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#3  ――ガチン! ガシャガシャ!! ガチッ、ガチン!!  繋ぎになった二つの枷が私の両手首を並べて拘束し、先輩のやたらでかいベッドの頭上の柵を巻き込むように固定が施された。  それによって両手は頭上高く万歳の格好にさせられ……手を降ろそうとしても、枷同士をつないでいる鎖が柵の棒の外側に回っている為、枷を外してもらわない限りは手を降ろせないよう固定されてしまっている。  一応裸足にさせられた足首の方にも同じような枷が巻かれているけど、コチラはベッドの柵には回されておらず……代わりにその枷の上には理子先輩が私に背を向けた状態で座っていて、自分の体重をかけて私の足が自由に動かないよう拘束を行っている。 「ユキ? あんたもこのお姉ちゃんのお腹の所に座らせて貰いなさい?」  理子先輩は顔だけを振り返らせてユキちゃんにその様に指示を出すと、ユキちゃんは私の反論など聞こうともしないで「はぁ~い」と元気に返事を返し、私の腹部を跨いで腰を落ち着けにやってきた。 「フフフ♥ 明日香お姉ちゃん……動けなくなっちゃたねぇ?」  腹部に軽い負荷を覚えるがユキちゃんの体重は負担になる程の重さを感じられない。しかし、私のワキを見ながら手をワキワキさせて見下ろす彼女の顔は私の心に大きな負荷をかけて不安を煽って来る。 「今度はユキがどんなにコチョコチョしても……明日香お姉ちゃんは自分で手が下ろせないんだよぉ? どんなに……こちゃばくても……逃げられないんだぁ♥」  ユキちゃんによる言葉の煽りが私に“これからくすぐられる”という想像を促し、それによって刺激が思い起こされ体側部がむず痒さを感じ始めてしまう。  あの小さくて細い指がワキに触れる……と、考えると無性にゾワゾワ、ゾクゾクしてきて……思わず笑いが込み上げてくる程のもどかしさを覚える。 「ほら、ユキ? 明日香に宣言してやりなさい? 言う事を聞かなかったお仕置きをこれからしますよ~って……」 「うん? ……センゲン? って、お姉ちゃんサイバンチョーがいつも言うヤツ?」 「そうそう♥ アレを今日はあんたが言ってやりなさいな」 「いいの? やったぁ♥」  宣言やら裁判長やらよく分からない言葉が飛び出していて「??」が頭の上に浮くが……どうやらこの姉妹は日常からくすぐりをお仕置きの手段として使っているのだろう、という事だけはその口ぶりから理解は出来た。  理子先輩のあのドSなくすぐり方は……小夜子先輩の影響だけではなくて、ユキちゃん達との日常からも根付いていたものだったのだろうと想像が出来てしまう。 「えぇ~~っと、ヒコクニン? だったっけ?」 「そう……罰を受けるのは被告人……ね……」 「被告人『明日香お姉ちゃん』は、お姉ちゃんの言いつけを守らなかった罪によりぃ~~」  指をワキワキさせているユキちゃんの手が、キャミソールの袖から剥き出しになっている私の生のワキへとゆっくりと降ろされていく。  私は彼女の裁判長を模したであろう宣言を聞きながらもその指を見てゴクリと生唾を呑み込んだ。 「コチョコチョの刑に処す事を申し渡しますぅ♥」  指が腋の肌にチョンと触れる。  私はその刺激を受けただけで「ヒャァっ!?」という悲鳴を上げてしまう。 「明日香お姉ちゃんはこれから30分間ユキと理子お姉ちゃんに、テーコー出来ないワキとか足の裏とかをコチョコチョされなくちゃいけません!」  モジョモジョっと……ユキちゃんの細指が私の伸びきった腋の肌を優しく引っ掻き始める。  そのこそばゆさに私は思わずさらに甲高い悲鳴を上げさせられ身体を大きくビクつかせてしまう。 「この30分の間までに明日香お姉ちゃんはユキと理子お姉ちゃんに向かって『ごめんなさい』と100回謝らなければなりません。それが出来なかったときは……」  ゾワゾワ! ゾワゾワっと寒気を催すくすぐったさがワキ全体に広がって私の胸奥から笑いを搾り出させようと圧を加えられ始める。  私は顔を左右に振る事でその圧から気を逸らそうと懸命になるが……徐々に押し上がってくる“笑いたい”という欲はその程度の所作では何の抵抗にも繋がらず……膨らませてしまった頬からは徐々に笑いの一片が空気と共に漏れ始めてしまっている。 「更に30分のコチョコチョの刑が追加されま~す♥」  腹を浮かせて暴れたいと思ってもユキちゃんが座っている為少しも浮かせる事が出来ない。脚を暴れさせたいとも思っているが、コチラも理子先輩がしっかりと体重をかけて押さえつけているのだから動かす事も叶わない。唯一手はバタつかせることは出来るが……バタつかせたところで、手に巻かれた枷が柵の柱をガチャガチャ言うだけで手を降ろせるわけでも暴れられる訳でもない。  なんの抵抗もさせてもらえない。そのもどかしさを改めて自覚させられると……私は堪らなく体中がむず痒さに包まれて、途端にこそばさを感じ始めてしまう。 「だから、頑張って“ごめんなさい”……してね?」  私はくすぐったさに意識を奪われ……ユキちゃんが今何を説明したのか上手く聞き取れていなかった。  ごめんなさいがどうのこうの……そして追加がどうのこうの言っていたようだが…… 「では、理子お姉ちゃんの方も……コチョコチョの刑を始めてください♥」 「はぁ~い、裁判長♪ 私はこの“羽箒”を使って……明日香の足の裏をコチョコチョしちゃいと思いまぁ~す♥」  コチョコチョの刑とやらのルールが何一つ頭に入ってこなかった私は、もう一度ちゃんとルールを教えてもらおうと口を開くのだが……理子先輩が口を開いたタイミングで両手に持った2本の羽箒を私の足へと降ろしていき、合図も無しにいきなりそれでくすぐり始めたものだから、私は出そうとした言葉を詰まらせながら笑うことを余儀なくされてしまった。 ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ♥ 「ユキちゃ……ぁぎゃッっ!? やっっひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!? ちょ、理子先輩ぃぃっっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、足の裏ぁっっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、羽根ぇへへへへへへへへへへへへへへ!! 駄目ぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  足裏の肌を縦横無尽に動き回ってくすぐったい刺激を送り込んで来る羽箒の先端の感触。その感触は乾いた枝の細い先端でなぞられているかのような感覚を与えられ、とてもジッとしてなどはいられないくすぐったさを足裏に与え私に爆笑のきっかけを与える事となった。 「ギャ~~~~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ、こしょばっっははははははははははははははははははははははははは!! あじの裏ぁこしょばいぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、だぁ~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」 「ほ~ら、明日香ぁ~? 足をそんなにジタバタさせてもこの羽根帚からは逃げられないわよぉ? 大人しく私にくすぐられなさい♥ そんで、足の指を開いて『ココもくすぐって下さぁ~い』ってアピールくらいしてみなさいよ。ほらぁ!」 ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ♥ 「だひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、ぅあはははははははははははははははははははははははは、そ、そ、そんにゃ事出来る訳にゃいじゃないれすかぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ひやぁはははははははははははははは!!」 「出来ないのぉ? ユキでも出来るのにぃ? あんたってば……根性まで小学生以下なのね?」 「もう、お姉ちゃんっっ♥ それはヒトに言わない約束ぅ……♥」 「あれ? そんな約束したっけ?」 「したよぉ! ユキ……それ言われるのは……恥ずかしいもん……」 「別に隠さなくても良いのよ? あんた私にくすぐられるの大好きじゃない……」 「そ、そ、そうだけどぉ……♥ でも他のヒトに言われるのは……恥ずかしい……」 「ふぅ~ん? まぁ、それは良いとして……そろそろユキも本気出したら? あんた……さっきからワキを撫でて遊んでるだけでしょ?」 「うっ! うぅ……だって……。明日香お姉ちゃんのワキ……指で触るの……気持ち良いんだもん……」 「まぁ……胸があるから肉付き良くて触り心地が良いのは認めるけど……ほら、でも……これは罰なのよ? ちゃんと罰になる様なコチョコチョをしてあげなきゃ~♪」 「はぁ~い……。じゃあユキも……今からコチョコチョしまぁ~す」  足の裏の強烈なくすぐったさに笑わされ……姉妹の会話も聞き取れていなかった私に、いよいよユキちゃんのくすぐりが私を無理やり笑わせる強い刺激に変化を始める。  つい今しがたまでは、私のワキを愛撫するように指の腹でナデ……ナデ……とゆっくり触っていた程度での刺激に抑えてくれていた彼女だったが……変化し始めたくすぐりは、これまでの刺激が前戯であったと言わんばかりの刺激を生み出し、私に更なる苦悶を生み出し始めてしまう。 ――モニョモニョ♥ モニョモニョモニョ♥♥  ワキの外側の端を親指と人差し指で挟んで抓み……その指達に力を込めてワキの柔肌を揉み解す様な刺激を加え始める。その刺激が与えられると、私は身体全身に雷が突き抜けるような鋭い衝撃を覚え思わず不自由な身体を激しくビクつかせて悶えてしまう。 「ギャッッッハッッッ!!!? ヒッッッ!!!」 ――モニョモニョ……コチョ♥ コチョコチョコチョコチョコチョ~♥  ワキ筋の揉み解しで強烈な衝撃を受けた私に、今度はユキちゃんの指が腋の中心に一斉に集まって指先だけでモジョモジョと虫を這わせる様なくすぐりを入れ始めた。  強烈な刺激を受けたと思ったらまた別の強烈なこそばゆさが腋を襲い……私はその刺激に頭の中が真っ白に染め上げられ、意識がどこか遠い場所に吹き飛ばされたかのような錯覚を味わった。  しかし、その吹き飛ばされた意識はすぐに私のカラダに飛んで戻ってきて……意識と刺激が同時に脳に知覚された瞬間…… 「ギャ~~~~~~~ッッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、あぎゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは、ユギぢゃん駄目ぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! ぐずぐっだいぃぃ~~っひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ギヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、だぁはははははははははははははははははははははは!!」  っと、私は口を限界まで大きく開き切って、我慢できない欲求を全て吐き出すように笑い悶え始めた。 「ぎゃ~はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、だめ、だめっっへへへへへへへへへへ、ダメェへへへへへへへへへへへへへへへへへ、そんなくすぐりィひひひひひひひひひ駄目ぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  私が本格的に笑い始めてもユキちゃんはくすぐりはを緩めたりはしない。逆に私にもっと笑って貰える様工夫を凝らしたくすぐり方で責め立てが始まる。 「コチョコチョコチョ~♥ 明日香お姉ちゃ~ん? 楽しんでくれてますかぁ? 笑うのは楽しいでしょう? ユキもいつもお姉ちゃんにこんな風にコチョコチョされて笑わせてもらってるんですぅ♥ 笑うの楽しいですよね? ね? ほ~ら、コチョコチョ~♥」  ワキの肌に指を食い込ませてゴヂョゴヂョと強くマッサージし始めたり、そうかと思えば指先だけでゆっくり上下に撫で上げたり……全ての指を中央に集結してモジョモジョと素早くこそばして来たり、胸の横の肋骨の間をなぞるように指先で上下になぞってみたり……どさくさに紛れて片手で胸を揉む仕草を加えたり…… 「だぎゃはっっ!? アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、ぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、楽しくないひひひひひ! 楽しくなんてないぃひひひひひひひひひ、いっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「えぇ~? 楽しくないのぉ? 嘘だぁ~♥ こんなに楽しそうに笑っているのにぃ?」  ユキちゃんのくすぐりは、胸を掻き毟りたくなる程のもどかしさを生んで私を笑わせているが、理子先輩のくすぐりも意地悪この上ない動きで私を笑わせに来ている。 「ユキぃ? あんたも最初は苦しいっていつも言ってるでしょ? 明日香もまだ笑い始めだから苦しいって思ってるだけよ~。そのうちあんたと同じで……これが快感に変わってくるはず♥」  羽箒の先端の尖った箇所を土踏まずの真ん中の部分でクルリクルリと不規則に回転させ、刺激を予測できないランダムな動きを付けてくすぐって来たり……  そうかと思えば足指の付け根から土踏まずを経由してカカトまでの縦のラインを何往復もさせて足裏全体をくすぐったくさせてみたり…… 「そっかぁ♥ じゃあ……まだまだコチョコチョしてあげなきゃだね? 明日香お姉ちゃんの事、い~っぱい笑わせてあげなきゃ♪」  足の指の間に羽根を横に挟み込ませて、指の股の部分をシャカシャカと細かく押し引きしてこそばしてみたり……  足裏をキャンバスに見立てて何か絵を描くように足の端を縁取る様になぞり始めたり、縁から徐々に内側に絵の具を塗っていくように中心に向けて触って行ったり……  私の足の裏にありとあらゆるこそばゆい刺激を羽根に演出させて、ユキちゃんのくすぐりを援護ながら笑いを途切らせないよう工夫してきている。 「あぎゃあぁぁぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ひゃめぇへぇぇっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、楽ひくなんてにゃらないからぁっはははははははははははははははははははははははは!! 絶対にゃらないからぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ぅわぁっははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」 ――コチョコチョコチョコチョ、コチョコチョコチョコチョ♥ 「ィッッギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、苦ひぃぃっひぃひぃ! 苦ひぃぃっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ぅひ~~っひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 ――コソコソ♥ コショコショ♥ コチョコチョコチョコチョ……コショコショ♥ 「はひはひっっひひひひひひ! イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、うぁははははははははははははははははははは、苦ひぃぃっっ! ユキぢゃん苦ひぃぃっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「お姉ちゃん? 苦しい……じゃないでしょ? ごめんなさいは?」 ――コチョコチョコチョ、ゴヂョゴヂョゴヂョ! グニグニグニっ! 「ギャハァ~~~~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ、やぁははははははははははははははははははははははははははは、ごめんなざぁぁいぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「はぁ~い、1回目だね♪ あと99回だよぉ? 間に合うかなぁ?」 ――コソコソコソ♥ コチョコチョ♥ サワサワサワサワ~~♥ コチョコチョコチョコチョ♥ 「にゃへっっ!? きゅうじゅうっっ!? にゃにそれぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ? 何の事ぉほほほほほほほほほほ? うぇっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、だぁはははははははははははははははははははははは……」 「あと99回謝らないとコチョコチョの刑は終わってあげないんだよぉ? ほらぁ……頑張ってぇ? 明日香お姉ちゃん!」 ――コチョコチョ! こちょこちょ! コチョコチョコチョコチョコチョコチョ…… 「にゃにそれぇっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、聞いてないっッひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、そんにゃの聞いてないぃっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、あ、やめっっ!! そこやめぇぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! ギャアァァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」 「あれぇ? ちゃんと言ったんだけどなぁ? お姉ちゃん……聞いてなかったのぉ?」 「違うわよユキ♥ 明日香お姉ちゃんはね……ワザと、聞いてなかったフリぃし・て・る・の♥」 「え? ワザとぉ?」 「そっ♥ あんたにもっとコチョコチョして貰いたいからぁ……ワザと知らないフリしてるだけなのよ♥」 「あぁ……なぁんだ、そうだったんだぁ♥ それだったら……もっとコチョコチョてあげないといけないねぇ?」 ――コチョコチョコチョコチョコチョ! コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ~♥ 「ひぎっ!? ぎゃはっっ!! あぎゃあぁ~~~~っっはっっはははははははははははははははははは、ちょ、にゃに言ってんすかぁはははははははははははははははははは、理子先輩ィヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」 「何よ? 違うっていうの?」 「違っっはははははははははははは、違ぅに決まってるぅぅふふふふふふふふふふふふふぁはははははははははははははははははははは!! やぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」 「またまたぁ~♥ こんなに喜んでおいて嫌だなんて……明日香も冗談が上手くなったわねぇ~♪」 「はひはひ、あひひひひひひひひひひひひひ、ぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! 苦ひィっッって言ってるぅぅぅのにィぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! やめてって言ってるぅふふふふふふふふふふふふふ、のにィヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、にゃはははははははははははははははははははははははは!!」 「ちなみにそろそろ10分が過ぎそうだけどぉ? あんたってばちゃんと謝ったのは1回だけじゃない♥ 後20分程で99回謝るのは無理じゃない? やめて欲しかったらもう少し本気で謝ると思うんだけどなぁ?」 「20分!? はぁはぁはっっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ヤァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、ぇあはははははははははははははははははははははははははは!! 後20分ってにゃにぃ?? あひっ!? はひ! ぁぁっっははははははははははははははははははははははははははははははは!!」 「ユキぃ? 明日香お姉ちゃんはねぇ……やっぱり謝る気もないみたいだから、謝る気になるまで手を抜かずにコチョコチョしてあげなさい?」 「はぁ~~い♥ じゃあ、今度は……お服の中に手を入れてコチョコチョしてあげちゃうねぇ?」 「うんうん♪ じゃあ私もぉ~~羽根よりももっとくすぐったい……このヘアブラシを使って足の裏をジョリジョリ強くくすぐってあげようかしらね~♪」 「ちょっっっほほほほほほほほほほ!! 先輩ぃぃひひひひひ!? ユキぢゃん!? やめっっへへへへへへへへへへへへへ、もうやめ……やめでぇぇぇ!! いやっっ! 嫌ぁぁぁ!!!!」 「「問答無用っ! それぇ~~~♥ コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ~~♥♥」」 「ギャアアアァァァァァーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!」  結局私は……この『コチョコチョの刑』という名の罰を2時間にも渡って姉妹に見舞いされる事となり、体力が尽きるまで「ごめんなさい」を連呼させられ続けた。  刑が終わった後はユキちゃんも遊んで貰った(?)事に満足したらしく、大人しく1階へと帰っていたのだが……理子先輩は笑い果ててベッドの上でゼェゼェと荒い呼吸を繰り返している私を見て再び椅子へと腰かけ、キャンバスを構えて私などほったらかすように課題の続きを始めてしまった。  私はもはや椅子にも座る気力も湧かないままにベッドに横たわった状態のままだったのだが、先輩の筆はなぜか私が椅子に座っている時よりも早く進み……  私が息を整え終わる頃には、課題は完成を見たようで……ベッドから起き上がるや否や、私に上着を投げやって「もう帰って良いわよ」といつもの調子でぶっきらぼうに言い放ったのである。  数日後……2年の教室が並ぶ廊下には、先輩方の課題と思わしき絵画が飾られた。  私は、理子先輩の絵を探し出して見てみたのだが……その絵には私の姿など一ミリも描かれてなどいなかった。  描かれていたのは、机の上に置かれていた透明なグラスに入った“麦茶”の絵だけで……  その絵は……コップの縁に付いた水滴や、溶けかけの氷の形や、夕日の映り込む描写まで細かく描かれた……それはそれは見事な、ユキちゃんの持ってきた麦茶のデッサンが仕上がっていたのだ。  私は勿論コレについて理子先輩を呼び出して問い詰めることになったのだが……  私が「何処が人物のデッサンですか! 私なんて少しも描かれてないじゃないですかっ!」と怒鳴りを入れると、理子先輩はクスリと笑みを零し…… 「ちゃんとあんたの要素も描いてあるわよ。ほら……あの端の方、見てみなさい?」  と、絵の端を指差しながら私の視線を誘導した。  その指先に視線を移すと……確かに“私の要素”と言えなくもないある物が小さく描かれてあった。 「もしかして……私の要素って……あれだけですか?」 「そうよ? アレがあんた♥」  絵の端には見切れるように飲み干した後の麦茶のコップが描かれてあった。  どうやら……先輩は“私”という存在を私が飲み終えたコップを描く事で表現したらしい。  見切れたコップの端には私が口を付けたであろう跡が薄っすらと透明に描かれてはいるが……  ……いや、  ……折角出向いてあげたんだから……そこは素直に私を描けよ!  っと、私はその様に心の中でツッコミを入れるけど……その言葉はついに口から外へ出る事は無かった。  文句を言えばまた、なんだかんだ理由をつけて私を家に呼び出しかねないし……そうなればまた、この前の二の舞いになること間違いないだろうから。  でもまぁ……誘ってもらえるのだったら……行かないこともない。  酷い目に合うと分かりきっていても……私はまた行ってしまうだろう。  また、ユキちゃんが喜びそうな……肌を露出させた服を着ちゃったりなんかして……ノコノコと……♥

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