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 あけましておめでとうございます、ちひろです!

 今回は、去年11月にリリースされたSyrup16g(シロップ16グラム)新アルバム「Les Misé blue(レミゼブルー)」の感想です!

 5年振りのリリースということで、とても楽しみにしていました!

 曲名に英語が多いとか、日本語でも「診断書」と「うつして」ってタイトルで、いかにもって感じ。またすごそうなのが来るなーと思ってたら、本当にすごいのが来ました。

 ちなみに、Syrup16g(シロップ16グラム)は、オリジナルメンバーでギターヴォーカルの五十嵐隆氏を中心に、ドラムの中畑大樹氏、途中から加入したベース・キタダマキ氏のスリーピースロックバンドです。ここで喋ると長くなってしまうので詳細は省きます、またいずれ。なお、ぼくがはじめて聴いたアルバムは「Syrup16g」で、一番初めに印象に残った曲は「生きているよりマシさ」でしたので、その時にでも。

 ミドルテンポで、バラード調が大半を占める今作。以前にも「delayed」や「Syrup16g」で、そういった楽曲で構成されたアルバムがあったのですが、相変わらずの綺麗なメロディラインと後ろ向き(ときどき前向き)な歌詞、などなど、シロップらしさは全開のままに、そこへ「こんなギターを弾くの?!」っていう驚きもあったりして、変わって無さそうで変わっている14曲でありました。

 ちなみに全曲がYouTubeで聴けます、しかもフルです。公式が謎の大盤振る舞い、恐れ入ります。

 ではいきましょう!

 1曲目「I Will Come (before new dawn)

 ギターがゴリゴリで開幕1秒から虜です。前作delaidbackのM1で、長めのイントロの後に歌が入ってきた瞬間「おかえり」って、あの頃と同じ感想がまるまる出てきましたね。彼のしゃがれた歌声は、どこか懐かしさを感じる気だるさも持ち合わせていて、聴いていると落ち着きますね。

 2曲目「明かりを灯せ

 暗い。好きです。"縁"と"駅に"や"歴史"と"溺死"、踏んでますね。この曲の雰囲気、ぼくは深夜のレトロチックな駅が浮かびました。サビに当たるパートでの迫りくるドラムで明かりが灯りました。あーかーりーをーともせー。

 3曲目「Everything With You

 綺麗なメロディになんでそんな歌詞載せられるんですか!?

 歌詞に話し言葉で"あとも祭りでヤバっ"って、この軽い感じで入れてしまうのもさ五十嵐氏らしいです。成長できない大人なので惨めですね。不労所得はぼくも夢です。

 4曲目「Don't Think Twice (It's not over)

 ここでの韻は”独身で"と"孤独死で"ですね。

 諦め、しんどい、辛い、自責の念とかに対して「そんなこと考えるな」、「まだ終わってない」ってメッセージなのかなって思いました。そうやって嫌々選び取ったものは、まぁ一応は正解だーなどと。別のを選ぶよりはまぁマシな結末だったよって。

 5曲目「Alone In Lonely

 間奏でそんなシャレオツなメロディーを弾いちゃうんか、シロップで。

 別のバンドかな?って思った一周目。

 今もそうだけど、いい意味で"らしくない"メロディライン。ちなみに歌詞はコロナ渦真っ只中を歌ってるようです。もう後半の歌詞に悟りが詰まってる。50年の重みか。

 6曲目「診断書

 わりと界隈では騒がれてました、例の"診断書"と"死んだっしょ"で韻踏んでるやつ。その後ろの歌詞をファルセットで歌ってるから聴きとりづらいけど、あえてそうしてるっぽい気も。

 UKPラジオで言ってたけど、被害者に感情移入してストーリーがわからんって歌詞、そのストーリーっていうのは「ドラマ相棒」なのだそう。で、そのストーリーはぼくの場合「ボーダーライン」が浮かびました。

 7曲目「Dinosaur

 ずっと同じコード進行で進むけど、メロディのクセが強くて「ローラーメット」や「I'm劣性」に近い感じです。M1で出てきた「夢遊病」って単語がこっちにも出てきてる。じゃっじゃーじゃっじゃーじゃ(イントロの真似)。

 8曲目「モンタージュ

 シロップ流のラブソング。

 歌詞刺さる。要はバランス"。今ここに居る存在はミラクル。

 言葉にすることが難しくても、彼が歌ってくれるだけで「そう、そういうことを伝えたいんだよ!」ってなるんです。なりませんか?

 9曲目「うつして

 この一曲にシロップの良さがすべて詰まってます!

 MVにするならこの曲だと思った。立ち位置は「Reborm」や「My Song」あたり。コロナ渦やそれによって疲れ切っを心の痛みを"うつして"とわざわざ平仮名で表現するのが粋。「移して」「映して」「写して」って、置き換えの余地を与えられてて、五十嵐隆という男の優しさを感じます(語彙力)。アウトロのメロディ泣かせに来てるじゃん…。ここまで暗い曲がずっと続いてるのに妙な安心感あるのは彼が達観していてその果てで孤高の存在感を放ってるからなんだろうなって、思いました。

 10曲目「In My Hurts Again

 「ex.人間」の"美味しいお蕎麦屋さん"に続くぷっしろ商店シリーズ。来世はお煎餅屋になりたい"って言って食レポが始まるんだけど、言い方が東京喰種の月山さんみたい。歌詞に対してマモの声で脳内演じてもらうと普通に合いすぎて困る。宇宙服って宇宙が無酸素だから着るものだけど、今じゃどこに居てもみんなマスクしてるからね、マスクを宇宙服で例えたのかな。これもコロナ渦中の歌じゃないですか。あと宇宙服ジャケットの撮影地特定したから暖かくなったら煎餅屋探しつつ尋ねに行きたいです。

 11曲目「In The Air, In The Error

 ぶっちゃけるとこのテイストの曲を待ってた。ギラギラジャカジャカのギターロック。本当共感してくれる人がそばに居るって救いよね。そして社会が助けてくれるとは限らない※"徒労の果て~保証はない"の部分。

 12曲目「Maybe Understood

 日本語で「多分理解した」。鬱だろうが闇落ちしようが腹は減るし命は自我に興味ない(命と自我は別)とか、過去の出来事も忘れず思い返せば気付くことあって今に繋がるだろうし、音楽で救済されるかと言われれば無理だし、走馬灯改竄で過去に救われることもない。歌詞的には、過去の忌々しい記憶に自責の念とか後悔ばかりが残って鬱になる闇堕ちした=瓦解した。巻き直す(=再生させる・する)のが自分自身の使命だって感じ。

 13曲目「深緑の Morning glow

 掴みバッチリのゴリゴリなイントロ、とても好きです。メロディーの移り変わりが「荒々しい」から徐々に「穏やか」へ変わるし、1番2番も前半は"脳震盪"と"ドキュン層"やら"羅生門"と"来週どう"って韻踏みオンパレードなのに後半でガラッと歌詞の印象変わるから2曲を1曲に凝縮したみたい。

 14曲目「Les Misé blue

 このアルバムのエンディングテーマですね、イントロのメロディがまさにそれ、映画のエンドロールが脳内で流れるこれは。歌詞の情報量が少ないのは意外だけど、短い言葉の中に詰まってる意味はすごくデカい。陽だまり穏やか空間の歌だけどタイトルがタイトルだから明るくて暗い曲でした。

 タイトルの「Les Misé blue(レミゼブルー)」、本来は「レ・ミゼラブル」で和訳だと『ああ無情』だけど、調べたら「極貧状態の人々」とか「社会の底辺にある人々」って意味もあるらしくてウッって心臓に刺さるよね。そこ「blue」にしてるから余計に更に心がブルーです。

 全体的にミディアムな曲調の楽曲が展開されているので、あんまり疲れるってこともなく、後半戦で楽器に活気が出てくる(M11やM13)ので、どちらかというと、14曲構成のうち最初の3曲目までに盛り上がるメインの曲を持ってきて後半失速……という流れが怖かったので、ここまで堂々としてると逆に丁寧で練られた音楽だな~、すごいな~って思っちゃいます。

 というわけで、今回の音楽レビューはここまで!

 今年もどんどんやっていきます、新譜がネタ切れしたら過去のアルバムをこぞってレビューしちゃいます。


 以上、ちひろでした!







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