イラスト+SS|【全体公開版】義足の探鉱夫男子が義足を見せてくれるだけ (Pixiv Fanbox)
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とある鉱山の町に住む少年との会遇
辺境の渓谷に築かれた、とある鉱山の町。そこには、探鉱士(ディガー)として働く少年、いわゆる"探鉱少年"と呼ばれる少年達が居るという。写真士である私は、諸国巡りの旅のさなか、立ち寄ったその町で一人の少年鉱士と出会い、取材をすることにした。
「これでいいかな」
少年は帽子のつばを右手でつまんでくいっと左右に動かし、こちらに目線を向ける。
"写機"と呼ばれる、目の前の像を映し出す魔導機。それに撮られる事に慣れていないのだろう、少年は硬さが抜けきらない表情とポーズを取る。それを微笑ましく思いながら、私は写機の撮影機構を作動させた。
「鉱士(ディガー)の仕事は、坑道内とか日の当たらない所が多いから、筋肉は付くけれど肌は焼けないんだ」
仕事の話を聞いているうちに、そんな話になった。見せてもらえるか尋ねると「上半身くらいなら」と少年は自ら上着を脱ぎタンクトップ姿になり、そのままタンクトップも脱いで上半身裸になった。
少年の言う通り、肌はそれほど日には焼けていない色をしているようだが、身体には筋肉がうっすらと付いている。かっこいいね、と言うと、少年は帽子のつばをつまんで顔を隠しながら「ありがとう」と返してくれた。
「ちなみに、左足の大部分は義足で──」
この町で石炭と共に採掘される鉱石でできているんだと、タンクトップと上着を着直しながら、少年はそう話す。義足に興味を持ち始めた私は、見せてもらえないかと少年に頼んでみると、
「えっ」
と一瞬固まった。
「ええと、それは今ここで下を脱ぐことに……でも取材なら……」
少年は周囲に人がいないのをきょろきょろと確認し、ぶつぶつと呟きながら悩み始める。そしてそのうち意を決したのか、帽子のつばをつまんで表情を隠すように下にぐいっと引っ張り、ズボンに指をかけ、下におろした。
「……ええと、やっぱりさすがに街中でこの格好は、ちょっと」
さすがに下着姿を晒すのは恥ずかしいらしく、少年はばつが悪そうに、まわりを伺っている。下着の裾から伸びた左足の太もものちょうど真ん中くらいから足先までが義足で、接合部には包帯が巻いてあるようだ。
別に足先だけ見せて貰えれば良かったんだけど。そう指摘すると、少年はハッとした表情を浮かべた後、かああと顔を紅くした。
「えっ……あー、ええと、どうも」
ちょっとの間この町に滞在するから、写機の中身が現像できたら、渡すよ。と、いそいそとズボンをはきなおす少年にそう伝えると、少年は再び一瞬固まった後、ちょっと素っ気ない返事を返す。
そういえば、名前を聞いていなかったと、取材の最後に少年に名前を尋ねると、
「チタン。それが僕の名前」
帽子のつばをつまんで、少年はそう答えた。
メモ|キャラクター資料
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「digger_lad/炭鉱少年」という、炭鉱で働いている少年をモチーフにした創作群のなかで、最初に造詣が出来上がった子。義足の炭鉱少年くんです。
メモ2|別ver
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