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ノクターンとpixivノベルで連載中のオリジナル作品「龍の騎士と龍を統べる王」最新話の、冒頭部分の先行公開です。


今回のお話は、サブヒロイン的なボクっ娘が百合の現場を目撃してしまい……というシチュです。


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 クラベール領を巡る戦いで第1王子派――すなわちコウメイが手にした戦果は多々あるものの、その中でも際立ったものとしてはやはり”剣士”アンナ=ヴァルガンダルの戦線参加だろう。


 第2王女派最強戦力である”勇者”リアラ=リンデブルグに対して、まともな対抗手段をようやく手にしたのだ。両者の直接対決こそ未だであり、アンナの力がどこまでリアラに通用するかは未知数ではあるものの、ようやくこれでまともな戦略を練ることが出来る。


 何せ何を考えたところで、結局のところリアラが戦場に現れれば全てがひっくり返されるという、理不尽すぎる状況にあったのだ。これは第1王子派側にとっては大きな前進だった。


 そんな文字通りの『希望の剣』として、コウメイ麾下の王下直轄部隊に所属して行動を共にしているアンナだったが、そんな彼女は今悩みがあった。


「う、うううぅ……」


 部隊はダリア領に入り、次の決戦に向けて準備を進める段階に入っていた。アンナはコウメイら幹部と共に、一度王都に戻ってカリオスへ謁見するメンバーに数えられていた。


 王都に向かって出立する前夜、アンナは顔を赤らめて陣内をうろついていた。


「こ、困ったなぁ」


 戦線に参加するまで、アンナもグスタフの『異能』に囚われていた犠牲者だった。超人的な能力強化、淫欲増強、グスタフへの隷属化――などなど、いくつもの効果をアンナは乗り越えて第1王子派の『希望の剣』として復活したのだ。


 『異能』の効果を打ち消したわけではない。あくまでも乗り越たということで、グスタフへの隷属化は完全に克服しつつ、能力強化の恩恵は今も残っている。


 良いことづくめのように思えるものの、実はそれ以外にも『異能』の影響は色濃く残っており、それが淫欲の増強だった。


「身体を動かせば少しはマシになるかと思ったけど……ううぅ……どうしよう」


 もっとも、アンナは健康的な年頃の女性だった。性欲があること自体はむしろ健康である証拠である。完全に『異能』の支配下にあった頃のように、快楽のために自他全てを破滅に引き込むようなことはなく、ただ性欲が強くなっただけであり、大問題というわけではない。


 ただ特に戦闘後で感情が昂ったりすると身体が火照ることが多く、今も性欲を沈めるために訓練をしていたことが、逆に彼女の性欲を昂らせていた。


「ううぅ、カリオス殿下ぁ」


 アンナは王都を発つ前にカリオスと関係を持ったのが、最近の行為だった。自分を絶望の底から引きずり上げてくれたアンナはカリオスを慕い、長らく顔を見ていないということが、更にアンナの性欲を駆り立てていた。


 カリオスのことを思えば思うほど、下腹部がむらむらと熱を孕んでいく。気づけばアンナは無意識に物欲しそうに指を加えながら、夜の道を歩いていた。


「これじゃ眠れそうもないし……しょうがない、一人エッチするしかないか」


 年頃の女性らしく、そういった行為には多少忌避感があるものの、それでも最愛の男を思いながら自慰行為に耽ることは楽しみでもある。ましてや、もうまもなく会える予定なのだ。


 そう思うとアンナは自然胸躍るものを感じて、下着を濡らしてしまいながら自分のテントへと足を向ける。


「……っあん……いやっ……!」


 ――と、その途中で甘い喘ぎ声がかすかにアンナの耳に届いてきた。


「な、なに?」


 普段のアンナなら気づかずにスルーしたかもしれないくらいの細い声。しかし性的なことに敏感になっているアンナは敏感にそれを察知すると、胸をドキドキを拍動させながら、自然に声の聞こえてきた方へ忍び足で近づいていってしまう。


 そのテントは、軍内でも『変態』と名高い(?)同性愛者ニーナ=シャンディ魔術将軍のテントだった。


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 ぼんやりとした燭台の光の中、全裸に向かれた女性が両手を拘束されて天井からつるされたようにされていた。


「い、いやっ……あんっ! んあっ……んっ……!」


 更に目隠しまでされながら、彼女は男性器を模した性玩具で下から突き上げあれていた。


「いつもに増して乱れちゃって……可愛いわ、アンリ」


 そしてその女性――アンリエッタを突き上げている張本人は、言わずとしれたニーナだった。ニーナは腰にディルドーを装着し、自分の膝の上にいる元副官のアンリエッタを突き上げていたのだ。


(あわ、あわわわわわ? こ、これって)


 そしてその情事を入り口の隙間から覗き見ているアンナは顔を真っ赤にしていた。


 ニーナ将軍のそういう噂は有名だ。勿論こんなことをしているのも、もはや公然の事実ではあるものの、そういった場を目の当たりにするのはアンナは初めてだった。


 ましてや同じ王下直轄部隊の先輩騎士であるアンリエッタが犯されている姿に、目を大きく見開きながら見入ってしまう。


「い、いやっ! 止めて下さい、将軍……んっ……ああああっ」


 視界を閉ざされたアンリエッタは、いやいやをするように首を振っている。そんなアンリエッタへ、ニーナは後ろから乳房へ手を伸ばすと、先端部を指でコリコリと摘み上げていく。


(こ、これってレイプ? いくらニーナ将軍でも無理やりは……た、助けた方がいいのかな?)


 予期せぬ事態に遭遇したアンナは目をぐるぐると回しながら混乱をあらわにする。とりあえず腰に携えてきた剣の柄に手をかけて、すぐさま飛び入れられるように準備をするが


「どうして欲しいのか、いつものように言ってみなさい」


 ニーナが興奮したように顔を赤らませながら耳元でささやく。その顔は答えを確信しているような表情だった。


 すると目元だけ隠されたアンリエッタが、にたぁと口角を上げて笑いながら答える。


「も、もっと……激しく犯してください。お姉さまのおちんぽ、気持ちいいですっ!」


(えっ?)


 アンナよりも少し先に王下直轄部隊に配属されたアンリエッタは、いつも年下の自分やリューイ、プリシティアらをまとめて引っ張っていってくれる、真面目で頼もしい先輩だ。


 その頼れる先輩騎士が、口元をだらしなく緩ませながら、ニーナと舌を伸ばして絡め合うキスを見せつけてくる。


(わ、わ。すごいっ! 女同士で、あんな……!)


 アンナもリリライト邸地下に監禁されて、教育係だったリリアナに調教された記憶は残っている。しかし『異能』を克服した後のアンナにとっては、それは恐怖で悍ましいものでしかなかった。


 今、目の前で行われている生々しい女同士の絡み合い――しかも自分が親しくしている人物らが淫らに交わっている様は、アンナに新鮮な刺激を与えて興奮を高ぶらせる。


(と、とにかくここから離れよう。これは見ちゃいけなかったもののような気がする)


 ただでさえむらむらとした熱が溜まっていた下腹部が更に熱を帯びる。どうやら今夜の自慰の妄想は、愛するカリオスではなくこちらの方になりそうだ――などと、ぼーっと考えながら移動しようしたアンナは、まさかの不覚を取る。


「「誰っ!?」」


 完全に油断していたアンナはうかつにも足音を立ててしまったのだった。完全に2人の世界にいたニーナもアンリエッタも、そのわずかな音を敏感に察知すると、一気に警戒心を露わにして、アンナのいる方に意識を向けてくる。


「い、いけない……」


「逃がすかぁぁぁぁ!」


 まるで獲物を捉えた猫が「シャアア」と叫ぶかのように、”剣士”であるアンナの身体能力を超えた速さで、ニーナがテントの入り口へと一足飛びに飛んでくる。


「あわ。あわわわ……」


「あら、あなたは?」


 全裸でとびかかり、アンナの体を地面に押さえつけるようにするニーナは、覗き人の正体を確認すると、意外そうな息を漏らす。


「お、お姉さまぁ? ほ、放置プレイですか? 速く……速くぅ……逞しいオチンポでイカせてくださぁい♡」


 視界が塞がれたまま放置されたアンリエッタは状況が分かっていないのか、媚びた甘い声で、とても他人には聞かせられないおねだりをする。


 そんなアンリエッタはさておき、ニーナはアンナの様子をまじまじと観察していると、やがて察したようにニヤァと笑いを浮かべる。


「あ、あの……ニーナ将軍?」


「ふふん、なるほど♪ ”剣士”の直系のお嬢様も好きモノですね、このこの♪ 加わって3Pしちゃいますかぁ?」


「い、いや。私は、あの……その……んむっ?」


 ニーナの誘惑の言葉にたじろぐアンナに、拒絶の言葉を許さないといわんばかりにニーナは唇を押し付ける。そして当然のように舌を伸ばしてアンナの唇を舐っていくと、アンナは全身から力が抜けていくのだった。


(本編に続く)

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もし興味をもっていただけた方は、本編もどうぞ。


龍の騎士と龍を統べる王

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