「休日 やまとのみるゆめ」に関して (Pixiv Fanbox)
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提供:LoneWolf様
(2021/10/29一部改稿)
先程開催された10/28宇宙戦艦ヤマト2205上映後のトークイベント「ヤマトーク」にてこの絵に関する情報が開示されました。現在公開中の2205制作の際、初期の段階での作品イメージを提示する際のイメージソースとして本作が使用されたというものです。2205では第1話2話の地球洋上のシーンへと進化を遂げて素晴らしい出来に仕上がってます。
このお話は大分前に脚本の岡秀樹さんから伺っており、以来ずっと秘密裡にしておりましたがようやく岡さんによって開示されました。何かしらを作る時に他の作品を参考にするのはよくある事で、ぶっちゃけ本作と2205のシーン見比べても黙っていればまず判らなかったレベルだと思うのですが、岡さんという方は実に誠実な方だと思います。多分業界での信頼度もかなり高いのではないかと。
こちらではこの絵に関する事を中心に書いておきたいと思いますが、その前に注意事項がありますのでまずはご一読を。
・この絵に関して宇宙戦艦ヤマト2205制作委員会、並びに関係各社、スタッフへの問い合わせはご遠慮ください。
・私は制作に参加したわけではありませんので、宇宙戦艦ヤマト2205の制作に関して問い合わせ頂いてもお答えできません。
以上ご了承ください。
ではこの絵の略歴から。
2004年に「宇宙戦艦ヤマト2199」以降メカデザイナーとして参加されている玉盛順一郎さんが当時主宰されていたWebサイト"ヤマトメカニクス"の画像掲示板にこの絵は初めて世に登場しました。まだ線画の状態ですが絵自体のコンセプトはほぼ固まってますのでこの絵の始まりから現時点(2021年)で17年になります。まだPC上に直接線画を描くのが難しかった頃なので紙上の鉛筆画をスキャンしてからの多少のクリンナップ後の絵です。
その後、2006年に彩色したバージョンが一旦上がり、それから2年後の2008年に当時まだ生まれて間もなかったPIXIVにUPする際に加筆と調整を行ったものが完成版としているものです。つまりこの絵はまだリメイクシリーズはおろかヤマト復活篇よりも前に描かれたものです。
この絵は特定のヤマト作品をテーマにした訳ではありません。絵に描かれている主力戦艦などから時代的にはヤマト2の後というのは間違いないですが新たなる旅立ちとかをバックボーンにした訳ではありません。
この絵を描いた頃はまだ新しいヤマトを作るとは夢にも思ってませんでしたが、もし新たに作るとしたら今までヤマトって作品の中ではずっと戦ってばかりだったのでたまには平和な頃の姿も見てみたいなとぼんやり思っていました。そんな中で現在の実家のある広島に時折帰省する際についでに寄っていた広島近くの呉に海からフェリーで入る時の光景がだんだんとイメージを固めていきました。まあヤマトと言ったら呉ってわかりやすいですよね。
2005年撮影の船上からの呉港。海上自衛隊の桟橋のあたり。
絵ではあくまで呉のイメージとうたっていて呉そのものとはしていません。あるいは遊星爆弾攻撃で大分地形が変わった呉かもしれません。今の呉も多くの護衛艦が浮かぶ軍港ですが、戦争してた頃と違い瀬戸内ならではの波静かで長閑な港です。そういった風景を重ねていったのだと思います。
あとはヤマトのシリーズって地球を救う話なんだけどその地球の姿がなかなか出てこない。いや地球上のシーンはいくつもあるんですがヤマト関係の人はじめ防衛軍の面々周りのところが主で一般の人々とその暮らしは出てこない。もっと市井の人たちの生活が見せられないか?それはとりもなおさずヤマトは地球の何を守っているのか?という描写に他なりません。そういうものを映す一つの手がかりとしての港という舞台はどうだろうかという試みもあったかと。
最初の投稿から長い月日が経ち本作にも色々とアラが見えるのですが、なぜかこの絵を今もって超えられてない気も時々してます。しかしリメイクしたり描き直そうとは思ってません。やっぱりこの絵はこの時だから描けたような気がするし、そもそも「描き直しするぐらいなら新しいの描け」派なんでまた機会を捉えて同じようなテーマで描いてみたいです。
最後に、出来上がった2205の一連の港のシーンは私の予想を遥かに超えて素晴らしいモノになったと思います。関わったスタッフの皆様には感謝と尊敬の念しかありません。ありがとうございます、そしてお疲れ様でした。