クリスマスプレゼント (Pixiv Fanbox)
Content
「あ~~~ちくしょーー!!」
アパートに帰ってきた智明は靴を脱ぎ捨てると服も着替えずベッドに飛び込んだ。その衝撃でベッドのスプリングが軽くきしむ。怒りとか悔しさとかそういうぐつぐつした感情がマグマのように智明の胸の奥からせり上がってくる。
「淳一のヤロー……」
智明の口から漏れ出た名前は、智明の彼氏……いや、彼氏だった男の名前だ。智明はまさに今日、淳一に捨てられたのだ。それもクリスマスイブに、仕事があるから会えないと言っていた淳一が街で他の男とデートしているのを偶然見つけ、そのうえで開き直るという最低の形で。
お前みたいなガッチビに本気になると思った?
鼻で笑う淳一の顔が否応なしに浮かぶ。確かに智明は身長が160cmしかない。中学ぐらいから身長が全然伸びず、周りにどんどん抜かされていって焦った智明は身長を伸ばすためなら何でもした。牛乳もたくさん飲み、野球部の練習だって死ぬ気でした。睡眠が大事と聞けばテスト前だろうとベッドに入った。色々努力したが結局効果はなかった。コンプレックスをかき消すためにせめて筋トレでガタイを大きくしようと頑張ったら、こっちは少し身長に分けてくれよと思うぐらいがっちりと筋肉がついた。それでガッチビとか言われたら、まあ傷つきもするものだ。
(……でかくなりてえなぁ……)
淳一の隣にいた男は、淳一より頭一つ以上でかかった。190㎝は確実に超えていた。見た瞬間、悔しくもあったが、負けた、と智明は思った。淳一と智明が付き合っていたとは知らなかったようで慌ててはいたが、彼が何か言う前に智明の方が逃げるように走り去った。ボロボロと涙がこぼれて枕を濡らしていく。淳一たちは今頃二人でクリスマスセックスでもしているのだろうか。俺はアパートの一室でさみしく泣いているというのに。
(俺がもっとでかかったらなあ……)
そんなことを小さく願いながら、智明はそのまま眠りについた。
***
「ん……? 寝てた……?」
ふと目を覚ました智明はぼうっと部屋を見つめた。時計を見ればまだ朝の6時。もっと寝ててもいい時間だが、なぜか頭がすっきりとしていて再び寝る気にはなれなかった。
「てか、明るい……?」
昨日は寝室の電気もつけずに寝たはずなのに妙に部屋が明るい。カーテンでも開いてたかと智明は起き上がったが、目に入ったものに智明はぽかんと口を開けた。
「……は?」
カーテンは閉まっていた。ただ、その手前に光る何かーー本当に光る何かとしか言えないものがあった。たとえるなら、ダイヤモンドの反射光だけがそのままそこに存在しているような、物体というよりかは現象にちかいもの。智明の両手で包めそうな大きさのそれが、枕元に浮いている。
「な、何だ……?」
しばらくそれを見つめていたが、不思議と嫌な感じはしなかった。その光るそれは智明にゆっくり近づいていく。そして、智明の体に溶けていくようにして消えた。部屋が暗くなったのでリモコンで照明をつける。胸のあたりをさするが別に何もない。
「な、何だったんだ……? ……うっ!!」
急に心臓が跳ね上がって智明は胸を抑えた。ドクン、ドクンと心臓が勢い良く鼓動する。身体が熱くなって汗が滝のように噴き出る。ギシギシと骨がきしむような音が響く。
「く、苦し……」
服が締め付けるようにきつくなってギチギチと音を立てる。智明の体重にマットレスがだんだんと深く沈み込み、パイプベッドも不安な音を立て始める。
「もしかして……俺……でかくなってる?」
智明が自覚した瞬間、服がはじけ飛ぶほど爆発的に智明の体がでかくなった。そして耐えきれなくなったパイプベッドがゴシャリと潰れる。だが智明にはもうそんなことを気にする余裕はなかった。爆発的に成長する身体にあらゆる神経が悲鳴を上げている。
「うぐっ、あ、あっああああああああ!!!!!!」
智明の成長は止まらない。うずくまった状態でもあっという間に天井に頭がつくようになり、間をおかず天井を突き破った。ベッド以外にも家具やテレビを体で押しつぶし、広くない部屋はほぼ智明の身体で埋まっていた。
「うぉおおおおおおおおおお!!!!!」
智明は耐えきれず立ち上がった。木造のアパートはバキバキと悲惨な音を立てながらまるで雛が卵から生まれるかのように内側から崩壊した。それでも智明の巨大化は止まることなく、崩壊したアパートのがれきを踏みつぶしながらぐんぐん智明はでかくなっていく。周りなど気にする余裕などない中、智明は歯を食いしばりながらそれに耐えた。そしてそれがようやく止まる。
「…………俺は……」
精神の高揚が落ち着いて、智明はゆっくりと目を開けた。智明の目の前に広がっていたのはアパートの部屋ではなくまっさらな青空。その光景に智明はぽかんと口を開けてしまう。
「えっ……俺……」
下を向くとまるでビルの屋上から見ているかのような光景が広がっている。足元にはもうぐちゃぐちゃになっているアパートの残骸がある。智明が足を少し動かすと、巨大な足に巻き込まれて瓦礫がすさまじい音を立ててすり潰されていった。
「……でかく、なってる……!?」
信じられない光景だった。夢かと思って智明は頬をつねってみたが、痛みを感じても目が覚めるような様子はない。そこまでやって智明はようやく自分が服を着てないことに気づいた。
「うわっ、はだかじゃん!!!」
智明は慌てて股間を隠す。その時、大きさだけでなく自分の体が変わっているのにも気づいた。元々マッチョな体系だったが、今はそれに輪をかけて筋肉が発達している。まるっとした肩にぼこぼこと筋肉がついた太い腕。大胸筋は乳首が下を向くほどせり出していて腹筋はこぶ一つ一つが隆起するほど割れている。脚も筋肉がいびつな影を作るほど発達して太くなっていて、まるでプロのボディビルダーのようだった。外は真冬のはずだったが、なぜか素っ裸でも寒くはなかった。
(なんか、チンコもでかくなってる……?)
チンコを抑えた手のひらの感触が、今までの記憶と違っている。チンコももとより大きい方だったが、萎えた状態で手からあふれるほどではなかったはずだ。感触を確かめながら下を向いていると、ふと、足元を動く小さなものが目に入った。
「ん?」
智明は脚を開いてしゃがみ込んだ。その際、塀をぶち破りながら家を一軒薙ぎ倒したが智明は気にもしなかった。動くものは、巨大化した智明を見て慌てて逃げているサラリーマン風の人間だった。出勤途中だったのかスーツを着た状態で必死に逃げている。だがそれは智明からすれば亀のように遅い動きだった。智明はおもむろに手を伸ばしてそのリーマン風の男を摘まみ上げる。
「うわあああいたいいたいたぎゃっ」
「あっ」
智明が指で男をつまんだ瞬間、男は変な声を上げながら潰れて肉塊になった。智明は軽く摘まんだだけだが、その巨大な筋肉が生み出すパワーからすれば人間はあまりにももろすぎた。智明は血に濡れた指を地面に擦り付ける。指の形にえぐれた道路に赤い色がほんの少しだけ移った。
「……そうだ。淳一……」
光とかでっかくなったりとかですっかり忘れていたが、そもそも智明は淳一に捨てられたばかりだったのだ。それも、チビだという理由で。思い出すとまたふつふつと怒りが湧き上がってくる。智明はゆっくりと立ち上がった。一緒に起きた上昇気流で瓦礫やらなんやらがまとめて巻き上げられる。智明はくっくと笑った。
「でかくなった俺、見てもらおうじゃん……」
***
淳一の家はそう遠くない。電車で5駅ほど先にあるマンションが淳一の家だ。智明も何度か行ったことがあるが単身には持て余すぐらいに広いいい部屋だった。昨日はそこで男といちゃいちゃしていたのかと思うとまた怒りがわき上がってくる。
「っと、ここだな……」
いつもなら徒歩と電車で40分ほどだが、今やビルよりでかくなった智明にとってはちょっと近くのコンビニに行くぐらいの距離だ。立ち往生する車や邪魔な家を踏みつぶしたりちょっと腹が減ったので駅の人間を朝飯代わりに食ったりもしたが、今の智明にとってはたいしたことではない。
「てかアイツのマンションちっちぇえな」
智明が淳一のマンションの前に立つとちょうど屋上のフェンスあたりにチンコの根元が来る。智明は脚を開いてゆっくりとしゃがみ込み、地面に手をつきながら窓から部屋をのぞき込んでいく。淳一の部屋は最上階だったのですぐに見つかった。
「おっ、みっけ」
淳一たちはさすがに寝てはいなかった。といっても何百何千トンもの体重がありそうな智明がマンションの目の前まで歩いてきているのだ。大地震のような揺れに二人ともマンションから逃げようとしている最中だった。ガラス越しに巨大な智明の姿を見て淳一は信じられないものを見たような顔をする。
「これだと話しにくいな」
智明は立ち上がると、マンションの最上階に手をかけた。電柱より太い指が窓をあっけなく割って侵入し、家具やテーブルを跳ね飛ばして部屋の中をめちゃめちゃにしていく。そのまま指は上昇すると天井をぶち壊しながら屋上そのものを持ち上げていく。淳一たちは逃げ出すこともできず、降ってくる瓦礫から身を守るために頭を抱えてしゃがみ込む。破壊音が消え、淳一たちは恐る恐る上を見上げる。
「よー……淳一。……昨日ぶりだなあ?」
淳一は驚きと恐怖で叫ぶことすらできなかった。めちゃくちゃになった自分の家。天井がはがされた先を見るとそこに広がるのは空ではなく、昨日捨てた男のとんでもなく巨大な顔なのだ。腰に手を当てて腰を折り、淳一の部屋を上からのぞき込んでいた智明はその狼狽ぶりを見てふはっと笑う。
「なんだ、声も出ねえの?」
「おっ、おま、おま…な、なんで……」
「んー、なんか知らねえけど急に体でかくなってさ……」
智明が淳一に手を伸ばす。淳一は慌てて逃げようとするがリビングより大きな手から逃げられるわけもない。潰されない程度の強さで腕を摘まみ上げられ、智明の目の前にぶら下げられる。
「なあ、もっかいガッチビって言ってみろよ」
「い…………いや、あれは………」
「今じゃお前の方がよっぽどチビだもんな~~」
ぷらぷらと揺れながら言い訳を探す淳一を見て、智明の中から急速に熱が冷めていく。
(俺、なんでこんなやつ好きだったんだろうな)
「もういいや」
「えっ、おい、とも、トモ頼む、助けっ」
「あーん」
智明は上を向いて大きく口を開けると、淳一をその中に放り込んだ。しばらく舌でもてあそんだあと奥歯でかみちぎり、血の味を感じながらごくんと喉を鳴らす。腹をさすったが、もう何かを飲み込んだ感覚もなかった。
「あっけな……」
智明がふと残った部屋を見ると、そこに腰を抜かした男がいた。すっかり忘れていたが淳一はこいつと浮気したのだ。智明がマンションに顔を近づける。
「ああ、やっぱかっけーじゃん……」
正直に言ってしまえば、その男は淳一よりも智明の好みだった。そんな男が自分を見ておびえているのを見ると智明の背筋にゾクゾクしたものが這い上がってくる。昨日出していないのもあって智明のチンコがむくむくと勃ち上がっていく。
「へへ、一発抜くか……」
勃起したチンコをマンションにかざすと、部屋が完全に隠れてしまう。智明がこのまま腰を落とせばチンコだけでその男は潰れてしまうだろう。智明は腰を引いて地面に膝をつく。それでもマンションのてっぺんは智明の胸あたりだ。張り出した胸がマンションにまで大きな影を作る。智明は部屋の男を見下ろした。
「見てろよな」
智明はマンションを両手でつかむと、その怒張した巨大なチンコを勢いよくマンションの外壁に突き刺した。ぱんっぱんに張り詰めた亀頭はまるで破城槌のようにたやすく外壁を突き崩していく。
「あ~……きもちいー……」
抜き差しすると崩れた瓦礫と鉄骨の擦れが智明のチンコを刺激していく。当然オナホ代わりに使われているマンションはいつ崩れてもおかしくないほど揺れているが智明は気にする様子もない。部屋の男は立つことすらできない揺れの中、ひたすらにこの揺れが早く終わることを願っていた。穴が崩れ緩くなるたび別の場所に突き刺して何度目かで、智明は咆哮を上げた。
「~~~イクッ!!!!」
智明のチンコから放たれた射精は、一発でマンションの残りの外壁を貫通して外に飛び出した。その直撃を受けた家屋はあっけなく精液に押しつぶされる。二発目、三発目も勢いが衰えることなく、一帯を白く染め上げていく。ようやく射精が収まると智明はマンションからチンコを抜き、尿道に残った精液を絞り出す。そのチンコから垂れた精液で足元で何とか生き残っていた自動車が潰れた。
「……さて、お前をどうするかだなあ……」
激しいオナニーにもかかわらず何とか生きていた男を智明は摘まみ上げ立ち上がる。その瞬間、智明のオナニーに耐え切れなかったマンションが崩れ落ちていく。運がいいな、と智明が笑う。その時智明はふと崩れた瓦礫の中にクリスマスツリーがあるのを見た。そして朝見た光と昨夜自分が願ったことを思い出す。
(……そっか、あれはプレゼントだったのか)
顔を見上げて街を見る。悲鳴とサイレンが飛び交い、炎や煙がいたるところで上がっているが、まだまだ綺麗な場所も多い。
「だったら遊ぶか」
智明は男を髪に掴まらせて、景気よくその巨大な足を踏み出した。