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モスのオニポテが好きだ。


モスのオニポテに別でもらえるソースをつけて食べるのが好きだ。


小さい頃からモスだけは少し特別な存在だった。

家族団欒、幸せの象徴のような店だった。


食が細すぎて家では何も食べてくれない僕に、

親は食べたいと言ったものを何でも食べさせてくれた。


毎日英語塾の帰りにエビバーガーを食べさせてくれた。

毎日働いているバイトのお姉さんに「狂ってる」と本気で怒られた。

怒られても食べた。


僕の体は、本当にエビバーガーのエネルギーだけで動いていた。

ハンバーガーショップと僕の縁は深い。


お金が無くて食うに食えない時は

深夜のマクドナルドで100円のチキンクリスプを食って凌いだ。


家から1分の位置にモスバーガーはあった。

でもモスバーガーを買う金がなかった。


だから10分自転車を漕いで100円のハンバーガーを食った。


べつに売れない芸人をしていたわけではない。

名前を言えば誰でもわかる高級楽器店に勤めていた。


アルバイトに正社員レベルを求め、

軍隊式の研修を行い、それを微笑ましい顔で重役たちが眺める。

その場の6人中5人が即辞表を出したことも知らないような会社だった。


「君はこの値段でもうちで働きたいだろう?」とでも言いたかったのだろうか。

言いたかったのだろうな。給料は最低賃金同然だった。


とにかく古い体質の会社に嫌気がさしていた。


「いつかは良くなる」

と気合で働いたが、体と精神を壊してしまった。

(今となっては当たり前だと思う。)


だから今、食事と仕事と生活の大切さを口うるさく言うのだ。


ブラックでも働き続ける人間は言う。

「自分はそこまでしてもらったことがないから、人にもしない」

「この給料でこの会社を変えたいだとか思わない」


と。


ブラックな体質はすべての人間のやる気と健康を奪う。

何か食べたいとも思わなくなる。


空腹という感覚を奪われる。

死にかけ、とはこのことだ。


そんな日のことを思い出す。


独立して仕事も軌道に乗り、

何の気無しにモスに行ける。


モスが食べたい、今日はモス食べよう。

そう思える生活を取り戻すことができた今。


モスは開いていない。


そんな気持ちで作りました。

ご覧ください。


https://www.youtube.com/watch?v=NNARxmHdvUs


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Comments

Anonymous

こういう話、もっともっと聞きたいです。ありがとうございました。

Anonymous

貴重な話が聞けた! ありがとうございます。

Anonymous

明日オニオンリング作って、食べながらこの話思い出して泣きそうです

Anonymous

すず屋くんの文章は読みやすいし言葉選びも面白くてどんな内容でも読むのが楽しい