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僕の大好きなロックバンドのひとつに「グルグル映畫館」というバンドがあります。

結論から先に言うとそのバンドの楽曲の数々が各種サブスクリプションで聴けるようになりました!!嬉しい!!

グルグル映畫館は95年に結成。メンバーは学ランに白塗りというV系スタイル。「昭和エログロイノセンス」をキャッチコピーに、ロックアレンジをほどこした昭和歌謡や軍歌に文学的な歌詞を載せた楽曲の数々や、突然始まるコントに玉音放送(!?)といった怪しげな雰囲気が魅力なのですが、2013年にボーカルの方の急逝により惜しまれながらその活動を停止したバンドです。

オーケンや犬神サーカス団と親交があったと言えばその手の人には雰囲気が伝わりやすいと思います(そこが分かる人はグルグル映畫館も知ってる気がする)

私は残念ながらグルグル映畫館を知ったのはボーカルの天野鳶丸さんが亡くなったあと。なのでバンドとしての活動は伝え聞く断片しか知りません。出会ったきっかけは、知り合いに色々バンドを教えてもらった中で一番ビビッときたのがグルグル映畫館だった…という所で、とにかく歌詞に惹かれました。

上手く生きていけない人の物悲しさの切り取り方が本当に上手くて、オーケンも系統としては似てるのですが、オーケンが上手く生きていけない人をギラギラとした狂気や怒りや美しさで包んで描く名手なのに対し、グルグル映畫館で作詞兼Voを担当されていた天野鳶丸さんは、上手く生きていけない人を自省と諦観に満ちたくちゃくちゃな姿のまま悲しく滑稽に描くのが上手くて…その描き方の言葉選びが見事なんです。

そんなグルグル映畫館ですが、インディーズかつカルト人気があり、世に送り出したCDはどれもこれもとにかくプレミアがついて高かったんです。特に人気のあるシングル「14歳の斜陽」なんか5千円〜で取り引きされていたのですが、それが今回音源買い切りからサブスク配信までやってくださって…活動を終えてからこれだけの月日が経って、僕を含め多くの人がグルグル映畫館の楽曲に触れる敷居がぐっと下がったことが本当に嬉しく、こうして紹介の記事まで書かせて頂いたワケです。

大体のCDがこんな調子ですから、僕が持ってるのはヘッダー画像の6枚だけ。あとはインディーズに強い大阪日本橋お馴染みのK2レコードに置いてある分をレンタルしただけなのですが、これで知らないCDも幾つか聞けるようになってしまって!本当に嬉しいですね!


プライム会員なりSpotifyなりAppleミュージックをご利用の方は是非聞いてみてほしいので、さらに少し紹介を続けさせて頂きます。

私からオススメなのがシングル「14歳の斜陽」「或阿保の半生前編」とアルバム「境の朱さの所為なのです。」の3枚。

まず14歳の斜陽について。収録曲は「14歳の斜陽」「15の朝」「大人になった僕へ」

14歳の斜陽。中2くらいの年の頃を境に人生がどんどん傾いていき、何も持たないがらんどうな大人になってしまった事を嘆くキンキンに尖った疾走感あるナンバーです。

子供の頃は良かったけど、いつしか折れて折れて胸を張れない大人になってしまった我が身を重ねるとぐんにょり来ちゃいます。「ただなんとなく生きてきてしまった」というフレーズがつらい。

そこへ重ねられるのが大人になった僕へ。14歳の斜陽の狂気的な疾走感と打って変わって、優しい曲調に包まれた14歳の僕からのメッセージという体の曲です。「こんなはずじゃないと思っていたとしても、僕が大嫌いだった大人にならないでね」と優しく歌われるのが泣ける。そしてこれを歌った天野さんが若くして亡くなられてしまったのがまた泣ける。大名盤です。

次に「境の朱さの所為なのです。」

これはめちゃくちゃ入門用のアルバム。

初っ端でいきなり授業(!?)授業が始まるのですが、そこで出てくるゲチスというのはこのバンドオリジナルの概念。ファンや演者などをひっくるめてゲチストと称していたのですが、詳しくは「ゲチス・ゲチスト考」を聞いてください。

言い忘れてましたが、グルグル映畫館のメインボーカル天野さんは下手ウマというか、だいぶヘニョヘニョした歌い方でまくし立てるので、このアルバムは特に上手く聞き取れないところも多いかと思います…なので歌詞はわりと外部サイトで公開されておりますし、逐次調べてみて頂ければ何よりです。

このアルバムで特に好きなのが「りっしんべん」、一番最初に描いたかえでちゃんの成人向け漫画のタイトルにもしていますね。「君を妄想で行為の毎晩。悪い事だとはちいとも感じてないけれど、なんだかとても君に悪い気がする」なんてフレーズが出てくるのですが、全くその通りだよな…と思いながらかえでちゃんのえっちな絵を描いていたのでものすごく思い入れのある一曲ですね。ほか「夜の紺碧の所為なのです」も大好き。

最後に「或阿保の半生前編」

これも凄いシングルですね。バキバキのロックナンバー3つが収録されています。グルグル映畫館の中でも特に好きな2曲が収録されていて、

奇人凡人物語では「僕が僕がある事で苦しい僕いるだろさ、君が君である事で悲しい君いるだろさ」というフレーズが特にぶっ刺さりです。人は世間で上手く過ごすため、大なり小なり自分をまともに見えるよう型にはめて過ごしていると思いますが、そんな姿をこんな切り口で言葉に出来るの本当にすごいと思います…グルグル映畫館で一番好きなフレーズかもしれない。

「どうしてくれようこのヱレジィ」も気怠く激しいロックナンバー。「アルコホルの力で泣いた、真っ赤っかに胸が夕焼け」というフレーズの悲しさに幾度となく胸を打たれておりまして…僕は全然お酒を受け付けないのですが、去年メンタルを崩した時は僕もアルコールで泣けたらどれだけマシだろうと思い、ほろよい片手に気持ち悪くなって結局ぐちゃぐちゃになって寝ていたのを思い出します。アルコール、全然良くないよ。

そんな感じで他にも、ラブミーティアを思って聴くと痺れ上がる「あたし気にしない」、演奏と歌の重ね方がえげつないくらい格好いい「春の白さに僕、負けた」、夢破れた者の透明な寂寥感をそれはそれは見事に綴った「透明な存在の僕だから」など好きな曲はいっぱいあるのですが、ご興味持ってくださった方は色々聞いてみてください。

最後にこの記事で紹介した曲などを網羅したSpotify用のプレイリストをはっておきます。

https://open.spotify.com/playlist/4rw0WfxL77dpz0kUYfGh4z?si=h-d1hRZmRCu_6vi74rGXww

以上、好きなバンドの曲が配信始まって色々嬉しいぜというお話でした。

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