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※ハラ(漁師)グズ(人魚)の捏造人魚パロ『マーマンインザサン』の続き(R-18)です。

 長くなりそうなので前後編に分けます。

   エクリプスオブザムーン   旋牙闇霧

「これが……本物の人魚!」

褐色に焼けた青年は、桟橋の下のグズマを見てその黒い瞳を輝かせた。

「本物は初めて見ました。

いやあ、本当に」

綺麗だ、と呟く白衣の青年、ククイの様子を見て、

ハラは少し頬を赤らめた。

自分が褒められているようで、なんとなく照れ臭い。

対して浅瀬から上半身を出しているグズマは、

初対面のククイを睨みながら機嫌の悪い猫のような声で唸った。

「はじめまして、気高きザンサイアン(人魚)」

ククイはそんなグズマの警戒も意に介さず、

海中の白い腕をやにわに掴むと、その水に濡れた手の甲に口づけた。

「~~~ッ!!

グァガアアァァアァァァッ!!」

次の瞬間、頬を爪で引っかかれたククイの悲鳴が青空に響き渡った。

   エクリプスオブザムーン   旋牙闇霧

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時は少し遡る。

酒気が淡く空気に滲んだ薄暗い村の酒場で、

いつものようにジョッキのラムを飲み干していたハラのもとに、

見慣れない格好の青年が訪ねてきた。

彼はククイと名乗ると、

あなたと恋仲である人魚に一目会いたくて町から来た、と口早に告げた。

「お願いします、僕は人魚の研究をしておりまして、

どうしてもあなたの人魚に会いたいのです。

お金も多くはありませんが持参しました」

「……生憎ですが、

私は自分の恋人を見世物にする気はありませんのでな」

頭を下げるククイに、ハラは手を突き返す仕草で拒否を示した。

しかしこの町から来た青年の熱意はものすごく、

どれだけ断ってもそこをなんとか、一度でいいからと食い下がる。

5杯目のラムが空になった頃、

ハラは根負けした、といった顔でククイに尋ねた。

「どうして、人魚の研究を?」

「え、どうしてってそりゃあ」

当たり前のことのようにククイは返答した。

「美しいからです」

その答えを聞いて、ハラは微笑んだ。

不老不死でも大金でもなく、ただ彼らが美しいから、か。

わしと同じだな。

「案内しましょう。

もっとも『あれ』は気難しい。

あなたを気に入るかどうかはわかりませんがな。

さあ、ついてきなさい」

「!! ありがとうございます!」

酒場を出るハラの後を、イワンコのような顔でククイは追いかけた。


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白い砂浜から伸びる木の桟橋を渡り、

エメラルドグリーンの海に建てられた簡素な小屋に入ると、

まあ座りなさいとハラは日陰のベンチを指差した。

「あれはもう少し涼しくならんと出てこない。

それで、ククイ殿」

ククイで結構です、と青年が恐縮そうに答えると、

ハラは頷いてククイの隣に座り、言葉を続けた。

「あれに会わせる代わりと言っては何ですが、

私もあなたに教えてもらいたいことがある」

「なんでしょう」

「人魚についてです。

私はあれについて、正直なところほとんど知らない。

知っているのは、キラキラと光るものが好きなこと、

食べ物だとカニやエビ等の甲殻類が好きなこと、

普段は深海に棲んでいること、

それから……」

「それから」

「『目』ですな」

「その『目』というのは、もしかして」

「ええ、あの目には不思議な力がある」

「俗にいう『魅了の魔眼』ですね。

いや、さすがです。

ほとんど知らないと仰りながら、

彼らについてたくさんご存じだ」

文字と図版ばかり追いかけているぼくとは大違いです、

とククイはその黒髪を恥ずかしそうにガシガシと掻いた。

「ええと、そうですね。

まず、これは人魚についての研究が進んでいない理由のひとつなんですが」

ククイはエメラルドグリーンのずっと先、濃紺色の海を指差した。

「彼らは深海棲で、人間の生活圏と大きく離れた環境で暮らしています。

そのため交流も無く、ほんの少し前までは伝説上の生物とされてきました」

笑みを浮かべて相槌を打つハラの様子に気を良くしたのか、

ククイの説明に熱がこもる。

「それでですね、人魚は北方を中心に生息していると言われていまして、

今まで生息域の南限はこの島よりももっと北だと思われていたんです」

つまりですよ、とククイは息巻く。

「この村で人魚が発見されたということは、

もしかするとその南限が更新されるかもしれないんです!

これは大発見なんですよ!」

そういうものなのか、と思いながらハラは頷く。

正直人魚の南限が更新されることに関しては特に興味は無いのだが、

元々北方の生物だということは合点がいく。

だからこそ冷たい深海で生きていけるのだろう。

「それから魔眼!

ここに来る人魚は魔眼を使うそうですね」

「はあ、確かに。

あれはいったい何なのでしょうな。

見ると全身が雷に撃たれたように」

ハラの言葉を遮るようにククイはまくしたてた。

「南方に棲む人魚の大半は魔眼を持っていないという研究結果があるんです。

環境に適応した結果なのかはわかりませんが、

南方の人魚の目はほとんどが黒か緑。

しかしあなたの出会った人魚は魔眼を使うという。

つまりその人魚の目は」

紅かったのですね、と尋ねられ、ハラは素直にそうだと答えた。

「やっぱり!!

いいなあ、いいなあ!!

いやあ、ぼくも体験してみたいです!!」

奇声をあげて羨ましがる青年に、ハラはたじろぐ。

「あのですね、これはまだ研究段階で確かなことは言えないんですが、

ぼくは人魚の魔眼は『催眠術』に極めて近いものだと考えているんですよ。

ええと、人魚の目にはタペータムと呼ばれる構造物がありまして、

輝板、輝膜とも呼ばれています。名前が表す通りこれは光を反射します」

ククイの独演会は続く。

「それでですね、

他の動物のタペータムには無い特徴が紅目人魚のタペータムにはある、

それはですね、興奮時には反射した光を単一指向性にし、

独自のパターンをもつ揺らぎと点滅を高速で行うことで

外敵、もしくは交尾相手を魅了してしまう。

解剖された人魚の瞳の構造を分析した結果、

これが有力なのではないかとぼくは考えています」

解剖、という言葉にハラは一瞬眉をひそめた。

「まさかわしのグズマを切り刻もうなどとは思っておらんでしょうな」

とんでもない、とククイは両手を胸の前で左右に振ると肩をすくめた。

「生きている人魚はとても貴重なんです。

カプたちに誓ってそのようなことは致しません。

もちろん自然に抜けた冠羽などが手に入れば、

是非提供いただければと思いますが。

ところで、グズマというのはその人魚の名前ですか?」

「あ、いや、その……まあ、そうですな」

思わずグズマの名前を口にしたことを指摘され、

ハラはごほん、とひとつ咳払いをした。

「素敵な名前です。

人魚はその口の構造から、

人間ほど多様な言葉を話すことはできないと言われていますが、

主に鼻音の組み合わせで会話が可能だという研究結果がありまして、

鼻音というのはですね、

口からの通気を行わず鼻の通気だけで出す音のこ……うわっぷ!?」

ばしゃん、と突然ククイの顔に海水がかかった。

「な、なに……」

はずみでベンチから転げ落ちたククイが桟橋のむこうに広がる

エメラルドの浅瀬に目をやると、

そこには不機嫌そうな顔をした、紅目の人魚が顔を出していた。

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その後、ククイは顔をひっかかれ、念願の魅了の魔眼も直視して、

強烈な催淫作用で体の自由がきかず、桟橋に倒れ伏した。

慌てて駆けつけたハラに抱えられ、今は小屋の簡素なベッドに寝かされている。

その股間だけはズボンの布地を突き破らんばかりに直立していた。

「大丈夫ですかな?」

「だ、大丈夫です……いや、大丈夫じゃないです、けど……

もう少しすれば、動けるようになると思うんで……

人魚、その、グズマさんを引き留めて、おいていただけませんか……」

呆れた学者根性だ。

ハラはまああれは一度来れば夜明けまではおりますから、

と言って、ベッドから起きようとするククイを制した。

「今日は早かったな。

わしの話し声が聞こえたか?」

「グルゥ……ッラ、ラァグ、ズェゴ、グズゥマ」

「よしよし」

桟橋の上から不機嫌そうなグズマの頭を撫でてやる。

グズマは一声哭くと、自分の頭に触れるハラの手を引っ張った。

「わかったわかった、今そっちに行くからな」

着ていた辛子色の羽織を脱ぎ、腰巻を解くと、

褌一丁になってハラは桟橋から海へ飛び込んだ。

大きな音を立て、光の飛沫が青空にきらきらと舞う。

「はあ」

ラムで火照った体に海水が心地いい。

グズマの白い腕が首に向かって伸びる。

じん、と熱をもつ紅い瞳を見つめると、

ハラはぞくぞくと快感が自身の内から湧きあがるのを感じた。

「まあ少し待て。

今日は客人が来ているのだ」

長い尾を絡みつかせるグズマをなだめるように、

ハラは彼の額に口づけた。

「彼は人魚を研究しているそうだ、

その姿をよく見せてやってくれんか。

お前の怖くない距離でいい。

いいか?」

ハラはジャスチャーを多用しながら、

ククイの来訪目的をグズマに伝えた。

話を聞き終えた後、

グズマは不承不承といった様子でハラの元を離れ、

ククイの横になっているベッドから見える位置で

ゆっくりと回遊した。

「……すごい、

グズマはハラさんの言葉がわかるんですか」

「どうですかな、通じているのか通じていないのか、

本当のところは私にもわかりません。

私もグズマの言葉はわからない」

名前ならわかりますが、とハラは苦笑した。

「まあ、それでも。

言葉が通じなくとも、人でなくとも、

あれはわしの大切な連れ合いです」

ハラの言葉を噛みしめるように聞いていたククイは、

ゆっくりとベッドから起き上がった。

「いけませんな、もう少し休まれたほうがいい。

まだ体が痺れているでしょう」

「はい、でも……もっと近くで見たいんです、

あなたの恋人を」

「……まったく、困った学者殿ですな」

そう言うとハラは海から上がり、

ククイをベッドまで連れてきた時と同じように軽々と抱き上げ、

桟橋まで連れてきた。

「溺れるといけませんから海には入らないように。

それとあれがまだ警戒していますから、

触れないようにしてやってください」

「はい、ありがとうございます」

つまらなさそうに泳いでいたグズマは、

ハラが先ほどの生き物を抱き上げているのを見て、

不満の声をあげながら急いで桟橋に近づいた。

しかしハラがその生き物を桟橋におろすと、

驚いてUターンする。

「また触られると思っているようですな」

「いやその、本当に申し訳ありません……

さっきは興奮してしまって」

「グズマ、こっちに来なさい。

この人は安全だ。

お前には触らせないから、おいで」

「グゥ……」

グズマはおずおずと、桟橋に腰を下ろすハラのそばまで近寄った。

ククイはその様子を見て、

肩掛け鞄から静かにスケッチブッチを抜きだしメモを取り始めた。

「首の網は?

最初からつけていましたか?」

「網は初めて会った時に絡まったものですな。

気に入っているようで、外そうとすると怒ります」

「そうなんですね。

装飾品をまとう文化があるのかな、

遊泳や捕食には不利だと思うんだけど、

いやあ興味深いです。

この美しい白い体によく似合っている。

うん。冠羽や体表に発色の兆候は見られないし、

やっぱり今はエクリプス態なんですね」

「エクリプス態とは?」

呟きながらスケッチブックにメモを取り続けるククイに、

ハラがグズマの頭を撫でながら小声で尋ねる。

「非繁殖態とも言います。

人魚は繁殖期になると繁殖態という姿になるんですよ。

目の隈取りが赤くなって、冠羽……人間でいうところの毛髪ですね、

それが長く伸びます。そして全身に鮮やかな紋様が浮かびます」

「ほう」

見てみたい、と思った。

「それはいつ頃」

「それがまだはっきりとわかっていなくて。

生息地域によって違う説、月齢が影響している説、

他にも色々あるんですが、個体差もあるのかもしれません」

「なるほど。

いや、しかしこいつはその繁殖態でないということは、

もしやまだ幼体……」

「あっ、そういうことじゃありません!」

突然ククイが大声を出したので、グズマは驚いてハラの足元に隠れた。

「あっ、ごめん……!

ええと、この人魚は成体です。

ただ繁殖期ではないというだけで、身体的には成熟しています。

交尾も普通にできますし……あ」

そこまで言って、ククイは顔を赤くした。

「す、すいません。あなたとグズマ君は恋仲でしたね。

それならそういうこともその、ご存じのはずで」

「ああいや、お気になさらず。

もしかして幼体ならこれに負担をかけていたのではないかと、

心配になったもので。

……ん?」

桟橋から投げ出し、水面に遊ばせていたハラの足をグズマの両手がつかむ。

「ッラ、ヴァ、ラーウ、ゥカ」

「ん、もう我慢できんか。

わかったわかった」

グズマに足を引かれ、ハラは再び輝く海に滑り落ちた。

浅い海の底に足の裏がつく。ふぅわりと白砂がグリッターのように舞い上がる。

「ン……」

丸太の如く太い、粗毛の生えた腕でグズマを引き寄せると、

ハラはグズマにキスをした。

窒息しそうなほどに長く、甘いキスにグズマは喜悦の表情を浮かべる。

「申し訳ない、これが『したい』ようなのでな、

今日はこの辺でよろしいか」

「えっ、あっ、はい、えっ、あっ……」

突然のことにククイは目を丸くして首を縦に振った。

まだ魅了の効いている体がカッと火照る。

その股間の肉棒はさらに体積を増し、その場を立ち上がることすらできない。

ああ。

椰子の実のような、暑く甘い香りが漣の間から聞こえてくる。

「あ……あの……」

「なんですかな?」

首に絡みつくグズマの腕を撫でながらハラが尋ねると、

汗だくのククイはスケッチブックで股間を押さえつけながら思い切って訴えた。

「お二人がその、『されて』いるところを観察させてもらえないでしょうか、

こっここ、これはあくまで学術的興味によるもので、その、

決して下衆な興味によるものではなくて、いまだ誰も見たことが無い、

貴重なケースであるものですから、その、

駄目なら駄目と仰っていただいて構いません、ですが、できれば」

お願いします、とククイはその耳まで真っ赤にしながら、

深々と頭を下げた。

「ふむ」

顎の無精ひげを撫でつけ、ハラはグズマとククイの顔を交互に見た。

グズマの性器はハラを待ちきれないといったように隆起し、

先ほどからずっと太腿に擦りつけられている。

ククイの股間もスケッチブックで隠してはいるものの、

猛り狂っているのは火を見るより明らかだった。

これを堪えさせるのも酷か。

「承知しました。研究の役に立つのなら、どうぞそこでご覧ください」

「あっ、ありがとうございます!」

「ただし、これを刺激しないよう……お静かに願いますぞ」

そう言って、ハラはその顔に悪戯っぽい笑みを浮かべた。

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グズマはその白い滑らかな裸体をハラに絡みつかせながら、

陸から自分を見ている生き物、『ニンゲン』のことをまだ警戒していた。

この初めて見るニンゲンは、

どうやらハラに教えてもらった『ムラのニンゲン』では無いらしい。

ハラよりも小さく、魅了にも容易くかかる。

自分にとって脅威ではないはずなのだが、

何故だか無性に気にかかる。

そうだ。

あのニンゲンをハラが抱き上げた時、

なぜだかとても厭な気持ちになった。

あいつの喉笛に噛みついてやりたいような、

壊してやりたいような、厭な気持ちに

「ンッ、グゥ……」

殺気立つグズマの思考を快感が塗りつぶす。

ハラの節くれだったごつい指が、

スリットの上方で充血した勃起をゆるゆると擦りあげたのだ。

「気持ちいいか?

お前はこれが好きだな。そら、もっとしてやろう」

ぱちゃぱちゃと水音を立てて、ハラはグズマのそこを弄んだ。

そこはいじられるたびに硬度を増し、

下のスリットから海水よりも粘度の高い体液が砂糖水のように広がった。

「アゥッ! アッ! アッ!!」

「むうっ……」

じんじんと痺れるような快感が、ハラの体を昇ってくる。

この体液にもキスで交換する唾液にも、催淫作用があるからだ。

海の碧、太陽の黄色、グズマの紅。

それらが混ざり合い反発しあい、ぐわぐわと歪み拡張する。

サイケデリックな光の渦を感じ、ハラは一旦頭を冷やそうと海に潜った。

それを待ちかねていたように、グズマは海中でハラの唇に吸いつく。

窒息しそうな浮遊感に包まれながら、二人は漂うようにキスと愛撫を繰り返した。

「ン……フゥ……ンン……」

「む……むんっ……んんっ……」

心地よくぬるんだ海で、

抱きしめ合う二人の周りを原色の青い小魚が装飾のように泳ぎまわる。

今のハラには世界の色が目に刺さるほど強く感じられた。

「ふうっ」

海面から顔を出すと、ハラは大きく息を吸った。

潮を含んだ空気ですら、甘美なものに感じられる。

嬉しそうな人魚を見て、ハラは思った。

これは正に、魔性の魚だ。

「ッラ、グズマ、ザァ、ゥン」

ハラが気持ちよさそうで、グズマは嬉しかった。

2人で気持ちよくなることがグズマは好きだ。

お互いを求めあうのは気持ちがいい。

水の中では自分がリードできるのも、グズマにとっては快感だった。

「アー、ルゥ……グ、ァンガ」

「うおっ!」

グズマは海中で立っているハラの股間に顔を近づけ、

そこに熱く脈打っている太く硬い肉棒を口に含んだ。

ビクビクと震えるそこから、グズマの好きな雄の味がする体液が漏れ出す。

青黒い舌でそれを舐めとるようにして、グズマは唾液を擦りつける。

こうするとハラのそこはさらに硬くなるのだ。

はちきれんばかりに膨らんだ蛸のような亀頭を、

血管がバキバキと張り巡らされた幹を、

喉まで咥えこんではじゅるじゅると舐めまわす。

気がつくとハラの両手がグズマの頭をがっしりと掴んで、

腰を前後にへこへこと振っている。

こうして乱暴にされるのも気持ちが昂り、グズマは好きだった。

「に、人魚ってフェラチオも、するんですね」

食い入るように二人の情事を観察していたククイが、か細い声でそう呟いた。

「ああ、最近覚えました。

わしがやれと言ったわけではないんですがな、んむっ……

物珍しそうにわしのチンポを見ていたもので、おっ、いいぞっ……

最初のうちは噛んだり歯を立てたりと、おおっ、難儀しましたが、なっ」

「そ、そうですか……べ、勉強に、なります……」

「わしの精を飲むのが好きなようでな、

入れられる前にこうしてせがむのです。

おっ、おおっ……!」

ハラの糸目の周りに皺が寄り、

そこから弾き出された汗がたらたらと日に焼けた黒い頬を流れ落ちる。

「よし、出すぞ!

しっかり飲み干せ……むふううぅぅっ!」

「!!」

ドクン! ドクン! ドクン! と喉奥まで詰まった怒張が脈を打ち、

その鶏卵ほどもある金玉で造り出された大量のねっとりと濃い雄汁が

グズマの食道へ流れ込む。

濃厚な雄の味に、グズマは海中で恍惚の表情を浮かべた。

「ふう、一発出してすっきりしましたわい」

そう言って顔の汗を拭うハラに、ククイは唖然とした表情で尋ねた。

「あの、もしかして射精したのに、まだ?」

「ん? ああ、そりゃあまだこれを満足させておりませんからな。

そら」

余裕の笑みでハラは海中のグズマを持ち上げ、

白い尻に回した腕でスリットをぐちゅぐちゅと泡立てて見せた。

「アッ! ガァッ! ッラ! ッラ! ズゥ、オッ、オ゛ォッ!」

「チンポをここに入れてこその交合(まぐわ)いでしょう。

待たせたな、グズマ」

グズマの両脇に腕を通し抱き合うようにして、

ハラは自身の勃起した肉棒を充血したスリットにずぶりとめり込ませた。

内臓を貫かれる快感に、グズマの口から大きな嬌声が上がる。

ハラが腰を振るたびに、海面に大きな水しぶきがたつ。

激しく生々しい肉のぶつかり合いに、ククイはメモをとるのも忘れて見入っていた。

人魚の甘い果実の匂いと、ハラの暑苦しい汗の匂い、

潮の匂いのすべてが混ざり合って、若い学者の脳を侵す。

「アーッ! アーーーーッ!!」

「今日はククイ殿が来ておられる、

いつものように時間をかけて楽しみたいところだが、

御客人に日射病で倒れられても困るのでな。

そらっイケ!」

ずぐり、とグロテスクなほどにカリの張った肉棒を膣奥までこじ入れ、

ハラはグズマの背骨をへし折らんばかりに腕に力を込めた。

ビクビクビクッ! とグズマの膣内が痙攣する。

「そら、ククイ殿! 見えますかな!

これが人魚のメスイキですぞ!」

ハラの声が届いているのかいないのか、

ククイは桟橋から身を乗り出して、朦朧としながら二人の交接を凝視していた。

その手はズボンから露出させた若い屹立を上下に激しく扱きたて、

滑り落ちたスケッチブックと鉛筆は桟橋の上で水しぶきに濡れていた。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」

荒い息を吐きながら、千々に乱れる水面の下を睨みつける。

そこにはハラの雄々しい生殖器が、

人魚のスリットから肉襞をめくれあがらせる浅ましい姿があった。

「そら、どうだうまいかわしのチンポは!

人に見られていつもより興奮しとるのか!

どうだ!」

「アーーーーーーッ!! アッ!! ア゛ッ!! オォーーッ!!」

激しいピストン運動に、グズマの紅い目は虚ろに輝く。

その禍々しくも美しい光に魅了され、

ハラはますます強い快感をおぼえた。

まるで全身で絶えず射精しているようだ。

「ふぅっ、はぁっ! ふぅっ、はぁっ!! おおぉぉぉっ!!

上がって来たぞっ! 出すぞグズマ!」

「アアッ! ッラ!! ッラ!! ギィッ、アアアァァァアァァ!!」

ばちゅっ!! ばちゅんっ!! ばちゅっ!!

「はあっ! はあっ! はぁっ! はぁっ!!」

傍観者であるククイの顔が興奮と恥じらいで大きく歪む。

もう股間の下には大きな水たまりができていた。

「いくぞ、いくぞ、むぅおおおぉぉっ!!

いくっっっっっ!!!」

「アアァァァァァアァァアアァッ!!」

グズマを抱きしめ、ハラは射精した。

先ほど出したばかりとは思えないほどの量の精液が、

グズマの中に濁流となって注ぎ込まれる。

最後の一滴まで絞り出すように尿道に力を入れると、

大きく息を吐いてからハラはグズマにキスをした。

「……気持ちよかったぞ、グズマ」

「ン……ッラ、グズマ、メェズ、ザァ……」

「あ……はっ」

甘く抱きあう二人を見ながら、ククイもまた射精していた。

べっとりと青臭い体液で濡れた手を、無意識に桟橋で拭う。

ゆっくりと熱病のような快感の波が引いていくとともに、

とんでもないものを見てしまったという驚きと喜び、

そして研究者として未熟な自分の行いに対する羞恥心に、

ククイは顔を伏せてぶるぶると震えた。

「すっ、すいません!!

どうしても我慢ができなくて、そのっ、ぼく、ぼくは」

「いやあ、すっきりした!

ククイ殿、どうですかな?

この後小屋で一緒に食事でも」

ここなら三人で食べられます、と言って、

ハラは温和な笑みを浮かべた。

つづく

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