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みなさんどうもです!さかいです!

今回も僕が最近読んだ本の読書感想文を思うままに書いていきたいと思います!

例によってあくまで個人の感想なのでご了承くださいませ…!

それではどうぞ!



・魅せる!同人誌のデザイン講座(斎藤渉)



デザイン本。

同人誌を描いてはいるけれどデザインとかを体系的に勉強したことがなかったので読んでみた。

デザインの基礎から実例を交えて紹介していて、カラーでの表現やフォント、使用ソフトに至るまで総合して学べる本。

どちらかというとこういうのは手を動かしながら分からない所がある場合やヒントが欲しいときに参考書として使うタイプの本だと思うので、同人に限らずデザインとかに興味がある人は本棚に一冊加えてもいいかもしれない。



・チーム・ブライアン(ブライアン・オーサー)



フィギュアスケートの本。

先日プロ転向を表明した羽生結弦選手とそのコーチであるブライアン・オーサー氏の対談と、世界的な選手を何人も育成してきたブライアン氏の育成手腕やコーチングについてがまとめられた本。

本書の要点は「ラポール形成の重要性」と「目的にフォーカスした準備の大切さ」だと思う。

選手の体調管理や金銭面の把握、またはメンタルの状態やその選手の性格や個性、はたまた国民性までを加味したうえで、オリンピックや世界選手権で最高のパフォーマンスができるよう、長期スパンで準備をしていく。

また、そういった準備も選手とコーチの信頼関係があってこそ初めて成せるものであるため、これもまた選手の個性や国民性、家族との関係性なども考慮してバランスを取って取り組んでいく必要がある。

実例で言うと、韓国人選手のキム・ヨナは母親の意志決定力が強いので重要な場面では必ず母親を交えて相談するようにしたり、ヨナ自身はお姫様扱いしないとメンタルが不安定になることに配慮する必要がある。

羽生結弦の場合は日本の国民性か、内気で完璧主義すぎるきらいがあるため、すべての大会、すべての演技、もっと言ってしまえばウォーミングアップまで完璧にしようとしてしまうところがある。

逆にイタリア人選手のハビエル・フェルナンデスは大雑把というか、普通に遅刻するしリンクの上で寝そべったりもするかなり陽気でおおらかな性格をしている。

このように教え子によってかなり個性が違うので、それぞれに合わせた指導方法や目標の立て方で、寄り添うようにコーチングしていく事の重要性を説いていた。

また、準備で一番大事なことは「平常心は日々のルーティンによって作られる」ということ。

メンタルコントロールは常識的なことの積み重ねであり、言ってしまえば「慣れ」て「日常のように」過ごすことが出来れば「緊張しすぎずいつも通りのパフォーマンスが発揮できる」というもの。

これはシンプルなことだけど、わりと重要な考え方だと思った。

本書の序章~4章まではスケート選手やブライアン氏の紹介をする内容がほとんどであるため、ビジネス的に生かせそうな部分が知りたければ5章を、ブライアン氏の育成哲学を知りたければ終章を読めばだいたいの内容は把握できる。これから読む人の参考になれば。



・フリーランス、40歳の壁(竹熊健太郎)



自由業の本。

フリーライターである著者が、自身の体験談と同世代(50代)の自由業者を取材した内容を元に、フリーランスという生き方について論じている。

フリーランスという生き方の難しさを書かれているんだけれど、どうしても著者の個人因子というか、「それフリーランスどうこうの問題じゃなく貴方個人の資質の問題ですよね?」という事が多々あり、なんとも言えない気持ちになった。

人生にさしたるグランドデザインもなく、行き当たりばったりでいればそりゃそうなるでしょ…としか思えなかった。

以前読んだ「この地獄を生きるのだ」という本でもそうだったけど、どうも生きるのが上手じゃない人には共通点があるように見えてならない。

なんというか、今どこにフォーカスするべきかがズレてしまっているというか。

また、著者の活動時期である80年代~はまだインターネットも普及していない時代であるため、個人のコネが大事であると語っているが、これは完全に時代的な違いだと思う。

昔と違い今はSNSなどの発達で本書の時代とはだいぶゲームチェンジしているので、昔であればできなかったようなアプローチも可能になっている。人との繋がりが大事であることは否定しないけれど。

そう思うと、現代は自由業者にやさしい時代と言えるのかもしれない。

あくまでフリーランス全般の問題ではなく、「こういう人もいるんだな」程度に受け止めるべき本なのかもと思う。

個人的には「秘密結社鷹の爪」を作ったFROGMANさんのインタビューにある「コスト意識を徹底する」ことと「自分で仕事のルールを作る強み」の話が興味深かった。



・千歳くんはラムネ瓶のなか(裕夢)



ライトノベル。

ここ10年くらいのラノベはタイトルを見ればだいたい中身が把握できるタイプのものが多いけど、今作はタイトルから内容があまりイメージできないから少し期待しながら読んでみた。

主人公の千歳朔はイケメンで成績優秀、異性にモテまくりで大人からの信頼も厚い、高校のカーストトップにいるリア充だが、学校の裏サイトでは「ヤリチン糞野郎」と罵詈雑言を浴びせられる毎日。

そんなある日、担任教師から不登校のクラスメイトをなんとかするよう頼まれて――という話。

最初の100ページくらいまでは正直に言って登場人物がやたらと沢山出てくるし、ラノベ特有の外連味が強めのハーレムもので読み難いなと思っていた。

中盤で世の中のオタクに対して正論パンチを容赦なく叩き込んでくるくらいから「お?」となり、Twitterの愚痴アカをメッタ刺しにするあたりでようやくこの作品の方向性が理解できた。

要するに「野ブタをプロデュース。」的な話というか、ラノベ系自己啓発本ってことなんだと思う。

自分では大した努力をせず他人の成功を羨む大多数のオタクや陰キャを導く指南書とでも言うべきか。

なるほどそういうアプローチは新しいなと思ったものの、ともすれば説教臭くも感じられてしまう作風なだけに、実験作だなーと感じた。

ファッション指南はアークテリクスやミステリーランチを勧めているのはちょっと高校生には高価じゃない?大学生くらいで良くないソレ?と思ったけど、おおむねハズレのないラインナップでわりと参考にしやすそうだった。ちなみに僕はポーターのバッグとオニツカタイガーのスニーカーが好き。

惜しむらくはノリや地の文がどこまでいってもオタクっぽいところがリア充主人公やトップカーストのグループという設定からはかなり浮いて見えてしまうし、急にラフメイカーを話題にしたりおっぱいについて熱く語るところは確実にこれ作者30~40代のおっさんやろ滲み出てるぞって思わずにはいられなかった。

また、作者は丸戸史明さんのファンらしいという話を目にして「あー!なるほど!」ってなった。

言われてみれば確かに丸戸さんのテイストにすごく似ている。それもラノベじゃなく、エロゲ時代の。

「この青空に約束を」とかこんな感じだもんね。

物語としては終盤まで徹頭徹尾「自分を高める努力をしない口だけの輩」に対して正論を刺しまくっていて、成功者を妬んだりするだけの人間を徹底的にこき下ろしていた。

でも確かに、結果を出し続けてる人ってそれに見合うだけの努力を継続している場合がほとんどなんだよね…。

「たまたま成功することはあっても、ずっと成功し続けるためには努力が不可欠だ」という本書の言葉が、成功者のすべてを物語ってると感じた。



・幼年期の終わり(アーサー・C・クラーク)



古典SF。

たるひさん(@kirigoetei)がサークル名にもされるほど好きな本として挙げていたので、読んでみた。

ある日突然地球に現れた異星人、オーヴァーロード(最高君主)。

彼らはその姿を見せないながらも人類とコンタクトを取り、人類の発展に寄与し世界に平和をもたらした。

地球の統治者として理想的な振舞いをしながらも、姿を見せないオーヴァーロードに対し人類の不信感は拭えず、その姿をさらすことを望むのだが…というお話。

ストーリーは全3部の章立てになっており、それぞれの章で登場人物が増えていくので、名前を覚えるのが大変だった。横文字の名前はイメージしにくい…

人類を圧倒する技術を持った宇宙人が地球にやってくる、というとハリウッド映画みたいな展開になるのかなぁと想像していたけれど、物語は意外な落とし所というか、こういうラストになるのか…とあまりにも思索的な終わり方で少しびっくりした。

言ってしまえば「人はどこから来て、どこへ向かうのか」という問いへの一つのアンサーを示した作品だった。

内容を書くとネタバレになってしまうので割愛するけれど、幼年期を終えた人類と地球という惑星をなんとも諦念漂う姿で描いており、しかし悲しむとも喜ぶとも違う、なんとも言えない気持ちにさせられた。

映画「2001年宇宙の旅」のモノリスとスターチャイルドをなんとなく思い出しちゃうのはやっぱり僕だけじゃないはず。

小説内で気に入ったフレーズは「知性ある者は、運命の必然に腹を立てたりはしない」と「結局のところ、育ちのよい人々は、他人の社会的へまについて書かれた記事など読みたいと思わないのだ」というもの。

70年前の小説なんだけど、どうしようもない出来事にヘイトを向けたり、現在の暴露系配信者や他人の話題でばかり盛り上がるSNSユーザーに向けた痛烈な皮肉になってて、なんだか知らないけど笑ってしまった。

また、娯楽を消費するだけで一日が終わる、というくだりはまさに現代の様相そのものを言い当てていて未来を正確に見つめているなぁと感心しきりだった。

SFの描く未来予想を現代になって答え合わせする作業は楽しくて好き。



以上になります!

今年読んだ本もそろそろ100冊を超えそう…!

これからも楽しく読書できたらいいな!

そんな感じで、もし良ければ次回もまたよろしくお願いいたします!それではー!


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Comments

aoki1249588

幼年期の終わりは有名な書籍ですが、こうして話題にしてくれている方がいるとその時は「いい機会だし読んでみよう」ってなるけどそのうち忘れて未だに読めていない…w

さかいワカ

本を読むタイミングってムズいですよね…! 古典はいつ読んでも面白いものなので、タイミングが合えば是非…!