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#52  筆による焦らし責めが効果を成しているのか……あなたが七穂の足裏に向けて手を構えると、彼女は自分がこれからその手によって何をされるのかを悟り、嫌がる様に足指をグネグネと動かし始めた。  指を動かし始めたと言っても、親指と小指はワイヤーによってそれぞれ枷の方向へ引っ張る様に拘束されている為、動かせるのはそれ以外の指になるが……そんな不自由な格好にされている状態であっても七穂は出来る限りの動きを足指にさせ、あなたの手に直接触られるという未来を嫌がる仕草を続けている。  あなたはそんな微笑ましい程無力な抵抗を視界に納めつつ早速と言わんとするように手をゆっくりとその嫌がる足へ近づけさせ、彼女の意思を無視するかのように足裏の伸びきった肌へと指先を触れさせにいった。 ――ソッ♥ サワッ♥  片方の手が土踏まずの張った肌に僅かに触れると、七穂は突然の静電気に痺れを覚えた時のように身体をビクンと反応させ、足指の動きを激しくさせたり脚自体をモジモジさせ始めたりと可愛いリアクションを返してくれた。  反る様に拘束された土踏まずは緊張するように肌が張っていて、刺激を受ければそれがどんなに些細な刺激であっても肌の裏に走っている過敏な神経にすぐに伝わってしまう。そんな刺激過敏にさせられている彼女の足裏にあなたは遠慮という言葉をかなぐり捨てた様な刺激を指にて送り込み始める。 ――コチョ♥ コチョ♥  動きとしては単純ではあるが、最初に土踏まずに降り立った人差し指の指先を上下に往復させるだけの刺激……。それを緊張しきった彼女の足裏に施してあげているだけだが、七穂はその程度の刺激にも…… 「プッっっはっ!!? ヤはっっッ!? ちょ、せんぱひっ!? やめっっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、足の裏ぁ撫でないでへへへへへ、ふぐっっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっく、プハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」  足指と脚の上部をバタつかせ我慢できずに笑い始めてしまう。  土踏まずの中心を指先で上下に撫でる刺激だけの筈なのに、先程の焦らしが効いているのか七穂の反応は強くくすぐられているのと同等程度の反応を返してくれている。 「くははははははははははははははははははは、こしょばいぃぃ! 先輩っそれこしょばいぃィひひひひひひひひひひひひひひ!! その触り方こしょばいですってぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、やはぁ~~ははははははははははははははははははははは!!」  上から下に線を引くように左右の足の土踏まずを人差し指だけで撫でるくすぐりを続けるあなた。七穂はその刺激に身体を跳ねさせるようにバタつかせながら笑い悶え、あなたに「やめて」と訴えかけて来る。しかし、その言葉をいくら吐かれてもあなたは手を止めるような事は絶対にしない。それよりも「もっと笑わせてやる」と主張するかのようにくすぐり方にバリエーションを持たせ責め立て始める。 ――コチョコチョコチョ♥ こちょこちょ♥ こちょこちょこちょ♥ 「ダッッハッッハッッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ、うひゃはははははははははははははははははははははははははははは、らめっへへへ!! こしょばいぃひひひひ!!」  土踏まず中心を縦になぞり上げた後は、今度は土踏まずの周囲をなぞる様に円を描いてくすぐってあげたり……  指が足指の付け根付近に近づいたら、円の動きから脱線して全ての指を合流させ母指球やら小指球やらの肌をモジョモジョと触ってくすぐってみたり……  はたまた、暴れまくっている足指の関節部分や指股の間の部分を触るか触らないかのタッチで優しくこそばしてみたり……  カカトを強く引っ掻いて見せたり、足の甲の方に回り込んで爪の先だけで撫で上げて見せたり、足の横端を両手で掴みゴヂョゴヂョと強くくすぐって痛痒い刺激を送り込んであげたり……  足裏という限られた場所に、あなたは多種多様な責め手を用いて七穂にくすぐったいと思える刺激を植え付けていく。  七穂はそれに対し目から涙を零しながら笑い狂い、あなたの苛烈なくすぐりに悶える形で応える事となる。 「ギャ~~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!! 足っダメへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、足の裏だめぇっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、弱いぃ~っひっひっひっひっひっひっひっひっひ! 私、足の裏弱いぃィぃひひひひひひひひひひひひひひひ、ダァ~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」  土踏まずをくすぐったかと思えば、すぐにカカトを責めてみたり……カカトを触ったかと思えば、またすぐに足の指を触り始めたり……右の足を触ったかと思えば、左の足にターゲットを変更してみたり……左の足に飽きたら右に戻ったり、はたまた両足を同時にくすぐってあげたり……  次は何処をどんな風に触るか? 強く引っ掻くか、弱く愛撫するか……もしくはコチョコチョとランダムに指を動かしてみるか?  あなたはなるべく七穂が刺激の予測がし辛いくすぐり方を選びつつ足裏をその両手で蹂躙し尽くした。  笑う度……身体を暴れさせようとする度に彼女の足の汗腺から汗が滲み出しあなたの指先を湿らせるようになる。指が汗で濡れて滑り易くなれば刺激の感じ方も変化する。滑りが良くなれば指の動くスピードも増し、引っ掻きの刺激も強く感じられるようになる。  汗をかけばかくほどにくすぐったさも増していく……くすぐったさが増せば笑って暴れるという行為が止められなくなる。そうなればまた汗をかいてくすぐったくなってしまう……  笑えば笑う程自らくすぐりの威力を高めてしまう……  七穂はそういうサイクルにハマってしまい抜け出せなくなってしまっている。負のサイクルに延々とハマり続け笑い狂う事を余儀なくされてしまっている。 「ヒィヒィ! くるひっっひひひひひひひ! くるひぃぃ! ムハハハハハハハハハハハハハハ、うははははははははははははははははははは、やぁ~ッはははははははははははははは!! 笑い過ぎて苦ひぃぃっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、ニャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ……」  このサイクルから自力で抜け出す事は決して出来ない。  七穂は自分の力で自分の笑いをコントロールする事が出来ないのだ。  あなたに笑わされているのだから……  あなたの“くすぐり”に笑いの感情を支配されてしまっているのだから……  足首に付けられた枷は七穂の足を硬い石ベッドに押し付けるように固定して拘束している為、動かす事は勿論……足底をベッドに押し付けて隠す様な真似が出来ないよう強制させられている。  更に親指と小指に巻かれたワイヤーはその指を枷側に引っ張り、隠したいと思っているであろう足裏を逆にあなたに差し出すよう無防備に晒してしまっている。  そんな“触って下さい”と言っている様な格好を強いられている七穂の足裏を、あなたは遠慮も容赦も無しに指で弄ってイジメている。  羽根と筆によって焦らされ敏感になった素肌の足裏を……好き勝手・好き放題に触って七穂に耐え難い刺激を送り続けている。 「ニョホッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、うはははははははははははははははははははははははははははは、可笑しくなるぅふふふふふふふふふ、このままだと私の足おかしくなっちゃうぅぅふふふふふふふふふふふふふふふ、ニヒャ~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」  あなたが手を止めない限り……七穂は笑いの蟻地獄から抜け出す事は出来ないだろう。  笑いが続けば続くほど呼吸がし辛くなって苦しさを覚える筈だ……  勝手に暴れてしまう身体も疲れが顕著に現れ出して……収縮運動を繰り返す腹筋や横隔膜の部位はしんどさが増してきている頃合いだろう。  笑う事は決して楽しい事ばかりではない。笑わされる行為が続けば続くほど肉体的には疲労が蓄積し、いつ止めて貰えるか分からない不安やこのまま笑い続けたらおかしくなってしまうのではないか? という恐怖が精神的にも彼女を追い詰め、内側からも外側からも責め立てていく。  くすぐり責めはそういう“しんどさ”を感じ始めた頃合いからが真価を発揮するのだ。 「あがはははははははははははははは、ヒィヒィ! いひぃ~っひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、んえへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ……」  刺激に慣れる事が出来ず勝手に身体が笑ってしまう理不尽さ……  抵抗したくても……逃げたくても……それもさせて貰えず、弱点を晒し続ける格好を強いられている拘束のもどかしさ……  やめてと言ってもやめてくれない……あなたのしつこさ……  それが故に、いつまで笑い続けないといけないのかも予測できない……終わりの見えない不安……  それらが七穂の精神をジワジワといたぶり……やがて彼女に後悔と絶望の念を植え付け始める。  くすぐりフェチを煽ったのは間違いだった……誘惑したのは大きな間違いだった……。  こんなに苦しい思いをするなんて思ってもみなかった……こんな辛い思いを強いられるなんて……  と、後悔する頃にはもう遅い。  過去に戻れるなら、悪戯心を芽生えさせてしまった自分に説教したいと思っている事だろうが……過去に戻る事もヤった事を帳消しにする事も出来る筈がない。  七穂はあなたの気が済むまでこの苦しみをループさせなくてはならないのだ。  それが彼女が行った過ちの代償であり、あなたに与えられた権利なのだから…… ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ♥ こちょこちょこちょこちょこちょ♥ 「ヒギャ~~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、やめでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、ホントに息出来なくなるぅふふふふふふふ!! おでがいだからやめでぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、ィギャ~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」  あなたは……我慢させられた鬱憤を全てぶつけるように執拗なくすぐりを七穂の無防備な足裏に施し続ける。彼女が涙を流しながらあなたに懇願して来ても……息も絶え絶えになりながら苦しそうにしている姿を見せていても……彼女の弱い所を遠慮する事無くコチョコチョ……コチョコチョ……  飽きることなく……むしろ、くすぐればくすぐる程に責め欲を掻き立てられていく感覚を脳に焼き付けながら……コチョコチョ、コチョコチョ…… 「ヒャガッッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、んはははははははははははははははははははは、ゲホゲホ! もうヤメっへへへへへへっへへへへへへへへへへへへへ、ぅひへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ……」  透き通るような白い肌だったはずの七穂の足裏には、あなたに引っ掻かれた無数の痕が赤いラインとして浮き出てきている。  その線は土踏まずを中心として様々な方向に伸びていたり重なったりを繰り返していて複雑な模様を描いたかのように見えている。  あなたはそのくすぐり痕と七穂の激しい笑い声を堪能しながら、ようやく満足したかのようにくすぐりの手の動きを緩めていった。  くすぐりが弱まっても刺激の余韻は強烈に残っているようで、七穂の引き攣るような笑いは暫く惰性で零れ続けている。 「ハァハァハァハァ……ひィっひっひっひっひ……ハァハァ……エヘエヘ……ケホケホ! くっっくく……くふぅ……はぁはぁはぁ……」  あなたの手が完全にくすぐる事をやめ、構えを解く仕草を見ると……そこで七穂は「やっと許してもらえた」と大きな安堵の息を零す。  あの苦し過ぎる笑い地獄からやっと生還できたんだ……と、緊張していた手足をゆっくり弛緩させ始める。 「ハァハァ……苦しかった……。すっごく……きつかった……です……先輩……」  くすぐりをやめてくれたあなたに安堵の表情を見せながらもその様に感想を述べる七穂……。あなたはその感想を聞きながら、ゆっくりと彼女の顔付近まで移動しニンマリと笑みを浮かべながら彼女の顔を覗き込んであげた。 「せ、先輩? なんですか? その……何かを含んだような笑みは?」  あなたのその顔に、そこはかとなく嫌な予感を募らせた七穂は弛緩させていた手足に再び警戒するような力を込め始める。 「まさか……まだ終わりじゃないとか……言ったりしませんよね?」  彼女の不安が入り混じった言葉にあなたは返事を返さない。逆に、その不安を煽る様に顔の前に手を構えあの動きを彼女の前で見せつける。 「ひっっ!? そ、その……手の動き……まだやる気っ!? や、やだ! もうヤダ!! やだぁぁ!!」  あなたは構えた手をコチョコチョと宙で動かして見せ……そのままその手を七穂の腕の付け根付近を狙って降ろし始める。 「わ、わ、ワキっ!? ま、まさか今度はワキをッっ!!? ヒィィィィィッッ!!?」  あなたは一言も七穂に言葉は返していない。しかし、その仕草によって彼女に分からせようとしている。  まだまだこんなもので復讐は終わったりはしない……と。  次はこの無防備に晒されているワキや脇腹もくすぐって笑わせてやるゾ……と、教え込むように。  →#53へ

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