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みなさんどうもです!さかいです!

今回も僕が最近読んだ本の紹介をしていきたいと思います!

例によって個人の感想なのでご了承ください…!

では、どうぞ~!



・残像に口紅を(筒井康隆)



小説の世界をメタ的に捉え、その世界から言葉が一音ずつ失われていく中でどこまで表現できるかを描いた実験的な小説。

たとえば太郎という登場人物がいたとして『た』という文字が失われると、それ以降作中に『た』をいう文字を使えないだけでなく、太郎という登場人物そのものも消えてしまう、というかなり独特な設定をしている。

その設定上、後半になるほど使える文字は少なくなっていくので終盤とかどうなるんだろ…とか思いながら読んでいた。

文字を失い不自由な中でも豊かな語彙で限界まで描写する様は「すごい挑戦的なことしてるな…」と感嘆しきりだった。

万人に普及できるタイプのエンタメでなく、さらには一回限りなネタでもあるとは思うけれど、こういう思いついたことをしっかり試してみる創作姿勢はさすがだな、と感じた。

大作家ほど、奇抜なネタでも何でも試してみるものなのかもしれない。



・世界の危険思想 悪い奴らの頭の中(丸山ゴンザレス)



ジャーナリストである筆者が実際に取材先で出会った、いわゆる『悪事に手を染める人たち』がどんな考えの元でそういった行為を行っているのかを、本人たちへのインタビューを交え解説した一冊になっている。

自分のように平和な日本で平凡に暮らす身だと本書に書かれているような出来事はまるで別世界の出来事のように思ってしまうが、それでも罪を犯す人々も生きていく上で必要であったり仕方がなかったりと、生活に根差した思想の元でそういった行為に及んでしまうのは、あまりにも生々しく、まさに自分の生きるこの世界と地続きで行われていることなんだ、というリアリティが感じられた。

尖った内容の本ではあるが視点は非常にフラットで、鋭くも温かい話をもって結びとされていたのは著者の洗練された思想と優しい人柄が滲んでいた。

非日常を覗き見たいひとにお勧めの一冊。



・アリエナイ毒性学事典(くられ)



youtubeで人気のくられ先生が書かれた毒物に関する本。

ひとくちに毒といっても取り扱うテーマは多彩で健康食品のウソやカフェインやサプリの健康被害、麻薬や身近な薬品に関するまで幅広い話題を網羅的に、ややブラックな部分もあるジョークを交えた軽い文章で紹介されていた。

毒と薬は表裏一体ではあるが、サイエンスもケミストリーも、知識がないとそれをいいことに悪用してくる人間はそれなりにいる。

せめて自分自身の身は守れるように、こういったリテラシーも高めていきたい。



・六人の嘘つきな大学生(浅倉秋成)



就活をテーマにしたミステリ小説。

人気IT企業『スピラリンクス』の最終試験に残った六人の大学生は、全員で協力しグループディスカッションをするという課題を課される。

しかし試験直前に「ディスカッションで六人の中から一人、内定者にふさわしい人物を選出する」へと課題が急遽変更されたことを告げられる。

ディスカッション中、会場で六人それぞれの名前が書かれた封筒が置いてあるのを発見する。

そこには罪と嘘の告発文が記されていて――というストーリー。

いわゆるデスゲーム的な要素のあるミステリだが、就活という身近なテーマでこれを表現しているのがとてもユニークで面白い。

登場人物たちの緊張感あるやりとり、そして「人間は多面的な存在で、一元的に論じることはできない」という当然なんだけれど割と見落とされがちなところを余すことなく描き切っていた。

人が何か良いことをすれば「いい人」、悪いことをすれば「悪い人」。

事象を単純化することで考える手間は省け、脳や心は楽をできるかもしれない。

だけど、この世にそこまで分かりやすい善も悪も存在せず、あくまで様々な面の一部に過ぎないのだということを思い出させてくれるいい本だった。



・河井継之助(安藤優一郎)



幕末に長岡藩の藩士として活躍し、小泉元首相が『米百俵の精神』として紹介したことで有名な河井継之助の伝記。

幕末の動乱期、財政が傾く長岡藩の経済をV字回復させ藩政の改革や立て直しを行う手腕と、反面その我の強い性格で交渉事で苦労した人物像などが紹介されていた。

今で言う安芸高田市の石丸市長のような、根回しや談合を好まず志一本で強気に、しかし親身に国の行く末を案じる姿は敬服を覚えるが、いかんせん時代が時代なだけにその振舞いのせいで凋落していく姿には「時代が違えば結果も違ったかもな」と思わずにはいられなかった。

時代を見抜く目があるにも関わらず、功名心や時代性でやり方を取り違えると天国にも地獄にもなる、そんな人生のままならなさや紙一重な現実を突きつけられると同時に、学ばせてもらうようであった。



以上になります!

今回もお付き合いいただき、ありがとうございました!

なにかの参考になれるなら幸いです!

それでは!

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