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 ──ぱんっ♥ ぱんっ♥ ぱんっ♥ と激しく肉と肉の打ち合う音が響く。

 片方が片方を四つん這いにさせ、腰を激しく打ち付けている行為……男女の営みに見えるそれだが、行っているのはどちらも女性である。

 栗色の髪の少女と、金髪の女。どちらも飛び切りの美女。

 野性的な雰囲気を双方持ち合わせているが、今は腰を打ちつけている方の金髪の女が、お互いの間の主導権を握っている。


「はぁ……はぁ……♥ レイ、気持ちいい? エイラ、気持ちいい……♥ レイの中、狭くて、キツくて……♥ ビリビリ、全身届く♥」

「はぁぁっ……♥ んっ、あぁぁっ……♥ きもち、いいよ……♥ アタシのナカ、エイラの形になりそうだ……♥ あっ、あんっ♥」

「レイ、エイラのもの♥ エイラ、レイのもの♥ 互いとしか、交わるに許さない♥ レイ、浮気、許さないっ♥」

「浮気なんて、してなっ……♥ あはぁぁぁっ♥ は、はげしっ……奥っ♥ 子宮まで、届くっ……♥ エイラぁぁ……ふ、不安になるなら、もっと徹底的に躾けなよ……アンタしか見ないようにさ……♥」


 腰を打ちつけるだけでなく、平手で瑞々しい尻肉を打擲していたエイラと自称する女は、荒い息のままにレイと呼ばれた少女に圧し掛かり、蹲踞の姿勢で腰をヘコつかせる。

 そうしてみると、レイの中に挿入されているものの正体が分かる……尻尾だ。

 エイラの腰の辺りから伸びたしっぽが激しく挿入され、レイのまだ初々しい秘所を掻きまわしているのだ。


「レイ、言え♥ エイラのもの、宣言しろ♥ エイラ、レイ、愛してるぞ♥ レイ、言え♥ エイラ、愛してる、言えぇっ♥」

「あぁぁぁっ♥ んひぃぃぃぃっ♥ そ、そんな恥ずかしいこと、わざわざ……はぁぁっ♥ あ、愛してるっ……エイラだけ、エイラだけだからぁぁっ♥ アタシのツガイは、エイラだけだよぉっ♥」

「レイ、レイっ♥ 可愛い、可愛いヤツ♥ 一生、離さないっ♥ エイラの嫁♥ エイラの宝♥」


 レイの首筋に、まるで排卵を促す猫のようにガリリと噛み付くエイラ。

 少女は激しく仰け反る様に絶頂し、その美しい顔に十字の傷が刻まれているのが露わになった。


「はぁぁぁ……エイラぁぁ……♥」

「ふぅ……ふぅ……レイ……♥ 好き♥」


 ぬぽっ……と尻尾が引き抜かれる。

 エイラは一息吐いたように、レイを自分の腕枕に抱き寄せようとしたが、そのままレイはころんと転がってエイラの上に跨った。


「レイ……?」

「やられっぱなしで終わる訳ないだろう? ツガイは対等で無きゃね……何より、エイラがアタシの強さに惚れたはずさ……泣いてアタシの名前しか言えなくなるまで、可愛がってやるよ……♥」


 エイラの頬に口づけが落とされ、攻守を転換して行為が続行される。

 ……レイとエイラ、二人は性別を超えたツガイであるが、同時にもう一つ越えているものが存在する。

 それは、時代。片や多くの拳法が鎬を削っていた時代、片や大地に掟が支配する原始の時代……生まれた時が、大きく違う。

 そんな二人が出会い、結ばれたのには──少しばかり、変わった契機があった。

 


 ──とある深山の頂上。

 三つ並んだ墓の前に供え物をすると、その若々しい少女は静かに演武を始める。

 まるでそこに眠る者たちに、己が研鑽を認めてもらいたいと言うかのように。


「──山のごとく動じぬ精神。水のごとく、たおやかなる心を常とする」


 その動きは非常に緩慢であるが、奇妙に人の心を掴む動きであり、武闘と舞踊が元は起源を同じくしているという説を、肯定しているかのようであった。

 左の頬に十字傷を刻みながらも、若々しいばかりではない美しさを、少女はその身に称えている。

 演武の醸し出す美は、使い手の美しさだけに依存するものでは無いが、間違いなく美の要素の一つとして大きな意味合いを果たしているだろう。


「だが清流も場合によっては──」


 少女の動きが、変わる。

 滑らかさと人を惹き付ける蠱惑はそのままに、速く鋭く、そして勢いを増していく。

 先までは空気が己の中を透過されていると気づいていないほどの穏やかさであったのに、今は少女の周りだけに豪風が巻き起こるほどであった。


「岩をも砕く、激流となる!」


 少女の拳が、真っ二つに割れた大岩へと叩き込まれた。

 どれほどの威力を籠めれば、このようなことが可能なのか。爆弾や大砲の類でも難しいようなそれは、まるで拳でなされた様に岩の下部に拳打の痕がある。

 しかし今回起こったのは、ただ岩を割ることを上回るほど絶技……拳によって突き動かされた岩同士が衝突し──あまりにも強く速い動きで叩きつけられたせいで、二つに割れていた部位が今度は潰れて癒着し合い、再び一つの岩に戻っていたのである。

 ただ大岩を動かす力だけではない。それを均等に分配し、岩全体に伝導させる妙技。妖術めいてすらいる技の冴え──師範の何に相応しいものであった。


「──それでも、きっと若い頃のジジイにはまだ及ばないんだろうね」


 残身終えた後、先代師範の墓へ向けて礼を行う少女の名は、レイ・クウゴ。

 肉体より精神に重きを置き、人としての強さを追求する拳法──心山拳の現師範である。

 とある拳法集団との抗争によって、師と兄弟弟子を失った彼女は、断絶寸前の心山拳を後の世にも伝える為、まずは己の力をかつての師……見たこともないが想像はできる、先代心山拳師範の全盛期に近づけるべく、ひたすらに修行に打ち込んでいた。


「きっとジジイが若くて、アタシみたいな足手纏いがいなければ、一人でだって義破門団に勝てたはずだ。まずは、その域を目指さないとね」


 これほどの技量を若くして治めながら、更なる鍛錬へと励まんとする若き師範。

 レイは続いて基礎の鍛錬も兼ねて、墓掃除に映ろうとしていたが──そこでふと、奇妙な音を聞いた。

 まるで闇の底から聞こえるような怨念の声──では、ない。

 車輪の外れかけた馬車が暴走しているような、人に不安を覚えされる轟音である。雷かと一瞬疑うが、空は晴れ渡っていて雲一つ見えない。


「なんだい、この音は……? 地鳴り? 違う、あくまで空から聞こえる……空ってのは、鳴るものだったかね?」


 それでも音の出所を探して視線を泳がせていると……急に虚空から湧くように、銀色の鳥が姿を現した。


「な、なんだい、あれは?」


 まだ若く経験が足りないとはいえ、心山拳の継承者となったレイでも、その異様な光景には思わず目を丸くしてしまう。

 その鳥は羽搏く様子もなく、それどころかよく見れば頭のついていない異形であり、ふらふらと危うい滑空を繰り返した後……よりにもよって、レイの方へと突っ込んできた。


「鳥じゃ、ないっ! 鉄の塊っ!?」


 それが生き物ではなく金属で出来た船のような形をしており、注視すればギヤマンのような透明の蓋の中に人の影まで見える。

 レイの素早さならば回避するくらいは容易いが、あんなものが落ちてくれば墓が木っ端みじんに吹っ飛んでしまうかも知れない。


「くぅぅっ……ジジイ、ユン、サモ……! アタシに力を貸してくれ──両の拳は、竜虎の腕をも受け止めるっ!」


 よりにもよって突っ込んでくる金属の塊に、拳法の構えを取ってみせるレイ。

 何度か勢いを空中で殺すという、奇妙な軌道と共に落下してきたそれを──レイは全霊を振り絞り、両手を使った一撃で受け止め……そのまま地面が抉れるほどの衝撃をすべて足を伝って地面に苦し、その上で横振りに投げ飛ばしてみせる。

 竜虎両破腕──竜や虎の爪すらも勢いを殺して逆に破壊する、心山拳の技の一つ。

 流石に無茶苦茶な質量相手に行った為、反撃の拳を叩き込む余裕もなく、放り投げる形になってしまったが、金属の塊は普通に落ちるよりはかなり勢いを殺して転がり……やがて山頂から転がり落ちる寸前で動きを止めた。


「はぁ……はぁ‥‥‥な、なんなんだ? 天仙の乗り物か何かとか?」


 仙人の宝貝(魔法の道具)の類かと疑いながら、肩で大きく息を繰り返すレイの前で、ギヤマンの蓋が開いた。

 中から転げ落ちてきたのは、妙な格好をした者が女ばかり三人。美女ばかりなので、改めてレイは天女が降ってきたのかと疑う。


「もう、エイラ! あなたを送り届ける途中なんだから、暴れないの! 歴史が変わっちゃうでしょうが!?」

「ルッカ、マール。エイラのこと、仲間外れにした。隠れて口づけ、見逃さない」

「え、えぇぇ……な、なんのことかなぁ~? わ、私もルッカも、クロノが好きなんだけどぉ~? ノンケですけどぉ~?」


 青い宝石をはめた首飾りをかけ、肩を丸出しにした少女。

 片方にだけ角が生えたような、妙な兜を被る紫の髪の女。

 それと……野獣の毛皮を身に纏った、金髪の逞しい烈女。

 ユンファの町でも見かけないような、奇体な格好をした三人の少女たちに、レイは警戒しながら話しかける。


「あんたたち、崑崙山から来たのかい? 天女っていうのは、もう少しお淑やかなものだと思ってたよ」

「あ、あなた! シルバードを投げ飛ばすとか、一体何者なの!?」

「ちょっ、ちょっとルッカ! 助けてくれたんだから、まずはお礼でしょ!」


 兜女がこちらへ向けてくる妙な筒、まさかあの先から仙術で雷電が飛び出してくるのだろうか。

 油断なく構えるレイは……しかし、勢いよく突っ込んできた金髪の女に押し倒された。


「うわぁっ!? あ、あんた、一体なにを……!」

「お前、強い! エイラ、強い者、好き! お前、クロより強いかも!」

「誰だよ、クロって!? え、あ、おい、ちょっとあんた……んむぅぅぅぅっ!?」


 そうして、エイラと自ら名乗る金髪女は──レイの唇を、貪るように奪っていったのだった。



 ──ブチ切れたレイがエイラに殴りかかろうとするのを、何とかマールとルッカが止めて……怒っている人を見ると、逆に自分は気持ちは落ち着くものである……三人組は心山拳老師の住処であった小屋へと案内されていた。


「あんな鉄の塊が空を飛ぶなんて、信じられない話だね……妖術だって言われた方が、まだ信用できるよ」

「科学に不可能は無いのよ! それを妖術とか仙女とか言われるのは不服だわ!」

「そう言っておけば、ごまかせそうだったのに……」


 最初はレイの勘違いに乗っかって「空から落ちてきた天女」を装うとしたマールであったが、乗ってきた機体を「仙人の宝貝」と言われたルッカが解説モードになってしまった為に方向修正……空を飛ぶ金属の塊ことシルバードの飛行実験中に事故が起きたという話で、何とか落ち着いていた。

 本当は……シルバードは時空を超えるタイムマシンであり、マールたちはそれを使って星を滅ぼす怪物“ラヴォス”を撃退し、様々な時代から集まった仲間たちを元の時代に返している最中に事故を起こしたのだが、流石にそれを話して信じてもらえるとは思えない。

 シルバードが空中から降ってきたまではレイも実際に見ている為、なんとか信用してくれた……というより、レイは先の濃厚なキスからずっとまとわりついてくるエイラの相手に追われており、それどころではない感が強い。


「この、くっつくんじゃないよ! 離れなってば! ……ともかく、あの妙な空飛ぶ船が治るまでは、行き場所が無いってことだろう。だったら、ここでしばらく過ごせばいい。山頂まで行くにも楽だしね」

「え、いいの!? 私たち、既に現在の時点で相当迷惑かけてると思うんだけど」


 意外な提案に、言わずもがなの本音が漏れた。

 これには、エイラを押しのけつつ礼の顔にも苦笑が浮かぶ。


「そう思うなら、まずはこの娘に離れるように言っておくれよ……アタシだって、そんなお人よしじゃないさ。けれど、この家を使ってたのは、そんなアタシでもここに置いてくれるような人だった。なら、元の家主の意向を優先したっていいはずさ」

「ありがとう、助かるわ! 二、三日で修理は終わるはずだから……そういうことでエイラ、世話になるんだからいい加減離れなさい!」

「エイラ、自分より強い相手の命令聞く。ルッカ、頭いいけど、弱い。だから、命令聞かない」

「な、なんですってーっ! か、確定9999ダメージ出せるからって、最強武器がランダムダメージな私を馬鹿にして!」

「言ってない、言ってないよ、ルッカ!?」


 エイラだけではなく、マールもルッカも随分と姦しい。

 この家がここまで騒がしくなったことは、レイの記憶ではない。師匠は常に物腰が柔らかく怒鳴り声を上げることも無かったし、兄弟弟子たちはおっとりしていたり控えめだったりと、レイが一番姦しかったくらいだ。

 それでも、久しぶりに四人分の活気が宿った家を、レイは何処かで好ましく感じていた。



 ──日が落ちて、ルッカたちが眠りについた後。

 レイは一人で起き出して、小屋の前で朝に中断した演武の続きを行っていた。

 他者と会話をしながらの食事など、久しぶりだった。レイは親無しの孤児であり、気付けば山林で追い剥ぎをして生きていた。もしも心山拳老師と出会わなければ、チンケな野盗として生涯を終えていただろう。

 辛い別れもあったが、拳法を学ぶ日々はレイに人生の潤いをくれた……久しぶりの他者との深い交わりに、レイは受け取ったものの大きさをしみじみと感じ入る。

 万感の思いを込めて、拳と蹴撃を奮っていると……ある意味、予想していた相手が姿を現した。


「エイラ、だったっけ。まだ引っ付き足りないのかい?」

「──レイ、強い。でもエイラ、レイの強さ、じかに知りたい」

「……ああ、ただの変わり者じゃないと思ってたよ。くっつかれた時に触れた体の鍛え具合が、並大抵じゃなかったからね」


 昼間の爛漫な様子をすっかりと控えさせ、エイラは爛々と闘争心の炎を燃やしながら、みしみしと周囲に音が響くほど強く拳を握り、レイに向かって野生の構えを取ってみせる。レイの我流拳法も山林に住む虎などの猛獣を参考にしたものだが、エイラのそれは更に動物に近しいように思われた。


「どんな言葉よりも、こいつは手っ取り早くて分かりやすい──かかって来な」

「ガァァツ!」


 エイラが力任せに拳を突き込んでくる。

 竜虎両破碗で腕を使えなくするか、それとも蛇形拳で締め上げるか……レイは頭ではそう判断していたが、体は咄嗟に拳を回避していた。

 背後の大木へと拳が突き込まれた瞬間、ぱぁんっ! とまるで紙風船のように三分の一ほどがはじけ飛び、ずずんと倒れ込んでいく。


「なんて滅茶苦茶な威力だ……!? あの鉄の塊よりも、エイラの拳の方が強いんじゃ……はっ!?」

「ほぉぉぉうっ!」


 ごろんごろんと回転し、そのまま勢いを乗せてエイラは蹴りつけてくる。

 両手を交差して受け止めたレイだったが、そのまま体が浮き上がってしまい、下りる前にエイラが組み付いてきた!


「がるるるっ! エイラ、強い! レイ、この程度か!」

「くっ!? つぁ……これ以上、顔に傷を増やされちゃたまんないんだよ!」


 引っ掻きと噛み付きを仕掛けようとしたエイラだったが、レイが舞踊めいた奇妙な動きを取る。

 一見すると攻撃に繋がらなさそうな動きに、思わず見入ってしまったエイラだが……レイに組み付いていたはずの手足が知らない間に打撃され、ぼとりと力を失って倒れ込んでしまう。


「──老狐の舞。ジジイの得意技だったね」

「ふぅぅっ! レイ、すごい! エイラ、こんなの知らない!」


 エイラは痺れてしまった手足を見て嬉しそうに叫ぶと、突然その体を回転させ始める。

 それまで体に巻き付けていた尻尾が猛烈な勢いでエイラの周囲を薙ぎ払い、その勢いのままに引き起こされたつむじ風がレイを襲う。

 天然自然まで操るエイラの技に、思わずレイは息を呑んだ。拳法と言う、ある意味では“人間らしい”技術とは違う強さが、エイラの身には溢れている。


「るぅぅっ、あ゛っ!」


 追尾してくる旋風の対処に頭を悩ませる内、エイラはそこらの大岩を持ち上げると、レイの進路に向かって投げつけた。

 進めば岩に潰される。止まれば風に切り刻まれる。ならばどうするか。

 レイは──エイラに向かって飛翔した。


「水鳥脚!」

「しゃっ!」


 エイラが飛び上がり、レイの蹴りと迎え撃つ。空中で蹴りと蹴りがぶつかりあい、発生した衝撃で旋風が消え去る。レイはそのまま後ろに飛び下がろうとするが、エイラは蹴りを連続で放ってくる。


「(二段蹴り……いや、三段蹴りか!)」

「がぁぁぁぁぁぁっ!」


 技を放った後のレイは無防備だ。空中という回避の効かない場所で、渾身の蹴撃が叩き込まれ──レイの体は、これまでの修練で叩き込まれた動きを自然となぞっていた。

 エイラの蹴り足の膝をとんっと足裏で打って停止させ、そのまま逆に“エイラの足を踏み台にして”蹴り飛ばす。

 百里道一歩脚──空中で放つのは初めてだが、老師の教えは自然な動作にまで高まり、レイの中に刻まれていた。


「あ、ぐっ……ぎゃふんっ!」


 恐らくエイラにとっても、渾身の技だったのだろう。それを潰された反動は大きく、麻痺したようにエイラはひっくり返る。

 たとんと足を揃えて大地に降り立ったレイは、その場で静かに残身を行った。


「……エイラ、強かった。でも、レイ、もっと強い。エイラ、なに足りない?」

「……さあね。心じゃないか」

「こころ」


 師の言葉を適当に借りて言い放ってみただけで、レイにはエイラと自分にそこまで大きな差があるようには思えなかった。

 しかし、エイラは何やら気に入ったようで、「こころ、こころ!」と嬉しそうに月に向かって繰り返していた。

 レイはエイラを起こしてやる為に、歩み寄って手を差し出す。すっかり汗をかいてしまった、湯あみをしないと寝られないだろう。


「レイ……エイラ、ケッコンする!」

「は? 今、なんて……決闘かい? だったら、また明日にでも」

「違う! ケッコン! レイ、エイラ、結ばれる!」

「……はぁぁぁぁっ!?」


 そもそも兄弟弟子たちと出会うまでは、レイは女扱いを受けた経験自体無かった。

 恋愛や結婚などというものは、言葉は知っていても意識したこともない。それでも、男女の間に行われる営みだという知識はある。


「エイラ、あんた頭を打ったのか? やり過ぎたなら謝るけれど、完全に錯乱して……」

「エイラ、正気! エイラ、強いヤツ好き! レイ、一番強い! エイラより強い! だから、レイとツガう! コヅクリする!」

「あのねぇ……あんたもしかして、アタシより田舎の生まれだったりするのかい? 子供なんて女同士じゃ生まれな……んふぅぅっ♥」


 完全に呆れた口調のレイに向かって、エイラはむぁっ……♥ と甘酸っぱい汗の匂いが籠った腋を見せつけて、ぱちりと片目を閉じて見せる。

 エイラの剛拳に並ぶ最強の武器……得体のしれない化け物や、機械生命体ですらも魅了してしまう、必殺の“いろじかけ”である。

 普段は意識こそしていないが、年若く多感なレイには効果は抜群であり、元より同じ女でここまでレイと打ち合えた者は義破門団のチャン・リン・シャンの三姉妹が三人がかりでやっとだったのもあり、レイの中でエイラへの好感は高かった。

 気付けばレイは、荒い息を吐きながらエイラにのしかかっていた。


「はぁー……はぁー……♥ あ、アタシはどうしちまったんだ……え、エイラが可愛く見えて仕方ないよ……♥ こ、こんな魅力的な匂いさせて♥ アタシを誘って♥ わ、悪い女だね♥」

「んっ、あぁぁっ……♥ レイ……エイラ、自由にしていい……♥ 強いもの、誰より自由、それが自然の掟……♥ んんっ……♥」


 レイは自然とエイラの唇を奪うと、その下半身に繊細な指を這わせ、刺激を加えていく。

 性経験のない、それこそ自慰すらも知らないレイであるが、拳法に通じると言うのは人の体に通じるということ、壊し方だけではなく治し方や快くする方法も知ると言うことである。

 何よりも、エイラとは拳を交わして実力を知らしめ合ったばかり……レイの指先は的確にエイラの性感帯に触れ、婚姻を望む乙女の性感を高めていく。


「くっ、あぁぁっ……♥ レイ、じょうず……♥ エイラ、こんな気持ちいいの、知らない……♥ ますます、レイ、好きになる……♥」

「あ、甘えたこと言って……♥ ふぅー……♥ んふぅー……♥ こんな匂い撒き散らして、どんな女にも同じこと言ってるんだろう♥ マールやルッカとはヤッたのかい♥ 正直に言わないと、やめるよ♥」

「あっ♥ あぁぁっ♥ 腋、気持ちいいっ♥ 好きっ♥ シ、シてない♥ エイラ、処女……♥ エイラ、人間の長……だから相手、選ぶ必要が……あぅぅっ♥」

「ふぅぅっ♥ どうだか、こんな風に腋を軽く噛まれて♥ じゅずずずっ……♥ 啜られただけでイキそうになる淫乱じゃ、信用できないね♥ 二度とここを誰かに触らせるんじゃないよ♥ ここは、アタシ専用のマ〇コになるんだからねっ♥ そら、言ってみなよ♥ 淫乱エイラ、腋マ〇コって言え♥ やめるよっ♥」


 エイラは弱々しくいやいやと顔を振っていたが、指先で秘所を弄り回されながら腋を啜られるとすぐに白い喉を見せて絶頂し、小さな声で「わ、腋マ〇コ……♥ レイ、専用……♥」と囁いた。


「本当にいやらしい女だよ♥ 朝からずっと、ぷんぷん発情臭させてアタシ相手にサカって♥ そんなに嫁になりたいなら娶ってやるよ♥ エイラはアタシだけのものさ♥ ほら、イキなよっ♥ 恥ずかしいのお漏らししながらイクんだよっ♥ エイラ♥ エイラぁっ♥ アタシと結婚しろっ♥ アタシだけのモノになるって誓えっ♥」

「ぎゅぅぅぅうっ♥ マ〇コっ♥ 腋マ〇コ♥ どっちも、すごっ……♥ な、なるぅぅっ♥ レイのモノ、エイラ、レイだけのモノぉぉっ♥ レイ、以外、いらないっ♥ レイだけ、愛すぅぅっ♥ レイに飼われたいっ♥ ケッコンっ♥ 嫁、なるぅぅぅっ♥ あぎゅっ♥ 腋、イグぅぅぅぅぅぅぅっ♥」


 レイの手へ大量にイキ潮を噴きかけながら、腋を噛まれて舐められて、性器に変えられながら娶られるエイラ。

 レイはその逞しい体を抱きしめ、何度も「誰にも渡すもんか……エイラはアタシのだけのもんさ……♥」と繰り返し……やがて再び発情して、腋マ〇コをなめしゃぶりながら今度は尻を弄りだすのだった……。



「──エイラ、レイとケッコンする。この時代、残る」

「ええええええええっ!?」


 シルバードの修理が終わり、原始の時代にエイラを変えそうとしていたルッカとマールは、突然の宣言に驚きの声をあげる。

 レイはレイで、今は“いろじかけ”も解けて正気に戻っているが、襲ってしまった責任感に加え、生来持ち合わせる優しさから庇護欲もわき、すっかりとエイラを愛するようになっていた。


「そういうことなんだ。悪いけれど、エイラを連れてくってなら、アタシが相手になるよ」

「シルバードを投げ飛ばすような相手と喧嘩する訳ないでしょ……」

「ど、どうするの、ルッカ! エイラは……」


 エイラは、実はマールことマールディアの遠い先祖にあたる。

 もしもエイラが原始の時代で子孫を残さなければ、タイムパラドックスでマールどころかガルディア王国自体が消えてしまうかもしれない。


「落ち着いて、マール。シルバードの座標によると、どうやらここはA.D.600年からは少しだけ前の時代のはずよ。ここでエイラが何らかの形で子供を残せば、その子が流れ流れてガルディア王国を起こす可能性が……」

「だから! 女の子と結婚したら無理でしょ!?」

「おーほっほっほっ! ガルディア王国初のW女王を目指す、このルッカに不可能は無いわよ。これからマールと子作りをする方法を研究して、それをまたこのエイラに施せばいいってワケ!」

「な、なんだか卵が先か鶏が先かみたいな話になってきた……わ、私が消えちゃったら、クロノと二人で絶対に助けてよ!」


 マールとルッカはしばらくの間、よく意味の分からない漫才めいたやり取りを繰り返していたが、やがてエイラと一度抱擁してから、シルバードに乗り込み飛び去って行った。落ちていく時よりもずっと早いシルバードの飛翔に、正直レイは驚かされた。


「……さて、アタシは心山拳、この拳法を受け継がなきゃいけない。エイラにも協力してもらうよ」

「任せろ! 強いヤツ、たくさん鍛える!」


 時代を超えた二人は爽やかに微笑み合い、更なる力の探求と継承を誓い合う。

 山頂へと連れ立って歩いていく新婚の婦婦であったが──その行く先に、不穏な黒雲が立ち込めているのには、まだ気づいていない。

 エイラたちが滅ぼしたラヴォスですらも、その一部でしかない──“憎しみ”という世界の理との戦いが待つことを、二人は知らない……。



──最終編に続く

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Comments

とろがけ

リクエストお応え頂きありがとうございました! 最高にえっちなレイ×エイラ、ありがとうございます!腋舐めにしっぽ挿入、見たかったプレイが満載でした! これで最終編は女の子が増えるぞ、やったねオディオちゃん!(やめろ)

屋根が高い

リクエストありがとうございました! 思った以上に筆が乗りました…レイもエイラもいつかレズ堕ち書きたかったので、ちょうど良かったです! 最終編、実は主人公は全員様々なスクウェア作品から集められた女の子で、ボスはアリシアとか…w