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担当Tさんへの交代と初のアンケート上位作『眠り姫』…!


さてさて、新人赤月みゅうとのアンケートが芳しくない事を

横目で見ていた編集のTさん。

(こいつはもうちょっと出来るハズだと思うんだけどなぁ~)

とか内心思ってくれていたのでしょうか。

担当がTさんに代わります。

(赤月に賞をくれたのもこの人ですしね。自分を拾って頂けたTさんには

死ぬまで頭が上がりません。

この方は自分にとってのいわゆるメンター的な存在だと思っています。)


そして、ここまでの話を聞くと

担当が変わってアドバイス内容が劇的に変わり

原稿が良くなってアンケートが上がった…!

っていう展開だと思うじゃないですか?(笑)


ちょっと違うんですよね。

(ここからの文章はあくまで自分の思っている事ですが)

もちろん頭も良い方で、

素晴らしいアドバイスは日々くれていたんですが。

このTさん、いままで見ていても社長さんなだけあって

色々 持っている 人なんですよね。


実は自分のこの後制作する『眠り姫』なんですが

担当がTさんに代わる直前に、

(このままじゃダメだ…今は色んなエロ漫画を読んで

ただそれのマネをして、良く分からないままそれっぽい物を

描こうとしているだけ。そうじゃなくて自分の好きな

自分のやりたいお話を入れたシチュエーションの漫画を

ちゃんと描こう…!)

と考えていて、

担当さんが変わる前にプロットは出来ていて

ネームも描き始めていたんですよね。


そして自分も初めて手ごたえを感じるネームを描けて

いざ…!というタイミングで交代したのです。

Tさんはまだプロットも見ていない状態でした。


つまり自分のネームが劇的に良くなるタイミングで

Tさんは自分の担当についたのです。

後から考えてもやっぱり持っている人なんだなぁ

と思いました。

この後もそんなシーンをたびたび見てきましたし、

そういう人っていますよね。

普段の行動が引き寄せてるんですよねこういう人って。

(勿論Tさんは編集としての実力も多分に持って

いらっしゃる方ですが。その話はまた後ほど。)


そしてTさんにそのプロット(キャラ表と簡単なあらすじ)

を見せると

「いいねぇ!こういうのだよ!こういうの!」

と言われて、そこで自信が確信に変わりました。


しかし思い返してみるとネタ以外にももう一つこの頃

苦しんでいたことがありました。

原稿の制作スピードです。


最初のうちって絵が上手くないので何回も何回も下描きを

描きなおして、それでも上手くデッサンが取れなかったりして

全然進まなかったんですよね。


電話で進捗を聞かれて報告すると

「やる気ある…?」

とか言われてました。(笑)

本当にずっと原稿やってるんですよ。ずぅ~っと!朝から晩まで。w

それでも進まないのです。(´;ω;`)

どんな仕事も皆、最初はそんな感じですよね?よね?

まあ、上記のような話をしたら分かってもらえましたが(笑)

こういう圧を受けたのは最初のこの時だけだった気がします。


そんなこんなで完成した『眠り姫』前編

確かうろ覚えですがアンケート3位…!


これは本当に嬉しかったです。


続いて後編ですがスピードの事を言われたので、

ちょっと当てつけみたいな感じで

クオリティーを犠牲にして1日6枚下描き…!とかやっていたら(おいw)

やはりクオリティーが落ちたのでアンケートはだいぶ落ちました(笑)

11位とかだったかな…?

(ですがこれきっかけでその後の全体の作業ペースが

上がったのは事実なので結果オーライですね)


そして代表作ができた事でようやく単行本の目途が立ってきた

という感じでした。


どうでもいいかもですがこの原稿を描いていた時に

『エヴァンゲリオン新劇場版 破』が公開直前で

その予告がかっこよすぎて延々と流しながら作業してた

記憶があります。

原稿のお供にしていたコンテンツはその原稿を見ると

一生思い出しますね(笑)


やりたい事をどんどんやり始めてアンケート上位に安定していく…!



Tさんは 持っている人 という話をしたんですが

編集としての実力も凄くある人でした。

今思い返すと何が一番凄いかと言われると

自分の思ったところでは


余計なアドバイスをしない


これが凄かったのかなぁと思います。

どういう事かというと、普通の編集は

「コマワリが見ずらい」「キャラの立ち位置が変わってる

キャラの目線がカメラを見ていない

とか重箱の隅をつつくようなアドバイスを結構してくるのですが

(勿論それもちゃんとしていた方がいいのは言うまでもないのですが)

作家にストレスを与えて時間をかけて原稿を直させてまで

それらを良くして売れ行きが上がるか?と言われたら

ほとんど変わらないと思うんですよね。

(当時はアナログだったのもあり、

原稿を修正するのはそれはもう大変でした(;'∀'))


それよりも大元の企画についてや、お話の大きな展開。

エロ漫画についてはいかに抜けるシーンを作るか。

単純なデッサン力ではなく魅力的な画面をつくれるか。

など、売り上げに直結する所だけにリソースを最大限

割いてそこだけに集中的にアドバイスをする。


Tさんはこれをしている人だと思いました。


なので、具体的なアドバイスよりも

売れるエロ漫画を作るための考え方みたいな話を

延々聞かされていた記憶があります。


これはすごく大事な話です。

自分が読者さんだったらこれにお金を出すか?

商品としての訴求力を出すためには何が必要か?

それはそもそも商品として成立しているか?

その本質を理解しているかいないかが

作家とそうじゃない人達を決定的に分けると思います。

(まぁ考えないで売れちゃう人もいますけど(笑))


原稿そっちのけでそんな話ばかり一時間くらいして

電話が終わるなんていう事もしょっちゅうありました。

Tさんはよく

「編集は極力作家の邪魔をしないようにするのが仕事」

と言っていました。

これを編集側の人が言うのって凄いですよね。


でも正直『美少女クラブ』とか『なつみつ×ハーレム』とか

今見ると所々酷いデッサンとかあるので、

そこは指摘したほうが良かったんじゃないかと思うのですが。

マジで何も言われなかったですね(笑)

後々その話をTさんにしたら当時はあの画力でも

そんなに気にならなかったよ。とか言われました(そうかなぁ?w)


あ、でもアイディアがそもそも出ない人とかにはお話まで

考えたりする事もある。とかも言っていましたよ。念のため。

まあ上記のお話も人によります。

編集さんとの相性とかも勿論ありますし。

自分はTさんとは抜群に相性が良かったと思います。


そんなこんなで初単行本『イノセント』まで後三作描くのですが

昔すぎて時系列が曖昧なので、単話ごとに思い出しつつ

解説していきたいと思います。

『イノセント』をお持ちの方は単行本片手にご覧ください(笑)



『ご主人様とメイドール』


メイドや女の子を大量に出したい…!

その思いだけで出来た一作。

自分のハーレム漫画の原点ですね。


『眠り姫』の後の単話はこれじゃなかったかなぁ?

初めての巻頭カラーを貰って初デジタル…!

(デジタルはカラーページのみです。)


そして、担当編集さんの重要性はここにもあります。

担当さんに力があるとカラーページを頂けて

アンケートが有利になります。(笑)


一般紙とかでもそうですがこれはかなり大事です。

まあつまらなかったら結局売れないのですが…

ある程度バフはかかります。

新人の自分をTさんが押してくれているのが分かって

嬉しかったですね。


結果はアンケート 3位 とかだったかな…?

『巻頭カラーだから1位になって欲しかったなぁ』

とか何とか言われた記憶があります。

1位にしてくれようとしたんでしょうね。(不甲斐ない…)

それだけ巻頭カラーのバフは強いようです。


後、ティーアイネットは

カラーの練習でピンナップを描かせて貰えるのですが、

その時アクリルガッシュという絵の具で

エロカラーイラストを初めて描いて酷いことに…。

デジタルに全然太刀打ちできそうになかったので

その次の、この原稿で初フォトショップでのカラーと相成りました。

この時から今までずっとカラーが苦手です(笑)


そして、お話に関して言うと、

『メイドをたくさん雇っている主人公の元に

新人メイドのココがやってきて、夜のデビューをするのですが。

実はこのお屋敷はメイドのセクサロイドを作っている会社で、

社長がロボットメイドを手放せなくてハーレム状態に

なってしまっているというオチ。』

つまりヒロイン達は皆ロボットだというお話なんですよね。


これについて担当はちょっと心配していました。

セックスの相手が実はロボットって、

冷める人は冷めちゃいますからね。

アンケートにはそれも響いたと思います。

実際そういう感想もあったような記憶があります。


後、この頃『けいおんっ!』が流行っていて

最後のページにヒロインの女の子4人が紛れ込んでいるんですよね(笑)

当時はそういう事を結構やっていました。

暇な人は探してみてください。(*''▽'')



『流星ジェミニ』


これは自分の中で特に気に入っている作品の一つです。

お話を物凄く上手く作れた自信がありました。


『双子の女の子が隕石と共に主人公の元に現れて

体の関係だけを交わして壮大に去っていく。

そして主人公は今の彼女の良さに気づく。』


こうして文字にすると結構酷いお話ですねw


これ実は思いついた元ネタが村上春樹さんの短編で、

色んな男の元を渡り歩く双子の女の子のお話があるんですが

当時、それを連想すると言い当てている人がいて

ビックリした記憶があります。

双子が出てきてセックスする以外の共通点あったかな?


あとビルを吹き飛ばしていく隕石も描きたかったんですよね。

最後のシーンもどうしてもやりたかった。


この頃大暮維人先生の『エアギア』が連載していて

コマ割りとか雰囲気とかそれを凄く意識して描いています。


そして…


アンケートはというと12位…!とかだったかな?

一気に落ちました…。orz

ロリだし主人公はチャラいししょうがなかったのかな?(泣)

正直展開とかシーンの見栄えが優先していたというのが

大きかった気がします。

客観的に見て主人公最低なんですよね(笑)


ですがこのお話は気に入ってくれている人とそうでない人が

はっきり分かれる作品で、この作品目当てに単行本を

買ってくれた人もいたので、そういうアンカーとしては

とても良い作品だったのではないかと今でも思っています。

アンケートだけではないって事ですね。

(まあ良いにこしたことはないんですけれども(ΦωΦ))



『愛のメモリー』


「私はあなたと2度恋をしたー」


これも本当に自信作です。


過去に彼女を病気で亡くしている学校の先生を好きになったヒロイン。

その過去の彼女の日記を拾ったヒロインは、

自分は「その彼女の生まれ変わり」だと先生に嘘をつき

彼女と先生の思い出を語りながら先生と付き合っていくー

というお話。


日記を読み進めると

その後半には過去の彼女が病気で弱っていく様が綴られていて

ヒロインはどんどん罪悪感を感じていく…。


このネームを担当さんに送った時の電話の第一声が


『お前すげぇな…』


でしたw

これは本当に嬉しかったです。


自分で言うのもなんですが流星ジェミニと違って

感情も伴うお話なんですよね。

原稿が仕上がってくると女の子がだいぶロリっぽく

なってしまったので担当さんもそこを不安がっていましたが

カラーもついてるしお話も良いしこれはいけるだろうと

言っていて…


なんと…


このお話が自分の初の アンケート1位でした…!


だからこの作品は自分の初単行本『イノセント』

の冒頭に載っているんですね…!

単行本の最初に載っているのはアンケートの良い作品というのは

本当なんだなぁとこの時思いました(笑)


そして、この作品ですが鳴子ハナハル先生

一日ごとに記憶が無くなる女の子のお話から影響を受けています(笑)


過去のヒロインの病気は石田衣良さん『美丘』から


ヒロインと主人公の名前は村上春樹さん1Q84のヒロインと主人公の苗字と名前を入れ替えた名前です。



エロ漫画家になってから、この直前、工場で延々と小説を読んでいたのが

本当に生きていました。エロ漫画でこういう話を作ってもいいんだ!

ととても明るい気持ちになっていました。それが自分の独自性にも

なっていました。


創作するうえで一番大事なのは、やりたいことがある…!

そのきっかけとなる物がいかにたくさんあるか!

という事なんですよね。


道一本曲がるのにも人間には理由がいるのです。

何かをしようと思ったら理由を探さないといけません

それがないと人間は行動できないのです。

それが偶然の引き起こした些細な事でも。



ちなみに全然関係ないですが

赤月みゅうとという名前なんですけれど

最初の担当に名前はどうしますか?と聞かれて

当時『プリンセスチュチュ』というアニメに凄くはまっていて

そこに出てくる男の子が みゅうと という名前で 

調べるとミュートスという神話を意味するギリシャ語で

お話を作るエロ漫画家にピッタリだ!とこの名前にしました(笑)


当時のエロ漫画家の名前の流行で

苗字も欲しいなぁと思っていて、夜に自転車をこいでいるときに

赤い月を見かけて 赤月だ! となって


赤月みゅうと 


と相成りました。w


何だか若いころの自分イノセントだなぁと思いますね(笑)

単行本のタイトルピッタリです。

今もそんなに変わらないかな?



そして初単行本発売…!


すいません!めっちゃ長くなっちゃいましたがw

ついに初単行本発売です…!


2万部も超えて担当さんに『ヒットだよぉ』と言われましたが

どれくらいの部数で売れたとかが良く分からずに、一般紙とかだと

100万部とかあるけどどうなんだろうこの数字…?

と、正直全然ピンと来ていませんでしたw

紙の本は1万部越えたら採算ラインらしいですね。確か。


それよりも単純に自分の単行本が出たというのが

とても嬉しかったです。

あと、担当さんの反応を見る限り

またしばらくはエロ漫画家としてやっていけるのかな?

という安心感と、この先いつまでお話を作り続けられる

だろうか、とういう不安感が同居していました。


そしてもちろん一般紙で連載したいという夢もありました…。



次回…!

自分の半生振り返り⑥(エロ漫画家順風満帆編)

・・・!


いつまで続くんだこれw

大丈夫かな?

まぁ半分日記代わりの人生目録という事で。



そして進捗原稿…!


サキュバス一巻についてはもうほぼ完成なので

今回は次作の

七夏6巻の表紙と原稿線画


その次の

七夏7巻のカラー線画でも見てくだせぇ





七夏7巻の表紙に関してはこのまま塗るかちょっと悩むなぁ…

ひょっとしたら没になってるかもしれませんが

その時はご了承ください。


七夏もちょっとゴールが見えてきたかな?


ではではまた次回お会いしましょう!

赤月みゅうとでした~!!


ばいば~い!


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Comments

Anonymous

毎回楽しく読ませてもらってます。 製作スピードの話もあったので思い出したのですがネット上の噂に担当編集?にネーム10話分持って行ったっていうのも実話なのでしょうか? 時期的には美少女クラブあたりだった気がします。

赤月みゅうと

コメントありがとうございます! そういえばそんなこともありましたね!描きたい事がいっぱいあってガンガンネーム描いていた時期がありましたw自分はちょっと特殊だったと思います。 デデンデンさんのおかげで思い出したのでそのあたりの事も今後書きたいと思います!(^^)

gfhjt55d

Thank you for the update on 6th volume, sensei!

Anonymous

6巻目がついに来ます!!

Anonymous

I really wish I could read Japanese 😭