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#4-② 「先輩とは明日デートの予定を入れてたじゃないですかぁ? あのデートは実は私なりに覚悟を決めてたデートだったんです……」  その言葉にあなたの顔は少し引き攣る。覚悟とはなんの覚悟の事なのか……まさか別れ話を切り出す覚悟とか言い出さないだろうか? と不安が過る。 「どんなにアピールしてもその気になってくれない先輩の事……強引にでもホテルに連れ込んで、無理やり押し倒さなきゃ駄目かなって……そこまで考えていたんですよ? 私……」  付き合い始めて1年以上もたつというのにカラダを求めないないのはおかしい……と考えたであろう彼女は、明日のデートそのように考えていたようだ……。  そこまで追い詰めてしまったのは……紛れもなく自分のせいだ……。あなたはそのように思いを巡らせ申し訳ない気分で一杯になる。 「まぁ、理由も分かったし、自分の事も正直にぶっちゃけちゃったので今後は先輩とエッチしたいと思ったら私は素直に言うつもりですけど……明日に限ってはその予定を変更して、私の事を信用していなかった先輩に罰を与えるデートに変えようと思います!」  何やら吹っ切れた様に突然積極的に性的な言葉を零し始めた七穂に“こんな一面もあったのか”と新鮮な気持ちが芽生えたが、彼女の言う罰という言葉に不穏さを感じずにはいられずあなたの背筋はゾクリと寒気を走らせてしまう程に緊張が巡った。 「フフ……気になりますぅ? どんな罰を私が先輩に与えるか……気になって仕方がないでしょ? フフフ……♥」  そう言って不敵に笑みを浮かべる七穂……  確かに明日は“郊外のショッピングモール”で“お買い物デートをしよう”といったぼんやりとした約束はしていたが、どこでどんな買い物をしてデート後はどうするなどの具体的な内容までは決めていなかった……  いつも通りの「二人で遊べれば何でもいいや」的なデートになる予定の他愛ないぼんやりとしたデートプランを考えていた所だったのだけど……どうも七穂はそのいつものデートにあなたに対する罰を組み込むことを思いついたらしい。  歯をニッと見せつけて子供の様に悪戯っぽい笑みをあなたの目の前で浮かべている。 「いいですか? 明日のデートで先輩には“どんな事”があっても、私に“手”を出したちゃダメというルールを課します。先輩はデート中私にどんな事をされても……どんなに興奮する事が目の前で起きても、どんなに私の事“触りたい”と思っても、私の許可なしに私の身体に触ることを禁じます! それが先輩への最初の罰です♥」  どんなに興奮しようと……どんなに触りたいと思っても……触ってはいけない。と、七穂は得意げに語っているが……まだ彼女が何を言いたいのか真意に辿り着けない。  “許可なしに身体に触ってはいけない”というのが罰ですと言われても……それはいつもやっている事だし、今までだってアピールしてきても我慢してきた実績がある……だからそれは別に難しい事ではないと思うのだが…… 「明日はいつもの様な“エッチしましょうよ~”的なアピールはしません。その代わり……特殊なフェチを持っている先輩が、思わず触ってしまいたくなるような“誘惑”はしようと思ってます♥ さっきして見せた様に……」  誘惑……さっきして見せた様に……という言葉を聞きあなたはハッとなる。  七穂が突然テーブルの上に脚を上げて見せて来たあの行為……さっきしたと言うのはソレの事を言っているようだ……  つい理性が働かず触ってしまいそうになてしまった……あの足裏見せ……。ああいう事をデートの中で行って触りたくなる衝動を我慢させようと彼女は考えているようだ…… 「先輩は……私にどんな事をされても、私の事くすぐったり、勝手に触ろうとしたりしては駄目です。どんなに欲求が高まっても最後まで我慢してください? 手を出したら更なるお仕置きをその後にしますから!」  誘惑すると言ったという事は、七穂は“くすぐりフェチであるあなたが思わず触りたくなってしまう”というような誘惑を仕掛けるつもりなのだろう。例えば……ワザと足や二の腕やワキや脇腹なんかを露出するような服を着てきたり……そういう部位を見せつけるような仕草や動きをして見せたり……あなたの性癖を直撃するような誘惑を彼女は行おうとしているに違いない。  それは確かに……我慢できるか自信がない。  今までの誘惑の仕方であればどうにかギリギリ理性は保てて我慢できた節はあるけど……、くすぐりたいと思っている部位をこれ見よがしに晒して誘惑されたら……自分がどうなってしまうのか想像もつかない。触りたいと常々思っていたモノが目の前に差し出されて……本当に我慢出来ると言える確固たる自信が生まれてこない。  だとするなら……くすぐりフェチにとってそういう誘惑に晒されるデートは相当辛いモノになるだろう。  くすぐっていいよと言われているのにひたすら我慢させらお預けを食らい続けるような……そういう罰になると容易に想像できる。 「先輩が誘惑に負けても勝っても……どちらにしても最後はホテルに行きます♥ 私の調べたホテルにはSM部屋なるものがあるらしいので……そこを予約して、夜はそこで“遊ぶ”ことにしましょう♥」  SM部屋……?  彼女の口からそのような言葉が飛び出すとは思ってもみなかった。  どちらかというと……そういう性的趣向な話題は恥ずかしがって濁すだろうと想像していたのだけど……どうやら全てをぶっちゃけて吹っ切れられたのはあなただけでなく彼女の方も同じだったようだ。何気にホテルに行く事も確定になっているようだし……彼女こそ我慢していた事を今吐き出そうとしている様子が見て取れる。 「デート中に私が与える誘惑を乗り越えて1日我慢できたなら……その部屋で、先輩は私の事を好きにして構いません。エッチな事がしたいなら……それでもいいですし、くすぐりたいっていうのなら……まぁ……抵抗は……しません……」  それを聞いてあなたの心音は一際大きくドクンと大きく鼓音を鳴らせた。  1日手を出さなければ……七穂をホテルでくすぐることが出来る!? それは本気で言ってくれているのだろうか?  だとするなら……それは罰でもなんでもなくて……ご褒美だ! ご褒美以外の……何ものでもない!  しかも“SM部屋”で遊ぼうなどと言っているという事は……拘束台なんかもある筈だから……そういうプレイをしても良いという事? ……拘束してくすぐぐってもOKという事?  それは……期待しか生まれない! そういうシチュエーションだけでも興奮してしまうのに、実際に七穂をくすぐる事も出来てしまうなんて…… 「でも! もし……約束を破って手を出したらその時点で先輩の負けです。その日のデートをそこで中止してそのままホテルに直行し……そのホテルでは逆に私の言う事を聞いてもらいます! 誘惑に勝てなかった意志の弱い先輩に私からの本当の罰とお仕置きをそこで行ってあげようと思います!」  誘惑に負けたら……ホテルで本当の罰を与える……? と彼女は言っているが、その罰とは一体何なのか? 期待と不安が半々であなたの胸をザワつかせる。 「フフフ……気になるでしょ? SMが出来ちゃう部屋で……約束を破った先輩に……私がどんな罰を与えるか……」  いかにも意地悪だと言わんとするような笑みを浮かべ七穂が机の前に手をかざす。  そしてかざした両手をワキワキと動かして見せ、あなたをドキリとさせる。 「約束を破って手を出したらぁ~~♥ 罰として、私が先輩の事しっかり拘束してぇ~♥ 抵抗できない先輩の身体をぉ……コチョコチョしてお仕置きしてあげます♥ 勿論お仕置きなんだからエッチな事は一切してあげませんよぉ? コチョコチョするだけです♥」  約束を守れなかったら逆に七穂が自分音ことをくすぐってくれるっ!? その罰の内容を聞いてあなたは衝撃を受ける。  それは……くすぐりフェチにとって……罰ではなくご褒美では? と、心の中で歓喜の声を上げるあなただが……  七穂はそんなあなたの心模様を悟る様にニヤリと笑みを浮かべ言葉を続ける。 「どうせ先輩ってば女の子をくすぐって笑わせるのが好きってだけでしょ? 私の事も……くすぐりたいとかさっき言ってたし……。だったら逆にくすぐられるのがどんなにキツイ事なのかを分からせてやるのが罰として良いかもって思ったんです♥ くすぐられる側の気持ちも知ってもらった方が……後々……色々と……これからの付き合いで……あるかもしれません……から……ね?」  確かに……くすぐられた経験もくすぐった経験も少ないあなたからすれば、実際のくすぐりプレイがどれだけ辛く苦しい事なのか想像の中でしか理解できていない。  それを分からせようと罰に組み込んだ七穂の考えは中々に的を得ているとは思うのだけど……  正直な話をすると……それが嫌かどうかで言うと……実は全く嫌ではなくむしろウェルカムだと言っても過言ではない。  くすぐりプレイには受け側と攻め側に別れる構図が必然的に出来上がるのだが……あなたの場合はくすぐりたいと思う欲もくすぐられたいと思う欲も均等に持っているバランス型というやつだ……。若干くすぐりたいという欲の方が先行していた節はあったため七穂にはあなたが“ただくすぐりたいだけ”と映っていたかもしれないが……実際は責めたいと思うと同等に責められてみたいと思っていたのが正直な話だ。  だから、その様な罰が提示されてあなたが喜ばない筈がない。まさに棚から牡丹餅でどちらに転んでもあなたの得にしかならない罰と言える。  これは明日が楽しみだ……と心の中でほくそ笑むあなただが……  しかし、その嬉しさが伝わってしまうと仕置きの内容を変えかねない勢いもある為、あなたはワザとらしく嫌そうな表情を浮かべ、彼女の提案に渋々乗るような態度を見せていく。 「更に! 先輩が明日のデートで耐えられずにお仕置きを受ける事になったら、次のデートの時も同じような“誘惑我慢デート”を継続して執行します! 勿論、そのデートでも誘惑に負ければまた先輩は私のお仕置きコチョコチョを受けるだけで私の事は永遠にくすぐることは出来ません♥ それは……嫌……でしょ?」  成程……そういう罰だったのか……。  つまりはあなたが我慢をし切れない限り何度もその誘惑デートは繰り返され、あなたが我慢できるようになるまではずっと七穂をくすぐる事が出来ずお預けにされ、彼女の良いようにされ続ける……それが罰だと主張しているようだ。  確かに……七穂をくすぐりたいと思うあなたにしてみれば、それは辛い。  彼女にくすぐって貰えるというご褒美が付いているのは喜ばしいことだけど……一方的に受け手に回るというのはそれはそれでフラストレーションが溜まるというものだ。  くすぐられる経験もしてみたいのは勿論だが……彼女の事もしっかりくすぐってみたい。  彼女を自分の手で笑わせてみたい……  彼女の柔らかな身体を無防備にして触ってみたい……  彼女が笑い苦しんで……悶えている姿も見てみたい……  あなたの歪んだ欲は、先程の足見せの瞬間からその様に舵を切り始め収まりが付かなくなっていく。  今まで必死に隠していた欲望があっけなく彼女に知られる事となり、もはや隠す意味を失くすこととなった。欲望のタガが外れ今にもその欲を満たしたいと身体が勝手に動いてしまいそうだ……  こんな状況で……誘惑すると宣言している彼女に手を出さずにいられるだろうか? 「明日のデートプランに関しては私の方で計画立てておきますので、先輩はとりあえず何も考えず私の言う通りについてきてくれればOKです♥ 集合場所と時間も後で追ってメールします♪」  性癖を知られた以上……明日のデートはその性癖を巧みにくすぐるような誘惑を彼女はしてくるに違いない……。そういうプランを組み立てようとしてくるに違いない。  その誘惑に……あなたは勝たなくてはならない。  いや……誘惑に負けて手を出して……七穂に「根性無し」と蔑まれながらお仕置きされるのも嫌いじゃないのだけど……  でもやっぱり……やる以上は頑張って耐えきって、七穂にくすぐり責めというものが何なのかを分からせてやりたいと思うのも心情。  しかし……自信はない。  さっきの靴下越しの足見せだけでも、触らなくて後悔しているほどなのに……  それ以上の誘惑をされたら……正直、自分がどうなるか想像も出来ない。  どんな誘惑の仕方を企んでいるのか分からないが……それに耐えられる自信はない。  自信はないが……なんだろう……この高揚感は?  やる前から興奮が高まっている事を示すように高鳴っているこの胸は……どう捉えるべきだろう? 「って事で……私はデート計画を立てるために今日は一人でお食事してきますね♪ 計画を先輩に知られる訳にはいけませんから♥」  そのように言って机から立ち上がる七穂……  まだ食べ始めてもいない弁当箱を開けもしないで手提げ鞄に入れ直し、それを持ってあなたの家から出ようと玄関の方へ歩き始める。  その手にはなぜかあのDVDが入った黒い袋も握られており、あなたは慌ててそれを置いていくように彼女に促すが……彼女は首を横に振ってあなたの促しを拒否した。 「今日はこのDVDは私が預かって帰ります♥ これで夜な夜なひとりエッチされたら……明日の勝負に影響が出ちゃうかもしれませんからね! 明日……ちゃんと我慢出来たら返してあげます。それまでは……この子たちはお預けです♥」  そのように言うとその袋までも鞄にしまい、彼女はさっさと家の玄関から出て行ってしまった。  まさか慰めの道具達までも持ち去ってしまうとは思いもよらず……あなたは、残りの隠していたDVDを引っ張り出そうとクローゼットの裏や本棚の裏を覗いてその所在を確認した。  しかし、そこにある筈のコレクションは既に彼女の捜索により荒らされた跡があり、残されたのはそれらを入れていた紙袋だったりビニール袋だったりだけだった……  全てのコレクションを探し当てるとはどういう探索能力を持ち合わせているんだ……と、驚愕してしまうあなた。  一旦は冷静になろうと椅子に座ってコンビニの弁当の封を開けようと手を伸ばすが、しかしながら先程の足見せがあまりにも脳裏に深く刻まれてしまっていたが為に弁当の蓋を見ても彼女の足裏の映像がダブって映ってきてしまう。  あなたは「何をやっているんだ……」と自分でも思いつつも、弁当の蓋に指を這わせて愛おし気にその蓋をなぞる仕草を繰り返してしまう……  未だかつて……ここまで欲求不満になった経験はない。  弁当の蓋を見て七穂の足裏だと妄想してしまうなど……前代未聞だ。  しかし……あのさっきの足見せはそんな妄想を植え付けてしまう程にあなたの欲求と興奮を呼び起こしてしまう事となった。  明日は我慢さえすれば直に触る事だって夢ではない事は分かっている。だけど……このような欲求過多な心持ちで本当に彼女の誘惑に勝てるというのだろうか?  分からない……明日、自分がどうなってしまうのか分からない……  分からないけど……楽しみだと思う気持ちしか浮かんでこない。  我慢出来ても……出来なくても……七穂とくすぐりプレイを楽しむことができるのだ! これは毎夜夢にまで見た希望そのものだ。  それが叶うのだから……明日が楽しみにならない筈がない!  嬉し過ぎて……そのまま倒れてしまう勢いだ。  期待と不安と歓喜が入り混じり、どの感情に傾けばいいか自分でも判断しかねる勢いで悶々と明日の想像を重ねていると、早速七穂から明日の集合場所と集合時間を告げるメールがあなたの携帯電話に届けられた。  その告知メールを下の方にスライドさせていくと、最後の方に七穂からこの様なメッセージが添付されていた事に気付く。 ――明日は絶~対、負けませんよ! 私が勝って先輩の事ヒィヒィ言わせてあげます♥ 覚悟してくださいね? せ~んぱい♥   そのメッセージを見てあなたは改めて明日のデートに対する期待を昂らせていく。  「ヒィヒィ」言わせるのは七穂の方だ……と静かな闘争心を燃やし、あなたも午後の授業へと戻っていくのであった。 →#5へ

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