ついててかわいいおんなのこレビューをお願いしてみた (Pixiv Fanbox)
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こんばんは稲荷もちです!
いよいよふたけっと31が目前ということで気分も高揚してきたところですが、浮かれているとどんな落とし穴が旅先で待っているかわかりません…
というわけで、今回の企画は稲荷もち初の同人お漫画「ついててかわいいおんなのこ」について振り返る目的で同作のレビュー記事を依頼してみる企画をやってみようとおもいます✨
今回レビューをお願いしたのは、エロゲのシナリオなども手がけておられるライターの赤坂翔先生になります。
せっかくなので、忌憚なく「思ったっことは何でも記事にかいてもらって構いません!」とお伝えしたので、客観的に第三者から稲荷もちの作品がどんなふうに見えているのか書いていただきました!
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日本一お金の稼げないライターが明日食う米もないと泣いてる所に仕事を振ってしまったかわいそうな同人屋さんが世の中にいる。
そのかわいそうな同人屋さんがここのブログの管理人である稲荷もちさんだ。
率直に言って、同情するがお金はきっちり頂く。
そんな安達祐実主演の名作ドラマを見て育ってしまった稼げないライターがボク「赤坂 翔」だ。
曰く「ぼくぁね、ちゃんとしたレビュー記事って言うのを見たいんだよ」と半分泣き付かれたような形なのだが、お金を払われてしまった以上、きっちりと仕事をしないといけない。
明日、ゴジラが攻めてくるとか、コロニーが落ちてくる予報が無いのだから仕事をしないといけないのが世の常である。そしてボクは文字を叩かなきゃ死ぬ生き物だ。おそらくメダカより簡単に死ねる。
かわいそうな稲荷もち氏の唯一幸運だったことは、ボクが小学校の時に好き嫌いせずになんでも食べなさいと言われたことを今でも律儀に守ってることだ。
フタナリ物も偏見が一切ない。それどころか好物だ。コミケでは一時期特殊性癖島を絨毯爆撃してたような時期もあった程度には食わず嫌いのない生き物だと個人的には思っている。
そんなボクなりに本作のレビュー記事を書いていくことになるのだが……
今回は2021年に発行された「ついててかわいいおんなのこ」だ。
サークルとしては初めて発行された同人誌になる。
いわゆる支援サイトで発表されてた短編をまとめたオムニバス。全体的な作風は「合意有り」「イチャラブ」「おっぱい大盛り」「汚っさん多め」がメインとなる。
……まるで料理番組のような回りくどい説明だが、目玉焼きにソースか醤油か、塩かで揉める前に一言「ポン酢をかけるが構わないな?」と告げる親切心としての解説だ。
なにより、個人的なイメージとしていわゆるフタナリ物と言うと昔から凌辱だったり調教だったりとハード目な物が多いような印象もある。
作風をしっかりと解説しておかないと表紙やサンプルだけで買ってしまった人が買ってから後悔することになる。性癖が広い自負があるからこそ、それを避けるのもレビューの上では大事な仕事にだろう。
▲こんなに売れると思ってなかった稲荷もちの処女作「ついかわ」。
稲荷もち氏のサークルの作品には様々なついてる娘が出てくるが、基本的にみんなドが付く淫乱である。(ここ重要)
フタナリものの定番ではあるものの、トンカツにソースくらい基本装備の属性をちゃんと備えている所はお父さんも安心出来る。
問題はその先だ。ちゃんとキャラごとに立っているかどうかだが、この部分が少々甘さが残る。
これを作風と見るか、あるいは作者の技量不足と見るかはさておき、今回のようなオムニバスをまとめた場合にそれが良くも悪くも顕著に出てしまう。甘いまんじゅうを食べた後には熱いお茶が欲しいと古典落語でも言われる通り、別の味付けのキャラや展開が求められるわけだが、そういう意味では「恩納仁 さやか」のエピソードがいいアクセントになっている。
このサークルのある意味看板キャラだと思うのだが、彼女だけは「アラサー、エリートOL、上司」と明確に他のキャラよりも別口の味付けがされており、エピソードでも社会人らしさ溢れる展開からのスケベシーンに持って行っており、マンガとしてのシナリオの面白さが際立つ。
もろちん、スケベシーンでもエビオス飲んだ次の日くらい濃いのが出るえっちさは出ている。
マストドンの方で稲荷もち氏が公開していたイラストなどでも中心的に公開されていたキャラだけにサークルとしてもイチオシなのがよく分かる。
▲稲荷もちキャラの中でも高い人気のある恩納仁さやかさん。
今更ながらだが、ボクはイチャラブとか純愛物に関して、読む方ではそこまで好みの題材と言うわけではない。
いわゆる、凌辱やNTR、不倫、催眠、調教などハードな展開の方が性癖には合っているのだが、そういう「好き嫌い」と「面白いかどうか」は別の評価基準として自分の中で持ち合わせていることをここに宣言する。SE◯A派を名乗っておいて、ゲームとしてのマ◯オの面白さをこき下ろすのはゲーマーとしては失格、と言うやつだ。
その上で引き続きレビューを書いていこうと思う。
一本一本が10p前後のマンガであるため、抜き所となる部分を考慮すると導入までの流れはとても簡単に済まされる。
「エロマンガの導入なんてのは、使用済みの便所紙ほどの価値もない」なんて暴論がかつて公然と言われていた。
今ではここまでの事を大っぴらに言う人は少ないと思うけれど、どこかしらでそれを感じているタイプの人は少なくはないと思う。特に男子の読者は。
かと言って唐突な形でいきなりエッチなことをするわけでもない、ある意味でかなりバランスの取れた導入だと個人的には思う。
そういう感じで速やかにスケベなシーンに突入するわけだが、そこまでの流れは破綻した部分もない。マンガとして破綻していない、と言うのはエロマンガかそうじゃないかに限らず大事だ。
コマ割りも色んな角度から見せることでシコリティ高く仕上がっているし、背景だって必要十分な形で描かれているあたり結構がんばっているなぁと言う印象も強い。
セリフ周りも最近流行りの隠語だったり、興奮すると広辞苑並の語彙力になるトレンドも抑えてるので「万人受け」を狙っている、というのがよく分かる。
聞けば、初刊行ながらサークルで一番部数の出た本だと言うのだからその狙いは正解だと思う。
ただ、そうなってくると問題はプレイシチュエーションへのこだわりの薄さやキャラ立ちの弱さが浮き彫りになってしまうのがマイナスポイント。
……お前、これ売り上げ伸ばすための記事だって分かってるのか? って聞こえるわけだが、その声は一旦無視する。
今の時代、出来るだけ多くの人に見てもらう、と言うのは大事だ。
「作者のこだわりポイント」と言う作風やサークルとしての雰囲気作り、話の展開などを突き詰めていくとそれは「エグみ」として出てくる。
適度であればこそウリになってくるのだが、ここが煮詰まってしまうと読者の幅を狭めてしまうのだ。
確かにマニアックを突き進むのも良いだろう。それも同人文化だから出来る強みだ。
しかし、それよりも大事なのはやはり「間口を広げること」だ。
手軽に手にとって、手軽に読めて、手軽にシコれるある程度インスタントなエロマンガ、と言うのはそれはそれで重要な要素だ。
何万円もするワインと言うのは案外素人には飲みにくいが、三~五千円ほどのテーブルワインの方がはるかに飲みやすい、と言うような話に似ている。
なにより、そうやって煮詰めることばかりでご新規のお客様へのハードルを上げすぎてしまった結果、閉塞に向かって衰退した分野はこの十年、二十年と言う単位で見るといかに多いことか。
そういう意味では本作「ついててかわいいおんなのこ」はフタナリ物のエロ同人誌に始めて手を出す人には実に向いている作品だと思う。
「女の子にちんちんが生えてたらどんなセックスになるんだ」と言うまだ性癖がこじれていない若人を立派な沼人に作り変える誘い水として十二分にその役割は果たしていると個人的には思う。
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赤坂翔
シナリオライター。シナリオ、原案、設定監修などなど。
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