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「──観光ですか? どうぞ、良い旅を」

「あ、えぇと、ドーモ……」


 日本人は外国人、特に欧米人を前にすればあたふたと慌て始めて、どれだけ威圧的に話を進めても問題ないと聞いていたのに、空港におけるレーガン・リドリーの扱いは丁寧そのものだった。

 むしろ自分がどもってしまい、務めているコグニート社の性質上已む無いことだが、本国の空港を出る際には異星人への除染作業かと思うような薬品責めを食らい、投げつけるようにパスポートを渡してきた添乗員に「しゃぶってみろ!」とファックサインを決めてきたところだったので、自然と闘争的な気分に至っていたのかもしれない。


「いやいや、この国はGHQの影響が消えて以降、口裂け女の伝播実験以降はコグニート社の陰謀コントロールを受けていない、危険で野蛮な地域なんだから、気を抜かないようにしないと! ……だからこそ“野良”の陰謀である“血族”なんて噂が蔓延してるんだろうけどね」


 情報化や行動な教育体制の成立などによって、かつてに比べて世界征服……それも国土の占有ではなく思想や行動面での人身掌握……は容易く無くなり、それを憂いた影の支配者たち──例えばそれはヒト型爬虫類であるレプトノイド(あるいはレプテリアン)たちであったり、外宇宙から来る怪女たちの影として存在しているクトゥルフの邪神であったり。

 彼らの要望に応え、様々な形で社会に陰ながら干渉し、影の戦争……グレート・ゲームの発生を摘む「平和のための陰謀事業」──それこそがコグニート社の仕事であり、レーガンがあまり表象しない正義感や倫理観に従って進めている誇りである。

 そんなコグニート社のCEOであったJR・シャインポーが様々な理由……小さいところはアレの形が奇妙なことから、大きいところは会社の年金基金を横領していたことまで……から退陣することとなり、情熱と実績からレーガンがその跡を継ぐのはある意味では必然であった。


「あのカツラ野郎、まさか長年に渡って“血族”と癒着関係にあったなんてね……道理で古臭いジャパニーズジョーク連発してると思ったのよ」


 そんなJRの私物の整理などを行っている中、レーガンはなんと“血族”とJRが何かしらの密約を交わしている証拠を見つけ出し、その相手がいる日本へとはるばる単独で飛んできたのである。


『“血族”だぁ? おいおいレーガン、この世は陰謀や超常だらけだが、なんでもありのワンダーランドじゃあないんだぞ? コグニートインクは勿論、イルミナティの連中ですら実態を察知できていない星の真の支配者がいるなんて、陰謀論を操作する側が洗脳されてどうする。あんな下らない噂は、日本をコグニートが見捨てた時に闇金持ちどもが存在感を増そうと流してデマだと誰でもわかる』


 本人だけが良き父親と信じている、そんな威圧的な父ランドの物言いを思い出し、レーガンはせっかく空港の職員の対応に気をよくしていたのに、すぐに表情をしかめて周囲に警戒を振りまく。

 “血族”──それはコグニート社が関与していない、不気味な陰謀論。どこでにでもいて、どこにもいない……そんな旧い世界からの統括者たちが世界中に潜伏していて、コグニート社やイルミナティですらも彼らの逆鱗に触れていないから“見逃されている”とされる、陰謀論を操作する者たちに流布している陰謀である。都市伝説で切り捨てるには、あまりにもスケールがデカい話ではある。

 幼少期よりランドから威圧的・嘲笑的な扱いを受けてきたレーガンは、彼が自分を利用してCEOの座を掠め取る気なのを理解した上で、JRが関係していたという“血族”と接触することで、二重の意味でランドの足元を引っ繰り返してやろうと、暗い復讐心で動いていた……当然“血族”と表立って友好を示せれば、レーガンの目指す世界平和に近づくという理想もある。


「影の政府から外れた権力者は、現代では存在してはいけない……私はJRより厳しく行くからね! ……それにしても、何処にでもいるのが売りだからって、幾らなんでもコメディアンとか、表の職業を選べなかったのかしら?」


 レーガンの手にした端末には、ここが往来で無ければ3D表示も可能なデータとして、おっとりとした外見の黒髪のヤマトナデシコの顔写真と、その下に【SUOU NIOUNOMIYA】という文字が浮かんでいた。



「──皆さん、今日もタブーについて学べましたね! それでは再確認致しましょう。霊柩車が通ったら親指を出さない! 朝には蜘蛛を殺さない! そして何より、中〇正広にソロパートを与えない! これ重畳!」


 舞台の上で禁止事項をネタにしたコントを行っている、上品そうな見た目の女性……スーツ姿で一見すればOLに見えてしまいそうな美女こそが、今回レーガンの接触対象である匂宮蘇芳である。

 日本のアーティストについては吸血鬼の一員である荒木飛呂彦くらいしかレーガンは知らない為、ネタの面白さがイマイチ分からなかったが、ウケはそこそこ程度にはあるようだった。笑われるコメディアンではなく、笑わせる芸人ではあるらしい。

 日本で超常研究を行っているダークサイエンス研究会……通称DS研の身分を確保したレーガンは、日本の芸人は信心深いものが多いという性質を利用し、蘇芳の控室で接触を確約していた。


「(警戒心に関しては微塵も無いみたいね。私がいきなり生命退化銃とかぶっ放して粘菌にされるかもとか思わないのかしら? これは、本当に一般人の可能性も出てきたわね……)」


 そんな風に想いながら、レーガンはノックも忘れて蘇芳の控室の扉を開いてしまう。

 母であり官能小説家でもあるタミコにアスペルガー症候群を疑われているレーガンは、こういうところの不躾さが優秀で熱意もあり生来的には善性であるにも関わらず、周囲からイマイチ信頼されない理由であると気づいていない。


「──こんにちは、レーガン・リドリーCEO。いえ、まだ就任前でしたか?」


 ……それだけに、開幕で自らがコグニート社のCEO候補であることを言い当てられたのは、レーガンにとってかなりの衝撃であった。

 そもそもレーガンは、本名を名乗って接触していない。偽名も、仮の身分も一瞬で剥がされ、大人し気な顔で微笑む乙女が想定以上の曲者だと思い知らされ、レーガンは少なからず動揺する。


「……ヤマトナデシコはもう少し淑やかで控えめな性格だって聞いてたんだけど、ミズ匂宮?」

「その癖、情熱的で、攻撃的で、積極的でもあると、情報を追加しておいてください……シャインポー氏が失脚されたそうですね」

「世界の支配者にしては、コグニート社への貴重なパイプをあっさり失い過ぎじゃないかしら?」


 恐怖感も手伝い、ついつい物言いが攻撃的になってしまうレーガンだったが、蘇芳は笑みを深めるばかりだ。自然に、攻撃的な衝動が成りを顰めてしまう。


「彼から何かを積極的に得たことはありません。シャインポー氏にはむしろ“血族”はコスプレ権力者集団と広めてもらう方で働いてもらってましたから」

「コグニート社を、そもそも自分たちの隠ぺいに使ってるとでも?」

「自分たちの関与しない陰謀の存在に恐怖する方は、積極的にそう振る舞って下さいますね」


 ……長らく研究者としてコグニート社に関与してきた(そして失脚した)父親ですらも、デマだと信じ込んでいたという事実が、その集団の一員が非常に高い情報収集能力を発揮しているということに、説得力を付加していく。

 しかし、そうなると……何故、レーガン相手にはその情報を開示している?


「分かりませんか、レーガン博士? あなたは、とても優秀です。父親であるラング氏が私利私欲で容易く暴走してしまうのに対して、あなたはエゴを持ちつつも常に平和と理想と情熱の為に動いておられる……あまりにも応援したくなるヒロインです」

「褒められている気が微塵もしないわ」

「それでも褒めています。影の政府の闇のヴェール越しですが、私はずっと、あなたを見ていました……その活躍も、周囲から理解されない苦悩も、ノスタルジーは気の迷いなんて言いながらプロムの時に着たワンピースをずっと持っている女の子らしいところも……これは勧誘であり求婚なんですよ、レーガンさん」

「きゅ、求婚!?」


 母親に自己愛気味のバイ傾向こそあるが、レーガン自身は性癖はナチュラルだ。まさか、そちらの理解は欧米より進んでいないと思っていた日本人から求婚を受けるなどと想定もしていなかった、それでも受け入れるなどありえない。

 しかし、舞台の上では朗らかだった蘇芳の表情は非常に真剣で凛々しいものになっており、そんな“ケ”はないはずなのに、レーガンはごくりと喉を鳴らしてしまう


「私は本気です……今後の大きな世界の流れを考えれば、コグニート社に安定を任せ続けるのは荷が重すぎます。あなたのような優秀な人材は、コグニート社の外で辣腕を奮うべきです……“血族”に入ってください、レーガンさん。私の、妻として」

「ちょ、ちょっと待ってよ! 私はレズビアンの気はなくて……というかLGBTQ+なんて、反政府主義者の隠れ蓑としか思ってないような女で……」


 言葉の途中で立ち上がった蘇芳が、すらりとスカートをたくし上げる。

 咄嗟に股間に視線を向けてしまったのは、この短い会話の間にレーガンも毒されてしまっていたのかも知れない。

 だから、そこにいきなり──魔法のように凶悪な流線型の竿が姿を現し、どぷっ……と並の男の精液が霞むほど濃いカウパーを噴くのを見た瞬間、その場で腰を抜かしてしまった。


「あ、あなた、アンドロギュノス……!?」

「ええ、陰謀論では各国の女性要人を堕とす時、建前に使われがちなアンドロギュノス……両性具有です。あなたも、そんな陰謀の一部になるんです……♥」

「ほ、ほぉぉぉっ……♥」


 顔にチン先を押し付けられ、鼻先をぐいと押されると、鼻腔が甘臭いチン臭と青臭いカウパー臭で満たされる。

 体よりも先に、心よりも先に、まず真っ先に“脳”が発情するという感覚──気づけばスンスンと鼻を鳴らして夢中で匂いを嗅ぎまわており、竿に頬を擦り付けてしまっていた。


「ま、待って、待ってよ♥ 流石に、これはおかしい……♥ 視覚ドラッグの類だって、ここまで強烈に体を支配したりしなっ……はへぇぇぇぇっ♥ い、いい匂いぃぃ……♥ の、脳が誤作動起こすっ♥ こ、恋しちゃうぅぅっ……こんな最低の状況なのに、あなたのこと素敵に見えてくるぅぅ……♥」

「ふふっ、じゃあお揃いですね、私と♥ 私はレーガンさんのこと、ずっと素敵だと思ってます……ねえ、お嫁さんになってくださいよ♥ 私にレーガンさんの全部、愛でさせてください♥ 嫁になれ♥ 結婚しろ♥ 全肯定させろ……♥」


 それは仕事の軋轢と家族関係、そして周囲と上手くやれないことに悩み続けるレーガンにとって、あまりにも甘い囁き。

 通常の男性の3~5倍の魅了能力があるとされる雌チ〇ポを突き付けられながら、即物的なプロポーズを囁かれるレーガンの意識は限界に近い。

 体が勝手に動き……まるで正しい作法であるかのように、とぷとぷと先走りを零すチン先へキスしてしまう。行動に感情が追い付いてきて、レーガンの胸の中に蘇芳へのしゅきしゅきが沸き上がってきてしまう。

 気付けば控室の畳敷きになっている休憩どころに押し倒され、覆いかぶさられてずりゅっ……ずちゅっ……とチ〇ポであそこを擦り上げられていた。子宮が既に受け入れる準備を始め、排卵を始めているのすら分かってしまう。心が納得するよりも先に、もう蘇芳のお嫁さんにされれ、理解のある彼女ちゃんに支えられていくしかないのだと痛感させられる。


「ま、待ってぇぇ……わ、私……あ♥」


 トドメは、少しだけ体を浮かせて見つめてくる、蘇芳の潤んだ瞳だった。

 学生時代の苦いトラウマによって、レーガンは抱きしめられると拳で反撃してしまう悪癖がついてしまっている。

 彼女は強引に押し倒そうとしているように見えて、そこにまで配慮してくれている……そう気付いたらもう、愛しさが止まらなくなっていた。

 自分から、そう、上手くやれない自分から、蘇芳の肩を抱いて自らに寄せ……同時に、ズラされた下着をよけて、肉竿がどちゅんっ♥ と一瞬で子宮口にまで到達する。


「んくぅぅぅぅぅっ♥」

「好き♥ 愛してる♥ 子供を産んでくださいよ、レーガンさん♥ 絶対離さない♥ どんな恐ろしいことからも守ってあげます♥ だから付き合え♥ 結婚しろ♥ しなさいっ♥」

「あっ、あっ、あぁぁぁっ♥」


 一応は三十路ともなれば男性との交際経験自体はあるレーガンだが、ここまで激しいセックスの経験など当然ながらなく、これまでの自慰をすべて累乗したよりも一突きごとが気持ちいい交尾を前に、たちまちにしち面倒くさい思考が溶け出してしまう。

 ふぅー……♥ と蘇芳のクッソ甘い吐息を吹きかけられて「ん゛んんっ♥」と唇を突き出してしまった隙にキスをされ、キスハメ状態のまま軽々と抱き上げられ、むっちりと拘束された尻穴を指でカリカリされる。


「(あ、あにゃる、気持ちいいっ♥ こ、こっち弄ったことなんて、なかったのにぃぃ……♥)」


 前が気持ちよすぎて思考がまともに捉えることを……発狂を避けるために……やめているせいで、後ろの穴の快感がダイレクトに頭に伝わってくる。

 甘い唾液を交換しながら、ひたすらに「好き♥」「あなたはすごい♥」「ドスケベ雌が、絶対娶る♥」「世界で一番愛してる♥」と脳に注ぎ込まれ、それを証明するつよつよセックスをキメられてしまっては……理屈屋のレーガンも、逃げ場など無い。

 つぷりと尻穴に指先が挿入された瞬間に、思いっきりアヘ顔で「お゛おぉぉぉぉぉっ♥ け、結婚、しゅりゅぅぅぅぅっ♥」と求婚受け入れイキをキメてしまい、注ぎ込まれる熱い精液が100%の一発妊娠を伝えてきて、そのまま孕みイキを連続でキメてしまった。


「あ゛へぇぇぇ~……い、陰謀、しゃいこほぉ~……♥」


 コグニート社の誰も深奥にたどり着けなかった噂を、体を張って解き明かしてみせた……その満足感と共に、レーガンは夢中でレズキスの快楽に耽っていく。まるでずっと昔から自分はレズビアンで、錠前に合う鍵を探していたような心地ですらあった。

 ──数日後、正式にレーガンからコグニート社への辞職願が提出され……同時に本格的な“血族”との盟友関係への提案が成されることになる。




今回の攻め役

※匂宮蘇芳(におうのみや すおう)

・お笑い芸人。タブーと時事ネタを絡めた笑いと、一見すれば清楚な若手OLに見える外見のギャップから、そこそこの人気を誇っている。女性用のスーツで舞台にあがるが、就労経験はない。

・実態は“血族”の“女王蜂”の一人であり、十年黒組の突破者の一人。百合目一(後に一ノ瀬晴)の支配体制に不満は無いが、これまで関係を敢えて断ってきたコグニート社との協力関係を提案する程度には“血族”の中核に近しい人物である。

・レーガンを長らくコグニート社との折衝役にしたいと願っていたが、JRを通じて彼女の生きざまを見ている内に尊敬の念を抱いたことから、今回の事件を起こし、レーガンを呼び寄せた。

・ちなみに作中でJRとの距離感についての言及でも分かる通り、自身の存在を匂わす資料はJRが残していたものではなく、彼が失脚後に仕込んだものである。

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Comments

ヨネザワ伍長

リクエスト投稿ありがとうございます この度はお手数をおかけして申し訳ございませんでした 多重クロスオーバーによって色々な作品の宇宙人だの妖怪だのが存在しているこの世界観では コグニート社の業務も原作以上にカオスなことになっていそうですよね

屋根が高い

リクエストありがとうございました! 他作品の組織などが矮小化するパターンも多い本作でも、対等な同盟を結ぶレベルですからね、コグニート社… ランドはちょっと戦々恐々してそうですがw