察に取り囲まれたメフィラスは「河岸を変えよう」とまるではしご酒じゃねえかというセリフを言って居酒屋へ瞬間移動する。


公園には何人かの子供たちとその親たちがいる。全編を通して子供が出てくる場面はあまり多くなかったと記憶しているが、冒頭で神永が助ける子供と、この場面で出てくる子供たちが印象的だった。初代マンについてはwikiで読んだ程度の知識しかないが、おそらくは初代マンと同様に、子供は未来の象徴として描かれているんだと思う。

最終的には居酒屋で決断を迫られたマンがそれを断るのだが、視覚的にはメフィラスが子供たちに背を向けてマンと違う方向を向いた時点で交渉の決裂が示唆されているし、もっと言うと作品としてマンが外星人と協調することはありえないことはわかっている。

ともすればダレそうな決定事項の確認を、演出で盛り上げていき、真面目さとおかしみが絶妙に調和した、この作品を象徴するシーンだった。


神永がウルトラマンだとバレて姿をくらました時の禍特対の室内での会話シーンも良かった。神永の椅子を手前に大きくナメて、その隙間から会話する人物を椅子を挟んだ切り返しで撮っているのだが、神永の不在が印象付けられるとともに椅子で浅見の席が隠されており、効果的かつ面白い画面だった。


想像でしかないが、団地の方はコンテ上で練られ、禍特対の方は現場で練られたような印象。いや、真逆もあり得るなぁ。コンテ読みてえな。


他にも、各禍威獣たちとの格闘シーンやゼットンの展開シークエンスとかもカッコよかった。小ネタも散りばめられているそうで、初代シリーズを知っていたらもっと楽しめたのだろう。


浅見の背中を追っていくショットも象徴的だったが、あれはウルトラマンを象徴するショットと言うよりはシンの部分を象徴するショットっぽいなと感じた。シン・ゴジラでの移動する椅子を追うショットを想起させる。

作品冒頭でシン・ゴジラとシン・仮面ライダーとのつながりを強調して、マルチバースという言葉を本編中で用いて、キャストも重複させて、フォントやショットで統一感を作って……

俺はそんなに特撮全般に思い入れがある方ではないから想像するしかないけれど、興行的な理由よりも、どちらかというと特撮が好きな人たちの心象風景の再現というか、夢の実現のためなんだろうなぁ。


あまり共感はされないであろう、とても個人的な感想になるが、シン・ヱヴァに引き続き、故 増尾昭一さんの名前がクレジットされていたことに、友情というテーマを強く感じた。


大満足だったので、帰宅後Twitterなどで感想を漁ってみると意外と賛否両論だったのでびっくりした。注目度の高さと、リメイクであることを考えれば致し方ないことではあるが、セクハラ描写批判への批判とか、映像の基本()とやらを振りかざして、不安が的中したとかほざいてる記事だとか、割と不毛なことで盛り上がっていて鼻白んでしまった。と、同時にどうしようもないヲタクなのでここで反論めいたなにかを書いて、衆愚の列に加わる自分が情けない。


場所の曖昧さやキャラクター描写の不足をもって作品を批評しているライターは、自分の知識をひけらかしたいと言う点では俺の駄文と大差がないが、それをもって作品の瑕疵だと断ずるのはさすがに高慢ちきが過ぎて、見てるこちらが恥ずかしくなる。

ネットミームと化した「脚本の人そんなに考えてないと思うよ」という千代ちゃんのフレーズとは裏腹に、作り手は何が撮りたいか、どう撮るべきかを考えて様々な制約と戦っているはずだ。


セクシャルな描写はウルトラマンが恋愛・性愛的なつながりではなく、友情をもって地球人に肩入れしていることを強調するための対比として描かれている(あるいは、そういうエクスキューズのもと撮られたフェティッシュ)のだと思うけど、ノイズと感じる人もいるだろうし、はっきり嫌いだと感じる人もいるだろう。自分としては巨女も体臭嗅ぎもセルフケツ叩きもそんなにエロく感じなかったのだが、どこかの誰かの性癖に刺さるかもしれないので、やっぱりあった方が良かったという感想。まずもって声高に主張されることは少ないとは思うけど、特殊な性癖持ちで歓喜した鑑賞者も絶対にいるはず。


規制するほどの表現ではないと思うが話題になった以上、該当シーンは地上波ではカットされるかもしれない。

ゾーニングは必要だと思うけど、Vのエロを描いている身としては、ニッチな性癖を否定はできない。なんなら見た人の性癖を歪めたい。

程度の差はあるだろうけど創作者はみんなそういうもんじゃないのか。カッコいいも可愛いも希釈された性欲なんだから。

樋口さんも庵野さんも批判は承知で、あれが撮りたかったから撮ったんだよ。


ニッチな性癖と言うことであれば、ウルトラマンのスーツに興奮を覚える人もいるだろうが、巨大化した長澤まさみを下から撮ることは批判されてもウルトラマンを下から撮ることは批判されない。あるいは長澤まさみが銀色の全身スーツに身を包んだいたらどうだったのだろう。


それはエロいか。

エロい。


セクシャルの線引きが曖昧みたいなことで論を展開しようと思っていたけど、そんな難しいことはIQが10000くらいないと無理だし、全身銀色スーツの長澤まさみはエロいのでこの話はここまでです。


ついでに言えば長澤まさみよりも船縁由美役の早見あかりの方が好き。

眼鏡だし。








Comments

nf4

これほどの作品を作り上げるには常人には想像もつかない創意と取捨と苦悩があっただろうという事は容易に想像でき、その上のビルディングと理解したうえで、SNSによる国民総評論家化と言われる現状での創作の難しさを傍から改めて痛感させられる次第です。 個人的に両監督によるこの上ない原作リスペクトであり、かつ今回のような外部批判にに忖度し迎合するは終わりの始まりと思いつつも、現状を鑑みるとオリジンのフジ隊員のように長澤まさみがパンツスタイルであればこの騒音も少しは静かになったのだろうか。という考えが頭をよぎりました。 個人的に大満足の作品でしたが、嗅覚を駆使してメフィラスに挑むシークエンスは、自分のウルトラマンに期待した趣向からいえばノイズかなとも思いましたので。 (神々の黄昏に民草が意見する様で恐縮ですが、師匠筋の宮崎監督はそういったフェティシズムを徹底的に作品内にに隠匿し、指摘したほうが負けと言う風に劇中に組み込んでいた事も想起しつつ。

zabudog777

長文助かる。 最初は批判のための批判は良くないなと思って書き始めたのですが、気づけば同じ穴にはまっている己の愚かさを恥じ入るばかりです。 俺の文章の足りない部分を補完するばかりか、新たな知見を教授してくれて(断じて皮肉ではなく)感謝しています。