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※プロットの見方※

プロットをそのまま貼り付けるため、非常に見づらいことをまずご了承ください。

どのキャラクターがしゃべっているか、明記はしていません。私だけがわかればいいように書いたものだったので。ですが、キャラクターとキャラクターのセリフの間には


‥‥こんな感じで一行空白をあけています。

なので、だいたい誰が話しているか想像はつくとおもいます。

登場人物のヒントとしては

スペちゃん:○○さん、など敬称をつけるのが特徴。ですます口調。()を使うモノローグがあればスペちゃん。

スズカ:よく「スペちゃん」と言っている。

ハヤヒデ:御剣怜侍をイメージすればわかりやすいかも。

リジチョ:語尾によく「ッ!」をつける。熟語を連発する。場をまとめる発言が多いのが特徴。

テイオー:一人称がボク

チケット:よく泣く

エアグルーヴ:2人称はキサマが多い。ハヤヒデとしゃべり方が近いが、こちらは法廷控え室のシーンでしか登場しない。

ルドルフ:四字熟語を多用する。敬語ではないが、ハヤヒデよりは柔らかいしゃべり方。


という感じになります。

また、場面転換などを記号で表現しています。


~:場面の切り替え

*:回想シーン

ー:証言のシーン


これだけ見て「なんのこっちゃ」という人もいるかもしれませんが、読み進めたらたぶんわかると思います。


また、非常に長いです。

プロットpart4の最後に、簡潔に事件解決までのあらすじまとめたので「長ったらしくて読む気しねーよ!」という方はブラウザバックして、part4のほうを開いてくだされば幸いです。


part2



(テイオーがフェードイン)


要求ッ! 証人は、名前を

述べるがよいッ!


サイキョーフクツのウマ娘!

ムテキのテイオー様だぞー!

レースでもサイバンでも、ワガハイに

どーんとまかせてくれたまえよ!


トウカイテイオー。たしか、被害者の

シンボリルドルフと親交があったな。


うん! カイチョーはすっごいんだ!

速くて強くてカッコよくて最強で‥‥

ボクのいっちばんの憧れなんだ!

ユメはカイチョーみたいになって、

カイチョーに褒めてもらうコト!

みんな、今日のカイチョーは見た!?

いつにもまして凛々しかったよねえ!

あ! そういえばね、こないだなんか

カイチョー、おヒルにボクのお弁当


異議あり!

証人のおしゃべりに

異議を申し立てる。


う‥‥うむ。異議をみとめる。

証人はおしゃべりをつつしむように!


えー。これからがオモシロい

トコだったのにい。


テイオー。‥‥キミはおととい、

秘伝の書を盗んだスズカを目撃した。

間違いないだろうか?


‥‥‥‥うん。

間違いないよ。

ボク、見ちゃったんだ。スズカが

秘伝の書を盗んだところ‥‥


テイオー‥‥

‥‥どうして。


あんなコトされたのに、カイチョー、

ゼンゼン落ち込んでなかったんだ!

‥‥やっぱり、カイチョーは

すごいよねえ!


では、目撃者・トウカイテイオー。

キミが、おととい見たコトを

証言するようにッ!


オッケー! まかせてよ!


(テイオーさんは、スズカさんに

 罪を着せるようなヒトじゃない)

(きっと、なにかを見間違えた‥‥

 そうだよね、テイオーさん‥‥!)


―――――おととい見たコト――――

(テイオー尋問 モデラート)


授業が終わって、栗東寮の自分の

部屋にもどって、カバンを置いて‥‥

トレーナー室に行く途中に、スズカの

部屋の前をとおりかかったんだ!

そこに、スズカがいたんだよ!

自分の部屋に入るところだった。

そのとき、ハッキリ見えたんだ。

左手に、何かの本をかかえてた。

赤い表紙に、黒い文字のタイトルで、

ヒモでとじてある本だったよ!

その時は、そんな大事なモノだって

知らないから、通り過ぎたけど‥‥

あの時、スズカは、秘伝の書を

盗んだ直後だったんだよ!


―――――――――――――――――


成程ッ! 証人がスズカを見たとき、

その手には秘伝の書があった!

しかし。『盗む瞬間を目撃した』と

聞いていたものだから‥‥

てっきり。生徒会室を外から

のぞいていたのかと思ったが‥‥


テイオーが目撃したのは、スズカが

部屋にもどるシーンだった。

生徒会室から、帰ってきた場面だと

考えるのが、いちばん自然だろう。

そのスズカが、秘伝の書を

持っていたのだ。

“盗んだ瞬間”だととらえても

なにも変わりはない。


テイオーさん!

‥‥ちょっといいですか?

赤い表紙に、黒い文字のタイトルで、

ヒモでとじてある本‥‥

“秘伝の書”とは、

断言できないワケですね?


異議あり!

赤い表紙で、黒い文字のタイトルで

ヒモでとじてある本だぞ。

ほぼ断言しているではないかッ!


うぐ。


‥‥では、証人。ここで、キミに

いまいちど問うことにしよう。

キミがおととい目撃した“本”とは。

‥‥これのことか?


‥‥あ! それそれ! 間違いない!

ボクが見た本といっしょだ!

あの時、スズカがその手に

持っていた本だよー!


(ざわざわ)


静粛ッ! 静粛ッ!


スズカさん! これって

どういうことですか!?


わ、私にもわからないけど‥‥

たしかに、あの本をスペちゃんに

見せるため、持ち歩いたわ‥‥


で、でも。それは昨日のことです!


ええ。おとといは、私が本を

見つけた日‥‥

部屋にもどる前に、持っているハズは

ないのだけれど‥‥


じ、じゃあ‥‥テイオーさんの

証言は‥‥?


考えたくないけど‥‥たぶん。

テイオーは、ウソをついてる。


テイオーさんが、ウソを‥‥


平気よ、スペちゃん。

まだ、思い違いってことも

あるから‥‥


そ、そうですよね!

きっと、思い違いですよね!


スズカは昨日、秘伝の書を

持ち歩いたことは認めている。

テイオー。あらためて確認するが、

それは本当におとといだったのか?


いくらなんでも、昨日とおとといを

間違えないよー!

それに、ボクが見たのは放課後。

時間がゼンゼン違うじゃん!


だ、そうだ。では弁護人。

‥‥尋問をたのむ。


(きっと、この証言。何か、

 “ヒミツ”があるはず)

(テイオーさんが見た光景‥‥

 私があばいてみせます!)


つきつける

「その時、ちらっと見えたんだ。~」

に、「スクールバッグ」


異議あり!

テイオーさんは、おととい。

秘伝の書を持ったスズカさんを見た。

そして、それは。ちょうど、生徒会室

から戻るシーンだった‥‥

本当にマチガイないですか!


‥‥う、うん! 間違いない!

ボク、ウソなんてついてないやい!


ザンネンですけど‥‥それは、

おかしいと思います!

あのときスズカさんは、授業を終えた

その足で、生徒会室に行ったんです。

もし、スズカさんが犯人なら。

隠したハズですよね。

‥‥この、スクールバッグに。


‥‥!


ハヤヒデさんの主張はこうでした!


*****************

‥‥そう! あの時、スズカは

秘伝の書を隠すことができた!

‥‥自分のカバンにな!

*****************


スクールバッグに隠さなければ、

すぐに盗んだことがバレちゃいます!

テイオーさん! 

セツメイしてください!

いちど隠した本を、わざわざ

とりだして‥‥

わざと、見せつけるように

持ち歩く理由はなんですかッ!


ぴやあああああああああああッ!


(ざわざわ‥‥)


静粛ッ! 静粛にッ!


そもそも、カバンにかくしていたら、

目撃なんかできないハズです!

テイオーさんのこの《証言》‥‥

不自然だと思いませんか!


スペちゃん、

そんなに怒らなくても‥‥


異議あり!

フッ‥‥“不自然”か。

不自然を語る前に、大自然と

たわむれることをオススメしよう。


ど、どういうことですか?


《証言に出てきた登場人物が、

不自然な動きをした》‥‥

《だから、この証言は信用できない》

弁護人はそう言いたいのだろうが‥‥

ザンネンだが、この証言は

《真実》と言わざるをえない。


ど、どうしてですかッ!


お忘れかな。

‥‥答えは、この“秘伝の書”だ。

この本は、この学園でたったひとり

しか、存在をしらなかったハズだ。

そう、すなわち。

シンボリルドルフ会長だ。

しかし、証人はさきほどハッキリ

こう証言した。


*****************

赤い表紙に、黒い文字のタイトルで、

ヒモでとじてある本だったよ!

あの時は、そんな大事なモノだって

知らないから、通り過ぎたけど‥‥

*****************


この情報は、本当に“秘伝の書”を

目撃していなければ、話せまい。


‥‥あっ!


つまり、テイオーが秘伝の書を

目撃した、という証言は《真実》だ。

スズカは、秘伝の書をカバンから

出して持ち歩いていたのだよ。

それが、どんなに不自然な

状況だったとしても‥‥な。


(ざわざわ)


納得! その通りだ!

たしかに、ジッサイに秘伝の書の

存在を知っていた以上‥‥

このムジュンは、致命的なモノ

とまでは言えない!

弁護人ッ! 検察側の主張に

もう問題はないかな?

(どうかな。ハヤヒデさんの

 《主張》に、モンダイは‥‥)


・もうない

〇まだある


テイオーさんが“秘伝の書”を

目撃したのは、本当かもしれません。

でも、それはスズカさんを見た

わけではありません!

テイオーさんが見たという、秘伝の書

を持っていた《ドロボー》‥‥

それは本当にスズカさんだったのか?

そこをハッキリさせるべきです!


(ざわざわ‥‥)


フッ‥‥!


な、ななななんですか!

私、またヘンなこと言いましたか!


シツレイした‥‥

その、逆だよ。

弁護士が、だんだんイタに

ついてきた、と思ってね。


ハヤヒデさん‥‥


トウカイテイオーよ。どうなのだ!

キミは、本当に‥‥

サイレンススズカを目撃したのか!


う‥‥うん! そうだよ!

ぼ‥‥ボク。見たんだ。

ひ。秘伝の書を持っていたのは‥‥

間違いなくスズかだったよ!


ならば。証言するがいい。

トウカイテイオー。‥‥キミが見た

“ドロボー”について。


お、オッケー‥‥!

ま、まかせてよ‥‥!


―――“ドロボー”について――――

(テイオー尋問 アレグロ)


ボク‥‥あの日。スズカの

部屋の前、とおりがかって‥‥

“秘伝の書”を持っている

人影をみつけたんだ。

それは‥‥その。スズカだった。

目の前だから、すぐわかったよ!

それに、あの栗毛の髪としっぽ。

見間違えようがないよ!

(追加)

カバン以外に、とくに

目立つところはなかったな。


―――――――――――――――――


ふむう。ハッキリと

目撃していた‥‥か。

この証言が本当なら、スズカは

限りなくアヤしいが‥‥?


被告人は、それは美しくととのった

栗毛をたくわえている。

それを見間違えることなど

ありえないだろう。

ケツロンはひとつ。

やはりスズカは、あのとき。

秘伝の書をぬすんだ直後だった。


スペちゃん‥‥どうしたの?


す、スズカさあん。

テイオーさん、どうしてこんな

証言をするんでしょうか‥‥


考えられるとしたら‥‥

ふたつ、かしら‥‥。

テイオーは、“私を見た”と、

すっかり思い込んでいるか。

もしくは‥‥テイオー自信が

ハンニンで、私にツミを


こっ、このハナシはここまでに

しましょう! ねっ、スズカさん!


ご、ごめんなさい‥‥


(理由はなんにせよ‥‥

 私がやることは、ひとつ!)

(テイオーさんは、スズカさんを

 目撃していない‥‥)

(それを、証明するだけです!)


ゆさぶる

「だって、あの栗毛の髪としっぽ~」


待った!

栗毛の髪と、しっぽ‥‥

そんなウマ娘はいっぱいいます!

もっと《スズカさん》! っていう

特徴はなかったんですか?


ぴい! スペちゃん。こわいよお!

スズカっぽい、特徴‥‥

えーっと、えーっと‥‥

‥‥そ、そうだ! カバン!

カバンを持ってたよ!


カバン‥‥ですか?


うん! 持ってたんでしょ?

‥‥カバン。

授業が終わって、そのまま

来たんだもんね!


質問ッ! スズカよ。

そのとき、カバンを持っていたのは

間違いないか?


ええ‥‥持っていましたけど‥‥

会長さんとお話しして、自分の部屋に

戻るまでのことでしたら‥‥


それなら、やっぱり。秘伝の書を

持ち歩いていたのは不自然です!


異議あり!

そのギモンについてはさきほど

コタエが出たように思うが。

いくら“不自然”を語ろうが、

それはムジュンにはなりえない。

テイオーはジッサイ、秘伝の書を

目撃しているのだから。


とくにムジュンはしていないようだ。

‥‥弁護人。証人への質問は以上か?


(どうだろう。テイオーさんの

 いまの《証言》‥‥)


〇さらにゆさぶる

・やめておく


テイオーさんッ!

もういちど、ききます!

カバン以外に、スズカさんに

目だったところはありましたか?


うううううう‥‥。

そういわれても‥‥。

ボクがみたスズカは、秘伝の書と

カバンを持ってた!

‥‥それ以外に、トクチョウは

なかったけど‥‥


疑問! 弁護人。この証言が、

そんなに重要か?

重要だというなら、証言に

くわえさせることもできるが‥‥


テイオーさんの、いまの《証言》‥‥

それは‥‥


〇とっても重要

・ゼンゼン重要じゃない


たぶん、とっても重要です!

証言にくわえた方がいいと思います!



“たぶん”‥‥?


“と思う”‥‥?


語尾がしぼんでいるのが

若干、気になるが‥‥

承諾ッ! 証人は、今のハナシを

証言につけくわえるように!


うううう‥‥わかったよ。

ナニも、かわらないと思うケド‥‥


つきつける

「カバン以外に、とくに~」に

「ケガの診断書」


異議あり!

いまの証言で、確信しました。

テイオーさんは、スズカさんを

目撃なんかしていません。


え‥‥!


テイオーさんがスズカさんを『見た』

のは、おとといのことでした。

その、ちょっと前。スズカさんに

とって、大事なレースがありました。

《天皇賞・秋》‥‥スズカさんは、

見事。1着を取りました。


異議あり!

身内の自慢話なら、

よそでやってもらいたい。


異議あり!

‥‥ちがうんです。ハヤヒデさん。


何‥‥?


ここで重要なのは‥‥

スズカさんは、そのレースで

ケガをしてしまったということです。


ケガ‥‥!


ケガじたいは、ささいなモノでした。

‥‥でも、スズカさんは、その日の

うちに、ケガの治療をしたんです。

ギプスで、足を

ぐるぐる巻きにして!


‥‥‥‥‥‥‥‥

そういうこと、か‥‥


セツメイするまでもありません!

事件のあった、あの日から、

いままでずっと‥‥

スズカさんの足は、

こうなっていたんです!


あ‥‥!


‥‥そう。もし、本当にスズカさんを

目撃していたのなら。

このギプスの存在は、まっさきに

証言されなければオカシイ!


く‥‥ッ!


私は、何回も聞きました!

“変わったところはなかったか?”

でも、そういう返事は

かえってきませんでした!

つまり、テイオーさん!

スズカさんを目撃したという証言、

まったくのデタラメです!


う。う‥‥

うわあああああああああああああああ

あああああァァァァァァァァァァッ!


(ざわざわ‥‥)


テイオーさん! 教えてください!

ただの見間違いだったんですか!

‥‥それとも。

スズカさんに、罪をきせるための‥‥

ウソだったんですか?


す。スペちゃん‥‥


ど、どうなのだ! 

トウカイテイオー!

キミは、スズカを見た、と‥‥

ウソをついたのか‥‥?


‥‥うううう‥‥


本当のことを話すがいい。

トウカイテイオー。

キミの証言によって、無実のウマ娘が

学園を出ていくかもしれないのだぞ。


‥‥!

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ゴメンナサイ。


‥‥!


ボク、ほんとうは‥‥スズカを

見てなんかいなかったんだ‥‥

今までのハナシ、全部ウソ。

作り話だったんだよ。


な、なんということだ‥‥。


し、しかし! なぜ!

トウカイテイオーは、こんなウソを!

まるで‥‥まるで。

サイレンススズカに、ツミを

着せようとするみたいに‥‥


‥‥‥‥‥‥‥‥さ。

サイバンで、目立ちたかったから

‥‥かな。


なんだと‥‥?

そんな理由で、スズカに

ツミを着せたというのかッ!


‥‥‥‥‥‥


スペちゃん。どうおもう?

たしかに、テイオーさんはすこし

目立ちたがり屋さんだけど‥‥

それだけの理由で、私をおとしいれ

ようとするのかしら‥‥


え‥‥! つ、つまり‥‥

それもまた、ウソってことですか!?


テイオーは言ったわ。

証言がすべて作り話だったと。

でも、それだと、セツメイのつかない

部分があるような気がする‥‥


(セツメイのつかない部分‥‥?)

(どうしよう‥‥異議をとなえる

 べきかな‥‥)

(テイオーさんがウソをついたのには

 なにかほかの理由がある!)


〇異議をとなえる

・やめておく


待ってください!

弁護側は、いまのテイオーさんの

自供に“異議あり”です!


‥‥!


何‥‥ッ! テイオーが、まだ何か

ウソをついているとでも言うのか!


テイオーさんは、証言がすべて

作り話だと言いました。

でも、それだと、決定的なムジュンが

生まれてしまうんです。


決定的な‥‥ムジュン‥‥

では、弁護側には、

立証できるというのか!

テイオーの証言は、すべてが

作り話ではなかったと‥‥!


‥‥‥‥

はい! 大丈夫です!


では、弁護人に提示してもらおうッ!

《すべて作り話》という自供と

ムジュンする証拠品とは!


つきつける「秘伝の書」


それは‥‥ “秘伝の書” 。


‥‥さっきも、ちょっと

モンダイになりました。


*****************

赤い表紙に、黒い文字のタイトルで

ヒモでとじてある本だったよ!

そのときは、そんな大事なモノだって

知らないから、通り過ぎたけど‥‥


この情報は、本当に “秘伝の書” を

目撃していなければ、話せまい。

*****************


“すべて作り話” だったハズの

証言で‥‥たったひとつ。

この、“秘伝の書”の情報だけが

まぎれもなく《真実》でした。

つまり、テイオーさんはどこかで、

秘伝の書を目撃しているんです!


ああッ!


静粛ッ! 静粛ッ!

し、しかし。トウカイテイオーは

シンボリルドルフと親しかったハズ!

以前、見せてもらったことがある‥‥

とは、考えられないのか?


‥‥あっ。‥‥た、たしかに

そう考えることも‥‥


‥‥‥‥‥‥。

その可能性は低いだろう。


‥‥!

(ハヤヒデさん‥‥?)


先刻、私が言ったことを

覚えているだろうか。


*****************

‥‥弁護人の言う通りだ。

たしかに、会長は、秘伝の書の存在を

ダレにも話していないと言っていた。

会長以外に、この本の存在を

知っていたものはいないだろう。

*****************


‥‥あ! そ、そうか‥‥


そう。つまり‥‥

テイオーは、秘伝の書が盗まれた

事件当日、これを目撃したのだ。


うううう‥‥


(‥‥そう。だから、怖いんだ)

(もしかしたら‥‥)

(もしかしたら、テイオーさんが

 “秘伝の書”を‥‥!)


異議あり!

どうやら、弁護人は、推理を

先走りすぎているようだ。


‥‥!


おおかた、真犯人がトウカイテイオー

だと推理し、焦ってるのだろう。

‥‥だが、安心してほしい。

トウカイテイオーは

犯人ではありえない。


‥‥ど、どうしてですか?


カンタンだ。トウカイテイオーには

カンペキなアリバイがある。

事件が発生したのは、

おとといのことだ。

その日は、朝から放課後まで‥‥

同室の、マヤノトップガンと

一緒だったという証言がある。


‥‥!

(マヤさんと‥‥)


栗東寮の、自分の部屋にもどるまで、

テイオーはマヤといっしょだった。

テイオーがひとりでいたのは、

それからトレーナー室にいくまで。

‥‥そう、まさに。事件に遭遇した

あのタイミングだ。

その短時間に、寮から生徒会室まで

往復することは不可能だ。

‥‥ダレにも目撃されずに、となれば

なおさら‥‥な。


聡明ッ! さすがは

ビワハヤヒデだッ!


テイオーが真犯人で、スズカに

ツミをきせようとしている‥‥

その可能性は、私もまっさきに

考えた。

‥‥だからこそ、テッテイ的に

アリバイを調べたよ。

断言してもいい。トウカイテイオーは

犯人ではありえない。


うむッ! これは大きな収穫だ!、

アタマがさがるぞッ!


‥‥シツレイ。今、ナニが

大きいと‥‥?


じゃあ‥‥どういうこと

なのかしら‥‥

テイオーがハンニンじゃないなら、

いったいどこであの本を‥‥?

そして、どうして私に

ツミを‥‥?


(これは、きっとダイジな

 モンダイだ!)

(テイオーさんは、秘伝の書の

 見た目を知っていた)

(じゃあ、いったい。どうして

 見た目を知っていたのかな?)


・テイオーが真犯人だから

・会長さんに教えてもらった

〇ドロボーを目撃した


裁判長さん!

テイオーさんは、本を盗んだわけでも

前に見たわけでもありませんでした!

それならば、テイオーさんが

見た目を知っていた理由はひとつ!

秘伝の書を盗んだドロボーを

目撃していたから‥‥です。


‥‥!


しかし。テイオーがスズカを目撃

していたことは、キミが証明した。

と、いうことは‥‥?


たぶん、テイオーさんは本当に

あの日、廊下を歩いてて‥‥

本当に、秘伝の書を持っている

“ドロボー”を見かけたんです!

でも、その “ドロボー” は‥‥ 

スズカさんじゃなかった!


(ざわざわ)


静粛ッ!

つまり‥‥テイオーは真犯人を

目撃したということかッ!


はいッ! そういうことですッ!

テイオーさんの目撃証言は、真犯人を

スズカさんに置き換えただけでした。

だから、テイオーさんの目撃した

ドロボーは‥‥

カバンに“秘伝の書”をいれずに

持ち歩いていたんです!


しかしッ! それならば、正直に

そのことを証言すればいい!

わざわざスズカにツミを着せた

理由は、いったいなんなのだ!


それは‥‥

(テイオーさんは、ダレかを

 キズつけるようなヒトじゃない)

(それなのに、テイオーさんは、

 スズカさんを見たとウソをついた)

(その理由は‥‥         

 たったひとつしかありえない!)


弁護人ッ! 指摘してもらうぞ!

トウカイテイオーがウソをついた

理由は、いったいなんだ!


・スズカがキライだった

・裁判で目立ちたかった

〇真犯人をかばっている


テイオーさんがウソをついたのは‥‥

スズカさんにツミをきせるコト自体が

目的じゃなかったんです!


‥‥!


テイオーさんは、真犯人を

しっかり目撃しました。

でも。テイオーさんは、そのヒトを

まもろうとした。

だから、結果的にスズカさんにツミを

きせるコトになったんです!


す、スペちゃん!?


‥‥では、テイオーは。

その人物をかばうために‥‥

『スズカが盗んだところを見た』と、

ウソをついたというのかッ!


はいッ! その通りです!


ね、ねえ! もうやめよう!

ウソついたのは謝るからさ!

ねえ、スペちゃん! ‥‥おねがい。

‥‥もう、やめて‥‥


テイオーさん‥‥


‥‥トウカイテイオー。

ザンネンだが、ワレワレは

ここで立ち止まってはいけないのだ。

事態が、ここまでおおきくなった

以上‥‥

ワレワレは、その“原因”を

追求しなければいけない。


う、ううううううう‥‥


(テイオーさんが目撃した

 “真犯人”は‥‥)

(あの日。生徒会室から秘伝の書を

 自由に持ち出せた人物)

(そして、事件が起こったころ、

 アリバイがなかった人物)

(そして‥‥慣れないウソを

 ついてまで‥‥)

(テイオーさんが、かばおうとした

 人物だ‥‥!)


それでは、弁護人には、

提示してもらうとしよう!

あの日。生徒会室から“秘伝の書”を

盗み出した《真犯人》とは!


つきつける

「シンボリルドルフ」


スズカさんは、犯人ではありません。

でも、どうしてでしょうか。

秘伝の書は、私たちの部屋から

見つかりました。

これからわかることは‥‥

ドロボーは、スズカさんが部屋に

いない時間を知っていたのです。

そして、そのタイミングをねらって、

部屋に“秘伝の書”をかくした!


‥‥!


スズカさんが部屋をあけて、

生徒会室で待っていたとき‥‥

たったひとり。アリバイのない

人物がいました。


‥‥そう。

シンボリルドルフ会長さん‥‥です。


ナ、ナ、ナ、ナニ言ってるんだ!

か‥‥カイチョーは最強なんだ!

やましいところなんてないんだッ!

カイチョーが、ワルいコトなんて

するもんかァッ!


裁判長‥‥。

いまのテイオーさんのコトバが

すべてを物語っています!

他人をキズつけるようなことは

しないハズのテイオーさんが‥‥

“スズカさん”を見たとウソをつく

たったひとつの理由‥‥

テイオーさんにとって、会長さんは

ゼッタイ的な存在でした。

でも、テイオーさんは、とんでもない

シーンを目撃してしまったんです!

そう! 会長さんが、私たちの部屋に

不法侵入するシーンを!

テイオーさんは、それを認める

ワケにはいかなかった!

だから、“スズカさんが盗んだ

ところを見た”と‥‥

ウソをついてしまったんです!


(ざわざわ‥‥)


静粛ッ! 静粛にッ!

ど、どうなのか。

トウカイテイオー!

キミはいったい‥‥

何を目撃したんだ!


う‥‥。

‥‥‥‥‥

うわあああああああああああああああ

あああああああああああああああん!


テイオーさん。

おととい見たのは、会長さんが

不法侵入するところだった。

‥‥そうなんですよね?


うわあああああああああああああん!

そうだよ!

そうなんだよ!

見たことない本を持ってる

カイチョーとばったり会って‥‥

そ、そしたら。スズカの部屋に

勝手にはいっていって‥‥

ボ、ボク‥‥ナニか、いけないものを

見ちゃったような気がして‥‥

うわあああああああああああああん!


(ざわざわ‥‥)


静粛ッ! 静粛ッ!

‥‥静粛にッ!


弁護人! い、いったいこれは

なんのさわぎだッ!

シンボリルドルフは

“被害者”なのだぞ!


でも証言によれば、会長さんは

私たちの部屋に不法侵入しています!


(ざわざわ‥‥)


弁護人! いったいこれは

どういうことかッ!


私たちは、大きなカン違いを

していたことになります‥‥!


カン違いだと‥‥?

それはいったい、

どういうことかッ!

 

〇被害者はスズカさんだった

・被害者は会長さんだった

・真犯人はスズカさんだった


わかってみれば

カンタンなことです。

会長さんは、

私たちの部屋に侵入して‥‥

その結果、生徒会室にあるはずの

秘伝の書が見つかりました。

つまり、スズカさんは本を盗んだ

“真犯人”ではなかった‥‥

会長さんにヌレギヌを着せられた、

“被害者”だったのです!


(ざわざわ‥‥)


静粛に! 静粛に!

で、では‥‥あの日。被告人が

シンボリルドルフに呼ばれたのは‥‥

自分の部屋から、追い出すため

だった‥‥というのか!


そういうことになります!

私は、放課後にトレーナーさんと

練習のために部屋をあけますが‥‥

スズカさんは、この前の天皇賞で

ケガをおってしまった!

だから当然、理由がなければ、

部屋から出ることはありません!

その“理由”を‥‥会長さんは

ムリヤリ作ったんです!

みずから、生徒会室に呼び出すという

きょうこう手段で!


(ざわざわ‥‥)


し、しかし! シンボリルドルフは、

いったい、ナゼそんなマネを!

全てのウマ娘の幸せを願う彼女が‥‥

たったひとりのウマ娘を

不幸にしようとした理由はなんだ!


‥‥そ、それは‥‥

わかりませんけど‥‥

(うう‥‥自分で言っておいて、

 アレなんだけど‥‥)

(あの会長さんが、そんなことを

 する理由は、まったくない‥‥)


‥‥‥‥。

そう、だよね‥‥。

ボク、ボク‥‥。カイチョーが

大好きだけど‥‥。

いけないこと、

しちゃったんだよね‥‥。

‥‥ねえ、スペちゃん!

‥‥マチガイは、ちゃんと

ただされなきゃいけないよね?


テイオーさん‥‥。


‥‥認めるよ。

ボク。カイチョーが

スズカの部屋に入るのを見たんだ。

あのときのカイチョーの“目”。

すごくこわかった‥‥

だから。『何してるの』って

聞けなかったんだ‥‥

そしたら、スズカが“あの本”を

盗んだってウワサになって‥‥

ぼ、ボク。カイチョーを

まもらなきゃ、って‥‥

‥‥ごめんなさい!


(‥‥‥‥)


テイオーさん。話してくれて、

ありがとうございます。

会長さんが、どうして

そんなコトをしたのか‥‥

それは、これから私たちが

アキラカにしていきます!


‥‥裁判長。

こうなった以上、やはり

さけては通れまい。

検察側は、至急。生徒会長・

シンボリルドルフの召喚を要求する。


カイチョー‥‥


やむをえまい!

当法廷は、これより15分間の

休憩をとるものとする!

検察側はその間に、シンボリルドルフ

を連れてくるように!


‥‥心得た。


(‥‥信じられないけど。

 ハンニンは、会長さんだ)

(モンダイは‥‥)

(いったい、どうして会長さんが

 そんなことをしたのか)

(会長さんは、ダレかをキズつける

 ようなヒトじゃ、ゼッタイない!)


それでは、一旦閉廷!








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