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「はぁぁぁ……こんなに上手くいかないことってある?」


 ため息を吐くと幸せが逃げていくというが、サッカーチームの監督も務めたことがある吉良瞳子は、むしろため息を吐くことで体がリラックス効果を得られることを知っている。

 けれど、どれだけ深めに息を吐きだしてみせても、少しも気が晴れることはなく……むしろ抱えている問題がくっきりと輪郭を以て顕在化してくるように思えた。

 逮捕された父親、エイリア皇帝を名乗って日本中でテロ行為を行っていた吉良星二郎の後を継ぎ、それまでの“お手伝い”ではなく経営の側に回った瞳子は、宇宙人だと見せかけていたエイリア学園の生徒たち……孤児院である“お日さま園”に戻ってきた彼ら彼女らが幸福を取り戻せるようにと、尽力していた。

 雷門イレブンの活躍もあって、ほとんどの子供たちは本来の純粋で素直な性格を取り戻し、瞳子のことも「お姉ちゃん」「姉さん」と慕ってくれている。仲良くサッカーに興じる姿を見た時は、あの気味の悪いエイリア石がもたらした悲しい事件に“勝った”という感慨すら沸いた。


「でも、ねえ。そりゃあ、気にしちゃうよね……」


 しかし、すべての子供たちが日常に戻れたかというと、そうではなく……慕っていた星二郎に“蟲毒”を施されていたことに深く傷ついたままの子もいれば、逆に星二郎を慕いすぎてエイリア学園としての日々を“間違い”と捨てきれない子もいる。

 八神玲名……ウルビダと名乗っていた彼女は後者で、そして最も影響が顕著に残っているのだった。


「姉さん、督促状が来ている」

「わぁっ! れ、玲名!?」


 ちょうど玲名のことを考えていたので、一部から“氷の女王”とも呼ばれていた彼女の涼やかな容姿が目前に現れ、悩みに没頭していた瞳子は仰け反ってしまう。

 その反応に、玲名は少し傷ついたような表情を浮かべ、それから手にした封筒を突き出した。

 違う、あなたを怖がったわけじゃない……そうすぐにフォローしたかったが、督促状の響きも放っておけるものではない。受け取って、瞳子は小さく「げっ」と呟いた。


「また携帯料金を延滞したのか……いい加減、クレジット決済にすればいいだろう」

「あ、いやー……口座は園の運営資金とか入ってるから、そこから私の私事都合でお金を出すのはちょっと」

「それで直接の支払いを忘れて、こうして督促状が届くようでは元も子もない。姉さんの携帯料金だと知らない郵便局員に“あの園は経営が危ないらしい”などと噂されたら、どうするんだ?」


 まったく以て、その通りである。ぐぅの音も出ない正論。

 雷門イレブンの監督をしていた時は、出かける用事も多かったので、支払いを忘れることはあまりなかったのだが……まるでお日さま園のせいだと言っているようなので、この言い訳は口に出来ず、瞳子はもごもごっと口の中で「すいません……」という言葉を転がす。

 玲名はそれに思わず勢いづき……自分でも思ってもいない言葉が口から迸る。


「まったく、父さんはエイリア皇帝をやっていた時もこの手のボロは出さなかった。姉さんはこれだから……あっ」

「ははは……ごめんね、至らない経営者で」

「い、いや、違う。私は、こんな風に言いたかった訳じゃ……」


 正気に返った後は人間として尊敬しているとはいえ、テロリスト時代の父と比べて足りていないと言われて、ガチ目にヘコむ瞳子。玲名はしばらくの間、視線をせわしなくあちらこちらにさ迷わせていたが、結局謝ることができずに「とにかく、しっかりしてほしい」と追い打ちをかけてしまった。


「はぁぁぁ……仲が悪いわけじゃないはずなんだけどねぇ……」


 玲名との距離感に、瞳子は大いに悩んでいた。距離感というか、正確に言うと互いの間にある壁のようなものに、だ。

 玲名は……ウルビダ時代の玲名は特に、星二郎を崇拝に近い程の勢いで慕っており、実の娘でありながら息子を失った父の悲しみに寄り添うどころか、雷門イレブンを率いて邪魔してくる瞳子に憎悪を燃やしていた……燃やしてしまっていた。

 しかし実際には、本当に星二郎を想って彼の過ちを止めようとしていたのは瞳子の方で、玲名……ウルビダは、星二郎が自分の間違いを認めた際に、逆上して攻撃を仕掛けてしまった。この瞬間に「痛みに寄り添わず、敵対する娘」の立場に、玲名は入れ替わってしまっていたのだ。

 瞳子は全てを許して玲名を受け入れたが、玲名は自分が許せなかった。想像の中の非道な瞳子は自分の中にいて、孝行娘の玲名という理想が瞳子の中にあったことに困惑して、混乱した。

 結果、こうしてなんとも複雑な関係になってしまい、家族として想い合っているのに顔を合わせば傷つけあう(玲名の方の傷は自爆だが)形になっている。


「どうにかしないとね。でも、こういうので魔法の言葉って無いからなぁ」


 とりあえず携帯代を貯めるような真似はよそう、園の子たちの緊急連絡があったらどうする。

 そんなことを想いつつも、瞳子は「はぁぁぁぁ……」と長い溜息を吐き出した。



「──支払いは終わったのか、姉さん」

「うん、ありがとね、付き合ってくれて。じゃあ、買い物して帰ろうか」

「荷物は、私が持つ!」

「ま、まだ何も買ってないから」


 翌日、買い出しと携帯料金支払いに出かけようとした瞳子に、玲名が「荷物持ちで付いていく」と提案してくれた。彼女なりに瞳子と仲良くしたいと色々考えているところで、玲名と本物の姉妹のように仲がいい皇マキが、買い出しに同行してみればと提案したらしい。

 二人で買い出しとなると、まだ玲名がずっと小さかった頃に経験があるくらいだ。あの時はそれこそ、姉妹のように手をつないで、玲名も瞳子に自然に微笑みかけてくれたのだった。


「手……」

「手? 手がどうかしたのか、姉さん」

「あ、いやー……手、つなぐ? とか、言っちゃったり……」

「なっ!? わ、私はもう、迷子になる年じゃないぞ!」

「そ、そういう意味じゃなかったの! どー、どー」


 何ともぎこちない会話が続き、幼き日のようにはいかないなと憔悴する瞳子。玲名の方も「手、つないだほうがよかったのか?」と困惑し、二人の距離はますます微妙なものになるかと思われた、その時だ。

 ふいと、二人の間から顔を出すようにして、長身の女性が話しかけてきた。


「こんにちは。いじらしい姉妹、なのですね」

「きゃっ!? だ、誰!?」

「わ、私たちは……」

「何も仰らなくても、結構ですとも。女神ソラの使徒である私、ショウコは全てを理解しています。姉妹が仲睦まじく、異性愛などという悪徳に侵されぬよう保護せよと、神は私を遣わされたのですから……」


 真っ黒な髪の先端が、青く染まっているという奇妙な外見であり、口にされる言葉は電波の気配がびんびん来る。

 玲名は瞳子を守るように立ちはだかり、瞳子は髪色と狂信的な言葉に「まさか、本当の宇宙人!?」と思ってしまう。


「ね、姉さんに近づくな! この人を傷つける奴は、誰であろうと許さない!」

「玲名、危ない! 私の後ろに下がって!」

「ああ、美しき姉妹の絆。聖典にも数多描かれし、清浄なる縁の輝き。さあ、どうぞ真理の扉を開いてください。きっと、あなた方も我々『ラ・レスボス』の理想の素晴らしさが理解できることでしょう」


 謎の女・ショウコが電波な言葉を口にし終わるのと同時、瞳子と玲名の眼前で何か激しい光が弾け……どこかエイリア石の輝きと似た性質がそこにはあった……光が収まった後には、そこには怪しい女が立っているだけ。

 消失してしまった二人を特に気にかける様子もなく、ショウコは実にすがすがしい笑顔で街中にふらりと消えていった……。



 ──抱きしめながら、むちぃぃ……と上に引っ張るように尻肉をこねられる。

 玲名の喉から「あぁっ……♥」と甘い声が漏れ、瞳子の胸に顔を埋めて少しだけ饐えた汗の匂いを夢中で嗅いだ。すんすんと鼻を鳴らす度、大好きの気持ちが胸奥から湧き上がってくる。


「(姉さん♥ 姉さん♥ ああ、なんていい匂いがするんだ……♥ 私なんて、サッカーばかりで汗くさいのに……♥ すぅぅ……お、大人の女の人って、みんなこんなに甘くて安らぐ匂いがするのかな……♥ ん、ふぅぅっ……姉さんにお尻揉まれるの♥ ケツ♥ ケツ揉まれるの気持ちいいっ♥ と、溶けそうぅぅ……♥)」

「玲名、玲名ぁ……♥ 胸の中でお鼻すんすん鳴らして、可愛いね♥ んっ……ふぅぅっ……♥ サッカーで鍛えた玲名のお尻、ものすごく揉み応えがあるわぁ……んんっ♥ 好き♥ 玲名、好きよ……ここ、他の誰にも触らせちゃダメだからね……私の、玲名ぁ……♥」


 ここは、大人のホテルの一室。

 二人は受付などしていないのだが……そもそも、玲名はまだ未成年である……問題なく契約は交わされた状態になっており、ここでゆっくりと二人は愛を交わしても誰にも責められない。

 そう、愛情だ……今の二人は複雑な心の壁など端からなかったように、相手を恋の対象としており、世界で一番愛しい相手と認識して愛撫を重ねていた。

 特に瞳子は、庇護対象でもあるはずの玲名へと湧き上がる感情と、その体を愛撫する背徳の興奮で、すっかりと“出来上がって”しまっている。


「ん、あぁぁっ……♥ 姉さん、だけだよ……♥ 姉さん以外に、興味ない……触らせるなんて、嫌だ……♥ 姉さんは、ずっと私の憧れだった♥ 優しくて、愛情に満ちて、自分が辛い時に人のことを考えられる人だった……♥ だ、大好きだ♥ 父さんの娘だからじゃない♥ ずっとずっと、姉さんに惹かれてた……♥」

「本当に? 私、結構なポカしちゃうし、玲名に迷惑ばかりかけて、避けられてるのかと思ってた……♥ ねえ、玲名……キス、しましょう♥ 家族のキス……他のみんなとは少し違う、恋人同士……ううん、奥さん二人の、契約のキス……♥ 玲名、私のお嫁さんになって♥ 一緒に、お日さま園のみんなを支えてよ♥」


 尻を揉んでいた手を胸に当て、玲名の年相応に発育したそこを優しく揉み上げながら、瞳子は提案する。

 それはショウコによる催眠で好意を操られた結果なのは間違いないが、しかし「家族になりたい」「もっと親しくなりない」「父の刻んでしまった傷を癒したい」という気持ちは、まぎれもなく本物だ。そのための手段が、好意によって変化している過ぎない。


「あんっ……あぁっ♥ 気持ち、いいよぉ……姉さん……♥ そ、そんな風に優しく、私の胸を触りながら誘われたらぁ……あっ、んんっ♥ お、女の子は断れないに決まってる……♥ どんな女の子でも、瞳子姉さんに夢中になって好き好きなお嫁さんに堕ちてしまうぅ……な、なりたい♥ 私を姉さんのお嫁さんにして……♥」

「玲名、可愛い子……♥ 大人のキスで、もう後戻りできなくさせてあげる……中毒にさせてあげるんだから♥ もう二度と、私以外に恋愛感情抱けないようにする……玲名は私の嫁なんだからいいよね♥ んんっ♥ ちゅっ……ちゅむっ……ちゅるっ、れぇ……♥ ちゅっ、ちゅずずっ♥」

「んっ、あぁぁ……姉さん、姉さぁん……♥ は、はい♥ 姉さん以外、見ません♥ 一生、姉さんだけ愛します……姉さんと、結婚するからぁ♥ んっ、ふぅぅ……舌、甘ぁぁ……♥ んじゅっ、ごくっ……もっと、飲ませてほしい……♥ 姉さんのキス♥ もう、私……姉さんのキスだけで生きていけそう……♥ は、ふぅぅ♥」


 唇同士を押し付け合い、互いの舌を絡め合って、唾液を交換し合う激しいキス。年齢差があることも、心のわだかまりも、すべてが甘く蕩けていく。互いに想い合っているのは、間違いなのだから……それが愛にコーティングされても、何も問題はない。


「んんっ……はぁぁぁ……♥ 柔らかくて、最高ぅぅ……♥ 大好きよぉ、玲名のお尻♥ もっとぐりぐりって押し付けてぇぇ……♥」

「ね、姉さん、恥ずかしい……♥ んっ……姉さんの吐息がかかって……あっ♥ んんっ♥ えっちなおつゆ、出ちゃうぅ……♥」

「体重、もっとかけて♥ そう、その調子……ふぅぅっ……♥ 好き♥ 大好きよ、玲名……♥ んちゅっ……玲名の下のお口と、私の唇がキスしちゃった……♥」

「きゃふぅぅぅっ……♥ ね、姉さんっ……♥ あぁぁっ……♥」


 互いの好意に浮かされるままに、散々に揉みしだかれて性感帯になったムチケツを、瞳子の顔の上にのせていた玲名だが、大事な場所にキスをされてしまい、それだけで身を反らして絶頂する。瞳子は体重が柔らかい尻に乗ってご満悦だったが、玲名は「姉さんにお嫁に行くしかない」という想いを、ますます強める。


「ね、姉さん……♥ 夫婦は、お互いのお大事を押し付け合って、こすり合わせて気持ち良くなるんだろう……? そ、そのくらいの知識なら、私にもあるんだ……♥ 遠慮、しないでほしい♥ 姉さんに、気持ちよくしてほしい……私のすべてを、姉さんのモノにしてほしいんだ……♥」

「エッチな玲名♥ どこでそんな悪いことを覚えたの♥ もう、手加減してあげられないんだから……♥ 覚悟してよね、玲名ぁぁ……♥ ほ、本格的に可愛い玲名のこと、嫁として扱っちゃうんだから……♥ ほぉら……エッチなキス、しましょうねぇ……♥」


 玲名のそこと違い、瞳子のお大事はふっさりと毛が茂っていて、それだけでもエッチすぎて改めて恋に落ちてしまう。

 自分から足を開いて待ち受ける玲名に、片方の足を抱えるようにして、瞳子は蹲踞の姿勢で秘所を押し付け、こすり上げてくる。陰毛が玲名のつるつるおマ〇コに触れて、先まですらも相手にならない刺激を伝えてきた。


「あぁぁぁっ♥ 姉さん、姉さんっ♥ すごっ……これ、すごひぃぃっ……♥ 気持ちいいっ♥ 気持ちよすぎるぅぅぅっ♥ 頭ふわふわになって♥ 全部忘れるっ♥ 嫌なこと、ぜんぶぅぅっ♥ ごめんなさい、姉さんっ♥ 好きですっ♥ 愛してる、姉さんっ♥ あぁぁっ♥ 気持ちいいよぉぉっ♥」

「玲名っ♥ こ、こういうときに好き好き言ったら効果的だって、分かってるのね♥ このぉぉ……♥ 手加減、しないんだからぁ♥ 玲名のこと、絶対に私にモノにする♥ 結婚っ♥ 結婚っ♥ こんなエッチなキスしたら♥ か、貝合わせしちゃったら♥ 責任取るしかないんだから♥ 私にお嫁さんになるのよ、玲名ぁっ♥」

「ひあぁぁぁっ♥ んはぁぁぁぁっ♥ す、すごひぃぃぃぃっ♥ 好き、好きぃぃぃぃっ♥ 姉さん、好きっ♥ 姉さんのとの、セックス大好きぃぃっ♥ あい、してっ……♥ あぁぁっ♥ あなたぁぁっ♥ 玲名は、瞳子さんの嫁なんだぁぁぁぁっ♥」


 互いに激しく達しあい、瞳子の愛液がとろぉぉ……と玲名の中に流れ込む。

 玲名は「赤ちゃんができてしまう……」と思いながら、自分のお腹を撫でて幸福を噛み締めつつ、覆いかぶさって「玲名♥ もう一回、しよ……♥」と囁く最愛の人を受け入れた。



「姉さん、なにか手伝いたい♥ 今日の夕飯は、一緒に作ろう?」

「玲名が手伝ってくれるなら心強いわぁ♥ それじゃあ、お野菜の灰汁抜きしてくれる?」


 それは、お日さま園の子供たちが全員渇望していた光景だった。

 しかし、同時にこんなにも性急に訪れると思っていなかった光景だ。


「ヒロト、これどうなってるの?」

「俺に聞かれても、困るよ……」


 マキと吉良……旧姓基山……ヒロトは、互いに顔を見合わせ、朝とはまるで異なる二人の様子に目を丸くする。

 そんな周囲の反応など何処吹く風で、新婚の夫婦のように仲睦まじく、瞳子と玲名は家族のための食事を作り続けるのだった……。

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