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こちらの小説はりおん様【https://www.pixiv.net/member.php?id=2597032】から頂いたものです。シン先生調教は小説シリーズと私の絵が交互に進んでいくものなので、より楽しんでいただく為掲載許可を頂きました。
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「……はっ!?」

しまった、すっかり油断していた。子ども達の気持ちよさそうな顔を見ていたら、つい。

「と、と、トイレ……」

僕は慌てて立ち上がると、大きくライオンが縫い付けられたエプロンを引っ張って自分が座っていた所を見た。

……し、しまったなぁ。うぅ、雑巾が先かな……。

「……あら、シン先生。またやっちゃったの?」
「ぅ……、す、すいません、園長先生」

僕にこそっ、と声を掛けたのは、眼鏡を掛けたウサギの先生。この保育園の園長先生だ。ふんす、と鼻を鳴らした先生は、子どもを払うように手を振ると、僕の背中をポンと叩く。

「うぅ、おかしいなぁ……」

更衣室に鍵をかけると、僕はエプロンを外してロッカーの扉に引っ掛けた。
その下のジャージはじっとりと濡れて、子ども達のそれより少々きつい臭いが。
うぅ、前はこんなことなかったのに、最近どうしてしまったんだろう……。疲れてるのかなぁ。

「って、いけない。早く着替えないと。」

落ち込んでる隙はないぞぉ……、シン。
僕はさっ、とズボンとパンツを下げると、それを脱ぎ捨てて。一応、念のため、もしもの時のために、と持ってきた着替えを取り出す。……ズボンは同じ柄にしたんだ、子どもたちったら、目ざとく気付くから。

「はぁ……これは後でお洗濯させてもらおう……うぅ」

つんっ、と鼻につく臭いのする、ジャージとトランクスを摘まんで、僕は思わず顔をしかめた。これで今月になって何度目だろう……、はぁ、本当にイヤになる。ロッカーの鏡に映る獅子の顔は、すっかり涙目だ。

「~~~っ!!いやっ、しっかりしろっ!!シンっ!!」

パンパンッ、と自分のほっぺたを叩くと、僕はエプロンを着けて、汚れたジャージでパンツをバッとくるんだ。

「よしっ」

もう一度気合いを入れると、更衣室からこっそり抜け出して、洗濯機の中にジャージとパンツを放り込む。

「あら、シン先生お帰りなさい」
「す、すいませんでした、園長先生」

教室に戻ると、雑巾を片付けた園長先生がふぅ、とため息をついて迎えた。ぺこぺこと僕がお辞儀していると、布団がもぞもぞと動き始める。

「むにゃ……しぇんしぇー、おはよー」
「お、おはよう」

まだ寝ぼけた目をしているタヌキのさっくんは、僕と園長先生が並んでいるのを見て、不思議そうに目をしぱしぱとさせていた。

「あぇ……?えんちょせんせー、おはよー」
「おはよう、さっくん」
「えんちょせんせー、なんでいるのー?」
「……っ!?」

そりゃ、そうだよね。うん。

「ふふっ、皆さんのお顔がみたくてね?いけない?」
「んーんー、えへへ、いいよー」

園長先生のフォローに、僕はほっと息をついた。さっくんはこう、聡い子だから、いつもドキドキさせ

「しんせんせーが、おねしょしたのかとおもったー」
「ぷっ!?」
「ぇ!?」

……園長先生、噴き出さないで。

「ふふっ、違いますよ?さっくん、それは内緒にしてあげてね?」
「んー、いいよー」

にへぇ、と笑うさっくんは、何というかマセた笑いをしているようにも見えて。……この子の行く末が怖い。

「さ、シン先生、他の子も起こしましょう?おねしょしてる子、いませんかぁー??」
「は、はいっ」

結局、おねしょをしていた、たっくんとさきちゃんのオムツを替えている間も胸の動悸は治まらなくて。ボクは夕方にはどっと疲れた身体で、お迎えが来た子どもたちにサヨナラをするのだった。

* * * * *

「シン先生」
「は、はい、園長先生」

最後のお迎えを無事に終えて職員室に戻ってくると、まだ残っていた園長先生が書類から顔を上げて。ズレた眼鏡をカチャリ、と戻した。

「今日のお昼寝の時間の件なんですけどね?」
「は、はい……」

ふんす、と鼻を鳴らし、園長先生は机に肘をつく。

「今月に入って、もう5回目です。ちょっと多くないですかね?」
「す、すみません……」
「ひとに失敗はつきものですが、それにしても大の大人がおねしょをこうも繰り返す、というのは、ワタクシ、どうかと思いますの。」
「は、はいぃ……」

園長先生に言われて、きゅっ、と肩がすくむ。

「……別に、責めている訳ではないのですよ?」
「う……、は、はい……」
「あぁ、もう、泣かないの。ほら、掛けなさい。疲れてるんでしょう?」
「は、はいぃ……」

うぅ、でもこんなに失敗続きなんて、子どもの教育上良くない気もするし……。僕は働いてて大丈夫なんだろうか……。

「ほら、お茶。」
「あ、ありがとうございます……」
「私は心配してるんですよ、シン先生。あなたは子どもたちに好かれていますし、私から見ても良い先生だと思います。まだ若いですから、お仕事の疲れもあるでしょうし。」
「うぅ……、で、ですが……」
「……まぁ、確かに。こう失敗続きだと、親御さんの中にも心配する方が出てくるかもしれません。早めに手は打たないといけませんね?」
「は、はい……」
「本当なら早めに病院へ行って、ちゃんと診てもらうのがいいんでしょうけど……うちも人手が足りないですからねぇ……」

カチャリ、と眼鏡を外した園長先生は、ぎゅっと目頭を摘まむと、長い耳を折ったり伸ばしたりしながら唸った。

「冬休みまで、なんとか対策出来ますかしら?シン先生。」
「は、はい……わかりました……」

もう失敗しない、とは言えなかった。僕は力なく頷くと、エプロンを握りしめた。

* * * * *

――翌日。

「しんせんせー、おはよー」
「おはよー、さっくん。元気かなー?」
「はいっ、げんきですっ!えへへー」

風邪を引きやすいこの季節は、園児の体調管理も大事だったりする。今日も元気にみんな登園してきたのを確認して、僕はぽんっ、とお尻を叩いた。

「……よし、」

年の瀬も迫った今月は特に忙しくて、クリスマス会の準備に、お正月飾り作りに、普通の保育もあわせて大変だ。わたわたと1日を過ごしているうちに、あっという間にお昼寝の時間がやってくる。

「それではみなさん、おやすみなさい」
「せんせー、みなさん、おやすみなさい」

電気を消しブラインドを軽くひくと、部屋の中は薄暗くなる。ふぅ、とひとつ息を吐いて、僕は床に座った。
最初は布団を被ってもぞもぞしていた子どもたちも、だんだんと動きが少なくなり。静かに寝息が聞こえてくる。慌ただしい時間はそっと身をひそめて、今だけは穏やかな空気が満ちる。
……いけないいけない。ここでぼーっとしていると、またみんなと一緒にお昼寝してしまう。僕は職員室に一旦戻ろうと、立ち上がった。

「ん……せんせぇ……」
「!?」

ごろん、と、羊のさきちゃんが寝返りをうつ。寝ているみたいだけど、この子は途中で起きるとぐすってしまうのだ。

「……」

仕方ない。僕はまたすとん、と腰を据えると、さきちゃんを起こさないようにそっと布団の上に手を置いた。

「ふあぁぁ……」

思わず出た欠伸をかみ殺して、僕はぽん、ぽん、と、布団を優しく叩く。大丈夫、眠くない、眠くない。そう、自分に言い聞かせて。



「……せ、シン先生」
「はっ!?」

肩を揺すられて、僕はビクッ、とその場で飛び上がった。そんな僕を見て、目の前にいたさっくんとさきちゃんが嬉しそうにニンマリと笑う。

「しんせんせー、おはよー」
「おはよー」
「お、おはよう……うわぁ……しまったぁ……」

もうほとんどの子どもたちは起きていて、お昼寝布団の広がった部屋の隅で絵を描いたり、絵本をめくったりしていた。僕を起こしたのは園長先生で、すっかり青ざめている僕の肩をぽん、と叩いて苦笑い。

「さっくんが呼びに来てくれたんですよ。」
「す、すみません……」
「えへへー」
「さっくん、ありがとう」
「えへへー、せんせー、きょうは、だいじょーぶ?」

にこにこと笑うさっくんは、僕の膝の上に小さな手をつて、僕の顔を覗き込む。

「だ、だいじょーぶ。あはは……」

僕はさっくんの頭をぽんぽん、と撫でると、膝から下ろして立ち上がった。

「じゃあさっくん、さきちゃん、みんなを起こしてくれるかな?」
「はーい!」

まだ眠っている子たちを順番に揺すって起こしていく。その傍らでお昼寝布団を片付けながら、僕はこっそり顔を曇らせた。


……大丈夫じゃ、ないよ。


しゃがんだお尻の違和感は、気のせいだと思いたかった。

* * * * *

「はぁ……」

保険の、つもりだった。本当に使うつもりなんて、なかった。なのに、一体どうしてしまったんだろう……。
おやつの時間が終わったので、ひとまずその場を園長先生に任せた僕は、こっそり教室を抜け出すと、ロッカーから巾着袋を取り出してトイレに向かった。
さっさと交換して、教室に戻らなくちゃ。
子どもたちのトイレの隣にある、職員用のトイレの扉に手をかける。

「せんせー、といれ?」
「!?」

下の方から声がして、ボクは思わずビクリと飛び上がった。

「さ、さ、さっくん!?」
「えへへー、ボクもといれしたのー。おそろいだねー」
「そ、そっかー、えらいねー」
「えへへー」

しゃがみこんで僕が頭を撫でると、嬉しそうにさっくんは目を細めた。

「あのね、あのね、せんせー」
「ん?なぁに?」

さっくんは手招きすると、「ないしょ話」の形を作った。どうしたのかな?と、僕は首を傾けて、小さな手に耳を寄せる。


「しんせんせー、おねしょしたの?」


「にゃっ!?」
「えへへー、したんだー」
「ちちち、ちがうよ!?」

慌てて首をふる僕に、「んふふー」と楽しそうに鼻を膨らめるさっくん。

「ほんとにー?」
「ほ、ほんとだよー?」
「ふーん」
「ご、ごめんねさっくん、トイレ行っていい?」
「えー、どうしようかなー?」
「う、うぅ……イジワルしないで?ね?」
「んー、じゃあねー、じゃあねー」

さっくんは「にひー」と僕のエプロンを指さすと、無邪気に笑った。

「しょーこ、みせてくれたら、いいよー」
「!?」
「おねしょ、してないなら、えぷろん、めくってー!」
「ぅえっ!?」

え、エプロンを、めくる?そ、それは、それは……!?

「や、さっくん、そ、それは……」
「えー?なんでー?」
「う、いや……」
「……めくったら、といれ、いっていーよー?」
「う、うぅ……」

僕はエプロンの裾をぎゅっ、と握ると、さっくんの顔を見た。

「ねー、せんせー、はやくー」
「う、うぅ……」

キラキラした目で僕を見る、さっくんの目。それはまるで、新しい玩具か遊びを見つけたかような、その目が。僕には今、とても怖く感じられた。

「ねー、しんせんせー」
「う、うぅ……」

期待のこもった眼差しが、真っ直ぐに僕を射抜いた。

「は、はい……」

ぺらっ、と。本当にぺらっと。一瞬だけ。僕はオレンジ色のエプロンの裾を捲った。

「えぇー?」

でも、それを許してくれるさっくんでは無かった。

「みえなかったよー、せんせー、もーかいっ!」
「え、えぇ……!?」

ダメだ、もう、逃げられない……

「ほ、ほら……」

僕はエプロンのポケット下ぐらいを摘まむと、さっ、と引き上げた。膝立ちになった僕の股をまじまじと見て、さっくんは「んんー?」と首を傾げる。

「ほんとだー、ぬれてなーい」
「も、もういい??」

僕がエプロンを戻そうとすると、さっくんは更に顔を近付けてくる。

「あれー?でもせんせー」


「おしっこのにおい、するー」


「!?」
「んー??せんせー、ふとったー?」
小さなさっくんの手が、丸みを帯びた僕の股間に、迫る。
そして、

「あれー?せんせー」

その手が、僕に、触れた。

「なんか、たぽたぽするよー、せんせー?」
「ひゃっ!?さ、さっくん!?」
「んんー?たぽたぽー」

小さなその両手は、僕の股間を下から支えるように、僕に触れる。そして、上下に僕の股間を揺さぶる。

……正確には、その下にあるオムツを。

「さ、さっくん、も、もう、や、やめ、」

顔を真っ赤にした僕は、きっと、半ベソをかいていた。

「しんせんせー?ね、これ、あの、お」


「こら、サクマくんっ!!何してますか!?」


「うわっ!?え、えんちょーせんせー!?」

ビクッ、と肩を震わせたのは、さっくんだけではなくて。僕も思わず、教室から顔を出している園長先生を見た。

「こらっ!サクマくん、シン先生をいじめちゃいけません!こっちにいらっしゃいっ!」
「ぴぇっ!?ご、ごめんなさい」

廊下をとてとてと走っていったさっくんを、園長先生が抱き上げておでこをくっつける。めっ、と怒る先生の顔は本当に怖くて、普段は怒られないさっくんはさすがにびっくりしたようで。甲高い声で泣き出してしまった。

「シン先生、ほらっ」
「は、はいっ」

僕はペコペコと頭を下げると、トイレに駆け込んだ。ジャージを下げると、外から見てもわかるぐらいに黄色くなったオムツが。べりっ、とサイドステッチを破くと、股の間に手を入れて、オムツを支える。

……うぅ、結構出ちゃってる。

それを床に置いて、僕は巾着袋を開いた。
ウェットティッシュで股間を拭くと、ジャージを一度脱いで、新しいオムツに足を通す。

「う、うぅ……」

真新しいそれを見ないように慌ててジャージを深く履き込むと、僕は汚れたオムツを丸めてテープで止めた。子どもたちのオムツとは比べものにならない重さに、恥ずかしくなる。
トイレから出た僕は、すぐ隣の「おむつのへや」と書かれた扉を開けた。いわゆる、ここは「処理室」で、子どもたちの使ったオムツを捨てるためのペール缶や、汚れ物を洗う洗濯機が備え付けられていた。そのペール缶のペダルを足で踏みつけると、子どもたち使った、小さなオムツが。

「う、うぅ……」

その、ころころとしたオムツの中に、倍以上ある大人用のオムツを、ぽいっ、と、投げ入れる。もう見たくないと言わんばかりに、僕は勢いよくペール缶の蓋を閉めると手を洗って。処理室から顔を出した。

「シン先生、大丈夫でした?」
「え、園長先生!?さ、先ほどは、す、すいませんでした……」

そこには、苦笑いを浮かべた園長先生が。

「ごめんなさいね、私も目を離した隙にやられたわ?まさか、あの子があんなに積極的だとは思わなくって」
「すいません……あ、あの、さっくんは?」
「ひくっ、せ、せんせぇ……」
「さ、さっくん……」

園長先生の足下にしがみついたさっくんは、潤んだ目で僕の事を見上げていた。どうやら、園長先生にこっぴどく怒られたらしい。

「せ゛、せ゛ん゛せ゛ぇ゛……!ひぐっ、ご、ごめんな゛さ゛い……!」
「さ、さっくん、」
「ごめんなさいぃ……!!ごめんなさいぃ……!!」
「あー、泣かないでさっくん!ごめんね、先生のこと心配してくれたんだねー、ありがとー」
「う゛ーっ、せ゛んせー」
「だから、内緒にしてね?指切りだよ?」
「うん゛ー、ゆびきり、するーっ」

「約束げんまん、ゆびきりしましょ♪」
「うそついたら、はりせんぼん、のーます!」

「ゆーびきった!」

* * * * *

「ばいばい、せんせー!」
「ばいばーい」

あれだけ大泣きしていたさっくんも、夕方にはすっかり笑顔になって。お母さんに抱っこされて帰っていった。僕も笑顔で見送ると、教室の中に戻る。今日はもうみんな帰ってしまって、すっかり寂しくなった教室。

「シン先生、お疲れ様。」
「え、園長先生!?」
「今日は大変でしたね」
「う、うぅ……すいませんでした……」

今日の恥ずかしい出来事が思い出されて、僕は顔を真っ赤にすると、園長先生に頭を下げた。

「いいんですよ、ちゃんと対策はしてきた訳ですからね」
「は、はいぃ……」
「しかし、困りましたね。ちゃんと治さないと、またサクマくんに見つかってしまいますよ?」
「う、うぅ……そうですね……」
「何かいい策があればいいんですけど……、あ、そうだ」

園長先生は、何か思い出したようにエプロンのポケットから二つ折りになったリーフレットを取り出した。

「今度の土曜日、確か非番でしたね?こちらの病院に行ってみたらいかがかしら」
「え?」

園長先生から手渡されたリーフレットには、森の中に佇むおしゃれな外観の建物が。

「『逆月病院』って、ご存知?おねしょとかを専門で治してくれる病院らしいわ。診てもらったら?」
「あ、ありがとうございます」

――こうして、僕は園長先生の勧めで、その次の土曜日に『逆月病院』を受診することになったんだけど。

まさか、あんなことになるなんて、この時はまだ、知らなかったんだ

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