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ご支援者様よりご要望いただきました陰影とハイライトの付け方について解説いたします。


準備編

まずは実物で確認してみます。

(①太陽光の下、②半分影の中、③完全に影の中)


①には地面に落ち影がくっきり付いてますが③は微かにある程度です。

紙コップの暗い部分に水色が反射している点にも注目です。




図にするとこのようになります。

(①元の色、②ハイライト、③影の部分、④反射光があたる部分)


光源の位置を設定することで陰影・ハイライト・反射光のあたる場所が決まります。





応用編

フィギュアの場合は下図のようになります。

(フィギュアは橘川てふさん造形の「博麗霊夢」さんです)

こちらのフィギュアを参考にしたイラストで陰影とハイライトの入れ方を解説していきます。



1.線画とベース色入れ


右図の①は肌のベース色、②は肌の影色です。

フィギュアでは鼻筋の陰影がくっきり出てますがイラストでは省略したほうが可愛く見えます。



2.髪の陰影追加

今回は乗算で髪の陰影を入れました。

陰影はてんさい(ぼかし塗り)ブラシで塗っています。

クリスタの透明水彩ブラシと同等?

髪の陰影はフィギュアを参考にしています。




3.全体の陰影追加(アニメ調のぱっきり陰影)

髪の影色は髪に近い色、肌の部分はオレンジ色を乗算で入れました。


入れるコツとしては必ず暗くなる箇所に入れます。

①落ち影が入る場所、②物体の裏側、③衣装や小物の奥まったところです。


アニメ塗りの場合はここまでで大丈夫です。更に完成度を上げる場合は下に進みます。




4.衣類の皺を追加(衣類の質感を出す陰影)

更に皺を入れます。

皺はてんさい(ぼかし塗り)ブラシで塗っています。

私は横着して皺の色を紫に近いグレーで統一しています。

衣装色に合わせて色を変えると鮮やかさがあがります。




5.更に全体の陰影追加(深みをアップ)

もう一段陰影を追加することで深みと塊り感がアップします。

影になっている箇所全般をまとめて塗っています。陰影入れ作業の中では一番簡単な工程です。


3.→4.→5.と3段階の陰影を入れることで見栄えが向上します。

簡単にサクッと影を入れたい場合は5.のみ、若しくは3.のみでも大丈夫です。





6.地面にも落ち影を

接地感が一気にあがります。




7.ハイライト(ツヤ)追加

テカリは加算発光レイヤーで入れてます。(②は参考用に背景を暗くしてます)

入れる箇所は光に照らされている箇所・反射している箇所・強調したい箇所です。

ハイライトを入れることで曖昧だったヒップラインが浮き出てきました。




8.空気遠近色追加

スクリーンレイヤーを使います。


入れる場所としては、

・反射している光があたる部分 ・向こう側 ・後ろ髪です。


寒色を入れることで奥行き感が出ます。また背景とも馴染みます。


但し、入れすぎると絵がボヤけます。

逆手に取って「目立たせたくない場所」にはドンドン入れます。


ワンポイント

空気遠近(スクリーンレイヤー)で使う色はカラーサークルパレットの中心の色です。





9.線画を塗りとなじませる(色トレス)

まつ毛、ほっぺの斜線、目の下の輪郭線、口の輪郭線に肌色に近い赤色を載せています。

線が周囲の色と馴染んで柔らかいタッチになります。


色トレスした箇所です。

線を強調したくない部分はオブジェに色に近い色、逆に線を濃くしたいときは黒に近い色を入れます。

色トレス用レイヤーは右図のように線画レイヤーにクリッピングさせています。




10.完成

フィギュアを元にイラスト化した霊夢さん完成です。


なぜ霊夢さんを描いたかというと単に描きたかったからです(;^_^A


そして、こちらのイラストデータ(clip studio paint形式)をご支援者様に公開いたします!

霊夢さんイラスト CLIP STUDIO PAINT データ 22/1/5 アップデート版追加

https://iroha-matsurika.fanbox.cc/manage/posts/3231709 「陰影とハイライトの付け方解説」で作成したイラストのフルデータになります。 第2版のアップデート内容 レイヤーを見やすくするために解説記事と同じ番号(1.~9.)を入れました。


以上、ご覧いただきありがとうございました🙇


またイラスト制作についてご要望等ございましたら、コメントしていただけると幸いです📚🦊

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Comments

でるでる

陰影・ハイライト講座、ありがとうございます! 大変参考になります! 服の皺の部分は、意外と深い色で陰影を付けるものなのですね。 より立体的に映ります。 私は、服の皺の線を想像で引いてしまうことが多く、全然立体的にならなくて違和感多めになってしまいがちなのですが(皺を上手く描きたい…)、 フィギュアやら実際の服の写真やらの資料を参考にするのが良さそうですね。 空気遠近色や色トレス等の概念もとても参考になります。 より「そこに居る」感が強まりますね。 是非とも取り入れたいです! 素晴らしい講座を、ありがとうございました! そして、いろはさん謹製の霊夢を拝めたことも、眼福ものです!😆😆😆

いろは茉莉花

おお、お役に立てれて嬉しいです! 皺の陰影色も深い色でパッキリ入れてますが、白い衣装にはもう少し優しい影色のほうが柔らかく見えるかもです。匙加減が難しいです(;^_^A 皺はやはり資料に頼ってます。 しかし本物そっくりに入れすぎると皺くちゃに見えるので、アニメやうまい人のイラストも参考にしてます。 皺の形にも実は法則性があるようです。まだ完全に把握できてないですが、習得できましたらその内容を記事にしてみる予定です。 陰影とハイライトの解説予定が塗りに関するすべてのノウハウ解説になりましたw イラストのレイヤー情報を見やすくした「第2版」を再アップしましたので、よろしければご活用ください。 2次創作はいい気分転換でした(#^^#) 次回もイラストを作成しながら今回の応用編を記事にしていこうと思います🖌🦊

でるでる

服の皺には毎回苦労しているので、講座記事、楽しみです! いろはさんが習得されることを祈っています。 クリスタデータも大変ありがたいです! レイヤーごとに表示/非表示を繰り返して、印象の違いを見比べております。 ひとつひとつの陰影やハイライトの面積は僅かでも、随分と印象が変わることに驚いております。 そして、全体の陰影は1つのレイヤー内で1色でまとめて付けているのですね。 自分でやるとき、今までパーツごとに陰影レイヤーを作ってしまっていて、 「髪・陰影」「肌・陰影」「上着・陰影」「スカート・陰影」「靴・陰影」…と、レイヤー数が膨大となってしまっておりました…。 効率面や色を統一させる意味でも、1つにまとめた方が良さそうです。 ありがとうございます!

いろは茉莉花

皺入れは塗り工程の中で一番時間をかけてます。凝りすぎると浮いて見えるので完成間際に皺を間引くことも(;^_^A 霊夢さんはもっとシンプルにする予定でしたが、普段描いている構造と同じにしました。 全てのノウハウを詰め込んだデータですのでじっくり検証していただければ嬉しいです。上からどんどん描きこまれても大丈夫です('◇')ゞ 今回のクリスタデータはすっきり纏めることができました。 12/26の狐よゐちゃんデータは「頭部・肌色・後ろ髪・衣装全体・尻尾」ごとに陰影レイヤーを分けててカオスです(__)